説明

管を曲げ加工するための装置および方法

本発明は、管を曲げ加工するための装置および方法であって、管(2)を長手方向に連続的に送る、該管(2)のための送り装置(4)と、送り方向に配置された、管(2)の所定の領域を加熱するための加熱装置(5)と、管(2)のための保持装置(6)を備えた、回動軸線(D)を中心として旋回可能な曲げ加工アーム(7)とが設けられており、管(2)が、保持装置(6)内に解離可能に位置固定可能である形式のものに関する。それぞれ異なる曲げ加工方向への管の曲げ加工が可能となる、管を曲げ加工するための装置および方法を提供するためには、送り装置(4)と曲げ加工アーム(7)とが、互いに相対的に運動可能であり、これによって、送り装置(4)と曲げ加工アーム(7)の回動軸線(D)とが、互いに擦違い可能であることが提案されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形横断面を備えた管を曲げ加工するための装置であって、管を長手方向に連続的に送る、該管のための送り装置が設けられており、管のための保持装置を備えた、回動軸線を中心として旋回可能な曲げ加工アームが設けられており、管が、保持装置内に解離可能に位置固定可能であり、送り装置と曲げ加工アームとが、互いに相対的に運動可能であり、これによって、送り装置と曲げ加工アームの回動軸線とが、互いに擦違い可能であり、送り方向に配置された、管の所定の領域を加熱するための、一般的に誘導式の加熱装置が設けられている形式のものに関する。
【0002】
さらに、本発明は、円形横断面を備えた管を曲げ加工するための装置に用いられる曲げ加工アームであって、回動軸線を中心として旋回可能な旋回アームが設けられており、該アームに配置された、管を曲げ加工アームに位置固定するための少なくとも1つの保持装置が設けられている形式のものに関する。
【0003】
さらに、本発明は、円形横断面を備えた管を曲げ加工するための方法に関する。
【0004】
このような形式の曲げ加工装置は、数年来、公知先行技術において公知であり、種々様々に記載されている。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第2112019号明細書には、たとえば管を曲げ加工するための誘導式曲げ加工機が示されている。この誘導式曲げ加工機では、曲げ加工したい管を挟み込む送り装置が、長手方向に作用する力を管に加える。この管の運動方向で送り装置に続いて、管の所定の領域を加熱するための加熱装置が設けられている。管の前方の端部は曲げ加工アームに回動なしに保持装置によって固定されている。曲げ加工アームは回動軸を中心として旋回可能である。この場合、この回動軸は回動ピンによってフレームに枢着されている。管を曲げ加工するためには、この管が送り装置によって送られる。この場合、管が加熱装置を通して押し進められる。この加熱装置は、管の、曲げ加工モーメントが作用する領域を加熱する。曲げ加工アームに設けられた保持装置への管の位置固定によって、曲げ加工アームの旋回運動により、この曲げ加工アームに位置固定された管に対する円形の強制案内が設定されており、これによって、管が円形の軌道で曲げ加工される。加熱装置は僅かに移動可能であり、これによって、曲げ半径の偏差がある場合に加熱装置の運動によって僅かな補正が可能となる。加熱装置の移動に対して択一的もしくは補足的には、曲げ加工したい管の、曲げ加工されていない部分に対して平行な曲げ加工アームの回動軸の移動も提案されている。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許第2546695号明細書には、たとえば管を曲げ加工するための装置が示されている。この装置では、管が第1の端部で送り装置内に配置されていて、この送り装置によって送られる。管の長手方向では、送り装置に加熱装置が後置されている。この加熱装置は電気的な誘導加熱コイルを有している。この誘導加熱コイルには、冷却装置が後置されている。管の前方の端部は回動モーメント発生装置内に位置固定されている。この回動モーメント発生装置は緊締装置を有している。この緊締装置内には、管の前方の端部が位置固定されている。緊締装置は回動可能に横方向キャリッジに支承されている。この場合、この横方向キャリッジは長手方向キャリッジ内でローラによって走行可能である。この長手方向キャリッジもやはりローラによって、曲げ加工されていない管の延びに対して長手方向に延びる2つの長手方向レールで走行可能である。管を曲げ加工するためには、曲げ加工モーメントが緊締装置によって管に加えられる。この場合、緊締装置を回動させるための駆動装置と、長手方向キャリッジと横方向キャリッジとを運動させるための別の駆動装置とがスイッチオンされる。送りのための駆動装置の相互調整と、緊締装置の回動とによって、管の曲げ加工が達成される。しかし、このような形式の曲げ加工装置では、曲げ加工が、管に対する一方の湾曲方向、たとえば左方湾曲しか可能とならないことに限定されているという事実が不利である。
【0007】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3151236号明細書には、管のための誘導式曲げ加工装置が示されている。この誘導式曲げ加工装置では、管の一方の端部が、送り装置内に挟み込まれており、管の他方の端部が、曲げ加工アームに設けられた保持装置内に位置固定されている。管は加熱装置を通って延びている。保持装置は1つの軸線を中心として回動可能に設けられていて、曲げ加工アームにおいて管方向に対して横方向に移動可能である。管を曲げ加工するためには、送り装置が駆動装置によって駆動され、管を送る。この場合、この管が加熱装置によって加熱される。曲げ加工アームが、設定された旋回運動を実施する。この場合、曲げ加工アームに設けられた保持装置が移動可能であると同時に回動可能であり、これによって、管曲げ加工に対するそれぞれ異なる半径が達成される。このような形式の管曲げ加工機では、確かに、それぞれ異なる半径と、それぞれ異なる曲率とを備えた管の曲げ加工が可能となり、これによって、たとえば管の曲げ加工に対して、増加する曲率または減少する曲率が可能となるが、しかし、この曲げ加工装置によっても、それぞれ異なる曲げ加工方向への管の曲げ加工が不可能となるという事実が不利である。
【0008】
したがって、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の装置および方法を改良して、連続的にそれぞれ異なる曲げ加工方向への管の曲げ加工が可能となるようにすることである。
【0009】
この課題を解決するために本発明の装置では、保持装置が、少なくとも第1の位置固定位置および第2の位置固定位置で曲げ加工アームに位置固定可能であり、保持装置の第1の位置固定位置および第2の位置固定位置が、曲げ加工アームの、長手方向に延びる中心軸線に対して互いに反対の側に設けられているようにした。
【0010】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、送り装置が、高さ調節可能に設けられている。
【0011】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、曲げ加工アームが、高さ調節可能に設けられている。
【0012】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、送り装置が、少なくとも第1の送り位置から第2の送り位置に移動可能である。
【0013】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、送り装置のための変位手段が設けられている。
【0014】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、第1の送り位置と第2の送り位置とが、曲げ加工アームの回動軸線と、曲げ加工されていない管に対して平行に延びかつ回動軸線に交差する直線とによって展開された平面の互いに異なる側に設けられている。
【0015】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、送り位置の第1の送り位置と第2の送り位置とが、曲げ加工アームの回動軸線に対して同じ間隔を有している。
【0016】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、送り位置の送り位置において、加熱装置が、曲げ加工アームの回動軸線と共に一直線に配置されている。
【0017】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、送り装置に対して複数の送り位置が設けられている。
【0018】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、曲げ加工アームが、少なくとも第1の曲げ加工位置から第2の曲げ加工位置に移動可能である。
【0019】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、曲げ加工アームのための変位手段が設けられている。
【0020】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、曲げ加工アームの曲げ加工位置において、加熱装置が、曲げ加工アームの回動軸線と共に一直線に配置されている。
【0021】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、曲げ加工アームに対して複数の曲げ加工位置が設けられている。
【0022】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、送り装置が、管の長手延び方向に対して横方向に運動可能である。
【0023】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、送り装置が、管の長手延び方向に運動可能である。
