説明

第1のパイプラインと第2のパイプラインを関節で接続するためのコネクタ

本発明は特に、航空機にてエンジンで動く高温空気供給システムの第1及び第2の管路(3、5)を、付加的な公差補償機能でヒンジ結合するコネクタ(1)に関し、第1管路(3)のパイプ端(2)は、タイロッド(32)により、第2管路(5)のパイプ端(4)との間にギャップ(39)を形成した状態で該パイプ端にヒンジ結合される。対向するパイプ端(2、4)がギャップ(39)の封止装置、特に金属ベロー(11)で包囲され、タイロッド(32)の第1端部(33)が長さの調整装置(35)をもつ。調整装置(35)が端部に配置されるので、コネクタ1の組立が容易であり、分離可能なVフランジ継手が第1管路(3)のパイプ端(2)に設けられる。特に航空機のエンジンで動く高温空気供給システムで遭遇する種類の高圧及び/又は高温の媒体に対し、封止装置としての金属ベロー(11)は、長い耐用年数をコネクタに与え、保守不要の運用を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年5月27日に提出した独国特許出願第10 2005 024 413.0号の出願日の利益を請求し、その開示内容をここに参照として援用する。
【0002】
本発明は、第1及び第2のパイプライン(輸送管路)、特に航空機においてエンジンで動く高温空気供給システムの第1及び第2のパイプラインについて、付加的な公差補償の機能をもって関節で接続するためのコネクタに関するものであり、第1のパイプラインにおける1つのパイプ端が、第2のパイプラインのパイプ端との間にギャップ(間隙)を形成した状態で、タイロッド(連結棒)によって該パイプ端に関節で接続される。
【背景技術】
【0003】
高温及び/又は高圧の流体及び/又はガス状物質、特に高温ガス等を中継するために用いるパイプラインを、関節で接続するためのコネクタの周知の実施例は、例えば、金属シール口に嵌合する封止部と、実際に封止を行うためのプラスチック材料を有する。例えば、このようなパイプラインは、航空機において、エンジン起動システム、客室の空調、翼及び空気力学的な操縦面の除氷に使用される。
【0004】
生じた高温の流体又はガス、更には、運転中に起こる振動やパイプ端同士の相対運動に起因して、実際に封止を行う上記プラスチック材料は、かなり急速に摩耗する。
【0005】
特に安全性を重視する分野、例えば、航空機においてエンジンで駆動される高温空気供給システムのパイプラインを接続する場合には、既知のコネクタにおける上記した磨耗の徴候により、短い点検間隔を前提として、高い保守費用を余儀なくされる。
【0006】
また、既知のコネクタは組立が困難であり、その理由は、パイプ端同士のギャップ領域において、公差補償のために制御ユニットが配置されるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記コネクタについての既知の実施例がもつ不具合を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に示す特徴をもった装置によって達成される。対向するパイプ端が、ギャップを封止するための封止装置、特に金属ベローによって包囲されており、タイロッドの第1の端部が長さ調整用の調整装置を有することは、一般に、本発明によるコネクタに、殆ど一生涯の耐久性をもたらし、一方の側にある調整装置によって同時に組立が容易となる。更に、上記のことは、安全性に関連した分野、例えば航空機等においてエンジンで動く高温空気供給システムのパイプラインを繋げる場合に、本発明によるコネクタの全寿命に亘って保守の殆ど要らない運用を可能にする。
【0009】
本発明の他の一実施形態では、パイプ端の各々が、タイロッドを取り付けるために、基本的に中央に配置されたレセプタクル(受入部)を組み込んでいる軸受リングを有しており、このレセプタクルは、外方へと放射方向を向いた少なくとも2つの支持部によって、軸受リングの内面に接続される。
【0010】
これによって、パイプ端においてタイロッドのための、基本的には中心にあるレセプタクルが提供され、第1のパイプラインと第2のパイプラインとの間の力を殆ど一様に伝達することが可能となる。
