説明

端末装置とコンピュータプログラム

【課題】 対象デバイスの機能を無線で利用することができないという事象が発生するのを抑制する技術を提供する。
【解決手段】 端末装置10には、LAN4に接続される複数個のプリンタ60,64,66のうちのモデル名M1を有する第2プリンタ64の印刷機能を無線で利用するためのプリンタドライバがインストールされる。端末装置10の制御部30は、上記の複数個のプリンタ60,64,66の中から、モデル名M1を有し、かつ、LAN4に無線接続されている少なくとも1個のプリンタ(即ち第2プリンタ64)を特定する。制御部30は、特定された少なくとも1個のプリンタの中から、ユーザの指示に従って、1個の第2プリンタ64を選択する。制御部30は、選択された第2プリンタ64に対応するポートを生成し、上記のプリンタドライバをインストールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、所定のモデル名を有する対象デバイスの機能を無線で利用するためのデバイスドライバがインストールされる端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、所定のモデル名を有する対象プリンタの印刷機能を有線で利用するためのプリンタドライバがインストールされる端末装置が開示されている。端末装置は、有線ネットワークに接続されている複数個のプリンタのうち、上記の所定のモデル名を有するプリンタのみをリストに登録し、そのリストをユーザに提示する。端末装置は、リストからユーザによって選択された1個のプリンタ(即ち対象プリンタ)に対応するプリンタポートを生成する。この技術では、上記の所定のモデル名を有するプリンタのみを含むリストから対象プリンタをユーザに選択させることによって、上記の所定のモデル名以外のモデル名を有するプリンタに対応するプリンタポートが生成されるのを防止する。端末装置は、さらに、上記のプリンタドライバをインストールする。これにより、端末装置は、生成済みのプリンタポートと、インストール済みのプリンタドライバと、を用いて、対象プリンタの印刷機能を有線で利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−18468号公報
【特許文献2】特開2005−141366号公報
【特許文献3】特開2006−54577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、無線接続が可能な対象プリンタの印刷機能をネットワークを介して無線で利用する場合には、対象プリンタのためのプリンタドライバを端末装置にインストールする前に、通常、プリンタに無線設定を行なう必要がある。しかしながら、従来では、ユーザが無線設定を行なった対象プリンタ、あるいは、ユーザが無線設定を行なったつもりの対象プリンタとは異なるプリンタに対応するプリンタポートが生成され、その後に、プリンタドライバがインストールされてしまう場合があった。この場合には、対象プリンタの印刷機能を無線で利用することができない。
【0005】
例えば、ネットワークに無線接続されている対象プリンタと、同じネットワークに有線接続されている別のプリンタと、が存在し、それらのプリンタが同じモデル名を有する可能性がある。このような状況において、特許文献1の技術では、上記の対象プリンタと上記の別のプリンタとの両方がリストに登録され得る。従って、ユーザは、上記の対象プリンタの印刷機能を利用することを望んでいるにもかかわらず、上記の別のプリンタをリストから誤って選択し得る。この場合、端末装置は、上記の別のプリンタに対応するプリンタポートを生成し、次いで、プリンタドライバをインストールする。端末装置は、生成済みのプリンタポートと、インストール済みのプリンタドライバと、を用いて、上記の別のプリンタの印刷機能を利用することができるが、上記の対象プリンタの印刷機能を利用することができない。
【0006】
本明細書では、対象デバイスの機能(上記の例ではプリンタの印刷機能)を無線で利用することができないという事象が発生するのを抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、ネットワークに接続される複数個のデバイスのうちの所定のモデル名を有する対象デバイスの機能を無線で利用するためのデバイスドライバがインストールされる端末装置を開示する。この端末装置は、デバイスドライバを端末装置にインストールするためのインストール処理を実行する第1の実行部を備える。第1の実行部は、特定部と選択部とポート生成部とインストール部とを備える。特定部は、上記の複数個のデバイスの中から、上記の所定のモデル名を有し、かつ、ネットワークに無線接続されている少なくとも1個の候補デバイスを特定する。選択部は、特定部によって特定される少なくとも1個の候補デバイスの中から、1個の候補デバイスを対象デバイスとして選択する。ポート生成部は、選択部によって選択される対象デバイスに対応するポートを生成する。インストール部は、上記のデバイスドライバを端末装置にインストールする。
【0008】
上記の構成によると、端末装置は、上記の所定のモデル名を有し、かつ、ネットワークに無線接続されている少なくとも1個の候補デバイスを特定する。そして、端末装置は、少なくとも1個の候補デバイスの中から1個の候補デバイス(即ち対象デバイス)を選択することによって、ネットワークに無線接続されている対象デバイスを確実に選択することができる。従って、端末装置は、ネットワークに無線接続されている対象デバイスに対応するポートを生成することができる。この結果、例えば、ネットワークに無線接続されていないデバイス、即ち、端末装置が機能を無線で利用することができないデバイスに対応するポートが生成されるのを抑制することができる。このために、対象デバイスの機能を無線で利用することができないという事象が発生するのを抑制することができる。
【0009】
第1の実行部は、ネットワークを介して、上記の複数個のデバイスのうちの注目デバイスから、注目デバイスのモデル名と、注目デバイスがネットワークに無線接続されているのか否かを示す接続情報と、を取得する第1の取得部をさらに備えていてもよい。特定部は、注目デバイスから取得されるモデル名と接続情報とに基づいて、注目デバイスが候補デバイスであるのか否かを決定してもよい。
【0010】
第1の実行部は、ネットワークを介して、上記の複数個のデバイスのうちの注目デバイスから、無線設定に関する特定の情報を取得する第2の取得部をさらに備えていてもよい。特定部は、注目デバイスから取得される上記の特定の情報に基づいて、注目デバイスが候補デバイスであるのか否かを決定してもよい。
【0011】
特定部は、注目デバイスから取得される上記の特定の情報が、デフォルトの無線設定を示さない場合に、注目デバイスが候補デバイスであると決定してもよい。デバイスの機能を無線で利用する場合には、通常、デバイスには、セキュリティを確保可能な無線設定がなされる。即ち、デバイスの機能を無線で利用する場合には、デバイスの無線設定は、セキュリティが確保されないデフォルトの無線設定から、セキュリティが確保される新たな無線設定に、変更される。従って、上記の構成を採用すれば、デフォルトの無線設定が維持されているデバイスを候補デバイスとして選択せずに済む。
