管状炭素繊維織物の製造方法及び管状炭素繊維織物を用いた炭素繊維加熱ランプ
炭素繊維と一般繊維を編織し、カーボン又はセラミックを塗布し、一般繊維を燃焼させるために加熱することによる中空で網状の炭素繊維筒の製造方法、及びその炭素繊維筒を用いた炭素繊維加熱ランプを開示する。前記炭素繊維加熱ランプは真空ガラス管と、炭素繊維(6)及び一般繊維を原料として用いて編織された、中空部を有する管状炭素繊維筒(30)と、発熱体とを備える。前記発熱体は、所定の長さを有し、前記真空ガラス管に収納された前記中空の管状炭素繊維筒(30)を含有し、前記真空ガラス管の外部に備えられた両端子を通じて外部から供給された電力を用いて熱を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、炭素繊維加熱ランプ及びそのための管状炭素繊維織物の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、炭素繊維と一般繊維とを原料として編織し、炭素またはセラミックを塗布した後、加熱して一般繊維を燃焼させることにより、網状かつ中空の炭素繊維管を製造する方法、及び前記炭素繊維管を用いた炭素繊維加熱ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ランプは真空ガラス管と、その内部に収納されるフィラメントを備える。ランプは、典型的には、フィラメントに電流が流れたときに光を発生させる照明用ランプと、フィラメントで熱を発生させる加熱ランプとに分類される。このようなランプは真空ガラス管内部にフィラメントを収納し、前記ガラス管の両端にフィラメントと外部とを連結するための端子を配置することによって製造される。さらに詳しくは、このようなランプはガラス管の軸に沿ってその内部にタングステンフィラメントを収納し、ガラス管内にヨードガスを注入し、ガラス管を封止して製造される。このように製造されたランプのフィラメントに電流を流したとき(電気を供給したとき)、フィラメント中に存在するタングステン原子がガラス管壁でヨードと結合し、ヨード化タングステンに変換される。その後、その化合物はフィラメントに再び戻る。フィラメントに戻されたヨード化タングステンは分解されて、フィラメントにタングステンを残す。このような過程はヨードサイクルと呼ばれる。ヨードサイクルを受けるランプは長時間高い効率で用いられ得る。
【0003】
しかしながら、前述の従来のランプは、そのフィラメントが外部からの衝撃で損傷し易く、また、発生される熱により変形しやすいという問題点がある。すなわち、このようなランプは耐久性がない。さらに、従来のランプはフィラメントを配置するために高いコストが要求されるという問題があり、そのためにランプが高くなるという問題点を有する。
【0004】
一方、面状発熱体などに用いられる炭素繊維は極細の炭素繊維束を形成する。例えば、26,400本の炭素繊維からなり、それぞれの炭素繊維が長さ1m、直径0.3mmの場合、その炭素繊維の束は約60Ωの抵抗値を有する。従って希望する出力(W)はこのような原理に基づいて設計され、それによって面状発熱体が製造される。この場合、抵抗値はR=rho(l/s)の抵抗式によって決められる。前記式において、Rは抵抗値を示し、ρは抵抗率を示し、lは長さを示し、sは単位面積を示す。しかしながら、炭素繊維は面状発熱体の熱源として使用され、約50℃から約70℃の範囲の温度を生成する。もし、温度が70℃を超えた場合には、火災の恐れがあり、面状発熱体は酸素によって酸化されて、そのために面状発熱体の耐久性は著しく低下する。
【0005】
一方、炭素繊維を熱源として用い、その炭素繊維を真空チューブに収納した加熱ランプが提案された。しかしながら、所定の抵抗値を設定するために一定の炭素繊維の束を形成し、それにより希望する出力を供給する技術、炭素繊維を端子に固定する技術、及び炭素繊維を接続する技術が要求されるレベルよりも低かった。それゆえに、このようなランプを工業化することは難しい。このような技術の一例としては、日本国特許公開公報第2000−123960号公報として公開された、炭素系発熱体が提案されている。その引用文献によれば、図1に示すように、炭素系発熱体1の両端にキャップ状電極部2が配置されている。その炭素系発熱体1及びキャップ状電極部2は、真空密閉管3内に内蔵されている。キャップ状電極部2は電気を供給するためにリード線4が接続させている。図2に示すように、各リード線4は炭素繊維束体5に結合されており、それは、炭素繊維6の束の外周を炭素糸7で縛ることによって形成されている。
【0006】
発熱体1は少なくとも一つの炭素繊維束体5を備え、キャップ状電極部2は発熱体1の両端に装着されている。このように結合された部材は真空密閉管3に収納されている。このような発熱体においては、目的とする抵抗値を与え、目的とする出力(W)をアウトプットするように所望の炭素繊維6が選択され、所望の数の炭素繊維束が用いられる。しかしながら、このような発熱体は、炭素繊維6を炭素糸7で縛るための煩雑さと、縛った炭素糸7が解けないように、必要に応じて、炭素繊維束体が液状樹脂を含浸されなければならないという問題点がある。
