説明

端末装置及び印刷制御方法、並びに印刷システム

【課題】 各メンバーが使用するプリンタによって印刷を行うタイミングを合わせ、手間を要することなく確実に印刷物を配布する。
【解決手段】 印刷システムにおいて、印刷物を配布しようとするユーザ端末10Zは、配布すべき印刷物の印刷データを作成して格納し、複数のユーザのうち印刷物を配布すべき対象ユーザに関する個人情報ファイルをデータベース30から取得し、取得した個人情報ファイルに含まれる情報であって複数のプリンタ20A,20B,20C,・・・のうち対象ユーザ毎に対応するプリンタのIPアドレスに基づいて印刷データを送信する。そして、ユーザ端末10Zは、印刷データの送信後に、個人情報ファイルに含まれる情報であって対象ユーザ毎に対応した電子メールアドレスを宛先として電子メールを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のネットワークに接続された印刷装置に対する印刷制御を行う端末装置及び印刷制御方法、並びに印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のネットワーク技術の進歩にともない、いわゆる電子メールを利用可能なユーザ間で、会議開催の連絡等を電子メールを用いて連絡しあうことが可能となっている。このような場合、主催者は、本文に会議の開催情報を記載するとともに、会議中に必要な資料については添付ファイルとした電子メールを作成し、これを各メンバーに送信するのが通常である。そして、かかる電子メールを受信した各メンバーは、添付ファイルに対応するアプリケーションを用いて当該添付ファイルを開き、所定のプリンタを用いて印刷した上で、印刷された資料を持ち寄って会議に臨むことになる。
【0003】
このようなネットワークを用いて取得した会議資料等の印刷を行う技術としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−21473号公報
【0005】
具体的には、この特許文献1には、ネットワークを利用して遠隔地の画像形成装置に印字出力を行うプリントシステムが開示されている。特に、このプリントシステムは、ユーザが利用するユーザ端末と、サーバと、画像形成装置を具備する出力用端末とを備えるものである。そして、ユーザ端末は、画像表示手段と、任意のアプリケーションソフトウェアからの印字出力データをサーバに送信する送信手段とを有し、サーバは、ユーザ端末から受信した印字出力データを格納する格納手段と、印字出力データを、印字出力を実行ささせる対象となる出力用端末に転送する転送手段とを有し、出力用端末は、サーバから受信した印字出力データを画像形成装置に印字出力する印字出力手段を有するものである。これにより、このプリントシステムにおいては、ネットワークを介して遠隔地の画像形成装置を簡便に利用することができるとしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のネットワークを利用したシステムにおいては、電子メールを受信したメンバーが印刷されるべき資料をそれぞれ印刷する必要がある。そのため、かかるシステムにおいては、各メンバーが添付ファイルを印刷するタイミングが様々となる。したがって、かかるシステムにおいては、仮に資料の印刷量が多い場合には、印刷処理に多くの時間を費やす必要があり、会議開催時間といった印刷物を必要とする時間に入手することができないという不具合を生じることがあった。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、各メンバーが使用するプリンタによって印刷を行うタイミングを合わせることができ、手間を要することなく確実に印刷物を配布することができる端末装置及び印刷制御方法、並びに印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成する本発明にかかる端末装置は、所定のネットワークに接続するネットワーク接続手段と、配布すべき印刷物の印刷データを格納する印刷データ格納手段と、前記印刷物を配布すべきメンバーに関するメンバー情報を取得するメンバー情報取得手段と、前記メンバー情報取得手段によって取得したメンバー情報に含まれる情報であってメンバーに対応して前記ネットワークに接続された印刷装置のネットワークアドレスを取得するネットワークアドレス取得手段と、前記ネットワークアドレス取得手段によって取得した前記印刷装置のネットワークアドレスに基づいて前記印刷データを送信する印刷データ送信手段と、前記メンバー情報に含まれる情報であってメンバーに対応した電子メールアドレスを取得する電子メールアドレス取得手段と、前記電子メールアドレス取得手段によって取得した電子メールアドレスを宛先として電子メールを送信する電子メール送信手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
このような本発明にかかる端末装置においては、印刷物を配布しようとするメンバーが印刷を実行するのみで、当該印刷物を配布すべき他のメンバーが使用する印刷装置によって印刷を行わせておくことが可能となる。すなわち、本発明にかかる端末装置においては、各メンバーが使用する印刷装置によって印刷を行うタイミングを合わせることができる。
【0010】
ここで、前記メンバー情報取得手段は、前記メンバー情報を前記ネットワークに接続されたサーバ装置から取得する。これにより、本発明にかかる端末装置においては、印刷物を配布すべきメンバーに変更があった場合であっても、サーバ装置に格納されているメンバー情報を変更するのみで、正しいメンバーに印刷物を配布することが可能となる。
【0011】
また、本発明にかかる端末装置は、前記ネットワークに接続された他の端末装置から送信された印刷データを受信する印刷データ受信手段と、前記印刷データ受信手段によって受信した印刷データに基づいて、前記印刷装置によって所定の記録媒体に対して印刷を行わせる印刷制御手段とを備える。すなわち、本発明にかかる端末装置は、他の端末装置から送信された印刷データに基づいて、自動的に印刷を行うことができる。
【0012】
そして、前記印刷制御手段は、前記印刷データ送信手段による前記印刷データの送信前に、当該印刷データに基づいて、当該端末装置が通常使用するものとして設定された印刷装置によって所定の記録媒体に対して印刷を行わせる。これにより、本発明にかかる端末装置においては、印刷物を配布しようとするメンバーが自己の印刷装置から先行して印刷を行うことができ、当該メンバーが印刷物を取得する時間を短縮することができる。
【0013】
さらに、本発明にかかる端末装置は、前記メンバー情報に含まれる情報であってメンバーに指定された印刷フォームを示す印刷指定フォーム情報を取得する印刷フォーム情報取得手段と、前記印刷フォーム情報取得手段によって取得した印刷指定フォーム情報に基づいて前記印刷データを変換する印刷データ変換手段とを備える。これにより、本発明にかかる端末装置においては、印刷物を配布しようとするメンバーが指定する印刷フォームにかかわらず、各メンバーの所望の印刷フォームのスタイルでの印刷を行うことができ、各メンバーにとって最適な印刷物の配布を実現することができる。
【0014】