【0024】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、曲げ加工アームが、少なくとも180゜の旋回範囲を有している。
【0025】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、送り装置が、少なくとも1つの支持エレメントを有している。
【0026】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、送り装置が、2つの支持エレメントを有しており、両支持エレメントが、管の、互いに反対の側に設けられている。
【0027】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、保持装置が、曲げ加工アームに解離可能に位置固定可能である。
【0028】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、第1の位置固定位置と第2の位置固定位置とが、曲げ加工アームの中心軸線に対して鏡像対称的に設けられている。
【0029】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、保持装置が、曲げ加工アームから取外し可能である。
【0030】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、保持装置が、曲げ加工アームに移動可能に配置されており、該曲げ加工アームが、保持装置に対するガイドを有している。
【0031】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、曲げ加工アームの回動軸線が、曲げ加工アームの中心軸線に配置されている。
【0032】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、加熱アッセンブリが、管を取り囲む少なくとも1つの誘導加熱リングを有している。
【0033】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、加熱装置が、送り装置に配置されている。
【0034】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、加熱装置が、管に沿って可動である。
【0035】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、加熱装置に冷却ユニットが対応配置されている。
【0036】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、送り装置と、曲げ加工アームと、加熱装置とが、制御ユニットに接続されている。
【0037】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、加熱装置に、制御ユニットに接続された温度センサが対応配置されている。
【0038】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、管の肉厚コントロールのためのセンサが、制御ユニットに接続されている。
【0039】
本発明の装置の有利な実施態様によれば、管の曲げ加工量および/またはねじりモーメントを監視するためのセンサが、制御ユニットに接続されている。
【0040】
さらに、前記課題を解決するために本発明の曲げ加工アームでは、保持装置が、少なくとも第1の位置固定位置および第2の位置固定位置で旋回アームに位置固定可能であり、保持装置の第1の位置固定位置および第2の位置固定位置が、旋回アームの、長手方向に延びる中心軸線に対して互いに反対の側に設けられているようにした。
【0041】
本発明の曲げ加工アームの有利な実施態様によれば、第1の位置固定位置と第2の位置固定位置とが、旋回アームの中心軸線に対して鏡像対称的に設けられている。
【0042】
本発明の曲げ加工アームの有利な実施態様によれば、曲げ加工アームの回動軸線が、旋回アームの中心軸線に配置されている。
【0043】
本発明の曲げ加工アームの有利な実施態様によれば、保持装置が、旋回アームから90゜の角度を成して上方に延びている。
【0044】
本発明の曲げ加工アームの有利な実施態様によれば、保持装置が、ピンによって旋回アームに位置固定可能である。
【0045】
本発明の曲げ加工アームの有利な実施態様によれば、少なくとも1つの保持装置が、キャリッジで旋回アームの長手方向に移動可能である。
【0046】
本発明の曲げ加工アームの有利な実施態様によれば、少なくとも1つの保持装置が、キャリッジで旋回アームの長手延び方向に対して横方向に移動可能である。
【0047】
さらに、前記課題を解決するために本発明の方法では、管を長手方向に送る、該管のための送り装置が設けられており、管の所定の領域を加熱するための加熱装置が設けられており、管のための保持装置を備えた、回動軸線を中心として旋回可能に配置された曲げ加工アームが設けられており、管が、保持装置内に解離可能に位置固定可能であり、第1のステップにおいて、管を第1の方向に曲げ加工し、その後、保持装置から曲げ加工アームの第1の位置固定位置から解離し、第2のステップにおいて、送り装置と曲げ加工アームとを互いに相対的に運動させ、これによって、送り装置と曲げ加工アームの回動軸線とを互いに擦れ違わせ、その後、管を保持装置に曲げ加工アームにおける第2の位置固定位置で位置固定し、保持装置の第1の位置固定位置および第2の位置固定位置が、旋回アームの、長手方向に延びる中心軸線に対して互いに反対の側に設けられており、第3のステップにおいて、管を第2の方向に曲げ加工するようにした。
【0048】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、送り装置のための変位手段が設けられており、該変位手段が、送り装置を曲げ加工アームの回動軸線と擦れ違わせる。
【0049】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、送り装置を変位手段によって第1の送り位置から第2の送り位置にもたらす。
【0050】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、送り装置に対する多数の送り位置が設けられている。
【0051】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、送り装置の送り位置において、加熱装置と曲げ加工アームの回動軸線とを一直線に配置する。
【0052】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、曲げ加工アームのための変位手段が設けられており、該変位手段が、曲げ加工アームを変位させ、これによって、曲げ加工アームの回動軸線を送り装置と擦れ違わせる。
【0053】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、曲げ加工アームを変位手段によって少なくとも第1の曲げ加工位置から第2の曲げ加工位置にもたらす。
【0054】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、曲げ加工アームの曲げ加工位置において、加熱装置と曲げ加工アームの回動軸線とを一直線に配置する。
【0055】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、曲げ加工アームに対する多数の曲げ加工位置が設けられている。
【0056】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、保持装置を曲げ加工アームにおける第1の位置固定位置から第2の位置固定位置にもたらす。
【0057】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、管を送り装置によって保持装置から取り外し、該保持装置内に挿入する。
【0058】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、加熱装置を管に沿って運動させる。
【0059】
前記課題は、管を曲げ加工するための装置であって、
−管を長手方向に連続的に送る、この管のための送り装置が設けられており、
−管のための保持装置を備えた、回動軸線を中心として旋回可能な曲げ加工アームが設けられており、管が、保持装置内に解離可能に位置固定可能であり、送り装置と曲げ加工アームとが、互いに相対的に運動可能であり、これによって、送り装置と曲げ加工アームの回動軸線とが、互いに擦違い可能であり、
−送り方向に配置された、管の所定の領域を加熱するための加熱装置が設けられている形式のものにおいて、
−保持装置が、少なくとも第1の位置固定位置および第2の位置固定位置で曲げ加工アームに位置固定可能であり、
−保持装置の第1の位置固定位置および第2の位置固定位置が、曲げ加工アームの、長手方向に延びる中心軸線に対して互いに反対の側に設けられていることを特徴とする、管を曲げ加工するための装置ならびに上述した形式の装置によって管を曲げ加工するための方法において、
−第1のステップにおいて、管を第1の方向に曲げ加工し、その後、保持装置から曲げ加工アームの第1の位置固定位置から解離し、
−第2のステップにおいて、送り装置と曲げ加工アームとを互いに相対的に運動させ、これによって、送り装置と曲げ加工アームの回動軸線とを互いに擦れ違わせ、その後、管を保持装置に曲げ加工アームにおける第2の位置固定位置で位置固定し、保持装置の第1の位置固定位置および第2の位置固定位置が、旋回アームの、長手方向に延びる中心軸線に対して互いに反対の側に設けられており、
−第3のステップにおいて、管を第2の方向に曲げ加工することを特徴とする、管を曲げ加工するための方法によって解決される。
【0060】
