説明

端末装置

【課題】電源スイッチがON状態のままでは、コネクタを引き抜くことができないようにする。
【解決手段】一側面部に電源スイッチ7を備えるとともに、電源供給用ラインのコネクタ10を着脱自在に接続させる装置本体1aと、この装置本体1aの一側面部に第1の位置とこの第1の位置とは異なる第2の位置との間で移動自在に設けられ、第1の位置に移動することによりコネクタ10に対向して該コネクタ10の抜き取りを規制し、第2の位置に移動することによりコネクタ10から退避してコネクタ10の抜取規制を解除する抜取規制機構15とを具備し、抜取規制機構15は、第1の位置に移動したとき、電源スイッチ7がONされるのに基づいて移動が規制され、電源スイッチがOFFされるのに基づいて移動規制が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高速道路の料金を収受する料金収受システムに適用される端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の端末装置は、その装置本体の背面側に電源スチッチを備えるとともに、レーン集計機の電源供給ラインのコネクタを着脱自在に接続させるようになっている。
【0003】
ところで、電源スチッチとコネクタとは通常、関連性がなく独立した状態となっており、電源スチッチをON状態にしたままでコネクタの抜き差しが可能となっている。
【0004】
このため、端末装置を持って移動する際、電源スイッチがON状態のままでコネクタを抜き取ってしまうことがあり、機器を故障させてしまう虞があった。
【0005】
そこで、従来においては、電源スイッチがON状態のときはコネクタを抜き取らないように使用者に口頭で説明したり、取扱説明書に記載したり、ラベルを貼り付けたりしていた。
【0006】
なお、基板挿入時の活線挿抜防止装置については開示されている(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2000−151155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、電源スイッチがON状態のときにはコネクタを抜き取らないように使用者に口頭で説明したり、取扱説明書に記載したり、ラベルを貼り付けただけでは、電源スイッチがON状態のままで、うっかりしてコネクタを抜き取ってしまう「人的なミス」が発生し易いという問題があった。
【0008】
また、特開2000−151155号公報に開示されるものは、基板挿入時における活線挿抜防止であり、コネクタの活線挿抜防止対策を開示するものではない。
【0009】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、電源スイッチがON状態のときには、電源供給ラインのコネクタを引き抜くことができないようにした端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1記載のものは、一側面部に電源スイッチを備えるとともに、電源供給用ラインのコネクタを着脱自在に接続させる装置本体と、この装置本体の一側面部に第1の位置とこの第1の位置とは異なる第2の位置との間で移動自在に設けられ、前記第1の位置に移動することにより前記コネクタに対向して該コネクタの抜き取りを規制し、前記第2の位置に移動することにより前記コネクタから退避して前記コネクタの抜き取り規制を解除する抜取規制手段とを具備し、前記抜取規制手段は、前記第1の位置に移動したとき、前記電源スイッチがONされるのに基づいて移動が規制され、前記電源スイッチがOFFされるのに基づいて移動規制が解除されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電源スイッチがON状態のときには、電源供給ラインのコネクタを抜き取ることができず、機器故障の防止、及び作業者の安全性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態である料金収受システムに用いられる操作表示端末装置1を示す斜視図で、図2は操作表示端末装置1を異なる角度から示す斜視図である。
【0013】
操作表示端末装置1は装置本体1aを有し、この装置本体1aの上面部には操作キースイッチ2を有してなる操作部3、及び表示部4が設けられ、内部には図3に示すように制御部5が設けられている。操作部3は、料金収受員が処理区分などの入力操作を行なうもので、表示部4は、料金収受員への案内表示やデータ処理結果を表示するものである。制御部5は、操作部3、及び表示部4を制御するものである。
【0014】
