説明

第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンの製造方法

【課題】第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンの製造方法において、従来の欠点が回避され、迅速かつ経済的であり、第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンがより低い塩負荷量でかつ物質として得られ、従って作用物質がより高い濃度で得られる方法を提供する。
【解決手段】第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンの製造方法において、第一工程で式(I)のオルガノポリシロキサン(1)と式(II)のアミノシラン(2)とを、場合により触媒(3)の存在下で縮合させて、オルガノポリシロキサン(4)を得て、第二工程で該オルガノポリシロキサン(4)からの窒素原子をアルキル化剤(5)で第4級化させるが、但し、第二工程において、塩基を添加せず、かつ水を、それぞれ成分(1)、(2)、場合により(3)及び(5)の全質量に対して、10質量%未満の量で併用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第4級窒素原子を有する化合物は、しばしば短く、第4級物(Quats)と呼ばれ、知られている。
【0003】
DE3236466号A1(対応するUS4,417,066号)は、第4級アンモニウムハロゲン化物基を有するシロキサンを、シロキサノールと第4級アンモニウムハロゲン化物基及び少なくとも2つの縮合可能なアルコキシ基を有するシランとの反応によって製造する方法を記載している。該シランの第4級アンモニウム基は、ケイ素原子上で、エーテル基もしくはヒドロキシ基の形で酸素原子をも含んでよい二価の炭素架橋を介して結合されている。先に別々に製造された塩状の第4級官能性シランは、シロキサン中に粗悪な可溶性を有し、それには約150℃で複数時間にわたる比較的激しい反応条件が必要であり、更に該製造方法の生成する揮発性の副生成物を最後に除去せねばならない。
【0004】
類似の方法は、US5,602,224号から、シロキサノールと、第4級官能性トリアルコキシシランとをアミンの補助下で反応させることが知られている。第4級窒素は、ポリエーテル置換基を含んでよい。
【0005】
シロキサノールと(メトキシ)エトキシ含有のオルガノシランとの縮合方法は、US6,525,130号に記載されている。該方法は、塩基性触媒と乳化剤パッケージ(Emulgatorpaket)の使用と、2もしくは3個の(メトキシ)エトキシ基を有する実質的に任意に官能化されたオルガノシランを含む。第3級もしくは第4級のアミノシランは、開示されていない。
【0006】
EP1063344号A2(対応のUS6,515,095号)は、少なくとも1つの構造要素を含み、該要素が窒素含有のシラン構成単位からなり、該単位が更に2個のジオルガノシロキサン置換基及び1個のアルコキシ基で置換されているシリコーンを含有する繊維処理用及びテキスタイル処理用の配合物を記載している。該配合物は、少なくとも1つの型の乳化剤を含有する。前記の窒素含有のシラン構成単位は、第4級アミンとして記載されていない。このアミン構成単位は、鎖端を形成することもできない。末端アミノ基を得るためには、窒素含有のジアルコキシシランとの更なる反応段階が必要である。末端の第4級シロキサンの製造方法は記載されていない。
【0007】
DE19652524号A1及びWO2004/044306号A1においては、それぞれ第4級官能性のシロキサンの製造方法は記載されている。DE19652524号A1においては、第4級官能性のシロキサンのエマルジョンの製造方法が記載されている。第4級化は、第1級/第2級のアミノ基を有する通常のアミノシロキサンをメチルトシレートにより繰り返しアルキル化することによって達成される。その多重アルキル化のために、多量のアルキル化剤が必要であり、かつ遊離するスルホン酸は、多量の炭酸水素ナトリウムで、かつ水(それぞれエマルジョンの全質量に対して、20〜95.99質量%の水、有利には60〜90質量%の水)の存在下で中和せねばならず、その際、高い塩負荷量を有するエマルジョンが得られる。水中での方法を通して、エマルジョンが分解しないためには室温で作業せねばならず、これにより長い反応時間と、長時間の設備内での留保と、非経済的な空時収量が引き起こされる。
【0008】
WO2004/044306号A1によれば、末端第4級官能性のシロキサンを、エポキシ前駆体から2工程の合成手順で得られる:まず、前記エポキシ前駆体を第2級/第3級のジアミンと反応させ、次いでそれをメチルトシレートでアルキル化する。両方とも縮合方法ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE3236466号A1
【特許文献2】US5,602,224号
【特許文献3】US6,525,130号
【特許文献4】EP1063344号A2
【特許文献5】DE19652524号A1
