説明

端部保護部材及びこれを用いたガラスフィルム梱包体

【課題】ガラスフィルムの終端縁を確実に保護するとともに、その保護に要する作業性を良好に維持する。
【解決手段】長尺なガラスフィルムGの終端部を保護する端部保護部材6を、ガラスフィルムGの終端縁よりも幅広なスリット部61を有し、スリット部61の内部に弾性を利用してガラスフィルムGの終端縁を含む終端部を外部に露出させることなく保持する弾性体で形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺なガラスフィルムの終端部を保護する端部保護部材、及び、ガラスフィルムをフランジ付きのリールの巻芯に巻回して収納したガラスフィルム梱包体の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電子部品用のガラス基板を始めとする各種ガラス板において、軽量化や利用分野の拡大を図る観点から、更なる薄板化が推進されているのが現状である。特に、フィルム状まで薄板化されたガラス板(以下、ガラスフィルムという。)は高い可撓性を有するため、当該特性を利用して種々の分野に適用されつつある。
【0003】
この種のガラスフィルムの梱包形態としては、間隔を置いて対向する一対のフランジを備えたリールの巻芯に、ガラスフィルムをロール状に巻回して収容する形態が提案されており、使用時にリールの巻芯からガラスフィルムを引き出して必要長さに切断する構成とされている。
【0004】
そのため、ガラスフィルムの終端縁は、切断面となるため、非常に脆く破損を来たし易くなる。特に、ガラスフィルムを切断する際に、折り割りした場合には、レーザなどを使用した場合に比して、切断後のガラスフィルムの終端縁が鋸歯状に荒れ易く、特に破損を来たし易くなる。
【0005】
したがって、ガラスフィルムの終端縁が何ら保護されない状態で、外部に露出していると、輸送時等の振動によってガラスフィルムの終端縁がフランジ等に接触し、容易に破損するという問題が生じ得る。更に、このようなガラスフィルムの終端縁に破損が生じると、当該破損が長手方向に進展したり、或いは、破損時に生じるガラス粉によって巻回されているガラスフィルム全体が汚染されるおそれがある。
【0006】
そこで、ガラスフィルムの終端縁を含む終端部を保護する必要があるが、例えばガラスフィルムの終端部に樹脂テープなどを貼着して保護した場合には、ガラスフィルムを切断する毎に、樹脂テープの取り外しや取り付け作業が必要となり、面倒である。しかも、樹脂テープをガラスフィルムから引き剥がして取り外す際に、ガラスフィルムに無用な応力が作用し、ガラスフィルムが終端縁を起点として破損するおそれがある。
【0007】
一方、特許文献1や特許文献2には、ガラスフィルムに関するものではないが、電子部品等が貼着されたテープの終端部を処理する手法が開示されている。すなわち、これらの文献では、間隔を置いて対向する一対のフランジを有するリールの巻芯に、既述のテープが巻回されており、その終端部が一対のフランジの周縁部に嵌め込まれたクリップ(又はストッパ)に保持されている。このクリップは、弾性を有する樹脂によって構成されており、テープの終端縁を外部に露出させた状態で、終端縁を除く終端部近傍を樹脂の弾性によって上下両側から挟持して保持するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭63−93373号公報
【特許文献2】実開平4−135559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1,2に開示の手法では、上述のように、リールのフランジの周縁部に嵌め込まれたクリップの弾性を利用してテープの終端部近傍を保持しているので、テープの取り外しと取り付けを容易に行うことができる。そのため、これらの文献に開示の手法をガラスフィルムに適用すれば、ガラスフィルムを切断する毎に面倒な作業が強いられることがなくなる。
【0010】
しかしながら、仮に、特許文献1,2に開示の手法をガラスフィルムに適用した場合には、次のような問題が生じ得る。すなわち、これら文献に開示の手法では、テープの終端縁がクリップの外部に露出しているため、当該テープをガラスフィルムに置き換えて適用した場合には、ガラスフィルムの終端縁は何ら保護されることなく、クリップの外部に露出してしまう。したがって、ガラスフィルムの終端部近傍の保持の作業性は良好になるものの、ガラスフィルムの終端縁に破損が生じる可能性は依然として高いといえる。
【0011】