また、装置本体1aの背面部には図4にも示すように電源スイッチ7が設けられているとともに、電源供給ラインのコネクタ10が着脱自在に接続されている。この操作表示端末装置1は電源装置を装備せず、電源は後述するレーン集計機13から供給されるようになっている。
【0015】
操作表示端末装置1の操作部3及び表示部4、さらに、制御部5は図3に示すようにインターフェース部8、コネクタ10及び電源供給ライン11を介してレーン集計機13に接続され、料金収受システムを構成している。レーン集計機13は、主制御部、記憶装置、電源制御部、通信制御部等から構成され、操作表示端末装置1を制御して高速道路の当該車線における料金収受処理を行なうようになっている。また、レーン集計機13は、接続される外部機器と連動してETC処理を行なうようになっている。
【0016】
図4乃至図6は、筐体1aの背面部に着脱自在に接続されるコネクタ10の抜取規制手段としての抜取規制機構15を示すものである。
【0017】
この抜取規制機構15は金属製のスライド板16と、このスライド板16をスライド自在に保持する保持部17とを有して構成されている。
【0018】
保持部17は図8にも示すように筐体1aの背面部に取り付けられる断面コ字状をなすポリアセタール樹脂製の基板18と、この基板18に対向してネジ止め固定される金属製の保持プレート19とを有して構成される。スライド板16は基板18と保持プレート19との間に構成されるスペース内にスライド自在に挿入されている。基板18と保持プレート19とには電源スイッチ7を挿通させる開口部18a ,19aが穿設されている。
【0019】
スライド板16は図10にも概略的に示すようにその一端部に折曲部16aを有し、この折曲部16aに指が掛けられて左右方向にスライド操作されるようになっている。
【0020】
また、スライド板16の板面には図12にも示すように水平方向、即ち、スライド方向に沿って第1の孔21aが形成されているとともに、第1の孔21aの一端部側には該第1の孔21aに連通し、かつ、第1の孔21aに対し直交する方向に沿って第2の孔21bが形成されている。電源スイッチ7は上下方向に操作され、上方に操作されることによりON状態となり、下方に操作されることによりOFF状態になる。電源スイッチ7はON状態のときは、第2の孔21bに位置し、OFF状態のときは、第1の孔21aに位置するようになっている。電源スイッチ7がON状態のときは、スライド板16の移動が規制され、OFF状態のときは、スライド板16の移動規制が解除されるようになっている。
【0021】
また、スライド板16の他端部側には、電源スイッチ7のON時にコネクタ10の抜き取りを規制するための規制部23が一体的に形成されている。この規制部23は、一端部側の折曲部16aと平行に折曲される折曲部23aと、この折曲部23aの上下部に直角に折曲される上下の折曲片23b,23cと、これら上下の折曲片23b,23cの前部側に垂直方向に沿って折曲される規制片23d,23eとを有している。
【0022】
スライド板16は、その規制片23d,23eを図4、図5、図9、図10〜図12に示すように、コネクタ10の前面部に対向させてコネクタ10の抜き取りを規制する第1の位置と、図6、図7、図13、図14に示すようにコネクタ10の前面側から退避してコネクタ10の抜取規制を解除する第2の位置との間でスライド移動されるようになっている。
【0023】
次に、上記したように構成されるコネクタの抜取規制機構15の動作について説明する。
【0024】
まず、コネクタ10の抜取りを可能とする場合には、図4に示すようにスライド板16の規制片23d,23eがコネクタ10の前面部に対向する第1の位置にスライド板16が位置する状態から電源スイッチ7を図6に示すように下方にスライド操作してOFF状態にする。これにより、スライド板16の移動が可能な状態となり、この状態からスライド板16の折曲部16aに指を掛けてスライド板16を第2の位置に移動させる。この移動により、スライド板16の規制片23d,23eがコネクタ10の前面部から退避されてコネクタ10の抜き取りが可能な状態になる。この状態からコネクタ10を図7に矢印で示す方向に引っ張って抜き取る。なお、図15に示すように電源スイッチ7がOFFされると(ステップST1)、インターフェース8を介してレーン集計機に流れる電流が流れなくなり(ステップST2)、コネクタ10の抜き取りが可能となる。
【0025】
つぎに、コネクタ10の抜き取りを規制する場合には、図6に示すように第2の位置にあるスライド板16を図4に示すように第1の位置に移動させる。これにより、スライド板16の規制片23d,23eがコネクタ10の前面部に対向される。このとき、スライド板16の第1の孔21aの端部に電源スイッチ7が位置し、この電源スイッチ7を第2の孔21bに沿って上方へスライド操作してONさせる。この電源スイッチ7のONにより、スライド板16の移動が規制される。従って、電源スイッチ7がONした状態では、コネクタ10を抜き取ろうとしてもその前面部がスライド板16の規制片23d、23eに当接し抜き取ることが規制される。