【特許文献6】WO2004/044306号A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、前記の欠点が回避され、迅速かつ経済的であり、第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンがより低い塩負荷量でかつ物質として(in Substanz)得られ、従って作用物質がより高い濃度で得られる、第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンの製造方法を提供することであった。
【0011】
更に、本発明の課題は、第4級アンモニウム基とアルコキシ基もしくはヒドロキシ基などの反応性基も有する第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンを提供することであった。前記課題は本発明によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の対象は、第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンの製造方法において、
第一工程において、一般式
HO−SiR221/2 (I)
の少なくとも1つの末端単位を有するオルガノポリシロキサン(1)と、一般式
abSi(OR14-(a+b) (II)
[式中、
Aは、少なくとも1つの第三級アミノ基を有する一価のSiC結合した有機基を意味するが、但し、基Aは、第一級アミノ基及び第二級アミノ基を含まず、
Rは、同一もしくは異なってよく、かつ1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、
1は、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、
aは、1もしくは2であり、かつ
bは、0もしくは1であるが、但し、合計a+bは、1もしくは2である]のアミノシラン(2)とを、場合により触媒(3)の存在下で縮合させることで、第3級アミノ基を有するオルガノポリシロキサン(4)を得て、
第二工程において、第一工程で得られたオルガノポリシロキサン(4)からの窒素原子をアルキル化剤(5)で部分的にもしくは完全に第4級化させるが、但し、
第二工程において、塩基を添加せず、かつ水を、それぞれ成分(1)、(2)、場合により(3)及び(5)の全質量に対して、10質量%未満、好ましくは4質量%未満、有利には1質量%未満の量で併用する、第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンの製造方法である。
【0013】
特に有利には、本発明による方法は、水を併用することなく実施される。
【0014】
第4級アンモニウム基は、アンモニウム基の誘導体であってその全ての4つの水素原子がN−C結合した(場合により置換された)炭化水素基、例えばアルキル基によって交換されている基である。
【0015】
好ましくは、使用されるオルガノポリシロキサン(1)は、式(I)のシロキサン単位の他に、式
【化1】

[式中、Rは、これについて上述した意味を有し、かつdは、0、1、2もしくは3、好ましくは2である]のシロキサン単位を有する。
【0016】
使用されるオルガノポリシロキサン(1)は、有利には直鎖状であり、更に式(I)の1もしくは2つの末端基を有してよい。しかしながら、オルガノポリシロキサン(1)は、分枝鎖状であってもよく、その際、2つより多くの式(I)の末端基を有してよい。しかしながら、オルガノポリシロキサン(1)は、また、シロキサン単位として別の構造単位を有するコポリマーであってもよい。
【0017】
有利には、オルガノポリシロキサン(1)としては、一般式
HOR2SiO(SiR2O)nSiR2OH (IV)
[式中、Rは、これについて上述した意味を有し、かつnは、0又は1〜1000の整数である]で示されるポリシロキサンが使用される。
【0018】
好ましくは、基Aは、3〜50個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であって少なくとも1つの第3級アミノ基を有する基である。
【0019】
有利には、基Aは、一般式
−R3(−NR4−R3z−NR22 (V)
[式中、
2は、同一もしくは異なってよく、かつ1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であって1もしくは複数の第3級アミノ基を有してよい基を意味し、
3は、1〜18個の炭素原子を有する二価のSiC結合された有機基、好ましくは1〜18個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を意味し、
4は、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、
zは、0又は1〜10の整数、好ましくは0、1もしくは2である]の基である。
【0020】
使用されるオルガノポリシロキサン(1)は、好ましくは25℃で2〜100000mPas・s、有利には25℃で10〜20000mPas・sの粘度を有する。
【0021】
