説明

竹製パーティクルボード

【課題】吸水性が低く、吸水による厚さ膨張率が小さく(寸法安定性が良く)、水分を吸収しても曲げ強さの低下が少なく、しかも、耐剥離性に優れた竹製パーティクルボードを提供すること。
【解決手段】目開き4.75mmの篩を通過し目開き2.8mmの篩を通過しない竹チップが0〜10wt%、目開き2.8mmの篩を通過し目開き0.35mmの篩を通過しない竹チップが75〜95wt%及び目開き0.35mmの篩を通過する竹チップが1〜25wt%である竹チップに、イソシアネート系接着剤を添加し熱圧成形した密度が0.73〜0.95g/cmであることを特徴とする竹製パーティクルボード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は竹製パーティクルボードに関し、さらに詳しくいえば、吸水性が低く、吸水による厚さ膨張率が小さく(いわゆる寸法安定性が良く)、水分を吸収しても強度低下が少なく、しかも、耐剥離性に優れた竹製パーティクルボードに関する。
【背景技術】
【0002】
パーティクルボードは、例えば、特許文献1に開示されているように、木質チップにフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、尿素メラミン共縮合樹脂、イソシアネート系樹脂等の接着剤を添加してフォーミングし、このフォーミングマットを熱圧成形して製造している。また、竹材の有効利用の一環として、竹チップを原料とし、これにイソシアネート系接着剤を適用した竹製パーティクルボードも特許文献1に開示されている。
【0003】
しかしながら、竹製パーティクルボードも木質チップを使用したパーティクルボードと同様に、吸水性が高く、吸水による厚み方向の膨張率が大きく(寸法安定性が悪く)、しかも、水分を吸収すると強度が著しく低下したり耐剥離性が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−74675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、吸水性が低く、吸水による厚さ膨張率が小さく(寸法安定性が良く)、水分を吸収しても曲げ強さの低下が少なく、しかも、耐剥離性に優れた竹製パーティクルボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、竹チップの粒度、接着剤の種類、製造されたボードの密度という観点から検討を加えることによって、吸水性が低く、吸水による厚さ方向の膨張率が小さく(寸法安定性が良く)、水分を吸収しても強度低下が少なく、しかも、耐剥離性に優れた竹製パーティクルボードを得ることができるという知見を得て本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)目開き4.75mmの篩を通過し目開き2.8mmの篩を通過しない竹チップが0〜10wt%、目開き2.8mmの篩を通過し目開き0.35mmの篩を通過しない竹チップが75〜95wt%及び目開き0.35mmの篩を通過する竹チップが1〜25wt%である竹チップに、イソシアネート系接着剤を添加し熱圧成形した密度が0.73〜0.95g/cmであることを特徴とする竹製パーティクルボードであり、
(2)イソシアネート系接着剤が、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(PMDI)であることを特徴とする(1)に記載の竹製パーティクルボードであり、
(3)製造されたボードが単層であることを特徴とする(1)または(2)に記載の竹製パーティクルボードであり、
(4)製造されたボードが多層であることを特徴とする(1)または(2)に記載の竹製パーティクルボードであり、
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の竹製パーティクルボードを用いたことを特徴とする構造用部材を要旨とする。
