説明

筆記具用油性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具

【課題】 添加による筆跡乾燥性の低下やインキの粘度上昇を生じることなく、筆跡の白化を抑制できる筆記具用油性インキ組成物と筆記具を提供する。
【解決手段】 少なくとも着色剤と、アルコール系又はグリコールエーテル系の有機溶剤と、前記有機溶剤に可溶な樹脂とを含む筆記具用油性インキ組成物であって、前記樹脂が、エタノール:水=60:40である混合液に対して25℃で40以上の溶解度を有する。前記油性インキ組成物を内蔵してなる筆記具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筆記具用油性インキ組成物に関する。更に詳細には、多湿下での筆跡の白化現象を抑制できる筆記具用油性インキ組成物とそれを内蔵した筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筆記具用油性インキ組成物には、筆跡の速乾性を得るために低級アルコール等の揮発性(低沸点)の有機溶剤が媒体として用いられる。そのため、インキ非浸透面に筆記した際、筆跡が乾燥する過程で前記溶剤の蒸発時に奪われる気化熱により大気中の水分が凝結して筆跡が白化する現象が生起する。
前記白化現象を抑制するために、セロソルブ系溶剤等の高沸点溶剤を添加する技術や、ヒドロキシプロピルセルロース等を添加する技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開昭56−65060号公報
【特許文献2】特開2005−132989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、油性インキ中に前記高沸点溶剤を添加した場合には、筆跡の乾燥性能が悪化してしまい、ヒドロキシプロピルセルロースを添加した場合には、ある程度白化現象を抑制する効果を付与できるものの、添加によりインキ粘度が上昇するために筆記性能を低下させる問題がある。
【0004】
本発明は、前記問題を解消するものであって、添加による筆跡乾燥性の低下やインキの粘度上昇を生じることなく、筆跡の白化を抑制できる筆記具用油性インキ組成物と筆記具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも着色剤と、アルコール系又はグリコールエーテル系の有機溶剤と、前記有機溶剤に可溶な樹脂とを含む筆記具用油性インキ組成物であって、前記樹脂が、エタノール:水=60:40である混合液に対して25℃で40以上の溶解度を有することを要件とする。
更に、前記樹脂が、ロジン樹脂、マレイン酸樹脂、シェラック及びこれらの誘導体から選ばれる一種以上であること、両末端変性型ポリエーテル変性シリコーン、ジメチルポリシロキサンとポリアルキレンオキサイドが繰り返し結合した直鎖状ブロックコポリマー、ポリエーテル部のポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖の重量比においてポリオキプロピレン鎖が0重量%以上50重量%未満であると共にHLBが10以下である側鎖ポリエーテル変性シリコーンのいずれか一種以上を含むことを要件とする。
更には、前記いずれかの油性インキ組成物を内蔵してなる筆記具を要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、筆跡乾燥性の低下やインキの粘度上昇を生じることなく、筆跡の白化を抑制できる筆記具用油性インキ組成物と筆記具を提供できる。更に、特定のシリコーン化合物を併用することで、より湿度の高い条件であっても確実に筆跡の白化を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は主溶剤としてアルコール系又はグリコールエーテル系の有機溶剤を用いた油性インキに関するものであり、前記有機溶剤に可溶な樹脂のうちで、エタノール:水=60:40である混合液に対して25℃で40以上の溶解度を有するものを添加することによって大きな粘度上昇を伴うことなく、筆跡の定着性や滲み防止効果を向上させると共に、多湿下での筆跡の白化を抑制できるものである。
【0008】
前記樹脂としては、前記混合液に対する溶解度が40以上であれば汎用の油溶性樹脂の中から適宜用いることができるが、ロジン樹脂、マレイン酸樹脂、シェラックやこれらの誘導体が好適である。尚、前記誘導体としては、酸変性ロジン、ロジン含有ジオール、スチレンやオレフィンや酢酸ビニルメチルビニルエーテル等とマレイン酸の共重合体等が例示できる。
また、これらの樹脂と共に、汎用のケトン樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン系樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、アクリル樹脂等を併用することもできる。
【0009】