以上の実情に鑑み、本発明は、ガラスフィルムの終端縁を確実に保護するとともに、その終端縁の保護に要する作業性を良好に維持することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために創案された本発明は、長尺なガラスフィルムの終端部を保護する端部保護部材であって、前記ガラスフィルムの終端縁よりも幅広なスリット部を有し、該スリット部の内部に弾性を利用して前記ガラスフィルムの終端縁を含む終端部を外部に露出させることなく保持する弾性体で形成されていることに特徴づけられる。
【0013】
このような構成によれば、ガラスフィルムの終端縁を含む終端部は、終端縁よりも幅広なスリット部の内部に保持されるとともに、この保持状態において、スリット部から外部に露出することがない。そして、このスリット部を有する端部保護部材は、弾性体で形成されていることから、ガラスフィルムの終端縁を含む終端部は適度な弾性でもって確実に保護される。したがって、ガラスフィルムの終端縁を起点として、ガラスフィルムが破損するという事態を確実に防止することができる。
【0014】
更に、ガラスフィルムの終端縁を含む終端部は、端部保護部材のスリット部に、端部保護部材の弾性を利用して保持されるので、ガラスフィルムの終端部の保持及びその解除を容易に行うことができる。したがって、ガラスフィルムの終端部の保持作業や、その解除作業の作業性を良好に維持することが可能となる。
【0015】
上記の構成において、前記スリット部は、前記弾性体を挟持して押圧すると、拡開して前記ガラスフィルムの終端部が挿入可能となるとともに、該拡開状態から前記弾性体に付与している押圧力を解除すると、再び閉鎖して前記ガラスフィルムの終端部を把持可能となることが好ましい。
【0016】
このようにすれば、端部保護部材(弾性体)を挟持して押圧するだけで、自動的にスリット部が拡開して、ガラスフィルムの終端部をスリット部に挿入することができる。また、端部保護部材に付与していた押圧力を解除すれば、自動的にスリット部が閉鎖して、ガラスフィルムの終端部がスリット部で把持された状態で保持される。したがって、ガラスフィルムの終端部の保持およびその解除がより一層容易となり、作業効率の向上を図ることができる。
【0017】
上記の構成において、前記弾性体が、ゴム又はスポンジ素材で構成されていることが好ましい。なお、ゴムとしては、シリコンゴムなどがより好ましく、スポンジ素材としては、ウレタンスポンジなどがより好ましい。
【0018】
このようにすれば、端部保護部材に適度な弾力が付与され、ガラスフィルムの終端部を振動などの外部入力から保護する良好な緩衝性を確保することが可能となる。また、上述のようにスリット部を開閉する構成を採用する場合には、当該材料であれば、適度な硬さを有するため、その開閉動作を良好に実現することができる。
【0019】
上記の課題を解決するために創案された本発明は、間隔を置いて対向する一対のフランジを有するリールの巻芯に、長尺なガラスフィルムをロール状に巻回して収容したガラスフィルム梱包体であって、前記ガラスフィルムの終端部を、上記の構成を適宜備えた端部保護部材で保護したことに特徴づけられる。
【0020】
このようにすれば、既に述べた端部保護部材による作用効果を同様に享受することが可能となる。
【0021】
上記の構成において、前記端部保護部材が、前記一対のフランジ間に、前記弾性体の弾性を利用して圧入保持されていることが好ましい。
【0022】
このようにすれば、端部保護部材がフランジ間に圧入保持されるので、端部保護部材がフランジの外方側へ突出するのを防止できる。そのため、複数のガラスフィルム梱包体を重ねて収納する場合に、端部保護部材が邪魔にならないので、ガラスフィルム梱包体の収納効率を良好に維持することができる。
【0023】
上記の構成において、前記巻芯に巻回された前記ガラスフィルムの終端部を、前記巻芯の外周面に倣った周回軌道から離脱させるとともに、該周回軌道上で巻回された前記ガラスフィルムから離間させた位置に配置された前記端部保護部材で保護することが好ましい。
【0024】
巻芯の外周面に倣った周回軌道上で巻回されたガラスフィルムは、使用時においてリールから引き出されて切断され、使用完了後にリールに巻き戻される。そして、このように引き出し作業や巻き戻し作業を繰り返すと、ガラスフィルムは巻回方向に緩み易く、ガラスフィルムの相互間に意図しない隙間が形成され得る。そのため、このような状態で端部保護部材をガラスフィルムに接触させて押圧すると、隙間の影響によってガラスフィルムに不当な撓みや捩れ等の変形が生じ、ガラスフィルムが容易に破損するおそれがある。したがって、端部保護部材は、上記の構成のように、巻芯の外周面に倣った周回軌道上で巻回されたガラスフィルムから離間させた位置に配置して、巻回されているガラスフィルムに不当な押圧力が作用しないようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によれば、ガラスフィルムの終端縁を含む終端部が、弾性体で形成された端部保護部材に設けられたスリット部に内包されて外部に露出することがなく、しかも、弾性を利用して保持状態が維持されるため、ガラスフィルムの終端縁を確実に保護するとともに、その保護に要する作業性を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係るガラスフィルム梱包体の全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】(a)は、ガラスフィルムの端部保護部材を示す側面図、(b)は、この端部保護部材にガラスフィルムをセットする状態を示す側面図である。