さらにまた、本発明にかかる端末装置は、前記印刷データ送信手段によって送信した前記印刷データに基づいて前記印刷装置による印刷が正常に行われたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって印刷が正常に行われていないものと判定した場合に、所定のエラー制御を行うエラー制御手段とを備える。これにより、本発明にかかる端末装置においては、各メンバーが使用する印刷装置が印刷を行うことができない状態である場合であっても、適切にエラー制御を行うことができ、印刷物の配布ミスを回避することができる。具体的には、前記エラー制御手段は、印刷エラーである旨を示す印刷エラー情報を本文に記載するとともに送信しようとした前記印刷データを添付ファイルとした電子メールを前記電子メール送信手段によって送信させることができる。
【0015】
また、上述した目的を達成する本発明にかかる印刷制御方法は、所定のネットワークに接続された印刷装置に対する印刷制御を行う印刷制御方法であって、配布すべき印刷物の印刷データを格納する印刷データ格納工程と、前記印刷物を配布すべきメンバーに関するメンバー情報を取得するメンバー情報取得工程と、前記メンバー情報取得工程にて取得したメンバー情報に含まれる情報であってメンバーに対応して前記ネットワークに接続された印刷装置のネットワークアドレスを取得するネットワークアドレス取得工程と、前記ネットワークアドレス取得工程にて取得した前記印刷装置のネットワークアドレスに基づいて前記印刷データを送信する印刷データ送信工程と、前記メンバー情報に含まれる情報であってメンバーに対応した電子メールアドレスを取得する電子メールアドレス取得工程と、前記電子メールアドレス取得工程にて取得した電子メールアドレスを宛先として電子メールを送信する電子メール送信工程とを備えることを特徴としている。
【0016】
このような本発明にかかる印刷制御方法においては、印刷物を配布しようとするメンバーが印刷を実行するのみで、当該印刷物を配布すべき他のメンバーが使用する印刷装置によって印刷を行わせておくことが可能となる。すなわち、本発明にかかる印刷制御方法においては、各メンバーが使用する印刷装置によって印刷を行うタイミングを合わせることが可能となる。
【0017】
さらに、上述した目的を達成する本発明にかかる印刷システムは、所定のネットワークに接続され、印刷物を配布すべき複数のメンバーが所持する複数の端末装置と、前記ネットワークに接続され、前記端末装置からの指示に応じて、所定の記録媒体に対して印刷を行う複数の印刷装置とを備え、前記端末装置は、配布すべき前記印刷物の印刷データを格納する印刷データ格納手段と、前記印刷物を配布すべきメンバーに関するメンバー情報を取得するメンバー情報取得手段と、前記メンバー情報取得手段によって取得したメンバー情報に含まれる情報であってメンバーに対応して前記ネットワークに接続された印刷装置のネットワークアドレスを取得するネットワークアドレス取得手段と、前記ネットワークアドレス取得手段によって取得した前記印刷装置のネットワークアドレスに基づいて前記印刷データを送信する印刷データ送信手段と、前記メンバー情報に含まれる情報であってメンバーに対応した電子メールアドレスを取得する電子メールアドレス取得手段と、前記電子メールアドレス取得手段によって取得した電子メールアドレスを宛先として電子メールを送信する電子メール送信手段とを有することを特徴としている。
【0018】
このような本発明にかかる印刷システムにおいては、印刷物を配布しようとするメンバーが自己の端末装置及び印刷装置を用いて印刷を実行するのみで、当該印刷物を配布すべき他のメンバーが使用する印刷装置によって印刷を行わせておくことが可能となる。すなわち、本発明にかかる印刷システムにおいては、各メンバーが使用する印刷装置によって印刷を行うタイミングを合わせることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、印刷物を配布しようとするメンバーが印刷を実行するのみで、当該印刷物を配布すべき他のメンバーが使用する印刷装置によって印刷を行わせておくことが可能となることから、各メンバーが使用する印刷装置によって印刷を行うタイミングを合わせることができる。したがって、本発明においては、手間を要することなく確実に印刷物を配布することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
この実施の形態は、ネットワークに接続された印刷装置としてのプリンタを用いて印刷を行う印刷システムである。特に、この印刷システムにおいては、プリンタドライバを改良し、複数のプリンタによって印刷データの複数同時印刷を行うことができるものである。
【0022】
まず、第1の実施の形態として示す印刷システムについて説明する。
【0023】
図1に示すように、印刷システムは、印刷物を配布すべきメンバーである複数のユーザA,B,C,・・・,Zがそれぞれ所持する複数のユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zと、これらユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zのそれぞれの最寄りに存在する複数のプリンタ20A,20B,20C,・・・,20Zと、複数のユーザA,B,C,・・・,Zによって共有される各種情報を格納するデータベース30とが、所定のネットワークNTに接続されて構成される。なお、このネットワークNTは、特にLAN(Local Area Network)に限らず、遠隔地を想定し、インターネットを介したWAN(Wide Area Network)をも含む概念である。また、"最寄り"とは、ユーザA,B,C,・・・,Zがそれぞれ所持するユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zが通常使用するプリンタとして設定されていることを意味するものである。
【0024】
ユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zは、それぞれ、各ユーザA,B,C,・・・,Zによって所持されるパーソナルコンピュータ等の端末装置として構成され、ネットワークNTを介して互いに通信可能に構成される。具体的には、ユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zは、それぞれ、図2に示すように、各部を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)11と、各種プログラムを含む各種情報を格納する読み取り専用のROM(Read Only Memory)12と、ワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)13と、各種情報を読み出し及び/又は書き込み可能に記憶する記憶部14と、外部のネットワーク網NTに接続して通信を行う通信部15と、ユーザインターフェースとしての図示しない所定の操作デバイスを介した入力操作の処理及び制御を行う入力操作制御部16と、各種情報を表示する表示部17とを備える。なお、これら各部のうち、CPU11は、配布すべき印刷物の印刷データを格納する印刷データ格納手段としての機能を有するとともに、後述する管理ドライバの機能とあいまって、印刷物を配布すべきメンバーに関するメンバー情報を取得するメンバー情報取得手段、このメンバー情報取得手段によって取得したメンバー情報に含まれる情報であってメンバーに対応してネットワークNTに接続されたプリンタのネットワークアドレスを取得するネットワークアドレス取得手段、メンバー情報に含まれる情報であってメンバーに対応した電子メールアドレスを取得する電子メールアドレス取得手段、及び他のユーザ端末から受信した印刷データに基づいてプリンタによって所定の記録媒体に対して印刷を行わせる印刷制御手段としての機能を有する。また、通信部15は、CPU11によって実行される管理ドライバの機能とあいまって、ネットワークNTに接続するネットワーク接続手段、アドレス取得手段によって取得したプリンタのネットワークアドレスに基づいて印刷データを送信する印刷データ送信手段、電子メールアドレス取得手段によって取得した電子メールアドレスを宛先として電子メールを送信する電子メール送信手段、ネットワークNTに接続された他のユーザ端末から送信された電子メールを受信する電子メール受信手段、及びネットワークNTに接続された他のユーザ端末から送信された印刷データを受信する印刷データ受信手段としての機能を有する。
