説明

第一相と第二相を有するアルミニウム・ベースの二相系アルミニウム材料及び二相系アルミニウム材料を製造するための方法

本発明は、カーボンナノチューブ(CNTs)を含有する粒子状又は粉末形態の複合材料の処理加工に関するものである。材料は、例えば金属が厚さが10nm乃至50000nmの層をなし、厚さが10nm乃至100000nmのCNT層と交互に配置されている。材料は、機械的合金化によって、即ち、金属粒子及びCNT粒子の変形、破砕及び融着が繰り返されて製造される。材料の製造は、高エネルギーペブル衝突を発生するための微粉砕体及び回転体として、微粉砕チャンバと微粉砕ペブルを含む、ペブルミル内での微粉砕によって行われることが望ましい。本発明は、また、二相系アルミニウムを製造するため、特性が異なる複合材料及びアルミニウム合金をオスプレー法で組み合わせることにより材料を合金化する方法に関するものである。
図1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧成形法によって生産された、第一相と第二相を有し、第一相を形成するために、アルミニウム・ベースの合金の形態で、少なくとも第一噴流を使用して導入された、第一材料構成要素と、第二相を形成するために、少なくとも第二噴流を使用して導入された、第二材料構成要素とを有する、アルミニウム・ベースの二相系アルミニウム材料に関するものである。本発明は、更に、この二相系アルミニウム材料を製造するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボン・ナノチューブは周知である。カーボン・ナノチューブの同義語は、ナノスケール・カーボンチューブ即ちカーボン・ナノチューブ及び省略形である「CNT」である。以下、専門家の間で最も一般的な「CNT」を使用する。CNTsはフラーレンであり、閉じた多面体構造を持つカーボン・モディフィケーションである。CNTsの既知の使用範囲は半導体分野や従来のプラスチック材料の機械的特性の改良に見出すことができる (www.de.wikipedia.orgの「carbon nanotubes」の項目を参照のこと) 。
【0003】
更に、Al/CNT複合材料は、ESAWI A等の「Dispersion of
carbon nanotubes (CNTs) in aluminium powder」COMPOS PART A APPL SCI MANUF;
COMPOSITES PART A; APPLIED SCIENCE AND MANUFACTURING FEBRUARY 2007, [Online] 38巻,
Nr. 2, 23. Juni 2006 (2006-06-23), 646-650頁、及び、EDTMAIER C等の「Aluminium based
carbon nanotubes composites by mechanical alloying」 POWDER METALLURGY WORLD
CONGRESS & EXHIBITION (PM2004) 17-21 OCT. 2004 VIENNA, AUSTRIA, 17. Oktober
2004 (2004-10-17), -21. Oktober 2004 (2004-10-21) 6 pp.頁、及び、GEORGE等の「Strengthening in
carbon nanotube/aluminium (CNT/Al) composites」 SCRIPTA MATERIALIA, ELSEVIER, AMSTERDAM, NL,
53巻, Nr. 10 November 2005 (2005-11), 1159-1163頁、及び、CARRENO-MORELLI等の「Carbon
nanotube/magnesium composites」PHYS STATUS SOLIDI A; PHYSICA STATUS SOLIDI (A)
APPLIED RESEARCH JUNE 2004, 201巻, Nr. 8, Juni 2004 (2004-06), R53-R55頁、及び、インターネットで発見されたC.
EDTMAIERの「Metall-Matrix-Verbundwerkstoffe mit Carbon Nanotubes als hochfeste
und hochwaermeleitende Einlagerungsphase」[Online] 3. Juni 2005 (2005-06-03),
XP002413867:URL:http://www.ipp.mpg.de/de/for/bereiche/material/seminare/MFSem/talks/Edtmaier_03-06-2005.pdf>
[2007-01-09に発見された] 、及び、THOSTENSON等の「Nanocomposites in contect」 COMPOSITES SCIENCE AND TECHNOLOGY, 65巻, 2005, 491-516頁から既知である。
【0004】
アルミニウムを含有する合金の適用方法は、とりわけ、オスプレー法として開示されている。欧州特許第EP 0 411 577号には、過共晶のアルミニウム合金が開示されている。過共晶のアルミニウム合金は、オスプレー法によって、溶融状態で、第1ノズルから固体シリコン粒子又はグラファイト粒子に溶射される。選択的に、Si−金属配合物又はグラファイト−金属配合物が同時に別のノズルから偏析しないように噴霧され、キャリヤデバイスに適用され、そこで凝固し、二相系アルミニウム合金のブロックを形成する。
【0005】
ドイツ国特許第43 08 612 A1号は、成形適性、耐蝕性、及び耐熱性等の特性が優れた、ホウ素フラクションを含むアルミニウム二相合金の製造を開示する。ホウ素は、例えば、粉末キャリヤ材料によって、残りの合金成分の溶融体のスプレー・ジェットに、追加のスプレー・ジェットを使用して適用され、又は、噴霧成形デバイスのスプレーされた製品キャリヤに直接的に適用される。
【0006】
ドイツ国特許第100 47 775 C1号は、銅−アルミニウム複合合金青銅をオスプレー法で製造することができる可能性を開示する。
【0007】
ドイツ国特許第103 06 919 A1号は、一つ又はそれ以上の固体金属ワイヤとセラミックを含む少なくとも一つの複合材料ワイヤを使用するアークワイヤスプレー法で噴霧成形される間に、二種以上の金属から成る相を有する複合材料を製造することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第EP 0 411 577号
【特許文献2】ドイツ国特許第43 08 612 A1号
【特許文献3】ドイツ国特許第100 47 775 C1号
【特許文献4】ドイツ国特許第103 06 919 A1号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】ESAWI A等の「Dispersion of carbonnanotubes (CNTs) in aluminium powder」COMPOS PART A APPL SCI MANUF; COMPOSITESPART A; APPLIED SCIENCE AND MANUFACTURING FEBRUARY 2007, [Online] 38巻, Nr. 2,23. Juni 2006 (2006-06-23), 646-650頁
【非特許文献2】EDTMAIER C等の「Aluminium basedcarbon nanotubes composites by mechanical alloying」 POWDER METALLURGY WORLDCONGRESS & EXHIBITION (PM2004) 17-21 OCT. 2004 VIENNA, AUSTRIA, 17. Oktober 2004 (2004-10-17), -21.Oktober 2004 (2004-10-21) 6 pp.頁
【非特許文献3】GEORGE等の「Strengthening in carbon nanotube/aluminium (CNT/Al)composites」 SCRIPTA MATERIALIA, ELSEVIER, AMSTERDAM,NL, 53巻, Nr. 10November 2005 (2005-11), 1159-1163頁
【非特許文献4】CARRENO-MORELLI等の「Carbon nanotube/magnesium composites」PHYS STATUS SOLIDI A; PHYSICA STATUSSOLIDI (A) APPLIED RESEARCH JUNE 2004, 201巻, Nr. 8, Juni 2004 (2004-06), R53-R55頁