【0011】
他の例示的な実施形態では、支持部が均等な間隔をもって離間される。
【0012】
本実施形態により、基本的に一様に伝達される力を、レセプタクルから軸受リングに伝えることができる。
【0013】
他の例示的な実施形態では、レセプタクルに軸受胴(シェル)が組み込まれ、それぞれのドーム状をした開口部が、第1及び第2のパイプラインの内部空間の方向を向いている。
【0014】
タイロッドの両側に配置されるボールヘッドに関連するドーム状の開口部を組み込んだ軸受胴によって、パイプ端を関節で動くように接続できる。
【0015】
他の例示的な実施形態では、第1のパイプライン及び/又は第2のパイプラインが、接続部、特にVフランジ継手によって、軸受リングの領域で、接続を外せるように設計される。
【0016】
これによってコネクタの組立が簡素化されるが、その理由は、第1のパイプラインを分離可能とすることで、端部に位置する調整装置に接近し易くなるからである。
【0017】
他の例示的な実施形態では、軸受胴及びレセプタクルの各々が、タイロッドを通すためのボアホールを有する。
【0018】
パイプラインを加圧すると、パイプ端同士はコネクタの領域において引き離され、その際、引張力が、レセプタクルに配置した軸受胴から、タイロッドの端部のボールヘッドに伝わる。レセプタクルにより、引張力の作用が圧縮力に変換されることで、レセプタクルの軸受胴は基本的に圧縮力のみを受けるだけである。これにより、パイプラインの加圧中、本発明によるコネクタに対して全体的な非常に大きい負荷耐量がもたらされる。
【0019】
また、レセプタクルのドームは、ボールヘッドと作用し合い、第1及び第2のパイプラインの長手方向軸に対して基本的に直交する方向における公差補償が可能となる。
【0020】
他の例示的な実施形態では、タイロッドは、第1の端部において調整装置としてのネジ式ボールヘッドを備え、第2の端部において固定ボールヘッドを備える。
【0021】
必要であれば、ネジ式ボールヘッドを用いて、タイロッドの長さを調整し、延いては、第1及び第2のパイプラインの長手方向軸における公差補償を行う。ネジ式ボールヘッドについては、第1の軸受リングにおける第1のレセプタクル領域に比較的容易に接近できるので、第1のパイプラインの長さに応じて、本発明によるコネクタで公差補償を容易に実現できる。
【0022】
本発明によるコネクタの他の有利な実施形態は、更なる請求項において開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明によるコネクタの長手方向に沿う断面を示す。同一の構成要素には各々、図面において同じ参照符号を付している。
【0024】
コネクタ1は、第1のパイプライン3の一方のパイプ端2を、第2のパイプライン5のパイプ端4に対して関節で接続することにより、公差補償を可能にする。座標系6は、x、y及びz軸についての空間的位置を説明するために示している。本例にて第1のパイプライン3及び第2のパイプライン5は、長手方向の軸7、8を有する。本発明によるコネクタ1は先ず、調整可能な公差補償、すなわち、x軸方向における、第1のパイプライン3と第2のパイプライン5との間の長さ補償を可能にする。また、パイプ端2、4は基本的に、y軸及びz軸に対して平行に移動できる。更に、コネクタ1は、金属ベロー11の領域において僅かに捩じることができる。記載した選択肢の運動が相互に作用し合うことで、第1のパイプライン3と第2のパイプライン5を、コネクタ1により、関節で動くように接続できる。
【0025】
第1のパイプライン3のパイプ端2には、軸受リング9が配置される。同様に、軸受リング10は、第2のパイプライン5のパイプ端4に配置される。軸受リング9、10は、パイプ端2、4にしっかりと接続され、特に、パイプ端2、4の領域における連続の溶接線によって、パイプライン3、5に対して気密に溶接される。パイプ端2、4、つまり軸受リング9、10は、封止装置としての金属ベロー11によってとり囲まれている。金属ベロー11は、2つの連続した取付フランジ12、13を有し、これらは、連続の溶接線によって、気密性及び耐圧性をもってパイプ端2、4、つまり軸受リング9、10に結合される。金属ベロー11は完全にコネクタ1を封止し、同時に高い可動性を与え、つまり関節で動けるようにする。
