端子圧着装置及び端子圧着方法
【課題】先端が互いに近づく方向に湾曲した加締め片を備えた端子金具に電線を確実に圧着できる端子圧着装置を提供する。
【解決手段】端子圧着装置1は湾曲部26が形成された一対の内側加締め片24を編組用底板23に向かって曲げてシールド電線2の編組導体6をプラグ3に加締める。端子圧着装置1は表面上にプラグ3が位置付けられるアンビル47とクリンパ48と電線圧入型51を備えている。クリンパ48はアンビル47と相対しかつアンビル47に接離自在に設けられているとともにアンビル47に近づいて内側加締め片24を加締める。電線圧入型51はアンビル47と相対しかつアンビル47に接離自在に設けられているとともにクリンパ48が内側加締め片24を加締める前にアンビル47に近づいてシールド電線2の編組導体6を編組用底板23に向かって押圧して一対の内側加締め片24間に圧入する。
【解決手段】端子圧着装置1は湾曲部26が形成された一対の内側加締め片24を編組用底板23に向かって曲げてシールド電線2の編組導体6をプラグ3に加締める。端子圧着装置1は表面上にプラグ3が位置付けられるアンビル47とクリンパ48と電線圧入型51を備えている。クリンパ48はアンビル47と相対しかつアンビル47に接離自在に設けられているとともにアンビル47に近づいて内側加締め片24を加締める。電線圧入型51はアンビル47と相対しかつアンビル47に接離自在に設けられているとともにクリンパ48が内側加締め片24を加締める前にアンビル47に近づいてシールド電線2の編組導体6を編組用底板23に向かって押圧して一対の内側加締め片24間に圧入する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端が互いに近づく方向に湾曲した加締め片を備えた端子金具と電線とを互いに圧着する端子圧着装置及び端子圧着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
端子金具のかしめ片をかしめて、電線と端子金具とを互いに電気的に接続する即ち電線と端子金具とを互いに圧着して、ワイヤハーネスを組み立てる際には、種々の端子圧着装置(例えば、特許文献1参照)が用いられる。端子圧着装置は、互いに接離自在に設けられかつ互いの間に電線の端部と端子金具とを挟んでこれらを圧着するアンビル及びクリンパと、これらのアンビル及びクリンパを互いに接離させる駆動源部と、を有している。
【0003】
前述した特許文献1に示された端子圧着装置は、芯線に内端子が予め圧着されたシールド電線の編組を、前記内端子を収容するとともに該内端子と電気的に絶縁される外端子に圧着する。外端子は、表面上に前述したシールド電線の編組を位置付ける底板部と、該底板部の外縁から立設した一対の加締め片を備えている。外端子は、加締め片間に編組が圧入されて、該加締め片が底板部に向かって曲げられることで、前述した編組と電気的に接続する。前述した外端子の加締め片は、予め、加締められた際に前述した編組とより密着するために、底板部から離れた側の端が近づく方向に湾曲している。
【0004】
前述した特許文献1に示された端子圧着装置は、内端子を外端子内に挿入するとともに、該内端子が取り付けられたシールド端子の編組を前述した加締め片間に圧入した後、前述したアンビルとクリンパとが互いに近づいて、前述した加締め片を曲げる。そして、特許文献1に示された端子圧着装置は、外端子にシールド電線を取り付けるとともに、外端子と内端子とを互いに組み付けて、同軸ケーブル用の端子金具を組み立てる。
【特許文献1】特許第3456422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に示された端子圧着装置は、加締め片が前述したように湾曲しているため、加締め片間にシールド電線の編組を圧入する際に、該編組が加締め片の先端に引っ掛かることがあった。編組が加締め片の先端に引っ掛かると、編組が一対の加締め片間に十分に圧入されることなく、該加締め片が加締められてしまう。このとき、編組と加締め片即ち外端子とが十分に電気的に接続できなくなってしまうことがあった。即ち、前述した特許文献1に示された端子圧着装置は、編組即ちシールド電線を端子金具に確実に圧着できない虞があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、先端が互いに近づく方向に湾曲した加締め片を備えた端子金具に電線を確実に圧着することができる端子圧着装置及び端子圧着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の端子圧着装置は、底板から立設した一対の加締め片に該一対の加締め片の前記底板から離れた側の端部同士が近づく方向に湾曲した湾曲部が形成された端子金具の前記加締め片を前記底板に向かって曲げて電線を加締める端子圧着装置において、表面上に前記端子金具が位置付けられる第1の型と、前記第1の型と相対し、かつ第1の型に接離自在に設けられているとともに、前記第1の型に近づいて、前記加締め片を加締める第2の型と、前記第1の型と相対し、かつ第1の型に接離自在に設けられているとともに、前記第2の型が前記加締め片を加締める前に第1の型に近づいて、前記電線を前記底板に向かって押圧して前記一対の加締め片間に圧入する第3の型と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項1に記載の端子圧着装置において、前記第3の型は、前記第1の型と前記第2の型とが互いに接離する方向に沿ってスライド自在に設けられ、かつ付勢手段によって前記第1の型に向かって付勢されているとともに、前記第1の型から離れた状態で前記第2の型よりも前記第1の型に向かって突出していることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項2記載の端子圧着装置において、前記第2の型と前記第3の型とを一体に前記第1の型に接離させる駆動源を備え、前記駆動源が、サーボモータであることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置において、前記第1の型と前記第2の型とが互いに接離する方向に沿ってスライド自在に設けられ、かつ付勢手段によって前記第1の型に向かって付勢されているとともに、前記第3の型が前記電線を前記加締め片間に圧入する前に前記第1の型に近づいて該第1の型との間に前記端子金具を挟んで、該端子金具を位置決めする位置決め型を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項1ないし請求項4のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置において、前記第3の型が前記電線を前記一対の加締め片間に圧入したか否かを検出する検出手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項1ないし請求項5のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置において、前記端子金具は、前記電線が圧接される圧接部を更に備えており、前記電線を前記圧接部に向かって押圧して、該電線を前記圧接部に圧接する電線圧接部を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の本発明の端子圧着方法は、底板から立設した一対の加締め片に該一対の加締め片の前記底板から離れた側の端部同士が近づく方向に湾曲した湾曲部が形成された端子金具の前記加締め片を、表面上に前記端子金具が位置付けられる第1の型と第2の型とを互いに近づけて、前記底板に向かって曲げて、電線を加締める端子圧着方法において、前記第1の型の表面上の前記端子金具を位置決めした後、前記一対の加締め片間に前記電線を圧入してから、前記第1の型と前記第2の型とを互いに近づけて、前記加締め片で前記電線を加締めることを特徴としている。
【0014】
請求項1に記載した本発明の端子圧着装置によれば、第2の型が加締め片を加締める前に電線を底板に向かって押圧して、一対の加締め片間に圧入する第3の型を備えているので、湾曲している加締め片間に確実に電線を圧入できる。
【0015】
さらに、第2の型が底板に向かって電線を押圧するので、電線と端子金具とが、該電線の長手方向に沿って、相対的に位置ずれすることを防止できる。
【0016】
請求項2に記載した本発明の端子圧着装置によれば、第3の型が第2の型にスライド自在に取り付けられているので、一つの駆動源で第3の型と第2の型との双方を第1の型に接離させることができる。また、第3の型が付勢手段によって第2の型よりも第1の型に向かって突出しているので、一つの駆動源によって、第2の型と第3の型との双方を第1の型に対して接離させても、第2の型がかしめ片を加締める前に第3の型が電線を加締め片間に圧入できる。さらに、第3の型が第2の型に対してスライド自在に設けられかつ付勢手段によって付勢されているので、第2の型が加締め片を加締める際に、第3の型が第1の型から押圧されて付勢手段の付勢力に抗して、第2の型に対してスライドする。
【0017】
請求項3に記載した本発明の端子圧着装置によれば、第2の型と第3の型とを移動させるための駆動源がサーボモータであるので、第3の型が電線を加締め片間に圧入するステップと、第2の型が加締め片を加締めるステップとに分けて、第2及び第3の型を段階的に第1の型に近づけることができる。
【0018】
請求項4に記載した本発明の端子圧着装置によれば、第3の型が電線を加締め片間に圧入する前に端子金具を位置決めする位置決め型を備えているので、位置決めした端子金具の一対の加締め片間に第3の型が電線を確実に圧入できる。
【0019】
請求項5に記載した本発明の端子圧着装置によれば、第3の型が電線を加締め片間に圧入できたか否かを検出する検出手段を備えているので、圧着不良となる前に作業を一時的に停止させることができ、電線を圧着端子に圧着する作業の歩留まりが悪化することを防止できる。
【0020】
請求項6に記載した本発明の端子圧着装置によれば、第2の型が電線を端子金具の圧接部に圧接可能であるので、電線を加締め片で加締めながらも、該電線を圧接部に圧接できる。
【0021】
請求項7に記載した本発明の端子圧着方法によれば、加締め片を加締める前に電線を一対の加締め片間に圧入するので、湾曲している加締め片間に確実に電線を位置付けることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明によれば、湾曲している加締め片間に確実に電線を圧入できるので、該端子金具に電線を確実に圧着できる。
【0023】
さらに、電線と端子金具とが該電線の長手方向に沿って相対的に位置ずれすることを防止できるので、電線と端子金具とを所望の位置関係に保った状態で、電線を端子金具に確実に圧着できる。したがって、所望の品質の電線付きの端子金具を得ることができる。
【0024】
請求項2に記載の本発明によれば、一つの駆動源で第3の型と第2の型との双方を第1の型に接離させることができるので、部品点数の増加を防止でき、端子圧着装置の低コスト化を図ることができる。
【0025】
また、一つの駆動源によって、第2の型と第3の型との双方を第1の型に対して接離させても、第2の型がかしめ片を加締める前に第3の型が電線を加締め片間に圧入できるので、湾曲している加締め片を備えた端子金具に電線を確実に圧着できる。
【0026】
さらに、第2の型が加締め片を加締める際に、第3の型が第1の型から押圧されて付勢手段の付勢力に抗して、第2の型に対してスライドするので、第2の型が加締め片を加締める作業を第3の型が妨げることを防止できる。したがって、端子金具に電線を確実に取り付けることができる。
【0027】
請求項3に記載の本発明によれば、第3の型が電線を加締め片間に圧入するステップと、第2の型が加締め片を加締めるステップとに分けて、第2及び第3の型を段階的に第1の型に近づけることができる。このため、ステップ毎に所望の作業を実施したか否かを把握でき、歩留まりの低下を図ることができ、品質の低下を防止できる。
【0028】
請求項4に記載の本発明によれば、一対の加締め片間に第3の型が電線を圧入できるので、端子金具に電線を確実に圧着できる。
【0029】
請求項5に記載の本発明によれば、第3の型が電線を加締め片間に圧入できたか否かを検出する検出手段を備えているので、電線を圧着端子に圧着する作業の歩留まりが悪化することを防止できる。
【0030】
請求項6に記載の本発明によれば、電線を加締め片で加締めながらも、該電線を圧接部に圧接できるので、加締め片で編組導体をかしめて、圧接部に芯線を圧接することができるので、電線としてのシールド電線を、シールド電線用の端子金具に一度に組み付けることができる。したがって、シールド電線を、該シールド電線用の端子金具に取り付ける作業を一つの工程で実施でき、該作業が増加することを防止できる。
【0031】
請求項7に記載の本発明によれば、湾曲している加締め片間に確実に電線を位置付けることができるので、該端子金具に電線を確実に圧着できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態にかかる端子圧着装置1を、図1ないし図14を参照して説明する。端子圧着装置1は、電線としてのシールド電線2の端末を、端子金具としてのシールド電線用プラグ(以下、単にプラグと記す)3に圧着する(取り付ける)装置である。
【0033】
シールド電線2は、図2に示すように、芯線としての中心導体4と、該中心導体4を被覆した絶縁体5と、該絶縁体5を被覆した編組導体6と、該編組導体6を被覆した外皮としての絶縁シース7と、を備えている。
【0034】
中心導体4は、導電性の金属で構成されて、断面円形の線状に形成されている。絶縁体5は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。編組導体6は、導電性の金属で構成された複数の素線が互いに編まれて、網状に形成されている。絶縁シース7は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。前述した構成のシールド電線2は、その端末において、絶縁シース7と編組導体6と絶縁体5の各々の一部が除去されて、前述した中心導体4と絶縁体5と編組導体6とが露出している。
【0035】
