説明

端末設定方法および装置

【課題】設定変更又は設定確認等の手段を内部に設けることなく、安価且つコンパクトな自動通報装置等の端末装置の端末設定方法および装置を提供する。
【解決手段】電話回線インタフェース、PB信号受信部12および通信網21との間での音声帯域を低減するフィルタ13を備え、装置内部の記憶部15に設定データを保存し、その保存された設定データの内容に従って動作する。また、記憶部15には、設定データと共に音声データを格納し、ユーザに対して「設定を開始します」等の音声によるメッセージを、ユーザに対して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は端末設定方法および装置に関し、特に電話回線インタフェースを有する自動通報装置等の端末の設定変更を電話機により行うことを可能にする端末設定方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動通報装置等の端末では、各種の設定、例えば通報先電話番号や通報回数等の設定のための操作部を有するか、又はPC(パーソナルコンピュータ)等の専用又は汎用の設定機器を接続して行うのが一般的である。
【0003】
斯かる技術分野における又は関連する従来技術は、幾つかの文献に開示されている。電話機の接続先を切り替えるための第1切替回路、電話機をローカルにて駆動するための直流電流を供給する電流供給回路、電話機又は電話回線からの多周波信号受信回路およびこの多周波信号受信回路の接続先を切り替える第2切替回路を有する網制御回路が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、留守録用音声メモリの録音設定を外部電話機からのDTMF(Dial Tone Multi Frequency)信号により自由に行うコードレス留守番電話機が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開昭64−41357号公報(第2頁、第1図、第2図)
【特許文献2】特開平6−121024号公報(第2−4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の如き従来技術は、幾つかの課題を有する。即ち、操作部を内蔵すると、通常の運用では使用しない操作部を装置(又は端末)本体に内蔵しなくてはならず、コストおよび装置の小型化に不利である。一方、外部に設定機器を接続すると、装置本体は低コスト且つ小型化可能であるが、本体から給電又は外部の電源を用意する必要がある。
【0006】
本発明は、従来技術の上述した課題に鑑みなされたものであり、上述した課題を解消又は軽減する端末設定方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するため本発明の端末設定方法および装置は次のような特徴的な構成を採用している。
【0008】
(1)外付けの電話機と接続して通信を可能にする電話回線インタフェースを有する端末の設定の変更や設定の確認を行う端末設定方法において、
前記端末の設定変更の際に使用する外付け電話機を局給電で駆動する端末設定方法。
【0009】
(2)前記端末は自動通報装置であり、前記変更される設定は、通報先電話番号や通報回数等である上記(1)の端末設定方法。
【0010】
(3)回線を切り替える回線切替手段と、外付けされた電話機からのPB信号を検出する検出手段と、設定中のPB信号を公衆回線に流さないようにする手段とを備える端末設定装置。
【0011】
(4)前記端末の設定データ等を記憶するデータ記憶手段を更に備える上記(3)の端末設定装置。
【0012】
(5)前記データ記憶手段は、設定データおよび音声データを記憶し、前記音声データを再生出力する音声合成部およびスピーカを備える上記(4)の端末設定装置。
【0013】
(6)前記PB信号を公衆回線に流さないようにする手段は、低域フィルタ(LPF)である上記(3)の端末設定装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明の端末設定方法および装置によると、次の如き実用上の顕著な効果が得られる。即ち、端末の設定変更の際に使用する外付け電話機を局給電で駆動することにより、専用の操作部や設定用装置を省略して部品点数を低減してコストダウンおよび小型化を可能にする。また、従来技術では、装置側へ外部電話機を切り替える場合には、局側からの着信により設定作業が中断されることがあるが、本発明によると、局側を捕捉しており、着信を受け付けない状況で設定作業が行える。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明による端末設定方法および装置の好適実施例の構成および動作を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明による端末設定装置の好適実施例としての自動通報装置の構成を示すブロック図である。この自動通報装置10は、回線切替部11、PB信号受信部12、フィルタ部(LPF)13、制御部14、記憶部15、設定スイッチ16、音声合成部17およびスピーカ18により構成されている。また、この自動通報装置10には、通信網21および電話機22が接続されている。記憶部15は、設定データ領域15aおよび音声データ領域15bを有し、それぞれ設定データおよび音声データを記憶する。
【0017】
図1に示す自動通報装置10に接続される電話機22は、自動通報装置10の各種設定、例えば通報先電話番号や通報回数等の設定の変更や設定内容の確認のために使用される。
【0018】
設定スイッチ16にてユーザが設定開始操作を行う。制御部14は、回線切替部11を制御して設定側(11a)に倒す。これにより、通信網21および電話機22のループにフィルタ部13が挿入される。この状態で、ユーザが電話機22をオフフックすることにより、電話機22は、通信網21により給電され動作する。