【0026】
金属ベロー11以外の封止装置を設けることも可能である。コネクタ1を通して伝わる媒体の温度及び/又は圧力に応じて、例えば、強化ホース又はプラスチック製ベローを設けることができる。
【0027】
軸受リング9はレセプタクル(受入部)14を備え、軸受リング10はレセプタクル15を備える。これらのレセプタクル14、15は基本的に、長手方向の軸7、8に関して、第1のパイプライン3及び第2のパイプライン5における中心に配置される。レセプタクル14は、3つの支持部16、17、18によって軸受リング9に接続されるが、図1には支持部18が示されていない。またレセプタクル15は、3つの支持部19、20、21によって軸受リング10と接続されるが、図1には支持部21が示されていない。
【0028】
支持部16、17、18は、半径方向において外方を向いた、レセプタクルの外周面22に亘って等間隔で配置され、軸受リング9の内面23に接続される。同様に、支持部19、20、21は、半径方向において外方を向いた、レセプタクルの外周面24に亘って等間隔で配置され、軸受リング10の内面25に接続される。
【0029】
上記装置構成により、レセプタクル14、15を、長手方向の軸7、8に関して、パイプライン3、5のパイプ端2、4の範囲にて基本的に中心に配置し、従って対称的に力を伝えることが保証される。
【0030】
コネクタ1を通したパイプラインの流動抵抗が、支持部16乃至21及びレセプタクル14、15のために、過度に大きくならないように抑え、そして、コネクタ1を通してガス状及び/又は流体の媒体を、全体に亘って充分な体積流量でもって輸送できるようにするには、接続される第1及び第2のパイプライン3、5のパイプ直径を、100mm以上にすることが望ましい。
【0031】
レセプタクル14、15には、2つの軸受胴26、27が、これらに対応して設計したレセプタクル14、15の凹部に組み込まれる。本例では、軸受胴26のドーム状をした開口部28が、第1のパイプライン3の内部空間30の方向を向くのに対し、軸受胴27のドーム状をした開口部29は、第2のパイプライン5の内部空間31の方向を向いている。軸受胴26、27は、動摩擦係数の小さい材料、好ましくは金属材料から形成される。
【0032】
軸受リング9、10を接続するためのタイロッド32は、第1の端部33においてネジ式ボールヘッド34、つまり、x軸に平行な方向の長さを調整してコネクタ1を組み立てるための調整装置35としてのボールヘッドを備え、第2の端部36において固定ボールヘッド37を備える。好ましくは、タイロッド32が略円形状の断面形状をもち、長手方向の軸38を有する。ネジ式ボールヘッド34をタイロッド32にネジ留めできるようにするために、少なくともタイロッド32における第1の端部33の領域にはネジ式ボールヘッド34に対応したネジ部が設けられる。少なくとも、固定ボールヘッド37及びネジ式ボールヘッド34の領域は、ドーム状の開口部28、29に嵌合して収容され、第1のパイプライン3と第2のパイプライン5との間には、ギャップ39が形成された状態でヒンジ結合が得られる。本例では、ドーム状をした開口部28、29が反対方向を向き、これによって、パイプ端2、4を引き離す動きが引張力へと、つまりボールヘッド34、37を介してタイロッド32に対して効果的に伝えられる引張力へと変換される。
【0033】
レセプタクル14、15は、タイロッド32を通すためのボアホール40及び41を備える。ボアホール40、41は、好ましくは円錐台状とされ、ギャップ39を向いた側の最小直径が、タイロッド32の外径よりも明らかに大きくされており、x軸に対して直交する方向において、タイロッド32はボアホール40、41内で充分に移動できる可動性を与えられる。軸受胴26、27の範囲において、ボアホール40、41には、タイロッド32の充分な可動性を保証する直径が与えられる。また軸受胴26、27は、タイロッド32を通すボアホール42、43を備え、ボアホール42、43もまた、タイロッド32の充分な可動性を保証する直径を有する。
