説明

端末装置、サーバ装置及び通信機器設置位置管理方法

【課題】如何なる設置場所に通信機器が設置された場合であっても、通信機器の設置位置の登録を人手を要することなく迅速かつ適切に行えるようにし、これにより通信機器が故障した時等の設置位置特定を容易に行い得る端末装置、サーバ装置及び通信機器設置位置管理方法を提供する。
【解決手段】携帯端末MTにおいて、まずIP−PBX機器BTAの設置位置でQRコードが入力された場合に、例えばGPS衛星STからの信号を受信できるか否かを判定し、GPS衛星STからの信号を受信できない場合に、ネットワークNW上のサイトからIP−PBX機器BTA周辺の地図情報を取得し、この位置情報とQRコードとを含む位置登録要求をネットワークNW及びサービス提供センタSCを介してメンテナンスセンタMCへ送信するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばIP(Internet Protocol)−PBX(Private Branch Exchange)といった通信機器に対し保守サービスを行う際に使用する通信機器設置位置管理方法、及びこの方法を実行する端末装置及びサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを介して、双方向に画像や音声をパケットデータとして、リアルタイムに送受信するIP電話システムが普及し始めている。このIP電話システムでは、インターネットに接続される各IP−PBXごとに内線間通信や外線発着信を行えることは勿論のこと、インターネットを経由したIP−PBX間での内線通信や外線発着信を行うことができる。
【0003】
ところで、上記IP−PBXにおいて、機器設置の動作確認やメンテナンスをインターネット等の通信ネットワークを介して遠隔で実施できることが望まれている。なお、近年では、異なる場所に設置された複数台のIP−PBXに対して、機器のデータ設定などの運用や設定変更のメンテナンスを遠隔で容易に行えるようになっている。
【0004】
ところが、機器の故障発生を遠隔で検出できても、設置時に設置した機器の位置情報が明確にできなかったり、設置場所を間違えた場合、機器の設置場所の特定に工数が発生し、故障修理までの時間短縮ができないばかりかメンテナンスへのサービス低下とコストアップにつながる。
【0005】
なお、従来では、プリンタにGPS(Global Positioning System)受信機を備え、プリンタがパーソナル・コンピュータに接続されるとGPS受信機で得られる位置情報を送信し、メンテナンスセンタのサーバへ送信する手法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−195509公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記手法では、プリンタといった電子機器にGPS受信機を別途接続する必要があるためコストアップを招き、また建物内や地下等といったGPS信号を受信できない設置場所では位置情報をメンテナンスセンタへ送信することができない。
【0007】
そこで、この発明の目的は、如何なる設置場所に通信機器が設置された場合であっても、通信機器の設置位置の登録を人手を要することなく迅速かつ適切に行えるようにし、これにより通信機器が故障した時等の設置位置特定を容易に行い得る端末装置、サーバ装置及び通信機器設置位置管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明に係る端末装置は、通信機器に対し通信ネットワークを介して接続されかつ当該通信機器に対する保守業務を行うセンタに対し、通信ネットワークを介して接続可能で、既知の測位システムを利用して自己の位置情報を取得する第1の位置情報取得手段を備える端末装置において、通信機器の設置位置で当該通信機器を特定する機器識別情報が入力されかつ第1の位置情報取得手段で位置情報を得ることが不可能なとき、測位システムとは別のシステムにより自己の位置情報を取得する第2の位置情報取得手段と、通信ネットワークに接続可能となるとき、センタにて機器識別情報と位置情報とを対応付けて管理させるべく、機器識別情報及び位置情報を含む設定登録要求を通信ネットワークを介してセンタへ送信する送信手段とを備えるようにしたものである。
【0009】
また、通信機器に対し通信ネットワークを介して接続されかつ当該通信機器に対する保守業務を行うセンタに備えられるメンテナンスサーバ装置において、通信ネットワークに接続される端末装置から通信ネットワークを介して到来し、通信機器を特定する機器識別情報及び通信機器の設置位置情報を含む設定登録要求を受信する受信手段と、この受信手段で得られる設定登録要求に含まれる機器識別情報と設置位置情報とを対応付けて記憶する記憶手段とを備えるようにしたものである。