プラグ3は、図12乃至図14に示すように、導電性の金属で構成されたプラグピン8と、絶縁ハウジング9と、導電性の金属で構成された外部コンタクト10とを備えている。
【0036】
プラグピン8は、板金を曲げるなどして形成されている。プラグピン8は、図12及び図14に示すように、電気接触部11と、圧接部12と、を備えている。電気接触部11は、円筒状に形成されており、自動車などに設置されるアンテナの基部などの各種の電子機器内に挿入されて、該電子機器と接続する。
【0037】
圧接部12は、電気接触部11の外表面に連なった断面C字状の本体部13と、該本体部13の内面から立設した圧接刃14とを備えている。圧接刃14には、スリット15が設けられている。スリット15は、圧接刃14の本体部13の開口部寄りの縁から該開口部と圧接刃14とが相対する方向に沿って直線状に延在している。圧接部12は、圧接刃14のスリット15内に中心導体4が圧入されて、該中心導体4(即ち、シールド電線2)が圧接される。このように、圧接部12即ちプラグピン8は、中心導体4と電気的に接続する。
【0038】
絶縁ハウジング9は、絶縁性の合成樹脂で構成されて、円筒状に形成されている。絶縁ハウジング9は、プラグピン8の圧接部12の外周に嵌合する。絶縁ハウジング9は、プラグピン8と、外部コンタクト10とを電気的に絶縁する。
【0039】
外部コンタクト10は、板金を曲げるなどして形成されている。外部コンタクト10は、固定部16と、電線接続部17と、を備えている。
【0040】
固定部16は、円筒状の本体部18と、複数の係止片19とを備えている。本体部18は、絶縁ハウジング9の外周に嵌合するなどして、該絶縁ハウジング9に取り付けられる。係止片19は、一端が本体部18に連なり、該一端から他端が前記プラグピン8の先端から離れる方向に延在している。係止片19は、前記一端から他端に向かうにしたがって徐々に本体部18から離れる方向に湾曲している。係止片19は、前述したアンテナの基部などの電子機器に設けられたプラグ挿入孔の内面に係止して、該プラグ3を前述した電子機器に固定する。
【0041】
電線接続部17は、固定部16の本体部18の外表面の一部に連なった底板20と、編組加締め部21と、シース加締め部22とを備えている。底板20は、平面形状が矩形状に形成されており、一端が固定部16の本体部18に連なっているとともに、該本体部18からプラグピン8から離れる方向に延在している。
【0042】
編組加締め部21は、底板20に重ねられた編組用底板23と、一対の内側加締め片24と、一対の外側加締め片25とを備えている。編組用底板23は、平面形状が矩形状に形成されており、前記底板20に重ねられて該底板20に固定されている。編組用底板23は、特許請求の範囲に記載された底板をなしている。
【0043】
一対の内側加締め片24は、編組用底板23の幅方向の外縁から立設している。内側加締め片24は、図13に示すように、その中央部に、編組用底板23から離れた側の端部が互いに近づく方向に湾曲した湾曲部26が形成されている。一対の内側加締め片24は、特許請求の範囲に記載された一対の加締め片をなしている。
【0044】
一対の外側加締め片25は、底板20の幅方向の外縁から立設しているとともに、内側加締め片24の外側に重ねられた格好で配置されている。即ち、一対の外側加締め片25は、互いの間に一対の内側加締め片24を位置付けている。
【0045】
編組加締め部21は、編組用底板23にシールド電線2の端末から露出した編組導体6が重ねられて、加締め片24,25が底板20,23に近づく方向に曲げられる。編組加締め部21は、加締め片24,25と底板20,23との間にシールド電線2の編組導体6を挟んで、該シールド電線2の編組導体6を加締める。
【0046】
シース加締め部22は、一対のシース加締め片27を備えている。シース加締め片27は、底板20の幅方向の外縁から立設しているとともに、加締め片24,25よりもプラグピン8から離れた位置に配置されている。
【0047】
シース加締め部22は、シース加締め片27が底板20に近づく方向に曲げられる。シース加締め部22は、底板20に重ねられたシールド電線2の絶縁シース7をシース加締め片27と底板20との間に挟んで、シールド電線2の絶縁シース7を加締める。
【0048】
前述した構成の外部コンタクト10は、固定部16の本体部18が絶縁ハウジング9に取り付けられて、編組加締め部21が編組導体6をかしめて、シース加締め部22が絶縁シース7をかしめて、シールド電線2と絶縁ハウジング9との双方に固定される。そして、外部コンタクト10は、シールド電線2の編組導体6と電気的に接続する。
【0049】
前述したプラグ3は、プラグピン8の圧接部12の外周に絶縁ハウジング9が嵌合し、該絶縁ハウジング9の外周に外部コンタクト10の固定部16の本体部18が嵌合して、組み立てられる。そして、プラグ3は、底板20,23の表面に対し直交する方向に沿って、シールド電線2の端末が該底板20,23に近づけられる。すると、シールド電線2の端末で露出した編組導体6が編組加締め部21の一対の内側加締め片24間に位置付けられて、編組用底板23に編組導体6が重ねられた後、前述した加締め片24,25,27が底板20,23に向かって曲げられて編組導体6及び絶縁シース7を加締めるとともに、圧接部12の圧接刃14のスリット15内に中心導体4が圧入される。こうして、プラグ3は、シールド電線2の端末に取り付けられて、前述した電子機器などと接続する。
【0050】
端子圧着装置1は、図1に示すように、装置本体28と、駆動源部29と、アプリケータ30と、電線搬送装置31と、第1センサ32と、検出手段としての第2センサ33と、制御部としての制御装置34を備えている。
【0051】
装置本体28は、底板部35と、該底板部35より立設した立設部36と、立設部36の上縁に連なる天井部37とを備えている。底板部35と、天井部37とは、水平方向に沿って略平坦に形成され、勿論互いに平行に配置されている。
【0052】
駆動源部29は、駆動源としてのサーボモータ38と、リンク機構39とを備えている。サーボモータ38は、図示例では、一つ設けられている。サーボモータ38は、本体部40と、該本体部40に回転自在に設けられた出力軸41とを備えている。サーボモータ38は、後述するクリンパ48と電線圧入型51と位置決め型50とを一体に、アンビル47に接離させるための駆動源である。
【0053】
リンク機構39は、偏心ピン42と、第1リンク棒43と、第2リンク棒44と、スライド体45と、を備えている。偏心ピン42は、円柱状に形成されているとともに、出力軸41の端面から突出している。偏心ピン42の軸芯は、出力軸41の軸芯と間隔をあけて平行に配置されている。即ち、偏心ピン42は、出力軸41と同軸には配置されていなく、該出力軸41に対して偏心している。
【0054】
第1リンク棒43は、一端部が偏心ピン42と回転自在に連結されているとともに、アンビル47とクリンパ48とが最も離れた状態で、その長手方向が鉛直方向と平行に配置されている。第2リンク棒44は、第1リンク棒43と重ねられているとともに、アンビル47とクリンパ48とが最も離れた状態で、その長手方向が鉛直方向と平行に配置されている。第2リンク棒44の一端部と第1リンク棒43の他端部とは、互いに回転自在に連結されている。スライド体45は、鉛直方向に沿って、スライド自在に天井部37に支持されている。スライド体45は、その一部が天井部37から突出している。スライド体45は、第2リンク棒44の他端部と回転自在に連結している。
【0055】
前述した構成のリンク機構39は、サーボモータ38の出力軸41が回転すると、偏心ピン42及びリンク棒43,44などによって、スライド体45を鉛直方向に沿ってスライドさせる。リンク機構39は、サーボモータ38の駆動力によって、スライド体45を鉛直方向に沿ってスライドさせることで、アンビル47とクリンパ48とを互いに接離させる。
【0056】
アプリケータ30は、装置本体28の底板部35に設置されている。アプリケータ30は、図2及び図3に示すように、フレーム46と、第1の型としての下型47(以下アンビルと呼ぶ)と、第2の型としての上型48(以下クリンパと呼ぶ)と、ラム49と、位置決め型50と、第3の型としての電線圧入型51と、電線圧接部としての圧接型52と、を備えている。
【0057】
フレーム46は、側方からみてコ字状に形成されている。フレーム46は、装置本体28の底板部35上に取り付けられる。フレーム46は、アンビルホルダ部53と、上方延在部54と、ラム支持部55と、を備えている。アンビルホルダ部53は、装置本体28の底板部35上に配される。アンビルホルダ部53は、アンビル47を固定する。
【0058】
上方延在部54は、アンビルホルダ部53から上方(天井部37)に向かって延在している。ラム支持部55は、上方延在部54の上端部に連結している。ラム支持部55は、ラム49を昇降(鉛直方向に沿ってスライド)自在に支持する。即ち、ラム支持部55は、アンビル47とクリンパ48とが互いに接離する方向に、ラム49をスライド自在に支持している。
【0059】
アンビル47は、アンビルホルダ部53に固定されて、フレーム46に取り付けられる。アンビル47には、その上にプラグ3が載置される。
【0060】
アンビル47には、底板20が接した状態でプラグ3が載置される。アンビル47上に載置されたプラグ3の加締め片24,25,27は、アンビル47から上方に向かって延在している。
【0061】
ラム49は、方体状に形成されている。ラム49は、ラム支持部55に鉛直方向に沿って昇降自在に支持されている。ラム49は、その長手方向が前記昇降方向即ち鉛直方向に沿っている。ラム49は、その上端部がスライド体45に取り付けられている。即ち、ラム49は、サーボモータ38の駆動力によって、昇降する(アンビル47とクリンパ48とが互いに接離方向に沿ってスライドする)。
【0062】
クリンパ48は、ラム49に取り付けられている。クリンパ48は、アンビル47と鉛直方向に沿って相対して設けられている。クリンパ48は、ラム49がラム支持部55に昇降自在に支持されることによって、アンビル47に接離自在に支持されている。クリンパ48は、鉛直方向に沿って変位して、アンビル47に対し接離する。即ち、クリンパ48がアンビル47に接離するのと連動して、ラム49が昇降する。なお、この接離とは、互いに近づいたり離れることをいう。
【0063】
クリンパ48は、第1のクリンパ48aと、第2のクリンパ48bと、を備えている。第1のクリンパ48a及び第2のクリンパ48bは、アンビル47と鉛直方向に沿って相対向している。第1のクリンパ48aは、アンビル47上のプラグ3の編組加締め部21の加締め片24,25と相対するとともに、ラム49が昇降すると該編組加締め部21の加締め片24,25に対して接離する。第1のクリンパ48aは、編組加締め部21の加締め片24,25に近づいて、該編組加締め部21の加締め片24,25を底板20,23に近づく方向に曲げて、該編組加締め部21の加締め片24,25でシールド電線2の編組導体6を加締める。
【0064】
第2のクリンパ48bは、アンビル47上のプラグ3のシース加締め片27と相対するとともに、ラム49が昇降すると該シース加締め片27に対して接離する。第2のクリンパ48bは、シース加締め片27に近づいて、該シース加締め片27を底板20に近づく方向に曲げて、該シース加締め片27でシールド電線2の絶縁シース7を加締める。
【0065】
位置決め型50は、鉛直方向に沿ってスライド自在にラム49に支持されている。即ち、位置決め型50は、クリンパ48に対してスライド自在に設けられている。位置決め型50は、その一部がラム49からアンビル47に向かって突出した状態に支持され、かつラム49から下方に脱落することが該ラム49などによって規制されている。位置決め型50は、長手方向が鉛直方向と平行な棒状に形成されている。位置決め型50は、付勢手段としてのばね56などによって、アンビル47即ち該アンビル47上のプラグ3に向かって付勢されている。位置決め型50は、アンビル47とクリンパ48とが互いに離れた状態で、クリンパ48a,48bよりもラム49からアンビル47に向かって突出している。
【0066】
また、位置決め型50は、図7に示すように、鉛直方向即ちアンビル47とクリンパ48とが互いに接離する方向に沿って、アンビル47上のプラグ3のプラグピン8と相対している。即ち、位置決め型50は、アンビル47上のプラグ3のプラグピン8に接離する。
【0067】
位置決め型50のアンビル47寄りの先端部には、図7に示すように、位置決め用凹み57が設けられている。位置決め用凹み57は、位置決め型50のアンビル47寄りの先端面から凹に形成されている。位置決め用凹み57は、ラム49が下降してアンビル47とクリンパ48とが互いに近づくと、内側にアンビル47上のプラグ3のプラグピン8を位置付ける。位置決め型50は、ラム49が下降すると、クリンパ48a,48bが加締め片24,25,27を加締める前でかつ電線圧入型51がシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入する前に、位置決め用凹み57内にプラグ3のプラグピン8を位置付けて、該プラグ3のプラグピン8をアンビル47との間に挟む。こうして、位置決め型50は、プラグピン8をアンビル47との間に挟んで、プラグピン8即ちプラグ3を位置決めする。
【0068】
電線圧入型51は、鉛直方向に沿ってスライド自在にラム49に支持されている。即ち、電線圧入型51は、クリンパ48に対してスライド自在に設けられている。電線圧入型51は、その一部がラム49からアンビル47に向かって突出した状態に支持され、かつラム49から下方に脱落することが該ラム49などによって規制されている。電線圧入型51は、付勢手段としてのばね58などによって、アンビル47即ち該アンビル47上のプラグ3に向かって付勢されている。電線圧入型51は、クリンパ48a,48b間に配置されている。電線圧入型51は、アンビル47とクリンパ48とが互いに離れた状態で、該クリンパ48a,48bよりもラム49からアンビル47に向かって突出しているとともに、位置決め型50よりもラム49からアンビル47に向かって突出していない。
【0069】
また、電線圧入型51は、鉛直方向即ちアンビル47とクリンパ48とが互いに接離する方向に沿って、アンビル47上のプラグ3の加締め部21,22間と相対している。即ち、電線圧入型51は、アンビル47上のプラグ3の加締め部21,22間に接離する。