【0007】
一方、出力を高めるために、炭素繊維の数を増加させる代わりに、炭素繊維の長さを長くする方法が提案された。これは日本国特許公開公報第2002−63870号公報(米国特許公開公報第2001/0055478A1)で開示されており、これは図3に図示されている。前記図面に示すように、リード線4が真空密閉容器3の両端に備えられており、導通するように設けられたリード線4と結合された電極片4-1が、真空密閉容器3の両端を押さえて支える平面端子部3-1上に設けられている。さらに、コイルバンド状の炭素繊維フィラメント10を真空密閉管3の内壁に支持するように、スペーサー13が一定の間隔で備えられている。電力供給スリーブ20-1を有する支持端子20が、炭素繊維フィラメント10の両端にそれぞれ備えられている。支持端子20のそれぞれは、スリーブ20-1と、スリーブ20-1に結合され、中間端子20-3に結合される接続片20-2とを含む。
【0008】
しかしながら、このような技術は単純に炭素繊維フィラメント10を中間端子20に固定するように機能する。この技術は、真空密閉管3の中央にフィラメント10を配置させることが難しいという問題があり、そのために、さらに、スペーサー13が組み込まれなければならなかった。さらに、炭素繊維フィラメント10は炭素繊維束を所定の幅に配列し、その束を帯状に形成することによって得られる構造を有する。このために、炭素繊維間の結束力が弱く、そのために、衝撃や長時間使用後に、炭素繊維束を構成する炭素繊維が互いに分離し、それにより耐久性が低下する。
【0009】
一方、炭素繊維を帯状に撚って得られる炭素繊維撚糸を発熱体として用いた加熱ランプの例が、米国特許第6,534,904号公報に開示されている。図4に示されたように、この加熱ランプは、螺旋状に巻かれ、炭素リボンの形状を有する発熱体2aが真空密閉管3内に収納されるように構成されており、外部電力が支持端子20及びコネクタ1aを介して発熱体2aの両端に供給される。この場合、発熱体2aは、真空密閉管の長さBの1.5倍の長さを有するように構成され、このようにして、希望の出力を与える。すなわち、発熱体2aは、所望の抵抗値を有する、所定の長さに伸びるような螺旋形状を有する。しかしながら、このような技術は、発熱体2aを支えるための部材構成要素がないために、発熱体2aがたるんで密閉管3の内壁に接触するようになるおそれがあるという問題がある。このような接触により、過熱が起こり、そのために耐久性が低下し、これにより加熱ランプの工業化が難しいという問題点がある。
【0010】
炭素リボン状の発熱体の製造装置が、米国特許第6,464,918号で提案されている。図5を参照すると、この装置は、螺旋シャフト4b、供給手段10b、モータ12b、加熱空気ファン5b、ノズル6b、及び、駆動モータ11bを備える。螺旋シャフト4bは巻かれる発熱体と同様の直径を有する。供給手段10bは、炭素リボン3bを螺旋シャフト4bに供給する。モータ12bは、供給手段10bに駆動力を提供する。加熱空気ファン5bは、供給手段10bから供給される炭素リボン3bを加熱する。ノズル6bは、熱気ファン5bからの加熱空気を炭素リボン3bに排出する。加熱空気ファン5bに結合された駆動モータ11bは、レイル7bに沿って矢印9b方向に沿って加熱空気ファン5bを動かす。この場合、レイル7bは螺旋シャフト4bと平行に備えられている。参照符号13bはモータ11bと12bを同時に駆動する制御線、又は駆動手段を示す。さらに、炭素リボン3bは螺旋シャフト4bに一定に巻かれるようにテンション8bを持つことが好ましい。続いて、炭素リボンを軟化させるために、約300℃の加熱空気が加熱空気ファン5bから供給される。供給手段10bは、加熱空気ファン5bの移動速度と同様の速度で炭素リボン3bを供給し、螺旋シャフト4bに螺旋状に巻かれた炭素リボン3bが軟化される。炭素リボンが巻き終わったとき、窒素ガス圧中で約1,000℃に加熱され、その後冷却されて、単純な炭素リボンが螺旋状を有し、それにより、図4の発熱体が得られる。このようなプロセスは、単なる巻かれた炭素リボンを復元力を有する螺旋構造に物性を変化させる。すなわち、炭素帯リボンを構成する炭素繊維/樹脂からなる発熱体中の樹脂が高熱(1,000℃)で消滅し、それにより、発熱体が炭素のみを含有するようになる。それによって、発熱体の特性が硬く(しかし発熱体は薄いので弾性力を有する)変化する。その結果、螺旋状の発熱体が得られる。
【0011】
しかしながら、このような発熱体は、帯状の発熱体に基づくものであり、弾性力の保持に限界があるため、製品としての発熱体の製造が困難である。さらに、図3に示されるように、一定間隔毎にスペーサーを設ける必要があるために、商品性に乏しかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[技術的課題]
従って、本発明は従来技術における上記問題に留意して、本発明の目的は、炭素繊維管の製造方法、及び前記炭素繊維管を用いた炭素繊維加熱ランプを提供することであって、前記炭素繊維管は、炭素繊維と一般繊維とを用いて組み紐状に編織され、中央に空洞を有する管状の発熱体であり、それにより、炭素繊維管は製造が容易で、目的とする抵抗値が比較的短い長さの発熱体を用いて達成することができ、多様な容量を有する。