送り装置と曲げ加工アームとを有しており、この場合、管が送り装置によって送られ、曲げ加工アームにおいて保持装置内に位置固定されている曲げ加工装置では、管の所定の領域が加熱装置によって加熱される。曲げ加工アームに対する管の位置固定によって、送り装置による管の送りの間、強制案内が達成される。この場合、この強制案内は、第1の方向への回動軸線を中心とした曲げ加工アームの旋回運動によって付与されている。これによって、管の、加熱装置によって加熱された領域で曲げ加工モーメントが管に加えられる。この場合、送り装置は回動軸線の第1の側に配置されている。この場合、この側は曲げ加工アームの旋回運動の方向によって規定されている。これによって、第1の方向への管の曲げ加工可能性、たとえば左方向への管に対する円弧が付与されている。いま、引き続き、別の方向、たとえば右方向への曲げ加工を可能にし、ひいては、たとえばS字形の管形状を形成することができるようにするためには、曲げ加工アームが別の方向への旋回運動を実施しなければならない。この場合、送り装置内に配置された管が回動軸線の他方の側に設けられている。このためには、送り装置と曲げ加工アームとが互いに相対的に運動可能である。これによって、曲げ加工アームが管の曲げ加工時に別の旋回方向に旋回させられるように、送り装置と曲げ加工アームとが互いに方向付けられており、これによって、管に対して同じ送り方向で側方の逆方向への強制案内が付与されていることが可能となる。送り装置による管の送り時の曲げ加工アームの逆方向への管の旋回運動は、送り装置と曲げ加工アームの回動軸線とが逆の配置で設けられている、すなわち、送り装置と曲げ加工アームの回動軸線とが互いに擦違い可能である場合に達成される。これによって、第2の方向への管の曲げ加工が可能となる。
【0061】
装置の有利な構成では、送り装置または曲げ加工アームまたは送り装置および曲げ加工アームに対して、送り装置と曲げ加工アームとが高さ調節可能であることが提案されている。
【0062】
送り装置と曲げ加工アームの回動軸線との相互の擦違いは、有利には、回動軸線と、曲げ加工されていない管に対して平行に延びかつ回動軸線に交差する直線とによって展開される平面に関連している。いま、送り装置と曲げ加工アームの回動軸線とが互いに擦れ違い、これによって、送り装置が平面ひいては回動軸線に対して互いに異なる側に、それぞれ異なる方向への管の曲げ加工のために配置されている。
【0063】
曲げ加工アームは、有利には旋回アームを有している。この旋回アームには、保持装置が配置されている。この保持装置は、有利には旋回アームから約90°の角度を成して旋回アームから上方に、すなわち、回動軸線の方向に延びている。この場合、保持装置の高さは、管を確実に保持装置内に位置固定することができるようにするために、曲げ加工したい管の直径によって規定されている。それぞれ異なる直径の管を曲げ加工することができるようにするためには、曲げ加工アームと送り装置とが互いに、有利には高さに関して、すなわち、回動軸線の方向に互いに運動可能である。さらに、これによって、送り装置と回動軸線とが確実にかつ簡単に互いに擦れ違うことが達成される。擦違いのためには、送り装置および/または曲げ加工アームが高さ調節され、これによって、送り装置が、そこに配置された管と共に保持装置の上方に設けられており、送り装置と回動軸線とが互いに擦れ違う。
【0064】
有利な構成では、送り装置が少なくとも第1の送り位置から第2の送り位置に移動可能である。この場合、第1の送り位置は回動軸線の一方の側に設けられており、第2の送り位置は回動軸線の逆の側に設けられている。これによって、送り装置を回動軸線の両側で各送り位置に配置することができ、これによって、第1の送り位置での管の送り時に、第1の方向への曲げ加工アームの旋回運動による管の強制案内が付与されており、第2の送り位置での管の送り時に、別の方向への曲げ加工アームの旋回運動による管の強制案内が付与されていることが達成されている。これによって、管の曲げ加工が、まず左方向に確保されていて、さらに、引き続き右方向にも確保されている。
【0065】
第1の送り位置と第2の送り位置とは、有利には、回動軸線と、曲げ加工されていない管に対して平行に延びかつ回動軸線に交差する直線とによって展開された平面の互いに異なる側に設けられている。これは、送り装置が平面の一方の側から平面の他方の側にもたらされ、これによって、送り装置が回動軸線と擦れ違うことを意味している。この平面によって、送り装置を回動軸線の他方の側に配置するために、送り装置がどの程度十分にガイドされなければならないのかが規定され、これによって、第1の送り位置で曲げ加工アームの第1の旋回方向への管の強制案内が付与されており、第2の送り位置で曲げ加工アームの別の旋回方向への管の強制案内が付与されている。これによって、第1の曲げ加工方向と第2の曲げ加工方向とへの管の曲げ加工が十分に可能となる。
【0066】
有利には、送り装置の第1の送り位置と第2の送り位置とが、曲げ加工アームの回動軸線もしくは展開された平面に対してほぼ同じ間隔を置いて配置されている。回動軸線に対する送り装置の間隔と、曲げ加工アームへの保持装置の配置とによって、管に対する曲げ半径が付与されているかもしくは管に対する曲げ半径が、回動軸線から、送り装置内に配置された管の中点までの区間によって規定されている。しかし、管の配置は、送り装置の各送り位置によって直接付与されている。いま、送り装置に対する両送り位置が曲げ加工アームの回動軸線に対して同じ間隔を有しており、この場合、両送り位置が回動軸線の互いに異なる側に配置されている場合には、第1の曲げ加工方向と第2の曲げ加工方向とへの管に対する同一の曲げ半径が付与されていることが確保される。
【0067】
当然ながら、両送り位置が、回動軸線に対して互いに異なる間隔を有していてもよく、これによって、第1の曲げ加工方向に管が第1の半径を備えて曲げ加工され、逆の第2の方向に管が第2の半径を備えて曲げ加工される。
【0068】
管を所定の領域で加熱する加熱装置は、送り装置の送り位置で、有利には、曲げ加工アームの回動軸線と共に一直線に配置されている。これによって、各送り位置において、加熱された領域で曲げ加工モーメントが管に作用することが達成される。
【0069】
送り装置に対して、有利には複数の送り位置が設けられている。これらの送り位置に送り装置が位置固定される。送り装置に対する複数の送り位置によって、曲げ加工アームの回動軸線に対する、曲げ加工されていない管の間隔が調整可能となることが達成される。この場合、この間隔が管に対する曲げ半径を規定している。これによって、管の曲げ加工に対して、それぞれ異なる半径が付与されていることが達成される。これによって、曲げ方向だけでなく、曲げ半径でも、1つの管に対するそれぞれ異なる曲げ加工が可能となる。したがって、左曲げ加工方向だけでなく、右曲げ加工方向にも、それぞれ異なる曲げ半径を実現することができる。これによって、1つの管に対するあらゆる任意の曲げ加工が達成される。
【0070】
当然ながら、送り装置を連続的に変位させることができ、これによって、送り装置を曲げ加工アームに対する所望のあらゆる位置にもたらすことができることが提案されていてもよい。
【0071】
別の有利な構成では、曲げ加工アームが、少なくとも第1の曲げ加工位置から第2の曲げ加工位置に移動可能である。この場合、第1の曲げ加工位置は送り装置の一方の側に設けられており、第2の曲げ加工位置は送り装置の他方の側に設けられている。これは、回動軸線と、曲げ加工されていない管に対して平行に延びかつ回動軸線と交差する直線とによって展開される平面が運動させられ、送り装置と擦れ違うことを意味している。これによって、送り装置と曲げ加工アームの回動軸線とが互いに擦れ違うことが達成される。この場合、第1の曲げ加工位置では、管の送り時に第1の曲げ加工方向への曲げ加工アームの旋回運動による強制案内が付与されており、第2の曲げ加工位置では、第2の曲げ加工方向への曲げ加工アームの、逆方向に向けられた旋回運動による強制案内が付与されているように、曲げ加工アームが送り装置に対して方向付けられている。これによって、まず、左方向への管の曲げ加工が確保され、引き続き、右方向への管の曲げ加工が確保される。
【0072】
当然ながら、送り装置だけでなく、回動軸線を備えた曲げ加工アームも運動可能であり、これによって、送り装置と曲げ加工アームとの同時の運動によって、回動軸線と送り装置とが互いに擦れ違うことが提案されていてもよい。
【0073】
有利には、曲げ加工アームに対して複数の曲げ加工位置が設けられている。これらの曲げ加工位置によって、それぞれ異なる曲げ半径および曲げ加工方向が管に対して付与されている。曲げ加工アームに対する複数の曲げ加工位置によって、曲げ加工アームの回動軸線に対する、曲げ加工されていない管の間隔が調整可能となることが達成され、これによって、それぞれ異なる半径が管の曲げ加工に対して設定されている。これによって、種々異なる曲げ加工が1つの管に対して曲げ加工方向だけでなく曲げ半径においても可能となる。したがって、左曲げ加工方向だけでなく、右曲げ加工方向にも、それぞれ異なる曲げ半径を実現することができる。これによって、あらゆる任意の曲げ加工が1つの管に対して達成される。
【0074】
加熱装置は曲げ加工アームの各曲げ加工位置において、有利には曲げ加工アームの回動軸線と共に一直線に配置されており、これによって、管を曲げ加工するために、曲げ加工モーメントが、管の、加熱された領域に作用する。
【0075】
有利には、変位手段が設けられている。この場合、この変位手段は複数の構成を有している。1つには、変位手段が送り装置を変位させるために設けられており、これによって、この送り装置が変位手段によって第1の送り位置から第2の送り位置にもたらされる。択一的または補足的には、変位手段が曲げ加工アームを変位させるために設けられていてよく、これによって、この曲げ加工アームが変位手段によって第1の曲げ加工位置から第2の曲げ加工位置にもたらされる。
【0076】
当然ながら、変位手段は送り装置だけでなく曲げ加工アームに対しても設けられていてよい。変位手段は、有利には滑動用レールを有している。この滑動用レールで送り装置および/または曲げ加工アームが変位させられる。これによって、送り装置と曲げ加工アームとの間の角度が不変となるように、送り装置および/または曲げ加工アームが互いに変位させられ、これによって、変位後、送り装置内に配置された管が再び曲げ加工アームに嵌合正確に位置固定され、別の方向に曲げ加工されることが達成されている。