これらの樹脂は一種又は二種以上を混合して用いてもよく、インキ組成中0.5〜40重量%、好ましくは1〜35重量%の範囲で用いられる。0.5重量%未満では筆跡の白化や滲みの抑制、定着性等で充分な効果を付与し難くなる。また、多量に添加することも可能であるが、40重量%以下で所望の効果は充分に得られる。
【0010】
更に、前記溶解度の樹脂と併せ、両末端変性型ポリエーテル変性シリコーン、ジメチルポリシロキサンとポリアルキレンオキサイドが繰り返し結合した直鎖状ブロックコポリマー、ポリエーテル部のポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖の重量比においてポリオキプロピレン鎖が0重量%以上50重量%未満であると共にHLBが10以下である側鎖ポリエーテル変性シリコーンから選ばれるいずれか一種以上のシリコーン化合物を添加することにより、より湿度の高い条件であっても確実に筆跡の白化を抑制することが可能となる。
【0011】
前記両末端変性型ポリエーテル変性シリコーンは、直鎖状ジメチルポリシロキサンの主鎖両末端基をポリエーテル基で置換したものであり、前記ポリエーテル基は−R(CO)a(CO)で表される〔式中Rは、炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rは、水素、炭素数1〜50のアルキル基、アリール基のいずれかを表す。また、aは1〜50の整数を表し、bは1〜50の整数を表す〕。具体的には、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の商品名:ペインタッド 29、同8142、同8331、同8353、同8388A、同8388B、同8417、DK Q8−8211や、信越シリコーン(株)製の商品名:X−22−4952、X−22−4272、X−22−6266、KF−6004等が挙げられる。
【0012】
前記ジメチルポリシロキサンとポリアルキレンオキサイドの直鎖状ブロックコポリマーとしては、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のFZ2203、FZ2207、FZ2208、FZ2222が挙げられる。
【0013】
前記側鎖ポリエーテル変性シリコーンは、ポリシロキサンの側鎖の一部にポリエーテル基を導入したものであり、前記ポリエーテル基は、ポリオキシエチレン鎖単独で構成される、又は、少なくともポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとにより構成され、前記ポリオキシプロピレンの含有量が重量比で50重量%未満のものが用いられる。更に、HLBが10以下、好ましくは2〜9の範囲のものが用いられ、更に好適には、少量の添加で高い効果が得られることから3〜6の範囲のものが用いられる。具体的には、東レ・ダウコーニング(株)製、商品名:SH3775Mや、東芝シリコーン(株)製、商品名:TSF4445や、信越シリコーン(株)製の商品名:KF−615A等が挙げられる。
【0014】
前記シリコーン化合物は、インキ組成物全量中0.5〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の範囲で用いられる。
0.5重量%未満では白化抑制効果を向上することができ難く、10重量%を超えて添加することも可能であるが、10重量%以下で所望の効果は充分に得られるためこれ以上の添加は要しない。
【0015】
前記有機溶剤としては、アルコール系又はグリコールエーテル系の汎用の溶剤が適用でき、例えば、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。
前記有機溶剤は一種又は二種以上を混合して用いてもよく、インキ組成中40〜90重量%の範囲で用いられる。
【0016】
前記着色剤としては、従来から油性インキに適用され、前記有機溶剤に可溶な汎用の染料、顔料が適宜用いられる。
前記染料としては、例えば、カラーインデックスにおいてソルベント染料として分類される有機溶剤可溶性染料が挙げられる。
前記ソルベント染料の具体例としては、バリファストブラック3806(C.I.ソルベントブラック29)、同3807(C.I.ソルベントブラック29の染料のトリメチルベンジルアンモニウム塩)、スピリットブラックSB(C.I.ソルベントブラック5)、スピロンブラックGMH(C.I.ソルベントブラック43)、バリファストレッド1308(C.I.ベーシックレッド1の染料とC.I.アシッドイエロー23の染料の造塩体)、バリファストイエローAUM(C.I.ベーシックイエロー2の染料とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンイエローC2GH(C.I.ベーシックイエロー2の染料の有機酸塩)、スピロンバイオレットCRH(C.I.ソルベントバイオレット8−1)、バリファストバイオレット1701(C.I.ベーシックバイオレット1とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンレッドCGH(C.I.ベーシックレッド1の染料の有機酸塩)、スピロンピンクBH(C.I.ソルベントレッド82)、ニグロシンベースEX(C.I.ソルベントブラック7)、オイルブルー613(C.I.ソルベントブルー5)、ネオザポンブルー808(C.I.ソルベントブルー70)等が挙げられる。