【0013】
本発明の他の目的は、炭素繊維管の製造方法、及び前記炭素繊維管を用いた炭素繊維加熱ランプを提供することであって、管状の発熱体を使用することにより、中空の内部空間に空気を循環させ、且つ、内部空間が変形を吸収するように作用し、それゆえに、外観が容易に保持される。
【0014】
本発明のまた他の目的は、炭素繊維管の製造方法、及び前記炭素繊維管を用いた炭素繊維加熱ランプを提供することであって、炭素繊維は単位繊維束に編織され、このために抵抗値の大きさが調節され易い。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、炭素繊維管の製造方法、及び前記炭素繊維管を用いた炭素繊維加熱ランプを提供することであって、発熱体が円筒状炭素繊維管であり、これにより、編織の際の編織機のヘッドを別のものに交換することにより、直径の調節が容易になり、それゆえに、その直径を調節することにより発熱体の抵抗値が容易に調節される。
【0016】
本発明のなおさらに別の目的は、炭素繊維管の製造方法、及び前記炭素繊維管を用いた炭素繊維加熱ランプを提供することであって、炭素繊維を組み紐状に形成し、その後、発熱体として、長手方向の中央に空洞を有し、編織物の形態を有する炭素繊維管を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
[技術的解決方法]
前記目的を達成するため、本発明は、真空ガラス管と、炭素繊維(6)及び一般繊維を原料として用いて編織した中空の管状炭素繊維筒(30)と、前記真空ガラス管に収納される所定の長さの前記中空の管状炭素繊維筒(30)から構成される発熱体を含有し、前記真空ガラス管の外部に備えられた両端子を通じて外部から供給される電力を用いて熱を発生する、炭素繊維加熱ランプを提供する。
【0018】
好ましくは、前記炭素繊維筒(30)の表面はコートされて、編織された炭素繊維を固定するためのコーティング層(40)が形成される。この場合において、前記コーティング層(40)は炭素コーティング層又はセラミックコーティング層である。
【0019】
好ましくは、前記炭素繊維(6)は単位炭素繊維束を構成する。
【0020】
さらに、本発明は、炭素繊維及び一般繊維を原料として用いて編織することによって、中空の管状炭素繊維筒を形成する工程;前記管状炭素繊維筒の表面に耐熱性コーティング層をコーティング及び乾燥する工程;前記コートされた炭素繊維筒を加熱して前記一般繊維のみを燃焼させることにより、前記管状炭素繊維筒を網状炭素繊維筒に変化させる工程を含む炭素繊維加熱ランプ用炭素繊維管の製造方法を提供する。
【0021】
好ましくは、前記コーティングされた炭素繊維筒は1,000℃〜3,500℃の範囲の温度で加熱する。
【発明の効果】
【0022】
[有利な効果]
前述のように、本発明によれば、炭素繊維筒が中空部を有するように織造される。この方法によれば、中空部が衝撃を吸収し、変形に抵抗するように機能する。このように、炭素繊維筒を用いた加熱ランプは高い耐久性を有する。さらに、大量の炭素繊維や炭素繊維束が環を有するように織造される。このように、大量の炭素繊維が用いられるために、抵抗値の調整が容易である。一方、従来技術は炭素繊維束の数を増やす傾向があり、そのために、織造が容易ではなく、炭素繊維束結合が容易に互いに分離されて、このために不良率が高かった。一方、本発明によれば、中空の円筒状の炭素繊維筒が製造されるために、製造が容易で、炭素繊維の長さを伸ばしたときと同様の効果が発揮される。これにより、炭素繊維が短い場合でも、高抵抗値を有し、これにより、高出力の加熱ランプの製造が可能になる。さらに、炭素繊維長さが短い場合には、単純に炭素繊維筒の直径を長くすることにより、高い抵抗値が得られる。それゆえに、多様なデザインの加熱ランプを製作することができる。
【0023】
その上、中空部を通じて放熱するとき、炭素繊維筒の内側及び外側の表面が均一な温度を維持することにより、変形を抑制して耐久性が向上する。
【0024】
さらに、本発明によれば、炭素繊維筒が炭素繊維と一般繊維とを交互に使用して編織し、編織された炭素繊維筒に耐熱コーティングを施す。その後、焼工程が行われたとき、一般繊維が燃え尽くされ、コーティング層が炭素繊維の表面で焼結され、形状を維持し、復元力がでる。それゆえに、加熱ランプが用いられたときに、加熱ランプの耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[発明の形態]