【非特許文献5】インターネットで発見されたC. EDTMAIERの「Metall-Matrix-Verbundwerkstoffe mit Carbon Nanotubesals hochfeste und hochwaermeleitende Einlagerungsphase」[Online] 3. Juni 2005(2005-06-03),XP002413867:URL:http://www.ipp.mpg.de/de/for/bereiche/material/seminare/MFSem/talks/Edtmaier_03-06-2005.pdf>[2007-01-09に発見された]
【非特許文献6】THOSTENSON等の「Nanocomposites incontect」COMPOSITES SCIENCE AND TECHNOLOGY, 65巻, 2005, 491-516頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、CNTsの使用領域を拡げること、及び新規な材料及びこれらの材料から形成された成形体を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、本発明によって、冒頭に言及した種類の二相系アルミニウム材料によって、及び二相系アルミニウム材料を特性が異なる二つの材料の組み合わせとして製造するための方法によって達成される。
【0012】
本発明は、この目的のため、冒頭に言及した種類の、第一相と第二相を有するアルミニウム・ベースの二相系アルミニウム材料を開始材料とするものであり、プロセスでは、本発明によれば、第一相と第二相を有し、第一相を形成するために、アルミニウム・ベースの合金の形態で、少なくとも一つの第一噴流を使用して導入された、第一材料構成要素と、第二相を形成するために、少なくとも一つの第二噴流を使用して導入された、第二材料構成要素とを有する、アルミニウム・ベースの二相系アルミニウム材料に関する。
【0013】
製造方法に関し、本発明の目的は、本発明によって、以下に列挙する工程を含む二相系アルミニウム材料の製造方法によって達成される。即ち、
― アルミニウム・ベースの複合材料の形態を成し、一方では、アルミニウム及び/又はアルミニウム・ベースの合金を有し、他方では、非金属を含有する材料を有する、前記第二材料構成要素を提供するために、アルミニウム及び/又はアルミニウム・ベースの合金と非金属を、いずれの場合にも、粒、粒子、ファイバー及び/又は粉末の形態で、機械的合金化法によって処理する工程と、
― 第一相と第二相を有するアルミニウム・ベースの前記二相系アルミニウム材料を噴霧成形する工程であって、前記噴霧成形は、
― 前記第一相を形成するための第一材料構成要素を、アルミニウム・ベースの合金の形態で、少なくとも第一噴流に導入し、
― 前記第二相を形成するための前記第二材料構成要素を、少なくとも第二噴流に導入することによって行なわれ、ここで、
― 前記第一材料構成要素が、前記第二材料構成要素に比較して、いずれの場合にも単独の構成要素として、より高い伸張性(延性)、及び/又は、より低い引張り強度を有する、前記噴霧成形する工程と、
である。本発明の特に好ましい実施例では、非金属は、CNTsの形態である。有利な方法では、噴霧成形法を、好ましくは、オスプレー法の形態で実施できるということを示した。
【0014】
材料構成要素の延性又は引張り強度は、いずれの場合にも単独の材料として存在する材料構成要素と関連する。換言すると、純アルミニウムの形態の第一材料の延性を、例えばアルミニウム−CNT複合材料の形態の第二材料の延性と比較する。特に好ましい態様では、第二材料構成要素は、この場合にも単独の材料である第一材料構成要素と比較すると、延性がより低く及び/又は引張り強度がより高い。
【0015】
二相系アルミニウムは、種類が異なる二つの構造を含む。二相系アルミニウムでは、好ましくは、実質的に単相のアルミニウム・ベースの二つの材料を、好ましくはほぼ同量で合一し、これらの材料の夫々のプラスの材料特性を利用する。プラスの材料特性には、引張り強度、丈夫さ、及び硬度等の機械−技術的特性ばかりでなく、化学耐蝕性即ち耐錆性も含まれる。
【0016】
二相系アルミニウムは、例えば、穴及び応力割れ腐蝕に関し、耐蝕性がとりわけ高いという点で優れており、強度特性が高く、耐熱性が高い。
【0017】
この概念に基づき、本発明は、適当な二相系アルミニウム材料を提供する。
【0018】
本発明は、二つ又はそれ以上の異なる合金を組み合わせ、いわゆる二相系アルミニウム合金を形成するという考えから始まっている。かくして、本発明の目的は、引張り強度が非常に高く延性が低い合金を、引張り強度が低く延性が高い合金と組み合わせることである。
【0019】
好ましい実施例では、オスプレー法と同様に、好ましくは延性が高い、純アルミニウムに限定されない1つの合金を、例えばるつぼで溶融し、ノズルを通して溶射する。引張り強度が高い合金を、このアルミニウム液滴のスプレー・ジェットに粉末形態でスプレー・インする。これには、更に、ナノ粒子で強化した合金を、アルミニウム母材からのナノ粒子の偏析を生じることなく、粉末形態でスプレーインできるという利点がある。
【0020】
スプレー・インした粒子は、次いで、特に、高温の液滴クラウド内で一時的に溶融し、均質に混合され、非常に短い飛翔時間即ちフライト時間の後、基盤に一緒に付着し、材料がそこで直ちに凝固する(急速凝縮)。この場合、粉末粒子がスプレーインされる液相のフライト時間は、実用的には非常に短く、そのため、周囲アルミニウムからのナノ粒子の偏析が起こらない。
【0021】
本発明の概念による製造方法における噴霧成形工程には、様々な実施例が含まれている。かくして、詳細な説明で言及する図2を例示として参照すると、例えば、噴霧成形工程は、キャリヤ物質が第一材料構成要素から形成された単一のスプレー・ジェットで行われてもよく、第二材料構成要素が粉末形態でこのスプレー・ジェットにスプレー・インされる。変形例では、図11を例示として参照すると、噴霧成形工程は、二つの異なるスプレー・ジェットで行われてもよい。かくして、別の実施例では、第一スプレー・ジェットは、単に、アルミニウム・ベースの合金の形態の第一材料構成要素を基盤に付着し、例えばバー又はビレット等の形態の圧縮試験試料を形成できるに過ぎない。この実施例では、同一線上で、又はこれに対して所定の角度をなして第二噴流を使用し、第二材料構成要素を基盤に堆積できる。従って、上文中に言及した別の実施例では、第一スプレー・ジェットは、実際上、専ら第一材料構成要素の導入に使用され、これに対し第二スプレー・ジェットは、実際上、専ら第二材料構成要素の導入に使用される。第二材料構成要素は、この場合、上文中に言及した実施例におけるのと同様に導入される。即ち、引張り強度が高い合金が、純アルミニウム又はアルミニウム合金から形成されたキャリヤ内に第二スプレー・ジェットの粉末形態でスプレーインされる。この実施例では、引張り強度が高い粉末形態の合金を第一スプレー・ジェットで導入することは行われない。
【0022】
別の実施例では、第二材料構成要素を基盤に堆積するのに第一スプレー・ジェットを使用してもよい。この場合、引張り強度が高い合金もまた、粉末形態で第一スプレー・ジェットにスプレーインされる。随意であるが、第一及び/又は第二のスプレー・ジェットに粉末形態でスプレーインされる引張り強度が高い合金の量は異なっていてもよい。
【0023】
上述の実施例は、好ましくは、詳細には、本発明による材料に求められることに応じて必要とされるように調節されてもよい。
【0024】
好ましくは、オスプレー法におけるのと同様に、基盤上に互いに層をなして積み重ねてもよく、その結果、時間が経つにつれて圧縮された試験試料が二つの異なる合金の組み合わせとして製造される。この場合、スプレー・インされる粉末の送出量を変化させることによって混合比を調節できる。
【0025】
その結果、高い引張り強度を持つと同時に延性が高い材料が得られる。かくして、例えば図4は、二相系アルミニウム構造を示す。明るい部分は、CNTsと一体化した高強度構造成分であり、暗い部分は、軟質構造成分を表す。
【0026】
特にナノ粒子(例えばCNTs)で強化したアルミニウム合金を製造するための方法を以下に説明する。これらの合金は、純アルミニウムと比較すると、CNT濃度の関数として引張り強度がかなり高い(例えば5倍)が、これと同時に、延性がCNT濃度の関数として低下する。CNT含有量を別にして、これらの二つの材料特性は、例えば製造中の材料の温度等の他のプロセスパラメータの影響を受ける。かくして、これらのプロセスパラメータを変化させることによって、特殊アルミニウム合金についての可能な引張り強度/延性組み合わせの領域を調節できる。
【0027】
