説明

管・棒状体若しくはケーブル類の留め具

【課題】管・棒状体若しくはケーブル類の留め具に関し、ロック解除部とバンド部のガイド部との間の傾斜面を利用して、バンドのロック状態を確実に解除することができるようにしたものである。
【解決手段】バンド挿通路70内の横幅Wを、バンド部40の横幅Lより幅広に形成している。係止部81には、バンド部40の表面に臨むロック解除部82を設けている。バンド部40の表面には、当該バンド部40の長さ方向に沿って、ロック解除部82に当接するガイド部を設けている。ロック解除部82とガイド部43とのいずれか少なくとも一方には、バンド挿通路70内でバンド部40が幅方向に移動することで、当該係止部81を係合部から浮き上がらせてロック状態を解除するための傾斜面を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管・棒状体若しくはケーブル類の留め具に関し、バンド挿通路内でバンドを変位させることでロック解除部を作動させ、当該ロック解除部とバンド部のガイド部との間の傾斜面を利用して、バンドのロック状態を確実に解除することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル部にスリットを設け、当該スリットを通してバンドを抜き差しできるようにした「バンドクランプ」が知られている(例えば特許文献1の段落番号「0020」、図3参照)。
上記したバンドクランプでは、トンネル部内でバンドを一方向に回転することで、バンドの凸状の抜け止め部を、トンネル部内の凹状のガイド部から係脱させることで、バンドのロック状態を解除していた(例えば特許文献1の段落番号「0025」、図8及び図9参照)。
【0003】
また、断面ロ字形の底となる脚連結壁を薄く形成することで、バンド部を巻き付けたハーネスを被取付部品から離反する方向に引っ張った際に、脚連結壁が撓むことを利用して、バンドのロック状態を解除できるようにした「ハーネスクリップ」が知られている(例えば特許文献2の段落番号「0030」、段落番号「0036」〜「0038」、図5及び図6参照)。
【特許文献1】特開2001-208017号公報(段落番号「0020」、段落番号「0025」、図3、図8及び図9)
【特許文献2】特開2007-325326号公報(段落番号「0030」、段落番号「0036」〜「0038」、図5及び図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の前者のバンドクランプでは、バンドを一方向に回転することで、バンドの凸状の抜け止め部とトンネル部内の凹状のガイド部とを直接、係脱させていたので、バンドを回転する力を解放すると、凸状の抜け止め部と凹状のガイド部とが再度、係合し易く、バンドを回転する作業と、バンドを緩める作業とを併行して行う必要があるという問題点があった。
【0005】
また、上記した従来の後者のハーネスクリップも同様に、ハーネスを被取付部品から離反する方向に引っ張った状態で、バンドを緩める必要があるという問題点があった。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
【0006】
すなわち、請求項1に記載の発明は、バンド挿通路内でバンドを変位させることでロック解除部を作動させ、当該ロック解除部とバンド部のガイド部との間の傾斜面を利用して、バンドのロック状態を確実に解除することができるようにしたものである。
このため、請求項1に記載の発明によれば、バンド挿通路内でバンドを変位させることでロック解除部を作動させ、ロック解除部とガイド部との間の傾斜面の作用により、ロック部側の係止部をバンド部側の係合部から浮き上がらせてロック状態を解除することができる。このように、請求項1に記載の発明によれば、ロック解除部の作動後、バンドの変位を変化させても、例えばバンドを元の位置に復帰させたり、変位量を増減させても、バンドのロックの解除状態を維持することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0007】
すなわち、請求項2に記載の発明は、リブ状に突出したロック解除部と、溝状に形成されたガイド部とのはまり合いを利用することができるようにしたものである。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0008】
すなわち、請求項3に記載の発明は、請求項3に記載の発明とは逆に、溝状に形成されたロック解除部と、突条に形成されたガイド部とのはまり合いを利用することができるようにしたものである。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0009】