以下、本発明の好ましい実施形態を、添付する図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図6は本発明の平面図、図7は支持端子の断面図、図8は図6のA−A線に沿った拡大断面図、図9は図6の他の例を示す拡大断面図である。加熱体は複数の炭素繊維の束を撚り合わせることによって形成される円筒状の炭素繊維筒30からなる。電気導通用の支持端子20は、炭素繊維筒30の両端に配される。各支持端子20は耐熱性中間端子20−3を介して導通可能なように外部リード線4に結合された電極片4−1に固定される。この場合、各中間端子20−3と電極片4−1は耐熱性に優れたモリブデンから得られたものであることが好ましい。参照符号3−1は対応する電極片4−1が配置される平面端子部を示す。支持端子20の一例が図7に示されている。すなわち、炭素繊維筒30の一端の外周が対応する支持炭素リング20−5の内周に配置されている。さらに、結合ばね20−4が支持炭素リング20−5の内周に嵌め合わされ、結合ばねが外側に押し付けられている。中間端子20−3は結合ばね20−4の外端と一体化されている。
【0027】
図8は図6のA−A線に沿った断面図であり、組み紐状を形成するように炭素繊維6を用いて織造された円筒状の炭素繊維筒30を示す。勿論、炭素繊維筒は、織針の大きさや間隔を調整することによって、直径を適切に調整して織造されることが可能である。参照符号31は炭素繊維筒30の中空部を示す。
【0028】
図9は図8の方式に基づいて織造された別の炭素繊維筒30であって、炭素繊維筒が炭素繊維6単位ではなく、炭素繊維束5を用いて織造されたものを示す。
【0029】
本発明で使用される編織機の例としては、韓国実用新案公告公報第1994−8522号(組紐製造用の編織装置)、韓国実用新案公告公報第1994−8523号(編織機)、韓国実用新案登録公報第20−0194506号(編織用の極細糸)がある。このような編織機は公知の技術であるので、編織技術と構成の説明は省略する。
【0030】
このように織造された炭素繊維筒30を用いることによって、図5に示されたように加熱ランプが製造され用いられる。この場合、加熱ランプは一般的な製造技術によって製造されるため、その製造技術の説明は省略し、炭素繊維筒30に関して主に説明する。
【0031】
本発明によれば、図8及び図9に示すように、炭素繊維筒30は炭素繊維6や炭素繊維束5を用いて管状の編物形状に織造される。炭素繊維筒30は単純な編物形状ではなく、中央に中空部31を有するように織造される。このために、中空部31が衝撃を吸収し、変形にある程度抵抗する機能を発現する。それゆえに、このような炭素繊維筒を用いて製造された加熱ランプは高い耐久性を有する。大量の炭素繊維6や炭素繊維束5が環状に形成されるように織造されるので、大量の炭素繊維を用いることにより抵抗値を調整しやすい。従来、炭素繊維束の数のみを増やす傾向があった。それでは、織造が容易ではなく、また、望ましくない炭素繊維束の互いの分離が生じ、それによる不良率が高かった。しかしながら、本発明によれば、炭素繊維筒が中空を有する円筒状に製造される。このように、炭素繊維筒の製造が容易であって、本発明は炭素繊維の長さを自然に伸ばす効果を有する。それによって、炭素繊維の長さが短い場合でも、高い抵抗値が得られ、それにより、高出力の加熱ランプを製造することができる。さらに、炭素繊維の長さが短いときは、単純に炭素繊維筒30の直径を大きくすることによって、高抵抗値が得られる。それゆえに、多様なデザインの加熱ランプが得られうる。
【0032】
さらに中空部31を介して放熱されるとき、炭素繊維筒30の内側及び外側の表面が一定の温度を維持し、これにより炭素繊維筒の変形を抑制し、それにより、耐久性を向上させる。
【0033】
本発明の他の例としては、管状炭素繊維筒が図10〜図13に示されている。
【0034】
炭素繊維筒の製造(編織)工程とコーティング工程とが以下に示される。
【0035】
すなわち、炭素繊維(例えば、炭素繊維(6−1,6−3,…6−n−1)と化学(又は綿)繊維6−2,6−4,・・・6−nを交互に編織する。編織された炭素繊維筒の表面がコートされて、耐熱性コーティング層40が形成される。耐熱性コーティング層40は図10及び図12には示しておらず、図11の拡大図に示している。(コーティング法はスプレー法やディップ法が用いられうる)。このとき、セラミック層や炭素コーティング層がコーティング層40として用いられる。セラミック層は次のような工程により形成される。すなわち、セラミック粉末を希釈して、釉薬形態で、編織された炭素繊維筒30の表面に塗布し、その後、乾燥して、図10に示すように各炭素繊維6の表面にコーティング層40を形成する。続いて、後に説明する焼工程により、各炭素繊維6の表面のコーティング層が焼結される。この場合、セラミック層はセラミック(Al2O3+ZrO2+Y2O3)から形成されてもよい。一方、本発明は、炭素コーティングを使用することができるが、炭素コーティング剤として、例えば、面状発熱体などに使用され、日本国etec社によって製造されている製品名「炭素ブロック」等が用いられる。
【0036】
焼工程
編織及びコーティングされた炭素繊維筒が1,000℃〜3,500℃の温度で焼かれたとき、コーティング層40は焼結される。図10に示された一般繊維(6−2,6−4,…6−n)が燃焼し、図12及び図13に示されたような、網孔32が形成される(図面は一般繊維が存在するかの如く示しているが、一般繊維は焼工程において燃え尽きて、網孔32が形成される)。一般繊維が燃焼されて形成された網孔32は、コーティング層400が焼結された後に残る各炭素繊維(6−1、6−3、…6−n−1)の接触部分を結合する作用をする。その後、冷却操作が行われ(徐冷操作、又は急冷操作が選択されて用いられる)、一定の網孔32を有する炭素繊維筒が得られる。