【0034】
ネジ式ボールヘッド34及び固定ボールヘッド37は、締結要素44、45によって、ドーム状の開口部28、29に保持される。締結要素44、45は、レセプタクル14、15の窪んだ領域において該要素に対応して設計された連続的な凹部に組み込まれる。実現可能な締結要素44、45としては、ロックワッシャ、保持リング等があり、これらはレセプタクル14、15内の連続溝に位置する。図面上では明確化のため、これらの溝について、別段の参照符号を付していない。
【0035】
加圧された媒体が第1のパイプライン3及び第2のパイプライン5を通過するときに、その内部に位置する軸受リング9、10を有するパイプ端2、4が引き離されて、タイロッド32は基本的に引張力だけを受ける。このような引張力は、ドーム状の開口部28、29を有する軸受胴26、27から、タイロッド32のネジ式ボールヘッド34及び固定ボールヘッド37へと非常に有効に伝達できる。
【0036】
これに対して、タイロッド32が圧縮力を受ける場合には、吸収される圧縮力があまり高くなり過ぎない範囲で、締結要素44、45は、固定ボールヘッド37及びネジ式ボールヘッド34が軸受胴26、27におけるドーム状の開口部28、29から外に押し出されないように防止する。
【0037】
ここで注意すべきは、本発明によるコネクタ1が、x軸方向における相当に大きな引張力、つまり、その反対方向に作用する圧縮力に比してかなり大きな引張力を吸収できることである。
【0038】
基本的に、タイロッド32は、引張力や圧縮力による著しい負荷が金属ベロー11にかからないように防止する。
【0039】
本発明によるコネクタ1は基本的に、第1のパイプライン3と第2のパイプライン5との間で起こり得る2つの運動を許容する。
【0040】
対向するパイプ端2、4は各々、最初に、y軸及びz軸に拡がる平面に対して基本的に平行な方向において、互いに移動できる。その際、長手方向の軸7、8が基本的に、相互に平行であるのに対し、タイロッド32の長手方向の軸38は、長手方向の軸7、8の各々に対して15°までの角度をなす。
【0041】
また、第1のパイプライン3及び第2のパイプライン5は、コネクタ1の範囲で、同一方向又は反対方向において「捩じる」ことができ、その結果、長手方向の両軸7、8の各々は、タイロッド32の長手方向の軸38に対して15°までの角度をなす。この場合、長手方向の軸7、8は、もはや互いに平行でなくなる。
【0042】
達成可能な最大角度は特に、レセプタクル14、15の円錐台状ボアホール40、41の最大直径と、金属ベロー11の柔軟性に依存する。
【0043】
ギャップ39は、第1及び第2のパイプライン3、5のパイプ端2、4についての、互いの相対運動を補償するために、常に必要とされる。
【0044】
タイロッド32にネジ留め可能なボールヘッド34を回していくことによって、第1のパイプライン3と第2のパイプライン5との間のヒンジ結合が可能となるだけなく、長さ方向における可能性、従ってx軸と平行な方向における、本発明によるコネクタ1の公差補償が可能となる。
【0045】
x軸回りでの、第1のパイプライン3と第2のパイプライン5との間の捩じれ運動については、コネクタ1により吸収できないが、その理由は、この運動が金属ベロー11によってのみ吸収されることを要するのに対して、該金属ベローはこの種の負荷を受けるようには設計されていないからである。
【0046】
また、ネジ式ボールヘッド34が偶発的にタイロッド32から離脱しないように防止するために、安全装置46が設けられている。図1に示す実施形態では、安全装置46がカウンタ・ナット47であり、これは、安全ストラップ48によって、捩じれないように固定される。他の安全装置、例えば安全スプリント(副子)を有する溝付ナットや、戻り止めナット等も可能である。
【0047】
コネクタ1を取り付けるために、第1のパイプライン3は、Vフランジ継手(図示しない)によって、パイプ端2の範囲で分離可能となるように設計される。軸受リング9、10及び金属ベロー11がいずれも溶接される場合、上記により、最初にタイロッド32を、レセプタクルのボアホール41、43に挿通して、背後からボールヘッド34でネジ留めすることができ、その際、タイロッドをレセプタクル14のボアホール40、42に通すようにガイドできる。組立の本段階では、軸受胴26、27が既にレセプタクル14、15に位置されている。