【0010】
この構成によれば、まず通信機器の設置位置で通信機器の機器識別情報が入力された場合に、例えばGPSにより位置情報が得られるか否かを判定し、GPSにより位置情報が得られない場合に、GPS以外のシステムを利用して位置情報を取得し、この位置情報と機器識別情報とを含む設定登録要求を通信ネットワークを介してセンタへ送信するようにしている。すなわち、位置情報の取得からセンタにおける機器識別情報と位置情報とを対応付けた管理までの工程が、人手を要することなく全て通信ネットワークを介して自動的に行われることになる。
【0011】
従って、如何なる設置場所に通信機器が設置された場合であっても、端末装置のユーザにとっては端末装置に備えられているGPS以外の位置情報取得機能を利用してセンタへの通信機器の設置位置登録を人手を要することなく行うことが可能となり、一方センタにとってはメンテナンス時の部品交換や故障診断の機器の位置情報を速やかに特定することが可能となる。
【0012】
第2の位置情報取得手段は、通信ネットワークを介して通信機器周辺の地図情報を取得してユーザに提示し、この提示に対しユーザが地図上の位置を指定入力した場合に位置情報を生成する。
【0013】
この構成によれば、通信ネットワークを介して通信機器周辺の地図情報が取得されるごとにユーザが地図情報を見て通信機器の設置位置を指示することができ、これによりGPSで位置情報が取得できなくても通信ネットワーク上のサイトからの地図情報を利用してメンテナンスセンタへの通信機器の設置位置登録を人手を要することなく行うことが可能となる。
【0014】
第2の位置情報取得手段は、第1の位置情報取得手段で位置情報が得られなくなった時点から機器識別情報が入力される時点までの時間と、端末装置本体の移動方向及び移動速度とに基づいて、位置情報を生成する。
【0015】
この構成によれば、端末装置本体の移動方向及び移動速度の検出結果を利用して端末装置の位置情報が検出されるので、その他の位置情報取得手段を設ける必要がなくこれによってもセンタへの通信機器の設置位置登録を人手を要することなく行うことが可能となる。
【0016】
第2の位置情報取得手段で位置情報が得られないとき、通信機器の設置位置を入力させるためのガイダンス情報をユーザに提示する提示手段をさらに備え、送信手段は、提示手段による提示に対しユーザがガイダンス情報に基づいて設置位置を入力し、かつ通信ネットワークに接続可能となるとき、設定登録要求を通信ネットワークを介してセンタへ送信する。
【0017】
この構成によれば、万一、第2の位置情報取得手段で位置情報が得られないときは、位置情報取得処理を終了することなく、通信機器の設置位置を入力させるためのガイダンス情報がユーザに提示されることになるので、ユーザは分かりやすい画面で通信機器の設置位置情報を入力することができ、これにより位置情報の生成に要する手間を軽減することができるとともに、如何なる設置場所であっても簡単な操作でセンタに対する設定登録要求を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上詳述したようにこの発明によれば、如何なる設置場所に通信機器が設置された場合であっても、通信機器の設置位置の登録を人手を要することなく迅速かつ適切に行えるようにし、これにより通信機器が故障した時等の設置位置特定を容易に行い得る端末装置、サーバ装置及び通信機器設置位置管理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明に係わる通信機器設置位置管理方法の第1の実施形態を実施するための通信システムの概略構成図であり、CMA,CMBはユーザシステム、SCは交換機メーカのサービス提供センタ、MCは交換機メーカのメンテナンスセンタ、MTAは携帯端末をそれぞれ示している。このうち携帯端末MTAは、交換機メーカの保守担当者が携帯することにより使用される。
【0020】
このシステムは、サービスエリアに分配配置された複数の基地局BSを備えている。なお、同図では説明の簡単なため1つの基地局BSのみを示している。基地局BSはセルと呼ばれる無線エリアを形成し、この無線エリア内に存在する携帯端末MTAに対し無線回線を介して接続される。
【0021】
また、基地局BSは電話・携帯電話公衆網、インターネットを含むネットワークNWに接続される。このネットワークNW上には、ユーザシステムCMB、サービス提供センタSC及びメンテナンスセンタMCが接続されている。
【0022】