【0037】
本発明の好ましい実施形態を実例を示す目的で開示したが、添付する請求の範囲で開示された本発明の範囲と思想から外れない範囲で、当業者は種々の変更、付加、置換によりさらに改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、従来の炭素系発熱体の構成を示す図である。
【図2】図2は、図1で用いられた発熱体の要部を示す拡大図である。
【図3】図3は、従来のばね型炭素繊維加熱ランプを示す平面図である。
【図4】図4は、別の従来のばね型炭素繊維加熱ランプを示す図である。
【図5】図5は、図4の炭素繊維発熱体の製造装置の示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明に係る炭素繊維加熱ランプの平面図である。
【図7】図7は、本発明の支持端子を示す断面図である。
【図8】図8は、図6のA−A線に沿った拡大断面図である。
【図9】図9は、炭素繊維束での使用を示す拡大断面図である。
【図10】図10は、図8の断面をより詳細に示した図である。
【図11】図11は、図10の炭素繊維筒がコーティングされた状態を示す部分断面図である。
【図12】図12は、図10の炭素繊維筒が加熱されて、一般繊維が燃焼された場合を示す断面図である。
【図13】図13は、図8〜図10及び図12の管状の炭素繊維筒のように、炭素繊維の数を減らし、コーティング層を省略した状態を示した平面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、炭素繊維加熱ランプ及びそのための管状炭素繊維織物の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、炭素繊維と一般繊維とを原料として編織し、炭素またはセラミックを塗布した後、加熱して一般繊維を燃焼させることにより、網状かつ中空の炭素繊維管を製造する方法、及び前記炭素繊維管を用いた炭素繊維加熱ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ランプは真空ガラス管と、その内部に収納されるフィラメントを備える。ランプは、典型的には、フィラメントに電流が流れたときに光を発生させる照明用ランプと、フィラメントで熱を発生させる加熱ランプとに分類される。このようなランプは真空ガラス管内部にフィラメントを収納し、前記ガラス管の両端にフィラメントと外部とを連結するための端子を配置することによって製造される。さらに詳しくは、このようなランプはガラス管の軸に沿ってその内部にタングステンフィラメントを収納し、ガラス管内にヨードガスを注入し、ガラス管を封止して製造される。このように製造されたランプのフィラメントに電流を流したとき(電気を供給したとき)、フィラメント中に存在するタングステン原子がガラス管壁でヨードと結合し、ヨード化タングステンに変換される。その後、その化合物はフィラメントに再び戻る。フィラメントに戻されたヨード化タングステンは分解されて、フィラメントにタングステンを残す。このような過程はヨードサイクルと呼ばれる。ヨードサイクルを受けるランプは長時間高い効率で用いられ得る。
【0003】
しかしながら、前述の従来のランプは、そのフィラメントが外部からの衝撃で損傷し易く、また、発生される熱により変形しやすいという問題点がある。すなわち、このようなランプは耐久性がない。さらに、従来のランプはフィラメントを配置するために高いコストが要求されるという問題があり、そのためにランプが高くなるという問題点を有する。
【0004】
一方、面状発熱体などに用いられる炭素繊維は極細の炭素繊維束を形成する。例えば、26,400本の炭素繊維からなり、それぞれの炭素繊維が長さ1m、直径0.3mmの場合、その炭素繊維の束は約60Ωの抵抗値を有する。従って希望する出力(W)はこのような原理に基づいて設計され、それによって面状発熱体が製造される。この場合、抵抗値はR=rho(l/s)の抵抗式によって決められる。前記式において、Rは抵抗値を示し、ρは抵抗率を示し、lは長さを示し、sは単位面積を示す。しかしながら、炭素繊維は面状発熱体の熱源として使用され、約50℃から約70℃の範囲の温度を生成する。もし、温度が70℃を超えた場合には、火災の恐れがあり、面状発熱体は酸素によって酸化されて、そのために面状発熱体の耐久性は著しく低下する。
【0005】
一方、炭素繊維を熱源として用い、その炭素繊維を真空チューブに収納した加熱ランプが提案された。しかしながら、所定の抵抗値を設定するために一定の炭素繊維の束を形成し、それにより希望する出力を供給する技術、炭素繊維を端子に固定する技術、及び炭素繊維を接続する技術が要求されるレベルよりも低かった。それゆえに、このようなランプを工業化することは難しい。このような技術の一例としては、日本国特許公開公報第2000−123960号公報として公開された、炭素系発熱体が提案されている。その引用文献によれば、図1に示すように、炭素系発熱体1の両端にキャップ状電極部2が配置されている。その炭素系発熱体1及びキャップ状電極部2は、真空密閉管3内に内蔵されている。キャップ状電極部2は電気を供給するためにリード線4が接続させている。図2に示すように、各リード線4は炭素繊維束体5に結合されており、それは、炭素繊維6の束の外周を炭素糸7で縛ることによって形成されている。