【0070】
電線圧入型51は、図9に示すように、互いに平行に配置された一対の平行部59と、該平行部59同士を連結した連結部60と、電線圧入部61とを備えている。平行部59は、その長手方向が鉛直方向と平行な状態に配置されている。連結部60は、平行部59の下端部同士を連結している。電線圧入部61は、連結部60の中央部に設けられ、該連結部60からアンビル47に向かって突出している。電線圧入部61には、電線位置決め用凹み62が設けられている。電線位置決め用凹み62は、電線圧入部61のアンビル47寄りの縁から凹でかつ断面円弧状に形成されている。電線位置決め用凹み62は、ラム49が下降してアンビル47とクリンパ48とが互いに近づくと、電線搬送装置31の電線チャック69などに保持されたシールド電線2の端末で露出した編組導体6を内側に位置付ける。
【0071】
電線圧入型51は、ラム49が下降すると、前述した電線チャック69などに保持されたシールド電線2の編組導体6をアンビル47上のプラグ3に向かって押圧する。そして、電線圧入型51は、クリンパ48a,48bが加締め片24,25,27を加締める前に、該シールド電線2の編組導体6を編組用底板23に向かって押圧して、一対の内側加締め片24間に圧入する。
【0072】
また、電線圧入型51の一方の平行部59aには、太部63と細部64とが設けられている。太部63と細部64とは、互いに他方の平行部59bと相対する内縁が面一となるように連なっている。勿論、太部63は、細部64よりも幅が広く形成されている。このため、一方の平行部59aには、その外縁を切り欠いた格好の切り欠き部が設けられている。
【0073】
圧接型52は、平板状に形成されているとともに、ラム49に固定されている。圧接型52は、ラム49よりもアンビル47に向かって突出している。圧接型52は、アンビル47と鉛直方向に沿って相対向しているとともに、電線チャック69などに保持されたシールド電線2の端末で露出した中心導体4と鉛直方向に沿って相対している。圧接型52は、アンビル47即ち該アンビル47上のプラグ3の圧接部12と、鉛直方向(アンビル47とクリンパ48とが接離する方向)に沿って相対しているとともに、該圧接部12との間にシールド電線2の中心導体4を位置付ける。
【0074】
圧接型52は、ラム49が昇降すると、プラグ3の圧接部12に接離する。圧接型52は、クリンパ48などと共にアンビル47に近づいて、電線チャック69に保持されたシールド電線2の中心導体4を、圧接部12の圧接刃14のスリット15内に圧入して、該圧接部12に中心導体4を圧接部12に圧接する。
【0075】
前述した構成によって、アプリケータ30は、サーボモータ38の駆動力によって、アンビル47とクリンパ48とを互いに近づけて、まず、位置決め型50でアンビル47上のプラグ3を位置決めする。そして、アプリケータ30は、サーボモータ38の駆動力によって、アンビル47とクリンパ48とを更に互いに近づけて、電線搬送装置31の電線チャック69などに挟まれたシールド電線2の編組導体6を電線圧入型51で編組用底板23に向かって押圧して、編組加締め部21の一対の内側加締め片24間に圧入する。
【0076】
その後、アプリケータ30は、サーボモータ38の駆動力によって、アンビル47とクリンパ48とを更に互いに近づけて、圧接型52でシールド電線2の中心導体4を圧接部12の圧接刃14のスリット15内に圧入するとともに、クリンパ48a,48bで加締め片24,25,27を底板20,23に向かって曲げて、プラグ3にシールド電線2の編組導体6と絶縁シース7とを加締める。こうして、アプリケータ30は、サーボモータ38の駆動力によって、アンビル47とクリンパ48とを互いに近づけて、これらの間にプラグ3及びシールド電線2の端末を挟み込んで、プラグ3とシールド電線2の端末とを互いに圧着する。
【0077】
このとき、勿論、第1のクリンパ48aは、編組加締め部21の加締め片24,25を底板20,23に向かって曲げて、該加締め片24,25でシールド電線2の編組導体6をかしめる。第2のクリンパ48bは、シース加締め片27を底板20に向かって曲げて、シース加締め片27でシールド電線2の絶縁シース7をかしめる。
【0078】
なお、クリンパ48a,48bそれぞれとアンビル47との間の間隔は、プラグ3と該プラグ3に圧着されるシールド電線2の外径等に応じて変化する。例えば、比較的大きな外径のシールド電線2を圧着する際には、前記クリンパ48a,48bそれぞれとアンビル47との間の間隔は比較的大きくなり、比較的小さな外径のシールド電線2を圧着する際には、前記クリンパ48a,48bそれぞれとアンビル47との間の間隔は比較的小さくなる。
【0079】
電線搬送装置31は、図2に示すように、立設板65と、リニアガイド66と、図示しないスライド用駆動源と、昇降シリンダ67と、チャックシリンダ68と、一対の電線チャック69とを備えている。
【0080】
立設板65は、装置本体28の底板部35から立設した格好に配置されている。リニアガイド66は、レール70と、スライダ71と、を備えている。レール70は、直線状に延在している。レール70は、立設板65に取り付けられている。レール70の長手方向は、水平方向と平行である。スライダ71は、レール70に該レール70の長手方向に沿ってスライド自在に支持されている。スライド用駆動源は、スライダ71をレール70の長手方向に沿って移動させる。
【0081】
昇降シリンダ67は、シリンダ本体72と、該シリンダ本体72から突没自在に設けられたロッド73とを備えている。シリンダ本体72は、リニアガイド66のスライダ71に取り付けられている。シリンダ本体72は、該シリンダ本体72から突出するロッド73が鉛直方向に沿って下方に向かう状態で、スライダ71に取り付けられている。
【0082】
チャックシリンダ68は、シリンダ本体74と、一対のチャックロッド75とを備えている。シリンダ本体74は、昇降シリンダ67のロッド73に取り付けられている。チャックロッド75は、それぞれ直線状に延在しており、互いに平行に配置されている。チャックシリンダ68は、一対のチャックロッド75を互いに接離する。チャックシリンダ68は、シリンダ本体74から一対のチャックロッド75が下方に向かって延在し、かつチャックロッド75の長手方向がそれぞれ鉛直方向に沿う状態に配置されている。電線チャック69は、それぞれ、チャックロッド75に取り付けられている。一対の電線チャック69は、チャックシリンダ68によって互いに接離するとともに、互いの間にシールド電線2の絶縁シース7を挟む。
【0083】
前述した構成の電線搬送装置31は、リニアガイド66のレール70の長手方向に沿ってチャックシリンダ68などが移動し、かつ昇降シリンダ67のロッド73が伸縮するとともに、チャックシリンダ68の一対のチャックロッド75が互いに接離して、図示しない竿に保持された端末の絶縁シース7や編組導体6などの一部が除去されたシールド電線2を電線チャック69間に挟む。そして、電線搬送装置31は、リニアガイド66のレール70の長手方向に沿ってチャックシリンダ68などが移動して、竿からシールド電線2をアプリケータ30まで搬送する。そして、電線搬送装置31は、電線チャック69間に挟んだ(チャックした)シールド電線2の端末をアンビル47上のプラグ3の上方に位置付ける。このように、電線搬送装置31は、図示しない竿などからアプリケータ30にシールド電線2を1本づつ搬送する。
【0084】
第1センサ32は、図7に示すように、アンビル47に取り付けられている。第1センサ32は、図示例では、近接スイッチであり、アンビル47上に位置決め型50が位置しているか否かを検出する。第1センサ32は、位置決め型50が位置決め用凹み57内にプラグ3を位置付けてアンビル47に当接すると、該位置決め型50の存在を検出する。第1センサ32は、位置決め型50が位置決め用凹み57内にプラグ3を位置付けることなく該位置決め型50がアンビル47と間隔をあけると、該位置決め型50の存在を検出しない。このように、第1センサ32は、位置決め型50の存在を検出するか否かで、該位置決め型50が、位置決め用凹み57内にプラグ3を位置づけて、該プラグ3をアンビル47上に位置決めしたか否か検出する。
【0085】
第2センサ33は、図9に示すように、装置本体28に設けられたセンサ取付部79に取り付けられている。センサ取付部79は、装置本体28に固定されており、電線圧入型51の太部63と細部64とが設けられた即ち前述した切り欠き部が設けられた一方の平行部59aと、アンビル47上に位置付けられるプラグ3の径方向に沿って、並設されている。
【0086】
即ち、第2センサ33は、電線圧入型51の前述した一方の平行部59aと、プラグ3即ちシールド電線2の径方向に沿って、並設されている。また、第2センサ33は、鉛直方向(アンビル47とクリンパ48とが互いに接離する方向)に沿って、最もアンビル47から離れた電線圧入型51とアンビル47との間に配置されている。
【0087】
第2センサ33は、図示例では、近接スイッチであり、シールド電線2の編組導体6を編組加締め部21の一対の内側加締め片24間に圧入した位置に電線圧入型51が位置しているか否かを検出する。第2センサ33は、電線圧入型51が電線位置決め用凹み62内に位置付けたシールド電線2の編組導体6が一対の内側加締め片24間に位置すると、該電線圧入型51の一方の平行部59aの太部63と相対して、該太部の存在を検出する。
【0088】
第2センサ33は、電線圧入型51が電線位置決め用凹み62内に位置付けたシールド電線2の編組導体6が一対の内側加締め片24間に位置せずに一方の内側加締め片24上などに乗り上げると、該電線圧入型51の一方の平行部59aの細部64と相対して太部63の存在を検出しない。このように、第2センサ33は、電線圧入型51の太部63の存在を検出するか否かで、該電線圧入型51が、シールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入できたか否か検出する。
【0089】
制御装置34は、周知のROMと、RAMと、CPUとを備えたコンピュータであって、前述した駆動源部29のサーボモータ38とセンサ32,33などと接続して、これらを制御することにより、端子圧着装置1全体の制御を司る。
【0090】
ROMは、CPU即ち端子圧着装置1の動作プログラムなどを記憶している。RAMは、CPUの演算実行時に必要なデータを一時的に保持する。CPUは、ROMに記載された動作プログラム通りに端子圧着装置1を動作させる。まず、CPUは、シールド電線2の端末にプラグ3を圧着する際には、サーボモータ38を駆動して、位置決め型50が位置決め用凹み57内にプラグ3を位置付けてアンビル47に当接する位置まで、ラム49をアンビル47に向かって移動させる。
【0091】
そして、CPUは、第1センサ32から位置決め型50の存在を検出したことを示す情報が入力すると、更に、サーボモータ38を駆動して、ラム49をアンビル47に近づける。また、CPUは、第1センサ32から位置決め型50の存在を検出したことを示す情報が入力しないと、サーボモータ38を停止して、位置決め型50がプラグ3を位置決めしていないことを示す(異常を示す)情報を、制御装置34に接続した出力装置に向かって出力する。そして、CPUは、出力装置に位置決め型50がプラグ3を位置決めしていないことを示す(異常を示す)情報を出力させる。
【0092】
CPUは、更に、サーボモータ38を駆動して、電線圧入型51が電線位置決め用凹み62内位置付けたシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入できる位置まで、ラム49をアンビル47に向かって移動させる。
【0093】
そして、CPUは、第2センサ33から電線圧入型51の一方の平行部59aの太部63の存在を検出したことを示す情報が入力すると、更に、サーボモータ38を駆動して、ラム49をアンビル47に近づける。また、CPUは、第2センサ33から電線圧入型51の一方の平行部59aの太部63の存在を検出したことを示す情報が入力しないと、サーボモータ38を停止して、電線圧入型51がシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入していないことを示す(異常を示す)情報を、前述した出力装置に向かって出力する。そして、CPUは、出力装置に電線圧入型51がシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入していないことを示す(異常を示す)情報を出力させる。
【0094】
CPUは、更に、サーボモータ38を駆動して、アンビル47とクリンパ48とが加締め片24,25,27を曲げて、該プラグ3にシールド電線2の端末を圧着させる。そして、CPUは、サーボモータ38を駆動して、アンビル47とクリンパ48とを互いに離す。こうして、CPUは、サーボモータ38を電線圧入型51が一対の内側加締め片24間にシールド電線2の編組導体6を圧入するステップと、クリンパ48が加締め片24,25,27を加締めるステップとに段階的に駆動して、アンビル47とクリンパ48及び電線圧入型51などとを段階的に近づける。
【0095】
次に、前述した構成の端子圧着装置1がプラグ3にシールド電線2の端末を圧着する工程を説明する。まず、図2及び図3に示すように、サーボモータ38によって、アンビル47とクリンパ48とを最も離しておくとともに、アンビル47上にプラグ3を一つ位置付けておく。このとき、プラグピン8の本体部13の開口部即ち圧接部12を圧接型52に相対させるとともに、編組加締め部21の加締め片24,25を第1のクリンパ48aに相対させ、シース加締め部22のシース加締め片27を第2のクリンパ48bに相対させる。また、電線搬送装置31が、竿などから取り外した一本のシールド電線2の端末をアンビル47とクリンパ48との間に位置付けておく。さらに、このとき、図7に示すように、位置決め型50が、アンビル47上のプラグ3と間隔をあけて相対しているとともに、図9に示すように、電線圧入型51がアンビル47上のプラグ3と間隔をあけて相対している。
【0096】