【0048】
ネジ式ボールヘッド34はタイロッド32にネジ留めされ、偶発的な離脱を防ぐために、安全装置46によって固定されるが、これについては、第1のパイプライン3と第2のパイプライン5との関節による接続を可能にするために、ギャップ39が所望の幅に達してから行われる。実施すべき柔軟な動作範囲が広いほど、ギャップ39をより大きくする必要がある。最終的に、ネジ式ボールヘッド34及び固定ボールヘッド37を軸受胴26、27にロックするための締結要素44、45は、レセプタクル14、15及び/又はその中の凹部に位置する。
【0049】
組立工程の最終段では、第1のパイプライン3が、Vフランジ継手によって気密に封止され、組立が終了する。他の着脱可能な管継手を、Vフランジ継手の代わりに設けることができる。
【0050】
タイロッド32及びレセプタクル14、15の対称性をもった設計により、図1に示す状態から、コネクタのタイロッドを180°の角度で回転させた状態で設置することができ、その結果、ネジ式ボールヘッド34は第2レセプタクル15内に位置することになる。この場合、Vフランジ継手は、第2のパイプ端4の領域に置かれる。そして、組立は、上記の手順に基づいてレセプタクル14から進められる。
【0051】
また、パイプ端2、4はともに、組立を更に容易にして融通性を高めるために、分離可能なVフランジ継手を有することができる。
【0052】
封止装置として金属ベロー11を使用することは、非常に長い耐用年数を本発明によるコネクタ1に与え、実質的に保守が不要となり、その結果、多数のコネクタをもつパイプラインであっても、安全性を重視する分野において低い故障確率で運用することができる。
【0053】
調整装置35は、ボールヘッド34の形態で、つまり、第1の軸受リング9の領域においてタイロッドの第1の端部33にネジ留めできるボールヘッドとして端部に配置されるので、タイロッド32の長さについては、図1に示していないVフランジ継手によって第1のパイプライン3を切り離した後に調整することができ、これは、安全装置46を外してからネジ式ボールヘッド34を回すことで行われ、よってx軸方向において、第1のパイプライン3と第2のパイプライン5との間の公差補償を容易に行える。
【0054】
図2は、タイロッド32のない状態で、切断線A−Aに沿ったコネクタ1の断面を示す。座標系6は、x軸、y軸及びz軸の空間的位置を説明するために用いる。
【0055】
レセプタクル14は基本的に、支持部16、17及び18によって、内部空間30で軸受リング9の中心に配置される。支持部16、17、18は、半径方向において外方を向いた、レセプタクルの外周面22に亘って均等な間隔で配置され、軸受リングの内面23に接続される。従って、支持部16、17、18は、軸受リングの内周面23に亘って等間隔で配置される。軸受リング9及び/又は第1のパイプライン3のパイプ端2におけるレセプタクル14の中心位置出しによって、パイプ端2と4との間での対称的な力の伝達が保証される。
【0056】
軸受リング9、10は、支持部16乃至21によってその中に固定されるレセプタクル14、15とともに、好ましくは一体に設計され、例えば、鋳造法で作製される。代替例として、軸受リング9、10はまた、既知の結合法、例えば、溶接、鋲着等により、支持部16乃至21及びレセプタクル14、15に結合できる。
【0057】
軸受リング9は、気密で耐圧性をもった連続の溶接線によってパイプライン3に接続される。軸受胴26は、レセプタクル14においてこれに対応した凹部に組み込まれる。好ましくは、レセプタクル14が、タイロッド32を通すために円錐台状をしたボアホール40を含む。ボアホール42は、タイロッド32を通すために、軸受胴26に設けられる。
【0058】
軸受リング10の構造設計、特に中央に配置されたレセプタクル15と、支持部19、20、21については、上記した軸受リング9の構造設計に対応している。
【0059】
