説明

箔基板上の太陽電池の形成

本発明は光起電力装置の製造に関し、より具体的には光起電力装置用光吸収層の加工およびアニール処理に関する。本発明の実施形態により、アルミニウム箔基板上でのCIGS光吸収層の製造が可能となる。例えば、光起電力装置は、アルミニウム箔基板(102)、任意選択の基部電極(104)、ならびにIB族、IIIA族、および(任意選択で)VIA族の元素を含有する材料を含む初期の光吸収体(106)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光起電力装置の製造に関し、より具体的には光起電力装置用光吸収層の加工およびアニール処理に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池のような効率的な光起電力装置は、IB族、IIIA族およびVIA族の元素を含有する合金(例えば銅と、インジウムおよび/またはガリウムまたはアルミニウムおよびセレンおよび/または硫黄との合金)で作られた光吸収層を使用して製造されてきた。そのような光吸収層はしばしばCIGS層と呼ばれ、製造された装置はCIGS太陽電池と呼ばれることが多い。CIGS光吸収層は基板に蒸着させることができる。アルミニウム箔は比較的安価で、軽量で、可撓性を有するので、アルミニウム箔基板上にそのような光吸収層を作製することは望ましいだろう。残念ながら、CIGS光吸収層を蒸着するための現在の技術は基板としてアルミニウム箔を使用することとは相容れない。
【0003】
典型的な蒸着技術には、蒸発、スパッタリング、化学蒸着法などが挙げられる。これらの蒸着プロセスは一般に、高温で長時間行なわれる。どちらの要因も蒸着が行われている基板に損傷を生じる可能性がある。そのような損傷は、加熱時の基板材料内の変化から直接生じる場合もあるし、蒸着プロセスの熱によって引き起こされた不適当な化学反応から生じる場合も、あるいは両方の場合もある。したがって、CIGS太陽電池の製造には非常に強健な基板材料が一般に必要とされている。これらの制限は、アルミニウムおよびアルミニウム箔系の箔の使用を除外してきた。
【0004】
蒸着手法の別例は、溶液を用いてCIGS前駆物質を基板上に印刷する方法である。溶液を用いる印刷技術の例は、例えば、特許文献1および同一出願人による特許文献2(いずれも参照によって本願に組込まれる)に記載されている。この蒸着手法の利点として、比較的低い蒸着温度および迅速な蒸着プロセスの両方が挙げられる。いずれの利点も、蒸着が行われている基板の熱による損傷の可能性を最小限にする役割を果たしている。
【0005】
溶液蒸着はCIGS太陽電池の製造において比較的低温の工程であるが、唯一の工程ではない。蒸着に加えて、CIGS太陽電池の製造における重要な工程はCIGS光吸収層のセレン化およびアニール処理である。セレン化によりバルクのCIGまたはCI光吸収層にセレンが導入され、光吸収層では該元素がフィルム内に取り込まれる。同時にアニール処理により光吸収層に適切な結晶構造がもたらされる。先行技術では、セレン化およびアニール処理は、HSeまたはSeの蒸気の存在下で基板を加熱し、この初期光吸収層を長時間高温で維持することにより行なわれてきた。
【0006】
太陽電池装置用の基板としてのAlの使用は、そのような基板が低価格かつ軽量な性質であることから望ましいと思われるが、CIGS光吸収層を効率よくアニール処理する従来の技術も、基板を加熱して高温にする結果、Al基板の損傷をもたらすものである。長時間の加熱および/または長時間のセレン含有化合物への曝露の際にAl基板の分解をもたらすいくつかの要因がある。第1に、長時間の加熱時には、Moで被覆されたAl基板内の個々の層が融合し、装置に金属間のバック接点を形成する可能性があり、その結果Mo層について意図される電子的機能性が減少する。第2に、Mo層の界面の形態が加熱の間に変化して、Mo層表面で生じる核生成パターンの変化を介して後のCIGS粒の成長に悪影響を及ぼす可能性がある。第3に、長時間加熱すると、AlがCIGS光吸収層内へ移行して該半導体の機能を妨害する可能性がある。第4に、Al箔中に一般に存在する不純物(例えばSi、Fe、Mn、Ti、ZnおよびV)は、長時間の加熱時に太陽電池
内へ拡散する移動性のAlと共に移動する可能性があり、その結果該電池の電子工学的かつ光電子工学的機能を妨害する可能性がある。第5に、Seが比較的長時間かつ比較的高温でAlに暴露されると、不安定なセレン化アルミニウムが生ずる場合がある。湿った空気中では、セレン化アルミニウムは水蒸気と反応して酸化アルミニウムとセレン化水素とを形成しうる。セレン化水素は毒性の高い気体であり、非管理下で形成されれば安全上の危険をもたらす可能性がある。以上のすべての理由から、高温蒸着、アニール処理およびセレン化は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の基板には非実用的である。