【0026】
上記したように、この実施の形態によれば、電源スイッチ7がON状態では、スライド板16の規制片23d、23eがコネクタ10に対向した状態でスライド板16の移動が規制されるため、電源スイッチ7がON状態でうっかりコネクタ10を抜き取ってしまうことがなく、機器の故障を確実に防止できるとともに、作業者の安全性を向上させることができる利点がある。
【0027】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施の形態である操作表示端末装置を示す斜視図。
【図2】図1の操作表示端末装置を異なる角度から示す斜視図。
【図3】図1の操作表示端末装置を備える料金収受システムを示す構成図。
【図4】図1の操作表示端末装置の背面部に設けられるコネクタの抜取規制機構を示す正面図。
【図5】図4の抜取規制機構を示す平面図。
【図6】図4の抜取規制機構によるコネクタの抜取規制が解除された状態を示す図。
【図7】図6の抜取規制機構を示す平面図。
【図8】図4の抜取規制機構を構成するスライド板、及びその保持部を示す断面図。
【図9】図8のスライド板に形成される規制片がコネクタの前面部に対向された状態を示す図。
【図10】図4の抜取規制機構を構成するスライド板、及びその保持部を概略的に示す図。
【図11】図10のスライド板の規制片によってコネクタの抜き取りが規制される状態を示す図。
【図12】図11のスライド板を示す正面図。
【図13】図11のスライド板がスライドされてその規制片がコネクタから退避された状態を概略的に示す斜視図。
【図14】図13のスライド板を示す正面図。
【図15】図3の電源スイッチをオフしたときの動作を示すフローチャート図。
【符号の説明】
【0029】
1a…装置本体、7…電源スイッチ、10…コネクタ、15…抜取規制機構(抜取規制手段)、16…スライド板、19…保持プレート(保持部材)、21a…第1の孔、21b…第2の孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側面部に電源スイッチを備えるとともに、電源供給用ラインのコネクタを着脱自在に接続させる装置本体と、
この装置本体の一側面部に第1の位置とこの第1の位置とは異なる第2の位置との間で移動自在に設けられ、前記第1の位置に移動することにより前記コネクタに対向して該コネクタの抜き取りを規制し、前記第2の位置に移動することにより前記コネクタから退避して前記コネクタの抜き取り規制を解除する抜取規制手段とを具備し、
前記抜取規制手段は、前記第1の位置に移動したとき、前記電源スイッチがONされるのに基づいて移動が規制され、前記電源スイッチがOFFされるのに基づいて移動規制が解除されることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記抜取規制手段は前記第1及び第2の位置間で移動するスライド板
と、このスライド板にその移動方向に沿って形成される第1の孔、及びこの第1の孔の端部に連続し、かつ、前記第1の孔に対し直交する方向に沿って形成される第2の孔を有し、
前記電源スイッチは、前記第1の孔に沿って相対的に移動され、前記第1の孔から前記第2の孔にスライド操作されることによりONされ、前記第2の孔から前記第1の孔にスライド操作されることによりOFFされ、前記第2の孔に位置することにより前記スライド板の移動を規制し、前記第1の孔に位置することにより前記スライド板の移動規制を解除することを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
前記スライド板はそのスライド方向一端部側に前記コネクタに対向してその抜き取りを規制する規制片を有することを特徴とする請求項2記載の端末装置。
【請求項4】
前記スライド板は保持部材によってスライド自在に保持され、前記スライド板、及び保持部材は金属材料によって構成されたことを特徴とする請求項2記載の端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−91120(P2008−91120A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268809(P2006−268809)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】