本発明のこの他の有利な実施例は、従属項から推論できる。これらの実施例は、詳細には、目的の達成中、及びこの他の利点に関し、上文中に説明した概念を実施する上で有利な可能性を提供する。この場合にも単独の材料として存在する特に好ましい第一材料の概念は、第二構成要素よりも引張り強度が低く、最大伸び率が高いということである。換言すると、第一材料は、特定的には、比較的軟質の材料構成要素である。この場合にも別に存在する材料として与えられる第二材料構成要素は、特に好ましい態様では、引張り強度がより高く、最大伸び率即ち延性がより低い。換言すると、第二材料構成要素は、特定的には、比較的硬質の材料構成要素である。この第二材料構成要素は、製造が特に容易であることがわかっている。詳細には、CNTsを使用し、更に適当には、特定の方法で、第一材料構成要素と組み合わせ、二相系アルミニウム材料を形成する。
【0028】
第一材料構成要素は、100MPaよりも小さい引張り強度を持つと同時に、15%よりも大きい最大伸び率を持つのが特に有利であるということがわかっている。一つの変形例では、引張り強度又は伸び率のうちの少なくとも一方のパラメータが、ここに言及した限度内にあるのがよい。第一材料構成要素は、70MPaよりも小さい引張り強度、及び、20%よりも大きい最大伸び率を持つ場合に極めて特に好ましいということがわかっている。最後に言及した実施例の変形例では、引張り強度又は伸び率のうちの一方のパラメータだけが、ここに言及した限度内にある。
【0029】
第二材料構成要素は、特に、500MPaよりも大きい引張り強度を持つと同時に、3%よりも小さい最大伸び率(延性)を持つ。変形例では、引張り強度又は伸び率のうちの少なくとも一方が、ここに言及した限度内にある。第二材料構成要素は、1000MPaよりも大きい引張り強度、及び1%よりも小さい最大伸び率(延性)を有する場合に極めて特に好ましいということがわかっている。最後に言及した実施例の変形例では、引張り強度又は伸び率のうちの一方のパラメータだけが、ここに言及した限度内にある。
【0030】
更に、従来のアルミニウム合金又は従来の純アルミニウムを開始材料とする第二材料構成要素において、CNTを含有するアルミニウム材料を使用するのが有利であるということがわかっている。CNTを含有することにより、最大伸び率が、CNTを含有しないアルミニウム材料と比較して30%よりも低く、有利には10%よりも低くなる。伸び率が限度まで低下したこの種のアルミニウム材料は、第二材料構成要素として特に好ましいということがわかっている。第二材料構成要素の形体に関し、詳細な説明の図13を参照されたい。
【0031】
二相系材料を形成するための第一及び第二の材料構成要素の別の組成に関し、詳細な説明の図12を参照されたい。二相系アルミニウム材料における(比較的硬質の)第二材料構成要素の体積分率が小さければ小さい程、二相系アルミニウム材料が可撓性になり、軟質になるということがわかる。二相系アルミニウム材料における(比較的軟質の)第一材料構成要素の体積分率が小さければ小さい程、二相系アルミニウム材料が可撓性が低下し、硬質になるということがわかる。
【0032】
特に好ましい実施例では、第一材料構成要素は、純アルミニウムの形態又はアルミニウム合金の形体である。いずれの場合にも不純物及び/又は添加物は排除できない。第二材料構成要素は、特に好ましい実施例では、とりわけ、混合物、好ましくは均質混合物の形態である。この混合物は、一方では、純アルミニウム及び/又はアルミニウム・ベースの合金と、他方ではCNTsとの混合物である。均質混合物は、好ましくは、機械的合金化によって形成された混合物の形態で実施される。特に好ましい機械的合金化法を以下に詳細に説明する。
【0033】
本発明の概念又はその実施例による第一材料構成要素及び/又は第二材料構成要素は、好ましくは、別の成分を含んでいてもよい。別の成分は、用途で決まる有利な方法で選択される。別の成分は、詳細には、プラスチック材料及び/又はポリマー及び/又は耐熱性が高い成分であってもよい。耐熱性が高い成分は、例えば、グラファイト及び/又はシリコン成分の形態であってもよいということが示されている。SiC成分及び/又はAl2O3成分が特に適していることがわかっている。
【0034】
本発明の概念は、有利には、少なくとも一つの金属及び/又は少なくとも一つのポリマーを、特にCNTs層と交互の層をなして含有する材料によって実施できる。
【0035】
第二材料構成要素は、有利には、顆粒形態又は粒子形態で存在する。粒子径は0.5μm乃至2000μmであり、特に、1μm乃至1000μmである。金属又はポリマーの個々の層の厚さは、10nm乃至500000nmであり、好ましくは20nm乃至200000nmである。CNTsの個々の層の厚さは、10nm乃至100000nmであり、好ましくは20nm乃至50000nmである。
【0036】
適当な金属は、鉄系金属、非鉄金属、及び貴金属等の金属である。適当な鉄系金属は、鉄、コバルト、及びニッケル、これらの合金及び鋼である。非鉄金属には、アルミニウム、マグネシウム、及びチタン等、及びこれらの合金が含まれる。言及可能なこの他の金属の例には、バナジウム、クローム、マンガン、銅、亜鉛、錫、タンタル、又はタングステン、及びこれらの合金、又は真鍮及び青銅が含まれる。ロジウム、パラジウム、プラチナ、金、及び銀を使用してもよい。ここに言及した金属は、一種類のみ単独で使用されてもよいし、互いに混合して使用してもよい。アルミニウム及びその合金が好ましい。純アルミニウムの他、アルミニウムの合金が好ましい。本発明による方法では、金属は、粒状、顆粒状、又は粉末状の形態で使用される。金属の代表的な粒子径は、5μm乃至1000μmであり、実用的には15μm乃至1000μmである。
【0037】
ポリマーとして、熱可塑性ポリマー、弾性ポリマー、又は熱硬化性ポリマーが適している。ポリマーの例には、ポリプロピレン又はポリエチレン等のポリオレフィン、シクロオレフィンコポリマー、ポリアミド6、12、66、610、又は612等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、スチレン・ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル・ブタジエンコポリマー、ポリウレタン、ポリアクリレート及びコポリマー、アルキド樹脂、エポキシド、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、ユリアホルムアルデヒド樹脂、等が含まれる。これらのポリマーは、一種類のみ単独で使用されてもよいし、互いに混合して使用してもよいし、金属と混合して使用してもよい。本発明による方法では、これらのポリマーは、いずれの場合にも粒塊
、顆粒、又は粉末の形態で使用される。ポリマーの代表的な粒子径は、5μm乃至1000μmであり、15μm乃至1000μmであるのが好ましい。
【0038】
例えば触媒作用によって、レーザーによるアーク中で、又はガスの分解によって製造された材料をCNTsとして使用してもよい。CNTsは、単層であってもよいし多層であってもよく、二層であってもよい。CNTsは、開放したチューブであってもよいし閉鎖したチューブであってもよい。CNTsは、例えば、0.4nm乃至50nmの直径と、5nm乃至50000nmの長さとを有する。CNTsは、更に、スポンジ状構造を備えていてもよく、相互に架橋したカーボンナノチューブで作られた二次元又は三次元の構造体であってもよい。個々のチューブの直径は、上述の範囲内で、例えば0.4nm乃至50nmの範囲内で変化する。フォーム構造の長さ、即ちCNTsの構造体の辺長は、寸法の各々において、例えば10nm乃至50000nmであり、有利には1000nm乃至50000nmである。
【0039】
本発明による材料は、例えば、CNTsをこの材料に基づいて0.1重量%乃至50重量%含む。実用的には、CNTsは、0.3重量%乃至40重量%の量、好ましくは0.5重量%乃至20重量%の量、特に1重量%乃至10重量%の量で材料に含有される。材料の金属がアルミニウム又はアルミニウム合金である場合には、材料は、CNTsを、材料に基づいて0.5重量%乃至20重量%含有するのが好ましく、CNTsを3重量%乃至17重量%含有するのが好ましく、CNTsを3重量%乃至6重量%含有するのが特に好ましい。
【0040】
材料は、前記金属及び前記CNTsを含んでいてもよく、これらは、前記金属、ポリマー、及びCNTsを含んでいてもよく、又は前記ポリマー及びCNTsを含んでいてもよく、又は上文中で言及した材料は追加の添加物、例えば機能的添加物を含有していてもよい。機能的添加物は、例えば、カーボン黒、グラファイト、及びダイヤモンド・モディフィケーションに含まれる炭素、ガラス、カーボンファイバ、プラスチックファイバ、無機ファイバ、ガラスファイバ、シリケート、セラミック材料、又はアルミニウムカーバイド、アルミニウムナイトライド、シリコンカーバイド、又はシリコンナイトライド等のアルミニウム又はシリコンの炭化物又は窒化物であり、これらは、ファイバ形態、例えばいわゆるウィスカーであってもよい。