【0025】
CPU11は、ROM12や記憶部14に格納されている後述する管理ドライバをはじめとする各種プログラムを実行し、各部を統括的に制御する。
【0026】
ROM12は、各種プログラムをはじめとする各種情報を格納している。このROM12に格納されている情報は、CPU11の制御のもとに読み出される。
【0027】
RAM13は、CPU11が各種プログラムを実行する際のワークエリアとして機能し、CPU11の制御のもとに、各種情報を一時記憶するとともに、記憶している各種情報を読み出す。
【0028】
記憶部14は、配布すべき印刷物の印刷データを作成する各種アプリケーションプログラムや後述する管理ドライバといったソフトウェアの他、各種画像データや音声データをはじめとする各種情報を記憶する。記憶部14は、これら各種情報をCPU11の制御のもとに記憶するとともに、記憶している各種情報を読み出す。この記憶部14としては、例えば、ハードディスクや不揮発性メモリ等を用いることができる。また、記憶部14としては、本体に対して着脱可能とされるフレキシブルディスクやメモリカード等の記憶媒体に対して、各種情報の読み出し及び/又は書き込みを行うドライブ装置も含まれる。
【0029】
通信部15は、例えば、アナログ回線、いわゆるイーサネット(登録商標)等から構成されるLAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、若しくはFTTH(Fiber To The Home)等の各種ネットワーク回線、又はIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11に準拠した無線LAN若しくはいわゆるブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等の各種無線通信方式といった、各種方式に基づくネットワークNTに接続するためのインターフェースであり、CPU11の制御のもとに、外部との通信を行う。
【0030】
入力操作制御部16は、例えば、キーボード、マウス、キーパッド、赤外線リモートコントローラ、スティックキー、又はプッシュボタンといった、ユーザインターフェースとしての図示しない所定の操作デバイスを介した入力操作を受け付け、操作内容を示す制御信号をCPU11に対して供給する。
【0031】
表示部17は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)、プラズマ・ディスプレイ・パネル(Plasma Display Panel;PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(Organic ElectroLuminescent)ディスプレイ、又はCRT(Cathode Ray Tube)といった、各種表示デバイスであり、CPU11の制御のもとに、各種情報を表示する。例えば、表示部17は、配布すべき印刷物の印刷データを作成するアプリケーションプログラムの操作画面等を表示する。
【0032】
このような各部を備えるユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zは、それぞれ、各ユーザA,B,C,・・・,Zによって所定の管理ドライバがOS(Operating System)に登録されているとともに、各プリンタ20A,20B,20C,・・・,20Zに固有に割り当てられているネットワークアドレスであるIP(Internet Protocol)アドレスが当該管理ドライバに登録されている。
【0033】
ここで、この管理ドライバは、各ユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zが印刷実行を行った際にアプリケーションプログラムから呼び出されるドライバであり、一般的なプリンタドライバの機能に加え、データベース30に格納されている後述する個人情報ファイルを参照することによる電子メールアドレス及び各プリンタ20A,20B,20C,・・・,20ZのIPアドレスを取得する機能、電子メールの送信機能、並びに電子メールの送信内容の作成機能を備えたものである。
【0034】
ユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zは、それぞれ、このような管理ドライバが登録されていることにより、印刷したい印刷データをアプリケーションプログラム上から指定したプリンタ20A,20B,・・・,20Zによって印刷することが可能となる。例えば、ユーザZは、最寄りに存在するプリンタ20ZのIPアドレスを管理ドライバに登録しておけばよい。ただし、ユーザZは、必要に応じて、他のプリンタ20A,20B,20C,・・・のIPアドレスを管理ドライバに登録することにより、自己のユーザ端末10Zから複数のプリンタに対して印刷の指示を行わせることが可能となる。なお、以下では、ユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zについて、それぞれ、特に区別をしない場合には、単にユーザ端末10と称するものとする。
【0035】
プリンタ20A,20B,20C,・・・,20Zは、それぞれ、ネットワークNTを介して受信したデータに基づいて印刷を行うネットワークページプリンタとして構成される。これらプリンタ20A,20B,20C,・・・,20Zには、それぞれ、ネットワーク管理者によって固有のIPアドレスが割り当てられている。そして、プリンタ20A,20B,20C,・・・,20Zは、それぞれ、ユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zからの指示に応じて、所定の記録媒体に対して印刷を行い、印刷物を作成する。なお、以下では、プリンタ20A,20B,20C,・・・,20Zについて、それぞれ、特に区別をしない場合には、単にプリンタ20と称するものとする。
【0036】