そして、制御装置34のCPUが、アプリケータ30のサーボモータ38を動作させて、アンビル47とクリンパ48とを徐々に互いに近づける。すると、位置決め型50がアンビル47上のプラグ3に徐々に近づいて、位置決め用凹み57内に該プラグ3を徐々に侵入させる。そして、図4及び図8に示すように、位置決め用凹み57内にプラグ3を位置付けて、アンビル47に当接して、位置決め型50がアンビル47上にプラグ3を位置決めする。すると、第1センサ32が、位置決め型50がアンビル47上にプラグ3を位置決めしたことを検出して、制御装置34のCPUが、更に、サーボモータ38を駆動して、アンビル47とクリンパ48とを互いに近づける。
【0097】
また、位置決め用凹み57内にプラグ3を位置付けることなく、該プラグ3を位置決め型50とアンビル47との間に挟むと、位置決め型50がプラグ3をアンビル47上に位置決めした状態よりもラム49に向かって押圧されて、該ラム49内に没する。すると、位置決め型50がアンビル47上にプラグ3を位置決めしていないことを第1センサ32が検出して、制御装置34のCPUが、サーボモータ38を停止する。さらに、制御装置34のCPUが、出力装置にアンビル47上にプラグ3を位置決めしていないことを示す情報を出力させる。
【0098】
第1センサ32が、位置決め型50がアンビル47上にプラグ3を位置決めしたことを検出すると、図4に示すように、電線圧入型51が電線位置決め用凹み62内に電線チャック69間に保持されたシールド電線2の編組導体6を位置付けて、シールド電線2の編組導体6と当接する。そして、制御装置34のCPUが、図5及び図10に示すように、更にサーボモータ38を駆動して、電線圧入型51でシールド電線2の編組導体6を、編組用底板23に向かって押圧するとともに、編組加締め部21の一対の内側加締め片24間に圧入する。
【0099】
すると、第2センサ33が、電線圧入型51の一方の平行部59aの太部63を検出せずに、該電線圧入型51がシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入したことを検出する。そして、制御装置34のCPUが、更に、サーボモータ38を駆動して、アンビル47とクリンパ48とを互いに近づける。
【0100】
また、電線位置決め用凹み62内にシールド電線2の編組導体6を位置付けることなく、図11に示すように、編組導体6が一方の内側加締め片24上に乗り上げて、該一方の内側加締め片24との間にシールド電線2の編組導体6を挟むと、電線圧入型51が編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入した状態よりもラム49に向かって押圧されて、該ラム49内に没する。すると、第2センサ33が電線圧入型51の一方の平行部59aの太部63を検出して、電線圧入型51がシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入していないことを第2センサ33が検出して、制御装置34のCPUが、サーボモータ38を停止する。さらに、制御装置34のCPUが、出力装置に電線圧入型51がシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入していないことを示す情報を出力させる。
【0101】
また、電線圧入型51がシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入する際に、圧接型52がシールド電線2の中心導体4を圧接部12に向かって押圧する。第2センサ33が、電線圧入型51が一対の内側加締め片24間にシールド電線2の編組導体6を圧入したことを検出して、制御装置34のCPUが、更にサーボモータ38を駆動すると、図6に示すように、クリンパ48a,48bが加締め片24,25,27を加締めるとともに、圧接型52が圧接部12の圧接刃14のスリット15内に中心導体4を圧入する。
【0102】
こうして、前述した端子圧着装置1は、シールド電線2の端末にプラグ3を圧着する。端子圧着装置1の制御装置34のCPUは、シールド電線2の端末にプラグ3を圧着した後に、サーボモータ38を制御して、アンビル47とクリンパ48とを互いに離す。そして、アンビル47上に次のプラグ3を位置付けるとともに、電線搬送装置31が次のシールド電線2の端末を竿などからアプリケータ30に搬送して、次のシールド電線2の端末に次のプラグ3を圧着する。
【0103】
なお、前述した位置決め型50は、アンビル47上にプラグ3を位置決めしてからクリンパ48a,48bが加締め片24,25,27を加締める間は、ラム49内に没する方向にスライドして、該クリンパ48a,48bが加締め片24,25,27を加締めることなどを妨げない(許容する)。さらに、前述した電線圧入型51は、一対の内側加締め片24間にシールド電線2の編組導体6を圧入してからクリンパ48a,48bが加締め片24,25,27を加締める間は、ラム49内に没する方向にスライドして、該クリンパ48a,48bが加締め片24,25,27を加締めることなどを妨げない(許容する)。
【0104】
本実施形態によれば、クリンパ48が加締め片24,25,27を加締める前にシールド電線2を編組用底板23に向かって押圧して、一対の内側加締め片24間に圧入する電線圧入型51を備えているので、湾曲している内側加締め片24間に確実にシールド電線2を圧入できる。したがって、プラグ3にシールド電線2を確実に圧着できる。クリンパ48が加締め片24,25,27を加締める前にシールド電線2を編組用底板23に向かって押圧するので、圧接と圧着とを同時に行うことができる。
【0105】
さらに、電線圧入型51が編組用底板23に向かってシールド電線2を押圧するので、シールド電線2とプラグ3とが、該シールド電線2の長手方向に沿って、相対的に位置ずれすることを防止できる。このため、シールド電線2とプラグ3とを所望の位置関係に保った状態で、該シールド電線2をプラグ3に確実に圧着できる。したがって、所望の品質のシールド電線2付きのプラグ3を得ることができる。
【0106】
電線圧入型51がクリンパ48に対してスライド自在に設けられているので、一つのサーボモータ38で、電線圧入型51とクリンパ48との双方をアンビル47に接離させることができる。したがって、端子圧着装置1の部品点数の増加を防止でき、該端子圧着装置1の低コスト化を図ることができる。
【0107】
また、電線圧入型51がばね58によってクリンパ48よりもアンビル47に向かって突出しているので、一つのサーボモータ38によって、クリンパ48と電線圧入型51との双方をアンビル47に対して接離させても、クリンパ48が加締め片24,25,27を加締める前に電線圧入型51がシールド電線2を一対の内側加締め片24間に圧入できる。したがって、湾曲している内側加締め片24を備えたプラグ3にシールド電線2を確実に圧着できる。
【0108】
さらに、電線圧入型51がクリンパ48に対してスライド自在に設けられかつばね58によって付勢されているので、クリンパ48が内側加締め片24を加締める際に、電線圧入型51がアンビル47から押圧されてばね58の付勢力に抗して、クリンパ48に対してスライドする。このため、クリンパ48が内側加締め片24を加締める作業を、電線圧入型51が妨げることを防止できる。したがって、プラグ3にシールド電線2を確実に取り付けることができる。
【0109】
クリンパ48と電線圧入型51とを移動させるための駆動源として、サーボモータ38を用いているので、クリンパ48がシールド電線2を内側加締め片24間に圧入するステップと、クリンパ48が内側加締め片24を加締めるステップとに分けて、クリンパ48と電線圧入型51を段階的にアンビル47に近づけることができる。このため、ステップ毎に所望の作業を実施したか否かを把握でき、シールド電線2付きのプラグ3の歩留まりの低下を図ることができ、該シールド電線2付きのプラグ3の品質の低下を防止できる。
【0110】
電線圧入型51がシールド電線2を内側加締め片24間に圧入する前に、プラグ3を位置決めする位置決め型50を備えているので、位置決めしたプラグ3の一対の内側加締め片24間に電線圧入型51がシールド電線2を確実に圧入できる。したがって、プラグ3にシールド電線2を確実に圧着できる。
【0111】
電線圧入型51がシールド電線2を内側加締め片24間に圧入できたか否かを検出する第2センサ33を備えているので、圧着不良となる前に作業を一時的に停止させることができ、シールド電線2をプラグ3に圧着する作業の歩留まりが悪化することを防止できる。
【0112】
圧接型52がシールド電線2の中心導体4をプラグ3の圧接部12に圧接可能であるので、シールド電線2を加締め片24,25,27で加締めながらも、該シールド電線2の中心導体4を圧接部12に圧接できる。
【0113】
シールド電線2を、シールド電線2用のプラグ3に一度で組み付けることができる。したがって、シールド電線2を、該シールド電線2用のプラグ3に取り付ける作業を一つの工程で実施でき、該作業が増加することを防止できる。
【0114】
前述した実施形態によれば、下記の端子圧着方法が得られる。
【0115】
底板23から立設した一対の加締め片24に該一対の加締め片24の前記底板23から離れた側の端部同士が近づく方向に湾曲した湾曲部26が形成された端子金具3の前記加締め片24を、表面上に前記端子金具3が位置付けられる第1の型47と第2の型48とを互いに近づけて、前記底板23に向かって曲げて電線2を加締める端子圧着方法において、前記第1の型47の表面上の前記端子金具3を位置決めした後、前記一対の加締め片24間に前記電線を圧入してから、前記第1の型47と前記第2の型48とを互いに近づけて、前記加締め片24で前記電線2を加締めることを特徴とする端子圧着方法。
【0116】
前述した実施形態では、圧接部12を備えたプラグ3に中心導体4を備えたシールド電線2の端末を圧着している。しかしながら、本発明では、編組導体6や中心導体4を備えていない通常の被覆電線の端末に、圧接部を備えていない通常の圧着端子を圧着しても良い。
【0117】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の一実施形態にかかる端子圧着装置の構成を一部断面で示す側面図である。
【図2】図1に示された端子圧着装置のアプリケータなどを一部断面で示す側面図である。
【図3】図2に示されたアプリケータの要部を一部断面で示す側面図である。
【図4】図3に示されたアプリケータの位置決め型がプラグをアンビル上に位置決めした状態を一部断面で示す側面図である。
【図5】図4に示されたアプリケータの電線圧入型がシールド電線の編組導体を一対の内側加締め片間に圧入した状態を一部断面で示す側面図である。
【図6】図5に示されたアプリケータのクリンパが加締め片を加締め圧接型が中央導体を圧接部に圧接した状態を一部断面で示す側面図である。
【図7】図3に示された状態のアプリケータの位置決め型とアンビルとの相対的な位置関係などを示す説明図である。
【図8】図4に示された状態のアプリケータの位置決め型とアンビルとの相対的な位置関係などを示す説明図である。
【図9】図3に示された状態のアプリケータの電線圧入型とアンビルとの相対的な位置関係などを示す説明図である。
【図10】図5に示された状態のアプリケータの電線圧入型とアンビルとの相対的な位置関係などを示す説明図である。
【図11】図3に示されたアプリケータの電線圧入型が一対の内側加締め片間に圧入できなかった状態を示す説明図である。
【図12】図1に示された端子圧着装置によって、互いに圧着されるプラグとシールド電線の端末などを示す斜視図である。
【図13】図12中のXIII―XIII線に沿う断面図である。
【図14】図12中のXIV―XIV線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0119】
1 端子圧着装置
2 シールド電線(電線)
3 シールド電線用プラグ(端子金具)
12 圧接部
23 編組用底板(底板)
24 内側加締め片(加締め片)
26 湾曲部
33 第2センサ(検出手段)
38 サーボモータ(駆動源)
47 アンビル(第1の型)
48 クリンパ(第2の型)
50 位置決め型
51 電線圧入型(第3の型)
52 圧接型
56,58 ばね(付勢手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端が互いに近づく方向に湾曲した加締め片を備えた端子金具と電線とを互いに圧着する端子圧着装置及び端子圧着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
端子金具のかしめ片をかしめて、電線と端子金具とを互いに電気的に接続する即ち電線と端子金具とを互いに圧着して、ワイヤハーネスを組み立てる際には、種々の端子圧着装置(例えば、特許文献1参照)が用いられる。端子圧着装置は、互いに接離自在に設けられかつ互いの間に電線の端部と端子金具とを挟んでこれらを圧着するアンビル及びクリンパと、これらのアンビル及びクリンパを互いに接離させる駆動源部と、を有している。
【0003】
前述した特許文献1に示された端子圧着装置は、芯線に内端子が予め圧着されたシールド電線の編組を、前記内端子を収容するとともに該内端子と電気的に絶縁される外端子に圧着する。外端子は、表面上に前述したシールド電線の編組を位置付ける底板部と、該底板部の外縁から立設した一対の加締め片を備えている。外端子は、加締め片間に編組が圧入されて、該加締め片が底板部に向かって曲げられることで、前述した編組と電気的に接続する。前述した外端子の加締め片は、予め、加締められた際に前述した編組とより密着するために、底板部から離れた側の端が近づく方向に湾曲している。
【0004】
前述した特許文献1に示された端子圧着装置は、内端子を外端子内に挿入するとともに、該内端子が取り付けられたシールド端子の編組を前述した加締め片間に圧入した後、前述したアンビルとクリンパとが互いに近づいて、前述した加締め片を曲げる。そして、特許文献1に示された端子圧着装置は、外端子にシールド電線を取り付けるとともに、外端子と内端子とを互いに組み付けて、同軸ケーブル用の端子金具を組み立てる。