【図3】本実施形態に係るガラスフィルム梱包体の巻芯軸方向に沿う断面図である。
【図4】本実施形態に係るガラスフィルム梱包体の巻芯軸方向に直交する断面図である。
【図5】(a)は、本発明の第2実施形態に係るガラスフィルム梱包体に用いられるガラスフィルムの端部保護部材を示す側面図、(b)は、その端部保護部材の正面図、(c)は、その端部保護部材にガラスフィルムをセットする状態を示す正面図である。
【図6】(a)は、本発明の第3実施形態に係るガラスフィルム梱包体の巻芯軸方向に沿う断面図、(b)は、その巻芯軸方向に直交する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1実施形態に係るガラスフィルム梱包体を示す概略斜視図である。同図に示すように、このガラスフィルム梱包体1は、リール2を用いて、厚みが50μm以下で、幅が5mm以下のガラスフィルムGを梱包したものである。なお、このガラスフィルムGは、例えば、封止材、スペーサ、電子部品用の基板などに利用される。
【0029】
リール2は、間隔を置いて対向する一対のフランジ3,4と、このフランジ3,4を連結する巻芯5とを備えており、この巻芯5の回りにガラスフィルムGがロール状に巻回されて収容される。このとき、最外径側に位置するガラスフィルムGの終端縁は、破損を来たし易い部位であるため、当該終端縁を含むガラスフィルムGの終端部は、端部保護部材6によって保護されている。
【0030】
この端部保護部材6は、図2(a),(b)に示すように、全体として略直方体を呈する弾性体で形成されるとともに、先端部から略中央部までを全幅に亘って横断するようにスリット部61が形成され、このスリット部61を境界として上下に区分された領域がガラスフィルムGの終端部を把持する把持片62とされている。なお、図3に示すように、端部保護部材6の幅は、ガラスフィルムGの幅よりも大きくなっている。
【0031】
そして、図2(b)に示すように、端部保護部材6は、基端部側の表裏面をスリット部61に沿う平面と直交する上下両側から手指等で挟持して押圧すると、弾性変形を伴って、一対の把持片62が上下に離反してスリット部61が拡開し、スリット部61内にガラスフィルムGの終端部を挿入可能となる。この際、スリット部61は、ガラスフィルムGの挿入方向において貫通していないため、外部に開放しているスリット部61の先端側のみが拡開し、弾性体の肉部によって閉じられているスリット部61の基端部側は閉塞された状態を維持する。すなわち、スリット部61の閉塞された基端部側は、ガラスフィルムGの終端縁がその挿入方向において外部に露出するのを防止するストッパーとして機能する。
【0032】
一方、端部保護部材6は、端部保護部材6に付与していた押圧力を解除すると、弾性復元力によって、一対の把持片62が再び接近してスリット部61が閉鎖される。そのため、拡開したスリット部61内にガラスフィルムGの終端部を挿入した状態で、端部保護部材6に付与していた押圧力を解除すれば、一対の把持片62でガラスフィルムGの終端部が挟持された状態で、スリット部61に保持される。この際、ガラスフィルムGの終端縁は、外部に露出することなく、スリット部61に完全に内包される。
【0033】
端部保護部材6を形成する弾性体としては、ゴムやスポンジ素材であることが好ましく、中でもシリコンゴムやウレタンスポンジなどの高弾性高反発な特性を有する素材であることが好ましい。具体的には、当該弾性体は、圧縮残留歪が4%以下、伸びが80%以上、引張強度が70kPa以上、硬さが60〜120Nであることが好ましい。
【0034】
以上のように構成された端部保護部材6は、図3に示すように、ガラスフィルムGの終端部を保持した状態で、リール2のフランジ3,4間に圧入される。このように圧入すると、弾性体で形成された端部保護部材6は、フランジ3,4に押圧されて一時的に圧縮変形した後、弾性復元力によって膨張変形するので、その膨張変形の過程でフランジ3,4間に保持される。このようにすれば、端部保護部材6がフランジ3,4間に圧入保持されるので、端部保護部材6がフランジ3,4の外方側へ突出するのを防止することが可能となる。そのため、複数のガラスフィルム梱包体1を重ねて収納する場合に、端部保護部材6が邪魔にならないので、ガラスフィルム梱包体1の収納効率を良好に維持することができる。なお、この場合、ガラスフィルムGの終端部を保持する際に利用される端部保護部材6の弾性を、端部保護部材6のフランジ3,4に対する位置決め保持にもそのまま利用することが可能となるので便利である。