データベース30は、例えば、ハードディスクや、これらのハードディスクを複数台用いていわゆるRAID(Redundant Arrays of Independent (Inexpensive) Disks)構成とした装置といった所定の記憶装置を備えたサーバ装置として構成され、ユーザA,B,C,・・・,Zによって共有される各種情報を格納する。具体的には、このデータベース30には、各ユーザA,B,C,・・・,Zに関するメンバー情報である個人情報ファイルが、当該各ユーザA,B,C,・・・,Z毎に予め格納されている。この個人情報ファイルは、各ユーザA,B,C,・・・,Zが携わるプロジェクトの内容を示すプロジェクト情報、各ユーザA,B,C,・・・,Zが所持するユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zの最寄りに存在する各プリンタ20A,20B,20C,・・・,20ZのIPアドレスを示すIPアドレス情報、及び各ユーザA,B,C,・・・,Zが自己のユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zを用いて電子メースの送受信を行う際に用いる電子メールアドレスが設定されたものである。このデータベース30に格納された情報は、各ユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zに登録された管理ドライバによって読み出される。
【0037】
このような印刷システムにおいては、図3に示すように、例えばユーザZがあるプロジェクトに関する会議の主催者であり、配布すべき印刷物の印刷データを作成して格納する者である場合には、当該ユーザZが自己のユーザ端末10Zによってアプリケーションプログラムを実行し、配布すべき印刷物の印刷データを作成して記憶部14等に格納し、印刷を実行する旨を指示する。そして、ユーザ端末10Zは、登録されている管理ドライバにより、この印刷データに基づいて、最寄りに存在するプリンタ20Zから印刷させるのみならず、データベース30に格納されている個人情報ファイルを参照し、登録されている同じプロジェクトに携わる他のユーザを検索し、このメンバーに対応したプリンタ20のIPアドレスを取得し、当該プリンタ20からも印刷を行わせる。
【0038】
具体的には、印刷システムにおいては、ユーザZがあるプロジェクトに関する会議の主催者である場合には、ユーザ端末10Zに登録された管理ドライバの制御のもとに、図4に示すような一連の工程を経ることにより、印刷物の作成を行う。
【0039】
まず、ユーザ端末10Zは、ユーザZがプロジェクトに関する会議を開催するために資料としての印刷物の印刷データを作成して記憶部14等に格納し、所定のアプリケーションプログラムから管理ドライバを呼び出す。これに応じて、ユーザ端末10は、同図に示すように、ステップS1において、管理ドライバの制御のもとに、プロジェクト情報を選択する。すなわち、管理ドライバは、ユーザZによってプロジェクト情報を選択可能に構成されており、ユーザ端末10Zは、このプロジェクト情報の選択後に、ステップS2において、当該ユーザZの操作に応じて印刷実行を行う。
【0040】
これに応じて、ユーザ端末10Zは、ステップS3において、管理ドライバの制御のもとに、ネットワークNT上のデータベース30に格納されている個人情報ファイルにアクセスして当該個人情報ファイルに設定されているプロジェクト情報を参照し、当該プロジェクトに携わるユーザが存在する場合には、これらのユーザを印刷データの送信対象者として選定する。
【0041】
続いて、ユーザ端末10Zは、ステップS4において、管理ドライバの制御のもとに、送信対象者の個人情報ファイルを参照することによって当該送信対象者の最寄りに存在するプリンタ20のIPアドレス情報を取得する。そして、ユーザ端末10Zは、ステップS5において、取得したIPアドレス情報に基づいて、該当する全てのプリンタ20に対して印刷データを送信し、これらプリンタ20による印刷を行わせる。また、ユーザ端末10は、ステップS6において、管理ドライバの制御のもとに、選定した送信対象者の電子メールアドレスを、個人情報ファイルを参照することによって取得する。
【0042】
そして、ユーザ端末10Zは、ステップS7において、管理ドライバの制御のもとに、ユーザZによって会議の開催を通知する内容からなる電子メールの本文としての文書が入力されるのに応じて当該電子メールを作成し、ステップS8において、この内容とともに、会議に必要な資料が既に各ユーザの最寄りに存在するプリンタ20によって印刷済みである旨を示す印刷完了情報を記載した電子メールを、ステップS6にて取得した電子メールアドレスを宛先として送信し、一連の処理を終了する。
【0043】
印刷システムにおいては、ユーザ端末10Zに登録された管理ドライバの制御のもとに、このような一連の工程を経ることにより、最寄りに存在するプリンタ20Zのみならず、関連する全てのユーザの最寄りに存在するプリンタ20によって印刷データの複数同時印刷を行うことができる。そして、印刷システムにおいて、他のユーザ端末10のユーザは、受信した電子メールを閲覧することにより、会議が開催される旨を把握するとともに、最寄りに存在するプリンタ20によって印刷された印刷物を取得することができる。
【0044】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態として示す印刷システムにおいては、ユーザ端末10に管理ドライバを登録することにより、会議に必要な資料を主催者本人が印刷を実行するのみで、誰がプロジェクトに携わっているのかを意識することなく、自動的に当該プロジェクトに携わっているユーザに対して、会議の開催通知を送信することができるのみならず、会議の参加者全員の最寄りに存在するプリンタ20によって資料の印刷を行わせておくことが可能となる。
【0045】
したがって、印刷システムにおいては、主催者がプロジェクトに携わる全てのメンバーの宛先を指定する必要がなく、参加者全員に開催通知を送信する手間を省くことができる。また、印刷システムにおいては、主催者がプロジェクトに携わる全てのメンバーに印刷物を配布するために、当該全てのメンバーの最寄りに存在するプリンタ20のIPアドレスを指定する必要がなく、印刷データを送信するために対象となる全てのプリンタ20のIPアドレスを印刷ツールに登録する手間も省くことができる。さらに、印刷システムにおいては、参加者が資料を印刷する必要がなく、そのための操作の手間を省くこともできる。
【0046】
また、印刷システムにおいては、プロジェクトに携わるメンバーに変更があった場合には、データベース30に格納されている個人情報ファイルを変更するのみで、主催者が正しいメンバーに開催通知を送信することができ、印刷物を配布することが可能となる。
【0047】
なお、この第1の実施の形態では、プロジェクト情報、使用するネットワークプリンタのIPアドレス、及び電子メールアドレスを含む個人情報を、ネットワークNTに接続されたデータベース30から取得するものとして説明したが、印刷システムにおいては、かかる個人情報をユーザ端末10Z自身が予め保有していてもよい。
【0048】
また、この第1の実施の形態では、印刷データはユーザ端末10Z上のアプリケーションプログラムによって作成され、印刷データの配布先を決定するためのプロジェクト情報はユーザ端末10Zによって決定されるものとして説明したが、かかる印刷データ及びプロジェクト情報は、ネットワークNTに接続された他のユーザ端末から送信される形態としてもよい。
【0049】
つぎに、第2の実施の形態として示す印刷システムについて説明する。
【0050】
この第2の実施の形態として示す印刷システムは、会議の主催者が印刷の実行を行った場合に、当該主催者の最寄りに存在するプリンタ20から先行して印刷を行った上で、他のユーザの処理を実行するものである。したがって、この第2の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
【0051】
第2の実施の形態として示す印刷システムは、先に図1及び図3に示した印刷システムと同様に構成される。また、この印刷システムを構成するユーザ端末10、プリンタ20、及びデータベース30も、第1の実施の形態において示したものと同様に構成される。