【0006】
発熱体1は少なくとも一つの炭素繊維束体5を備え、キャップ状電極部2は発熱体1の両端に装着されている。このように結合された部材は真空密閉管3に収納されている。このような発熱体においては、目的とする抵抗値を与え、目的とする出力(W)をアウトプットするように所望の炭素繊維6が選択され、所望の数の炭素繊維束が用いられる。しかしながら、このような発熱体は、炭素繊維6を炭素糸7で縛るための煩雑さと、縛った炭素糸7が解けないように、必要に応じて、炭素繊維束体が液状樹脂を含浸されなければならないという問題点がある。
【0007】
一方、出力を高めるために、炭素繊維の数を増加させる代わりに、炭素繊維の長さを長くする方法が提案された。これは日本国特許公開公報第2002−63870号公報(米国特許公開公報第2001/0055478A1)で開示されており、これは図3に図示されている。前記図面に示すように、リード線4が真空密閉容器3の両端に備えられており、導通するように設けられたリード線4と結合された電極片4-1が、真空密閉容器3の両端を押さえて支える平面端子部3-1上に設けられている。さらに、コイルバンド状の炭素繊維フィラメント10を真空密閉管3の内壁に支持するように、スペーサー13が一定の間隔で備えられている。電力供給スリーブ20-1を有する支持端子20が、炭素繊維フィラメント10の両端にそれぞれ備えられている。支持端子20のそれぞれは、スリーブ20-1と、スリーブ20-1に結合され、中間端子20-3に結合される接続片20-2とを含む。
【0008】
しかしながら、このような技術は単純に炭素繊維フィラメント10を中間端子20に固定するように機能する。この技術は、真空密閉管3の中央にフィラメント10を配置させることが難しいという問題があり、そのために、さらに、スペーサー13が組み込まれなければならなかった。さらに、炭素繊維フィラメント10は炭素繊維束を所定の幅に配列し、その束を帯状に形成することによって得られる構造を有する。このために、炭素繊維間の結束力が弱く、そのために、衝撃や長時間使用後に、炭素繊維束を構成する炭素繊維が互いに分離し、それにより耐久性が低下する。
【0009】
一方、炭素繊維を帯状に撚って得られる炭素繊維撚糸を発熱体として用いた加熱ランプの例が、米国特許第6,534,904号公報に開示されている。図4に示されたように、この加熱ランプは、螺旋状に巻かれ、炭素リボンの形状を有する発熱体2aが真空密閉管3内に収納されるように構成されており、外部電力が支持端子20及びコネクタ1aを介して発熱体2aの両端に供給される。この場合、発熱体2aは、真空密閉管の長さBの1.5倍の長さを有するように構成され、このようにして、希望の出力を与える。すなわち、発熱体2aは、所望の抵抗値を有する、所定の長さに伸びるような螺旋形状を有する。しかしながら、このような技術は、発熱体2aを支えるための部材構成要素がないために、発熱体2aがたるんで密閉管3の内壁に接触するようになるおそれがあるという問題がある。このような接触により、過熱が起こり、そのために耐久性が低下し、これにより加熱ランプの工業化が難しいという問題点がある。
【0010】
炭素リボン状の発熱体の製造装置が、米国特許第6,464,918号で提案されている。図5を参照すると、この装置は、螺旋シャフト4b、供給手段10b、モータ12b、加熱空気ファン5b、ノズル6b、及び、駆動モータ11bを備える。螺旋シャフト4bは巻かれる発熱体と同様の直径を有する。供給手段10bは、炭素リボン3bを螺旋シャフト4bに供給する。モータ12bは、供給手段10bに駆動力を提供する。加熱空気ファン5bは、供給手段10bから供給される炭素リボン3bを加熱する。ノズル6bは、熱気ファン5bからの加熱空気を炭素リボン3bに排出する。加熱空気ファン5bに結合された駆動モータ11bは、レイル7bに沿って矢印9b方向に沿って加熱空気ファン5bを動かす。この場合、レイル7bは螺旋シャフト4bと平行に備えられている。参照符号13bはモータ11bと12bを同時に駆動する制御線、又は駆動手段を示す。さらに、炭素リボン3bは螺旋シャフト4bに一定に巻かれるようにテンション8bを持つことが好ましい。続いて、炭素リボンを軟化させるために、約300℃の加熱空気が加熱空気ファン5bから供給される。供給手段10bは、加熱空気ファン5bの移動速度と同様の速度で炭素リボン3bを供給し、螺旋シャフト4bに螺旋状に巻かれた炭素リボン3bが軟化される。炭素リボンが巻き終わったとき、窒素ガス圧中で約1,000℃に加熱され、その後冷却されて、単純な炭素リボンが螺旋状を有し、それにより、図4の発熱体が得られる。このようなプロセスは、単なる巻かれた炭素リボンを復元力を有する螺旋構造に物性を変化させる。すなわち、炭素帯リボンを構成する炭素繊維/樹脂からなる発熱体中の樹脂が高熱(1,000℃)で消滅し、それにより、発熱体が炭素のみを含有するようになる。それによって、発熱体の特性が硬く(しかし発熱体は薄いので弾性力を有する)変化する。その結果、螺旋状の発熱体が得られる。
