説明

等電位ボンディング金具

【課題】 汎用性が有り使用勝手の良好な等電位ボンディング金具を提供する。
【解決手段】 互いに相対する対向面の長手方向の中間部に鉄筋mの係合溝7,9を設け、該係合溝7,9を介して配した第一、第二一対の締付けボルト3,3´で互いに締付ける第一、第二一対の挟持板1,2で構成する。また、第二挟持板2の、前記長手方向の両端を、前記対向面と反対側に折返して円筒状の、第一、第二の抱持片10,10´を設け、該第一抱持片10に回動自在に係合させた第一ナット材13に螺合した前記第一締付けボルト3の挿通孔8と、前記第二締付けボルト3´の係合切欠5を、前記第一挟持板1にそれぞれ設ける。そして、前記係合切欠5は前記第二抱持片10´に設けた第二ナット材13´の周方向に長い長孔14と一致させて配し、この係合切欠5の、少なくも一側にリード線4の圧着端子4aの接続ボルト16用の透孔15を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落雷時の建物内の電位を均等化することにより各部分間の電位差を最小限にして諸種の機器の保護を図る等電位ボンディング装置を得るためにコンクリート建物の鉄筋に組付けて用いる等電位ボンディング金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一対の、2つ割り状の挟持枠で成り、これらの両端側にあるヒンジ部と嵌め込みボルトを利用して、前記挟持枠の内側に配した鉄筋を締付けて該鉄筋に取付け、一方の挟持枠に、一端を他の鉄筋等に止着したリード線の他端を止着した構造のものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−199239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来構造のものは、1本ボルト締めの、ナットクラッカー式の締付け金具といわれているものを、等電位ボンディング金具に適用したものであるが、該締付け式金具を構成する挟持枠を、円筒体を半割り状にした形状にしているため、該挟持枠間に配する鉄筋の径が限定され、また、該挟持枠は、一端側をヒンジ接合しているため、鉄筋に組付けるに際し、ヒンジピンを中心にして鉄筋を係合できる間隙が生じるまで開放する必要があり、鉄筋が立て込んでいるとき等その空間域の確保が難しいときがある。
【0005】
本発明は、このような従来例の欠点に着目し、汎用性が有り、使用勝手の良好な等電位ボンディング金具を提供することを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
互いに相対する対向面の長手方向の中間部に鉄筋の係合溝を設け、該係合溝を介して配した第一、第二一対の締付けボルトで互いに締付ける一対の挟持板で構成し、第二挟持板の、前記長手方向の両端を、前記対向面と反対側に折返して円筒状の、第一、第二の抱持片を設け、該第一抱持片に回動自在に係合させた第一ナット材に螺合する前記第一締付けボルトの挿通孔と、前記第二締付けボルトの係合切欠を、前記第一挟持板にそれぞれ設けると共に、前記係合切欠は前記第二抱持片に設けた第二ナット材の周方向に長い長孔と一致させて配し、この係合切欠の、少なくも一側にリード線の圧着端子の接続ボルト用の透孔を設けた構成としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第一、第二の挟持板を、鉄筋の径より大きくするだけで該鉄筋を挟持板間に配することができるから鉄筋との組合わせのときに広い空間域を必要としないで済み、鉄筋を係合させた後は、第二締め付けボルトを回して自由状態にあった頭部側を第一挟持板側の係合切欠に係止して各ボルトを締付けることによって鉄筋に簡単に取付けられ、しかも、いわば平板体で鉄筋を挟み、その両側に配したボルトを締付けることにより鉄筋に取付けることができる構成を採るから鉄筋の径とは無関係な汎用性の有るボンディング金具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ボンディング装置の略示説明図。
【図2】図1の一部拡大図。
【図3】図2の一部欠截平面図。
【図4】接続ボルトを省略して示した図3の側面図。
【図5】鉄筋との関係を示す一部欠截平面図。
【実施例】
【0009】
本発明に係る等電位ボンディング金具Aは、図1で示すように、コンクリート建物の鉄筋(図示の場合は太い鉄筋mと細い鉄筋n)に取付けて、鉄筋m,m同士、m,n同士或いはn,n同士を電気的に接続して、前記建物内の電位の均等化を図るものである。
【0010】
そして、等電位ボンディング金具Aは、金属(鋼板)製の、全体として略平板状の第一挟持板1と、同じく全体として略平板状の金属体で成る第二挟持板2を、鉄筋m又はnを介して重ね合わせ、第一、第二の締付けボルト3,3´によって互いに締付け、他の鉄筋に取付けた他の等電位ボンディング金具とリード線4で互いに接続(電気的に)するようにして用いるものである。
【0011】
このボンディング金具Aを構成する第一挟持板1は、長手方向の一端側中央に設けた、前記第二締付けボルト3´の係合切欠5を備え、該係合切欠5を構成する一対の分岐部片を前記リード線4を接続する接続部片6,6と成すと共に、長手方向に沿う両端を折り曲げて補強部片1a,1aを備えた平板体で構成するものである。
【0012】