【特許文献1】特許第3456422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に示された端子圧着装置は、加締め片が前述したように湾曲しているため、加締め片間にシールド電線の編組を圧入する際に、該編組が加締め片の先端に引っ掛かることがあった。編組が加締め片の先端に引っ掛かると、編組が一対の加締め片間に十分に圧入されることなく、該加締め片が加締められてしまう。このとき、編組と加締め片即ち外端子とが十分に電気的に接続できなくなってしまうことがあった。即ち、前述した特許文献1に示された端子圧着装置は、編組即ちシールド電線を端子金具に確実に圧着できない虞があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、先端が互いに近づく方向に湾曲した加締め片を備えた端子金具に電線を確実に圧着することができる端子圧着装置及び端子圧着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の端子圧着装置は、底板から立設した一対の加締め片に該一対の加締め片の前記底板から離れた側の端部同士が近づく方向に湾曲した湾曲部が形成された端子金具の前記加締め片を前記底板に向かって曲げて電線を加締める端子圧着装置において、表面上に前記端子金具が位置付けられる第1の型と、前記第1の型と相対し、かつ第1の型に接離自在に設けられているとともに、前記第1の型に近づいて、前記加締め片を加締める第2の型と、前記第1の型と相対し、かつ第1の型に接離自在に設けられているとともに、前記第2の型が前記加締め片を加締める前に第1の型に近づいて、前記電線を前記底板に向かって押圧して前記一対の加締め片間に圧入する第3の型と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項1に記載の端子圧着装置において、前記第3の型は、前記第1の型と前記第2の型とが互いに接離する方向に沿ってスライド自在に設けられ、かつ付勢手段によって前記第1の型に向かって付勢されているとともに、前記第1の型から離れた状態で前記第2の型よりも前記第1の型に向かって突出していることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項2記載の端子圧着装置において、前記第2の型と前記第3の型とを一体に前記第1の型に接離させる駆動源を備え、前記駆動源が、サーボモータであることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置において、前記第1の型と前記第2の型とが互いに接離する方向に沿ってスライド自在に設けられ、かつ付勢手段によって前記第1の型に向かって付勢されているとともに、前記第3の型が前記電線を前記加締め片間に圧入する前に前記第1の型に近づいて該第1の型との間に前記端子金具を挟んで、該端子金具を位置決めする位置決め型を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項1ないし請求項4のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置において、前記第3の型が前記電線を前記一対の加締め片間に圧入したか否かを検出する検出手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項1ないし請求項5のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置において、前記端子金具は、前記電線が圧接される圧接部を更に備えており、前記電線を前記圧接部に向かって押圧して、該電線を前記圧接部に圧接する電線圧接部を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の本発明の端子圧着方法は、底板から立設した一対の加締め片に該一対の加締め片の前記底板から離れた側の端部同士が近づく方向に湾曲した湾曲部が形成された端子金具の前記加締め片を、表面上に前記端子金具が位置付けられる第1の型と第2の型とを互いに近づけて、前記底板に向かって曲げて、電線を加締める端子圧着方法において、前記第1の型の表面上の前記端子金具を位置決めした後、前記一対の加締め片間に前記電線を圧入してから、前記第1の型と前記第2の型とを互いに近づけて、前記加締め片で前記電線を加締めることを特徴としている。
【0014】
請求項1に記載した本発明の端子圧着装置によれば、第2の型が加締め片を加締める前に電線を底板に向かって押圧して、一対の加締め片間に圧入する第3の型を備えているので、湾曲している加締め片間に確実に電線を圧入できる。
【0015】
さらに、第2の型が底板に向かって電線を押圧するので、電線と端子金具とが、該電線の長手方向に沿って、相対的に位置ずれすることを防止できる。
【0016】
請求項2に記載した本発明の端子圧着装置によれば、第3の型が第2の型にスライド自在に取り付けられているので、一つの駆動源で第3の型と第2の型との双方を第1の型に接離させることができる。また、第3の型が付勢手段によって第2の型よりも第1の型に向かって突出しているので、一つの駆動源によって、第2の型と第3の型との双方を第1の型に対して接離させても、第2の型がかしめ片を加締める前に第3の型が電線を加締め片間に圧入できる。さらに、第3の型が第2の型に対してスライド自在に設けられかつ付勢手段によって付勢されているので、第2の型が加締め片を加締める際に、第3の型が第1の型から押圧されて付勢手段の付勢力に抗して、第2の型に対してスライドする。
【0017】
請求項3に記載した本発明の端子圧着装置によれば、第2の型と第3の型とを移動させるための駆動源がサーボモータであるので、第3の型が電線を加締め片間に圧入するステップと、第2の型が加締め片を加締めるステップとに分けて、第2及び第3の型を段階的に第1の型に近づけることができる。
【0018】
請求項4に記載した本発明の端子圧着装置によれば、第3の型が電線を加締め片間に圧入する前に端子金具を位置決めする位置決め型を備えているので、位置決めした端子金具の一対の加締め片間に第3の型が電線を確実に圧入できる。
【0019】
請求項5に記載した本発明の端子圧着装置によれば、第3の型が電線を加締め片間に圧入できたか否かを検出する検出手段を備えているので、圧着不良となる前に作業を一時的に停止させることができ、電線を圧着端子に圧着する作業の歩留まりが悪化することを防止できる。
【0020】
請求項6に記載した本発明の端子圧着装置によれば、第2の型が電線を端子金具の圧接部に圧接可能であるので、電線を加締め片で加締めながらも、該電線を圧接部に圧接できる。
【0021】
請求項7に記載した本発明の端子圧着方法によれば、加締め片を加締める前に電線を一対の加締め片間に圧入するので、湾曲している加締め片間に確実に電線を位置付けることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明によれば、湾曲している加締め片間に確実に電線を圧入できるので、該端子金具に電線を確実に圧着できる。
【0023】
さらに、電線と端子金具とが該電線の長手方向に沿って相対的に位置ずれすることを防止できるので、電線と端子金具とを所望の位置関係に保った状態で、電線を端子金具に確実に圧着できる。したがって、所望の品質の電線付きの端子金具を得ることができる。
【0024】
請求項2に記載の本発明によれば、一つの駆動源で第3の型と第2の型との双方を第1の型に接離させることができるので、部品点数の増加を防止でき、端子圧着装置の低コスト化を図ることができる。
【0025】
また、一つの駆動源によって、第2の型と第3の型との双方を第1の型に対して接離させても、第2の型がかしめ片を加締める前に第3の型が電線を加締め片間に圧入できるので、湾曲している加締め片を備えた端子金具に電線を確実に圧着できる。
【0026】
さらに、第2の型が加締め片を加締める際に、第3の型が第1の型から押圧されて付勢手段の付勢力に抗して、第2の型に対してスライドするので、第2の型が加締め片を加締める作業を第3の型が妨げることを防止できる。したがって、端子金具に電線を確実に取り付けることができる。
【0027】
請求項3に記載の本発明によれば、第3の型が電線を加締め片間に圧入するステップと、第2の型が加締め片を加締めるステップとに分けて、第2及び第3の型を段階的に第1の型に近づけることができる。このため、ステップ毎に所望の作業を実施したか否かを把握でき、歩留まりの低下を図ることができ、品質の低下を防止できる。
【0028】
請求項4に記載の本発明によれば、一対の加締め片間に第3の型が電線を圧入できるので、端子金具に電線を確実に圧着できる。
【0029】
請求項5に記載の本発明によれば、第3の型が電線を加締め片間に圧入できたか否かを検出する検出手段を備えているので、電線を圧着端子に圧着する作業の歩留まりが悪化することを防止できる。
【0030】
請求項6に記載の本発明によれば、電線を加締め片で加締めながらも、該電線を圧接部に圧接できるので、加締め片で編組導体をかしめて、圧接部に芯線を圧接することができるので、電線としてのシールド電線を、シールド電線用の端子金具に一度に組み付けることができる。したがって、シールド電線を、該シールド電線用の端子金具に取り付ける作業を一つの工程で実施でき、該作業が増加することを防止できる。
【0031】
請求項7に記載の本発明によれば、湾曲している加締め片間に確実に電線を位置付けることができるので、該端子金具に電線を確実に圧着できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態にかかる端子圧着装置1を、図1ないし図14を参照して説明する。端子圧着装置1は、電線としてのシールド電線2の端末を、端子金具としてのシールド電線用プラグ(以下、単にプラグと記す)3に圧着する(取り付ける)装置である。
【0033】
シールド電線2は、図2に示すように、芯線としての中心導体4と、該中心導体4を被覆した絶縁体5と、該絶縁体5を被覆した編組導体6と、該編組導体6を被覆した外皮としての絶縁シース7と、を備えている。
【0034】
中心導体4は、導電性の金属で構成されて、断面円形の線状に形成されている。絶縁体5は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。編組導体6は、導電性の金属で構成された複数の素線が互いに編まれて、網状に形成されている。絶縁シース7は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。前述した構成のシールド電線2は、その端末において、絶縁シース7と編組導体6と絶縁体5の各々の一部が除去されて、前述した中心導体4と絶縁体5と編組導体6とが露出している。
【0035】
プラグ3は、図12乃至図14に示すように、導電性の金属で構成されたプラグピン8と、絶縁ハウジング9と、導電性の金属で構成された外部コンタクト10とを備えている。
【0036】
プラグピン8は、板金を曲げるなどして形成されている。プラグピン8は、図12及び図14に示すように、電気接触部11と、圧接部12と、を備えている。電気接触部11は、円筒状に形成されており、自動車などに設置されるアンテナの基部などの各種の電子機器内に挿入されて、該電子機器と接続する。
【0037】
圧接部12は、電気接触部11の外表面に連なった断面C字状の本体部13と、該本体部13の内面から立設した圧接刃14とを備えている。圧接刃14には、スリット15が設けられている。スリット15は、圧接刃14の本体部13の開口部寄りの縁から該開口部と圧接刃14とが相対する方向に沿って直線状に延在している。圧接部12は、圧接刃14のスリット15内に中心導体4が圧入されて、該中心導体4(即ち、シールド電線2)が圧接される。このように、圧接部12即ちプラグピン8は、中心導体4と電気的に接続する。
【0038】
絶縁ハウジング9は、絶縁性の合成樹脂で構成されて、円筒状に形成されている。絶縁ハウジング9は、プラグピン8の圧接部12の外周に嵌合する。絶縁ハウジング9は、プラグピン8と、外部コンタクト10とを電気的に絶縁する。
【0039】
外部コンタクト10は、板金を曲げるなどして形成されている。外部コンタクト10は、固定部16と、電線接続部17と、を備えている。
【0040】
固定部16は、円筒状の本体部18と、複数の係止片19とを備えている。本体部18は、絶縁ハウジング9の外周に嵌合するなどして、該絶縁ハウジング9に取り付けられる。係止片19は、一端が本体部18に連なり、該一端から他端が前記プラグピン8の先端から離れる方向に延在している。係止片19は、前記一端から他端に向かうにしたがって徐々に本体部18から離れる方向に湾曲している。係止片19は、前述したアンテナの基部などの電子機器に設けられたプラグ挿入孔の内面に係止して、該プラグ3を前述した電子機器に固定する。
【0041】
電線接続部17は、固定部16の本体部18の外表面の一部に連なった底板20と、編組加締め部21と、シース加締め部22とを備えている。底板20は、平面形状が矩形状に形成されており、一端が固定部16の本体部18に連なっているとともに、該本体部18からプラグピン8から離れる方向に延在している。
【0042】
編組加締め部21は、底板20に重ねられた編組用底板23と、一対の内側加締め片24と、一対の外側加締め片25とを備えている。編組用底板23は、平面形状が矩形状に形成されており、前記底板20に重ねられて該底板20に固定されている。編組用底板23は、特許請求の範囲に記載された底板をなしている。
【0043】
一対の内側加締め片24は、編組用底板23の幅方向の外縁から立設している。内側加締め片24は、図13に示すように、その中央部に、編組用底板23から離れた側の端部が互いに近づく方向に湾曲した湾曲部26が形成されている。一対の内側加締め片24は、特許請求の範囲に記載された一対の加締め片をなしている。
【0044】
一対の外側加締め片25は、底板20の幅方向の外縁から立設しているとともに、内側加締め片24の外側に重ねられた格好で配置されている。即ち、一対の外側加締め片25は、互いの間に一対の内側加締め片24を位置付けている。
【0045】
編組加締め部21は、編組用底板23にシールド電線2の端末から露出した編組導体6が重ねられて、加締め片24,25が底板20,23に近づく方向に曲げられる。編組加締め部21は、加締め片24,25と底板20,23との間にシールド電線2の編組導体6を挟んで、該シールド電線2の編組導体6を加締める。
【0046】
シース加締め部22は、一対のシース加締め片27を備えている。シース加締め片27は、底板20の幅方向の外縁から立設しているとともに、加締め片24,25よりもプラグピン8から離れた位置に配置されている。
【0047】