【0007】
高温で長時間の蒸着およびアニール処理の工程が原因で、CIGS太陽電池は、アルミニウム基板(例えば、Alおよび/またはAl系合金からなる可撓性の箔)上では事実上製造不可能であり、その代りにステンレス鋼、チタンまたはモリブデンの箔のようなより強健(かつより高価)な材料で作られたより重い基板、ガラス基板、あるいは金属または金属酸化物で被覆されたガラス上に製造しなければならない。したがって、たとえアルミニウム箔を用いたCIGS太陽電池がより軽量で可撓性を有し、かつステンレス鋼、チタンまたはモリブデンの箔、ガラス基板、あるいは金属または金属酸化物で被覆されたガラス基板より安価であっても、現行の方式ではアルミニウム箔を基板として使用することはできない。
【特許文献1】国際公開第2002/084708号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願第10/782,017号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって当技術分野では、アルミニウム基板上にCIGS太陽電池を製造する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、特許請求の範囲の各請求項に記載の発明によって解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の教示は、次の詳細な説明を添付の図面と併せて検討することにより容易に理解することができる。
特定の実施形態の説明
以降の詳細な説明には例示のための多くの具体的な詳細が含まれているが、当業者であれば、下記の詳細に対する多くの変更形態および改変形態が本発明の範囲内にあることを認識するであろう。従って、下記に記載された本発明の例示的実施形態に関する記述によって、添付の特許請求の範囲の一般性が失われることも、特許請求の範囲が制限されることもない。
【0011】
本発明の実施形態は、アルミニウム箔基板上でのCIGS光吸収層の製造を可能にする。本発明の実施形態によれば、溶液蒸着によってアルミニウム基板上に形成された、IB族およびIIIA族の元素を含む初期の光吸収層を、周囲温度から約200℃〜約600℃の安定した温度範囲まで急速に加熱することによりアニール処理すればよい。温度は上記の安定した範囲内に約2分間〜約30分間維持し、その後低下させる。別例として、アニール処理温度を特定の安定した温度に維持するのではなく、ある温度範囲内で上下するように調整することも考えられる。
【0012】
図1は、部分的に製造された光起電力装置100および急速加熱ユニット110を示し、装置は概してアルミニウム箔基板102、任意選択の基部電極104および初期の光吸収層106を備えている。アルミニウム箔基板102は、厚さおよそ5ミクロン〜100ミクロンまたはそれ以上で、任意の適切な幅および長さでよい。アルミニウム箔基板10
2はアルミニウムあるいはアルミニウム系合金製でよい。別例として、アルミニウム箔基板102はポリマー箔基板の金属化により作製されてもよく、該ポリマーは、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミドおよび/または上記の組合せからなる群から選択される。例として、基板102は、ロールツーロール(roll−to−roll)方式で加工するのに適した長いアルミニウム箔シートの形態であってもよい。基部電極104は、初期の光吸収層106の加工と両立可能な電導性材料で作製される。例として、基部電極104は、モリブデン層(例えば約0.1〜25ミクロン厚、より好ましくは約0.1〜5ミクロン厚)であってもよい。基部電極層は、スパッタリングまたは蒸発により、あるいは別例として化学蒸着法(CVD)、原子層蒸着法(ALD)、ゾル・ゲルコーティング、電気めっきなどにより蒸着させればよい。
【0013】
アルミニウムとモリブデンは相互拡散可能であり相互拡散することが多く、装置100に対して有害な電子工学的かつ/または光電子工学的影響をもたらす。そのような相互拡散を防止するために、アルミニウム箔基板102とモリブデン基部電極104との間に中間の界面層103を組込んでもよい。この界面層は、様々な任意の材料で構成可能であり、該材料は例えば、限定するものではないが、クロム、バナジウム、タングステンおよびガラス、あるいは窒化物(タンタル窒化物、タングステン窒化物および窒化ケイ素など)、酸化物および/または炭化物などの化合物が挙げられる。この層の厚さは10nm〜50nm、より好ましくは10nm〜30nmの範囲とすることができる。
【0014】