【0012】
第1の実行部は、特定部によって特定される少なくとも1個の候補デバイスをユーザに提示する提示部をさらに備えていてもよい。選択部は、ユーザの指示に従って、少なくとも1個の候補デバイスの中から、1個の候補デバイスを対象デバイスとして選択してもよい。この構成によると、端末装置は、ユーザが望む対象デバイスを選択することができ、当該対象デバイスに対応するポートを生成することができる。
【0013】
端末装置は、第1の実行部によってインストール処理が実行される前に、ユーザによって対象デバイスとして指定される特定のデバイスに無線通信方式を設定するための設定処理を実行する第2の実行部をさらに備えていてもよい。第2の実行部は、上記の特定のデバイスから、上記の特定のデバイスの固有情報を取得する第3の取得部を備えていてもよい。第1の実行部は、問合部と警告部とをさらに備えていてもよい。問合部は、ネットワークを介して、上記の複数個のデバイスに固有情報を問い合わせてもよい。警告部は、問合部によって取得される1個以上の固有情報の中に、第3の取得部によって取得される上記の特定のデバイスの固有情報が含まれない場合に、ユーザに警告してもよい。
【0014】
対象デバイスの機能を無線で利用するためには、その対象デバイスが無線ネットワークに無線接続されている必要がある。上記の構成によると、端末装置は、ユーザによって指定される上記の特定のデバイス(即ち対象デバイス)に無線通信方式を設定するための設定処理を実行する。この結果、上記の特定のデバイスがネットワークに無線接続され得る。端末装置は、上記の設定処理の際に、上記の特定のデバイスの固有情報を取得する。上記の設定処理が実行されても、上記の特定のデバイスがネットワークに無線接続されないことがあり得る。例えば、ネットワークで現在利用されている無線通信方式と異なる無線通信方式が上記の特定のデバイスに設定された場合には、上記の特定のデバイスは、ネットワークに無線接続することができない。仮に、上記の設定処理が実行されても、上記の特定のデバイスがネットワークに無線接続されない場合には、端末装置は、上記の問い合わせを実行しても、上記の特定のデバイスの固有情報を取得することができない。この場合、端末装置は、ユーザに警告する。この結果、ユーザは、上記の特定のデバイス(即ち対象デバイス)がネットワークに無線接続されていないことを知ることができる。即ち、ユーザは、上記の特定のデバイスの機能を無線で利用することができないことを知ることができる。従って、ユーザは、上記の特定のデバイスがネットワークに適切に無線接続されるような処置(例えば適切な無線通信方式の設定のための処置)を講じることができる。この結果、端末装置が上記の特定のデバイス(即ち対象デバイス)の機能を無線で利用することが可能になる。
【0015】
なお、上記の端末装置を実現するための制御方法及びコンピュータプログラムも、新規で有用である。また、上記の端末装置と上記の複数個のデバイスとを含むシステムも、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ネットワークシステムの構成の一例を示す。
【図2】端末装置が実行する処理のフローチャートを示す。
【図3】図2の続きのフローチャートを示す。
【図4】無線用MACアドレス取得処理のフローチャートを示す。
【図5】無線接続プリンタ特定処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(システムの構成)
図面を参照して実施例を説明する。図1に示されるように、ネットワークシステム2は、LAN4と、端末装置10と、複数個のプリンタ60,64,66と、を備える。LAN4は、有線ケーブル、ルータ、ハブ(これらは図示省略)、及び、アクセスポイント62を含む。
【0018】
(端末装置10の構成)
本実施例の端末装置10はPCである。端末装置10は、操作部12と、表示部14と、ネットワークインターフェイス16と、USBインターフェイス17と、記録媒体読取部18と、記憶部24と、制御部30と、を備える。操作部12は、マウスとキーボードとによって構成される。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示を端末装置10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。ネットワークインターフェイス16は、LAN4に有線接続されている。即ち、端末装置10は、LAN4に有線接続されている。記録媒体読取部18は、記録媒体20に格納されているデータ(例えばプログラム22)を読み取る。記録媒体20は、データを格納するためのCD、DVD等の媒体であり、第2プリンタ64のベンダによって製造されたものである。記録媒体20は、第2プリンタ64の出荷時には、第2プリンタ64と共にパッケージされている。記録媒体20に含まれるプログラム22は、モデル名「M1」を有するプリンタ(例えば第2プリンタ64)の印刷機能を利用するためのプリンタドライバと、当該プリンタドライバをインストールするためのプログラムと、を含む。プログラム22は、さらに、モデル名「M1」を有するプリンタに無線設定情報を設定するためのプログラムを含む。なお、無線設定情報は、無線通信方式(認証方式及び暗号化方式)、SSID(Service Set Identifier)等を含む。記憶部24は、OS(Operating System)プログラム26を記憶する。記憶部24は、様々なデータが格納されるワーク領域28を有する。制御部30は、プログラム22,26に従って、様々な処理を実行する。制御部30がプログラム22に従って処理を実行することによって、第1の実行部32及び第2の実行部52の機能が実現される。第1の実行部32は、特定部34等の各部34〜48を備える。また、第2の実行部52は、第3の取得部54を備える。
【0019】
(他のデバイス60〜66の構成)
アクセスポイント62は、複数個の通信デバイス(例えば端末装置10と第3プリンタ66)の間の無線通信を中継する。アクセスポイント62は、通信デバイスがアクセスポイント62を介して他の通信デバイスと無線通信するための特定の無線設定情報を記憶している。複数個の通信デバイスがアクセスポイント62を介して無線通信するためには、複数個の通信デバイスのそれぞれが、上記の特定の無線設定情報を、自己の無線設定情報として記憶する必要がある。
【0020】
各プリンタ60,64,66は、少なくとも印刷機能を有するデバイスである。各プリンタ60等は、スキャナ機能、コピー機能、FAX機能、電話機能等をさらに有する多機能機であってもよい。第1プリンタ60及び第2プリンタ64は、同じモデル名「M1」を有する。第3プリンタ66は、モデル名「M1」と異なるモデル名「M2」を有する。各プリンタ60等は、有線インターフェイス及び無線インターフェイスを備え、有線インターフェイスと無線インターフェイスとは、それぞれ、当該プリンタのベンダによって予め決められる有線用MACアドレスと無線用MACアドレスとを有する。また、各プリンタ60等には、ノード名(printer60、printer64、printer66)が設定されている。例えば、第2プリンタ64の出荷時には、第2プリンタ64にデフォルトのノード名が設定されている。ユーザは、第2プリンタ64の操作部(図示省略)を操作することによって、所望のノード名(本実施例ではprinter64)を第2プリンタ64に入力する。この結果、第2プリンタ64には、デフォルトのノード名に代えて、入力されたノード名(printer64)が設定される。なお、第2プリンタ64以外のプリンタ60,66にも、同様にノード名(printer60、printer66)が設定される。