シース加締め部22は、シース加締め片27が底板20に近づく方向に曲げられる。シース加締め部22は、底板20に重ねられたシールド電線2の絶縁シース7をシース加締め片27と底板20との間に挟んで、シールド電線2の絶縁シース7を加締める。
【0048】
前述した構成の外部コンタクト10は、固定部16の本体部18が絶縁ハウジング9に取り付けられて、編組加締め部21が編組導体6をかしめて、シース加締め部22が絶縁シース7をかしめて、シールド電線2と絶縁ハウジング9との双方に固定される。そして、外部コンタクト10は、シールド電線2の編組導体6と電気的に接続する。
【0049】
前述したプラグ3は、プラグピン8の圧接部12の外周に絶縁ハウジング9が嵌合し、該絶縁ハウジング9の外周に外部コンタクト10の固定部16の本体部18が嵌合して、組み立てられる。そして、プラグ3は、底板20,23の表面に対し直交する方向に沿って、シールド電線2の端末が該底板20,23に近づけられる。すると、シールド電線2の端末で露出した編組導体6が編組加締め部21の一対の内側加締め片24間に位置付けられて、編組用底板23に編組導体6が重ねられた後、前述した加締め片24,25,27が底板20,23に向かって曲げられて編組導体6及び絶縁シース7を加締めるとともに、圧接部12の圧接刃14のスリット15内に中心導体4が圧入される。こうして、プラグ3は、シールド電線2の端末に取り付けられて、前述した電子機器などと接続する。
【0050】
端子圧着装置1は、図1に示すように、装置本体28と、駆動源部29と、アプリケータ30と、電線搬送装置31と、第1センサ32と、検出手段としての第2センサ33と、制御部としての制御装置34を備えている。
【0051】
装置本体28は、底板部35と、該底板部35より立設した立設部36と、立設部36の上縁に連なる天井部37とを備えている。底板部35と、天井部37とは、水平方向に沿って略平坦に形成され、勿論互いに平行に配置されている。
【0052】
駆動源部29は、駆動源としてのサーボモータ38と、リンク機構39とを備えている。サーボモータ38は、図示例では、一つ設けられている。サーボモータ38は、本体部40と、該本体部40に回転自在に設けられた出力軸41とを備えている。サーボモータ38は、後述するクリンパ48と電線圧入型51と位置決め型50とを一体に、アンビル47に接離させるための駆動源である。
【0053】
リンク機構39は、偏心ピン42と、第1リンク棒43と、第2リンク棒44と、スライド体45と、を備えている。偏心ピン42は、円柱状に形成されているとともに、出力軸41の端面から突出している。偏心ピン42の軸芯は、出力軸41の軸芯と間隔をあけて平行に配置されている。即ち、偏心ピン42は、出力軸41と同軸には配置されていなく、該出力軸41に対して偏心している。
【0054】
第1リンク棒43は、一端部が偏心ピン42と回転自在に連結されているとともに、アンビル47とクリンパ48とが最も離れた状態で、その長手方向が鉛直方向と平行に配置されている。第2リンク棒44は、第1リンク棒43と重ねられているとともに、アンビル47とクリンパ48とが最も離れた状態で、その長手方向が鉛直方向と平行に配置されている。第2リンク棒44の一端部と第1リンク棒43の他端部とは、互いに回転自在に連結されている。スライド体45は、鉛直方向に沿って、スライド自在に天井部37に支持されている。スライド体45は、その一部が天井部37から突出している。スライド体45は、第2リンク棒44の他端部と回転自在に連結している。
【0055】
前述した構成のリンク機構39は、サーボモータ38の出力軸41が回転すると、偏心ピン42及びリンク棒43,44などによって、スライド体45を鉛直方向に沿ってスライドさせる。リンク機構39は、サーボモータ38の駆動力によって、スライド体45を鉛直方向に沿ってスライドさせることで、アンビル47とクリンパ48とを互いに接離させる。
【0056】
アプリケータ30は、装置本体28の底板部35に設置されている。アプリケータ30は、図2及び図3に示すように、フレーム46と、第1の型としての下型47(以下アンビルと呼ぶ)と、第2の型としての上型48(以下クリンパと呼ぶ)と、ラム49と、位置決め型50と、第3の型としての電線圧入型51と、電線圧接部としての圧接型52と、を備えている。
【0057】
フレーム46は、側方からみてコ字状に形成されている。フレーム46は、装置本体28の底板部35上に取り付けられる。フレーム46は、アンビルホルダ部53と、上方延在部54と、ラム支持部55と、を備えている。アンビルホルダ部53は、装置本体28の底板部35上に配される。アンビルホルダ部53は、アンビル47を固定する。
【0058】
上方延在部54は、アンビルホルダ部53から上方(天井部37)に向かって延在している。ラム支持部55は、上方延在部54の上端部に連結している。ラム支持部55は、ラム49を昇降(鉛直方向に沿ってスライド)自在に支持する。即ち、ラム支持部55は、アンビル47とクリンパ48とが互いに接離する方向に、ラム49をスライド自在に支持している。
【0059】
アンビル47は、アンビルホルダ部53に固定されて、フレーム46に取り付けられる。アンビル47には、その上にプラグ3が載置される。
【0060】
アンビル47には、底板20が接した状態でプラグ3が載置される。アンビル47上に載置されたプラグ3の加締め片24,25,27は、アンビル47から上方に向かって延在している。
【0061】
ラム49は、方体状に形成されている。ラム49は、ラム支持部55に鉛直方向に沿って昇降自在に支持されている。ラム49は、その長手方向が前記昇降方向即ち鉛直方向に沿っている。ラム49は、その上端部がスライド体45に取り付けられている。即ち、ラム49は、サーボモータ38の駆動力によって、昇降する(アンビル47とクリンパ48とが互いに接離方向に沿ってスライドする)。
【0062】
クリンパ48は、ラム49に取り付けられている。クリンパ48は、アンビル47と鉛直方向に沿って相対して設けられている。クリンパ48は、ラム49がラム支持部55に昇降自在に支持されることによって、アンビル47に接離自在に支持されている。クリンパ48は、鉛直方向に沿って変位して、アンビル47に対し接離する。即ち、クリンパ48がアンビル47に接離するのと連動して、ラム49が昇降する。なお、この接離とは、互いに近づいたり離れることをいう。
【0063】
クリンパ48は、第1のクリンパ48aと、第2のクリンパ48bと、を備えている。第1のクリンパ48a及び第2のクリンパ48bは、アンビル47と鉛直方向に沿って相対向している。第1のクリンパ48aは、アンビル47上のプラグ3の編組加締め部21の加締め片24,25と相対するとともに、ラム49が昇降すると該編組加締め部21の加締め片24,25に対して接離する。第1のクリンパ48aは、編組加締め部21の加締め片24,25に近づいて、該編組加締め部21の加締め片24,25を底板20,23に近づく方向に曲げて、該編組加締め部21の加締め片24,25でシールド電線2の編組導体6を加締める。
【0064】
第2のクリンパ48bは、アンビル47上のプラグ3のシース加締め片27と相対するとともに、ラム49が昇降すると該シース加締め片27に対して接離する。第2のクリンパ48bは、シース加締め片27に近づいて、該シース加締め片27を底板20に近づく方向に曲げて、該シース加締め片27でシールド電線2の絶縁シース7を加締める。
【0065】
位置決め型50は、鉛直方向に沿ってスライド自在にラム49に支持されている。即ち、位置決め型50は、クリンパ48に対してスライド自在に設けられている。位置決め型50は、その一部がラム49からアンビル47に向かって突出した状態に支持され、かつラム49から下方に脱落することが該ラム49などによって規制されている。位置決め型50は、長手方向が鉛直方向と平行な棒状に形成されている。位置決め型50は、付勢手段としてのばね56などによって、アンビル47即ち該アンビル47上のプラグ3に向かって付勢されている。位置決め型50は、アンビル47とクリンパ48とが互いに離れた状態で、クリンパ48a,48bよりもラム49からアンビル47に向かって突出している。
【0066】
また、位置決め型50は、図7に示すように、鉛直方向即ちアンビル47とクリンパ48とが互いに接離する方向に沿って、アンビル47上のプラグ3のプラグピン8と相対している。即ち、位置決め型50は、アンビル47上のプラグ3のプラグピン8に接離する。
【0067】
位置決め型50のアンビル47寄りの先端部には、図7に示すように、位置決め用凹み57が設けられている。位置決め用凹み57は、位置決め型50のアンビル47寄りの先端面から凹に形成されている。位置決め用凹み57は、ラム49が下降してアンビル47とクリンパ48とが互いに近づくと、内側にアンビル47上のプラグ3のプラグピン8を位置付ける。位置決め型50は、ラム49が下降すると、クリンパ48a,48bが加締め片24,25,27を加締める前でかつ電線圧入型51がシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入する前に、位置決め用凹み57内にプラグ3のプラグピン8を位置付けて、該プラグ3のプラグピン8をアンビル47との間に挟む。こうして、位置決め型50は、プラグピン8をアンビル47との間に挟んで、プラグピン8即ちプラグ3を位置決めする。
【0068】
電線圧入型51は、鉛直方向に沿ってスライド自在にラム49に支持されている。即ち、電線圧入型51は、クリンパ48に対してスライド自在に設けられている。電線圧入型51は、その一部がラム49からアンビル47に向かって突出した状態に支持され、かつラム49から下方に脱落することが該ラム49などによって規制されている。電線圧入型51は、付勢手段としてのばね58などによって、アンビル47即ち該アンビル47上のプラグ3に向かって付勢されている。電線圧入型51は、クリンパ48a,48b間に配置されている。電線圧入型51は、アンビル47とクリンパ48とが互いに離れた状態で、該クリンパ48a,48bよりもラム49からアンビル47に向かって突出しているとともに、位置決め型50よりもラム49からアンビル47に向かって突出していない。
【0069】
また、電線圧入型51は、鉛直方向即ちアンビル47とクリンパ48とが互いに接離する方向に沿って、アンビル47上のプラグ3の加締め部21,22間と相対している。即ち、電線圧入型51は、アンビル47上のプラグ3の加締め部21,22間に接離する。
【0070】
電線圧入型51は、図9に示すように、互いに平行に配置された一対の平行部59と、該平行部59同士を連結した連結部60と、電線圧入部61とを備えている。平行部59は、その長手方向が鉛直方向と平行な状態に配置されている。連結部60は、平行部59の下端部同士を連結している。電線圧入部61は、連結部60の中央部に設けられ、該連結部60からアンビル47に向かって突出している。電線圧入部61には、電線位置決め用凹み62が設けられている。電線位置決め用凹み62は、電線圧入部61のアンビル47寄りの縁から凹でかつ断面円弧状に形成されている。電線位置決め用凹み62は、ラム49が下降してアンビル47とクリンパ48とが互いに近づくと、電線搬送装置31の電線チャック69などに保持されたシールド電線2の端末で露出した編組導体6を内側に位置付ける。
【0071】
電線圧入型51は、ラム49が下降すると、前述した電線チャック69などに保持されたシールド電線2の編組導体6をアンビル47上のプラグ3に向かって押圧する。そして、電線圧入型51は、クリンパ48a,48bが加締め片24,25,27を加締める前に、該シールド電線2の編組導体6を編組用底板23に向かって押圧して、一対の内側加締め片24間に圧入する。
【0072】
また、電線圧入型51の一方の平行部59aには、太部63と細部64とが設けられている。太部63と細部64とは、互いに他方の平行部59bと相対する内縁が面一となるように連なっている。勿論、太部63は、細部64よりも幅が広く形成されている。このため、一方の平行部59aには、その外縁を切り欠いた格好の切り欠き部が設けられている。
【0073】
圧接型52は、平板状に形成されているとともに、ラム49に固定されている。圧接型52は、ラム49よりもアンビル47に向かって突出している。圧接型52は、アンビル47と鉛直方向に沿って相対向しているとともに、電線チャック69などに保持されたシールド電線2の端末で露出した中心導体4と鉛直方向に沿って相対している。圧接型52は、アンビル47即ち該アンビル47上のプラグ3の圧接部12と、鉛直方向(アンビル47とクリンパ48とが接離する方向)に沿って相対しているとともに、該圧接部12との間にシールド電線2の中心導体4を位置付ける。
【0074】
圧接型52は、ラム49が昇降すると、プラグ3の圧接部12に接離する。圧接型52は、クリンパ48などと共にアンビル47に近づいて、電線チャック69に保持されたシールド電線2の中心導体4を、圧接部12の圧接刃14のスリット15内に圧入して、該圧接部12に中心導体4を圧接部12に圧接する。
【0075】
前述した構成によって、アプリケータ30は、サーボモータ38の駆動力によって、アンビル47とクリンパ48とを互いに近づけて、まず、位置決め型50でアンビル47上のプラグ3を位置決めする。そして、アプリケータ30は、サーボモータ38の駆動力によって、アンビル47とクリンパ48とを更に互いに近づけて、電線搬送装置31の電線チャック69などに挟まれたシールド電線2の編組導体6を電線圧入型51で編組用底板23に向かって押圧して、編組加締め部21の一対の内側加締め片24間に圧入する。
【0076】
その後、アプリケータ30は、サーボモータ38の駆動力によって、アンビル47とクリンパ48とを更に互いに近づけて、圧接型52でシールド電線2の中心導体4を圧接部12の圧接刃14のスリット15内に圧入するとともに、クリンパ48a,48bで加締め片24,25,27を底板20,23に向かって曲げて、プラグ3にシールド電線2の編組導体6と絶縁シース7とを加締める。こうして、アプリケータ30は、サーボモータ38の駆動力によって、アンビル47とクリンパ48とを互いに近づけて、これらの間にプラグ3及びシールド電線2の端末を挟み込んで、プラグ3とシールド電線2の端末とを互いに圧着する。
【0077】