すなわち、請求項4に記載の発明は、ガイド部をはさんでバンド部の幅方向に係合部を二分することができるようにしたものである。
このため、請求項2に記載の発明によれば、バンド部の幅方向のいずれの方向にバンド部を変位させたときも、ロック解除部を作動させることができる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0010】
すなわち、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明と同様に、バンド部の幅方向のいずれの方向にバンド部を変位させたときも、ロック解除部を作動させることができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0012】
第1に、留め具(10)は、例えば図4に示すように、管・棒状体若しくはケーブル類(20)のものである。
なお、管・棒状体若しくはケーブル類として、ケーブル類(20)を例示したが、これに限定されない。
第2に、留め具(10)は、例えば図2〜4に示すように、次の構成を備える。
【0013】
(1)バンド部(40)
バンド部(40)は、例えば図4に示すように、管・棒状体若しくはケーブル類(20)の外周に巻き付けられるものである。
(2)ロック部(50)
ロック部(50)は、例えば図2〜4に示すように、バンド部(40)の一端が連結され、当該バンド部(40)の他端を挿通させて締め付け固定するものである。
【0014】
第3に、バンド部(40)には、例えば図6に示すように、次の構成を備える。
(3)係合部(41,42)
係合部(41,42)は、複数個有り、当該バンド部(40)の長さの方向に沿って所定の間隔で設けられ、当該バンド部(40)の表面に凹状又は凸状に形成されたものである。
第4に、ロック部(50)には、例えば図1に示すように、次の構成を備える。
【0015】
(4)バンド挿通路(70)
バンド挿通路(70)は、例えば図12に示すように、バンド部(40)を挿通するものである。
(5)係止部(81)
係止部(81)は、例えば図9〜11に示すように、バンド挿通路(70)に挿通されたバンド部(40)の係合部(41,42)に向かって弾性的に突出し、複数個の係合部(41,42)の少なくとも1個にはまり合うことで、バンド部(40)をバンド挿通路(70)内にロックするためのものである。
【0016】
第5に、バンド挿通路(70)内の横幅(W)を、例えば図1に示すように、バンド部(40)の横幅(L)より幅広に形成している。
第6に、係止部(81)には、例えば図1に示すように、バンド部(40)の表面に臨むロック解除部(82)を設けている。
第7に、バンド部(40)の表面には、例えば図2及び図14に示すように、当該バンド部(40)の長さ方向に沿って、ロック解除部(82)に当接するガイド部(43)を設けている。
【0017】
第8に、ロック解除部(82)とガイド部(43)とのいずれか少なくとも一方には、例えば図14に示すように、バンド挿通路(70)内でバンド部(40)が幅方向に移動することで、当該係止部(81)を係合部(41,42)から浮き上がらせてロック状態を解除するための傾斜面を設けている。
すなわち、傾斜面として、ロック解除部(82)の両側に、例えば図14に示すように、一対の傾斜面(83,84)をそれぞれ設け、ガイド部(43)の両側に一対の傾斜面(44,45)をそれぞれ設けている。
【0018】
なお、ロック解除部(82)とガイド部(43)との両方に、傾斜面を設けたが、これに限定されず、例えば図15に示すように、ロック解除部(111)側だけに傾斜面(112,113)を設けても良いし、或いは、図示しないが、ガイド部側だけに傾斜面を設けても良い。また、ロック解除部(82)の両側に、例えば図14に示すように、一対の傾斜面(83,84)をそれぞれ設けたが、これに限定されず、図示しないが、ロック解除部の片側だけに傾斜面を設けても良い。さらに、ガイド部(43)の両側に、例えば図14に示すように、一対の傾斜面(44,45)をそれぞれ設けたが、これに限定されず、図示しないが、ガイド部の片側だけに傾斜面を設けても良い。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0019】
第1に、ロック解除部(82)は、例えば図14に示すように、バンド部(40)の表面に向かって突出したリブ状に形成されている。
第2に、ガイド部(43)は、例えば図14に示すように、ロック解除部(82)がはまり込む溝状に形成されている。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0020】
第1に、ガイド部(121)は、例えば図16に示すように、ロック部(130)に向かって突出した突条に形成されている。