【0041】
本発明による二相系アルミニウム材料は、金属、ポリマー、及びCNTsの夫々のフラクションに機械的合金化を行うことによって製造でき、第二材料構成要素として提供される。機械的合金化は、金属又はポリマー及びCNTsの粉末粒子に変形、破砕変形、及び溶接を繰り返し加えることによって実施できる。本発明によれば、機械的合金化を行う上で、ペブルが高エネルギで衝突するペブルミルが特に適している。例えば、ペブルミルで、エネルギの適当な入力が行われる。ペブルミルの微粉砕チャンバは、円筒形、好ましくは円形の円筒形の断面を有し、微粉砕チャンバは、全体に水平位置に配置される。ペブルミルのシリンダ軸線を中心として回転する微粉砕チャンバによって、微粉砕製品及び微粉砕ペブルを移動する。微粉砕製品及び微粉砕ペブルは、追加として、シリンダ軸線の方向で微粉砕チャンバ内に延びる、複数のカムを備えた被駆動回転体によって更に加速される。微粉砕ペブルの速度は、有利には、4m/s又はそれ以上に調節され、実用的には5m/sに調節され、特に11m/s及びこれよりも高い。6m/s乃至14m/s、特に11m/s乃至14m/sの範囲の微粉砕ペブルの速度が有利である。複数のカムが回転体の全長に亘って分配配置された回転体もまた有利である。これらのカムは、例えば、微粉砕チャンバの半径方向の1/10乃至9/10、好ましくは、4/10乃至8/10に亘って伸びていてもよい。シリンダ軸線上で微粉砕チャンバの全長に亘って延びる回転体もまた有利である。微粉砕チャンバと同様に、互いに独立して、又は同期して駆動される回転体は、外部からの駆動によって動かされる。微粉砕チャンバ及び回転体は、同じ方向に回転してもよく、又は好ましくは、逆方向に回転する。微粉砕チャンバを減圧排気し、微粉砕プロセスを真空下で行ってもよく、又は微粉砕チャンバを保護ガス又は不活性ガスで充填し、作動してもよい。保護ガスの例は、例えば、N、COであり、不活性ガスはHe又はArである。微粉砕は、場合によっては、極低温で行われてもよい。
【0042】
微粉砕期間は、10時間又はそれよりも短いのが代表的である。最少微粉砕期間は、実用的には15分間である。15分乃至5時間の微粉砕期間が好ましい。特に好ましい微粉砕期間は、30分乃至3時間であり、特に最大2時間である。
【0043】
ペブルの衝突がエネルギー伝達の主な理由である。エネルギー伝達は、方程式:Ekin=mvによって表現できる。mはペブルの質量であり、vはペブルの回転速度である。ペブルミルでの機械的合金化は、一般的には、直径が2.5mmであり且つ重量が約50gの鋼製ペブルで、又は直径が同じで重量が0.4gの酸化ジルコニウム(ZrO)製ペブルで行われる。
【0044】
ペブルミルへのエネルギ入力に従って、金属又はポリマーの層が好ましく分配された材料及びCNTsが製造される。エネルギ入力の増大に従って、個々の層の厚さが変化してもよい。エネルギ入力とは別に、微粉砕作用を加えた材料のCNT層の厚さは、微粉砕プロセスに供給されたCNT構造の厚さによって制御できる。エネルギ入力の増大に従って、個々の層の厚さを減少でき、夫々の層を面積に関して増大できる。面積の増大により、個々のCNTs層が互いに接触し、例えばCNT層が二次元的であり続け、又はCNT層が互いに接触し、粒子になってから二次元的になる。かくして、例えば、一方では、CNTsの熱伝導性及び導電性等のCNTsの優れた性質を、他方では金属の延性又はポリマーの弾性を、第二材料構成要素で実質的に保持することができる。
【0045】
更に、第二材料構成要素の性質は、開始材料が異なる二つ又はそれ以上の材料を混合すること及び/又はその製造中にエネルギを入力することによっても制御できる。金属又はプラスチックを含み、CNTsを含有しない材料、及びCNTsを含有する一つ又はそれ以上の材料を混合し、機械的合金化即ち微粉砕作用を加えてもよい。これらの様々な材料を、適宜、材料と混合し、第2の微粉砕作用又は複数の微粉砕作用を加えてもよい。第2微粉砕作用又は続いて行われる微粉砕作用は、例えば10時間又はそれよりも短い微粉砕期間に亘って行われる。第2微粉砕作用の最少期間は、実用的には10時間である。第2微粉砕作用期間は、好ましくは、10分乃至5時間である。15分乃至3時間、特に最大2時間の第2微粉砕作用の持続時間が特に好ましい。
【0046】
例えば、CNT含有量が高い第二材料構成要素及びCNT含有量が低い材料、即ちエネルギ入力が異なる材料を第2微粉砕プロセスで処理加工してもよい。CNT含有金属等のCNT含有材料、例えばアルミニウムを、CNTを含有しない金属、例えばアルミニウムとともに第2微粉砕プロセスで処理加工してもよい。第2微粉砕プロセス又は複数の微粉砕プロセス、即ち機械的合金化は、この場合、結果的に形成された材料が完全には均質化されていないが、各材料の固有の特性が保持されており、最終的に形成された材料に効果を追加する程度しか行われない。
【0047】
以上説明した方法によれば、目的とした処理加工を不可能にするCNTsに固有の特性、例えば金属の比重と比べて比重が低く、CNTsと金属との架橋性が乏しいといった特性を解決できる。かくして、アルミニウムの様々な密度の一例として2.7g/cmを与えることができ、CNTsに対して1.3g/cmを与えることができる。
【0048】
第二材料構成要素は、例えば、半完成品及び層を含む成形体で使用される。これらの成形体は、噴霧成形法、溶射法、プラズマ溶射法、押出し法、焼結法、圧力制御浸透法、又は圧力鋳造法によって製造される。
【0049】
従って、本発明の第二材料構成要素は、例えば、噴霧成形法によって成形体に処理加工できる。噴霧成形法中、例えば鋼、マグネシウム、又は好ましくはアルミニウム又はアルミニウム合金の金属溶融体を、加熱したるつぼによってスプレーへッドに供給し、そこで噴霧して液滴にし、基盤即ちベースに溶射する。最初は溶融状態であった液滴は、噴霧デバイスから下に置いた基盤までの飛翔中に冷却する。粒子流が基盤に高速で衝突して成長し、いわゆる堆積物を形成し、プロセス中に完全に凝固し、更に冷却する。噴霧成形法では、「液相から固相への」特定の相転移を正確に定義するのは困難である。これは、形成プロセス中、小さな溶融粒子の状態が互いに成長し、閉じた材料結合部を形成することが使用されるためである。本発明の場合、CNTを含有する第二材料構成要素は、噴霧デバイスに粉末形態で供給され、微細な金属液滴が金属溶融体の溶射プロセスからスプレーされる。このプロセスは、CNTsを含有する材料が溶融しておらず、又は表面だけしか溶融しておらず、偏析が起こらないように行われる。材料の粒子流及び金属液滴が基盤に高速で衝突し、成長し、堆積物になる。回転ディスク、回転ロッド、又はテーブル等の基盤に従って、バー等の中実体、チューブ等の中空体、又は金属シート又はプロファイル等の金属ストリップを成形体として製造できる。堆積物は、CNTsが埋め込まれた均質で均等な金属混合物であり、構造中に成分が所望の通りに均等に配置されている。堆積物は、例えばバーの形態で堆積する(いわゆるビレット)。これに続いて行われる、バーの押出し等の処理工程で、欠陥がない高度に圧縮された半完成品(管や金属シート等)又は層状構造即ちラメラ構造を持つ成形体を製造できる。これらの半完成品や成形体は、例えば、多かれ少なかれ、構造における異方性、及び導電性、熱伝導性、強度、及び延性等の機械的特性及び物理的特性が大きい。本発明による二相系アルミニウム材料のこの他の用途は、中性子捕獲器、ジェット減速、又はジェット保護層の製造である。
【0050】
本発明の第二材料構成要素は、別の方法で、成形体として又は層として使用できる。これらの成形体は、プラズマ溶射法又は低温ガス溶射法等の溶射法によって製造される。溶射法では、粉末材料をエネルギ源に噴射し、そこで方法の違いに応じて加熱を行い、部分的に溶融し又は完全に溶融し、コーティングが施されるべき表面の方向に加速して高速(方法及びパラメータの選択で決まる数m/s乃至1500m/sの速度)にする。コーティングが施されるべき表面では、衝突した粒子が層をなして堆積する。理想的に加熱した粒子又は表面が部分的に溶融した粒子が非常に高い運動エネルギを伴って基盤に衝突すると、好ましくは、CNTsが液滴平面内に、即ちジェットの方向即ち衝突方向に対して横方向に配置される。これにより、引張り強度等の材料特性の異方性が制御される。
【0051】
別の態様では、又は追加として、CNT含有第二材料構成要素を、押出し法、焼結法、又は圧力鋳造法によって成形体に更に処理加工してもよい。圧力鋳造法では、金型を、ゆっくりと、特に層状をなして、連続的に、高い金属圧力で充填することが目的とされる。例えば、多孔質ファイバ又は粒子を、液体化した金属によって、成形体に浸透することによって複合材料を製造できる。