初期の光吸収層106は、IB族、IIIA族および(任意選択で)VIA族の元素を含有する材料を含んでいてもよい。好ましくは、光吸収層の銅(Cu)がIB族の元素であり、ガリウム(Ga)および/またはインジウム(In)および/またはアルミニウムがIIIA族の元素であってよく、VIA族の元素としてはセレン(Se)および/または硫黄(S)でよい。VIA族の元素は、初期の光吸収層106が最初に溶液蒸着されるとき、または初期の光吸収層106から最終的な光吸収層を形成するその後の処理中に、初期光吸収層106の中に組み込まれうる。蒸着された時、初期の光吸収層106は厚さ約1000nmでよい。その後の急速な熱処理およびVIA族元素の組み込みにより、得られる光吸収層の形態が変化して厚さが増すことがある(例えばある状況下では初期の層の厚さの約2倍になる)。
【0015】
アルミニウム箔基板102上での光吸収層の製造は、比較的単純である。最初に、初期の光吸収層が基板102上に蒸着されるが、アルミニウム上に直接、あるいは電極104のような最上層の上に蒸着される。例として、かつ一般性を喪失するものではなく、初期の光吸収層は、IB族、IIIA族および(任意選択で)VIA族の1つ以上の元素を含むナノ粒子を含有する溶液系前駆物質のフィルムの形態で蒸着されてもよい。そのような溶液を用いる印刷技術のそのようなフィルムの例は、例えば、「SOLUTION−BASED FABRICATION OF PHOTOVOLTAIC CELL」という表題の同一出願人の米国特許出願第10/782,017号明細書に、または「METHOD OF FORMING SEMICONDUCTOR COMPOUND FILM FOR FABRICATION OF ELECTRONIC DEVICE AND FILM PRODUCED BY SAME」という表題のPCT国際公開第02/084708号パンフレット(いずれの開示内容も参照によって本願に組込まれる)に記載されている。
【0016】
別例として、初期の光吸収層106は、一連の原子層蒸着反応によって、またはそのような層の形成に通常使用される他の任意の従来の方法によって形成されてもよい。IB−IIIA−VIA光吸収層の原子層蒸着法については、例えば、同一出願人かつ同時係属の、「FORMATION OF CIGS ABSORBER LAYER MATE
RIALS USING ATOMIC LAYER DEPOSITION AND HIGH THROUGHPUT SURFACE TREATMENT ON COILED FLEXIBLE SUBSTRATES」という表題の出願番号第10/943,658号明細書(参照により本願に組込まれている)に記載されている。
【0017】
その後、初期の光吸収層106を、加熱ユニット110で同層および/または基板102を周囲温度から約200℃〜約600℃の安定した平均温度範囲へとフラッシュ加熱することによってアニール処理する。加熱ユニット110は、初期の光吸収層106および/または基板102(あるいはその重要な部分)の温度を急速に、例えば、約5℃/秒〜約150℃/秒で上昇させるのに十分な熱を供給することが好ましい。例として、加熱ユニット110は、十分な放射熱を提供する1つ以上の赤外線(IR)ランプを備えていてもよい。例として、定格が各々約500ワットの8つのIRランプを、基板102の表面から約0.3175cm(約1/8”)〜約2.54cm(約1”)の位置に置く(4つを基板の上方、4つを基板の下方とし、すべてを基板に向ける)と、10.16cm(4”)の環状炉の中で毎時約25cmの基板エリアを処理するのに十分な放射熱を提供することができる。ランプを、制御された方法で(例えば約10℃/秒の平均上昇率で)上昇させてもよい。当業者であれば、加熱ユニット110として使用可能な他の種類および配置構成の熱源を考案することができるだろう。例えば、ロールツーロール式の生産ラインでは、加熱およびその他の処理を、処理領域の長さに沿って2.54cm(1”)離したIRランプを使用し、IRランプを基板の上方および下方に均等に配置し、基板の上方および下方のいずれのIRランプも基板の方へ向けることによって、実施することができる。別例として、IRランプを基板102の上方のみ、または下方のみのいずれかに配置し、かつ/またはチャンバの側面から基板102の側面へと側方からの加熱を増大する配置構成とすることも可能であろう。
【0018】
光吸収層106および/または基板102を、安定した平均温度範囲に、約2分間〜約30分間維持する。例えば、温度は、加熱ユニット110からの熱量を適切なレベルまで低減することにより所望の範囲内に維持すればよい。IRランプの例では、熱は単にランプを消すことにより低減することができる。別例として、ランプを積極的に冷却してもよい。光吸収層106および/または基板102の温度はその後、例えば加熱ユニット110からの熱の供給をさらに低減または遮断することによって適切なレベルへと低下される。
【0019】