前記顔料としては、カーボンブラック、群青、二酸化チタン顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料等の有機顔料、アルミニウム粉やアルミニウム粉表面を着色樹脂で処理した金属顔料、透明又は着色透明フィルムにアルミニウム等の金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、フィルム等の基材に形成したアルミニウム等の金属蒸着膜を剥離して得られる厚みが0.01〜0.1μmの金属顔料、金、銀、白金、銅から選ばれる平均粒子径が5〜30nmのコロイド粒子、蛍光顔料、蓄光性顔料、熱変色性顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料等が挙げられる。
前記着色剤は一種又は二種以上を併用してもよく、インキ組成物中3〜40重量%の範囲で用いられる。
【0017】
更に、本発明の筆記具用油性インキ組成物には、必要に応じて上記成分以外に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防錆剤、潤滑剤、粘度調整剤、剥離剤、顔料分散剤、消泡剤、剪断減粘性付与剤、界面活性剤等の各種添加剤を使用できる。
前記添加剤はいわゆる慣用的添加剤と呼ばれるもので、公知の化合物から適宜必要に応じて使用することができる。
【0018】
防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等が使用できる。
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドロキシトルエン、フラボノイド、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸誘導体、α−トコフェロール、カテキン類等が使用できる。
紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル5′−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、p−安息香酸−2−ヒドロキシベンゾフェノン等が使用できる。
消泡剤としては、ジメチルポリシロキサン等が使用できる。
【0019】
剥離剤としては、ホーロー、ガラス、金属或いは熱可塑性又は熱硬化性プラスチック等の素材からなる筆記板(ホワイトボード)に用いられるインキ組成物に含まれる剥離性を付与できる化合物であれば全て用いることができ、例えば、カルボン酸エステル類、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等を挙げることができるが、好適に用いられる剥離剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル又はこれらの塩、脂肪族二塩基酸エステル、脂肪族一塩基酸エステル、ポリアルキレングリコールエステルから選ばれる化合物であり、一種又は二種以上を併用して用いることもできる。
【0020】
また、本発明の油性インキ組成物をボールペンに適用する際には、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル等の潤滑剤を必要により添加することもできるが、特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等を用いるとボール受け座の摩耗防止効果に優れる。
【0021】
更に、剪断減粘性付与剤を添加することによって、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
尚、剪断減粘性付与剤を添加する場合は、20℃でのE型粘度計による3.84S−1の剪断速度におけるインキ粘度が10mPa・s(20℃)以上、好適には10〜10000mPa・sであり、且つ、剪断減粘指数を0.3〜0.99の範囲に調整することが好ましく、前記した粘度範囲及び剪断減粘指数を示すことによって、更にインキ漏れだし、インキの逆流を防止することができる。
また、着色剤として顔料を併用した場合には、前記顔料の凝集・沈降を抑制することができる。
インキ粘度が10mPa・s未満では剪断減粘性による効果が適正ではなく、インキ吐出性及び筆跡性能に支障を来すこともある。
尚、剪断減粘指数(n)は、剪断応力値(T)及び剪断速度値(j)の如き粘度計による流動学測定から得られる実験式T=Kj(Kは非ニュートン粘性係数)にあてはめることによって計算される値である。
【0022】