【0052】
圧力鋳造法では、CNTsを含有する金属から形成された第二材料構成要素は、鋳造金型内に粉末母材材料として存在する。融点がこの材料よりも低い金属、例えばアルミニウム含有材料の場合には、融点が750℃よりも低い金属を、加熱した鋳造金型にゆっくりと押し込む。液体金属は、加えられた圧力の作用で粉末母材材料に入り込む。次いで鋳造金型を冷却し、成形体を金型から取り出す。この方法は、連続的に実施することもできる。一実施例では、金属、例えばアルミニウムを処理加工し、チキソトロープ挙動を示す予備製品にし、CNTsを組み込む。液体化した金属の代わりに、CNTsを含有するチキソトロープ挙動を示す状態の予熱した金属(一部が液体/一部が固体)を鋳造金型でプレスしてもよい。更に、粒子形態又は顆粒形態の材料を充填でき、金属は、鋳造金型内へのバルクブレンドとしての個々の粒子でCNTs層と交互の層をなしており、鋳造金型を加熱し、金型を、中断なく、製造された成形体に気泡を生じることなく、圧力下で完全に充填する。最終的には、粗く混合した金属粉末、例えばアルミニウム粉末、又はチキソトロープ特性を持つアルミニウム、及びスポンジ形態の又は直径が最大0.5mmのクラスタをなしたCNTsを粗く混合でき、これを熱の作用で鋳造金型に押し込み、金属を溶融する。圧力鋳造法によれば、成形体、例えばロッド状成形体を断続的に又は連続的に製造できる。例えばアルミニウム又はアルミニウム合金を溶融し、凝固するまで常に攪拌しながら急速に冷却することによって、チキソトロープ特性を持つアルミニウムを得ることができる。
【0053】
特に好ましい実施例では、第二噴流は、第一噴流と同じ噴流であってもよく、換言すると第一構成要素及び第二構成要素は、必要であれば、一緒に、例えば一つのスプレー・ノズルに供給され、噴霧成形中に単一のスプレー・ジェットを形成する。更に、第一噴流とは別個に形成された第二噴流を使用して第二材料構成要素を第一噴流に供給する一つの変形例がとりわけ有利であることがわかった。必要であればこれらの噴流の両方又は一方をスプレー・ジェットとして形成してもよい。更に、必要であれば、第一及び第二の噴射は、共線形態であってもよく、必要であれば、互いに対して所定の角度をなしていてもよい。
【0054】
上文中に既に部分的に説明したように、第一材料構成要素を溶融状態で第一噴流に導入するのが特に有利であることがわかっている。この目的のため、第一材料構成要素は、例えばノズルを通して液滴として第一噴流にスプレーすることによって導入されてもよい。
【0055】
好ましい方法では、第二材料構成要素を粉末状態で第二噴流に導入してもよい。第二材料構成要素の粒子状状態、好ましいナノ粒子がこれに特に適している。このような粒子及び同様の粒子を、特に好ましい方法で、ここに説明した一つ又はそれ以上の微粉砕方法に従って示すことができる。とりわけ、この実施例に従って第一噴流及びこの第一噴流とは別個の第二噴流を形成する構成により、例えばアルミニウム母材からのナノ粒子の偏析を生じることなく、第二構成要素を確実に導入する。スプレーインされた粒子は、例えば第二材料構成要素の高温のクラウド中で部分的に溶融し、均等に混合され、比較的短い飛翔時間の後、基盤上に一緒に堆積する。基盤では、二相系アルミニウム材料の形態の材料が直ちに凝固する。
【0056】
他の更に適当な実施例では、更に、第一材料構成要素を粉末状態で第二噴流に導入でき、第二材料構成要素を溶融状態で第一噴流に導入できる。
【0057】
全体として、二相系アルミニウム材料及びこの材料から形成された成形体は、良好な熱伝導性及び導電性を示す。本発明による材料から形成された成形体は、熱的挙動が優れている。クリープ伸びが改善される。CNTsをアルミニウム等の金属に加えることによって、粒塊構造は、例えば0.6乃至0.7Fmに大幅に改善される。CNTsを金属に加えることにより、金属の再結晶に影響を及ぼし、又は再結晶が起こらないようにする。金属中のCNTsによって、亀裂が拡がるのを減少し、又はなくす。本発明による材料は、特に高い耐熱性を特徴とする。
【0058】
次に、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。添付図面は、これらの実施例を必ずしも同じ縮尺で示しておらず、説明に有用であれば、概略に及び/又は僅かに変形した状態で示す。添付図面から直接的に認識できる教示を補うものとして、関連した従来技術を参照する。ここで、本発明の全体としての概念から逸脱することなく、一実施例の形態及び詳細に関する変形及び変更を行うことができるということは考慮に入れられるべきである。本明細書中、添付図面、及び特許請求の範囲に開示した特徴は、個々に、及び本発明の発展のための任意の組み合わせの両方で重要である。更に、本明細書中に開示した特徴のうちの少なくとも二つの特徴の全ての組み合わせは、本明細書の範疇に含まれる。本発明の一般的な発明概念は、図示され且つ以下に記載された好ましい実施例の正確な形態や詳細に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の主題との比較において特定されるべきものである。記載された数値範囲に関しては、記載された境界内の値も、また、開示されていると解されなければならず、要求したとおりに使用することができると共に、境界値として権利を請求することができる。
【0059】
詳細には、添付図面のうち、図1乃至図9は、以下の事項を示す。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、CNTsを含むアルミニウム・ベース複合材料の引張り強度が、純アルミニウムと比較して大幅に増大する可能性を明瞭に示すグラフである。
【図2】図2は、二相系アルミニウム材料を本発明の概念に従って適用するための噴霧成形デバイスの概略図である。
【図3】図3は、純アルミニウムの形態の第一材料構成要素及びアルミニウム/CNT複合材料の形態の第二材料構成要素の飛翔相の概略説明図である。
【図4】図4は、CNT相がアルミニウム母材内に明瞭に示してある、アルミニウム/CNT複合材料の形態の第二材料構成要素の粒子の二相系アルミニウム構造の例示の写真である。
【図5】図5乃至図9は、開始製品及び最終的材料構成要素の顕微鏡写真であり、いずれの場合にも高倍率である。このうち、図5は、機械的合金化によって好ましい第二材料構成要素を形成する前のアルミニウム粒子及びCNT凝集塊の混合物を拡大して示す写真であり、明るいアルミニウム粒子に参照番号(1)が付してあり、暗いCNT凝集塊に参照番号(2)が付してある。
【図6】図6は、機械的合金化後の粉末即ち粒子の形態の好ましい第二材料構成要素を拡大して示す顕微鏡写真である。この図では、自由CNTsは見えない。全てのCNTsは、変形、破砕、及び溶接が何度も行われたアルミニウム粒子に取り込まれている。
【図7】図7は、Al/CNT複合材料の形態の好ましい第二材料構成要素の粒子の断面図である。層構造又は他の層が材料の粒子内に見える。これらの灰色の色調のアルミニウム金属層及びCNTsが明/暗線型に含まれて交互になっていることがわかる。
【図8】図8は、Al/CNT複合材料の形態の好ましい第二材料構成要素の別の粒子の断面図であり、材料の粒子内に層構造又は他の層が見える。明るい構造として示されたアルミニウム金属(3)及び暗い線型の包含物として示されたCNT(4)の交互の層がアルミニウム中に見える。図7の材料と比較すると、図8の材料は、CNTsの割合が低く、比較的厚いアルミニウム層によってCNTsが分離されている。粒子を取り囲む灰色の領域(5)は樹脂を表し、ここには顕微鏡写真を撮影するための材料が入り込んでいる。
【図9】図9は、例えば本発明による材料の製造に使用できるCNTsのスポンジ構造を示す、電子顕微鏡写真である。この種のスポンジ構造は、例えば、加圧焼結法でも使用できる。
【図10】図10は、機械的合金化で基本的に行われる、破砕変形プロセス、積み重ねプロセス、及び溶接プロセスを示す概念図である。これらのプロセスは、高エネルギ微粉砕プロセス中に何度も繰り返され、これにより、包含された材料が、即ち第二材料構成要素の材料が、図6、図7、及び図8に例として示すように「激しい塑性変形」を受ける。
【図11】図11は、二相系アルミニウム材料を適用するための本発明の概念による噴霧成形デバイスの別の実施例の概略図である。
【図12】図12は、引張り強度及び伸び率に関する、硬質及び軟質の構成要素の体積分率効果を、完成した二相系アルミニウム材料の割合としての硬質材料の体積分率の関数として示すグラフである。
【図13】図13は、引張り強度及び伸び率のCNT含有量依存性を、特に本発明の概念による比較的硬質の第二材料構成要素に使用できるアルミニウム材料の重量%でのCNT含有量の関数として示すグラフである。