ユーザシステムCMAは、IP−PBX機器BTAを備えている。IP−PBX機器BTAは、発着信に応じて複数の電話端末(図示せず)相互間及びこれら電話端末と図示しない公衆網の加入者線との間を交換接続する機能を有する。このIP−PBX機器BTAは、専用線PNを介してメンテナンスセンタMCに接続される。
【0023】
ユーザシステムCMBも、上記ユーザシステムCMAと同様に、IP−PBX機器BTBを備えている。このIP−PBX機器BTBは、ネットワークNWを介してサービス提供センタSC及びメンテナンスセンタMCに接続される。
【0024】
サービス提供センタSCは、位置登録サーバPSVを備えている。位置登録サーバPSVは、ネットワークNWに接続され、携帯端末MTAとの間で、IP−PBX機器BTA,BTBの設置位置登録に関する情報の通信を行なう。また、位置登録サーバPSVは、携帯端末MTから受信したIP−PBX機器BTA,BTBの設置位置登録要求をネットワークNWを介してメンテナンスセンタMCへ転送する。
【0025】
メンテナンスセンタMCは、メンテナンスサーバMSVと、ルータRTとを備える。メンテナンスサーバMSVは、ルータRT及び専用線PNを介してIP−PBX機器BTAのメンテナンスを遠隔で行なう。また、メンテナンスサーバMSVは、ルータRT及びネットワークNWを介してIP−PBX機器BTBのメンテナンスを遠隔で行なう。
【0026】
ところで、上記携帯端末MTAは次のように構成される。図2はその構成を示すブロック図である。
【0027】
携帯端末MTは、無線通信部12と、制御部13Aと、表示部14と、入力部15と、GPS受信部16と、RAM17とを備えている。このうち入力部15は、制御部13Aに対し種々の動作指示を入力するために使用するもので、サービス提供センタSCに対するIP−PBX機器BTAの設置位置の登録指示の入力にも使用される。
【0028】
GPS受信部16は、GPS衛星STからの信号を受信し、この受信信号を制御部13Aに供給する。
【0029】
制御部13Aは、ユーザの指示入力に従い、無線通信接続動作に係る通常の制御機能に加え、この発明に係る新たな機能として、位置計測部131と、地図情報取得部132と、住所入力ガイダンス部133と、位置登録要求送信部134とを備えている。
【0030】
位置計測部131は、GPS受信部16で得られる受信信号から携帯端末MTAの現在位置を示す位置情報を生成する。
【0031】
地図情報取得部132は、IP−PBX機器BTAの「設置位置登録」のアプリケーションを起動し、かつIP−PBX機器BTAに付与される機器識別情報としてのQRコードが入力され、GPS受信部16により位置情報が得られない場合に、無線通信部12を制御してネットワークNW上の地図提供サイト(図示せず)にアクセスし、当該サイトからIP−PBX機器BTAの設置位置周辺の地図情報をダウンロードして、図3に示すように、表示部14に表示させる。
【0032】
住所入力ガイダンス部133は、上記地図情報取得部132により地図情報が得られないと判定された場合に、その旨のメッセージと保守者に対しIP−PBX機器BTAの設置位置の住所の入力を促すためのガイダンス情報を表示部14に表示させる。
【0033】
位置登録要求送信部134は、QRコード及びIP−PBX機器BTAの設置位置情報が得られた場合に、これらQRコード及びIP−PBX機器BTAの設置位置情報を含む位置登録要求をRAM17に記憶し、ネットワークNWに接続可能なときに無線通信部12を制御してサービス提供センタSCにアクセスし、アンテナ11、基地局BS及びネットワークNWを介してRAM17に記憶された位置登録要求をサービス提供センタSCへ送信する。
【0034】
一方、上記メンテナンスサーバMSVは次のように構成される。図4はその構成を示すブロック図である。
【0035】
メンテナンスサーバMSVは、位置登録要求受信部21と、対照テーブル作成部22と、データベース23とを備えている。このうち位置登録要求受信部21は、サービス提供センタSCからネットワークNWを介して転送された位置登録要求を受信する。
【0036】
対照テーブル作成部22は、位置登録要求に含まれるQRコードからIP−PBX機器BTAのMACアドレス、ラックの番号やラック内の設置位置を求め、これらMACアドレス、ラックの番号やラック内の設置位置とIP−PBX機器BTAの設置位置とを対応付けた対照テーブルを作成し、図5に示すように、データベース23に記憶する。
【0037】
次に、以上のように構成された通信システムの動作を説明する。図6は、携帯端末MTAの動作手順とその内容を示すフローチャートである。
【0038】