前記剪断減粘性付与剤としては、従来公知の化合物を用いることが可能であり、例えば、架橋型アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂のエマルションタイプ、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体の水溶液、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、オクチル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、デキストリン脂肪酸エステル、N−アシルアミノ酸系化合物、スメクタイト系無機化合物、モンモリロナイト系無機化合物、ベントナイト系無機化合物、ヘクトライト系無機化合物、シリカ等が例示できる。
【0023】
前記インキ組成物は、チップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペンに充填して実用に供される。
マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップを筆記先端部に装着し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内部に直接インキを収容して、弁機構により前記筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペンが挙げられる。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、更にインキの端面には逆流防止用に液栓や固体栓等のインキ追従体が密接している構造のボールペンを例示できる。
【実施例】
【0024】
実施例及び比較例のインキ組成を以下の表に示す。
尚、表中の組成の数値は重量部を示す。
【0025】
【表1】

【0026】
表中の原料の内容を注番号に沿って説明する。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:ニグロシンベースEX
(2)青色顔料とポリビニルブチラール樹脂の1:1混合物
(3)オリエント化学工業(株)製、商品名:オイルブルー615
(4)エタノール:水=60:40の混合液に対する溶解度が60以上
(5)エタノール:水=60:40の混合液に対する溶解度が40以上
(6)エタノール:水=60:40の混合液に対する溶解度が20以下
(7)エタノール:水=60:40の混合液に対する溶解度が1以下
(8)東邦化学工業(株)製、商品名:フォスファノールRA600
(9)両末端変性シリコーン、信越シリコーン(株)製、商品名:KF−6004
(10)側鎖変性シリコーン、信越シリコーン(株)製、商品名:KF−615
(11)ジメチルポリシロキサンとポリアルキレンオキサイドの直鎖状ブロックコポリマー、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名:FZ 2203
【0027】
インキの調製
前記実施例及び比較例の各原料を混合し、ディスパーにて40℃で2時間撹拌することにより筆記具用油性インキ組成物を得た。
【0028】
マーキングペンの作製
得られたインキ組成物5gを、市販のマーキングペン(パイロットコーポレーション製;M−12F)に充填することで油性マーキングペンを得た。
【0029】
筆記試験
各マーキングペンを用いて、25℃で湿度50%及び70%の環境下で透明なPETフィルム上に5個連続して丸を書いた際の乾燥後の筆跡状態を目視により確認した。
試験結果を以下の表に示す。
【0030】
【表2】

【0031】
表中の記号の内容を以下に説明する。
筆記試験
◎:光沢がある鮮明な筆跡が得られる。
○:鮮明な筆跡が得られる。
△:マット調の筆跡であり若干の白化現象がみられる。
×:筆跡に白化現象がみられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着色剤と、アルコール系又はグリコールエーテル系の有機溶剤と、前記有機溶剤に可溶な樹脂とを含む筆記具用油性インキ組成物であって、前記樹脂が、エタノール:水=60:40である混合液に対して25℃で40以上の溶解度を有する筆記具用油性インキ組成物。
【請求項2】
前記樹脂が、ロジン樹脂、マレイン酸樹脂、シェラック及びこれらの誘導体から選ばれる一種以上である請求項1記載の筆記具用油性インキ組成物。
【請求項3】
両末端変性型ポリエーテル変性シリコーン、ジメチルポリシロキサンとポリアルキレンオキサイドが繰り返し結合した直鎖状ブロックコポリマー、ポリエーテル部のポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖の重量比においてポリオキプロピレン鎖が0重量%以上50重量%未満であると共にHLBが10以下である側鎖ポリエーテル変性シリコーンのいずれか一種以上を含む請求項1又は2に記載の筆記具用油性インキ組成物。
【請求項4】
前記請求項1乃至3のいずれかに記載の筆記具用油性インキ組成物を内蔵してなる筆記具。

【公開番号】特開2010−53176(P2010−53176A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216872(P2008−216872)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】