【0052】
このような印刷システムにおいては、ユーザZがあるプロジェクトに関する会議の主催者である場合には、ユーザ端末10Zに登録された管理ドライバの制御のもとに、図5に示すような一連の工程を経ることにより、印刷物の作成を行う。
【0053】
まず、ユーザ端末10Zは、ユーザZがプロジェクトに関する会議を開催するために資料としての印刷物の印刷データを作成して記憶部14等に格納し、所定のアプリケーションプログラムから管理ドライバを呼び出す。これに応じて、ユーザ端末10は、同図に示すように、ステップS11において、管理ドライバの制御のもとに、プロジェクト情報を選択し、このプロジェクト情報の選択後に、ステップS12において、当該ユーザZの操作に応じて印刷実行を行う。
【0054】
これに応じて、ユーザ端末10Zは、ステップS13において、最寄りのプリンタ20ZのIPアドレスが予め登録されている管理ドライバの制御のもとに、印刷データの送信元たるユーザZの最寄りに存在するプリンタ20Zによって印刷データに基づいて印刷させる。そして、ユーザ端末10Zは、ステップS14において、管理ドライバの制御のもとに、ネットワークNT上のデータベース30に格納されている個人情報ファイルにアクセスして当該個人情報ファイルに設定されているプロジェクト情報を参照し、当該プロジェクトに携わるユーザが存在する場合には、これらのユーザを印刷データの送信対象者として選定する。
【0055】
続いて、ユーザ端末10Zは、ステップS15において、管理ドライバの制御のもとに、送信対象者の個人情報ファイルを参照することによって当該送信対象者の最寄りのプリンタ20のIPアドレス情報を取得する。そして、ユーザ端末10Zは、ステップS16において、取得したIPアドレス情報に基づいて、該当する全てのプリンタ20に対して印刷データを送信し、これらプリンタ20による印刷を行わせる。また、ユーザ端末10は、ステップS17において、管理ドライバの制御のもとに、選定した送信対象者の電子メールアドレスを、個人情報ファイルを参照することによって取得する。
【0056】
そして、ユーザ端末10Zは、ステップS18において、管理ドライバの制御のもとに、ユーザZによって会議の開催を通知する内容からなる電子メールの本文としての文書が入力されるのに応じて当該電子メールを作成し、ステップS19において、この内容とともに、会議に必要な資料が既に各ユーザの最寄りのプリンタ20によって印刷済みである旨を示す印刷完了情報を記載した電子メールを、ステップS17にて取得した電子メールアドレスを宛先として送信し、一連の処理を終了する。
【0057】
印刷システムにおいては、ユーザ端末10Zに登録された管理ドライバの制御のもとに、このような一連の工程を経ることにより、最寄りのプリンタ20Zとともに、関連する全てのユーザの最寄りのプリンタ20によって印刷データの複数同時印刷を行うことができる。そして、印刷システムにおいて、他のユーザ端末10のユーザは、受信した電子メールを閲覧することにより、会議が開催される旨を把握するとともに、最寄りに存在するプリンタ20によって印刷された印刷物を取得することができる。
【0058】
なお、印刷実行を行ったユーザZの印刷物は、データベース30に格納されている情報によらずとも予め印刷してあることから、ユーザ端末10Zにおいては、データベース30に格納されている情報に基づく印刷データの送信対象者から削除するようにしてもよい。
【0059】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態として示す印刷システムにおいては、主催者本人が印刷の実行を行った場合に、当該主催者の最寄りに存在するプリンタ20Zから先行して印刷を行った上で、他のユーザの処理を実行することから、第1の実施の形態の効果に加え、当該主催者本人が印刷物を取得する時間を短縮することができる。
【0060】
つぎに、第3の実施の形態として示す印刷システムについて説明する。
【0061】
この第3の実施の形態として示す印刷システムは、会議の主催者が指定する印刷フォームにかかわらず、各ユーザの所望の印刷フォームのスタイルでの印刷を行うものである。したがって、この第3の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
【0062】
第3の実施の形態として示す印刷システムは、先に図1に示した印刷システムと同様に構成される。また、この印刷システムを構成するユーザ端末10及びプリンタ20も、第1の実施の形態及び第2の実施の形態において示したものと同様に構成される。なお、CPU11は、管理ドライバの機能とあいまって、メンバー情報に含まれる情報であってメンバーに指定された印刷フォームを示す印刷指定フォーム情報を取得する印刷フォーム情報取得手段、及びこの印刷フォーム情報取得手段によって取得した印刷指定フォーム情報に基づいて印刷データを変換する印刷データ変換手段としての機能を有する。
【0063】
これに対して、データベース30に格納される個人情報ファイルは、図6に示すように、各ユーザA,B,C,・・・,Zが携わるプロジェクトの内容を示すプロジェクト情報、各ユーザA,B,C,・・・,Zが所持するユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zの最寄りに存在する各プリンタ20A,20B,20C,・・・,20ZのIPアドレスを示すIPアドレス情報、及び各ユーザA,B,C,・・・,Zが自己のユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zを用いて電子メースの送受信を行う際に用いる電子メールアドレスに加え、各ユーザA,B,C,・・・,Z毎に指定された印刷フォームを示す印刷指定フォーム情報が設定されたものとされる。この印刷指定フォーム情報は、各ユーザA,B,C,・・・,Zが嗜好に応じて設定した内容から構成され、例えば、記録媒体としての用紙シート毎のページ指定、及び両面印刷の有無等を示す情報から構成される。ユーザ端末10A,10B,10C,・・・,10Zは、管理ドライバの制御のもとに、このような個人情報ファイルを参照する。
【0064】
このような印刷システムにおいては、ユーザZがあるプロジェクトに関する会議の主催者である場合には、ユーザ端末10Zに登録された管理ドライバの制御のもとに、図7に示すような一連の工程を経ることにより、印刷物の作成を行う。
【0065】
まず、ユーザ端末10Zは、ユーザZがプロジェクトに関する会議を開催するために資料としての印刷物の印刷データを作成して記憶部14等に格納し、所定のアプリケーションプログラムから管理ドライバを呼び出す。これに応じて、ユーザ端末10は、同図に示すように、ステップS21において、管理ドライバの制御のもとに、プロジェクト情報を選択し、このプロジェクト情報の選択後に、ステップS22において、当該ユーザZの操作に応じて印刷実行を行う。
【0066】
これに応じて、ユーザ端末10Zは、ステップS23において、最寄りのプリンタ20ZのIPアドレスが予め登録されている管理ドライバの制御のもとに、印刷データの送信元たるユーザZの最寄りに存在するプリンタ20Zによって印刷データに基づいて印刷させる。そして、ユーザ端末10Zは、ステップS24において、管理ドライバの制御のもとに、ネットワークNT上のデータベース30に格納されている個人情報ファイルにアクセスして当該個人情報ファイルに設定されているプロジェクト情報を参照し、当該プロジェクトに携わるユーザが存在する場合には、これらのユーザを印刷データの送信対象者として選定する。このとき、ユーザ端末10Zは、印刷データの送信対象者として、印刷実行者たるユーザZを含めなくてもよい。