このとき、勿論、第1のクリンパ48aは、編組加締め部21の加締め片24,25を底板20,23に向かって曲げて、該加締め片24,25でシールド電線2の編組導体6をかしめる。第2のクリンパ48bは、シース加締め片27を底板20に向かって曲げて、シース加締め片27でシールド電線2の絶縁シース7をかしめる。
【0078】
なお、クリンパ48a,48bそれぞれとアンビル47との間の間隔は、プラグ3と該プラグ3に圧着されるシールド電線2の外径等に応じて変化する。例えば、比較的大きな外径のシールド電線2を圧着する際には、前記クリンパ48a,48bそれぞれとアンビル47との間の間隔は比較的大きくなり、比較的小さな外径のシールド電線2を圧着する際には、前記クリンパ48a,48bそれぞれとアンビル47との間の間隔は比較的小さくなる。
【0079】
電線搬送装置31は、図2に示すように、立設板65と、リニアガイド66と、図示しないスライド用駆動源と、昇降シリンダ67と、チャックシリンダ68と、一対の電線チャック69とを備えている。
【0080】
立設板65は、装置本体28の底板部35から立設した格好に配置されている。リニアガイド66は、レール70と、スライダ71と、を備えている。レール70は、直線状に延在している。レール70は、立設板65に取り付けられている。レール70の長手方向は、水平方向と平行である。スライダ71は、レール70に該レール70の長手方向に沿ってスライド自在に支持されている。スライド用駆動源は、スライダ71をレール70の長手方向に沿って移動させる。
【0081】
昇降シリンダ67は、シリンダ本体72と、該シリンダ本体72から突没自在に設けられたロッド73とを備えている。シリンダ本体72は、リニアガイド66のスライダ71に取り付けられている。シリンダ本体72は、該シリンダ本体72から突出するロッド73が鉛直方向に沿って下方に向かう状態で、スライダ71に取り付けられている。
【0082】
チャックシリンダ68は、シリンダ本体74と、一対のチャックロッド75とを備えている。シリンダ本体74は、昇降シリンダ67のロッド73に取り付けられている。チャックロッド75は、それぞれ直線状に延在しており、互いに平行に配置されている。チャックシリンダ68は、一対のチャックロッド75を互いに接離する。チャックシリンダ68は、シリンダ本体74から一対のチャックロッド75が下方に向かって延在し、かつチャックロッド75の長手方向がそれぞれ鉛直方向に沿う状態に配置されている。電線チャック69は、それぞれ、チャックロッド75に取り付けられている。一対の電線チャック69は、チャックシリンダ68によって互いに接離するとともに、互いの間にシールド電線2の絶縁シース7を挟む。
【0083】
前述した構成の電線搬送装置31は、リニアガイド66のレール70の長手方向に沿ってチャックシリンダ68などが移動し、かつ昇降シリンダ67のロッド73が伸縮するとともに、チャックシリンダ68の一対のチャックロッド75が互いに接離して、図示しない竿に保持された端末の絶縁シース7や編組導体6などの一部が除去されたシールド電線2を電線チャック69間に挟む。そして、電線搬送装置31は、リニアガイド66のレール70の長手方向に沿ってチャックシリンダ68などが移動して、竿からシールド電線2をアプリケータ30まで搬送する。そして、電線搬送装置31は、電線チャック69間に挟んだ(チャックした)シールド電線2の端末をアンビル47上のプラグ3の上方に位置付ける。このように、電線搬送装置31は、図示しない竿などからアプリケータ30にシールド電線2を1本づつ搬送する。
【0084】
第1センサ32は、図7に示すように、アンビル47に取り付けられている。第1センサ32は、図示例では、近接スイッチであり、アンビル47上に位置決め型50が位置しているか否かを検出する。第1センサ32は、位置決め型50が位置決め用凹み57内にプラグ3を位置付けてアンビル47に当接すると、該位置決め型50の存在を検出する。第1センサ32は、位置決め型50が位置決め用凹み57内にプラグ3を位置付けることなく該位置決め型50がアンビル47と間隔をあけると、該位置決め型50の存在を検出しない。このように、第1センサ32は、位置決め型50の存在を検出するか否かで、該位置決め型50が、位置決め用凹み57内にプラグ3を位置づけて、該プラグ3をアンビル47上に位置決めしたか否か検出する。
【0085】
第2センサ33は、図9に示すように、装置本体28に設けられたセンサ取付部79に取り付けられている。センサ取付部79は、装置本体28に固定されており、電線圧入型51の太部63と細部64とが設けられた即ち前述した切り欠き部が設けられた一方の平行部59aと、アンビル47上に位置付けられるプラグ3の径方向に沿って、並設されている。
【0086】
即ち、第2センサ33は、電線圧入型51の前述した一方の平行部59aと、プラグ3即ちシールド電線2の径方向に沿って、並設されている。また、第2センサ33は、鉛直方向(アンビル47とクリンパ48とが互いに接離する方向)に沿って、最もアンビル47から離れた電線圧入型51とアンビル47との間に配置されている。
【0087】
第2センサ33は、図示例では、近接スイッチであり、シールド電線2の編組導体6を編組加締め部21の一対の内側加締め片24間に圧入した位置に電線圧入型51が位置しているか否かを検出する。第2センサ33は、電線圧入型51が電線位置決め用凹み62内に位置付けたシールド電線2の編組導体6が一対の内側加締め片24間に位置すると、該電線圧入型51の一方の平行部59aの太部63と相対して、該太部の存在を検出する。
【0088】
第2センサ33は、電線圧入型51が電線位置決め用凹み62内に位置付けたシールド電線2の編組導体6が一対の内側加締め片24間に位置せずに一方の内側加締め片24上などに乗り上げると、該電線圧入型51の一方の平行部59aの細部64と相対して太部63の存在を検出しない。このように、第2センサ33は、電線圧入型51の太部63の存在を検出するか否かで、該電線圧入型51が、シールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入できたか否か検出する。
【0089】
制御装置34は、周知のROMと、RAMと、CPUとを備えたコンピュータであって、前述した駆動源部29のサーボモータ38とセンサ32,33などと接続して、これらを制御することにより、端子圧着装置1全体の制御を司る。
【0090】
ROMは、CPU即ち端子圧着装置1の動作プログラムなどを記憶している。RAMは、CPUの演算実行時に必要なデータを一時的に保持する。CPUは、ROMに記載された動作プログラム通りに端子圧着装置1を動作させる。まず、CPUは、シールド電線2の端末にプラグ3を圧着する際には、サーボモータ38を駆動して、位置決め型50が位置決め用凹み57内にプラグ3を位置付けてアンビル47に当接する位置まで、ラム49をアンビル47に向かって移動させる。
【0091】
そして、CPUは、第1センサ32から位置決め型50の存在を検出したことを示す情報が入力すると、更に、サーボモータ38を駆動して、ラム49をアンビル47に近づける。また、CPUは、第1センサ32から位置決め型50の存在を検出したことを示す情報が入力しないと、サーボモータ38を停止して、位置決め型50がプラグ3を位置決めしていないことを示す(異常を示す)情報を、制御装置34に接続した出力装置に向かって出力する。そして、CPUは、出力装置に位置決め型50がプラグ3を位置決めしていないことを示す(異常を示す)情報を出力させる。
【0092】
CPUは、更に、サーボモータ38を駆動して、電線圧入型51が電線位置決め用凹み62内位置付けたシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入できる位置まで、ラム49をアンビル47に向かって移動させる。
【0093】
そして、CPUは、第2センサ33から電線圧入型51の一方の平行部59aの太部63の存在を検出したことを示す情報が入力すると、更に、サーボモータ38を駆動して、ラム49をアンビル47に近づける。また、CPUは、第2センサ33から電線圧入型51の一方の平行部59aの太部63の存在を検出したことを示す情報が入力しないと、サーボモータ38を停止して、電線圧入型51がシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入していないことを示す(異常を示す)情報を、前述した出力装置に向かって出力する。そして、CPUは、出力装置に電線圧入型51がシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入していないことを示す(異常を示す)情報を出力させる。
【0094】
CPUは、更に、サーボモータ38を駆動して、アンビル47とクリンパ48とが加締め片24,25,27を曲げて、該プラグ3にシールド電線2の端末を圧着させる。そして、CPUは、サーボモータ38を駆動して、アンビル47とクリンパ48とを互いに離す。こうして、CPUは、サーボモータ38を電線圧入型51が一対の内側加締め片24間にシールド電線2の編組導体6を圧入するステップと、クリンパ48が加締め片24,25,27を加締めるステップとに段階的に駆動して、アンビル47とクリンパ48及び電線圧入型51などとを段階的に近づける。
【0095】
次に、前述した構成の端子圧着装置1がプラグ3にシールド電線2の端末を圧着する工程を説明する。まず、図2及び図3に示すように、サーボモータ38によって、アンビル47とクリンパ48とを最も離しておくとともに、アンビル47上にプラグ3を一つ位置付けておく。このとき、プラグピン8の本体部13の開口部即ち圧接部12を圧接型52に相対させるとともに、編組加締め部21の加締め片24,25を第1のクリンパ48aに相対させ、シース加締め部22のシース加締め片27を第2のクリンパ48bに相対させる。また、電線搬送装置31が、竿などから取り外した一本のシールド電線2の端末をアンビル47とクリンパ48との間に位置付けておく。さらに、このとき、図7に示すように、位置決め型50が、アンビル47上のプラグ3と間隔をあけて相対しているとともに、図9に示すように、電線圧入型51がアンビル47上のプラグ3と間隔をあけて相対している。
【0096】
そして、制御装置34のCPUが、アプリケータ30のサーボモータ38を動作させて、アンビル47とクリンパ48とを徐々に互いに近づける。すると、位置決め型50がアンビル47上のプラグ3に徐々に近づいて、位置決め用凹み57内に該プラグ3を徐々に侵入させる。そして、図4及び図8に示すように、位置決め用凹み57内にプラグ3を位置付けて、アンビル47に当接して、位置決め型50がアンビル47上にプラグ3を位置決めする。すると、第1センサ32が、位置決め型50がアンビル47上にプラグ3を位置決めしたことを検出して、制御装置34のCPUが、更に、サーボモータ38を駆動して、アンビル47とクリンパ48とを互いに近づける。
【0097】
また、位置決め用凹み57内にプラグ3を位置付けることなく、該プラグ3を位置決め型50とアンビル47との間に挟むと、位置決め型50がプラグ3をアンビル47上に位置決めした状態よりもラム49に向かって押圧されて、該ラム49内に没する。すると、位置決め型50がアンビル47上にプラグ3を位置決めしていないことを第1センサ32が検出して、制御装置34のCPUが、サーボモータ38を停止する。さらに、制御装置34のCPUが、出力装置にアンビル47上にプラグ3を位置決めしていないことを示す情報を出力させる。
【0098】
第1センサ32が、位置決め型50がアンビル47上にプラグ3を位置決めしたことを検出すると、図4に示すように、電線圧入型51が電線位置決め用凹み62内に電線チャック69間に保持されたシールド電線2の編組導体6を位置付けて、シールド電線2の編組導体6と当接する。そして、制御装置34のCPUが、図5及び図10に示すように、更にサーボモータ38を駆動して、電線圧入型51でシールド電線2の編組導体6を、編組用底板23に向かって押圧するとともに、編組加締め部21の一対の内側加締め片24間に圧入する。
【0099】
すると、第2センサ33が、電線圧入型51の一方の平行部59aの太部63を検出せずに、該電線圧入型51がシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入したことを検出する。そして、制御装置34のCPUが、更に、サーボモータ38を駆動して、アンビル47とクリンパ48とを互いに近づける。
【0100】
また、電線位置決め用凹み62内にシールド電線2の編組導体6を位置付けることなく、図11に示すように、編組導体6が一方の内側加締め片24上に乗り上げて、該一方の内側加締め片24との間にシールド電線2の編組導体6を挟むと、電線圧入型51が編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入した状態よりもラム49に向かって押圧されて、該ラム49内に没する。すると、第2センサ33が電線圧入型51の一方の平行部59aの太部63を検出して、電線圧入型51がシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入していないことを第2センサ33が検出して、制御装置34のCPUが、サーボモータ38を停止する。さらに、制御装置34のCPUが、出力装置に電線圧入型51がシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入していないことを示す情報を出力させる。
【0101】
また、電線圧入型51がシールド電線2の編組導体6を一対の内側加締め片24間に圧入する際に、圧接型52がシールド電線2の中心導体4を圧接部12に向かって押圧する。第2センサ33が、電線圧入型51が一対の内側加締め片24間にシールド電線2の編組導体6を圧入したことを検出して、制御装置34のCPUが、更にサーボモータ38を駆動すると、図6に示すように、クリンパ48a,48bが加締め片24,25,27を加締めるとともに、圧接型52が圧接部12の圧接刃14のスリット15内に中心導体4を圧入する。
【0102】
こうして、前述した端子圧着装置1は、シールド電線2の端末にプラグ3を圧着する。端子圧着装置1の制御装置34のCPUは、シールド電線2の端末にプラグ3を圧着した後に、サーボモータ38を制御して、アンビル47とクリンパ48とを互いに離す。そして、アンビル47上に次のプラグ3を位置付けるとともに、電線搬送装置31が次のシールド電線2の端末を竿などからアプリケータ30に搬送して、次のシールド電線2の端末に次のプラグ3を圧着する。
