説明

筆記具用水性インキ組成物

【課題】 マーキングペンやボールペン等の筆記具に収容されたインキにより形成される筆跡が退色を生じて見栄えを損なうことがない、商品価値の高い筆記具用水性インキ組成物を提供する。
【解決手段】 蛍光顔料等の顔料と、水と、下記一般式(1)で示されるナフタレン化合物を少なくとも含有してなる筆記具用水性インキ組成物。
【化1】


(式中、R1は水素原子又は水酸基を示し、R2はアルカリ金属、アミン、アルカノールアミンを示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具用水性インキ組成物に関する。更に詳細には形成される筆跡の耐光性を向上させることのできる筆記具用水性インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、筆記具に収容される水性インキ中に含まれる着色剤として顔料が用いられているが、光により色調が退色したり、変色してしまう顔料も存在している。
そのため、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤をインキ中に添加することが開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかし、前記紫外線吸収剤は、媒体に対する溶解性が非常に乏しく、特に水性インキに用いる場合には少量しか添加することができないために充分な耐光性向上効果が得られ難く、形成される筆跡の耐光性を十分に満足させていなかった。
【特許文献1】特開昭62−106971号公報
【特許文献2】特開平9−279080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、形成される筆跡が退色や変色を生じて見栄えを損なうことのない筆記具用水性インキ組成物を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、顔料と、水と、下記一般式(1)で示されるナフタレン化合物を少なくとも含有してなる筆記具用水性インキ組成物を要件とする。
【化1】

(式中、R1は水素原子又は水酸基を示し、R2はアルカリ金属、アミン、アルカノールアミンを示す。)
更には、前記ナフタレン化合物をインキに1〜20重量%含有してなること、前記顔料が蛍光顔料であること等を要件とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、被筆記面に形成された筆跡が退色や変色を生じて見栄えを損なうことがないため、商品価値の高い筆記具に適した筆記具用水性インキ組成物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
前記顔料としては、群青等の無機顔料や銅フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の有機顔料の他、予め界面活性剤や樹脂を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等が用いられ、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:Sandye Super Blue GLL、顔料分24%、山陽色素株式会社製〕、
C.I. Pigment Red 146〔品名:Sandye Super Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、
C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、
C.I.Pigment Red 220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
また、水溶性樹脂を用いた水分散顔料としては、
C.I.Pigment Black 7〔商品名:WA color Black
A25 、顔料分15%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Green 7〔商品名:WA−S color Green、顔料分8%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Violet 23〔商品名:マイクロピグモ WMVT−5、顔料分20%、オリエント化学工業(株)製〕、
C.I.Pigment Yellow 83〔商品名:エマコールNSイエロー4618、顔料分30%、山陽色素(株)製〕が挙げられる。
顔料のうち、蛍光染料を樹脂マトリックス中に固溶体化してなる蛍光顔料は比較的耐光性に乏しく、よって、本発明の構成によって鮮明な蛍光色を視認できるため有用である。
前記蛍光顔料としては、
黄色蛍光顔料〔シンロイヒ(株)製、商品名:SF5015レモンイエロー、固形分30%〕、
桃色蛍光顔料〔シンロイヒ(株)製、商品名:SF5017ピンク、固形分30%〕、
橙色蛍光顔料〔日本蛍光化学(株)製、商品名:ルミコールNKW−3904E、固形分33.5%〕が挙げられる。
なお、所望により、パール顔料、金属粉顔料、二酸化チタン等の白色顔料、可逆熱変色性カプセル顔料等を併用することもできる。
前記顔料はインキ全量に対し1〜25重量%、好ましくは2〜15重量%の範囲で用いられる。
【0007】
前記一般式(1)で示されるナフタレン化合物として具体的には、下記に記載されたナフタレン化合物のNa、K等のアルカリ金属塩、アミン塩、アルカノールアミン塩であり、インキ中での溶解性に優れると共に、顔料の耐光性を向上させることができる。
前記ナフタレン化合物として具体的には、
1,5−ナフタレンジスルホン酸、
1,6−ナフタレンジスルホン酸、
1,7−ナフタレンジスルホン酸、
2,5−ナフタレンジスルホン酸、
2,6−ナフタレンジスルホン酸、
2,7−ナフタレンジスルホン酸、
2,8−ナフタレンジスルホン酸、