尚、「目開き」とは、JIS Z 8801−1(2006)に規定する金属製網篩の目開きのことを意味する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、本発明の竹製パーティクルボードは、竹チップの粒度をコントロールしているので竹チップ間の空隙が少ない。このため製造されたボード自体が非常に緻密で(密度も高く)、水分がボード内部に浸透しにくくなる。しかも、竹チップの親水基がイソシアネート系接着剤のイソシアネート基と反応して疎水化されているので水分を吸着しにくい。このため、竹チップにイソシアネ―ト系接着剤以外の接着剤を添加して製造した竹製パーティクルボードに比べて吸水率が低く、吸水による厚さ膨張率が低く(寸法安定性が良く)、強度低下も小さく、その上、耐剥離性に優れるという効果を奏する。
また、請求項2に記載された発明によれば、イソシアネート系接着剤の中でもPMDIを接着剤として使用しているので吸水性を低く抑えることができ、しかも、製造コストを低減できる。
さらに、請求項3に記載された発明によれば、簡易な設備・工程で竹製パーティクルボードが製造できる。
また、請求項4に記載された発明によれば、表面層を緻密にし、内層を粗とする多層構成にすることで、全体の密度を低くしても曲げ強さを大きくすることができると共に、表面二次加工(例えば、研磨処理など)により表面を容易に平滑にすることができる。
そして、本発明の竹製パーティクルボードは、同程度の密度を有する木質チップからなるパーティクルボードと比較して、強度残存率((「湿潤時曲げ強さ」÷「常態時曲げ強さ」)×100)は同等以上であり、厚さ膨張率(寸法安定性)の面で優れているので、構造部材として用いることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の竹製パーティクルボードについて詳細に説明する。
【0010】
(竹の種類)
本発明において、竹チップの原料となる「竹の種類」としては、イネ科タケ亜科に属するタケ類やササ類の中から選択することができ、例えば、モウソウチク、マダケ、ハチク、メダケ等が例示できる。本発明においては、その中でも安価で入手が容易なマダケやモウソウチクを使用することが好ましい。
【0011】
(竹チップ)
本発明で「竹チップ」とは、山林などから伐採した竹の枝を払い得られた幹の部分を50cm〜2mに切断しさらにチョッパー(チップ機)で約1〜30mmのサイズに破砕したものが例示できる。
【0012】
(竹チップの粒度)
本発明ではサイズが比較的大きな竹チップ同士の間にサイズが細かい竹チップを充填できるようにするため、目開き4.75mmの篩を通過し目開き2.8mmの篩を通過しない粗いチップが0〜10wt%、目開き2.8mmの篩を通過し目開き0.35mmの篩を通過しない竹チップが75〜95wt%、目開き0.35mmの篩を通過する細かい竹チップが1〜25wt%の粒度分布である竹チップが原料として用いられる。目開き2.8mmの篩を通過しない粗い竹チップが10wt%よりも多いと、竹チップ同士の間に空隙が生じやすくなるため熱圧成形して竹製パーティクルボードにしたときに十分な曲げ強さや吸水性、寸法安定性が得られない。また、目開き0.35mmの篩を通過する細かい竹チップが25wt%を超えると所望する特性の竹製パーティクルボードを製造することができない。
【0013】
本発明で竹チップに添加するイソシアネート系接着剤としては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(PMDI)、エマルジョンタイプのPMDIが例示でき、これらを単独あるいは2種以上組み合わせたものが使用できる。その中でも、竹チップとの接着性や竹製パーティクルボードとした後の吸水性を低くする観点から、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(PMDI)もしくはエマルジョンタイプのPMDIまたはそれらを組合せたものを接着剤として使用することがさらに好ましい。
【0014】
本発明の竹製パーティクルボードは、まず、竹チップ100重量部にイソシアネート系接着剤を3重量部〜20重量部添加し、混合機で均一に撹拌して竹チップの表面を接着剤で被覆する。次に、この接着剤が被覆された竹チップをマット状にフォーミングし、これを熱圧プレスして竹製パーティクルボードを得る。イソシアネート系接着剤が被覆された竹チップを熱圧成形するときの条件は、木質チップを熱圧成形してパーティクルボードを製造するときの条件に準じて行うことができ、例えば、加熱温度:180〜220℃、圧力:1〜10N/mm、加圧時間:5〜30sec/mmとすることができる。また、熱圧プレスには多段式または連続式プレス装置のいずれの方式も採用することができる。