本発明のいくつかの実施例では、セレンまたは硫黄のようなVIA族の元素を、アニール処理の工程の前または該工程中に光吸収層に組み込むことができる。別例として、2以上の個別または連続的なアニール処理工程を連続して実施し、セレンまたは硫黄のようなVIA族の元素を2番目の工程またはそれより後の工程で組み込むこともできる。例えば、初期の光吸収層106を、フラッシュ加熱または急速熱処理(RTP)の前またはその処理中に、HSeガス、HSガスあるいはSe蒸気に曝露してもよい。この実施形態では、曝露が比較的短時間なので、アルミニウム基板が特に高温で上記のガスおよび蒸気の存在に対してよく持ちこたえることができる。
【0020】
初期の光吸収層106がアニール処理されてしまえば、追加の層を形成して装置100を完成させることができる。例えば、光吸収層の結合パートナーとして窓層が一般的に使用される。例として、この結合パートナー層は硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)またはセレン化亜鉛(ZnSe)、あるいはこれらの2つ以上の組合せを含んでいてよい。これらの材料の層を、例えば、化学浴析出法、化学的表面蒸着法、またはスプレー熱分解によって蒸着し、約50nm〜約100nmの厚さとすることができる。さらに、透明電極(例えば伝導性の酸化被膜)を、スパッタリング、蒸着、CVD、ALD、電気化学的原子層エピタキシーなどによって窓層の上に形成してもよい。
【0021】
本発明の実施形態は、アルミニウム基板上に蒸着または形成された初期のCIGS光吸収層の急速熱処理による、先行技術に関連する不都合な点を克服するものである。アルミニウム基板は従来の基板よりはるかに安価で軽量である。したがって、アルミニウム基板を用いる太陽電池は、従来のシリコン系太陽電池と比較すると、生成される電気1ワット当たりのコストが低く、かつエネルギー回収期間をはるかに短くすることができる。更に、アルミニウム基板は、太陽電池製造時の生産性の高いロールツーロール式の印刷を可能にし、かつ太陽電池モジュールおよび太陽電池システムの設置の際により速くより容易な設置プロセスを可能にする、可撓性の高い形態要素を可能にするものである。
【0022】
本発明の実施形態は、アルミニウム基板上の軽量かつ安価な光起電力装置の製造を可能にする。初期の光吸収層106のフラッシュ加熱/急速熱処理は、アルミニウム箔基板102を損傷または破壊することなく、適切なアニール処理およびVIA族元素の組み込みを可能にする。安定した温度範囲は、アルミニウム箔基板を損傷または破壊しないようにアルミニウムの融点(約660℃)よりも十分に低い。アルミニウム箔基板の使用により、光起電力装置(例えば太陽電池)の材料費を、当該基板上に該装置を作製して1ワット当たりのコストを低減することで大幅に低減することができる。規模の経済性は、アルミニウム箔基板をロールツーロール方式で処理し、一連の蒸着アニール処理工程およびその他の処理工程を経るにつれて該基板上に光起電力装置の様々な層をも構築することにより達成可能である。
【0023】
上記のものは本発明の好ましい実施形態を十分に説明するものであるが、様々な代替物、改良物および等価物を使用することが可能である。したがって、本発明の範囲は上記の説明に関して決定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲とその等価物の十分な範囲を加えて決定されるべきである。特許請求の範囲において、不定冠詞「1つの(AまたはAn」は、別途明らかに指定されていない限り、該不定冠詞に続くものについて1以上の量を意味する。特許請求の範囲は、「〜のための手段」という語句を使用してある請求項において明示的に制限が与えられていない限り、手段+機能の制限を含んでいると解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態による光吸収層の製造を例証する断面概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光起電力装置の光吸収層を形成する方法であって、アルミニウム箔基板上に、1以上のIB族の元素および1以上のIIIA族の元素を含有する初期の光吸収層を形成する工程を含む方法。
【請求項2】
初期の光吸収層を形成する工程が、ナノ粒子前駆物質の溶液から初期の光吸収層を蒸着することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
初期の光吸収層または基板のうち少なくともいずれか一方を、周囲温度から約200℃〜約600℃の安定した温度範囲まで急速に加熱する工程と、
前記光吸収層または基板のうち少なくともいずれか一方を、前記安定した温度範囲に約2分間〜約30分間維持する工程と、
前記光吸収層または基板のうち少なくともいずれか一方の温度を低下させる工程と
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
初期の光吸収層または基板のうち少なくともいずれか一方を急速に加熱する工程が、前記光吸収層または基板のうち少なくともいずれか一方の温度を約5℃/秒〜約150℃/秒の速度で上昇させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