第2に、ロック解除部(131)は、例えば図16に示すように、ガイド部(121)がはまり込む凹状に形成されている。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0021】
第1に、ガイド部(43)は、例えば図6に示すように、バンド部(40)の幅方向の中央に形成されている。
第2に、係合部(41,42)は、例えば図6及び図7に示すように、ガイド部(43)によりバンド部(40)の幅方向に二分されている。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0022】
第1に、ガイド部(141,142)は、例えば図17に示すように、バンド部(140)の幅方向の両端部にそれぞれ形成されている。
第2に、ロック解除部(151)は、例えば図17に示すように、ガイド部(141,142)にそれぞれ摺接するように形成されている。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、バンド挿通路内でバンドを変位させることでロック解除部を作動させ、当該ロック解除部とバンド部のガイド部との間の傾斜面を利用して、バンドのロック状態を確実に解除することができる。
【0024】
このため、請求項1に記載の発明によれば、バンド挿通路内でバンドを変位させることでロック解除部を作動させ、ロック解除部とガイド部との間の傾斜面の作用により、ロック部側の係止部をバンド部側の係合部から浮き上がらせてロック状態を解除することができる。このように、請求項1に記載の発明によれば、ロック解除部の作動後、バンドの変位を変化させても、例えばバンドを元の位置に復帰させたり、変位量を増減させても、バンドのロックの解除状態を維持することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0025】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、リブ状に突出したロック解除部と、溝状に形成されたガイド部とのはまり合いを利用することができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0026】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明とは逆に、溝状に形成されたロック解除部と、突条に形成されたガイド部とのはまり合いを利用することができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0027】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、ガイド部をはさんでバンド部の幅方向に係合部を二分することができる。
このため、請求項2に記載の発明によれば、バンド部の幅方向のいずれの方向にバンド部を変位させたときも、ロック解除部を作動させることができる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0028】
すなわち、請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明と同様に、バンド部の幅方向のいずれの方向にバンド部を変位させたときも、ロック解除部を作動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(図面の説明)
図1〜14は、本発明の第1の実施の形態の一例をそれぞれ示すものである。
図1は、ロック部の平面図、図2は留め具の平面図、図3は留め具の側面図、図4は留め具の使用状態を説明するための側面図、図5はロック部の斜視図、図6はバンド部の一部斜視図、図7はバンド部の断面図、図8はバンド部の他の断面図、図9はロック部の断面図、図10はロック部の他の断面図、図11は係合部と係止部、並びにガイド部とロック解除との関係を説明するための説明図、図12はバンド部のロックの解錠方法を説明するための一部斜視図、図13はバンド部のロックの解錠方法を説明するための他の一部斜視図、図14はガイド部とロック解除部との係合状態を説明するための断面図をそれぞれ示すものである。
【0030】
図15は、本発明の第2の実施の形態の一例を示し、同図はガイド部とロック解除部との係合状態を説明するための断面図を示すものである。
図16は、本発明の第3の実施の形態の一例を示し、同図はガイド部とロック解除部との係合状態を説明するための断面図を示すものである。
図17は、本発明の第4の実施の形態の一例を示し、同図はガイド部とロック解除部との係合状態を説明するための断面図を示すものである。
(留め具10)