本発明によるコネクタ1は主に、高圧及び/又は高温の流体及び/又は気体を中継するために用いるパイプライン3、5を、関節で動けるようにした接続に好適である。コネクタ1は特に、高温空気、あらゆる種類の液体、水蒸気等を通過させるのに適している。また、コネクタ1により、パイプライン3と5との間の公差補償を、端部に位置されて容易に動かせる調整装置35によって簡単に行える。そしてまた、コネクタ1は、組立及び検査が容易である。
【0060】
特に、コネクタ1は、航空機において、エンジンで駆動される高温空気供給システムのパイプライン3、5を接続するために設けられ、使用材料に応じて、850℃までの温度及び20バール(2×10Pa)までの圧力がコネクタ1に対して可能である。
【0061】
航空機において、エンジン駆動の高温空気供給システム用のパイプラインでは、空気は通常、16バール(1.6×10Pa)にて360℃までの温度に達するが、コネクタ1は、そのようなパイプラインの間の接続部を製造するのに非常に好都合である。チタン及び/又は鋼鉄を、コネクタ1の部品用材料として用いることが好ましい。
【0062】
本発明によるコネクタ1は、x軸に対して平行な、20,000Nまでの引張力及び2000Nまでの圧縮力を吸収可能である。この場合、接続されるパイプライン3、5が、100mmを上回る直径を有することが好ましい。上記に加えて、他の適用も考えられ、例えば、発電プラント工学、化学工業、ローンドロマット(商標)工学、医療技術等がある。
【0063】
第1のパイプライン3及び第2のパイプライン5、支持部16乃至21をもった軸受リング9、10については、金属ベロー11とともに、金属材料、特にチタンで形成することが好ましい。これに対して、固定ボールヘッド37を有するタイロッド32、及びネジ式ボールヘッド34は、鋼鉄で形成することが好ましい。
【0064】
代替例としては、通過する媒体の温度及び圧力に応じて、コネクタ1の部品を、高品位の鉄鋼、熱的及び機械的な負荷に対して適切に耐えられるアルミニウム合金、そして熱的に安定な合金鋼から形成できる。この場合、コネクタ1の全部品を同一の材料で形成することが、絶対に必要な訳ではない。
【0065】
「備える」という語は、その他の要素又はステップを排除せず、また、「1つの」は、複数を排除しないことに注意を要する。また、異なる実施形態に関連して記載した要素を、組み合わせることができる。請求項の参照符号が請求項の範囲を制限するものとして解釈すべきでないことにも注意を要する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】コネクタの長手方向に沿う断面図である。
【図2】切断線A−Aに沿ったコネクタの横断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 コネクタ
2 パイプ端(第1のパイプライン)
3 第1のパイプライン
4 パイプ端(第2のパイプライン)
5 第2のパイプライン
6 座標系
7 長手方向の軸
8 長手方向の軸
9 軸受リング
10 軸受リング
11 金属ベロー
12 取付フランジ
13 取付フランジ
14 レセプタクル
15 レセプタクル
16 支持部
17 支持部
18 支持部
19 支持部
20 支持部
21 支持部
22 レセプタクルの外面
23 軸受リングの内面
24 レセプタクルの外面
25 軸受リングの内面
26 軸受シェル
27 軸受シェル
28 ドーム状の開口部
29 ドーム状の開口部
30 内部空間(第1のパイプライン)
31 内部空間(第2のパイプライン)
32 タイロッド
33 第1の端部
34 ネジ式ボールヘッド
35 調整装置
36 第2の端部
37 固定ボールヘッド
38 長手方向の軸
39 ギャップ
40 ボアホール(レセプタクル)
41 ボアホール(レセプタクル)
42 ボアホール(軸受胴)
43 ボアホール(軸受胴)
44 締結手段
45 締結手段
46 安全装置
47 カウンタ・ナット
48 安全ストラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2のパイプライン(3、5)、特に、航空機においてエンジンで駆動される高温空気供給システムの第1及び第2のパイプライン(3、5)を、付加的な公差補償機能によって関節で接続するためのコネクタ(1)であって、