【0015】
竹製パーティクルボードの密度は0.73〜0.95g/cmとする。竹製パーティクルボードの密度が0.73g/cmよりも低いと、十分な耐水性や強度を発現することができない。また、密度が0.95g/cmよりも高くなると、耐水性や強度面では十分ではあるが、その反面、釘を打ち付け難くなったり、軽量化という面で取り扱いにくくなる。
【0016】
上記は単層の竹製パーティクルボードについての説明であるが、本発明の竹製パーティクルボードは、単層に限定するものではなく、多層に設けられているものであっても良い。多層の竹製パーティクルボードの場合、パーティクルボード全体で使用する竹チップが、目開き4.75mmの篩を通過し目開き2.8mmの篩を通過しない竹チップが0〜10wt%、目開き2.8mmの篩を通過し目開き0.35mmの篩を通過しない竹チップが75〜95wt%及び目開き0.35mmの篩を通過する細かい竹チップが1〜25wt%とすることで、本発明の効果を奏するものである。多層構成としては、表層/内層/表層の三層構成にすることが好ましく、表層には、目開き0.35mmの篩を通過する細かい竹チップを多くして緻密にし、内層には、目開き0.35mmの篩を通過する細かい竹チップの割合を少なくして粗とすることが好ましい。各層の竹チップとしては、内層が、目開き4.75mmの篩を通過し目開き2.8mmの篩を通過しない竹チップが0〜10wt%、目開き2.8mmの篩を通過し目開き0.35mmの篩を通過しない竹チップが80〜95wt%及び目開き0.35mmの篩を通過する細かい竹チップが0〜10wt%からなり、表層が、目開き4.75mmの篩を通過し目開き2.8mmの篩を通過しない竹チップが0〜10wt%、目開き2.8mmの篩を通過し目開き0.35mmの篩を通過しない竹チップが50〜95wt%及び目開き0.35mmの篩を通過する細かい竹チップが5〜50wt%からなることが好ましい。このように、多層構成にし、表面層を緻密に、内層を粗とすることで、全体の密度を低くしても曲げ強さを大きくすることができると共に、表面二次加工により表面を容易に平滑にすることができる。
【実施例】
【0017】
以下に、本発明の竹製パーティクルボードを実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、製造された竹製パーティクルボードの物性は以下の方法により測定した。
【0018】
(1)密度:
JIS A 5908(2003)の6.3により測定し、算出した。
【0019】
(2)常態曲げ強さ(A):
JIS A 5908(2003)の6.5により測定し、算出した。
【0020】
(3)湿潤時曲げ強さ(B):
JIS A 5908(2003)の6.6b)により測定し、算出した。
【0021】
(4)残存率(%):
残存率(%)=(湿潤時曲げ強さ(B)÷常態曲げ強さ(A))×100
【0022】
(5)吸水率(%):
20℃65%RH下で7日間養生した、長さ5cm×幅5cm×厚さ9mmの試料の重量を測定し、その試料を20℃の水に24時間浸漬した後に重量を再び測定し、重量の変化量から吸水率を算出した。
【0023】
(6)吸水厚さ膨張率:
JIS A 5908(2003)の6.7により測定し、算出した。
【0024】
(7)剥離強度:
JIS A 5908(2003)の6.8により測定し、算出した。
【0025】
[実施例1] (竹チップを使用し、接着剤としてPMDIを使用)
竹チップの原料としてモウソウチクを使用しチョッパーでチップ化した。このうち、目開き4.75mmの篩を通過し目開き2.8mmの篩を通過しなかった、つまり、粗い竹チップの占める割合が5wt%、目開き2.8mmの篩を通過し目開き0.35mmの篩を通過しなかった竹チップの占める割合が92wt%、目開き0.35mmの篩を通過した、つまり、細かい竹チップの占める割合が3wt%の竹チップ(全乾総重量3kg、100重量部)を混合機に投入した。次いで、その混合機にイソシアネート系接着剤としてポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(PMDI)、(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:MR100)3重量部を添加し、竹チップと混合、撹拌して竹チップの表面を接着剤で覆った。このものをフォーミングしてマットとした後、熱圧プレス装置で熱圧成形(熱板温度:200℃、加圧力:4N/mm、加圧時間:90sec)して設定密度0.80g/cm、長さ32cm×幅32cm×厚さ9mmの単層の竹製パーティクルボードを製造した。