例えば保守者がユーザシステムCMAのIP−PBX機器BTAの設置位置で携帯端末MTAを用いてサービス提供センタSCに対する位置登録を行うものとする。このとき、携帯端末MTAは、「設置位置登録」のアプリケーションを起動しているものとする。そして、この状態で保守者が入力部15によりIP−PBX機器BTAのCabinetに準備されたQRコードの読み込みや入力を行うと、携帯端末MTAはステップST6aからステップST6bに移行してここでGPS信号を受信可能であるか否かの判断を行う。例えばQRコードであれば、最大4464文字の英数字が記録できるため、位置登録サーバPSVへのURLをコード化できる。
【0039】
ここで、GPS衛星STからの信号を受信できた場合に(YES)、携帯端末MTAは受信信号から携帯端末MTAの位置情報を生成し(ステップST6c)、この位置情報をRAM17に記憶する。そして、ネットワークNWにアクセス可能となった場合に、携帯端末MTAはサービス提供センタSCにアクセスして、RAM17に記憶されたQRコード及び位置情報を含めた位置登録要求をサービス提供センタSCに送信する(ステップST6d)。
【0040】
一方、GPS衛星STからの信号を受信できない場合(NO)、携帯端末MTAは基地局BSにアクセス可能か否かの判断を行う(ステップST6e)。ここで、アクセス可能である場合(YES)、携帯端末MTAはRAM17にIP−PBX機器BTAの設置位置情報が記憶されているか否かを判断し(ステップST6f)、記憶されていない場合(NO)、基地局BSが送信している報知情報を受信し、この受信した報知情報から基地局BSの識別情報と当該基地局BSの絶対位置を表す情報を抽出し、この位置情報に基づいてネットワークNW上の地図提供サイトにアクセスし、当該サイトからIP−PBX機器BTAの設置位置周辺の地図情報をダウンロードして、表示部14に表示させる(ステップST6g)。従って、この表示により保守者は見やすい画面でIP−PBX機器BTAの設置位置を知ることができる。
【0041】
この状態で保守者が、入力部15において位置を指示入力したとする。そうすると携帯端末MTAは、ステップST6hからステップST6dに移行してここでサイトから位置情報を取得してRAM17に記憶する。
【0042】
また、上記ステップST6eにおいて基地局BSにアクセスできない場合(NO)、携帯端末MTAはRAM17にIP−PBX機器BTAの設置位置情報が記憶されているか否かを判断し(ステップST6i)、記憶されていない場合(NO)、位置情報が取得できない旨のメッセージとIP−PBX機器BTAの設置位置の住所を入力するためのガイダンス情報を表示部14に表示させる(ステップST6j)。従って、この表示により保守者はガイダンスに従って住所を入力することができる。
【0043】
この状態で保守者が、入力部15において住所を入力したとする。そうすると携帯端末MTAは、ステップST6kからステップST6dに移行してここで入力された住所を示す位置情報をRAM17に記憶する。
【0044】
なお、上記ステップST6h及びステップST6kにおいて、保守者が一定時間を過ぎても入力を行わなかった場合には処理を終了する。
【0045】
一方、図7は、メンテナンスサーバMSVの動作手順とその内容を示すフローチャートである。
メンテナンスサーバMSVは、位置登録サーバPSVから転送された位置登録要求を受信すると(ステップST7a)、位置登録要求に含まれるQRコードからIP−PBX機器BTAのMACアドレス、ラックの番号やラック内の設置位置を求め、これらMACアドレス、ラックの番号やラック内の設置位置とIP−PBX機器BTAの設置位置とを対応付けた対照テーブルを作成し、データベース23に記憶する(ステップST7b)。
【0046】
以上のように上記第1の実施形態では、携帯端末MTAにおいて、まずIP−PBX機器BTAの設置位置でQRコードが入力された場合に、例えばGPS衛星STからの信号を受信できるか否かを判定し、GPS衛星STからの信号を受信できない場合に、ネットワークNW上のサイトからIP−PBX機器BTA周辺の地図情報を取得し、この位置情報とQRコードとを含む位置登録要求をネットワークNW及びサービス提供センタSCを介してメンテナンスセンタMCへ送信するようにしている。
【0047】
従って、如何なる設置場所にIP−PBX機器BTAが設置された場合であっても、保守者にとっては携帯端末MTAに備えられているGPS以外の位置情報取得機能を利用してメンテナンスセンタMCへのIP−PBX機器BTAの設置位置登録を人手を要することなく行うことが可能となり、一方メンテナンスセンタMCにとってはメンテナンス時の部品交換や故障診断の機器の位置情報を速やかに特定することが可能となる。