【0021】
さらに、各プリンタ60等には、IPアドレスが設定されている。例えば、ユーザは、第2プリンタ64の操作部を操作することによって、所望のIPアドレスを第2プリンタ64に入力する。この結果、第2プリンタ64には、ユーザによって入力されたIPアドレスが設定される。また、例えば、第2プリンタ64は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ等から、自己に設定されるべきIPアドレスを取得してもよい。この場合、第2プリンタ64には、サーバから取得されたIPアドレスが設定される。なお、第2プリンタ64以外のプリンタ60,66にも、上記のいずれかの手法によって、IPアドレスが設定される。
【0022】
第1プリンタ60は、LAN4に既に有線接続されている。第3プリンタ66は、LAN4に既に無線接続されている。第3プリンタ66は、上記の特定の無線設定情報を、自己の無線設定情報として記憶している。即ち、第3プリンタ66には、上記の特定の無線設定情報が設定済みである。第3プリンタ66は、上記の特定の無線設定情報を用いて、アクセスポイント62を介して、他の通信デバイス(例えば端末装置10)と無線通信可能である。一方において、第2プリンタ64は、LAN4に未だ無線接続されていない。即ち、第2プリンタ64には、上記の特定の無線設定情報が未だ設定されていない。
【0023】
(端末装置10が実行する処理)
続いて、端末装置10が実行する処理について説明する。ユーザは、モデル名「M1」を有するプリンタ(例えば第2プリンタ64)のためのプリンタドライバが端末装置10にインストールされることを望む場合に、記録媒体20を記録媒体読取部18内に格納し、操作部12において所定の操作を実行する。これにより、制御部30は、OSプログラム26に従って、記録媒体読取部18を起動する。この結果、記録媒体読取部18は、記録媒体20に格納されているプログラム22を読み取り、プログラム22をワーク領域28に格納する。これにより、制御部30は、ワーク領域28に格納されたプログラム22に従って、処理を実行することができる。図2〜図5は、プログラム22に従って実行される処理のフローチャートを示す。なお、本実施例では、図2の処理が開始される段階では、プリンタ60,64,66のそれぞれに、ノード名(printer60等)及びIPアドレスが既に設定されている。
【0024】
図2に示されるように、制御部30は、まず、プリンタの機能を利用する際に利用されるプリンタのインターフェイスを選択するためのIF選択画面を表示部14に表示させる(S10)。IF選択画面は、「有線」を示す文字列と、「無線」を示す文字列と、を含む。ユーザは、LAN4を介してプリンタ(例えば第1プリンタ60)の印刷機能を有線で利用することを望む場合には、操作部12を操作することによって、IF選択画面上の「有線」を選択する。この場合、制御部30は、S12でYESと判断し、有線接続プリンタに対応するインストール処理(S2)を実行する。S2のインストール処理は、S14〜S22の処理を含む。一方において、ユーザは、LAN4を介してプリンタ(例えば第2プリンタ64)の印刷機能を無線で利用することを望む場合には、操作部12を操作することによって、IF選択画面上の「無線」を選択する。この場合、制御部30は、S12でNOと判断し、図3に示される無線接続のための設定処理(S4)を実行し、次いで、無線接続プリンタに対応するインストール処理(S6)を実行する。S4の設定処理は、図3のS30〜S48の処理を含む。S6のインストール処理は、図3のS50〜S56及び図2のS16〜S22の処理を含む。なお、S4の設定処理は、第2の実行部52(図1参照)によって実行される。また、S6のインストール処理は、第1の実行部32(図1参照)によって実行される。
【0025】
S12でYESの場合、特定部34(図1参照)は、モデル名、IPアドレス、及び、ノード名を要求する第1のコマンドをLAN4にブロードキャストする(S14)。この結果、LAN4に既に有線接続されている第1プリンタ60、及び、LAN4に既に無線接続されている第3プリンタ66は、第1のコマンドを受信する。LAN4に未だ無線接続されていない第2プリンタ64は、第1のコマンドを受信しない。第1プリンタ60は、第1のコマンドを受信した場合に、自己のモデル名「M1」、自己のIPアドレス、及び、自己のノード名「printer60」を含む第1の応答を端末装置10に送信する。同様に、第3プリンタ66は、自己のモデル名「M2」等を含む第1の応答を端末装置10に送信する。プログラム22は、モデル名「M1」のためのプログラムであるために、モデル名「M1」を示す情報を含む。特定部34は、第1プリンタ60からの第1の応答が、プログラム22に含まれるモデル名「M1」を含むのか否かを判断する。第1プリンタ60からの第1の応答がモデル名「M1」を含むために、特定部34は、肯定的に判断する。この場合、特定部34は、第1プリンタ60からの第1の応答に含まれる第1プリンタ60のIPアドレス及びノード名をリスト(図示省略)に登録する。同様に、特定部34は、第3プリンタ66からの第1の応答がモデル名「M1」を含むのか否かを判断する。第3プリンタ66からの応答(モデル名「M2」を含む)がモデル名「M1」を含まないために、特定部34は、否定的に判断する。この場合、特定部34は、第3プリンタ66のIPアドレス及びノード名を上記のリストに登録しない。
【0026】
次いで、提示部48(図1参照)は、上記のリストを表示部14に表示させる(S16)。ユーザは、操作部12を操作することによって、上記のリストの中から所望の1個のプリンタを選択するための指示を端末装置10に入力する。本実施例では、上記のリストは、第1プリンタ60のIPアドレス及びノード名のみを含む。従って、ユーザは、操作部12を操作することによって、第1プリンタ60を選択するための指示を端末装置10に入力する。この結果、選択部36(図1参照)は、ユーザの指示に従って、第1プリンタ60を選択する。次いで、ポート生成部38(図1参照)は、第1プリンタ60のIPアドレス又はノード名を用いて、プリンタポートを生成する(S20)。即ち、ポート生成部38は、第1プリンタ60のIPアドレス又はノード名が指定されたプリンタポートを生成する。この結果、第1プリンタ60に対応するプリンタポートが生成される。プリンタポートは、記憶部24に格納される。S20を終えると、インストール部39(図1参照)は、プログラム22に含まれるプリンタドライバを記憶部24内の所定の領域に格納することによって、プリンタドライバをインストールする(S22)。
【0027】