炭化水素基Rのための例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基及びオクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基;並びにアラルキル基、例えばベンジル基、α−フェニルエチル基及びβ−フェニルエチル基である。
【0022】
アルキル基R1の例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基である。有利には、R1は、メチル基もしくはエチル基である。
【0023】
炭化水素基Rのための例は、全範囲において、炭化水素基R2についても当てはまる。有利には、R2は、メチル基もしくはエチル基である。
【0024】
炭化水素基R3のための例は、アルキレン基、例えば式
【化2】

の基である。
【0025】
炭化水素基Rのための例は、全範囲において、炭化水素基R4についても当てはまる。有利には、R4は、メチル基である。
【0026】
基Aのための例は、式
【化3】

の基である。
【0027】
有利には、式ARSi(OR12及びASi(OR13のアミノシラン(2)が使用され、その際、ASi(OR13が特に有利であり、かつA、R及びR1は、これらについて上述した意味を有する。
【0028】
本発明による方法の第一工程において、アミノシラン(2)は、オルガノポリシロキサン(1)中のヒドロキシ基1モル当たりに、好ましくは0.2〜3モルの、有利には1〜3モルのアルコキシ基−OR1の量で(2)中で使用される。
【0029】
本方法の第一工程において、縮合を促進させる触媒(3)を併用することができる。好ましくは、塩基性化合物が使用される。有機アミンが使用される場合に、少なくとも9のpKa値を有するものが有利であるが、その場合でも、触媒を添加しない縮合に対してわずかな反応速度上昇が達成されるにすぎない。
【0030】
好ましくは、触媒(3)として、アルカリ金属塩基もしくはアルカリ土類金属塩基が使用され、そのうち前記金属の水酸化物、アルコレート及びシロキサノレートが有利である。特に有利なものは、リチウム塩基及びナトリウム塩基である。
【0031】
触媒(3)のために有利な例は、水酸化リチウム、酸化リチウム、リチウムシロキサノレート及びリチウムのアルコレート、例えばリチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムプロポキシド及びリチウムブトキシドである。これらは、有機溶剤中に希釈してもしくは希釈せずにも使用することができる。
【0032】
本発明による方法の第一工程では、触媒(3)は、オルガノポリシロキサン(1)及びアミノシラン(2)の全質量に対して、好ましくは10〜10000質量ppm、有利には20〜2000質量ppmの量で使用される。
【0033】
縮合工程の触媒作用は、この反応が、その他は一定の物理的な周辺条件の場合に促進されることを表すべきである。温度増加は、更なる促進のための要因である。通常は、特に、高い温度、長い時間、そして強塩基性触媒の使用には、環状シロキサンを形成するという二次作用を伴って、シロキサン骨格の相当の改変(平衡化)も受ける。環状シロキサンの低級の同族体は揮発性化合物であるため、生成物から除去されねばならないので、係る反応過程は望ましくない。従って有利には、触媒強度及び触媒量並びに反応温度及び反応時間は、完全な縮合が進行するものであるが、環状シロキサンの少量の形成しか起こらないように定められる。
【0034】
原則的に、また、縮合触媒として公知の金属化合物、例えば有機チタン酸塩、有機ジルコン酸塩及びスズビスマス塩もしくは鉛塩が本発明による系において機能しうる。しかしながら、その使用は、環境的理由から好ましくない。
【0035】
縮合工程の終わりに、触媒(3)を中和して、オルガノポリシロキサンの改変を停止させることができる。
【0036】
本発明による方法の第一工程である縮合は、好ましくは20〜150℃の温度で実施され、その際、触媒の種類及び量並びに反応時間に依存して50〜100℃の範囲が特に有利である。
【0037】
該縮合は、有利には周囲大気の圧力で、従って約1020hPaで実施できるが、より高い圧力でもより低い圧力でも実施できる。
【0038】
所望であれば、縮合時にSi−OR1/SiOHの化学量論比が1より大きかったため未反応となった使用されるアミノシラン(2)のアルコキシ官能−OR1は、より大きいことに加え反応性が低い基とエステル交換によって交換することができる。縮合の間にもしくはその後に、アルコキシ基−OR1は、好適なアルコール(6)の添加によって部分的にもしくは完全に交換することができ、そして遊離される(揮発性の)アルコールR1OHは蒸留により除去することができる。この方法は、得られた第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンの安定化に使用することができる。
【0039】
アルコール(6)としては、有利には式
5OH (VI)
[式中、R5は、4〜30個の炭素原子を有するSiC結合した炭化水素基であって、1もしくは複数のエーテル酸素原子を含んでよい基を意味する]のアルコールが使用される。
【0040】
基R5のための例は、式
【化4】