1−ナフトール−2,5−ジスルホン酸、
1−ナフトール−2,6−ジスルホン酸、
1−ナフトール−2,7−ジスルホン酸、
1−ナフトール−3,5−ジスルホン酸、
1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、
1−ナフトール−3,7−ジスルホン酸、
1−ナフトール−3,8−ジスルホン酸、
2−ナフトール−1,5−ジスルホン酸、
2−ナフトール−1,6−ジスルホン酸、
2−ナフトール−1,7−ジスルホン酸、
2−ナフトール−3,5−ジスルホン酸、
2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、
2−ナフトール−3,7−ジスルホン酸、
2−ナフトール−3,8−ジスルホン酸、
2−ナフトール−4,6−ジスルホン酸、
2−ナフトール−4,7−ジスルホン酸、
2−ナフトール−4,8−ジスルホン酸を例示できる。
前記ナフタレン化合物はインキ中に1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%添加される。
1重量%未満では十分な耐光性向上効果を示し難く、また、20重量%を越えると、該ナフタレン化合物が析出して筆跡のかすれを生じ易くなったり、或いは、溶剤比率が低下することにより他の添加剤が析出して筆跡のかすれを生じ易くなる。
【0008】
溶剤としては、水と必要により水溶性有機溶剤が用いられる。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
本発明に用いられる水性インキとして具体的には、剪断減粘性付与剤を含む剪断減粘性インキや、水溶性高分子凝集剤により顔料を緩やかな凝集状態に懸濁させた凝集性インキ、粘度が数mPa・s程度の低粘度インキが挙げられる。
【0009】
前記インキ中に高分子凝集剤を添加することによって、前記凝集剤が顔料間のゆるい橋かけ作用を生じさせ、ゆるい凝集状態を示す。このようなゆるい凝集状態を示すインキは繊維集束体からなるインキ吸蔵体(中綿)及び繊維の樹脂結束体からなるマーキングペン体の毛管状間隙において着色剤の分離が発生しない。
そのため、正立または倒立の放置により着色剤が分離し、筆跡の濃色化または淡色化が発生することを抑制し、染料インキを充填したマーキングペンと同等の保存性能を有するマーキングペンが得られる。
前記水溶性高分子凝集剤としては非イオン性水溶性高分子化合物が用いられ、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類等が挙げられる。
前記水溶性多糖類としてはトラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリン、非イオン性水溶性セルロース誘導体等が挙げられ、非イオン性水溶性セルロース誘導体の具体例としてはメチルセルロース、ヒドロシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
本発明のインキ組成物においては、着色剤間のゆるい橋架け作用を示す水溶性高分子であればすべて適用することができるが、なかでも非イオン性水溶性セルロース誘導体が最も有効に作用する。
【0010】
また、前記インキ中に剪断減粘性付与剤を添加することによって、インキを充填するボールペンの不使用時にボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止したり、顔料の凝集、沈降を防止することができる。
なお、前記剪断減粘性付与剤を添加したインキ組成物の粘度は、20℃でのE型回転粘度計による3.84s−1の剪断速度におけるインキ粘度が200〜3000mPa・sを示し、且つ、剪断減粘指数が0.1〜0.6を示すことが好ましい。
なお、剪断減粘指数(n)は、剪断応力値(T)及び剪断速度値(j)の如き粘度計による流動学測定から得られる実験式T=Kj(Kは非ニュートン粘性係数)にあてはめることによって計算される値である。
前記剪断減粘性付与剤としては、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、アルカガム、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類、N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を例示できる。
【0011】
更に、前記インキをボールペンに内蔵して実用に供する場合、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤を添加してボール受け座の摩耗防止効果を付与することが好ましい。
【0012】
その他、必要に応じてベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1,2−ベンズチアゾリン−3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性剤を使用してもよい。
また、必要により紙面への固着性や粘性付与のためにアクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等を用いることもできる。
【0013】
前記インキは、チップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペンに充填して実用に供される。
マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップを筆記先端部に装着し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内部に直接インキを収容して、弁機構により前記筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペンが挙げられる。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内にインキを充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接している構造のボールペンを例示できる。