第1のパイプライン(3)における1つのパイプ端(2)が、タイロッド(32)によって、第2のパイプライン(5)のパイプ端(4)との間にギャップ(39)が形成された状態で当該パイプ端に関節で接続されており、
対向するパイプ端(2、4)が、前記ギャップを封止する封止装置、特に金属ベロー(11)によって包囲され、前記タイロッド(32)の第1の端部(33)が長さ調整用の調整装置(35)を備えたコネクタ(1)。
【請求項2】
前記パイプ端(2、4)の各々が、前記タイロッド(32)の取付用に中央に配置されるレセプタクル(14、15)を組み込んだ軸受リング(9、10)を備えており、前記レセプタクル(14、15)が、半径方向において外方を向いた2つ以上の支持部(16乃至21)によって、軸受リングの内面(23、25)に接続された、請求項1に記載のコネクタ(1)。
【請求項3】
支持部(16乃至21)が均等に離間している、請求項1又は2に記載のコネクタ(1)。
【請求項4】
レセプタクル(14、15)に軸受胴(26、27)が配置され、各軸受胴のドーム状をした開口部(28、29)が前記第1及び第2のパイプライン(3、5)の内部空間(30、31)の方向を向いた、請求項1から3のいずれか1項に記載のコネクタ(1)。
【請求項5】
前記第1のパイプライン(3)及び/又は前記第2のパイプライン(5)が、接続部材、特にVフランジ継手によって、軸受リング(9)の領域で分離可能に設計された、請求項1から4のいずれか1項に記載のコネクタ(1)。
【請求項6】
軸受胴(26、27)及びレセプタクル(14、15)の各々が、前記タイロッド(32)を通すためのボアホール(40乃至43)を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載のコネクタ(1)。
【請求項7】
前記タイロッド(32)が、第1の端部(33)において調整装置(35)としてのネジ式ボールヘッド(34)を備え、第2の端部(36)において固定ボールヘッド(37)を備える、請求項1から6のいずれか1項に記載のコネクタ(1)。
【請求項8】
少なくともネジ式ボールヘッド(34)及び固定ボールヘッド(37)の領域を、前記第1及び第2のパイプライン(3、5)について関節で接続するために、軸受胴(26、27)においてロックするように配置可能とした、請求項1から7のいずれか1項に記載のコネクタ(1)。
【請求項9】
軸受胴(26、27)が、締結要素(44、45)によって、レセプタクル(14、15)に支持された、請求項1から8のいずれか1項に記載のコネクタ(1)。
【請求項10】
ネジ式ボールヘッド(34)が、偶発的な離脱を防止するために、前記タイロッド(32)の第1の端部(33)において安全装置(46)によって固定された、請求項1から9のいずれか1項に記載のコネクタ(1)。
【請求項11】
前記第1及び第2のパイプライン(3、5)と、レセプタクル(14、15)を有する軸受リング(9、10)と、ネジ式ボールヘッド及び固定ボールヘッド(34、37)を有する前記タイロッド(32)が、前記封止装置とともに、金属材料で形成された、請求項1から10のいずれか1項に記載のコネクタ(1)。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−542639(P2008−542639A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512779(P2008−512779)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005055
【国際公開番号】WO2006/125666
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(504467484)エアバス・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (268)
【Fターム(参考)】