図2〜4中、10は、留め具を示すものであり、この留め具10は、図4に示すように、後述するバンド部40を、管・棒状体若しくはケーブル類、例えばケーブル類20の外周に巻き付けて留めるものである。
【0031】
なお、管・棒状体若しくはケーブル類として、ケーブル類20を例示したが、これに限定されない。
留め具10は、図4に示すように、後述するクリップ60を介して取付相手、例えばパネル30に固定される。その結果、ケーブル類20は、留め具10を介してパネル30に固定される。
なお、取付相手として、パネル30を例示したが、これに限定されない。
【0032】
具体的には、留め具10には、図2〜4に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
(1)バンド部40
(2)ロック部50
(3)クリップ部60
なお、留め具10の各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
【0033】
留め具10は、上記した(1)〜(3)の各部を備え、具体的には、適度な弾性と剛性とを有する樹脂で一体的に成形される。
なお、留め具10を一体成形したが、これに限定されない。
(バンド部40)
バンド部40は、図4に示すように、ケーブル類20の外周に巻き付けられるものである。
【0034】
具体的には、バンド部40は、図2、図3及び図6に示すように、帯状に形成され、後述するロック部50のバンド挿入孔70に差し込みやすいように、先端部が先細状に形成されている。
また、バンド部40は、図6に示すように、次の各部を備える。
(1)係合部41,42
係合部41,42は、図2及び図6に示すように、複数個有り、バンド部40の長さの方向に沿って所定の間隔で設けられ、当該バンド部40の表面に凹状又は凸状に形成されたものである。
【0035】
(2)ガイド部43
ガイド部43は、図2及び図14に示すように、バンド部40の長さ方向に沿って設けられ、後述するロック部50のロック解除部82に当接するものである。
具体的には、ガイド部43は、図14に示すように、後述するロック部50のロック解除部82がはまり込む溝状に形成されている。
【0036】
また、ガイド部43は、図6に示すように、バンド部40の幅方向の中央に形成されている。係合部41,42は、図6及び図7に示すように、ガイド部43によりバンド部40の幅方向に二分される。
(3)傾斜面44,45
傾斜面44,45は、図14に示すように、後述するバンド挿通路70内でバンド部40が幅方向に移動することで、後述するロック部50のロック解除部82に当接し、ロック部50の係止部81を係合部41,42から浮き上がらせてロック状態を解除するためのものである。
【0037】
具体的には、傾斜面44,45は、図14に示すように、溝状のガイド部43の両内側面にそれぞれ形成され、略V字形、或いは上方に向かって開いた逆「ハ」の字形に傾斜させている。
なお、傾斜面44,45を溝状のガイド部43の両内側面にそれぞれ形成したが、これに限定されず、片側にだけ形成しても良い。
(ロック部50)
ロック部50は、図2〜4に示すように、バンド部40の一端が連結され、当該バンド部40の他端を挿通させて締め付け固定するものである。
【0038】
具体的には、ロック部50には、図1及び図5に示すように、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(2)については、後述する。
(1)バンド挿通路70
(2)弾性片80
なお、ロック部50の各部は、上記した(1)〜(2)に限定されない。
(バンド挿通路70)
バンド挿通路70は、図12に示すように、バンド部40を挿通するものである。
【0039】
具体的には、ロック部50を、図1に示すように、ロ字形の枠状に形成され、当該枠の内側をバンド挿通路70としている。
また、バンド挿通路70内の横幅Wを、図1及び図10に示すように、バンド部40の横幅Lより幅広に形成している。
具体的には、バンド挿通路70の左右両側には、図1及び図10に示すように、左右外向きに断面コ字形に延びる左右一対の孔拡張部71,72を設けて、バンド挿通路70内の横幅Wを拡張している。
(弾性片80)
弾性片80は、図9に示すように、バンド挿通路70内に弾性的に突出するものである。
【0040】
具体的には、弾性片80は、ロック部50の上壁からU字形に折り返し、バンド挿通路70の底に向かって斜め下向きに延び、その先端部がバンド挿通路70から外向きに突出している。弾性片80は、樹脂の弾性を利用している。
また、弾性片80には、図1及び図9〜11に示すように、次の各部を備える。
(1)係止部81
係止部81は、図10及び図11に示すように、バンド挿通路70に挿通されたバンド部40の係合部41,42に向かって弾性的に突出し、複数個の係合部41,42の少なくとも1個にはまり合うことで、バンド部40をバンド挿通路70内にロックするためのものである。