【図14】図14は、本発明の概念による有利な噴霧成形方法を使用して得られた、好ましい二相系アルミニウム材料の電子顕微鏡写真である。
【図15】図15は、本発明による二相系アルミニウム材料から製造したテンションロッドの引張試験片での代表的な亀裂の画像の電子顕微鏡写真である。
【実施例】
【0061】
ペブル速度が11m/sを越えるペブルミルで高エネルギ微粉砕を行うことにより、純アルミニウム粉体及びCNTsの機械的合金化を行うことによって、様々な材料が様々な微粉砕期間によって製造される。これらの材料を粉末押出法で更に処理加工し、一連のロッド状試験片を製造する。これらの試験片に以下の表1に列挙した試験を加える。この表における温度の情報は、押出法中の処理加工温度を意味する。これらの試験片は、CNTsを6重量%含有する。30分、60分、及び120分の時間情報は、機械的合金化による材料製造中の微粉砕期間を与える。実施例1はCNTsを含有しない純アルミニウムに関する比較試験である。
【0062】
【表1】

【0063】
いずれの場合にも引張り強度及び硬度が約400%向上することが表1からわかる。これらの値は、材料中のCNTsの含有量、及び材料を製造するための微粉砕期間等の微粉砕プロセスによって制御できる。弾性率は80%程度大きくなる。弾性率は、材料の製造時の機械的合金化中の微粉砕期間の影響及び押出法中の処理加工温度の影響を受ける。
【0064】
図1は、Al/CNT複合材料の均質混合物の形態の第二材料構成要素に関する一連の引張り強度/延性曲線を、純アルミニウム(Al+0%CNTs)と比較して示す。これらの曲線の引張り強度を示す最高点を、ここでは、応力/歪限度と呼び、例えばCNTsを8%含有するアルミニウム・ベースの複合材料の場合、この種の複合材料の引張り強度は、実際上、純アルミニウムの引張り強度の5倍である。CNT体積分率が比較的低い(例えばAl+6%CNTs又はAl+4%CNTs)場合でも、これよりも低い引張り強度値を得ることができる。こうした複合材料では、延性が、それにも関わらず、比較的高いということが確認される。更に、CNT体積分率が比較的低い、アルミニウム・ベースの複合材料には、押出し温度が比較的低いという利点がある。
【0065】
図2は、噴霧成形デバイス11の概略図を示す。噴霧成形デバイス11では、例えば、るつぼ12内に溶融体13として存在する純アルミニウムをタンデッシュ14に供給でき、これは、次いで、液体を微細に拡散された液滴にするスプレーノズル15に供給され、スプレーコーンが便宜的に選択された第一噴流16を形成する。ここに示しておらず、角度が僅かにずらしてある、即ち所定の角度をなしたスプレー・ジェットが、本発明では純アルミニウム/CNT複合材料の形態の第二材料構成要素の粉末粒子を、第一スプレー・ジェット16のスプレーコーン内にスプレーする。純アルミニウム液滴17及びAl/CNT複合材料粒子18を含む、図3に概略に示すクラウドは、部分的に溶解した状態19で、適当な衝突速度20で基盤21に達し、そこで直ちに凝固し、試験体22を形成する。
【0066】
この種の試験体を製造するためのAl/CNT複合材料の形態の第二材料構成要素の粒子の顕微鏡写真を図4に示す。アルミニウムプレートレット内部のCNT部分で得られた構造形態がプレートレット内の明るい点で明瞭にわかる。CNTが一体化されたこのような高強度構造成分は、純アルミニウム製軟質構造形態で形成された暗く示す部分で部分的に取り囲まれている。全体として、二相系アルミニウム材料が、これによって提供される。二相系アルミニウム材料は、延性がより高く且つ引張り強度が低い第一材料構成要素を、延性がより低く且つ引張り強度が高い第二材料構成要素を相混合物として組み合わせる。
【0067】
図10は、機械的合金化を行うための高エネルギ微粉砕法で実施される重要なプロセス、即ち、溶接、破砕変形、及び積み重ねを示す。このプロセスにより、最終的には、含まれる材料は強塑性変形(極度の塑性変形)を受ける。好ましい比較的硬質のアルミニウム合金とCNT材料の混合物に高エネルギ微粉砕法を使用したとき、含まれる材料が微粉砕によって非常に強力に凝固し、その結果、本発明の概念による特に好ましい第二の(より硬い)材料構成要素が得られる。ここでは、凝固は、周知のホール−ペッチの関係に従って行われる。これは、含まれる粒子の直径が小さければ小さい程、達成可能な最大引張り強度が大きくなるということを意味する。詳細には、ホール−ペッチ関係によれば、達成可能な最大引張り強度Pは、含まれる粒子の直径の平方根に反比例する。この関係の有効性は、いずれにせよ、1μmよりも小さい粒子直径で始まる。例えば純アルミニウム又はCNTsを含む比較的高硬度のアルミニウム合金等のアルミニウム材料の高エネルギ微粉砕は、CNT部分がアルミニウム材料に均質に組み込まれるという図10に明瞭に示す利点ばかりでなく、CNTが微粉砕助剤として使用されるという追加の利点を有する。特に好ましい実施例によれば、ステアリン酸等の従来の微粉砕助剤部分を、これによって、減少でき、又は全く不要にできる。
【0068】
図11は、二相系アルミニウム材料を製造するための、図2に概略に示す方法の変形例の製造方法を概略に示す。この製造方法では、同一直線上にない二つのスプレー・ジェット31、32を使用し、第一及び第二の材料構成要素を適用する。この他の同じ部分、又は図11、図2、及び図3の機能が同じ部分には、同じ参照番号が付してある。ここでは、第二構成要素をアルミニウム液滴17のキャリヤ噴流31、32に第二構成要素を粉末形態で導入するため、二つの粉末インジェクタ41、42を使用する。この場合、第一及び第二のスプレー・ジェット31及び32間の角度を変化させてもよく、これは、この場合には、第二スプレー・ジェット32を調節することによって行われる。同様に、この場合には、粉末の量を、第一及び第二のスプレー・ジェット31及び32に導入するのに必要であるように調節できる。随意であるが、変形例では、第一スプレー・ジェット31には粉末の導入が行われなくてもよい。即ち、例えば純アルミニウム又は合金にしたアルミニウム等のアルミニウム材料しか供給されなくてもよい。
【0069】
この種の及び他の構成によって、二相系アルミニウム材料製の有利なビレットを製造できる。一方では、純粋に粉末状のCNTsを使用すると、ビレットは製造されないということがわかっている。他方、CNTsを強力に、特に600℃以上に加熱すると、アルミニウムカーバイドが製造されるということがわかっている。後者の場合、製造された材料は非常に割れ易い。これは、第二材料構成要素を含むこの粉末状CNTsを、好ましくは純アルミニウム又はこれよりも硬質のアルミニウム合金のアルミニウム液滴17を含むスプレー・ジェットの液相に導入することによって回避される。更に、飛翔時間即ちフライト時間が短いため、障害となる化学反応が起こらない。特に、二つのスプレーノズル又は二つのスプレー・ジェットを使用して二相系アルミニウム本体を形成するのが有利であることがわかった。
【0070】
これに続いて行われる有利な製造工程では、ビレットに押出しプロセス等を行うことによって、別の圧縮を行うことができる。
【0071】
図13は、好ましいアルミニウム材料構成要素の引張り強度及び伸び率の挙動を、本発明の概念による(比較的硬質の)第二材料構成要素を形成するCNTの含有量の関数として例示するグラフである。例えば、7000シリーズのアルミニウム合金を開始合金として使用してもよい。この合金の伸び率は、CNT含有量が低い場合に最大である。第二材料構成要素中のCNT含有量は、特に有利であることがわかっており、伸び率が10%乃至30%低下する。この場合、引張り強度は、有利には、高い引張り強度範囲内にある。特に、最大引張り強度値と伸び率曲線との交点との間にある。引張り強度曲線と伸び率曲線との間の交点領域でのCNT含有量が有利であるということがわかっている。
【0072】
図12は、完成した二相系アルミニウム材料の引張り強度及び伸び率の変化を、(比較的硬質の)第二材料構成要素の分率の増大に従って例示するグラフである。第二材料構成要素の分率は、完成した二相系アルミニウム材料のパーセンテージとして示す。これによって、引張り強度の実際上任意の所望の有利な高い値は、それにも関わらず最大伸び率が高く、比較的硬質の第二材料構成要素の形態の硬質材料の体積分率を変化させることによって調節できるということが明らかになる。
【0073】
図14は、微細な、不均質であるが均等に分配された、完成した二相系アルミニウム材料中の比較的硬質の第二材料構成要素及び比較的軟質の第一材料構成要素を示す。二相系アルミニウム材料の硬質相は、明るい領域に示されている。二相系アルミニウム材料の軟質相は、暗い領域に示されている。
【0074】
図15の下側の拡大した領域は、図15の上側の部分に示すテンションロッドの代表的な亀裂の画像を示す。CNT−1及びCNT−2の表示に関し、アルミニウム材料に埋め込まれた長さが異なるCNTsが明瞭にわかる。