【0048】
また、上記第1の実施形態によれば、ネットワークNWを介してIP−PBX機器BTA周辺の地図情報が取得されるごとに、保守者が地図情報を見てIP−PBX機器BTAの設置位置を指示することができ、これによりGPSで位置情報が取得できなくてもネットワークNW上のサイトからの地図情報を利用してメンテナンスセンタMCへのIP−PBX機器BTAの設置位置登録を人手を要することなく行うことが可能となる。
【0049】
さらに、上記第1の実施形態によれば、万一、ネットワークNW上のサイトから地図情報が得られないとき、位置情報取得処理を終了することなく、IP−PBX機器BTAの設置位置を入力させるためのガイダンス情報を保守者に提示するようにしているので、保守者は分かりやすい画面でIP−PBX機器BTAの設置位置情報を入力することができ、これにより位置情報の生成に要する手間を軽減することができるとともに、如何なる設置場所であっても簡単な操作でメンテナンスセンタMCに対する位置登録要求を行うことができる。
【0050】
(第2の実施形態)
図8は、この発明の第2の実施形態における携帯端末MTBの構成を示すブロック図である。なお、図8において、上記図2と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
すなわち、携帯端末MTBには、速度検出部18が設けられている。速度検出部18は、例えばジャイロを使用して、携帯端末MTBの移動方向及び移動速度を検出する。この検出結果は、制御部13Bに供給される。
【0052】
一方、制御部13Bには、位置演算部135が備えられる。位置演算部135は、GPS受信部16でGPS衛星STからの信号が受信できなくなった時点から、速度検出部18を起動させ、速度検出部18により移動方向または移動速度の変化が検出されるごとに、その検出時刻に対応付けて移動方向及び移動速度をRAM17に記憶する。そして、QRコードが入力された時点で、RAM17に記憶される複数時刻分の移動方向及び移動速度をもとに、携帯端末MTBの現在位置、つまりIP−PBX機器BTAの設置位置を算出する。
【0053】
以上のように上記第2の実施形態によれば、携帯端末MTBの速度検出部18による移動方向及び移動速度の検出結果を利用して携帯端末MTBの現在位置、つまりIP−PBX機器BTAの設置位置が求められるので、ネットワークNWや基地局BSに接続できない環境であってもメンテナンスセンタMCへのIP−PBX機器BTAの設置位置登録を人手を要することなく行うことが可能となる。
【0054】
(その他の実施形態)
なお、この発明は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態では、QRコードを識別情報として用いる例について説明した。しかしこれに限ることなく、QRコードなどの表示された識別情報の他に、ブルートゥース、USBによる機器接続を行い、機器のユニークコードを取り出し送付する方式や、C−TAGチップの製品からの機器のユニークコード情報の読み出しを行い、MACアドレス情報を位置情報にリンクする対照表作成手段がある。
【0055】
その他、位置情報の取得手順やその内容、通信システムの構成やその動作内容、携帯端末といった端末装置の種類やその構成、データベースの記憶内容、IP−PBX機器といった通信機器の種類等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明に係わる通信機器設置位置管理方法の第1の実施形態を実施するための通信システムの概略構成図。
【図2】上記図1に示した携帯端末の構成を示すブロック図。
【図3】同第1の実施形態において、ネットワーク上のサイトからダウンロードされた地図情報を示す図。
【図4】上記図1に示したメンテナンスサーバの構成を示すブロック図。
【図5】上記メンテナンスサーバにより作成された対象テーブルの一例を示す図。
【図6】同第1の実施形態における携帯端末の動作手順とその内容を示すフローチャート。
【図7】同第1の実施形態におけるメンテナンスサーバの動作手順とその内容を示すフローチャート。
【図8】この発明の第2の実施形態における携帯端末の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0057】