初期の光吸収層または基板のうち少なくともいずれか一方を急速に加熱する工程の前または同工程の間に、1以上のVIA族の元素を初期の光吸収層に組み込む工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
1以上のVIA族の元素はセレンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
1以上のVIA族の元素は硫黄を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
初期の光吸収層または基板のうち少なくともいずれか一方を急速に加熱する工程が、前記光吸収層または基板のうち少なくともいずれか一方を放射熱により加熱することにより行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
放射熱による加熱が1以上の赤外線ランプにより行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
初期の光吸収層を形成する工程および該光吸収層を急速に加熱する工程は、基板をロールツーロール式で加工しながら行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
初期の光吸収層または基板のうち少なくともいずれか一方を急速に加熱する工程の後で、1以上のVIA族の元素を初期の光吸収層に組み込む工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
モリブデンの層とアルミニウム基板との間に中間層を組み込む工程をさらに含み、該中間層は加熱時のモリブデンとアルミニウムとの相互拡散を防止する、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
中間層は、クロム、バナジウム、タングステン、ガラス、および/または窒化物、タンタル窒化物、タングステン窒化物、および窒化ケイ素、酸化物、あるいは炭化物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
初期の光吸収層を形成する工程が、基板上に、IB族およびIIIA族の元素を含有す
るインクのフィルムを蒸着することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
アルミニウム基板と初期の光吸収層との間にモリブデンの層を配置する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
アルミニウム箔基板、および
アルミニウム箔基板上に配置された、1以上のIB族の元素と、1以上のIIIA族の元素と、1以上のVIA族の元素とを含有する光吸収層
を含んでなる光起電力装置。
【請求項17】
光起電力装置の光吸収層を形成する方法であって、金属化したポリマー箔基板上に、1以上のIB族の元素および1以上のIIIA族の元素を含有する初期の光吸収層を形成する工程を含む方法。
【請求項18】
前記箔基板は、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、およびこれらの組合せからなる群から選択されるポリマーである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ポリマー箔基板の金属化に用いられる金属は、アルミニウムまたはアルミニウムと1以上の金属との合金である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
金属化されたポリマー箔基板、および
前記金属化された箔基板上に配置された、1以上のIB族の元素と、1以上のIIIA族の元素と、1以上のVIA族の元素とを含有する光吸収層
を含んでなる光起電力装置。

【図1】
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【公表番号】特表2008−514006(P2008−514006A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532382(P2007−532382)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/032151
【国際公開番号】WO2006/033858
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(506150021)ナノソーラー インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】NANOSOLAR,INC.
【Fターム(参考)】