【0067】
続いて、ユーザ端末10Zは、ステップS25において、管理ドライバの制御のもとに、送信対象者の個人情報ファイルを参照することによって当該送信対象者の最寄りのプリンタ20のIPアドレス情報を取得する。また、ユーザ端末10Zは、ステップS26において、管理ドライバの制御のもとに、送信対象者の個人情報ファイルを参照することによって当該送信対象者の印刷指定フォーム情報を取得し、ステップS27において、取得した印刷フォームのスタイル(パターン)数Nを認識する。
【0068】
そして、ユーザ端末10Zは、管理ドライバの制御のもとに、指定された印刷フォームのスタイル毎に印刷データを変換して作成し、ステップS25にて取得したIPアドレス情報に基づいて、該当する全てのプリンタ20に対して、指定されたスタイルで作成した印刷データを送信し、これらプリンタ20による印刷を行わせる。具体的には、ユーザ端末10Zは、ステップS28において、N番目のスタイルで印刷データを作成し、ステップS29において、この印刷データを該当する全てのプリンタ20に対して送信すると、ステップS30において、Nをデクリメントし、ステップS31において、N=0であるか否かを判定する。そして、ユーザ端末10Zは、N=0でないものと判定した場合には、ステップS28へと処理を移行し、N−1番目のスタイルで印刷データを作成する。ユーザ端末10Zは、このような処理を、ステップS31においてN=0であるものと判定するまで行い、ステップS32へと処理を移行する。
【0069】
ユーザ端末10は、ステップS32へと処理を移行すると、管理ドライバの制御のもとに、選定した送信対象者の電子メールアドレスを、個人情報ファイルを参照することによって取得する。そして、ユーザ端末10Zは、ステップS33において、管理ドライバの制御のもとに、ユーザZによって会議の開催を通知する内容からなる電子メールの本文としての文書が入力されるのに応じて当該電子メールを作成し、ステップS34において、この内容とともに、会議に必要な資料が既に各ユーザの最寄りのプリンタ20によって印刷済みである旨を示す印刷完了情報を記載した電子メールを、ステップS32にて取得した電子メールアドレスを宛先として送信し、一連の処理を終了する。
【0070】
印刷システムにおいては、ユーザ端末10Zに登録された管理ドライバの制御のもとに、このような一連の工程を経ることにより、各ユーザA,B,C,・・・,Zの所望の印刷フォームのスタイルで、複数のプリンタ20によって印刷データの複数同時印刷を行うことができる。そして、印刷システムにおいて、他のユーザ端末10のユーザは、受信した電子メールを閲覧することにより、会議が開催される旨を把握するとともに、最寄りに存在するプリンタ20によって自己の嗜好に応じた印刷フォームで印刷された印刷物を取得することができる。
【0071】
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態として示す印刷システムにおいては、主催者本人が指定する印刷フォームにかかわらず、各ユーザの所望の印刷フォームのスタイルでの印刷を行うことから、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の効果に加え、各ユーザにとって最適な印刷物の配布を実現することができる。
【0072】
最後に、第4の実施の形態として示す印刷システムについて説明する。
【0073】
この第4の実施の形態として示す印刷システムは、各ユーザの最寄りに存在するプリンタ20に対するエラー制御を行うものである。したがって、この第4の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
【0074】
第4の実施の形態として示す印刷システムは、先に図1及び図3に示した印刷システムと同様に構成される。また、この印刷システムを構成するユーザ端末10、プリンタ20、及びデータベース30も、第1の実施の形態及び第2の実施の形態において示したものと同様に構成される。なお、CPU11は、管理ドライバの機能とあいまって、印刷データ送信手段によって送信した印刷データに基づいてプリンタによる印刷が正常に行われたか否かを判定する判定手段、及びこの判定手段によって印刷が正常に行われていないものと判定した場合に所定のエラー制御を行うエラー制御手段としての機能を有する。
【0075】
このような印刷システムにおいては、ユーザZがあるプロジェクトに関する会議の主催者である場合には、ユーザ端末10Zに登録された管理ドライバの制御のもとに、図8に示すような一連の工程を経ることにより、印刷物の作成を行う。
【0076】
まず、ユーザ端末10Zは、ユーザZがプロジェクトに関する会議を開催するために資料としての印刷物の印刷データを作成して記憶部14等に格納し、所定のアプリケーションプログラムから管理ドライバを呼び出す。これに応じて、ユーザ端末10は、同図に示すように、ステップS41において、管理ドライバの制御のもとに、プロジェクト情報を選択し、このプロジェクト情報の選択後に、ステップS42において、当該ユーザZの操作に応じて印刷実行を行う。
【0077】
これに応じて、ユーザ端末10Zは、ステップS43において、最寄りのプリンタ20ZのIPアドレスが予め登録されている管理ドライバの制御のもとに、印刷データの送信元たるユーザZの最寄りに存在するプリンタ20Zによって印刷データに基づいて印刷させる。そして、ユーザ端末10Zは、ステップS44において、管理ドライバの制御のもとに、ネットワークNT上のデータベース30に格納されている個人情報ファイルにアクセスして当該個人情報ファイルに設定されているプロジェクト情報を参照し、当該プロジェクトに携わるユーザが存在する場合には、これらのユーザを印刷データの送信対象者として選定する。このとき、ユーザ端末10Zは、印刷データの送信対象者として、印刷実行者たるユーザZを含めなくてもよい。
【0078】
続いて、ユーザ端末10Zは、ステップS45において、管理ドライバの制御のもとに、送信対象者の個人情報ファイルを参照することによって当該送信対象者の最寄りのプリンタ20のIPアドレス情報を取得する。そして、ユーザ端末10Zは、ステップS46において、取得したIPアドレス情報に基づいて、該当する全てのプリンタ20に対して印刷データを送信し、これらプリンタ20による印刷を行わせる。また、ユーザ端末10は、ステップS47において、管理ドライバの制御のもとに、選定した送信対象者の電子メールアドレスを、個人情報ファイルを参照することによって取得する。
【0079】
そして、ユーザ端末10Zは、管理ドライバの制御のもとに、ユーザZによって会議の開催を通知する内容からなる電子メールの本文としての文書が入力されるのに応じて当該電子メールを作成し、この内容とともに、会議に必要な資料が既に各ユーザの最寄りのプリンタ20によって印刷済みである旨を示す印刷完了情報を記載した電子メールを、ステップS47にて取得した電子メールアドレスを宛先として送信する。
【0080】