【0041】
具体的には、係止部81は、弾性片80の根本側に位置している。
(2)ロック解除部82
ロック解除部82は、図1及び図14に示すように、バンド部40の表面に臨み、当該表面に形成されたガイド部43に当接するものである。
具体的には、ロック解除部82は、弾性片80の先端側に位置し、リブ状に突出している。
【0042】
(4)傾斜面83,84
傾斜面83,84は、図14に示すように、バンド挿通路70内でバンド部40が幅方向に移動することで、ガイド部43の傾斜面44,45に当接し、係止部81を係合部41,42から浮き上がらせてロック状態を解除するためのものである。
具体的には、傾斜面83,84は、図14に示すように、リブ状のロック解除部82の両外側面にそれぞれ形成され、前述したガイド部43の傾斜面44,45と平行に、すなわち略V字形、或いは上方に向かって開いた逆「ハ」の字形に傾斜させている。
【0043】
なお、傾斜面83,84をリブ状のロック解除部82の両外側面にそれぞれ形成したが、これに限定されず、片側にだけ形成しても良い。また、傾斜面を、ロック解除部82とガイド部43の両方に形成したが、これに限定されず、いずれか一方にだけ形成しても良い。
(クリップ部60)
クリップ部60は、図3及び図4に示すように、バンド部40の長さの途中に位置し、バンド部40の裏面から下方に延びている。
【0044】
クリップ部60には、図示しないが、互いに背向して弾性的に突出した少なくとも一対の弾性爪を有する。
パネル30には、クリップ部60の外形に等しい内形を有する取付穴31を設けておく。
クリップ部60を、図示しないが、取付穴31に合わせてはめ込むと、弾性爪が内向きに撓み込み、取付穴31を通過後、パネル30の裏側で復元することで、取付穴31から抜けなくなって固定される。
(取付方法)
上記した構成を備える留め具10の取付方法について説明する。
【0045】
留め具10は、ケーブル類20を留め付けてからパネル30に固定しても良いし、或いはパネル30に固定してからケーブル類20を留め付けても良い。
ここでは、後者の手順で説明すると、まず、クリップ部60を介して、図4に示すように、パネル30に固定する。
つぎに、ケーブル類20にバンド部40を巻き付け、その先細状の先端部を、ロック部50のバンド挿通路70に挿入する。その後、バンド部40を、バンド挿通路70から引き出すように引っ張る。バンド部40を引っ張ると、ケーブル類20の外周を締め付け、バンド部40を引っ張る力を解放すると、弾性片80の凸状の係止部81が、バンド部40の凹状の係合部41,42に弾性的にはまり込むことで、バンド部40がバンド挿通路70内にロックされる。すなわち、バンド挿通路70内からのバンド部40の抜けが阻止され、ケーブル類20の外周を締め付けた状態を維持する。
【0046】
一方、リサイクルやメンテナンス時には、ケーブル類20を留め具10から外すことが必要となる。
このとき、バンド部40を持って、図12及び図13に示すように、その左右の幅方向にスライドさせたり、或いは上下方向に揺動させる。
バンド部40を左右にスライドさせると、バンド挿通路70内にバンド部40がロックされた状態が解除され、バンド部40をバンド挿通路70内から引き抜き、ケーブル類20の取り外しが可能となる。
【0047】
すなわち、バンド部40が左右にスライドすると、図14に示すように、バンド部40の溝状のガイド部43の傾斜面44,45と、弾性片80のリブ状のロック解除部82の傾斜面83,84とが当接する。傾斜面44,45と傾斜面83,84とが当接すると、図14に点線で示すように、リブ状のロック解除部82が溝状のガイド部43から浮上する。
リブ状のロック解除部82の浮上により、図示しないが、弾性片80の凸状の係止部81が、バンド部40の凹状の係合部41,42から浮上して係脱する。
【0048】
このため、バンド部40をバンド挿通路70内から引き抜き、ケーブル類20を取り外すことができる。
(第2の実施の形態)
つぎに、図15を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態の特徴は、図15に示すように、バンド部100の溝状のガイド部101の傾斜面を省いた点である。
【0049】
すなわち、ロック部110のリブ状のロック解除部111の左右の両外側面には、傾斜面112,113を設けている。
一方、バンド部100を持って、その左右の幅方向にスライドさせたり、或いは上下方向に揺動させると、図示しないが、リブ状のロック解除部111の傾斜面112,113の作用により、当該ロック解除部111が溝状のガイド部101から浮上する。
(第3の実施の形態)