上記のS14〜S22の処理が終了すると、有線接続プリンタに対応するインストール処理(S2)が完了する。これにより、制御部30は、S20で生成された第1プリンタ60に対応するプリンタポートと、S22でインストールされたプリンタドライバと、を用いて、LAN4を介して、印刷指示を第1プリンタ60に送信することができる。上記の印刷指示は、LAN4上の有線通信によって、第1プリンタ60に送信される。第1プリンタ60は、上記の印刷指示に従って、印刷機能を実行する。この結果、端末装置10は、第1プリンタ60の印刷機能を有線で利用することができる。
【0028】
上述したように、LAN4を介して第2プリンタ64の印刷機能を無線で利用することをユーザが望む場合には、S10で表示されるIF選択画面上で「無線」が選択される。この場合、図3のS30に進む。S30では、第2の実行部52は、仮接続方式選択画面を表示部14に表示させる。仮接続方式選択画面は、LAN4に未だ無線接続されていない第2プリンタ64に無線設定情報を設定するための仮接続方式を、ユーザが選択するための画面である。仮接続方式選択画面は、「無線」(即ちアドホック)を示す文字列と、「有線LAN」を示す文字列と、「USB」を示す文字列と、を含む。ユーザは、操作部12を操作することによって、3つの仮接続方式(「無線」等)の中から1つの仮接続方式を選択する。
【0029】
仮接続方式として「無線」(アドホック)が選択された場合には、第2の実行部52は、S32でYESと判断し、アドホック通信に関する各種設定を端末装置10に入力することを促す情報を表示部14に表示させる(S34)。ユーザは、表示内容に従って、端末装置10の操作部12を操作することによって、アドホック通信に関する各種設定を端末装置10に入力する。これにより、端末装置10は、第2プリンタ64とアドホック通信を実行することが可能になる。なお、アドホック通信は、アクセスポイント62を介さない無線通信である。S34を終えると、S38に進む。
【0030】
仮接続方式として「有線LAN」が選択された場合には、第2の実行部52は、S32でNOと判断し、S36でYESと判断する。この場合、第2の実行部52は、LAN4を構成する有線ケーブルを第2プリンタ64に接続することを促す情報を表示部14に表示させる(S37)。ユーザは、表示内容に従って、LAN4を構成する有線ケーブルを第2プリンタ64に接続する。これにより、第2プリンタ64は、LAN4を介して、端末装置10と有線通信を実行することが可能になる。S37を終えると、S38に進む。
【0031】
仮接続方式として「USB」が選択された場合には、第2の実行部52は、S32でNOと判断し、S36でNOと判断する。この場合、ユーザは、端末装置10のUSBインターフェイス17にUSBケーブルの一端を接続すると共に、第2プリンタ64のUSBインターフェイス(図示省略)に当該USBケーブルの他端を接続する。これにより、第2プリンタ64は、USBケーブルを介して、端末装置10と有線通信を実行することが可能になる。S36でNOの場合、S44に進む。
【0032】
S38では、第2の実行部52は、上記の第1のコマンド(S14と同じコマンド)をブロードキャストする。S34(仮接続方式「無線」の選択)を経て実行されるS38では、第2の実行部52は、アドホック通信を用いて、第1のコマンドをブロードキャストする。この場合、アドホック通信の仮接続がなされた第2プリンタ64のみが第1のコマンドを受信する。第2プリンタ64は、自己のモデル名「M1」、自己のIPアドレス、及び、自己のノード名「printer64」を含む第1の応答を端末装置10に送信する。この場合、第2の実行部52は、第2プリンタ64のIPアドレス及びノード名のみを含むリストを表示部14に表示させる(S40)。従って、ユーザは、操作部12を操作することによって、第2プリンタ64を選択するための指示を端末装置10に入力する。この結果、第2の実行部52は、ユーザの指示に従って、第2プリンタ64を選択する(S42)。
【0033】
一方において、S37(仮接続方式「有線LAN」の選択)を経て実行されるS38では、第2の実行部52は、第1のコマンドをLAN4にブロードキャストする。この場合、LAN4に有線接続されている第1及び第2プリンタ60,64と、LAN4に無線接続されている第3プリンタ66とが、第1のコマンドを受信する。各プリンタ60,64,66は、自己のモデル名等を含む第1の応答を端末装置10に送信する。この場合、第2の実行部52は、モデル名「M1」を有する第1及び第2プリンタ60,64のそれぞれのIPアドレス及びノード名を含むリストを表示部14に表示させる(S40)。モデル名「M2」を有する第3プリンタ66のIPアドレス及びノード名は、上記のリストに含まれない。ユーザは、操作部12を操作することによって、2個のプリンタ60,64の中から1個のプリンタ(本実施例では第2プリンタ64)を選択するための指示を端末装置10に入力する。この結果、第2の実行部52は、ユーザの指示に従って、第2プリンタ64を選択する(S42)。
【0034】
S42を終えた場合(即ち仮接続方式「無線」(アドホック)又は「有線LAN」が選択されてS42が実行された場合)、又は、S36でNOの場合(仮接続方式「USB」が選択された場合)、第2の実行部52は、無線用MACアドレス取得処理を実行する(S44)。なお、S44で取得される無線用MACアドレスは、後述のインストール処理(S6)で利用される。図4は、無線用MACアドレス取得処理のフローチャートを示す。S42を経て実行される無線用MACアドレス取得処理では、第2の実行部52は、LAN4上の有線通信を用いて、S42でユーザによって選択された第2プリンタ64の無線用MACアドレスを取得する。また、S36でNOの場合に実行される無線用MACアドレス取得処理では、第2の実行部52は、USBケーブル上の有線通信を用いて、第2プリンタ64の無線用MACアドレスを取得する。
【0035】
図4に示されるように、第3の取得部54(図1参照)は、ネットワークインターフェイスの数を示す情報(以下では「I/F数情報」と呼ぶ)を第2プリンタ64に要求することによって、I/F数情報を取得する(S70)。なお、USBインターフェイス等のネットワークに関連しないインターフェイスは、上記のネットワークインターフェイスに含まれない。例えば、第2プリンタ64が1個の有線LAN用インターフェイスと1個の無線LAN用インターフェイスとを有する場合には、第2プリンタ64は、上記の要求に応じて、「2」を示すI/F数情報を端末装置10に送信する。これにより、第3の取得部54は、I/F数情報を取得する。次いで、第3の取得部54は、処理数Mとして「1」を特定する(S72)。続いて、第3の取得部54は、M番目のインターフェイスのIF情報と、M番目のインターフェイスのMACアドレスと、を第2プリンタ64に要求することによって、それらの情報を取得する(S74)。なお、M番目のインターフェイスのIF情報は、M番目のインターフェイスが、有線LAN用インターフェイス及び無線LAN用インターフェイスのどちらであるのかを示す情報である。
【0036】