の基である。
【0041】
アルコール(6)のための例は、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ヘキシルグリコール、ヘキシルジグリコール及びゲルベアルコールである。
【0042】
アルコール(6)は、好ましくは、アミノシラン(2)中の1モルのアルコキシ基−OR1当たりに、1〜5モル、有利には1.5〜3モルの量で使用される。
【0043】
第一工程の後に、縮合導入されたアミノシラン(2)によって、第3級アミノ基を有するオルガノポリシロキサン(4)が得られる。
【0044】
オルガノポリシロキサン(4)中の窒素原子の第4級化は、当業者に公知のアルキル化剤(5)によって行われる。第4級化剤としては、オルガノポリシロキサン(4)中の第3級アミノ基と反応するために十分に求電子性の構造領域を含むあらゆる公知の化合物を使用することができる。
【0045】
好ましくは、アルキル化剤(5)としては、式
6−X (VII)
[式中、
6は、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であって、1もしくは複数のエーテル酸素原子を含んでよい基を意味し、
Xは、オルガノポリシロキサン(4)中の窒素原子のアルキル化に際して、第4級窒素原子の正電荷に対する対イオンX-を形成する基を意味するが、但し、Xは、ハロゲン原子ではなく、更に対イオンX-はハロゲン化物イオンではない]の化合物が使用される。
【0046】
有利には、R6は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状の、分枝鎖状のもしくは環状のアルキル基である。基R6のための例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基及びシクロヘキシル基である。
【0047】
アルキル化剤(5)のための例は、ジアルキル硫酸エステル及びスルホン酸エステル、例えばジメチル硫酸エステル、ジエチル硫酸エステル、p−トルエンスルホン酸メチルエステル、p−トルエンスルホン酸エチルエステル、p−トルエンスルホン酸プロピルエステル及びp−トルエンスルホン酸−s−ブチルエステルである。
【0048】
本発明による方法の第二工程においては、アルキル化剤(5)は、オルガノポリシロキサン(4)中のアルキル化可能な窒素原子1モル当たりに、好ましくは0.3〜1.2モル、有利には0.6〜1.1モルの量で使用される。
【0049】
本発明による方法の第二工程の第四級化は、好ましくは50〜150℃、有利には60〜110℃で行われる。
【0050】
第4級化は、有利には周囲大気の圧力で、従って約1020hPaで実施できるが、より高い圧力でもより低い圧力でも実施できる。
【0051】
本方法の第二工程において、アルキル化に際して生成するスルホン酸などの酸の中和は必要ない。第4級化は、好ましくは炭酸水素ナトリウムなどの塩基を添加せずに、かつ水を添加せずに行われる。このことは、第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンが、低い塩負荷量だけで得られ、かつ第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンが物質としてかつ水に希釈されずに得られることは利点であり、これは第4級アンモニウム基のより高い作用物質濃度をもたらす。
【0052】
本発明の対象は、更に、第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンであって、
(i)式
Q(R1'O)2SiO1/2(VIII)及びR2SiO(IX)
の単位を有するオルガノポリシロキサン、
(ii)式
2SiO(IX)、Q(R1'O)SiO(X)及び(R1'O)R2SiO1/2(XI)
の単位を有するオルガノポリシロキサン、
(iii)式
2SiO(IX)、(R1'O)R2SiO1/2(XI)及びQSiO3/2(XII)
の単位を有するオルガノポリシロキサン
[式中、
Qは、少なくとも1つの第4級アンモニウム基を有する、一価のSiC結合された有機基を意味し、かつそれぞれ第4級窒素原子上の正電荷に対して1つの対イオンX-が含まれているが、但し、対イオンはハロゲン化物イオンではなく、
1'は、R1、R5もしくは水素原子であり、その際、
R、R1及びR5は、これらについて上述した意味を有する]及びそれらの混合物の群から選択されるオルガノポリシロキサンである。
【0053】
好ましくは、基Qは、3〜50個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であって、少なくとも1つの第4級アミノ基を有する基である。
【0054】
有利には、Qは、式
【化5】

[式中、
2、R3、R4、R6及びzは、これらについて上述した意味を有し、
z′は、0又は1〜10の整数、好ましくは0、1もしくは2であるが、但し、0≦z−z′≦10に当てはまり、その際、
それぞれ第4級窒素原子上の正電荷に対して対イオンX-が存在しているが、但し、該対イオンはハロゲン化物イオンではない]の基である。
【0055】