【0077】
送り装置の、有利には連続的な変位は、変位手段によって達成される。この変位手段は、たとえばローラを有している。このローラは滑動用レールに滑動するように配置されている。送り装置を所望の送り位置に位置固定するためには、相応の位置固定手段が設けられている。当然ながら、変位手段が、あらゆる別の形式の変位手段、たとえば相応の切欠き内に配置されたローラを有していてもよい。変位手段は、有利には電気的なまたはハイドロリック的な駆動装置を有している。
【0078】
別の有利な構成では、送り装置が管の長手延び方向に対して横方向に運動可能である。これによって、送り装置を個々の送り位置から別の送り位置にもたらすことができ、これによって、送り装置が曲げ加工アームの回動軸線と擦れ違うことが確保される。さらに、一方の位置固定位置から他方の位置固定位置への送り装置の移動の横方向によって、送り装置が移動時に引っ掛けられることが回避される。これは、送り装置が曲げ加工アームに対して同じ方向付けを有していることを意味している。出発位置では、旋回させられていない曲げ加工アームと、送り装置もしくは曲げ加工されていない管とが、たとえば互いに90゜の角度を有している。送り装置は、一方の位置固定位置から他方の位置固定位置に横方向にしか移動させられないので、旋回させられていない曲げ加工アームと、曲げ加工されていない管との間のこの直角の方向付けが、送り装置の各送り位置で保証されている。これによって、各送り位置において、出発位置が正確に付与されており、管の曲げ加工時の精度が右方向にも左方向にも確保されている。
【0079】
別の領域での左方向ならびに右方向への管の曲げ加工を可能にする、特に管に対する小さな曲げ半径および/または大きな曲げ半径を可能にするためには、曲げ加工アームが少なくとも180゜の旋回範囲を有している。
【0080】
曲げ加工アームと送り装置とによる特に大きな管の曲げ加工時には、相応に大きな曲げ加工モーメントが、各管の、加熱された領域に加えられなければならない。各力によって反力が発生させられるので、この反力が補償されなければならない。管に作用する曲げ加工モーメントによって、送り装置内に配置された管に、相応の反力が作用する。この場合、この反力は、送り装置内の管が旋回運動に対して逆方向に押圧されるように方向付けられている。この力を補償するためには、送り装置が支持エレメントを有している。
【0081】
互いに異なる2つの曲げ加工方向への管の曲げ加工時には、この曲げ加工によって付与される曲げ加工モーメントが、曲げ加工方向に応じて、加熱された領域に互いに異なる形式で作用する。しかし、これによって、付与された反力も互いに異なる方向に方向付けられている。いま、左方向への曲げ加工時にも、右方向への曲げ加工時にも、管における反力が相応に送り装置内で補償されることを達成するためには、送り装置が、有利には2つの支持エレメントを有している。この場合、両支持エレメントは、曲げ加工されていない管の互いに反対の側に配置されている。
【0082】
保持装置は、本発明によれば解離可能に曲げ加工アームに位置固定可能である。この場合、管のための保持装置は、少なくとも第1の位置固定位置および第2の位置固定位置で曲げ加工アームに位置固定可能である。両位置固定位置は、旋回アームの、長手方向に延びる中心軸線の互いに逆側に配置されている。
【0083】
本発明の別の構成では、第1の位置固定位置と第2の位置固定位置とが、曲げ加工アーム(7)の中心軸線(M)に対して鏡像対称的に配置されていることが提案される。
【0084】
管の曲げ加工時には、加熱装置が曲げ加工アームの回動軸線と共に一直線に配置されており、これによって、管の送り時にかつ曲げ加工アームの旋回運動時に曲げ加工モーメントが、加熱された領域で管に作用する。このためには、加熱装置が、管のための送り装置と保持装置との間で曲げ加工アームに配置されている。この曲げ加工アームの第1の旋回方向への管の曲げ加工を可能にするためには、保持装置に対する第1の位置固定位置が、曲げ加工アームの背後の側、すなわち、曲げ加工されていない管に対して垂直な直線の反対の側に配置されている。この場合、加熱装置は回動軸線と共にこの直線に配置されていると同時に保持装置の前方に配置されている。別の方向への管の曲げ加工時には、曲げ加工アームが別の方向に旋回させられる。いま、加熱装置が、回動軸線と共に直線に配置されているだけでなく、送り装置に対して保持装置の前方で曲げ加工アームにも配置されていることを達成するためには、保持装置が第2の位置固定位置に位置固定されている。この場合、この第2の位置固定位置は、回動軸線を備えた直線の他方の側に設けられている。曲げ加工アームにおける保持装置に対する位置固定位置は、曲げ加工アームの中心軸線に対して互いに反対の側に設けられている。この場合、加熱装置と曲げ加工アームの回動軸線とは、有利には曲げ加工アームの中心軸線に設けられている。これによって、第1の位置固定位置だけでなく、第2の位置固定位置でも、加熱装置が回動軸線と共に一直線に位置しており、これによって、管の左曲げ加工時だけでなく、管の右曲げ加工時にも、曲げ加工モーメントが、管の、加熱された領域に作用し、管の確実な曲げ加工が可能となることが確保されている。
【0085】
有利には、曲げ加工アームがガイドを有している。このガイドで保持装置が第1の位置固定位置から第2の位置固定位置に押し進められる。これによって、第1の位置固定位置から第2の位置固定位置への保持装置の移動が容易になり、曲げ加工アームに対する保持装置の位置決めが、管を曲げ加工するための各位置固定位置に対して付与されており、管が確実に保持装置内に両位置固定位置で位置固定されることが確保される。保持装置のためのガイドは、有利にはローラまたは滑動エレメントまたはこれに類するものを有している。
【0086】
曲げ加工アームの1つの構成では、第1の位置固定位置と第2の位置固定位置とが、旋回アーム(37)の中心軸線(M)に対して鏡像対称的に設けられる。
【0087】
保持装置が確実に曲げ加工アームに位置固定されていることを保証するためには、この保持装置が、有利にはピンによって曲げ加工アームに固定される。ピンを設けることは、保持装置を簡単にピンの解離によって再び解離することができ、これによって、保持装置が他方の位置固定位置にもたらされるという更なる利点を提供する。当然ながら、保持装置は、解離可能なあらゆる別の固定手段、たとえばねじまたはこれに類するものによって曲げ加工アームに配置されてもよい。
【0088】
有利な構成では、保持装置が曲げ加工アームから取外し可能である。この場合、保持装置は、たとえばクレーンまたはこれに類するものによって曲げ加工アームから取り外される。これは、送り装置と回動軸線とが簡単に互いに擦れ違うことができるという利点を提供する。なぜならば、曲げ加工アームから上向きに延びる保持装置が、もはや送り装置と曲げ加工アームとの間の経路に配置されていないからである。送り装置内に配置された管と、曲げ加工アームの旋回アームとは、それぞれ異なるレベルに配置されているので、送り装置または曲げ加工アームの高さ調節が必要となることなしに、管と旋回アームとが互いに擦れ違うことができる。
【0089】
加熱アッセンブリは、有利には、管を取り囲む誘導加熱リングを有している。これによって、管の小さな領域しか加熱されないことが確保されている。この場合、この小さな領域は、管の、曲げ加工のための曲げ加工モーメントが作用する領域である。加熱装置には、有利には冷却ユニットが後置されており、これによって、曲げ加工モーメントが、加熱された領域に作用しかつ管が曲げ加工された後、この管が迅速に再び冷却され、これによって、管の、すでに曲げ加工された領域での望ましくない更なる曲がりが回避されることが確保される。
【0090】
曲げ加工方向を変化させるために、送り装置と曲げ加工アームとが互いに擦れ違う場合には、送り装置の第2の送り位置もしくは曲げ加工アームの第2の曲げ加工位置において、加熱装置が回動軸線と共に一直線に位置するように、加熱装置と、送り装置と、曲げ加工アームとが再び互いに配置されなければならない。いま、加熱装置が、有利には送り装置に配置されている場合には、送り装置に対する加熱装置の方向付けが不要となり、この加熱装置が回動軸線と共に一直線に位置するように、曲げ加工アームおよび送り装置しか互いに方向付けられていないことによって、構成部材の配置が簡単になる。
【0091】
さらに、送り装置への加熱装置の配置は、曲げ加工方向の変更時に管が加熱装置から取り外される必要がないという利点を提供する。この場合、管は、曲げ加工アームに設けられた保持装置から簡単に解離され、これによって、もはや送り装置と曲げ加工アームとの間に接続部が存在しておらず、これによって、曲げ加工アームを第2の曲げ加工位置にもたらすことができるかまたは送り装置を第2の送り位置にもたらすことができる。当然ながら、加熱装置は別個に設けられていてもよい。
【0092】
送り装置と、曲げ加工アームと、加熱装置とは、有利には制御ユニットに接続されている。この制御ユニットによって、送り装置と、曲げ加工アームと、加熱装置との運動を互いに調整することができるかもしくは互いに調和させることができることが可能となり、これによって、制御ユニットにより、管を曲げ加工するための設定された曲げ加工パターンが達成されている。
【0093】
有利には、曲げ加工過程を監視するためのセンサユニットが設けられている。このためには、このセンサユニットが複数のセンサを有している。したがって、管に対する加熱装置の加熱温度を監視するセンサが設けられている。さらに、管に作用する曲げ加工モーメントを監視するためのストロークセンサもしくは長さ測定センサと、管の肉厚を監視するためのセンサとが設けられている。これらのセンサは、制御ユニットを介して調節ユニットと加熱装置とに接続されており、これによって、センサにより検出されたデータに基づき、加熱装置と管とが互いに方向付けられる。これによって、管が所望の形状に曲げ加工されることが確保される。さらに、管の肉厚が曲げ加工の前後で同じであるかもしくは湾曲させられた領域への管の直線状の領域の移行時に移行部がなだらかであり、管壁内の応力が有利に回避されていることが保証される。このために、1つには、加熱装置を、有利には二次元で移動させることができる。この場合、この移動は、管の長手延び方向に対して垂直に提案されている。もう1つには、管が調節ユニットによって二次元でも移動させられ、これによって、管と加熱装置との最適な方向付けが全曲げ加工過程の間にさらに確保されている。