第3の取得部54は、S74で取得されたM番目のインターフェイスのIF情報に基づいて、M番目のインターフェイスが無線LAN用インターフェイスであるのか否かを判断する(S76)。ここでYESの場合、第3の取得部54は、S74で取得されたMACアドレスを、第2プリンタ64の無線用MACアドレスとして決定する(S82)。S82を終えると、無線用MACアドレス取得処理が終了する(正常END)。一方において、S76でNOの場合には、第3の取得部54は、現在の処理数Mが、S70で取得されたI/F数情報に等しいのか否かを判断する(S78)。ここでNOの場合、第3の取得部54は、現在の処理数Mに「1」を加算することによって、新たな処理数Mを特定する(S80)。次いで、第3の取得部54は、新たな処理数Mに基づいて、S74以降の処理を再び実行する。なお、S78でYESの場合は、第3の取得部54が第2プリンタ64の無線用MACアドレスを取得することができなかったことを意味する(エラーEND)。なお、エラーENDの場合には、後述の図3のS52で必ずNOと判断される。
【0037】
無線用MACアドレス取得処理が終了した場合には、図3のS46以降の処理が実行される。S46では、第2の実行部52は、第2プリンタ64に設定されるべき無線設定情報(即ち無線通信方式(認証方式及び暗号化方式)、SSID等)を入力することを促す情報を表示部14に表示させる。ユーザは、操作部12を操作することによって、第2プリンタ64に設定されるべき無線設定情報を端末装置10に入力する。第2の実行部52は、ユーザによって入力された無線設定情報(無線通信方式、SSID等)を第2プリンタ64に送信する(S48)。第2プリンタ64は、自己の無線設定情報として、端末装置10から送信される無線設定情報を記憶する。これにより、端末装置10から送信される無線設定情報が第2プリンタ64に設定される。なお、S48が実行される前には、第2プリンタ64には、通常、セキュリティが確保されないデフォルトの無線設定情報が設定されている。一方、S48が実行された後には、通常、第2プリンタ64には、デフォルトの無線設定情報に代えて、端末装置10から送信されるセキュリティが確保される無線設定情報が設定される。
【0038】
上記のS30〜S48の処理が終了すると、無線接続のための設定処理(S4)が完了する。ユーザは、第2プリンタ64をLAN4に無線接続することを望む場合には、S46において、LAN4に既に無線接続されている第3プリンタ66に設定されている上記の特定の無線設定情報と同じ無線設定情報を端末装置10に入力する必要がある。S46でユーザが上記の特定の無線設定情報を適切に入力した場合には、第2プリンタ64に上記の特定の無線設定情報が設定される。これにより、第2プリンタ64は、上記の特定の無線設定情報を用いて、アクセスポイント62を介して、他の通信デバイス(例えば端末装置10)と無線通信することができる。即ち、S46でユーザが上記の特定の無線設定情報を適切に入力した場合には、第2プリンタ64がLAN4に無線接続される。一方において、S46でユーザが上記の特定の無線設定情報と異なる無線設定情報を入力した場合には、設定処理(S4)が実行されても、第2プリンタ64がLAN4に無線接続されない。なお、S4でプリンタに対する無線接続のための設定処理が完了すると、仮接続のために利用された有線ケーブル又はUSBケーブルは、ユーザによって取外される。
【0039】
設定処理(S4)が終了すると、第1の実行部32は、無線接続プリンタに対応するインストール処理(S6)を実行する。第1の取得部40及び問合部44(図1参照)は、モデル名、IPアドレス、ノード名、及び、MACアドレスを要求する第2のコマンドをLAN4にブロードキャストする(S50)。この結果、LAN4に有線接続されている第1プリンタ60、及び、LAN4に無線接続されている第3プリンタ66は、第2のコマンドを受信する。また、設定処理(S4)によって第2プリンタ64がLAN4に適切に無線接続されている場合には、第2プリンタ64は、第2のコマンドを受信する。各プリンタ60等は、自己のモデル名等を含む第2の応答を端末装置10に送信する。これにより、第1の取得部40が、各プリンタ60等のモデル名を取得し、問合部44が、各プリンタ60等のMACアドレスを取得する。なお、各プリンタ60等は、LAN4に接続するために利用しているインターフェイスに対応するMACアドレスを含む第2の応答を端末装置10に送信する。例えば、第1プリンタ60は、LAN4に有線接続されているために、自己の有線用MACアドレスを含む第2の応答を端末装置10に送信する。また、例えば、第3プリンタ66は、LAN4に無線接続されているために、自己の無線用MACアドレスを含む第2の応答を端末装置10に送信する。
【0040】
警告部46(図1参照)は、S50で得られた複数個の第2の応答に含まれる複数個のMACアドレスの中に、S44の無線用MACアドレス取得処理によって決定された無線用MACアドレス(図4のS82参照)が含まれるのか否かを判断する(S52)。例えば、設定処理(S4)によって第2プリンタ64がLAN4に適切に無線接続されている場合には、第2プリンタ64は、S82で決定された無線用MACアドレスと同じ無線用MACアドレスを含む第2の応答を端末装置10に送信する。この場合、警告部46は、S52でYESと判断し、S56に進む。一方において、例えば、S46でユーザが上記の特定の無線設定情報と異なる無線設定情報を入力した場合には、設定処理(S4)が実行されても、第2プリンタ64がLAN4に無線接続されない。従って、第2プリンタ64は、第2のコマンドを受信することができず、第2の応答を端末装置10に送信しない。この場合、警告部46は、S52でNOと判断し、ユーザが印刷機能を無線で利用することを所望する第2プリンタ64が適切に無線接続されていないことを示す情報を表示部14に表示させる(S54)。これにより、ユーザは、第2プリンタ64がLAN4に無線接続されていないことを知ることができ、第2プリンタ64をLAN4に無線接続するための処置(例えば上記の特定の無線設定情報を第2プリンタ64に設定するための処置)を講じることができる。S54を終えると、S56に進む。
【0041】
S56では、第1の実行部32は、無線接続プリンタ特定処理を実行する。図5は、無線接続プリンタ特定処理のフローチャートを示す。なお、以下では、図3のS50において、3個のプリンタ60,64,66の全てから第2の応答が得られた場合を例にして説明する。特定部34は、3個の第2の応答のそれぞれについて、当該第2の応答がモデル名「M1」を含むのか否かを判断する。第1プリンタ60からの第2の応答、及び、第2プリンタ64からの第2の応答は、それぞれ、モデル名「M1」を含む。特定部34は、第1プリンタ60からの第2の応答に含まれる第1プリンタ60のIPアドレス及びノード名と、第2プリンタ64からの第2の応答に含まれる第2プリンタ64のIPアドレス及びノード名と、をリスト(図示省略)に登録する(S90)。第3プリンタ66からの第2の応答は、モデル名「M1」を含まないために、第3プリンタ66のIPアドレス及びノード名は、上記のリストに登録されない。
【0042】