つぎに、図16を用いて、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0050】
本実施の形態の特徴は、図16に示すように、バンド部120のガイド部121とロック部130のロック解除部131の凹凸の関係を、図1〜14に示す第1の実施の形態のものと、逆の関係とした点である。
すなわち、ガイド部121は、図16に示すように、ロック部130に向かって突出した突条に形成している。突条のガイド部121は、バンド部120の長さ方向に沿って形成され、断面が略台形形に形成されている。そして、突条のガイド部121の左右の両外側面には、傾斜面122,123をそれぞれ形成している。傾斜面122,123は、「ハ」の字形、或いは下方に向かって開いた逆V字形に傾斜させている。
【0051】
なお、傾斜面122,123を突条のガイド部121の両外側面にそれぞれ形成したが、これに限定されず、片側にだけ形成しても良い。
また、ロック解除部131は、ガイド部121がはまり込む凹状に形成している。凹状のロック解除部131の左右の両内側面には、傾斜面132,133をそれぞれ形成している。傾斜面132,133は、前述した突条のガイド部121の傾斜面122,123と平行に、すなわち「ハ」の字形、或いは下方に向かって開いた逆V字形に傾斜させている。
【0052】
なお、傾斜面122,123を凹状のロック解除部131の両内側面にそれぞれ形成したが、これに限定されず、片側にだけ形成しても良い。また、傾斜面を、突条のガイド部121と溝状のロック解除部131の両方に形成したが、これに限定されず、いずれか一方にだけ形成しても良い。
一方、バンド部120を持って、その左右の幅方向にスライドさせたり、或いは上下方向に揺動させると、図示しないが、突条のガイド部121の傾斜面122,123と、凹状のロック解除部131の傾斜面132,133とが当接する。傾斜面122,123と傾斜面132,133とが当接すると、凹状のロック解除部131が突条のガイド部121に対して上昇する。
(第4の実施の形態)
つぎに、図17を用いて、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0053】
本実施の形態の特徴は、図17に示すように、第1に、ガイド部141,142を、バンド部140の幅方向の両端部にそれぞれ形成している点である。
第2に、本実施の形態の特徴は、ロック解除部151を、ガイド部141,142にそれぞれ摺接するように形成している点である。
すなわち、バンド部140の幅方向の両端部を、図17に示すように、ガイド部141,142として、ガイド部141,142の左右の両外側面を「ハ」の字形、或いは下方に向かって開いた逆V字形に傾斜させている。
【0054】
なお、ガイド部141,142の両外側面をそれぞれ傾斜させたが、これに限定されず、片側だけを傾斜させても良い。
ロック解除部151は、凹状に形成され、左右の両内側面には、傾斜面152,153をそれぞれ形成している。傾斜面152,153は、前述したガイド部141,142の両傾斜面と平行に、すなわち「ハ」の字形、或いは下方に向かって開いた逆V字形に傾斜させている。
【0055】
なお、傾斜面152,153を凹状のロック解除部151の両内側面にそれぞれ形成したが、これに限定されず、片側にだけ形成しても良い。また、傾斜面を、ガイド部141,142と凹状のロック解除部151の両方に形成したが、これに限定されず、いずれか一方にだけ形成しても良い。
一方、バンド部140を持って、その左右の幅方向にスライドさせたり、或いは上下方向に揺動させると、図示しないが、ガイド部141,142の傾斜面と、凹状の凹状のロック解除部151の傾斜面152,153とが当接する。両傾斜面が当接すると、凹状のロック解除部151がガイド部141、すなわちバンド部140に対して上昇する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態の一例を示し、同図はロック部の平面図である。
【図2】留め具の平面図である。
【図3】留め具の側面図である。
【図4】留め具の使用状態を説明するための側面図である。
【図5】ロック部の斜視図である。
【図6】バンド部の一部斜視図である。
【図7】バンド部の断面図である。
【図8】バンド部の他の断面図である。
【図9】ロック部の断面図である。
【図10】ロック部の他の断面図である。
【図11】係合部と係止部、並びにガイド部とロック解除との関係を説明するための説明図である。
【図12】バンド部のロックの解錠方法を説明するための一部斜視図である。
【図13】バンド部のロックの解錠方法を説明するための他の一部斜視図である。