【0094】
管を曲げ加工するための本発明による方法は、第1のステップにおいて、送り装置内に配置された管が、管の送りと、曲げ加工アームの旋回運動によって付与された強制案内とによって第1の曲げ加工方向に曲げ加工されることによって付与されている。第2のステップでは、送り装置と回動軸線とが互いに擦れ違う。第3のステップでは、管がやはり、送りと、曲げ加工アームの旋回運動により付与された強制案内とによって曲げ加工される。これによって、曲げ加工アームの旋回方向に関して、送り装置と回動軸線との逆の配置が付与されている。この逆の配置によって、曲げ加工アームに対する、逆方向に向けられた旋回運動が達成され、これによって、管に対して、逆方向の強制案内が、送り装置による送りの間に付与されている。これによって、左方向だけでなく、右方向への管の曲げ加工も可能となる。
【0095】
方法の有利な態様では、管が第1のステップの間に第1の曲げ加工方向に曲げ加工される場合に、管を保持する送り装置が第1の送り位置に位置固定されていることが提案されている。この場合、曲げ加工アームに設けられた、管を位置固定するための保持装置は、第1の位置固定位置に位置固定されている。加熱装置は送り装置と保持装置との間に配置されている。この場合、加熱装置は曲げ加工アームの回動軸線と共に一直線に位置している。このためには、この回動軸線が、有利には曲げ加工アームの中心軸線に配置されている。保持装置に対する第1の位置固定位置は、有利には、曲げ加工アームの、送り装置と反対の側に設けられており、これによって、保持装置が、曲げ加工アームの中心軸線の、送り装置と反対の側に位置固定されており、加熱装置が同時に送り装置と保持装置との間にかつ曲げ加工アームの中心軸線に配置されている。
【0096】
第1の曲げ加工方向への第1の曲げ加工過程が終了すると、管が保持装置から解離され、たとえば送り装置によって曲げ加工アームから取り外される。このためには、送り装置が、たとえば上方に運動させられ、これによって、管が上方に取り外される。当然ながら、保持装置を管から取り外すために、曲げ加工アームが下方に運動させられてもよい。さらに、当然ながら、管を相応の引張り運動によって保持装置から解離しかつ取り外すために、送り装置が管の長手方向に運動させられてよい。この場合、加熱装置が管に沿って可動に設けられている事例では、同時に加熱装置が管に沿って管を越えて取り外される。しかし、加熱装置が送り装置に配置されており、これによって、管が加熱装置の内部に残されていることが有利である。これによって、加熱装置が別個に管に沿って移動させられなければならないことが回避される。
【0097】
その後、保持装置が曲げ加工アームから解離される。このことは、たとえば上述したガイドによって行うことができる。保持装置が、たとえばクレーンによって第1の位置固定位置から取り外され、これによって、送り装置が高さ調節なしに第2の送り位置にもたらされることが有利である。この場合、管が配置された送り装置は、簡単に曲げ加工アームの旋回アームの上方で回動軸線と擦れ違うことができ、第2の送り位置にもたらすことができる。
【0098】
送り装置が回動軸線と擦れ違った場合には、保持装置が曲げ加工アームで第2の位置固定位置にもたらされ、この曲げ加工アームが送り装置と管とに相応に方向付けられる。この場合、180゜だけの曲げ加工アームの旋回が有利である。その後、管が保持装置内に位置固定される。
【0099】
1つの管を両側で位置固定することができる保持装置が有利であり、これによって、両曲げ加工方向に対して、同一の保持装置を使用することができる。当然ながら、各曲げ加工方向に対して、種々異なる保持装置が使用されてもよい。これによって、管と旋回アームとに対する保持装置の固定手段の構成が簡単になる。
【0100】
いま、送り装置は曲げ加工アームの回動軸線に対して第2の送り位置に位置しているので、送り装置による管の送りによって、第2の方向への管の曲げ加工が可能になる。
【0101】
択一的または補足的には、曲げ加工アームが第1の曲げ加工位置から第2の曲げ加工位置にもたらされることが提案されていてもよい。すでに記載した方法に対する違いは、いま、送り装置の代わりに、曲げ加工アームもしくは回動軸線と直線とによって展開された平面が送り装置と擦れ違うことにしかなく、これによって、この送り装置と曲げ加工アームの回動軸線とが互いに擦れ違う。
【0102】
本発明の更なる有利な態様は、従属請求項ならびに以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】管を曲げ加工するための本発明による装置の有利な実施例の平面図である。
【図2】管を曲げ加工するための図1に示した装置を第1の送り位置で示す図である。
【図3】管を曲げ加工するための図1に示した装置を中間位置で示す図である。
【図4】図1に示した装置を第2の送り位置で示す図である。
【図5】変位装置の部分拡大図である。
【0104】
本発明を以下に有利な実施例につき添付の図面に相俟って詳しく説明する。
【0105】
図1〜図5には、管2を曲げ加工するための本発明による装置1の有利な実施例が示してある。
【0106】
管2を曲げ加工するための装置1は、平らに形成された保持プレート3に配置された送り装置4を有している。この場合、管2は送り装置4内に配置されている。管2は送り装置4によって長手方向に送り可能である。管2は一方の端部で送り装置4を越えて延びている。この場合、管2は加熱装置5を通って延びている。この加熱装置5は管2を小さな領域で加熱する。管2の長手方向で加熱装置5に続いて、管2が端部で曲げ加工アーム7において保持装置6内に位置固定されている。この場合、曲げ加工アーム7は平らな保持プレート3に回動軸線Dを中心として回動可能に配置されている。
【0107】
管2のための送り装置4は、保持プレート3に配置されたハウジング8を有している。この場合、このハウジング8はU字形の横断面を有している。このU字形のハウジングの基部9は、平らな保持プレート3に対して平行に配置されており、互いに平行な両脚部10a,10bは、基部9ひいては保持プレート3から垂直上向きに延びている。
【0108】
ハウジング8の両脚部10a,10bの間には、管2が設けられている。この場合、この管2は送りキャリッジ11に位置固定されている。管2のための送りキャリッジ11は移動可能にガイド12に配置されている。この場合、このガイド12は、両脚部10a,10bに設けられたガイド手段13と、ハウジング8の基部9の、U字内方に向けられた表面に配置された別のガイド手段14とによって付与されている。
【0109】
ハウジング8の両脚部10a,10bに設けられたガイド手段13は、脚部10a,10bに形成された細長い凹部19によって付与されている。この凹部19はハウジング8の長手方向に延びている。送りキャリッジ11には、4つの突出部20が配置されている。これらの突出部20は凹部19内に滑動するようにガイドされている。送りキャリッジ11には、それぞれ前方にかつ後方に、互いに反対の側に位置する2つの突出部20が設けられており、これによって、送りキャリッジ11が確実に凹部19内にガイドされており、管2の引っ掛かりが回避されている。
【0110】
ハウジング8の基部9に設けられたガイド手段14には、送りキャリッジ11ひいては管2を送るための送り手段15が対応配置されている。この送り手段15は、送りキャリッジ11に配置されたシリンダ16を有している。この場合、このシリンダ16内には、ピストンロッド17が移動可能に配置されている。このピストンロッド17は、ハウジング8の、曲げ加工アーム7と反対の側にかつ両脚部10a,10bの間に設けられた保持部18に位置決めされている。送りキャリッジ11を管2と共に送るためには、シリンダ16がハイドロリック液で負荷され、ピストンロッド17がシリンダ16から押し出される。ハイドロリック液は圧力アキュムレータから提供される。したがって、直線的な力が発生させられる。この場合、ピストンロッド17とシリンダとが互いに離され、これによって、送りキャリッジ11が管2と共に加熱装置5および曲げ加工アーム7の方向に送られる。
【0111】
当然ながら、送りキャリッジ11は、あらゆる別の形式の送り手段によって送られてもよい。したがって、たとえば送りキャリッジ11をチェーン駆動装置によって送ることができることも可能となる。この場合、送りキャリッジ11には、相応のチェーンが位置決めされている。このチェーンは駆動装置によって駆動される。さらに、当然ながら、送りキャリッジが、あらゆる形式の滑動手段またはローラ手段、たとえば滑動エレメントまたはローラを有していてよい。さらに、当然ながら、送りキャリッジ11のためのガイド11が、基部9と両脚部10a,10bとによって直接付与されていてもよい。
【0112】
ハウジング8の脚部10a,10bは補強エレメント21として設けられている。この補強エレメント21は、管2の曲げ加工時に、これにより生ぜしめられる反力を受け止める。
【0113】
ハウジング8の基部9の、保持プレート3の方向に向けられた外壁9aには、送り装置4を保持プレート3上で変位させるための変位手段22が配置されている。保持プレート3には、互いに平行な2つの滑動用レール23が配置されている。この場合、両滑動用レール23はハウジング8もしくは管2の長手延び方向に対して垂直に設けられており、これによって、送り装置4が保持プレート3上で横方向に滑動用レール23において移動させられる。
【0114】