次いで、第1の実行部32は、処理数Nとして「1」を特定する(S92)。続いて、第1の取得部40は、リストのN番目(即ち1番目)のプリンタのIPアドレスを特定する。ここで特定されるIPアドレスを用いた通信によって、以下のS94、S102、及び、S106の処理が実行される。なお、本実施例では、リストの1番目のプリンタは、第1プリンタ60である。第1の取得部40は、第1プリンタ60が備えるインターフェイスの種類に関する種類情報を第1プリンタ60に要求することによって、第1プリンタ60の種類情報を取得する(S94)。例えば、第1プリンタ60が有線のインターフェイスのみを備える場合には、第1プリンタ60の種類情報は、有線のインターフェイスのみを示す。この場合、特定部34は、S96でYESと判断し、1番目のプリンタ(即ち第1プリンタ60)のノード名及びIPアドレスを、リストから削除する(S98)。
【0043】
また、例えば、第1プリンタ60が有線及び無線の両方のインターフェイスを備える場合には、第1プリンタ60の種類情報は、有線のインターフェイスと無線のインターフェイスとを示す。この場合、特定部34は、S96でNOと判断し、次いで、S100でYESと判断する。S100でYESの場合、第1の取得部40は、動作中のインターフェイスの種類に関する動作中I/F情報を第1プリンタ60に要求することによって、第1プリンタ60の動作中I/F情報を取得する(S102)。なお、上記の「動作中のインターフェイス」は、LAN4に対する接続に利用されているインターフェイスを意味する。第1プリンタ60がLAN4に有線接続されているために、第1プリンタ60の動作中I/F情報は、有線のインターフェイスを示す。この場合、特定部34は、S104でYESと判断し、1番目のプリンタ(即ち第1プリンタ60)のノード名及びIPアドレスを、リストから削除する(S98)。本実施例では、第1プリンタ60がLAN4に有線接続されているために、上記のS96又はS104でYESと判断され、その結果、第1プリンタ60のノード名及びIPアドレスがリストから削除される(S98)。S98を終えると、S110に進む。
【0044】
S110では、第1の実行部32は、現在の処理数N(即ち「1」)が、S90でリストに書き込まれたプリンタの数(即ちリストに書き込まれたノード名の数)に等しいのか否かを判断する(S110)。ここでNOの場合、第1の実行部32は、現在の処理数N(即ち「1」)に「1」を加算することによって、新たな処理数N(即ち「2」)を特定する(S112)。
【0045】
S112が実行された場合、第1の取得部40は、新たな処理数N(即ち「2」)に基づいて、S94以降の処理を再び実行する。本実施例では、リストの2番目のプリンタは、第2プリンタ64である。第1の取得部40は、第2プリンタ64の種類情報を取得する(S94)。第2プリンタ64は、無線のインターフェイスを備える。従って、特定部34は、S96でNOと判断する。例えば、第2プリンタ64が有線及び無線の両方のインターフェイスを備える場合には、特定部34は、S100でYESと判断する。この場合、第1の取得部40は、第2プリンタ64の動作中I/F情報を取得する(S102)。第2プリンタ64は、図3の設定処理(S4)によって、LAN4に無線接続されている。従って、第2プリンタ64の動作中I/F情報は、無線のインターフェイスを示す。この場合、特定部34は、S104でNOと判断し、S106に進む。
【0046】
S106では、第2の取得部42(図1参照)は、無線設定情報を第2プリンタ64に要求することによって、第2プリンタ64の無線設定情報を取得する。特定部34は、第2プリンタ64の無線設定情報が、デフォルトの無線設定情報に一致するのか否かを判断する(S108)。なお、無線設定情報は、SSIDと、通信手法(アドホック又はインフラストラクチャ)を示す情報と、セキュリティの有無を示す情報と、を含む。無線設定情報が「セキュリティ有」を示す情報を含む場合には、無線設定情報は、さらに、無線通信方式(認証方式及び暗号化方式)を含む。デフォルトの無線設定情報は、デフォルトのSSID(例えば「SETUP」)と、「アドホック」を示す情報と、「セキュリティ無」を示す情報と、を含む(従って無線通信方式を含まない)。上述したように、図3の設定処理(S4)において、端末装置10は、ユーザによって入力されたSSID及び無線通信方式(認証方式、暗号化方式)を第2プリンタ64に送信する(図3のS48参照)。この際に、第2プリンタ64は、デフォルトのSSIDに代えて、端末装置10から送信されるSSIDを設定し、「アドホック」に代えて、「インフラストラクチャ(即ちアクセスポイント62を介した通信手法)」を示す情報を設定する。さらに、第2プリンタ64は、「セキュリティ無」に代えて、「セキュリティ有」を示す情報を設定し、端末装置10から送信される無線通信方式(認証方式及び暗号化方式)を設定する。このために、S106で取得される第2プリンタ64の無線設定情報は、デフォルトの無線設定情報と異なる。この場合、特定部34は、S108でNOと判断し、S110に進む。
【0047】
ところで、仮に、図3のS46において、第2プリンタ64に設定されるべき無線設定情報をユーザが入力しなかった場合、入力手順に間違いがあってユーザが入力した無線設定情報が第2プリンタ64に設定されなかった場合等には、設定処理(S4)の実行後に、第2プリンタ64にデフォルトの無線設定情報が依然として設定されている。そして、S52では、YESと判断されるため、S56の処理が実行される。このS56の処理が実行される段階では、第2プリンタ64には、デフォルトの無線設定情報が依然として設定されている。この場合、第2プリンタ64は、デフォルトの無線設定情報を用いて、アドホック通信を実行し得る。従って、仮に、図3のS50において、端末装置10が、LAN4に第2のコマンドをブロードキャストすると共に、アドホック通信によって第2のコマンドをブロードキャストすると、第2プリンタ64は、アドホック通信によって送信される第2のコマンドに応じて、第2の応答を送信し得る。この場合、デフォルトの無線設定情報が設定されている第2プリンタ64が、S90においてリストに登録される。しかも、仮に、図5のS106がアドホック通信を用いて実行されると、S106では、第2プリンタ64からデフォルトの無線設定情報が取得され得る。そして、ユーザが第2プリンタ64にデフォルトの無線設定情報が設定されていることに気づかずに、ユーザがデフォルトの無線設定情報に従って第2プリンタ64を利用すると、セキュリティが確保されない。セキュリティが確保されない状態でのプリンタの利用は避けるべきである。そこで、S106で取得される第2プリンタ64の無線設定情報がデフォルトの無線設定情報に一致する場合には、特定部34は、S108でYESと判断し、2番目のプリンタ(即ち第2プリンタ64)のノード名及びIPアドレスを、リストから削除する(S98)。このように、S108の処理を実行することによって、セキュリティが確保される新たな無線設定情報が図3の設定処理(S4)で設定されたプリンタのみを、リストに残すことができる。S98を終えると、S110に進む。本実施例では、S90でリストに書き込まれたプリンタの数が「2」であり、しかも、現在の処理数Nが「2」であるために、第1の実行部32は、S110でYESと判断する。この場合、無線接続プリンタ特定処理(図3のS56)が終了し、図2のS16に進む。