【0011】
しかしながら、このような発熱体は、帯状の発熱体に基づくものであり、弾性力の保持に限界があるため、製品としての発熱体の製造が困難である。さらに、図3に示されるように、一定間隔毎にスペーサーを設ける必要があるために、商品性に乏しかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[技術的課題]
従って、本発明は従来技術における上記問題に留意して、本発明の目的は、炭素繊維管の製造方法、及び前記炭素繊維管を用いた炭素繊維加熱ランプを提供することであって、前記炭素繊維管は、炭素繊維と一般繊維とを用いて組み紐状に編織され、中央に空洞を有する管状の発熱体であり、それにより、炭素繊維管は製造が容易で、目的とする抵抗値が比較的短い長さの発熱体を用いて達成することができ、多様な容量を有する。
【0013】
本発明の他の目的は、炭素繊維管の製造方法、及び前記炭素繊維管を用いた炭素繊維加熱ランプを提供することであって、管状の発熱体を使用することにより、中空の内部空間に空気を循環させ、且つ、内部空間が変形を吸収するように作用し、それゆえに、外観が容易に保持される。
【0014】
本発明のまた他の目的は、炭素繊維管の製造方法、及び前記炭素繊維管を用いた炭素繊維加熱ランプを提供することであって、炭素繊維は単位繊維束に編織され、このために抵抗値の大きさが調節され易い。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、炭素繊維管の製造方法、及び前記炭素繊維管を用いた炭素繊維加熱ランプを提供することであって、発熱体が円筒状炭素繊維管であり、これにより、編織の際の編織機のヘッドを別のものに交換することにより、直径の調節が容易になり、それゆえに、その直径を調節することにより発熱体の抵抗値が容易に調節される。
【0016】
本発明のなおさらに別の目的は、炭素繊維管の製造方法、及び前記炭素繊維管を用いた炭素繊維加熱ランプを提供することであって、炭素繊維を組み紐状に形成し、その後、発熱体として、長手方向の中央に空洞を有し、編織物の形態を有する炭素繊維管を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
[技術的解決方法]
前記目的を達成するため、本発明は、真空ガラス管と、炭素繊維(6)及び一般繊維を原料として用いて編織した中空の管状炭素繊維筒(30)と、前記真空ガラス管に収納される所定の長さの前記中空の管状炭素繊維筒(30)から構成される発熱体を含有し、前記真空ガラス管の外部に備えられた両端子を通じて外部から供給される電力を用いて熱を発生する、炭素繊維加熱ランプを提供する。
【0018】
好ましくは、前記炭素繊維筒(30)の表面はコートされて、編織された炭素繊維を固定するためのコーティング層(40)が形成される。この場合において、前記コーティング層(40)は炭素コーティング層又はセラミックコーティング層である。
【0019】
好ましくは、前記炭素繊維(6)は単位炭素繊維束を構成する。
【0020】
さらに、本発明は、炭素繊維及び一般繊維を原料として用いて編織することによって、中空の管状炭素繊維筒を形成する工程;前記管状炭素繊維筒の表面に耐熱性コーティング層をコーティング及び乾燥する工程;前記コートされた炭素繊維筒を加熱して前記一般繊維のみを燃焼させることにより、前記管状炭素繊維筒を網状炭素繊維筒に変化させる工程を含む炭素繊維加熱ランプ用炭素繊維管の製造方法を提供する。
【0021】
好ましくは、前記コーティングされた炭素繊維筒は1,000℃〜3,500℃の範囲の温度で加熱する。
【発明の効果】
【0022】
[有利な効果]
前述のように、本発明によれば、炭素繊維筒が中空部を有するように織造される。この方法によれば、中空部が衝撃を吸収し、変形に抵抗するように機能する。このように、炭素繊維筒を用いた加熱ランプは高い耐久性を有する。さらに、大量の炭素繊維や炭素繊維束が環を有するように織造される。このように、大量の炭素繊維が用いられるために、抵抗値の調整が容易である。一方、従来技術は炭素繊維束の数を増やす傾向があり、そのために、織造が容易ではなく、炭素繊維束結合が容易に互いに分離されて、このために不良率が高かった。一方、本発明によれば、中空の円筒状の炭素繊維筒が製造されるために、製造が容易で、炭素繊維の長さを伸ばしたときと同様の効果が発揮される。これにより、炭素繊維が短い場合でも、高抵抗値を有し、これにより、高出力の加熱ランプの製造が可能になる。さらに、炭素繊維長さが短い場合には、単純に炭素繊維筒の直径を長くすることにより、高い抵抗値が得られる。それゆえに、多様なデザインの加熱ランプを製作することができる。
【0023】
その上、中空部を通じて放熱するとき、炭素繊維筒の内側及び外側の表面が均一な温度を維持することにより、変形を抑制して耐久性が向上する。