ハウジング8には、4つの変位手段22が配置されている。この場合、それぞれ2つの変位手段22が、ハウジング8の、曲げ加工アーム7に近い方の前方の端部と、ハウジング8の、曲げ加工アーム7から遠い方の後方の端部とに設けられている。それぞれ2つの変位手段22は、それぞれ基部9で一方の脚部10a;10bの下方に配置されており、これによって、一方の脚部10aの下方で2つの変位手段22が、それぞれ前方でかつ後方でハウジング8に設けられており、第2の脚部10bの下方で同じく2つの変位手段22が、それぞれ前方でかつ後方でハウジング8に設けられている。これによって、保持プレート3上での送り装置4の変位が保証され、これによって、曲げ加工アーム7と加熱装置5とに対する送り装置4の方向付けは変化させられない。
【0115】
4つの変位手段22は同構造に形成されており、以下に1つの変位手段22を例として詳しく説明する。この変位手段22は、相前後して配置された2つのローラ24を有している。両ローラ24は回転可能にサスペンション25内に配置されている。ローラ24は、互いに間隔を置いて配置された2つの縁部26を有している。両縁部26の間には、滑動用レール23が配置されている。サスペンション25は固定エレメント27によってハウジング8に固定されている。固定エレメント27は、ほぼL字形の構造を有している。この場合、固定エレメント27は、第1のL字脚部で脚部10aの外壁に上向きに延びていて、第2のL字脚部で基部9の外壁に沿って延びている。固定エレメント27はハウジング8に溶接されている。当然ながら、固定エレメント27は、あらゆる別の固定形式、たとえば接着、ねじ締結、リベット締めまたはこれに類するものでハウジング8に固定されていてもよい。
【0116】
相前後して配置された両ローラ24はクラッチユニット28によって電気的な駆動装置29に連結されている。この場合、クラッチユニットは、有利には変速を提供する。送り装置4を第1の送り位置から第2の送り位置に変位させるためには、ローラ24が電気的な駆動装置29によって駆動される。この場合、ローラ24と滑動用レール23との間には、相応の摩擦が送り装置4の自重によって付与されており、これによって、ローラ24は滑動用レール23上で空転しない。変位手段22による変位によって、送り装置4と曲げ加工アーム7の回動軸線Dとが互いに擦れ違い、2つの曲げ加工方向への管2の曲げ加工が達成される。
【0117】
当然ながら、滑動用レール23および/またはローラ24が摩擦被覆体を有していることが提案されていてもよい。これによって、滑動用レール上でのローラ24の空転がさらに回避されている。摩擦被覆体は、たとえばテフロンコーティング(ポリテトラフルオロエチレンコーティング)によって付与されている。
【0118】
さらに、変位手段22は位置固定手段30を有している。この位置固定手段30によって、送り装置4が第1の送り位置と第2の送り位置とに位置固定可能となる。位置固定手段30は2つのクランプエレメント31を有している。両クランプエレメント31は、それぞれ滑動用レール23の一方の面に対して延びている。送り装置4を位置固定するためには、両クランプエレメント31がパワーモータによって互いに近づく方向に運動させられ、これによって、滑動用レール23が両クランプエレメント31の間に挟み込まれており、送り装置4が所望の送り位置に保持される。送り装置を解除するためには、滑動用レール23がもはや挟み込まれておらず、ローラ24が滑動用レール23上で滑動することができるように、両クランプエレメント31が互いに離れる方向に運動させられる。
【0119】
当然ながら、送り装置4に対するあらゆる別の形式の位置固定手段が設けられていてもよい。したがって、両クランプエレメント31の代わりに、それぞれ1つの電磁石が設けられていることも可能である。この場合、滑動用レールの各面に1つの電磁石が配置されている。送り装置4を位置固定するためには、電磁石に電流が供給され、これによって、電磁的な力に基づき、送り装置4を滑動用レール23に位置固定することができる。このためには、滑動用レールが相応に金属でもしくは磁気的に形成されている。
【0120】
送りキャリッジ11には、加熱装置5の方向に向けられた面にセンサユニット32が設けられている。このセンサユニット32は、管2の肉厚をコントロールするための第1のセンサ33と、管2に作用する曲げ加工モーメントを監視するための第2のセンサ34とを有している。両センサ33,34は制御ユニットに接続されており、したがって、曲げ加工過程の間、肉厚および曲げ加工モーメントを監視することができ、偏差がある場合に調整することができる。このためには、制御ユニットが、管2を把持するように取り囲む調節ユニット35に接続されている。この調節ユニット35は管2を二次元での小さな運動によって方向付けることができる。調節ユニット35には、加熱装置5も接続されており、これによって、調節ユニット35の補償運動が加熱装置5の相応の補償運動に相関させられており、これによって、管2と加熱装置5とが全曲げ加工過程の間に互いに最適に方向付けられており、管2が所望の形状に曲げ加工されるようになっている。
【0121】
当然ながら、曲げ加工過程を監視するためのあらゆる形式のセンサ、たとえば管2に対する加熱温度を監視するための温度センサまたはストローク・長さセンサが使用されてよい。
【0122】
保持プレート3に回動可能に配置された曲げ加工アーム7は、回動ベース36に配置された旋回アーム37を有している。回動ベース36は回動軸線Dを中心として回動可能に保持プレート3に配置されている。この場合、このためには、保持プレート3に円形の開口38が形成されている。この開口38を通って、回動ベース36が延びている。この回動ベース36は、たとえば玉軸受けまたはこれに類するものに基づき回動可能に開口38に形成されていてもよいし、開口38の下方に形成されていてもよい。回動軸線Dは、曲げ加工アーム7に対する旋回軸線を成している。
【0123】
旋回アーム37は二重T字形の横断面を有している。この場合、上側のT字面には、細長い滑動用レール40が旋回アーム37の細長い延在長さに沿って延びている。この場合、細長い滑動用レール40は旋回アーム37の中心軸線Mに設けられている。旋回アーム37の中心軸線Mと、曲げ加工アーム7に対する回動軸線Dとは、1つの点で交差している。
【0124】
細長い滑動用レール40には、キャリッジ41が移動可能に設けられている。この場合、このキャリッジ41は、ほぼ方形の構成を有している。キャリッジ41は方形の下側の面に細長い切欠き42を有している。この切欠き42でキャリッジ41は滑動用レール40に配置されており、これによって、キャリッジ41が細長い滑動用レール40を側方で把持するように取り囲んでおり、これによって、キャリッジ41が確実に滑動用レール41に対して移動させられる。キャリッジ41の側壁43は旋回アーム37の側方で下向きに延びている。この場合、側壁43の下側の端部には、突出部が形成されている。この突出部は二重T字形の旋回アーム37の切欠き44内に係合している。これによって、二重T字形の旋回アーム37の切欠き44が、キャリッジ41に対するガイドを形成している。
【0125】
キャリッジ41は旋回アーム37にこの旋回アーム37の長手方向に移動可能に設けられている。この場合、移動は、たとえばハイドロリックシリンダとピストンロッドとを有する相応のハイドロリック装置によって実現されている。当然ながら、キャリッジ41に対するあらゆる別の形式の移動装置が設けられていてもよい。旋回アーム37に対するキャリッジ41の移動可能性によって、管2を曲げ加工するためのそれぞれ異なる半径を得ることが可能となり、特に、これによって、キャリッジ41と、このキャリッジ41に配置された保持装置6と、管2とが、曲げ加工過程の間に移動させられる場合に、管2に対する、円形と異なる曲げ加工を達成することができる。
【0126】
キャリッジ41には、保持装置6が解離可能に配置されている。この場合、キャリッジ41は、保持装置6に対する第1の位置固定位置と第2の位置固定位置とを有している。両位置固定位置では、保持装置が、たとえばピンによってキャリッジ41に位置固定されている。保持装置6をキャリッジ41から解離するためには、ピンが取り外される。
【0127】
保持装置6に対する両位置固定位置は、曲げ加工アーム7の旋回アーム37の中心軸線Mの互いに異なる側に設けられている。管2のための保持装置6に対する両位置固定位置は、管2に対する互いに異なる2つの曲げ加工方向に対して設けられている。この場合、保持装置6に対する位置固定位置は、その都度曲げ加工アーム7の中心軸線Mに対して送り装置4と反対の側に設けられており、これによって、加熱装置5が保持装置6と送り装置4との間に配置されている。この場合、加熱装置5が旋回アーム37の中心軸線Mに設けられており、これによって、加熱装置5が曲げ加工アーム7の回動軸線Dと共に一直線に方向付けられている。
【0128】
中心軸線Mに対して互いに反対の側に位置する両位置固定位置への管2のための保持装置6の配置によって、第1の方向への曲げ加工のための第1の位置固定位置だけでなく、第2の方向への曲げ加工のための第2の位置固定位置でも、管2のための加熱装置5が回動軸線Dと共に一直線に配置されている。
【0129】
加熱装置5はインダクタリングを有している。このインダクタリングは管2を全周にわたって取り囲んでいる。加熱装置5は管2に対して運動することができ、これによって、加熱装置5により加熱される領域を曲げ加工過程の間に変化させることができ、これによって、加熱された領域を、センサユニット32のセンサ33,34によって検出されたデータに基づき相応に適合させることができる。この場合、加熱装置5は管2に沿って移動させることができ、インダクタリングと管2との間の角度が変化させられ、これによって、この管2における熱分布が相応に適合させられる。有利には、加熱装置5に冷却ユニットが対応配置されている。この冷却ユニットは、管2の加熱された領域を曲げ加工後に再び冷却する。
【0130】
いま、互いに異なる2つの方向に管2を曲げ加工するための本発明による方法は、以下のように機能する。第1の曲げ加工方向、たとえば左方に管2を曲げ加工するために、この管2が送り装置4内に配置されている。この場合、この送り装置4は第1の送り位置に設けられている。この場合、送り装置4のこの第1の送り位置は、回動軸線Dと、曲げ加工されていない管2に対して平行に延びかつ回動軸線と交差する直線Gとによって付与された平面Eに対して第1の側に位置している。
