説明

端末装置の製造装置、および端末装置の製造方法

【課題】表示部材を筺体に接着する際の接着不良を削減することが可能な端末装置の製造装置を提供する。
【解決手段】画像が片面に表示される平板状の表示部材11と、表示部材11のもう一方の面に貼り付けられる枠状の接着部材12と、接着部材12に接する接着面13aを備えた筺体13と、を有する端末装置10を製造するための装置において、各々が凸状に湾曲した湾曲面を備え、一方の押し治具2の湾曲面2aの頂部が接着部材12の辺部の中央部を挟んで他方の押し治具3の湾曲面3aの頂部に対向した状態で表示部材11および筺体13を挟み込んで押圧したときに、接着面13aと表示部材11との間で接着部材12が辺部の中央部から辺部の両端部に向かって押圧される範囲が広がるように湾曲面2a、3aが変形する一対の押し治具2、3を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部材が接着部材によって筺体に接着される端末装置の製造装置およびその端末装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機に代表される端末装置では、装置の防水機能を確保するために表示部材を両面テープで筐体に接着する技術が知られている(特許文献1参照)。この技術では、一般的に、専用の治具を用いて表示部材を筐体に接着させる。
【0003】
図5は、本発明に関連する端末装置、およびその製造装置を説明するための図である。図5(a)は、本発明に関連する端末装置200の要部構成を示す斜視図である。図5(b)は、本発明に関連する製造装置100の構成を示す断面図である。図5(b)は、図5(a)に示す切断線A−Aに沿った断面図に対応している。
【0004】
端末装置200は、図5(b)に示すように、表示部材201と、両面テープ202と、筺体203とを有する。製造装置100は、押し治具101と、押し治具102とで構成されている。表示部材201および筺体203が、押し治具101と押し治具102との間に挟み込まれた状態で押圧されると、両面テープ202が押し潰されて表示部材201が筺体203に接着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−109495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5(b)に示す製造装置100では、押し治具101における表示部材201に接する面、および押し治具102における筺体203に接する面が、ともに平坦面となっている。そのため、押し治具101の加圧に伴う筺体12の反りによって、両面テープ11は、その両端部からその中央部に向かって筺体203に接着していく可能性がある。このような接着過程を経て表示部材201が筺体203に接着すると、図6(a)に示すように、空気S(図6(a)に示す斜線部参照)が両面テープ11の中央部に集められる可能性が高くなる。この空気Sは、逃げ場がないため、押し治具101、102を端末装置200から外した後、両面テープ202と筺体203との間に残留する場合がある(図6(b)参照)。この場合、両面テープ202の接着不良によって不良品が数多く発生する可能性が高くなる。この不良品を良品にするためには、端末装置200を解体して再度組立てる必要があるため、多大な作業時間が掛かってしまう。
【0007】
本発明は、表示部材を筺体に接着する際の接着不良を削減することが可能な端末装置の製造装置および端末装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の端末装置の製造装置は、画像が片面に表示される平板状の表示部材と、前記表示部材のもう一方の面に貼り付けられる枠状の接着部材と、前記接着部材に接する接着面を備えた筺体と、を有する端末装置を製造するための装置において、各々が凸状に湾曲した湾曲面を備えた一対の押し治具であって、一方の押し治具の前記湾曲面の頂部が前記接着部材の辺部の中央部を挟んで他方の押し治具の前記湾曲面の頂部に対向した状態で前記表示部材および前記筺体を挟み込んで押圧したときに、前記表示部材と前記接着面との間で前記接着部材が前記辺部の前記中央部から前記辺部の両端部に向かって押圧される範囲が広がるように前記湾曲面が変形する一対の押し治具を有する、ことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の他の端末装置の製造装置は、画像が片面に表示される平板状の表示部材と、前記表示部材のもう一方の面に貼り付けられる枠状の接着部材と、前記接着部材に接する接着面を備えた筺体と、を有する端末装置を製造するための装置において、一方が凸状に湾曲した湾曲面を備え、他方が平坦面を備えた一対の押し治具であって、前記一方の押し治具の前記湾曲面の頂部が前記接着部材の辺部の中央部を挟んで前記他方の押し治具の前記平坦面に対向した状態で前記表示部材および前記筺体を挟み込んで押圧したときに、前記接着面と前記表示部材との間で前記接着部材が前記辺部の前記中央部から前記辺部の両端部に向かって押圧される範囲が広がるように前記湾曲面が変形する一対の押し治具を有する、ことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の端末装置の製造方法