少なくとも1つの第4級アンモニウム基を基Q中に有するSiC結合された有機基のための例は、
【化6】

である。
【0056】
有利には、対イオンX-は、スルホン酸イオン、例えばトシレートイオン及びアルキル硫酸イオンである。
【0057】
基Q中の第4級窒素原子上の正電荷に対する対イオンX-のための例は、
【化7】

である。
【0058】
本発明による方法により得られる第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンは、好ましくは25℃で50〜500000mPas・s、有利には25℃で200〜100000mPas・s、特に有利には500〜50000mPas・sの粘度を有する。
【0059】
得られた第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンは、アミノ基濃度を、好ましくは0.01〜5.0ミリ当量(mEqu.)/g、有利には0.04〜2.0ミリ当量/g(ミリ当量/g=1gの物質当たりのミリ当量=1kgの物質当たりの当量)の範囲で有する。
【0060】
基本的に、本発明による第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンにおいて、SiOR1/SiOHもしくはSiOR5/SiOHのモル比は、広い範囲で変化してよいが、有利には、0.1〜0.7及び1.2〜3.0の範囲であり、特に有利には0.3〜0.7及び1.5〜3.0の範囲である。第一の場合にはヒドロキシ官能性のシロキサンポリマーが得られ、第二の場合にはアルコキシ官能性のシロキサンポリマーが得られる。
【0061】
本発明による方法では、驚くべきことに、極性の大きいアルキル化剤(5)は、完全な反応をしうるために水の添加を必要としない。本発明による方法の利点は、従って、高い空時収量である。特に、冒頭で挙げたDE19652524号A1に記載したようなエマルジョン中での方法と比較して、本来の作用物質である第4級官能性のオルガノポリシロキサンについて、10〜20倍の空時収量を達成できる。前記の大きな経済上の利点は、水による希釈を省いたより密度の高い様式から得られ、それは、水を使用しない予想外の良好なアルキル化によって可能であり、結果的により高い温度調節が可能なので、反応の進行が促進される。両者の個別の利点を掛け合わせたものが全体の利点となる。
【実施例】
【0062】
実施例1:
真空中100℃で加熱された式HO(Me2SiO)153Hのオルガノポリシロキサン192gを、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン8g及びリチウムメトキシドの10%メタノール性溶液100mgと混合する。澄明な反応混合物を、軽い真空下で80℃で1時間加熱して、形成されたメタノールを除去し、そしてジエチレングリコールモノブチルエーテル10.5gを添加し、30分後に、p−トルエンスルホン酸メチルエステル6.4gを添加する。第4級化は、2時間後に終了し、最初の混濁は再び解消される。第4級官能性のシロキサンの澄明な約95%の溶液であって、粘度5100mPas・s(25℃)を有し、かつ正電荷を有する窒素原子の濃度0.15ミリ当量/gを有するものが得られる。揮発性のオクタメチルシクロテトラシロキサンの形のジメチルシロキシ単位のモル割合は、29Si−NMRによれば、0.1%未満である。遊離のシランはもはや検出できない。
【0063】
実施例2:
真空中100℃で加熱された式HO(Me2SiO)238Hのオルガノポリシロキサン196gを、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン4g及びリチウムメトキシドの10%メタノール性溶液50mgと均質に混合し、そして軽い真空下で2時間80℃に保持する。澄明な縮合物を、p−トルエンスルホン酸メチルエステル3.2gと混合し、そして更に1時間にわたり100℃で反応を完了させる。無色の澄明なポリシロキサンであって1g当たりに0.07ミリ当量の第4級窒素を有し、かつ粘度97000mPas・s(25℃)を有するものが得られる。29Si−NMRにおいて、遊離のシランは検出できず、かつ0.1モル%未満のオクタメチルシクロテトラシロキサンを含有する。その生成物は、100%までが本発明によるポリシロキサンからなる。
【0064】
実施例3:
実施例2で使用したポリジメチルシロキサン196gを、そこと同一の同量のアミノシランと縮合させて、第3級アミノシロキサンとする。その澄明な生成物に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル10.5gを添加し、そして同じ温度で真空下に更に30分間撹拌する。次いで、p−トルエンスルホン酸エチルエステル1.7gを計量供給し、更に1時間にわたり100℃に加熱する。部分第4級化されたシロキサンの無色の澄明な溶液であって正電荷を有する窒素の含分0.04ミリ当量/gを有し、かつ粘度10100mPas・s(25℃)を有するものが得られる。遊離のシランはもはや検出できない。揮発性のオクタメチルシクロテトラシロキサンの形のジメチルシロキシ単位のモル割合は、約0.1%である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンの製造方法において、