【0131】
管2は加熱装置5を通って延びていて、曲げ加工アーム7に設けられた保持装置6に位置固定されている。この場合、この保持装置6は第1の位置固定位置で曲げ加工アーム7の旋回アーム37に配置されている。この場合、位置固定位置は、曲げ加工アーム7の中心軸線Mに対して送り装置4と反対の側に設けられている。加熱装置5は曲げ加工アーム7の中心軸線Mに配置されており、これによって、加熱装置5が曲げ加工アーム7の回動軸線Dと共に一直線を成している。
【0132】
いま、管2を曲げ加工するためには、送り装置4が操作される。この場合、管2が送りキャリッジ11によって曲げ加工アーム7の方向に送られる。管2は、曲げ加工アーム7に設けられた保持装置6に位置固定されているので、回動軸線Dを中心とした曲げ加工アーム7の旋回運動に基づく強制案内が付与されている。これによって、管2の送り時に曲げ加工アーム7が回動軸線Dを中心として第1の方向に旋回させられ、曲げ加工モーメントが、加熱装置5によって加熱された領域に作用し、これによって、送りにより管2が第1の方向に曲げ加工される。
【0133】
管2は送り装置4によって、管2の所望の曲げ加工が達成されるまで送られる。たとえば、管2は、曲げ加工アーム7が回動軸線Dを中心として90゜だけ第1の旋回方向に回動させられ、管2が円の1/4円弧で第1の方向に曲げ加工されるまで送られる。第1の方向への曲げ加工過程が終了した場合には、送り装置がスイッチオフされ、管2はもはや送られない。
【0134】
その後、管2が曲げ加工アーム7の保持装置6から解離される。このためには、この保持装置が、たとえば完全に旋回アーム37から解離され、クレーンによって管2の上方に案内され、この管2から解離される。当然ながら、管2と保持装置6とは多数の形式で互いに解離されてよい。したがって、保持装置が、たとえば側方にまたは上方に開放して設けられていてよく、これによって、管2を、たとえば曲げ加工アーム7または送り装置4の高さ調節可能性または側方調節可能性によって保持装置6から取り外すことができる。
【0135】
しかし、有利には、保持装置6が旋回アーム37から解離され、これによって、保持装置6が、管2の上方に案内されて、この管2から解離された後、加熱装置5が、同じ形式で管2の上方に案内されて取り外されてもよい。
【0136】
その後、送り装置4が第1の送り位置から位置固定手段30に基づき解離され、変位手段22によって滑動用レール23に沿って第1の送り位置から第2の送り位置にもたらされる。この場合、送り装置4が曲げ加工アーム7の回動軸線Dと擦れ違う。曲げ加工アーム7の保持装置6だけでなく、加熱装置5も管2から取り外されているので、送り装置4の変位時には、相変わらず送り装置4内に配置された管2が曲げ加工アーム7の旋回アーム37を越えて案内される。当然ながら、加熱装置5は管2および/または送り装置4に配置されたままであってもよい。
【0137】
送り装置4が第2の送り位置に位置固定手段30によって位置固定される。この場合、第2の送り位置は平面Eの他方の側に設けられている。いま、曲げ加工アーム7がさらに第1の曲げ加工方向に旋回させられ、これによって、曲げ加工アーム7が、管2の、まだ曲げ加工されていない部分に対して垂直に方向付けられている。
【0138】
その後、加熱装置5が管2にわたってガイドされ、曲げ加工アーム7の中心軸線Mに位置決めされ、これによって、加熱装置5が回動軸線Dの一直線に設けられている。加熱装置5は曲げ加工アーム7に配置されておらず、この曲げ加工アームの旋回時に旋回させられず、送り装置4に対して曲げ加工過程の間に同様に方向付けられたままであり、これによって、管2が加熱装置5のインダクタリングを通してガイドされる。
【0139】
その後、保持装置6が再び管2にわたってガイドされ、第2の位置固定位置で、曲げ加工アーム7に設けられたキャリッジ41に位置固定される。この場合、いま、保持装置6に対する第2の位置固定位置は、曲げ加工アームの中心軸線Mの他方の側に設けられており、これによって、保持装置6がやはり、曲げ加工アーム7の中心軸線Mの、送り装置4と反対の側に設けられている。保持装置6はピンによってキャリッジ41に固定される。
【0140】
第2の方向に管2を曲げ加工するためには、送り装置4が操作され、送りキャリッジ11が管2を曲げ加工アーム7の方向に押し進める。この場合、管2が加熱装置5を通してガイドされ、規定された領域で加熱される。
【0141】
管2は、曲げ加工アーム7に設けられた保持装置6に位置固定されているので、回動軸線Dを中心とした曲げ加工アーム7の旋回運動に基づく強制案内が付与されている。この場合、いま、強制された旋回運動は、送り装置4と曲げ加工アーム7との互いに異なる配置に基づき、すなわち、送り装置4が曲げ加工アーム7の回動軸線Dに対する平面Eの他方の側に配置されていることに基づき、逆方向に向けられている。これによって、管2の送り時に曲げ加工アーム7が回動軸線Dを中心として、第1の方向と逆方向の第2の方向に旋回させられ、曲げ加工モーメントが、加熱装置5によって加熱された領域に作用し、これによって、管2の送りにより、第2の方向への管2の曲げ加工が付与されている。
【0142】
いま、管2の所望の曲げ加工が達成されるまで、管2が再び送り装置4によって送られる。たとえば、管2は、曲げ加工アーム7がやはり、たとえば回動軸線Dを中心として90゜だけ第2の旋回方向に回動させられ、管2が円の1/4円弧で第2の方向に曲げ加工されるまで送られる。
【0143】
第2の方向への曲げ加工過程も終了した場合には、送り装置4がスイッチオフされ、管2はもはや送られない。管2は、両曲げ加工過程後、第1の方向への1/4円弧と、第2の方向への1/4円弧とを有している。
【0144】
当然ながら、前述した方法によって、管2に対する左右曲げ加工のあらゆる所望のコンビネーションが達成される。本発明を1つの実施例につき詳しく前述した。この実施例では、送り装置が第1の送り位置から第2の送り位置に変位手段によってもたらされる。当然ながら、変位手段が曲げ加工アームに対応配置されており、これによって、この曲げ加工アームを第1の曲げ加工位置から第2の曲げ加工位置にもたらすことができ、曲げ加工アーム7の回動軸線Dと送り装置4とが互いに擦れ違う形式の装置が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1 装置
2 管
3 保持プレート
4 送り装置
5 加熱装置
6 保持装置
7 曲げ加工アーム
8 ハウジング
9 基部
9a 外壁
10a,10b 脚部
11 送りキャリッジ
12 ガイド
13 ガイド手段
14 ガイド手段
15 送り手段
16 シリンダ
17 ピストンロッド
18 保持部
19 凹部
20 突出部
21 補強エレメント
22 変位手段
23 滑動用レール
24 ローラ
25 サスペンション
26 縁部
27 固定エレメント
28 クラッチユニット
29 駆動装置
30 位置固定手段
31 クランプエレメント
32 センサエレメント
33 センサ
34 センサ
35 調節ユニット
36 回動ベース
37 旋回アーム
38 開口
40 滑動用レール
41 キャリッジ
42 切欠き
43 側壁
44 切欠き
D 回動軸線
E 平面
G 直線
M 中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管を曲げ加工するための装置であって、
管(2)を長手方向に連続的に送る、該管(2)のための送り装置(4)が設けられており、
管(2)のための保持装置(6)を備えた、回動軸線(D)を中心として旋回可能な曲げ加工アーム(7)が設けられており、管(2)が、保持装置(6)内に解離可能に位置固定可能であり、送り装置(4)と曲げ加工アーム(7)とが、互いに相対的に運動可能であり、これによって、送り装置(4)と曲げ加工アーム(7)の回動軸線(D)とが、互いに擦違い可能であり、
送り方向に配置された、管(2)の所定の領域を加熱するための加熱装置(5)が設けられている形式のものにおいて、
保持装置(6)が、少なくとも第1の位置固定位置および第2の位置固定位置で曲げ加工アーム(7)に位置固定可能であり、保持装置(6)の第1の位置固定位置および第2の位置固定位置が、曲げ加工アーム(7)の、長手方向に延びる中心軸線(M)に対して互いに反対の側に設けられていることを特徴とする、管を曲げ加工するための装置。
【請求項2】
送り装置(4)が、高さ調節可能に設けられている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
曲げ加工アーム(7)が、高さ調節可能に設けられている、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
送り装置(4)が、少なくとも第1の送り位置から第2の送り位置に移動可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
送り装置(4)のための変位手段(22)が設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
第1の送り位置と第2の送り位置とが、曲げ加工アーム(7)の回動軸線(D)と、曲げ加工されていない管(2)に対して平行に延びかつ回動軸線(D)に交差する直線(G)とによって展開された平面(E)の互いに異なる側に設けられている、請求項5記載の装置。
【請求項7】
送り位置(4)の第1の送り位置と第2の送り位置とが、曲げ加工アーム(7)の回動軸線(D)に対して同じ間隔を有している、請求項4から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
送り位置(4)の送り位置において、加熱装置(5)が、曲げ加工アーム(7)の回動軸線(D)と共に一直線に配置されている、請求項4から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