【0048】
図2のS16では、提示部48は、S56の無線接続プリンタ特定処理で生成されたリストを表示部14に表示させる。本実施例では、上記のリストは、第2プリンタ64のIPアドレス及びノード名(printer64)のみを含む。従って、ユーザは、操作部12を操作することによって、第2プリンタ64を選択するための指示を端末装置10に入力する。この結果、選択部36は、ユーザの指示に従って、第2プリンタ64を選択する。ポート生成部38は、第2プリンタ64のIPアドレス又はノード名を用いて、第2プリンタ64に対応するプリンタポートを生成する(S20)。次いで、インストール部39は、プリンタドライバをインストールする(S22)。
【0049】
上記の図3のS50〜S56及び図2のS16〜S22の処理が終了すると、無線接続プリンタに対応するインストール処理(S6)が完了する。これにより、制御部30は、S20で生成された第2プリンタ64に対応するプリンタポートと、S22でインストールされたプリンタドライバと、を用いて、LAN4を介して、印刷指示を第2プリンタ64に送信することができる。上記の印刷指示は、無線通信によって(即ちアクセスポイント62を介して)、第2プリンタ64に送信される。第2プリンタ64は、上記の印刷指示に従って、印刷機能を実行する。この結果、端末装置10は、第2プリンタ64の印刷機能を無線で利用することができる。
【0050】
本実施例のネットワークシステム2の構成について詳しく説明した。本実施例では、ユーザが第2プリンタ64の印刷機能を無線で利用することを望む場合(S12でNOの場合)には、端末装置10は、図3の設定処理(S4)を実行する。これにより、図3のS42でユーザによって指定される第2プリンタ64に対して、上記の特定の無線設定情報を設定することができる。即ち、第2プリンタ64をLAN4に無線接続することができる。さらに、端末装置10は、無線接続プリンタに対応するインストール処理(S6)を実行する。この処理では、端末装置10は、LAN4に接続されている複数個のプリンタ60,64,66のうち、モデル名「M1」を有する第1プリンタ60及び第2プリンタ64をリストに登録する(図5のS90)。次いで、端末装置10は、LAN4に有線接続されている第1プリンタ60をリストから削除する。これにより、LAN4に無線接続されている第2プリンタ64が特定される。端末装置10は、LAN4に無線接続されている第2プリンタ64のみをユーザに提示する(図2のS16)。即ち、LAN4に有線接続されている第1プリンタ60、及び、LAN4に無線接続されているが、モデル名「M1」と異なるモデル名「M2」を有する第3プリンタ66は、ユーザに提示されない。ユーザが第2プリンタ64に対して無線設定を行なったにも関わらず、ユーザが誤って第1プリンタ60及び第3プリンタ66を選択することを抑制することができる。このために、端末装置10は、モデル名「M1」を有し、かつ、LAN4に無線接続されている第2プリンタ64を確実に選択することができる(図2のS18)。この結果、端末装置10は、第2プリンタ64に対応するプリンタポートを生成する(図2のS20)。このために、第2プリンタ64の印刷機能を無線で利用することができないという事象が発生するのを抑制することができる。
【0051】
本実施例の構成と本発明の構成との対応関係を記載しておく。プリンタ60,64,66が「複数個のデバイス」の一例であり、第2プリンタ64が「対象デバイス」、「注目デバイス」、及び、「特定のデバイス」の一例である。図5の無線接続プリンタ特定処理で特定される第2プリンタ64が「少なくとも1個の候補デバイス」の一例である。また、図5のS94で取得される種類情報、及び、図5のS102で取得される動作中I/F情報が「接続情報」の一例であり、図5のS106で取得される無線設定情報が「特定の情報」の一例である。また、図4の無線用MACアドレス取得処理で取得される無線用MACアドレスが、第3の取得部が取得する「特定のデバイスの固有情報」の一例であり、図3のS50で各プリンタ60等から取得されるMACアドレスが、問合部が問い合わせる(取得する)「1個以上の固有情報」の一例である。
【0052】
上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
(1)例えば、図2のS14又は図3のS56で生成されるリストが1個のプリンタのみを含む場合には、図2のS16の処理をスキップしてもよい。この場合、図2のS18において、選択部36は、リストに含まれる1個のプリンタを自動的に選択してもよい。
【0053】
(2)図3のS52でYESの場合は、図3のS42でユーザによって選択されたプリンタから第2の応答(以下では「特定の第2の応答」と呼ぶ)が取得されたことを意味する。特定部34は、図3のS52でYESの場合には、上記の特定の第2の応答にモデル名「M1」が含まれるのか否かを判断してもよい。ここで肯定的に判断される場合には、特定部34は、上記の特定の第2の応答の送信元のプリンタを、候補デバイスとして決定してもよい。選択部36は、上記の特定の第2の応答の送信元のプリンタを自動的に選択してもよい。ポート生成部38は、上記の特定の第2の応答に含まれるIPアドレス又はノード名を用いて、プリンタポートを生成してもよい。
【0054】
(3)なお、上記の実施例では、第3の取得部54は、図3のS44において、S42でユーザによって選択されたプリンタの無線用MACアドレスを取得する。これに代えて、第3の取得部54は、図3のS44において、S42でユーザによって選択されたプリンタの他の種類の固有情報(例えばUUID(Universal Unique Identifier)、製品のベンダが設定するシリアル番号等)を取得してもよい。この場合、問合部44は、図3のS50において、上記の他の種類の固有情報を要求する第2のコマンドをブロードキャストしてもよい。
【0055】
(4)端末装置10が上記の特定の無線設定情報(即ちアクセスポイント62を含む無線ネットワークで現在利用されている無線設定情報)を記憶している場合には、図3のS46及びS48に代えて、第2の実行部52は、自身が記憶している上記の特定の無線設定情報(SSID及び無線通信方式を含む)を第2プリンタ64に送信してもよい。即ち、端末装置10がレジストラ(Registrar)として機能する場合には、第2の実行部52は、上記の特定の無線設定情報を、エンローリ(Enrollee)として機能する第2プリンタ64に送信してもよい。本変形例によっても、第2の実行部52が第2プリンタ64に上記の特定の無線設定情報を設定することができる。
【0056】
(5)図3のS50では、第1の実行部32は、モデル名等のみならず、種類情報(図5のS94参照)、動作中I/F情報(図5のS102参照)、及び、無線設定情報(図5のS106)をさらに要求する上記の第2コマンドを送信してもよい。この場合、図5のS94、S102、及び、S106の処理をスキップすることができる。
【0057】