【0103】
なお、前述した位置決め型50は、アンビル47上にプラグ3を位置決めしてからクリンパ48a,48bが加締め片24,25,27を加締める間は、ラム49内に没する方向にスライドして、該クリンパ48a,48bが加締め片24,25,27を加締めることなどを妨げない(許容する)。さらに、前述した電線圧入型51は、一対の内側加締め片24間にシールド電線2の編組導体6を圧入してからクリンパ48a,48bが加締め片24,25,27を加締める間は、ラム49内に没する方向にスライドして、該クリンパ48a,48bが加締め片24,25,27を加締めることなどを妨げない(許容する)。
【0104】
本実施形態によれば、クリンパ48が加締め片24,25,27を加締める前にシールド電線2を編組用底板23に向かって押圧して、一対の内側加締め片24間に圧入する電線圧入型51を備えているので、湾曲している内側加締め片24間に確実にシールド電線2を圧入できる。したがって、プラグ3にシールド電線2を確実に圧着できる。クリンパ48が加締め片24,25,27を加締める前にシールド電線2を編組用底板23に向かって押圧するので、圧接と圧着とを同時に行うことができる。
【0105】
さらに、電線圧入型51が編組用底板23に向かってシールド電線2を押圧するので、シールド電線2とプラグ3とが、該シールド電線2の長手方向に沿って、相対的に位置ずれすることを防止できる。このため、シールド電線2とプラグ3とを所望の位置関係に保った状態で、該シールド電線2をプラグ3に確実に圧着できる。したがって、所望の品質のシールド電線2付きのプラグ3を得ることができる。
【0106】
電線圧入型51がクリンパ48に対してスライド自在に設けられているので、一つのサーボモータ38で、電線圧入型51とクリンパ48との双方をアンビル47に接離させることができる。したがって、端子圧着装置1の部品点数の増加を防止でき、該端子圧着装置1の低コスト化を図ることができる。
【0107】
また、電線圧入型51がばね58によってクリンパ48よりもアンビル47に向かって突出しているので、一つのサーボモータ38によって、クリンパ48と電線圧入型51との双方をアンビル47に対して接離させても、クリンパ48が加締め片24,25,27を加締める前に電線圧入型51がシールド電線2を一対の内側加締め片24間に圧入できる。したがって、湾曲している内側加締め片24を備えたプラグ3にシールド電線2を確実に圧着できる。
【0108】
さらに、電線圧入型51がクリンパ48に対してスライド自在に設けられかつばね58によって付勢されているので、クリンパ48が内側加締め片24を加締める際に、電線圧入型51がアンビル47から押圧されてばね58の付勢力に抗して、クリンパ48に対してスライドする。このため、クリンパ48が内側加締め片24を加締める作業を、電線圧入型51が妨げることを防止できる。したがって、プラグ3にシールド電線2を確実に取り付けることができる。
【0109】
クリンパ48と電線圧入型51とを移動させるための駆動源として、サーボモータ38を用いているので、クリンパ48がシールド電線2を内側加締め片24間に圧入するステップと、クリンパ48が内側加締め片24を加締めるステップとに分けて、クリンパ48と電線圧入型51を段階的にアンビル47に近づけることができる。このため、ステップ毎に所望の作業を実施したか否かを把握でき、シールド電線2付きのプラグ3の歩留まりの低下を図ることができ、該シールド電線2付きのプラグ3の品質の低下を防止できる。
【0110】
電線圧入型51がシールド電線2を内側加締め片24間に圧入する前に、プラグ3を位置決めする位置決め型50を備えているので、位置決めしたプラグ3の一対の内側加締め片24間に電線圧入型51がシールド電線2を確実に圧入できる。したがって、プラグ3にシールド電線2を確実に圧着できる。
【0111】
電線圧入型51がシールド電線2を内側加締め片24間に圧入できたか否かを検出する第2センサ33を備えているので、圧着不良となる前に作業を一時的に停止させることができ、シールド電線2をプラグ3に圧着する作業の歩留まりが悪化することを防止できる。
【0112】
圧接型52がシールド電線2の中心導体4をプラグ3の圧接部12に圧接可能であるので、シールド電線2を加締め片24,25,27で加締めながらも、該シールド電線2の中心導体4を圧接部12に圧接できる。
【0113】
シールド電線2を、シールド電線2用のプラグ3に一度で組み付けることができる。したがって、シールド電線2を、該シールド電線2用のプラグ3に取り付ける作業を一つの工程で実施でき、該作業が増加することを防止できる。
【0114】
前述した実施形態によれば、下記の端子圧着方法が得られる。
【0115】
底板23から立設した一対の加締め片24に該一対の加締め片24の前記底板23から離れた側の端部同士が近づく方向に湾曲した湾曲部26が形成された端子金具3の前記加締め片24を、表面上に前記端子金具3が位置付けられる第1の型47と第2の型48とを互いに近づけて、前記底板23に向かって曲げて電線2を加締める端子圧着方法において、前記第1の型47の表面上の前記端子金具3を位置決めした後、前記一対の加締め片24間に前記電線を圧入してから、前記第1の型47と前記第2の型48とを互いに近づけて、前記加締め片24で前記電線2を加締めることを特徴とする端子圧着方法。
【0116】
前述した実施形態では、圧接部12を備えたプラグ3に中心導体4を備えたシールド電線2の端末を圧着している。しかしながら、本発明では、編組導体6や中心導体4を備えていない通常の被覆電線の端末に、圧接部を備えていない通常の圧着端子を圧着しても良い。
【0117】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の一実施形態にかかる端子圧着装置の構成を一部断面で示す側面図である。
【図2】図1に示された端子圧着装置のアプリケータなどを一部断面で示す側面図である。
【図3】図2に示されたアプリケータの要部を一部断面で示す側面図である。
【図4】図3に示されたアプリケータの位置決め型がプラグをアンビル上に位置決めした状態を一部断面で示す側面図である。
【図5】図4に示されたアプリケータの電線圧入型がシールド電線の編組導体を一対の内側加締め片間に圧入した状態を一部断面で示す側面図である。
【図6】図5に示されたアプリケータのクリンパが加締め片を加締め圧接型が中央導体を圧接部に圧接した状態を一部断面で示す側面図である。
【図7】図3に示された状態のアプリケータの位置決め型とアンビルとの相対的な位置関係などを示す説明図である。
【図8】図4に示された状態のアプリケータの位置決め型とアンビルとの相対的な位置関係などを示す説明図である。
【図9】図3に示された状態のアプリケータの電線圧入型とアンビルとの相対的な位置関係などを示す説明図である。
【図10】図5に示された状態のアプリケータの電線圧入型とアンビルとの相対的な位置関係などを示す説明図である。
【図11】図3に示されたアプリケータの電線圧入型が一対の内側加締め片間に圧入できなかった状態を示す説明図である。
【図12】図1に示された端子圧着装置によって、互いに圧着されるプラグとシールド電線の端末などを示す斜視図である。
【図13】図12中のXIII―XIII線に沿う断面図である。
【図14】図12中のXIV―XIV線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0119】
1 端子圧着装置
2 シールド電線(電線)
3 シールド電線用プラグ(端子金具)
12 圧接部
23 編組用底板(底板)
24 内側加締め片(加締め片)
26 湾曲部
33 第2センサ(検出手段)
38 サーボモータ(駆動源)
47 アンビル(第1の型)
48 クリンパ(第2の型)
50 位置決め型
51 電線圧入型(第3の型)
52 圧接型
56,58 ばね(付勢手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板から立設した一対の加締め片に該一対の加締め片の前記底板から離れた側の端部同士が近づく方向に湾曲した湾曲部が形成された端子金具の前記加締め片を前記底板に向かって曲げて電線を加締める端子圧着装置において、
表面上に前記端子金具が位置付けられる第1の型と、
前記第1の型と相対し、かつ第1の型に接離自在に設けられているとともに、前記第1の型に近づいて、前記加締め片を加締める第2の型と、
前記第1の型と相対し、かつ第1の型に接離自在に設けられているとともに、前記第2の型が前記加締め片を加締める前に第1の型に近づいて、前記電線を前記底板に向かって押圧して前記一対の加締め片間に圧入する第3の型と、を備えたことを特徴とする端子圧着装置。
【請求項2】
前記第3の型は、前記第1の型と前記第2の型とが互いに接離する方向に沿ってスライド自在に設けられ、かつ付勢手段によって前記第1の型に向かって付勢されているとともに、前記第1の型から離れた状態で前記第2の型よりも前記第1の型に向かって突出していることを特徴とする請求項1記載の端子圧着装置。
【請求項3】
前記第2の型と前記第3の型とを一体に前記第1の型に接離させる駆動源を備え、
前記駆動源が、サーボモータであることを特徴とする請求項2記載の端子圧着装置。
【請求項4】
前記第1の型と前記第2の型とが互いに接離する方向に沿ってスライド自在に設けられ、かつ付勢手段によって前記第1の型に向かって付勢されているとともに、前記第3の型が前記電線を前記加締め片間に圧入する前に前記第1の型に近づいて該第1の型との間に前記端子金具を挟んで、該端子金具を位置決めする位置決め型を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置。
【請求項5】
前記第3の型が前記電線を前記一対の加締め片間に圧入したか否かを検出する検出手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置。
【請求項6】
前記端子金具は、前記電線が圧接される圧接部を更に備えており、
前記電線を前記圧接部に向かって押圧して、該電線を前記圧接部に圧接する電線圧接部を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置。
【請求項7】
底板から立設した一対の加締め片に該一対の加締め片の前記底板から離れた側の端部同士が近づく方向に湾曲した湾曲部が形成された端子金具の前記加締め片を、表面上に前記端子金具が位置付けられる第1の型と第2の型とを互いに近づけて、前記底板に向かって曲げて、電線を加締める端子圧着方法において、
前記第1の型の表面上の前記端子金具を位置決めした後、前記一対の加締め片間に前記電線を圧入してから、前記第1の型と前記第2の型とを互いに近づけて、前記加締め片で前記電線を加締めることを特徴とする端子圧着方法。
【請求項1】
底板から立設した一対の加締め片に該一対の加締め片の前記底板から離れた側の端部同士が近づく方向に湾曲した湾曲部が形成された端子金具の前記加締め片を前記底板に向かって曲げて電線を加締める端子圧着装置において、
表面上に前記端子金具が位置付けられる第1の型と、
前記第1の型と相対し、かつ第1の型に接離自在に設けられているとともに、前記第1の型に近づいて、前記加締め片を加締める第2の型と、
前記第1の型と相対し、かつ第1の型に接離自在に設けられているとともに、前記第2の型が前記加締め片を加締める前に第1の型に近づいて、前記電線を前記底板に向かって押圧して前記一対の加締め片間に圧入する第3の型と、を備えたことを特徴とする端子圧着装置。
【請求項2】
前記第3の型は、前記第1の型と前記第2の型とが互いに接離する方向に沿ってスライド自在に設けられ、かつ付勢手段によって前記第1の型に向かって付勢されているとともに、前記第1の型から離れた状態で前記第2の型よりも前記第1の型に向かって突出していることを特徴とする請求項1記載の端子圧着装置。
【請求項3】
前記第2の型と前記第3の型とを一体に前記第1の型に接離させる駆動源を備え、
前記駆動源が、サーボモータであることを特徴とする請求項2記載の端子圧着装置。
【請求項4】
前記第1の型と前記第2の型とが互いに接離する方向に沿ってスライド自在に設けられ、かつ付勢手段によって前記第1の型に向かって付勢されているとともに、前記第3の型が前記電線を前記加締め片間に圧入する前に前記第1の型に近づいて該第1の型との間に前記端子金具を挟んで、該端子金具を位置決めする位置決め型を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置。
【請求項5】
前記第3の型が前記電線を前記一対の加締め片間に圧入したか否かを検出する検出手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置。
【請求項6】
前記端子金具は、前記電線が圧接される圧接部を更に備えており、
前記電線を前記圧接部に向かって押圧して、該電線を前記圧接部に圧接する電線圧接部を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいずれか一項に記載の端子圧着装置。
【請求項7】
底板から立設した一対の加締め片に該一対の加締め片の前記底板から離れた側の端部同士が近づく方向に湾曲した湾曲部が形成された端子金具の前記加締め片を、表面上に前記端子金具が位置付けられる第1の型と第2の型とを互いに近づけて、前記底板に向かって曲げて、電線を加締める端子圧着方法において、
前記第1の型の表面上の前記端子金具を位置決めした後、前記一対の加締め片間に前記電線を圧入してから、前記第1の型と前記第2の型とを互いに近づけて、前記加締め片で前記電線を加締めることを特徴とする端子圧着方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−280792(P2007−280792A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106027(P2006−106027)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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