ただし、ユーザ端末10Zは、送信対象者の最寄りに存在するプリンタ20のステータスがエラー又はオフライン等であり、印刷を行うことができない状態である場合には、管理ドライバの制御のもとに、会議の開催を通知する内容とともに印刷エラーである旨を示す印刷エラー情報を本文に記載するとともに、送信しようとした印刷データを添付ファイルとした電子メールを作成し、この電子メールを送信する。
【0081】
具体的には、ユーザ端末10Zは、ステップS48において、管理ドライバの制御のもとに、ユーザZによって会議の開催を通知する内容からなる電子メールの本文としての文書が入力されるのに応じて当該電子メールを作成すると、ステップS49において、電子メールを送信すべき送信対象者数をnとするとともに、パラメータX=1として設定し、ステップS50において、X>nであるか否かを判定する。
【0082】
ここで、ユーザ端末10Zは、X>nであるものと判定した場合には、電子メールの送信対象者が存在しないことを示すことから、そのまま一連の処理を終了する。一方、ユーザ端末10Zは、X≦nであるものと判定した場合には、ステップS51へと処理を移行し、管理ドライバの制御のもとに、X番目の送信対象者の最寄りに存在するプリンタ20による印刷が正常に行われたか否かを判定する。
【0083】
ユーザ端末10Zは、印刷が正常に行われたものと判定した場合には、ステップS52において、管理ドライバの制御のもとに、会議の開催を通知する内容とともに当該会議に必要な資料が既に各ユーザの最寄りのプリンタ20によって印刷済みである旨を示す印刷完了情報を記載して作成した電子メールを、ステップS47にて取得した電子メールアドレスを宛先として送信し、ステップS55へと処理を移行する。勿論、この電子メールには、印刷データを添付ファイルとして添付する必要はない。
【0084】
一方、ユーザ端末10Zは、印刷が正常に行われていないものと判定した場合には、ステップS53へと処理を移行し、印刷データを取得し、ステップS54において、会議の開催を通知する内容とともに当該会議に必要な資料が印刷不可能である旨を示す印刷エラー情報を記載するとともに、ステップS53にて取得した印刷データを添付ファイルとして添付して作成した電子メールを、ステップS47にて取得した電子メールアドレスを宛先として送信し、ステップS55へと処理を移行する。
【0085】
そして、ユーザ端末10Zは、ステップS55において、Xをインクリメントし、ステップS50からの処理を繰り返す。ユーザ端末10Zは、このような処理を、ステップS50においてX>nであるものと判定するまで、すなわち、電子メールの送信対象者が存在しなくなるまで行うことになる。
【0086】
印刷システムにおいては、ユーザ端末10Zに登録された管理ドライバの制御のもとに、このような一連の工程を経ることにより、各ユーザの最寄りに存在するプリンタ20に対するエラー制御を行いながら、複数のプリンタ20によって印刷データの複数同時印刷を行うことができる。そして、印刷システムにおいて、他のユーザ端末10のユーザは、受信した電子メールを閲覧することにより、会議が開催される旨を把握するとともに、最寄りに存在するプリンタ20によって印刷された印刷物を取得することができる。
【0087】
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態として示す印刷システムにおいては、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の効果に加え、送信対象者の最寄りに存在するプリンタ20が印刷を行うことができない状態である場合であっても、適切にエラー制御を行うことができ、印刷物の配布ミスを回避することができる。
【0088】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、管理ドライバによって送信される電子メールとして、ユーザによって会議の開催を通知する内容を入力して作成するものとして説明したが、本発明は、単に印刷完了情報又は印刷エラー情報を記載した電子メールを送信するようにしてもよい。
【0089】
また、上述した実施の形態では、印刷データの全てを送信するものとして説明したが、本発明は、例えば印刷データの先頭から所定の行数を抜き出したデータといったように、印刷データの一部を送信するようにしてもよい。
【0090】
さらに、上述した第4の実施の形態では、第2の実施の形態として示した処理内容にエラー制御処理を加えたものとして説明したが、本発明は、第3の実施の形態として示した処理内容にエラー制御処理を加えた場合であっても適用することができる。
【0091】
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施の形態として示す印刷システムの構成を説明する図である。
【図2】同印刷システムにおけるユーザ端末の構成を説明するブロック図である。
【図3】同印刷システムにおけるデータベースに格納される情報の内容、及び処理内容の概略を説明する図である。
【図4】同印刷システムにおいて、ユーザ端末に登録された管理ドライバの制御のもとに印刷物の作成を行う際の一連の工程を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態として示す印刷システムにおいて、ユーザ端末に登録された管理ドライバの制御のもとに印刷物の作成を行う際の一連の工程を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施の形態として示す印刷システムにおけるデータベースに格納される情報の内容、及び処理内容の概略を説明する図である。
【図7】同印刷システムにおいて、ユーザ端末に登録された管理ドライバの制御のもとに印刷物の作成を行う際の一連の工程を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施の形態として示す印刷システムにおいて、ユーザ端末に登録された管理ドライバの制御のもとに印刷物の作成を行う際の一連の工程を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
10,10A,10B,10C,・・・,10Z ユーザ端末
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 記憶部
15 通信部
16 入力操作制御部
17 表示部
20,20A,20B,20C,・・・,20Z プリンタ
30 データベース
A,B,C,・・・,Z ユーザ
NT ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のネットワークに接続するネットワーク接続手段と、
配布すべき印刷物の印刷データを格納する印刷データ格納手段と、
前記印刷物を配布すべきメンバーに関するメンバー情報を取得するメンバー情報取得手段と、
前記メンバー情報取得手段によって取得したメンバー情報に含まれる情報であってメンバーに対応して前記ネットワークに接続された印刷装置のネットワークアドレスを取得するネットワークアドレス取得手段と、
前記ネットワークアドレス取得手段によって取得した前記印刷装置のネットワークアドレスに基づいて前記印刷データを送信する印刷データ送信手段と、
前記メンバー情報に含まれる情報であってメンバーに対応した電子メールアドレスを取得する電子メールアドレス取得手段と、
前記電子メールアドレス取得手段によって取得した電子メールアドレスを宛先として電子メールを送信する電子メール送信手段とを備えること