【0026】
[実施例2] (竹チップを使用し、接着剤としてPMDIを使用) イソシアネート系接着剤(PMDI)の添加量を8重量部に変更したことを除き、実施例1と同様にして単層の竹製パーティクルボードを製造した。
【0027】
[実施例3] (竹チップを使用し、接着剤としてPMDIを使用) イソシアネート系接着剤(PMDI)の添加量を20重量部に変更したことを除き、実施例1と同様にして単層の竹製パーティクルボードを製造した。
【0028】
[実施例4]
(竹チップを使用し、接着剤としてPMDIを使用した高密度竹製パーティクルボード)
ボードの設定密度を0.90g/cmにしたことを除き、その他は実施例2と同様にし、高密度の単層の竹製パーティクルボードを製造した。
【0029】
[比較例1]
(竹チップを使用し、接着剤として尿素樹脂を使用)
イソシアネート系接着剤を尿素樹脂に変更したことを除き、それ以外は実施例2と同様にして単層の竹製パーティクルボードを製造した。
【0030】
[比較例2]
(粗い竹チップを使用し、接着剤としてPMDIを使用)
竹チップの原料として、目開き4.75mmの篩を通過し目開き2.8mmの篩を通過しなかった粗い竹チップの占める割合が40wt%、目開き2.8mmの篩を通過し目開き0.35mmの篩を通過しなかった竹チップの占める割合が60wt%の竹チップに変更し、それ以外は実施例2と同様にして単層の竹製パーティクルボードを製造した。
【0031】
[比較例3]
(竹チップを使用し、接着剤としてPMDIを使用した低密度竹製パーティクルボード)
ボードの設定密度を0.70g/cmにしたことを除き、その他は実施例2と同様にして単層の低密度竹製パーティクルボードを製造した。
【0032】
[比較例4]
(微粉の竹チップを使用し、接着剤としてPMDIを使用)
竹チップの原料として、目開き0.35mmの篩を通過した細かい竹チップの占める割合が100wt%の竹チップに変更し、それ以外は実施例2と同様にして単層の竹製パーティクルボードを製造した。
【0033】
[実施例5]
(竹チップを使用し、接着剤としてPMDIを使用した三層の竹製パーティクルボード)
(表層用の竹チップ)
目開き2.8mmの篩を通過し目開き0.35mmの篩を通過しなかった竹チップの占める割合が60wt%、目開き0.35mmの篩を通過した竹チップが占める割合が40wt%の竹チップ100重量部を準備し、これに実施例1で使用したイソシアネート系接着剤(PMDI)10重量部を添加して表層用の竹チップを調製した。
(内層用の竹チップ)
目開き4.75mmの篩を通過し目開き2.8mmの篩を通過しなかった粗い竹チップの占める割合が5wt%、目開き2.8mmの篩を通過し目開き0.35mmの篩を通過しなかった竹チップの占める割合が92wt%、目開き0.35mmの篩を通過した竹チップの占める割合が3wt%の竹チップ100重量部を準備し、これに実施例1で使用したイソシアネート系接着剤(PMDI)8重量部を添加して内層用の竹チップを調製した。
上記表層用及び内層用の竹チップを表層/内層/表層(重量比1:3:1)とし、実施例1と同じ製造条件で長さ32cm×幅32cm×厚さ9mmの三層の竹製パーティクルボードを製造した。
【0034】
[実施例6]
(竹チップを使用し、接着剤としてPMDIを使用した三層の低密度竹製パーティクルボード)
設定密度を0.75g/cmに変更したことを除き、実施例5と同様にして三層の竹製パーティクルボードを製造した。
【0035】
[比較例5]
(竹チップを使用し、接着剤として尿素樹脂を使用した三層の竹製パーティクルボード)
(表層用の竹チップ)
目開き2.8mmを通過し目開き0.35mmの篩を通過しなかった竹チップの占める割合が60wt%、目開き0.35mmの篩を通過した竹チップが占める割合が40wt%の竹チップ100重量部を準備し、これに比較例1で使用した尿素樹脂接着剤15重量部を添加して表層用の竹チップを調製した。