【0014】
前記ボールペンチップについて更に詳しく説明すると、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.1〜3mm径程度のものが適用できる。
なお、本発明のインキを充填する筆記具は、ボールと同様の転動作用により筆跡を形成させる、ローラー等の転動機構を筆記先端部に備えたものを含む。
【0015】
インキを収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる透明性成形体が好適に用いられる。
前記インキ収容管の透明性とは着色透明、半透明、着色半透明を含み、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接又は接続部材を介してチップを連結したレフィルとし、前記レフィルを透明性軸筒内に収容して筆記具を構成する。
また、先端部にチップを装着した透明性軸筒自体に直接インキを充填して筆記具を構成することもできる。
前記軸筒の透明性とは着色透明、半透明、着色半透明を含み、インキ色やインキ残量等を確認できる。
【0016】
前記インキ収容管又は軸筒に収容したインキの後端にはインキ逆流防止体を充填することもできる。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
【0017】
前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物を例示できる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
【0018】
本発明のインキ組成物を充填する筆記具形態は前述したものに限らず、相異なる形態のペン体を装着させたり、相異なる色調のインキを導出させるペン体を装着させた両頭式の筆記具であってもよい。
【実施例】
【0019】
以下に実施例を記す。なお、実施例中の部は重量部を示す。
実施例1
筆記具用水性インキ組成物の調製
桃色蛍光顔料 30.0部
〔シンロイヒ(株)製、商品名:SF5017ピンク〕
グリセリン 10.0部
トリエタノールアミン 1.0部
2,7−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム 5.0部
水 54.0部
前記化合物を混合し、室温下でスリーワンモーターにて10分間撹拌することにより筆記具用水性インキ組成物が得られる。
【0020】
実施例2
桃色蛍光顔料 30.0部
〔シンロイヒ(株)製、商品名:SF5017ピンク〕
グリセリン 10.0部
トリエタノールアミン 1.0部
2,7−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム 10.0部
水 49.0部
前記化合物を混合し、室温下でスリーワンモーターにて10分間撹拌することにより筆記具用水性インキ組成物が得られる。
【0021】
実施例3
桃色蛍光顔料 30.0部
〔シンロイヒ(株)製、商品名:SF5017ピンク〕
グリセリン 10.0部
トリエタノールアミン 1.0部
2,7−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム 20.0部
水 39.0部
前記化合物を混合し、室温下でスリーワンモーターにて10分間撹拌することにより筆記具用水性インキ組成物が得られる。
【0022】
実施例4
橙色蛍光顔料 30.0部
〔シンロイヒ(株)製、商品名:SF5014オレンジ〕
グリセリン 10.0部
トリエタノールアミン 1.0部
2,7−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム 10.0部
水 49.0部
前記化合物を混合し、室温下でスリーワンモーターにて10分間撹拌することにより筆記具用水性インキ組成物が得られる。
【0023】
実施例5
黄色蛍光顔料 30.0部
〔シンロイヒ(株)製、商品名:SF5015イエロー〕
グリセリン 10.0部
トリエタノールアミン 1.0部
リン酸エステル 1.0部
〔第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL〕
2,7−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム 10.0部
水 48.0部
前記化合物を混合し、室温下でスリーワンモーターにて10分間撹拌することにより筆記具用水性インキ組成物が得られる。
【0024】
実施例6
桃色蛍光顔料 30.0部
〔シンロイヒ(株)製、商品名:SF5017ピンク〕
グリセリン 10.0部
トリエタノールアミン 1.0部
リン酸エステル 1.0部
〔第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL〕
1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸ナトリウム 10.0部
水 48.0部
前記化合物を混合し、室温下でスリーワンモーターにて10分間撹拌することにより筆記具用水性インキ組成物が得られる。
【0025】
実施例7
桃色蛍光顔料 30.0部
〔シンロイヒ(株)製、商品名:SF5017ピンク〕
グリセリン 10.0部
トリエタノールアミン 1.0部
リン酸エステル 1.0部
〔第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL〕
2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸ナトリウム 10.0部