(6)また、図5のS94では、第1の実行部32は、種類情報のみならず、動作中I/F情報(図5のS102参照)、及び、無線設定情報(図5のS106)をさらに要求してもよい。この場合、図5のS102及びS106の処理をスキップすることができる。また、図4のS102の段階において、第1の実行部32は、種類中I/F情報のみならず、無線設定情報(図5のS106)をさらに要求してもよい。この場合、図5のS106の処理をスキップすることができる。
【0058】
(7)デバイスドライバは、記録媒体20からインストールされなくてもよい。例えば、端末装置10のOSプログラム26は、モデル名「M1」を有するプリンタのためのデバイスドライバを含んでいてもよい。この場合、インストール部39は、OSプログラム26に含まれるデバイスドライバを記憶部24内の所定の領域に格納することによって、デバイスドライバをインストールしてもよい。
【0059】
(8)上記の実施例の技術は、プリンタドライバとは異なる他のデバイスドライバが端末装置10にインストールされる場合にも適用することできる。他のデバイスドライバの例として、例えば、スキャナドライバを挙げることができる。
【0060】
(9)上記の実施例では、端末装置10が第2プリンタ64の印刷機能を無線で利用するための構成として、第2プリンタ64がアクセスポイント62を介してインフラストラクチャモードで端末装置10と無線通信する構成を採用している。これに代えて、第2プリンタ64は、アクセスポイント62を介さずにアドホックモードで端末装置10と無線通信を行うようにしてもよい。この場合にも、第2プリンタ64に、デフォルトの無線設定情報と異なる新たな無線設定情報を設定すれば、上記の実施例と同様に、端末装置10は、アドホックモードに従った無線通信によって第2プリンタ64の印刷機能を利用することができる。この説明から分かるように、本発明は、アドホックネットワークなどのネットワークに接続される対象デバイスの機能を無線で利用するためのデバイスドライバがインストールされる端末装置に適用可能である。
【0061】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0062】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0063】
2:ネットワークシステム、4:LAN、10:端末装置、18:記録媒体読取部、20:記録媒体、22:プログラム、30:制御部、60:第1プリンタ、64:第2プリンタ、66:第3プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続される複数個のデバイスのうちの所定のモデル名を有する対象デバイスの機能を無線で利用するためのデバイスドライバがインストールされる端末装置であって、
前記デバイスドライバを前記端末装置にインストールするためのインストール処理を実行する第1の実行部を備え、
前記第1の実行部は、
前記複数個のデバイスの中から、前記所定のモデル名を有し、かつ、前記ネットワークに無線接続されている少なくとも1個の候補デバイスを特定する特定部と、
前記特定部によって特定される前記少なくとも1個の候補デバイスの中から、1個の候補デバイスを前記対象デバイスとして選択する選択部と、
前記選択部によって選択される前記対象デバイスに対応するポートを生成するポート生成部と、
前記デバイスドライバを前記端末装置にインストールするインストール部と、
を備える端末装置。
【請求項2】
前記第1の実行部は、前記ネットワークを介して、前記複数個のデバイスのうちの注目デバイスから、前記注目デバイスのモデル名と、前記注目デバイスが前記ネットワークに無線接続されているのか否かを示す接続情報と、を取得する第1の取得部をさらに備え、
前記特定部は、前記注目デバイスから取得される前記モデル名と前記接続情報とに基づいて、前記注目デバイスが前記候補デバイスであるのか否かを決定する、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記第1の実行部は、前記ネットワークを介して、前記複数個のデバイスのうちの注目デバイスから、無線設定に関する特定の情報を取得する第2の取得部をさらに備え、
前記特定部は、前記注目デバイスから取得される前記特定の情報に基づいて、前記注目デバイスが前記候補デバイスであるのか否かを決定する、請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記注目デバイスから取得される前記特定の情報が、デフォルトの無線設定を示さない場合に、前記注目デバイスが前記候補デバイスであると決定する、請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記第1の実行部は、前記特定部によって特定される前記少なくとも1個の候補デバイスをユーザに提示する提示部をさらに備え、
前記選択部は、前記ユーザの指示に従って、前記少なくとも1個の候補デバイスの中から、前記1個の候補デバイスを前記対象デバイスとして選択する、請求項1から4のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項6】
前記第1の実行部によって前記インストール処理が実行される前に、ユーザによって前記対象デバイスとして指定される特定のデバイスに無線通信方式を設定するための設定処理を実行する第2の実行部をさらに備え、
前記第2の実行部は、前記特定のデバイスから、前記特定のデバイスの固有情報を取得する第3の取得部を備え、
前記第1の実行部は、
前記ネットワークを介して、前記複数個のデバイスに固有情報を問い合わせる問合部と、
前記問合部によって取得される1個以上の固有情報の中に、前記第3の取得部によって取得される前記特定のデバイスの前記固有情報が含まれない場合に、前記ユーザに警告する警告部をさらに備える請求項1から5のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項7】
ネットワークに接続される複数個のデバイスのうちの所定のモデル名を有する対象デバイスの機能を無線で利用するためのデバイスドライバを、端末装置にインストールするためのコンピュータプログラムであって、
前記端末装置に搭載されるコンピュータに、以下の各処理、即ち、
前記複数個のデバイスの中から、前記所定のモデル名を有し、かつ、前記ネットワークに無線接続されている少なくとも1個の候補デバイスを特定する特定処理と、
前記特定部によって特定される前記少なくとも1個の候補デバイスの中から、1個の候補デバイスを前記対象デバイスとして選択する選択処理と、
前記選択部によって選択される前記対象デバイスに対応するポートを生成するポート生成処理と、
前記デバイスドライバを前記端末装置にインストールするインストール処理と、
を実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−76278(P2011−76278A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225770(P2009−225770)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】