を特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記メンバー情報取得手段は、前記メンバー情報を前記ネットワークに接続されたサーバ装置から取得すること
を特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
前記印刷データ送信手段による前記印刷データの送信前に、当該印刷データに基づいて、当該端末装置が通常使用するものとして設定された印刷装置によって所定の記録媒体に対して印刷を行わせる印刷制御手段を備えること
を特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項4】
前記メンバー情報に含まれる情報であってメンバーに指定された印刷フォームを示す印刷指定フォーム情報を取得する印刷フォーム情報取得手段と、
前記印刷フォーム情報取得手段によって取得した印刷指定フォーム情報に基づいて前記印刷データを変換する印刷データ変換手段とを備えること
を特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項5】
前記印刷データ送信手段によって送信した前記印刷データに基づいて前記印刷装置による印刷が正常に行われたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって印刷が正常に行われていないものと判定した場合に、所定のエラー制御を行うエラー制御手段とを備えること
を特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項6】
前記エラー制御手段は、印刷エラーである旨を示す印刷エラー情報を本文に記載するとともに送信しようとした前記印刷データを添付ファイルとした電子メールを前記電子メール送信手段によって送信させること
を特徴とする請求項5記載の端末装置。
【請求項7】
所定のネットワークに接続された印刷装置に対する印刷制御を行う印刷制御方法であって、
配布すべき印刷物の印刷データを格納する印刷データ格納工程と、
前記印刷物を配布すべきメンバーに関するメンバー情報を取得するメンバー情報取得工程と、
前記メンバー情報取得工程にて取得したメンバー情報に含まれる情報であってメンバーに対応して前記ネットワークに接続された印刷装置のネットワークアドレスを取得するネットワークアドレス取得工程と、
前記ネットワークアドレス取得工程にて取得した前記印刷装置のネットワークアドレスに基づいて前記印刷データを送信する印刷データ送信工程と、
前記メンバー情報に含まれる情報であってメンバーに対応した電子メールアドレスを取得する電子メールアドレス取得工程と、
前記電子メールアドレス取得工程にて取得した電子メールアドレスを宛先として電子メールを送信する電子メール送信工程とを備えること
を特徴とする印刷制御方法。
【請求項8】
前記メンバー情報取得工程では、前記メンバー情報を前記ネットワークに接続されたサーバ装置から取得すること
を特徴とする請求項7記載の印刷制御方法。
【請求項9】
前記印刷データ送信工程による前記印刷データの送信前に、当該印刷データに基づいて、当該端末装置が通常使用するものとして設定された印刷装置によって所定の記録媒体に対して印刷を行わせる印刷制御工程を備えること
を特徴とする請求項7記載の印刷制御方法。
【請求項10】
前記メンバー情報に含まれる情報であってメンバーに指定された印刷フォームを示す印刷指定フォーム情報を取得する印刷フォーム情報取得工程と、
前記印刷フォーム情報取得工程にて取得した印刷指定フォーム情報に基づいて、前記印刷データを変換する印刷データ変換工程とを備えること
を特徴とする請求項7記載の印刷制御方法。
【請求項11】
前記印刷データ送信工程にて送信した前記印刷データに基づいて前記印刷装置による印刷が正常に行われたか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程にて印刷が正常に行われていないものと判定した場合に、所定のエラー制御を行うエラー制御工程とを備えること
を特徴とする請求項7記載の印刷制御方法。
【請求項12】
前記エラー制御工程では、印刷エラーである旨を示す印刷エラー情報を本文に記載するとともに送信しようとした前記印刷データを添付ファイルとした電子メールが作成されること
を特徴とする請求項11記載の印刷制御方法。
【請求項13】
所定のネットワークに接続され、印刷物を配布すべき複数のメンバーが所持する複数の端末装置と、
前記ネットワークに接続され、前記端末装置からの指示に応じて、所定の記録媒体に対して印刷を行う複数の印刷装置とを備え、
前記端末装置は、
配布すべき前記印刷物の印刷データを格納する印刷データ格納手段と、
前記印刷物を配布すべきメンバーに関するメンバー情報を取得するメンバー情報取得手段と、
前記メンバー情報取得手段によって取得したメンバー情報に含まれる情報であってメンバーに対応して前記ネットワークに接続された印刷装置のネットワークアドレスを取得するネットワークアドレス取得手段と、
前記ネットワークアドレス取得手段によって取得した前記印刷装置のネットワークアドレスに基づいて前記印刷データを送信する印刷データ送信手段と、
前記メンバー情報に含まれる情報であってメンバーに対応した電子メールアドレスを取得する電子メールアドレス取得手段と、
前記電子メールアドレス取得手段によって取得した電子メールアドレスを宛先として電子メールを送信する電子メール送信手段とを有すること
を特徴とする印刷システム。
【請求項14】
前記メンバー情報取得手段は、前記メンバー情報を前記ネットワークに接続されたサーバ装置から取得すること
を特徴とする請求項13記載の印刷システム。
【請求項15】
前記端末装置は、前記印刷データ送信手段による前記印刷データの送信前に、当該印刷データに基づいて、当該端末装置が通常使用するものとして設定された印刷装置によって所定の記録媒体に対して印刷を行わせる印刷制御手段を有すること
を特徴とする請求項13記載の印刷システム。
【請求項16】
前記端末装置は、
前記メンバー情報に含まれる情報であってメンバーに指定された印刷フォームを示す印刷指定フォーム情報を取得する印刷フォーム情報取得手段と、
前記印刷フォーム情報取得手段によって取得した印刷指定フォーム情報に基づいて前記印刷データを変換する印刷データ変換手段とを有すること
を特徴とする請求項13記載の印刷システム。
【請求項17】
前記端末装置は、
前記印刷データ送信手段によって送信した前記印刷データに基づいて前記印刷装置による印刷が正常に行われたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって印刷が正常に行われていないものと判定した場合に、所定のエラー制御を行うエラー制御手段とを有すること
を特徴とする請求項13記載の印刷システム。
【請求項18】
前記エラー制御手段は、印刷エラーである旨を示す印刷エラー情報を本文に記載するとともに送信しようとした前記印刷データを添付ファイルとした電子メールを前記電子メール送信手段によって送信させること
を特徴とする請求項17記載の印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−79500(P2006−79500A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265092(P2004−265092)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】