【0075】
手短に述べると、本発明は、カーボン・ナノチューブ(CNTs)を含有する粒子又は粉末の形態の複合材料の処理加工を提供する。ここでは、金属が10nm乃至500000nmの厚さの層をなしており、これらの層の間に10nm乃至100000nmの厚さのCNT層が設けられている。材料は、機械的合金化によって、即ち金属粒子及びCNT粒子の変形、破砕変形、及び溶接を、好ましくはペブルミルでの微粉砕によって繰り返すことによって製造される。ペブルミルは、高エネルギーペブル衝突を発生するため、微粉砕チャンバ及び微粉砕ペブルを微粉砕体及び回転体として含む。二相系アルミニウムの製造方法を説明した。この方法では、複合材料及びアルミニウム合金をオスプレー法で合金にする。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一相と第二相を有するアルミニウム・ベースの二相系アルミニウム材料であって、噴霧成形法によって製造され、前記第一相を形成するために、アルミニウム・ベースの合金の形態で、少なくとも一つの第一噴流を使用して導入された、第一材料構成要素と、前記第二相を形成するために、少なくとも一つの第二噴流を使用して導入された、第二材料構成要素とを有する、前記二相系アルミニウム材料において、前記第二材料構成要素は、一方では、アルミニウム及び/又はアルミニウム・ベースの合金を有し、他方では、非金属を含有する材料を有する、アルミニウム・ベースの複合材料の形態をなし、前記第一材料構成要素は、前記第二材料構成要素に比較して、いずれの場合にも単独の材料として、より高い伸張性(延性)、及び/又は、より低い引張り強度を有することを特徴とする、二相系アルミニウム材料。
【請求項2】
請求項1に記載された二相系アルミニウム材料において、前記第二材料構成要素は、前記第一材料構成要素に比較して、いずれの場合にも単独の材料として、より低い伸張性(延性)、及び/又は、より高い引張り強度を有することを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された二相系アルミニウム材料において、前記第一材料構成要素は、単独の材料として、100MPaよりも小さい、特に70MPaよりも小さい、引張り強度(応力)、及び/又は、15%よりも大きい、特に20%よりも大きい、最大伸び率(延性、ひずみ度)を有することを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記第二材料構成要素は、単独の材料として、500MPaよりも大きい、特に1000MPaよりも大きい、引張り強度、及び/又は、3%よりも小さい、特に1%よりも小さい、最大伸び率(延性)を有することを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記第一材料構成要素は、排除できない不純物及び/又は添加物を含有する純アルミニウムの形態を成すことを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記第一材料構成要素は、排除できない不純物及び/又は添加物を含有するアルミニウム合金の形態を成すことを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記第二材料構成要素は、特に極めて良好な混合形態を成し、好ましくは、一方では、純アルミニウム及び/又はアルミニウム合金と、他方では、CNTsとの機械的合金化によって形成された混合物の形態を成すことを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記第一材料構成要素及び/又は前記第二材料構成要素は、また、プラスチック材料及び/又はポリマー及び/又は高耐熱性成分、特にグラファイト及び/又はシリコン成分を有することを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記第二噴流は、前記第一噴流と同一の、共線的な又は好ましくは独立した噴流であり、特にスプレー・ジェットであることを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記第一材料構成要素は、溶融状態で前記第一噴流に導入され、特に液滴として導入され、好ましくは前記第一噴流にノズルを介してスプレーされることを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記第二材料構成要素は、粉末状態で、好ましくは粒子として、特にナノ粒子として、前記第二噴流に導入され、特に、一方では、アルミニウム及び/又はアルミニウム・ベースの合金、及び、他方では、非金属を含有する材料、好ましくはCNTsの偏析を生じることなく、導入されることを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項12】
請求項1乃至11のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記第一材料構成要素は、粉末状態で前記第二噴流に導入され、及び/又は、前記第二材料構成要素は、溶融状態で前記第一噴流に導入されることを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項13】
請求項1乃至12のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記材料中で、少なくとも一つの金属及び/又は少なくとも一つのプラスチック材料が、CNTs層と交互に積層されていることを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項14】
請求項1乃至13のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記第二材料構成要素の粒子径は、0.5nm乃至2000nmであり、特に、1μm乃至1000μmであることを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項15】
請求項1乃至14のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、金属又はプラスチック材料の個々の層は、10nm乃至500000nmの厚さを有し、特に、20nm乃至50000nmの厚さを有することを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項16】
請求項1乃至15のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、CNTsを含有する層の厚さは、10nm乃至100000nmであり、特に、20nm乃至50000nmであることを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項17】
請求項1乃至16のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記材料の粒子の内部で、少なくとも一つの金属又はプラスチック材料が、均一の層厚で、CNTsの層と交互に積層されていることを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項18】
請求項1乃至17のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記材料の粒子の内部で、少なくとも一つの金属又はプラスチック材料がCNTsの層と交互に積層され、前記粒子の内部に、高濃度のCNTs層を有する領域と、低濃度の金属又はプラスチック材料層を有する領域が存在することを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項19】
請求項1乃至18のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記材料の粒子を通して、複数のCNTs層が一部の領域で互いに接触し、かつ、前記粒子を通して、CNTが途切れることなく貫通することを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項20】
請求項1乃至19のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、アルミニウム又はアルミニウム合金に加えて、金属として、鉄及び非鉄金属、貴金属、実用的には、鉄、コバルト及びニッケル、これらの合金及び鋼から成る一連の鉄系金属、非鉄金属、実用的には、アルミニウム、マグネシウム、チタン及びこれらの合金、バナジウム、クローム、マンガン、銅、亜鉛、錫、タンタル又はタングステン及びこれらの合金から成る一連の金属、黄銅及び青銅から成る一連の合金、ロジウム、パラジウム、プラチナ、金及び銀から成る一連の金属が、一種類のみ単独で又は互いに混合されて含有されていることを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項21】