なお、接続部片6,6には、透孔15を設け、この透孔15と、前記リード線4の圧着端子4aの取付孔とを一致させて、これら孔15等に挿通する接続ボルト16と、該ボルト16に螺合する接続ナット17により圧着端子4aを接続部片6に接続し、ボンディング装置を得るようにしてある。図示は、一方の透孔15のみを利用してリード線4を接続するようにしてあるが、リード線4接続のために両方の透孔15,15を利用しても差し支えはない。
【0013】
そして、第一挟持板1の長手方向の中間部の、前記第二挟持板2との対向面には、前記補強部片1aの突出方向に凹む、鉄筋m又はn係合用の係合溝7を設け、該係合溝7の一側に位置する前記係合切欠5と反対側の他側に、前記長手方向に長い長孔で成る、前記第一締付けボルト3の挿通孔8を設けたものである。
【0014】
前記第二挟持板2は、第一挟持板1と同様に長手方向に沿う両端に互いに相対向する補強部片2a,2aを備え、長手方向の中間部の前記第一挟持板1と相対して配する対向面に、第一挟持板1側の係合溝7と一致させて配する、鉄筋m又はn係合用の係合溝9を設け、この係合溝9を介する両側には、一方が第一挟持板1に設けた前記挿通孔8と、他方が同じく第一挟持板に設けた前記係合切欠5の基部とそれぞれ対応するように、その両端を前記対向面の裏面側に折り返して、略円筒状の第一、第二の抱持片10,10´を設けてある。
【0015】
第一抱持片10に前記第一締付けボルト3の挿通孔11を設け、この挿通孔11は、第二挟持板2の本体部側に設けたボルト挿通孔12と、第一挟持板の前記挿通孔8を結ぶ直線上に位置するように配してあり、この挿通孔11を備えた第一抱持片10に半円柱状の第一ナット材13を第一抱持片10の周方向に移動自在に係合し、該第一ナット材13に設けたねじ孔13aに、挿通孔8側からボルト挿通孔12を通じて第一抱持片10の内側に突出させた前記第一締付けボルト3の先端を、螺合して前記挿通孔11に係合してある。すなわち、第一挟持板1と第二挟持板2は、頭部側が第一挟持板1に係止し、先端部側が第二挟持板2に係止する前記第一ナット材13に螺合した第一締付けボルト3を介して互いに組付けられている
前記第二抱持片10´は、軸線方向の中央部に周方向に長く、前記第二締付けボルト3´の径より広い孔幅の有る長孔14を備えたもので、この第二抱持片10´には、第一抱持片10側と同様に、ねじ孔13´aを備えた半円柱状の第二ナット材13´を該第二抱持片10´の周方向に移動自在に係合し、該第二ナット材13´に、前記長孔14を通じて第二抱持片10´の内側に突出させた前記第二締付けボルト3´の先端を前記ねじ孔13´aに螺合して、第二締付けボルト3´を組付けてあり、第二締付けボルト3´は第二抱持片10´に案内させて回ることのできる第二ナット材13´との組付けにより、前記長孔14の両端間を自在に移動できる。
【0016】
そして、図5で示すように、第二ナット材13´に第一締付けボルト3´を螺合して組合わせた状態で、該ボルト3´の頭部を第二挟持板2の外面側に配置し、かつ、第一ナット材13と第一締付けボルト3の螺合関係を緩めて第一、第二挟持板1,2間に鉄筋mが係合できる程度の間隔Sをつくって、該間隙S内に該間隙Sの開放側である、第二締付けボルト3´乃至接続部片6側から鉄筋mを係合し、係合させた状態で第二ナット材13´を中心に第二締付けボルト3´を回動させて、頭部側を係合切欠5に係合してその奥端位置まで配して各締付けボルト3,3´を増し締めすると、各ナット材13,13´は抱持片10,10´によりボルト3,3´との供回りが規制され、その締付け操作が円滑に行われ、係合溝7,9に一部が係合して該両溝7,9間に配された鉄筋mは、第一、第二の挟持板1,2で挟持され、ボンディング金具Aは該鉄筋mに組付けられる。
【0017】
そして、第一挟持板1の接続部片6に設けた透孔15を利用して一端側を他の鉄筋に取付けたリード線4の他端の圧着端子4aを接続ボルト16と接続ナット17により締付けることにより本ボンディング金具Aを用いた等電位ボンディング装置を得ることができる。
【符号の説明】
【0018】
1 第一挟持板
2 第二挟持板
3 第一締付けボルト
3´ 第二締付けボルト
4 リード線
5 係合切欠
7 係合溝
8 挿通孔
9 係合溝
10 第一抱持片
10´ 第二抱持片
13 第一ナット材
13´ 第二ナット材
14 長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに相対する対向面の長手方向の中間部に鉄筋の係合溝を設け、該係合溝を介して配した第一、第二一対の締付けボルトで互いに締付ける一対の挟持板で構成し、第二挟持板の、前記長手方向の両端を、前記対向面と反対側に折返して円筒状の、第一、第二の抱持片を設け、該第一抱持片に回動自在に係合させた第一ナット材に螺合する前記第一締付けボルトの挿通孔と、前記第二締付けボルトの係合切欠を、前記第一挟持板にそれぞれ設けると共に、前記係合切欠は前記第二抱持片に設けた第二ナット材の周方向に長い長孔と一致させて配し、この係合切欠の、少なくも一側にリード線の圧着端子の接続ボルト用の透孔を設けた、等電位ボンディング金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−155772(P2011−155772A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15588(P2010−15588)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000222015)株式会社ユアテック (26)
【出願人】(592157076)イワブチ株式会社 (80)
【Fターム(参考)】