は、画像が片面に表示される平板状の表示部材と、前記表示部材のもう一方の面に貼り付けられる枠状の接着部材と、前記接着部材に接する接着面を備えた筺体と、を有する端末装置の製造方法において、各々が凸状に湾曲した湾曲面を備えた一対の押し治具を用いて、一方の押し治具の前記湾曲面の頂部が前記接着面の辺部の中央部を挟んで他方の押し治具の前記湾曲面の頂部に対向した状態で前記表示部材および前記筺体を挟み込んで押圧する工程を有し、該工程において前記接着面と前記表示部材との間で前記接着部材が前記辺部の前記中央部から前記辺部の両端部に向かって押圧される範囲が広がるように前記湾曲面が変形することを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の他の端末装置の製造方法は、画像が片面に表示される平板状の表示部材と、前記表示部材のもう一方の面に貼り付けられる枠状の接着部材と、前記接着部材に接する接着面を備えた筺体と、を有する端末装置の製造方法において、一方が凸状に湾曲した湾曲面を備え、他方が平坦面を備えた一対の押し治具を用いて、前記一方の押し治具の前記湾曲面の頂部が前記接着部材の辺部の中央部を挟んで前記他方の押し治具の前記平坦面に対向した状態で前記表示部材および前記筺体を挟み込んで押圧する工程を有し、該工程において前記接着面と前記表示部材との間で前記接着部材が前記辺部の前記中央部から前記辺部の両端部に向かって押圧される範囲が広がるように前記湾曲面が変形する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表示部材を筺体に接着する際の接着不良を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態の製造装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す製造装置の断面図である。
【図3】図1に示す製造装置に設けられた押し部材の他の形態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の製造装置の断面図である。
【図5】本発明に関連する端末装置、およびその製造装置を説明するための図である。
【図6】本発明に関連する端末装置、およびその製造装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の製造装置の構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す製造装置の断面図である。本実施形態の製造装置1は、端末装置10を製造するための装置である。
【0015】
まず、端末装置10の構成について説明する。端末装置10は、画像が片面に表示される平板状の表示部材11と、表示部材11のもう一方の面に貼り付けられる枠状の接着部材12と、接着部材12に接する接着面13aを備えた筺体13と、を有する。本実施形態では、端末装置10は携帯電話機とし、表示部材11は液晶技術あるいは有機エレクトロルミネッセンス技術等を用いた画像を表示可能な構成とし、接着部材12は両面テープあるいは接着剤とする。
【0016】
次に、製造装置1の構成について説明する。製造装置1は、一対の押し治具2、3を有する。押し治具2は矩形の枠状に形成されている。押し治具2の各辺部には、凸状に湾曲した湾曲面2aが形成されている。一方、押し治具3の片面にも凸状に湾曲した湾曲面3aが形成されている。一対の押し治具2、3の素材は、例えばゴムなどの弾性部材である。
【0017】
次に、上述した製造装置1を用いて表示部材11を筺体13に接着させる工程について説明する。図2に示すように、押し治具2の湾曲面2aの頂部が接着部材12の辺部(短辺部)の中央部を挟んで押し治具3の湾曲面3aの頂部に対向した状態で表示部材11および筺体13を挟み込んで押圧する。すると、接着面13aと表示部材11との間で接着部材12が辺部の中央部から辺部の両端部に向かって押圧される範囲が広がるように湾曲面2a、3aが変形する。これにより、空気が外部に逃げやすくなるので、接着部材12と筺体13との間に空気が残留しにくくなる。その結果、本実施形態の製造装置1は、上述した製造装置100に比べ、表示部材11を筺体13に接着する際の接着不良を削減することが可能となる。
【0018】
さらに、本実施形態では、押し治具2、3をゴム製にすることで、加圧時に押し治具2、3が接着部材12を接着面13a全体に確実かつ均一に接着させることが可能となる。
【0019】
本発明では、押し治具3の形状は、図1に示すように湾曲面3aが筺体13全体に接するようなかまぼこ形に限定されない。例えば、押し治具3の湾曲面3aは、図3に示すように、接着部材12の各辺部(長辺部および短辺部)に個別に対応して枠状に形成された形状(4つの半円柱体を矩形に接続したような形状)であってもよい。湾曲面3aがこのような形状であっても加圧時に押圧範囲を接着部材12の辺部の中央部から辺部の両端部に向かって広げることは可能である。
【0020】
(第2の実施形態)
図4は、本実施形態の製造装置1aの断面図である。以下、上述した第1の実施形態の製造装置1と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0021】