請求項1乃至20のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、ポリマーとして、熱可塑性、弾性又は熱硬化性のポリマー類、好ましくは、ポリオレフィン、シクロオレフィンコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、スチレン・ブタジェンコポリマー、アクリロニトリル・ブタジェンコポリマー、ポリウレタン、ポリアクリレート及びコポリマー、アルキド樹脂、エポキシド、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア・ホルムアルデヒド樹脂が、一種類のみ単独で又は互いに混合されて含有されていることを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項22】
請求項1乃至21のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記CNTsは、0.4nm乃至50nmの直径と、5nm乃至50000nmの長さを有することを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項23】
請求項1乃至22のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記CNTsは、カーボン・ナノチューブで作られた2次元又は3次元構造体であり、好ましくは10nm乃至50000nmの辺長を有する構造体であることを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項24】
請求項1乃至23のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、前記材料は、前記材料に対して、0.1乃至50重量%の量のCNTsを含有し、実用的には、0.3乃至40重量%の量のCNTsを含有し、好ましくは、0.5乃至20重量%の量のCNTsを含有し、特に、1乃至6重量%の量のCNTsを含有することを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項25】
請求項1乃至24のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料において、アルミニウム又はアルミニウム合金が前記材料の前記金属を構成し、前記材料は、0.5乃至10重量%のCNTsを含有し、好ましくは、3乃至6重量%のCNTsを含有することを特徴とする、前記二相系アルミニウム材料。
【請求項26】
請求項1乃至25のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料を製造する方法において、前記方法は、
― アルミニウム・ベースの複合材料の形態を成し、一方では、アルミニウム及び/又はアルミニウム・ベースの合金を有し、他方では、非金属を含有する材料を有する、前記第二材料構成要素を提供するために、アルミニウム及び/又はアルミニウム・ベースの合金と非金属、特にCNTsの破片を、いずれの場合にも、粒、粒子、ファイバー及び/又は粉末の形態で、機械的合金化法によって処理する工程と、
― 第一相と第二相を有するアルミニウム・ベースの前記二相系アルミニウム材料を、特にオスプレイ法の処理過程で、噴霧成形する工程であって、前記噴霧成形は、
― 前記第一相を形成するための第一材料構成要素を、アルミニウム・ベースの合金の形態で、少なくとも第一噴流に導入し、
― 前記第二相を形成するための前記第二材料構成要素を、少なくとも第二噴流に導入することによって行なわれ、ここで、
― 前記第一材料構成要素が、前記第二材料構成要素に比較して、いずれの場合にも単独の構成要素として、より高い伸張性(延性)、及び/又は、より低い引張り強度を有する、前記噴霧成形する工程と、
を有する、二相系アルミニウム材料を製造する方法。
【請求項27】
請求項26に記載された二相系アルミニウム材料を製造する方法において、機械的合金化法は、金属又はプラスチック材料の粒子及びCNTsの粒子の変形、破壊及び溶着を繰り返すことによって行なわれ、好ましくは、機械的合金化法は、一つのミリング・チャンバーと、高エネルギー・ペブル衝突によるミリング体としての複数のミリング・ペブルとを含む、ペブル・ミルで行なわれることを特徴とする、前記方法。
【請求項28】
請求項26又は27に記載された二相系アルミニウム材料を製造する方法において、ペブル・ミルは、シリンダ状の、好ましくは円形断面を有するシリンダ状のミリング・チャンバーを有し、前記複数のミリング・ペブルは、そのシリンダ軸の周囲に回転し、かつ、被回転体によって加速される、前記ミリング・チャンバーによって移動させられ、前記被回転体は、前記シリンダ軸の方向に伸びて前記ミリング・チャンバーの内部に延在し、かつ、複数のカムを備えることを特徴とする、前記方法。
【請求項29】
請求項26乃至28のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料を製造する方法において、前記ミリング・ペブルの速度は、少なくとも6m/sであり、特に11m/sであり、前記ミリング・ペブルの速度は、6m/s乃至14m/sの範囲内にあることが有利であり、特に11m/s乃至14m/sの範囲内にあることが有利であることを特徴とする、前記方法。
【請求項30】
請求項26乃至29のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料を製造する方法において、前記ミリング時間は10時間以下であり、最小限のミリング時間は5分であり、前記ミリング時間は、好ましくは15分と5時間の間にあり、特に好ましくは30分と3時間の間にあり、そして、特に2時間以下であることを特徴とする、前記方法。
【請求項31】
請求項26乃至30のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料を製造する方法において、前記回転体は、その全長にわたって配置された複数のカムを有し、前記カムは、有利には、前記ミリング・チャンバーの全域にわたって、前記シリンダ軸の方向に延在することを特徴とする、前記方法。
【請求項32】
請求項26乃至31のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料を製造する方法において、同一の又は異なる出発物質及び/又はエネルギー導入量の二つ又はそれ以上の異なる材料が混合され、又は、第2回目のミリング又は複数回のミリングを施されることを特徴とする、前記方法。
【請求項33】
請求項26乃至32のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料を製造する方法において、CNTを含有しない金属又はプラスチック材料と、一つの材料又は同一の又は異なる出発物質及び/又はエネルギー導入量の複数の異なる材料とが混合され、又は、第2回目のミリング又は複数回のミリングを施されることを特徴とする、前記方法。
【請求項34】
溶射圧縮成形、熱間溶射法、プラズマ溶射法、押出し法、焼結法、調圧浸潤法又は加圧鋳造によって製造される成形体のための請求項1乃至33のうちのいずれか一項に記載された二相系アルミニウム材料の使用。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2010−533786(P2010−533786A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516424(P2010−516424)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005883
【国際公開番号】WO2009/010297
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(305061900)アルカン テヒノロギー ウント メーニッジメント アクツィエンゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】ALCAN TECHNOLOGY & MANAGEMENT AG
【住所又は居所原語表記】Badische Bahnhofstrasse 16, CH−8212 Neuhausen am Rheinfall, Switzerland
【Fターム(参考)】