【図14】ガイド部とロック解除部との係合状態を説明するための断面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態の一例を示し、同図はガイド部とロック解除部との係合状態を説明するための断面図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態の一例を示し、同図はガイド部とロック解除部との係合状態を説明するための断面図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態の一例を示し、同図はガイド部とロック解除部との係合状態を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0057】
(第1の実施の形態)
10 留め具 20 ケーブル類
30 パネル 31 取付穴
40 バンド部
41,42 係合部 43 ガイド部
44,45 傾斜面
50 ロック部 60 クリップ部
70 バンド挿通孔 71,72 孔拡張部
80 弾性片
81 係止部 82 ロック解除部
83,84 傾斜面
L バンド部の横幅 W バンド挿通孔の横幅
(第2の実施の形態)
100 バンド部 101 ガイド部(傾斜面無し)
110 ロック部
111 ロック解除部 112,113 傾斜面
(第3の実施の形態)
120 バンド部
121 ガイド部(突条) 122,123 傾斜面
130 ロック部
131 ロック解除部(凹状) 132,133 傾斜面
(第4の実施の形態)
140 バンド部 141,142 ガイド部(傾斜面付き)
150 ロック部
151 ロック解除部(凹状) 152,153 傾斜面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
管・棒状体若しくはケーブル類の外周に巻き付けられるバンド部と、
前記バンド部の一端が連結され、当該バンド部の他端を挿通させて締め付け固定するロック部を備えた管・棒状体若しくはケーブル類の留め具において、
前記バンド部には、
当該バンド部の長さの方向に沿って所定の間隔で設けられ、当該バンド部の表面に凹状又は凸状に形成された複数個の係合部を備え、
前記ロック部には、
前記バンド部を挿通するバンド挿通路と、
前記バンド挿通路に挿通された前記バンド部の前記係合部に向かって弾性的に突出し、前記複数個の係合部の少なくとも1個にはまり合うことで、前記バンド部を前記バンド挿通路内にロックするための係止部とを備え、
前記バンド挿通路内の横幅を、
前記バンド部の横幅より幅広に形成し、
前記係止部には、
前記バンド部の表面に臨むロック解除部を設け、
前記バンド部の表面には、
当該バンド部の長さ方向に沿って、前記ロック解除部に当接するガイド部を設け、
前記ロック解除部と前記ガイド部とのいずれか少なくとも一方には、
前記バンド挿通路内で前記バンド部が幅方向に移動することで、当該係止部を前記係合部から浮き上がらせてロック状態を解除するための傾斜面を設けていることを特徴とする管・棒状体若しくはケーブル類の留め具。
【請求項2】
請求項1に記載の管・棒状体若しくはケーブル類の留め具であって、
前記ロック解除部は、
前記バンド部の表面に向かって突出したリブ状に形成され、
前記ガイド部は、
前記ロック解除部がはまり込む溝状に形成されていることを特徴とする管・棒状体若しくはケーブル類の留め具。
【請求項3】
請求項1に記載の管・棒状体若しくはケーブル類の留め具であって、
前記ガイド部は、
前記ロック部に向かって突出した突条に形成され、
前記ロック解除部は、
前記ガイド部がはまり込む凹状に形成されていることを特徴とする管・棒状体若しくはケーブル類の留め具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の管・棒状体若しくはケーブル類の留め具であって、
前記ガイド部は、
前記バンド部の幅方向の中央に形成され、
前記係合部は、
前記ガイド部により前記バンド部の幅方向に二分されていることを特徴とする管・棒状体若しくはケーブル類の留め具。
【請求項5】
請求項1に記載の管・棒状体若しくはケーブル類の留め具であって、
前記ガイド部は、
前記バンド部の幅方向の両端部にそれぞれ形成され、
前記ロック解除部は、
前記ガイド部にそれぞれ摺接するように形成されていることを特徴とする管・棒状体若しくはケーブル類の留め具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−32009(P2010−32009A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196883(P2008−196883)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】