第一工程において、一般式
HO−SiR221/2 (I)
の少なくとも1つの末端単位を有するオルガノポリシロキサン(1)と、一般式
abSi(OR14-(a+b) (II)
[式中、
Aは、少なくとも1つの第三級アミノ基を有する一価のSiC結合した有機基を意味するが、但し、基Aは、第一級アミノ基及び第二級アミノ基を含まず、
Rは、同一もしくは異なってよく、かつ1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、
1は、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、
aは、1もしくは2であり、かつ
bは、0もしくは1であるが、但し、合計a+bは、1もしくは2である]のアミノシラン(2)とを、場合により触媒(3)の存在下で縮合させることで、第3級アミノ基を有するオルガノポリシロキサン(4)を得て、
第二工程において、第一工程で得られたオルガノポリシロキサン(4)からの窒素原子をアルキル化剤(5)で部分的にもしくは完全に第4級化させるが、但し、
第二工程において、塩基を添加せず、かつ水を、成分(1)、(2)、場合により(3)及び(5)の全質量に対して、10質量%未満の量で併用する、第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、オルガノポリシロキサン(1)として、一般式
HOR2SiO(SiR2O)nSiR2OH (IV)
[式中、Rは、請求項1においてこれについて上述した意味を有し、かつnは、0又は1〜2000の整数である]で示されるポリシロキサンを使用することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、アミノシラン(2)として、一般式
ARSi(OR12及び/又はASi(OR13
[式中、A、R及びR1は、請求項1においてこれらについて上述した意味を有する]のアミノシランを使用することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法において、基Aが、式
−R3(−NR4−R3z−NR22 (V)
[式中、
2は、同一もしくは異なってよく、かつ1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であって1もしくは複数の第3級アミノ基を有してよい基を意味し、
3は、1〜18個の炭素原子を有する二価のSiC結合された有機基、好ましくは1〜18個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を意味し、
4は、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、
zは、0又は1〜10の整数、好ましくは0、1もしくは2である]の基であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法において、第一工程において、塩基性触媒(3)を併用することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法において、第一工程において、縮合の間にもしくは縮合の後に、アルコキシ基−OR1のエステル交換のために、アルコール(6)を添加することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法において、第二工程において、アルキル化剤(5)として、ジアルキル硫酸エステル及びスルホン酸エステルを使用することを特徴とする方法。
【請求項8】
第4級アンモニウム基を有するオルガノポリシロキサンであって、
(i)式
Q(R1'O)2SiO1/2(VIII)及びR2SiO(IX)
の単位を有するオルガノポリシロキサン、
(ii)式
2SiO(IX)、Q(R1'O)SiO(X)及び(R1'O)R2SiO1/2(XI)
の単位を有するオルガノポリシロキサン、
(iii)式
2SiO(IX)、(R1'O)R2SiO1/2(XI)及びQSiO3/2(XII)
の単位を有するオルガノポリシロキサン
[式中、
Qは、少なくとも1つの第4級アンモニウム基を有する、一価のSiC結合された有機基を意味し、かつそれぞれ第4級窒素原子上の正電荷に対して対イオンX-が含まれているが、但し、対イオンはハロゲン化物イオンではなく、
1'は、R1、R5もしくは水素原子であり、その際、
R及びR1は、請求項1でこれらについて上述した意味を有し、かつ
5は、4〜30個の炭素原子を有するSiC結合された炭化水素基であって、1もしくは複数のエーテル酸素原子を有してよい基を意味する]及びそれらの混合物の群から選択されるオルガノポリシロキサン。

【公開番号】特開2009−280813(P2009−280813A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120515(P2009−120515)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】