(内層用の竹チップ)
目開き4.75mmの篩を通過し目開き2.8mmの篩を通過しなかった粗い竹チップの占める割合が5wt%、目開き2.8mmの篩を通過し目開き0.35mmの篩を通過しなかった竹チップの占める割合が92wt%、目開き0.35mmの篩を通過した竹チップの占める割合が3wt%の竹チップ100重量部を準備し、これに比較例1で使用した尿素樹脂接着剤8重量部を添加して内層用の竹チップを調製した。そして、イソシアネート系接着剤を尿素樹脂に変更し、それ以外は実施例5と同様にして三層の竹製パーティクルボードを製造した。
【0036】
[参考例1]
(木質チップを使用し、接着剤としてPMDIを使用)
竹チップと同じ粒度分布の木質チップ(目開き4.75mmの篩を通過し目開き2.8mmの篩を通過しなかった粗い木質チップの占める割合が5wt%、目開き2.8mmの篩を通過し目開き0.35mmの篩を通過しなかった木質チップの占める割合が92wt%、目開き0.35mmの篩を通過した細かい木質チップの占める割合が3wt%)100重量部(3kg)を混合機に投入し、実施例1と同様にしてイソシアネート系接着剤(PMDI)を8重量部塗布し、単層の木質チップからなるパーティクルボードを製造した。
【0037】
実施例1〜6、比較例1〜5及び参考例1で製造したパーティクルボードについて各々の物性を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
表1から明らかなように、粒度をコントロールした竹チップにイソシアネート系接着剤を添加して製造した密度が0.73g/cm以上の竹製パーティクルボード(例えば、実施例2または実施例5)は、竹チップに尿素樹脂を用いて製造した竹製パーティクルボード(比較例1または比較例5)に比べ、常態曲げ強さは大きく、吸水率は低く、厚さ膨張率も小さく(寸法安定性が良い)、しかも、剥離強度も大きいことがわかる。また、本発明に係る竹製パーティクルボードは、木質チップを使用して製造したほぼ同じ密度のパーティクルボード(参考例1)に比べても、吸水率、厚さ膨張率(寸法安定性)、剥離強度のいずれも格段に優れていることが分かる。さらに、実施例2〜実施例6の竹製パーティクルボードは、残存率((湿潤時曲げ強さ/常態曲げ強さ)×100)についても60%を超える値を示しており、耐水性が良い(吸水性が低く、吸水による厚さ膨張率も小さく(寸法安定性が良く)、しかも、水分を吸収しても強度の低下が少ない)ことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る竹製パーティクルボードは、建築用材料、住設部材、家具等の用途に好適に利用できる。また、本発明に係る竹製パーティクルボードは、吸水性が低く、厚さ膨張率が低く(寸法安定性が良く)、水分や湿気を吸収しても強度の低下が少なく、しかも耐剥離性に優れているので、屋根下地や床用下地及び壁面等に用いられる構造用部材、床材、収納庫(クローゼット)用部材として好適に使用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
JIS Z 8801−1(2006)に規定する目開き4.75mmの金属製網篩を通過し目開き2.8mmの金属製網篩を通過しない竹チップが0〜10wt%、目開き2.8mmの金属製網篩を通過し目開き0.35mmの金属製網篩を通過しない竹チップが75〜95wt%及び目開き0.35mmの金属製網篩を通過する竹チップが1〜25wt%である竹チップに、イソシアネート系接着剤を添加し熱圧成形した密度が0.73〜0.95g/cmであることを特徴とする竹製パーティクルボード。
【請求項2】
イソシアネート系接着剤が、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載の竹製パーティクルボード。
【請求項3】
製造されたボードが単層であることを特徴とする請求項1または2記載の竹製パーティクルボード。
【請求項4】
製造されたボードが多層であることを特徴とする請求項1または2記載の竹製パーティクルボード。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の竹製パーティクルボードを用いたことを特徴とする構造用部材。