11…アンテナ、12…無線通信部、13A,13B…制御部、14…表示部、15…入力部、16…GPS受信部、17…RAM、18…速度検出部、131…位置計測部、132…地図情報取得部、133…住所入力ガイダンス部、134…位置登録要求送信部、135…位置演算部、21…位置登録要求受信部、22…対照テーブル作成部、23…データベース、CMA,CMB…ユーザシステム、SC…サービス提供センタ、MC…メンテナンスセンタ、MTA,MTB…携帯端末、NW…ネットワーク、BS…基地局、ST…GPS衛星、BTA,BTB…IP−PBX機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機器に対し通信ネットワークを介して接続されかつ当該通信機器に対する保守業務を行うセンタに対し、前記通信ネットワークを介して接続可能で、既知の測位システムを利用して自己の位置情報を取得する第1の位置情報取得手段を備える端末装置において、
前記通信機器の設置位置で当該通信機器を特定する機器識別情報が入力されかつ前記第1の位置情報取得手段で位置情報を得ることが不可能なとき、前記測位システムとは別のシステムにより自己の位置情報を取得する第2の位置情報取得手段と、
前記通信ネットワークに接続可能となるとき、前記センタにて前記機器識別情報と前記位置情報とを対応付けて管理させるべく、前記機器識別情報及び前記位置情報を含む設定登録要求を前記通信ネットワークを介して前記センタへ送信する送信手段とを具備したことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記第2の位置情報取得手段は、前記通信ネットワークを介して前記通信機器周辺の地図情報を取得してユーザに提示し、この提示に対しユーザが前記地図上の位置を指定入力した場合に前記位置情報を生成することを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
前記第2の位置情報取得手段は、前記第1の位置情報取得手段で位置情報が得られなくなった時点から前記機器識別情報が入力される時点までの時間と、端末装置本体の移動方向及び移動速度とに基づいて、前記位置情報を生成することを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項4】
前記第2の位置情報取得手段で位置情報が得られないとき、前記通信機器の設置位置を入力させるためのガイダンス情報をユーザに提示する提示手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記提示手段による提示に対しユーザが前記ガイダンス情報に基づいて設置位置を入力し、かつ前記通信ネットワークに接続可能となるとき、前記設定登録要求を前記通信ネットワークを介して前記センタへ送信することを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項5】
通信機器に対し通信ネットワークを介して接続されかつ当該通信機器に対する保守業務を行うセンタに備えられるサーバ装置において、
前記通信ネットワークに接続される端末装置から前記通信ネットワークを介して到来し、前記通信機器を特定する機器識別情報及び前記通信機器の設置位置情報を含む設定登録要求を受信する受信手段と、
この受信手段で得られる前記設定登録要求に含まれる機器識別情報と設置位置情報とを対応付けて記憶する記憶手段とを具備したことを特徴とするサーバ装置。
【請求項6】
通信機器に対し通信ネットワークを介して接続されかつ当該通信機器に対する保守業務を行うセンタと、このセンタに対し前記通信ネットワークを介して接続可能な端末装置とを備えた通信システムで使用される通信機器設置位置管理方法において、
前記端末装置において、前記通信機器の設置位置で当該通信機器を特定する機器識別情報が入力されたとき、既知の測位システムを利用して自己の位置情報を取得し、
前記既知の測位システムにより位置情報が得られないとき、前記測位システムとは別のシステムを利用して自己の位置情報を取得し、
前記位置情報が得られかつ前記通信ネットワークに接続可能となるとき、前記機器識別情報及び前記位置情報を含む設定登録要求を前記通信ネットワークを介して前記センタへ送信し、
前記センタにおいて、前記端末装置から前記通信ネットワークを介して到来する前記設定登録要求を受信し、
前記設定登録要求に含まれる機器識別情報と設置位置情報とを対応付けて記録媒体に記憶するようにしたことを特徴とする通信機器設置位置管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−62772(P2010−62772A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225313(P2008−225313)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】