水 48.0部
前記化合物を混合し、室温下でスリーワンモーターにて10分間撹拌することにより筆記具用水性インキ組成物が得られる。
【0026】
比較例1
実施例1において、2,7−ナフタレンジスルホン酸ナトリウムを除き、代わりに水を用いた以外は、実施例1と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0027】
比較例2
実施例2において、2,7−ナフタレンジスルホン酸ナトリウムを除き、代わりに水を用いた以外は、実施例2と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0028】
比較例3
実施例3において、2,7−ナフタレンジスルホン酸ナトリウムを除き、代わりに水を用いた以外は、実施例3と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0029】
比較例4
実施例4において、2,7−ナフタレンジスルホン酸ナトリウムを除き、代わりに水を用いた以外は、実施例4と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0030】
比較例5
実施例5において、2,7−ナフタレンジスルホン酸ナトリウムを除き、代わりに水を用いた以外は、実施例5と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0031】
比較例6
実施例6において、1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸ナトリウムを除き、代わりに水を用いた以外は、実施例6と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0032】
比較例7
実施例7において、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸ナトリウムを除き、代わりに水を用いた以外は、実施例7と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0033】
比較例8
実施例1において、2,7−ナフタレンジスルホン酸ナトリウムを除き、代わりに2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンを用いた以外は、実施例1と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0034】
比較例9
実施例1において、2,7−ナフタレンジスルホン酸ナトリウムを除き、代わりに2−(2′―ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを用いた以外は、実施例1と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0035】
溶解性試験
前記各インキ組成物を30g分取したものをろ過〔濾紙(アドバンテック製、No.2、直径20mm)〕し、その後、濾紙上に残った残渣不溶解物を目視により確認した。
【0036】
マーキングペンの作製
前記実施例1乃至4及び比較例1乃至4で作成したインキ組成物2.0gをポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内に含浸させ、ポリカーボネート樹脂からなる軸筒内に収容し、軸筒先端部に装着させたポリエステル繊維の樹脂加工ペン体と接続状態に組み立て、キャップを装着してマーキングペンを得た。
ボールペンの作製
前記実施例5乃至7及び比較例5乃至9で作成したインキ組成物0.9gを、直径0.5mmのボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプ(内径3.8mm)の一端に嵌着されたボールペンレフィルに充填し、更に、インキ逆流防止体を充填した後、前記ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、水性ボールペンを作製した。
【0037】
耐光性試験
前記各マーキングペン及びボールペンを用いて筆記用紙A(JIS P3201)上に5cmの線を3本筆記して、試験片を作成した。
前記各試験片をフェードメーター〔スガ試験機(株)製、ロングライフカーボンアーク適用〕により5時間及び10時間光照射し、筆跡の状態を目視により観察した。
なお、比較例8及び9については、溶解性試験において残渣の発生が確認されたため、耐光性試験を行わなかった。
溶解性試験及び耐光性試験結果を以下の表に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
溶解性試験
○:残渣不溶解物なし
×:残渣不溶解物あり
耐光性試験
○:初期と比較して変化のない筆跡がみられた。
△:初期と比較してやや変色がみられた。
×:初期と比較して著しい変色(退色)がみられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料と、水と、下記一般式(1)で示されるナフタレン化合物を少なくとも含有してなる筆記具用水性インキ組成物。
【化1】

(式中、R1は水素原子又は水酸基を示し、R2はアルカリ金属、アミン、アルカノールアミンを示す。)
【請求項2】
前記ナフタレン化合物をインキに1〜20重量%含有してなる請求項1記載の筆記具用水性インキ組成物。
【請求項3】
前記顔料が蛍光顔料である請求項1又は2記載の筆記具用水性インキ組成物。

【公開番号】特開2006−241298(P2006−241298A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58635(P2005−58635)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】