【0019】
ユーザの操作により、電話機22から送出されるPB信号は、この自動通報装置10のPB(又はDTMF)信号受信部12により受信され、制御部14に通知する。制御部14は、信号の内容に従い記憶部15の設定データ領域15aを更新又は設定データ領域15aの内容に従って記憶部15の音声データ領域15bの内容を音声合成部17およびスピーカ18を介してユーザに通知する。これらの操作の間、フィルタ部13により音声帯域はカットされるので、通信網21へPB信号および音声信号が漏洩することはない。
【0020】
以上、本発明による自動通報装置10の好適実施例の構成を詳述した。尚、図1中のフィルタ部13は、例えばLC(インダクタおよびキャパシタ)により構成される当業者には周知であり、また本発明とは直接関係しないので、その詳細構成は省略する。また、自動通報装置10の設定に使用される電話機22は、電話回線インタフェースを有し、PB信号の送出が可能である他の通信機器でも良い。
【0021】
次に、図1に示す自動通報装置10の動作を説明する。設定スイッチ16がユーザにより、例えば3秒間押されると、制御部14は、音声合成部17を駆動してスピーカ18より、例えば「設定を開始します」等の音声フレーズを送出する。そして、設定動作の開始をユーザに通知すると共に回線切替部11を設定用回路側11aに切り替える。これにより、通信網21および電話機22間に音声帯域をカットするフィルタ部13が挿入される。そして、以下の一連の操作の間に電話機22および自動通報装置10の音声合成部17より送出されるPB信号や音声信号が通信網21へは流れ(送出され)ないことに留意されたい。
【0022】
上述の状態で電話機22がオフフックされると、電話機22は、通信網21により給電される。しかし、通信網21からのダイヤルトーン等はフィルタ部13によりカットされる。ユーザの操作により電話機22より送出されるPB信号を、自動通報装置10のPB(DTMF)信号受信部12が検出し、制御部14へ通知する。
【0023】
制御部14は、受信したPB信号の内容を解釈する。そして、その信号が設定変更のコマンド(命令)であれば、受信したデータの内容に従って記憶部15の設定データ領域15aの内容を更新する。ここで、設定データ領域15aの内容は、上述の如く、例えば自動通報装置10の自動通報先の電話番号や通報回数等である。
【0024】
次に、制御部14は、記憶部15の音声データ領域15bの該当する音声フレーズのデータを音声合成部17へ送信する。記憶部15の音声データ領域15bに格納されている音声フレーズは、「設定開始」や「終了」を知らせるメッセージおよび「設定内容」を読み上げるための数字等である。音声合成部17では、受信した音声データをデコード(復号)し、スピーカ18へ出力し、ユーザに対して音声出力する。
【0025】
他方、DTMF受信部12で受信したPB信号が「設定確認」のコマンドの場合には、記憶部15の設定データ領域15aの内容に従い、記憶部15の音声データ領域15bの該当する音声フレーズのデータを音声合成部17へ送信する。音声合成部17は、受信した音声データをデコードし、スピーカ18に出力する。
【0026】
以上、本発明による端末設定方法および装置の好適実施例の構成および動作を詳述した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であること、当業者には容易に理解できよう。例えば、電話機22からの「*9#」といった特定のPB信号を受信したとき「設定動作」を開始する構成とすれば、自動通報装置10の設定スイッチ16が省略可能である。また音声合成部17からの出力を局線に重畳する方式とすれば、電話機22に対して音声フレーズを送出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による端末設定方法および装置の好適実施例の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0028】
10 自動通報装置(端末設定装置)
11 回線切替部
12 PB信号受信部(検出手段)
13 フィルタ(LPF)
14 制御部
15 記憶部
16 設定スイッチ
17 音声合成部
18 スピーカ
21 通信網
22 電話機(外付け)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外付けの電話機と接続して通信を可能にする電話回線インタフェースを有する端末の設定の変更や設定の確認を行う端末設定方法において、
前記端末の設定変更の際に使用する外付け電話機を局給電で駆動することを特徴とする端末設定方法。
【請求項2】
前記端末は自動通報装置であり、前記変更される設定は、通報先電話番号や通報回数等であることを特徴とする請求項1に記載の端末設定方法。
【請求項3】
回線を切り替える回線切替手段と、外付けされた電話機からのPB信号を検出する検出手段と、設定中のPB信号を公衆回線に流さないようにする手段とを備えることを特徴とする端末設定装置。
【請求項4】
前記端末の設定データ等を記憶するデータ記憶手段を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の端末設定装置。
【請求項5】
前記データ記憶手段は、設定データおよび音声データを記憶し、前記音声データを再生出力する音声合成部およびスピーカを備えることを特徴とする請求項4に記載の端末設定装置。
【請求項6】
前記PB信号を公衆回線に流さないようにする手段は、低域フィルタ(LPF)であることを特徴とする請求項3に記載の端末設定装置。

【図1】
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