【0035】
また、このようにフランジ3,4の間に圧入保持された端部保護部材6は、図4に示すように、リール2の巻芯5の外周面に沿う周回軌道上に巻回されたガラスフィルムGから離間した位置に配置されている。詳細には、ガラスフィルムGの終端部を、リール2の巻芯5の外周面に沿う周回軌道上から外径側に離脱させ、この離脱させた終端部を端部保護部材6によって保持している。これは、次のような理由による。
【0036】
すなわち、巻芯5の外周面に倣った周回軌道上で巻回されたガラスフィルムGは、使用時においてリール2から引き出されて切断され、切断完了後に残余部分がリール2に巻き戻される。しかしながら、このように引き出し作業や巻き戻し作業を繰り返すと、ガラスフィルムは巻回方向に緩み易く、ガラスフィルムの相互間に意図しない隙間が形成され得る。そして、このような状態で端部保護部材6をガラスフィルムGに接触させて押圧すると、隙間の影響によってガラスフィルムGに不当な撓みや捩れ等の好ましくない変形が生じ、ガラスフィルムGが容易に破損し得る。したがって、端部保護部材6は、巻芯5の外周面に倣った周回軌道上で巻回されたガラスフィルムGから離間した位置に配置して、巻回されているガラスフィルムGに不当な押圧力が作用しないようにすることが好ましい。
【0037】
なお、リール2の構成は特に限定されるものではないが、この実施形態では、図1に示すように、一方のフランジ3の中心に巻芯5が一体的に設けられ、この巻芯5が他方のフランジ4の中心に設けられた貫通孔41に挿通されるようになっている。
【0038】
更に、図4に示すように、フランジ3,4の間において、巻芯5の外周面にリング部材7が外挿されており、ガラスフィルムGが、このリング部材7を介して巻芯5の回りに巻回されている。なお、ガラスフィルムGは、巻芯5の外周面に直接巻回してもよい。
【0039】
巻芯5の外周面の断面形状は非真円形をなし、この巻芯5の外周面に係合する他方のフランジ4の貫通孔41の形成面およびリング部材7の内周面の断面輪郭線は、それぞれ巻芯5の外周面の断面輪郭線に対応した非真円形をなしている。巻芯5に対してリング部材7及び他方のフランジ4を相対回転させることにより、巻芯5の外周面にリング部材7の内周面及びフランジ4の貫通孔41の形成面を噛み込ませ、一方のフランジ3に一体的に設けられた巻芯5に、リング部材7及び他方のフランジ4を固定する構成とされている。
【0040】
以上のような第1実施形態に係るガラスフィルム梱包体1によれば、ガラスフィルムGの終端縁を含む終端部が、端部保護部材6に設けられたスリット部61に内包された状態で保護されるため、破損を来たし易いガラスフィルムGの終端縁が、端部保護部材6のスリット部61によって完全に覆われた状態となる。そして、この端部保護部材6は、弾性体で形成されているため、ガラスフィルムGの終端縁を含む終端部は適度な弾性でもって保護される。したがって、ガラスフィルムGの終端縁を起点として、ガラスフィルムGが破損するという事態を確実に防止することができる。
【0041】
また、端部保護部材6のスリット部61は、基端部側を上下両側から手指等によって押圧するだけで拡開し、押圧力を解除すれば自動的に閉鎖される。したがって、ガラスフィルムGの終端部の保持およびその解除を極めて容易に行うことができるため、ガラスフィルムGの終端部を保護するために面倒且つ煩雑な作業を強いられることがない。
【0042】
図5(a)〜(c)は、本発明の第2実施形態に係るガラスフィルム梱包体の要部を示す図である。同図(a)〜(c)に示すように、第2実施形態に係るガラスフィルム梱包体1が、第1実施形態にかかるガラスフィルム梱包体1と相違するところは、ガラスフィルムGの終端部を保護する端部保護部材6の構成にある。
【0043】
すなわち、同図(a),(b)に示すように、この端部保護部材6は、先端部から基端部までを全幅未満の間隔で横断するようにスリット部61が形成され、このスリット部61を境界として上下に区分された領域がガラスフィルムGの終端部を把持する把持片62とされている。付言すれば、当該スリット部61の幅方向両端部は、外部に開放しておらず、弾性体の肉部によって閉塞されている。なお、スリット部6は、ガラスフィルムGの挿入方向に貫通させずに、端部保護部材6の先端部から中間部までを全幅未満で横断するように形成されていてもよい。
【0044】