送り装置(4)に対して複数の送り位置が設けられている、請求項4から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
曲げ加工アーム(7)が、少なくとも第1の曲げ加工位置から第2の曲げ加工位置に移動可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
曲げ加工アーム(7)のための変位手段が設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
曲げ加工アーム(7)の曲げ加工位置において、加熱装置(5)が、曲げ加工アーム(7)の回動軸線(D)と共に一直線に配置されている、請求項11記載の装置。
【請求項13】
曲げ加工アーム(7)に対して複数の曲げ加工位置が設けられている、請求項10から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
送り装置(4)が、管(2)の長手延び方向に対して横方向に運動可能である、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
送り装置(4)が、管(2)の長手延び方向に運動可能である、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
曲げ加工アーム(7)が、少なくとも180゜の旋回範囲を有している、請求項1から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
送り装置(4)が、少なくとも1つの支持エレメント(21)を有している、請求項1から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
送り装置(4)が、2つの支持エレメント(21)を有しており、両支持エレメント(21)が、管(2)の、互いに反対の側に設けられている、請求項17記載の装置。
【請求項19】
保持装置(6)が、曲げ加工アーム(7)に解離可能に位置固定可能である、請求項1から18までのいずれか1項記載の装置。
【請求項20】
第1の位置固定位置と第2の位置固定位置とが、曲げ加工アーム(7)の中心軸線(M)に対して鏡像対称的に設けられている、請求項1から19までのいずれか1項記載の装置。
【請求項21】
保持装置(6)が、曲げ加工アーム(7)から取外し可能である、請求項1から20までのいずれか1項記載の装置。
【請求項22】
保持装置(6)が、曲げ加工アーム(7)に移動可能に配置されており、該曲げ加工アーム(7)が、保持装置(6)に対するガイド(40,44)を有している、請求項1から21までのいずれか1項記載の装置。
【請求項23】
曲げ加工アーム(7)の回動軸線(D)が、曲げ加工アーム(7)の中心軸線(M)に配置されている、請求項1から22までのいずれか1項記載の装置。
【請求項24】
加熱アッセンブリ(5)が、管(2)を取り囲む少なくとも1つの誘導加熱リングを有している、請求項1から23までのいずれか1項記載の装置。
【請求項25】
加熱装置(5)が、送り装置(4)に配置されている、請求項1から24までのいずれか1項記載の装置。
【請求項26】
加熱装置(5)が、管(2)に沿って可動である、請求項1から25までのいずれか1項記載の装置。
【請求項27】
加熱装置(5)に冷却ユニットが対応配置されている、請求項1から26までのいずれか1項記載の装置。
【請求項28】
送り装置(4)と、曲げ加工アーム(7)と、加熱装置(5)とが、制御ユニットに接続されている、請求項1から27までのいずれか1項記載の装置。
【請求項29】
加熱装置(5)に、制御ユニットに接続された温度センサが対応配置されている、請求項28記載の装置。
【請求項30】
管(2)の肉厚コントロールのためのセンサ(33)が、制御ユニットに接続されている、請求項28または29記載の装置。
【請求項31】
管(2)の曲げ加工量および/またはねじりモーメントを監視するためのセンサ(34)が、制御ユニットに接続されている、請求項28から30までのいずれか1項記載の装置。
【請求項32】
管を曲げ加工するための装置に用いられる曲げ加工アームであって、
回動軸線(D)を中心として旋回可能な旋回アーム(37)が設けられており、
該アームに配置された、管(2)を曲げ加工アーム(7)に位置固定するための少なくとも1つの保持装置(6)が設けられている形式のものにおいて、
保持装置(6)が、少なくとも第1の位置固定位置および第2の位置固定位置で旋回アーム(37)に位置固定可能であり、保持装置(6)の第1の位置固定位置および第2の位置固定位置が、旋回アーム(37)の、長手方向に延びる中心軸線(M)に対して互いに反対の側に設けられていることを特徴とする、管を曲げ加工するための装置に用いられる曲げ加工アーム。
【請求項33】
第1の位置固定位置と第2の位置固定位置とが、旋回アーム(37)の中心軸線(M)に対して鏡像対称的に設けられている、請求項32記載の曲げ加工アーム。
【請求項34】
曲げ加工アーム(7)の回動軸線(D)が、旋回アーム(37)の中心軸線(M)に配置されている、請求項32または33記載の曲げ加工アーム。
【請求項35】
保持装置(6)が、旋回アーム(37)から90゜の角度を成して上方に延びている、請求項32から34までのいずれか1項記載の曲げ加工アーム。
【請求項36】
保持装置(6)が、ピンによって旋回アーム(37)に位置固定可能である、請求項32から35までのいずれか1項記載の曲げ加工アーム。
【請求項37】
少なくとも1つの保持装置(6)が、キャリッジ(41)で旋回アーム(37)の長手方向に移動可能である、請求項32から36までのいずれか1項記載の曲げ加工アーム。
【請求項38】
少なくとも1つの保持装置(6)が、キャリッジ(41)で旋回アーム(37)の長手延び方向に対して横方向に移動可能である、請求項37記載の曲げ加工アーム。
【請求項39】
管を曲げ加工するための方法において、
管(2)を長手方向に送る、該管(2)のための送り装置(4)が設けられており、
管(2)の所定の領域を加熱するための加熱装置(5)が設けられており、
管(2)のための保持装置(6)を備えた、回動軸線(D)を中心として旋回可能に配置された曲げ加工アーム(7)が設けられており、管(2)が、保持装置(6)内に解離可能に位置固定可能であり、
第1のステップにおいて、管(2)を第1の方向に曲げ加工し、その後、保持装置(6)から曲げ加工アーム(7)の第1の位置固定位置から解離し、
第2のステップにおいて、送り装置(4)と曲げ加工アーム(7)とを互いに相対的に運動させ、これによって、送り装置(4)と曲げ加工アーム(7)の回動軸線(D)とを互いに擦れ違わせ、その後、管(2)を保持装置(6)に曲げ加工アーム(7)における第2の位置固定位置で位置固定し、保持装置(6)の第1の位置固定位置および第2の位置固定位置が、旋回アーム(37)の、長手方向に延びる中心軸線(M)に対して互いに反対の側に設けられており、
第3のステップにおいて、管(2)を第2の方向に曲げ加工することを特徴とする、管を曲げ加工するための方法。
【請求項40】
送り装置(4)のための変位手段(22)が設けられており、該変位手段(22)が、送り装置(4)を曲げ加工アーム(7)の回動軸線(D)と擦れ違わせる、請求項39記載の方法。
【請求項41】
送り装置(4)を変位手段(22)によって第1の送り位置から第2の送り位置にもたらす、請求項40記載の方法。
【請求項42】
送り装置(4)に対する多数の送り位置が設けられている、請求項41記載の方法。
【請求項43】
送り装置(4)の送り位置において、加熱装置(5)と曲げ加工アーム(7)の回動軸線(D)とを一直線に配置する、請求項41または42記載の方法。
【請求項44】
曲げ加工アーム(7)のための変位手段が設けられており、該変位手段が、曲げ加工アーム(7)を変位させ、これによって、曲げ加工アーム(7)の回動軸線(D)を送り装置(4)と擦れ違わせる、請求項39から43までのいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
曲げ加工アーム(7)を変位手段によって少なくとも第1の曲げ加工位置から第2の曲げ加工位置にもたらす、請求項44記載の方法。
【請求項46】
曲げ加工アーム(7)の曲げ加工位置において、加熱装置(5)と曲げ加工アーム(7)の回動軸線(D)とを一直線に配置する、請求項45記載の方法。
【請求項47】
曲げ加工アーム(7)に対する多数の曲げ加工位置が設けられている、請求項45または46記載の方法。
【請求項48】
保持装置(6)を曲げ加工アーム(7)における第1の位置固定位置から第2の位置固定位置にもたらす、請求項39から47までのいずれか1項記載の方法。
【請求項49】
管(2)を送り装置(4)によって保持装置(6)から取り外し、該保持装置(6)内に挿入する、請求項39から48までのいずれか1項記載の方法。
【請求項50】
加熱装置(5)を管(2)に沿って運動させる、請求項39から49までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−525953(P2010−525953A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506799(P2010−506799)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000760
【国際公開番号】WO2008/135033
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(509309651)アーヴェーエス シェーファー テヒノロギー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】AWS Schaefer Technologie GmbH
【住所又は居所原語表記】Oberhausener Strasse 8, D−57234 Wilnsdorf, Germany
【Fターム(参考)】