本実施形態の製造装置1aは、押し治具2と、押し治具4と、を有する。押し治具4には、平坦面4aが形成されている。製造装置1aを用いて表示部材11を筺体13に接着させる場合、まず、押し治具2の湾曲面2aの頂部が、接着部材12の辺部(短辺部)の中央部を挟んで押し治具4の平坦面4aに対向した状態で表示部材11および筺体13を挟み込んで押圧する。すると、第1の実施形態と同様に、接着面13aと表示部材11との間で接着部材12が、辺部の中央部から辺部の両端部に向かって押圧される範囲が広がるように湾曲面2aが変形する。したがって、加圧時に巻き込まれた空気が外部に逃げやすくなるので、接着部材12と筺体13との間に空気が残留しにくくなる。その結果、本実施形態の製造装置1aは、上述した製造装置100に比べ、表示部材を筺体に接着する際の接着不良を削減することが可能となる。
【0022】
本実施形態では、押し治具2が湾曲面2aを備え、かつ押し治具4が平坦面4aを備える構成であったが、押し治具2が平坦面を備え、かつ押し治具4が湾曲面を備える構成であってもよい。このような構成であっても加圧時に押圧範囲を接着部材12の辺部の中央部から辺部の両端部に向かって広げることは可能である。
【符号の説明】
【0023】
1、1a 製造装置
2、3、4 押し治具
2a、3a 湾曲面
4a 平坦面
10 端末装置
11 表示部材
12 接着部材
13 筺体
100 製造装置
101、102 押し治具
200 端末装置
201 表示部材
202 両面テープ
203 筺体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が片面に表示される平板状の表示部材と、前記表示部材のもう一方の面に貼り付けられる枠状の接着部材と、前記接着部材に接する接着面を備えた筺体と、を有する端末装置を製造するための装置において、
各々が凸状に湾曲した湾曲面を備えた一対の押し治具であって、一方の押し治具の前記湾曲面の頂部が前記接着部材の辺部の中央部を挟んで他方の押し治具の前記湾曲面の頂部に対向した状態で前記表示部材および前記筺体を挟み込んで押圧したときに、前記表示部材と前記接着面との間で前記接着部材が前記辺部の前記中央部から前記辺部の両端部に向かって押圧される範囲が広がるように前記湾曲面が変形する一対の押し治具を有する、ことを特徴とする端末装置の製造装置。
【請求項2】
画像が片面に表示される平板状の表示部材と、前記表示部材のもう一方の面に貼り付けられる枠状の接着部材と、前記接着部材に接する接着面を備えた筺体と、を有する端末装置を製造するための装置において、
一方が凸状に湾曲した湾曲面を備え、他方が平坦面を備えた一対の押し治具であって、前記一方の押し治具の前記湾曲面の頂部が前記接着部材の辺部の中央部を挟んで前記他方の押し治具の前記平坦面に対向した状態で前記表示部材および前記筺体を挟み込んで押圧したときに、前記接着面と前記表示部材との間で前記接着部材が前記辺部の前記中央部から前記辺部の両端部に向かって押圧される範囲が広がるように前記湾曲面が変形する一対の押し治具を有する、ことを特徴とする端末装置の製造装置。
【請求項3】
前記一対の押し治具が、ゴム製である、請求項1または2に記載の端末装置の製造装置。
【請求項4】
前記一方の押し治具の前記湾曲面が前記接着部材の各辺部に個別に対応して枠状に形成されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の端末装置の製造装置。
【請求項5】
画像が片面に表示される平板状の表示部材と、前記表示部材のもう一方の面に貼り付けられる枠状の接着部材と、前記接着部材に接する接着面を備えた筺体と、を有する端末装置の製造方法において、
各々が凸状に湾曲した湾曲面を備えた一対の押し治具を用いて、一方の押し治具の前記湾曲面の頂部が前記接着面の辺部の中央部を挟んで他方の押し治具の前記湾曲面の頂部に対向した状態で前記表示部材および前記筺体を挟み込んで押圧する工程を有し、該工程において前記接着面と前記表示部材との間で前記接着部材が前記辺部の前記中央部から前記辺部の両端部に向かって押圧される範囲が広がるように前記湾曲面が変形することを特徴とする端末装置の製造方法。
【請求項6】
画像が片面に表示される平板状の表示部材と、前記表示部材のもう一方の面に貼り付けられる枠状の接着部材と、前記接着部材に接する接着面を備えた筺体と、を有する端末装置の製造方法において、
一方が凸状に湾曲した湾曲面を備え、他方が平坦面を備えた一対の押し治具を用いて、前記一方の押し治具の前記湾曲面の頂部が前記接着部材の辺部の中央部を挟んで前記他方の押し治具の前記平坦面に対向した状態で前記表示部材および前記筺体を挟み込んで押圧する工程を有し、該工程において前記接着面と前記表示部材との間で前記接着部材が前記辺部の前記中央部から前記辺部の両端部に向かって押圧される範囲が広がるように前記湾曲面が変形する、ことを特徴とする端末装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−3343(P2013−3343A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134275(P2011−134275)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】