そして、同図(c)に示すように、端部保護部材6は、スリット部61の幅方向両端側に位置する両外側面を左右両側から手指等で挟持して押圧すると、弾性変形を伴って、一対の把持片62が上下に離反してスリット部61が拡開しながら開口し、スリット部61内にガラスフィルムGの終端部を挿入可能となる。一方、端部保護部材6は、端部保護部材6に付与していた押圧力を解除すると、弾性復元力によって、一対の把持片62が再び接近してスリット部61が閉口されるとともに、開口状態のスリット部61に挿入したガラスフィルムGの終端部が、スリット部61内に保持される。
【0045】
なお、この場合のスリット部61の幅は、開口状態のスリット部61の内部にガラスフィルムGを挿入する際に、ガラスフィルムGの幅方向両端面がスリット部61に干渉して擦れない程度の幅を確保することが好ましい。
【0046】
図6(a),(b)は、本発明の第3実施形態に係るガラスフィルム梱包体の要部を示す断面図である。同図に示すように、第3実施形態に係るガラスフィルム梱包体1が、第1及び第2実施形態に係るガラスフィルム梱包体1と相違するところは、ガラスフィルムGの終端部を保護する端部保護部材6をフランジ3,4の外周縁に保持するようにした点にある。すなわち、第2実施形態に係るガラスフィルム梱包体1で使用される端部保護部材6は、底部に並列に2本の嵌合溝63が形成されており、各嵌合溝63に、対応するフランジ3,4の外周縁を差し込んで嵌合することで、フランジ3,4の外周縁に保持される構成とされている。
【0047】
なお、スリット部61にガラスフィルムGの終端部を内包して保護する点や、スリット部61の開閉手順などのその他の点は、第1及び2実施形態で説明した端部保護部材6と同様である。また、図6では、第1実施形態と同様に、スリット部61を端部保護部材6の全幅に亘って形成した場合を図示しているが、第2実施形態で説明したように、スリット部61を端部保護部材6の全幅未満に形成し、スリット部61の幅方向両端部が閉塞された状態としてもよい。
【0048】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の形態で実施することができる。例えば、ガラスフィルムGを巻芯5(又はリング部材7等のスペーサ)の回りに巻回する際に、ガラスフィルムGに保護シートを重ね、これを一緒に巻回するようにしてもよい。この場合、保護シートは、ガラスフィルムGから剥離を容易に行える程度の弱い粘着力をもって、ガラスフィルムGに貼着されていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 ガラスフィルム梱包体
2 リール
3,4 フランジ
5 巻芯
6 端部保護部材
61 スリット部
62 把持片
63 嵌合溝
7 リング部材
G ガラスフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺なガラスフィルムの終端部を保護する端部保護部材であって、
前記ガラスフィルムの終端縁よりも幅広なスリット部を有し、該スリット部の内部に弾性を利用して前記ガラスフィルムの終端縁を含む終端部を外部に露出させることなく保持する弾性体で形成されていることを特徴とする端部保護部材。
【請求項2】
前記スリット部は、前記弾性体を挟持して押圧すると、拡開して前記ガラスフィルムの終端部が挿入可能となるとともに、該拡開状態から前記弾性体に付与している押圧力を解除すると、再び閉鎖して前記ガラスフィルムの終端部を把持可能となることを特徴とする請求項1に記載の端部保護部材。
【請求項3】
前記弾性体が、ゴム又はスポンジ素材で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の端部保護部材。
【請求項4】
間隔を置いて対向する一対のフランジを有するリールの巻芯に、長尺なガラスフィルムをロール状に巻回して収容したガラスフィルム梱包体であって、
前記ガラスフィルムの終端部を、請求項1〜3のいずれか1項に記載の端部保護部材で保護したことを特徴とするガラスフィルム梱包体。
【請求項5】
前記端部保護部材が、前記一対のフランジ間に、前記弾性体の弾性を利用して圧入保持されていることを特徴とする請求項4に記載のガラスフィルム梱包体。
【請求項6】
前記巻芯に巻回された前記ガラスフィルムの終端部を、前記巻芯の外周面に倣った周回軌道から離脱させるとともに、該周回軌道上で巻回された前記ガラスフィルムから離間させた位置に配置された前記端部保護部材で保護することを特徴とする請求項4又は5に記載のガラスフィルム梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−201619(P2011−201619A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68137(P2010−68137)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】