【0024】
さらに、本発明によれば、炭素繊維筒が炭素繊維と一般繊維とを交互に使用して編織し、編織された炭素繊維筒に耐熱コーティングを施す。その後、焼工程が行われたとき、一般繊維が燃え尽くされ、コーティング層が炭素繊維の表面で焼結され、形状を維持し、復元力がでる。それゆえに、加熱ランプが用いられたときに、加熱ランプの耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[発明の形態]
以下、本発明の好ましい実施形態を、添付する図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図6は本発明の平面図、図7は支持端子の断面図、図8は図6のA−A線に沿った拡大断面図、図9は図6の他の例を示す拡大断面図である。加熱体は複数の炭素繊維の束を撚り合わせることによって形成される円筒状の炭素繊維筒30からなる。電気導通用の支持端子20は、炭素繊維筒30の両端に配される。各支持端子20は耐熱性中間端子20−3を介して導通可能なように外部リード線4に結合された電極片4−1に固定される。この場合、各中間端子20−3と電極片4−1は耐熱性に優れたモリブデンから得られたものであることが好ましい。参照符号3−1は対応する電極片4−1が配置される平面端子部を示す。支持端子20の一例が図7に示されている。すなわち、炭素繊維筒30の一端の外周が対応する支持炭素リング20−5の内周に配置されている。さらに、結合ばね20−4が支持炭素リング20−5の内周に嵌め合わされ、結合ばねが外側に押し付けられている。中間端子20−3は結合ばね20−4の外端と一体化されている。
【0027】
図8は図6のA−A線に沿った断面図であり、組み紐状を形成するように炭素繊維6を用いて織造された円筒状の炭素繊維筒30を示す。勿論、炭素繊維筒は、織針の大きさや間隔を調整することによって、直径を適切に調整して織造されることが可能である。参照符号31は炭素繊維筒30の中空部を示す。
【0028】
図9は図8の方式に基づいて織造された別の炭素繊維筒30であって、炭素繊維筒が炭素繊維6単位ではなく、炭素繊維束5を用いて織造されたものを示す。
【0029】
本発明で使用される編織機の例としては、韓国実用新案公告公報第1994−8522号(組紐製造用の編織装置)、韓国実用新案公告公報第1994−8523号(編織機)、韓国実用新案登録公報第20−0194506号(編織用の極細糸)がある。このような編織機は公知の技術であるので、編織技術と構成の説明は省略する。
【0030】
このように織造された炭素繊維筒30を用いることによって、図5に示されたように加熱ランプが製造され用いられる。この場合、加熱ランプは一般的な製造技術によって製造されるため、その製造技術の説明は省略し、炭素繊維筒30に関して主に説明する。
【0031】
本発明によれば、図8及び図9に示すように、炭素繊維筒30は炭素繊維6や炭素繊維束5を用いて管状の編物形状に織造される。炭素繊維筒30は単純な編物形状ではなく、中央に中空部31を有するように織造される。このために、中空部31が衝撃を吸収し、変形にある程度抵抗する機能を発現する。それゆえに、このような炭素繊維筒を用いて製造された加熱ランプは高い耐久性を有する。大量の炭素繊維6や炭素繊維束5が環状に形成されるように織造されるので、大量の炭素繊維を用いることにより抵抗値を調整しやすい。従来、炭素繊維束の数のみを増やす傾向があった。それでは、織造が容易ではなく、また、望ましくない炭素繊維束の互いの分離が生じ、それによる不良率が高かった。しかしながら、本発明によれば、炭素繊維筒が中空を有する円筒状に製造される。このように、炭素繊維筒の製造が容易であって、本発明は炭素繊維の長さを自然に伸ばす効果を有する。それによって、炭素繊維の長さが短い場合でも、高い抵抗値が得られ、それにより、高出力の加熱ランプを製造することができる。さらに、炭素繊維の長さが短いときは、単純に炭素繊維筒30の直径を大きくすることによって、高抵抗値が得られる。それゆえに、多様なデザインの加熱ランプが得られうる。
【0032】
さらに中空部31を介して放熱されるとき、炭素繊維筒30の内側及び外側の表面が一定の温度を維持し、これにより炭素繊維筒の変形を抑制し、それにより、耐久性を向上させる。
【0033】
本発明の他の例としては、管状炭素繊維筒が図10〜図13に示されている。
【0034】
炭素繊維筒の製造(編織)工程とコーティング工程とが以下に示される。
【0035】
すなわち、炭素繊維(例えば、炭素繊維(6−1,6−3,…6−n−1)と化学(又は綿)繊維6−2,6−4,・・・6−nを交互に編織する。編織された炭素繊維筒の表面がコートされて、耐熱性コーティング層40が形成される。耐熱性コーティング層40は図10及び図12には示しておらず、図11の拡大図に示している。(コーティング法はスプレー法やディップ法が用いられうる)。このとき、セラミック層や炭素コーティング層がコーティング層40として用いられる。セラミック層は次のような工程により形成される。すなわち、セラミック粉末を希釈して、釉薬形態で、編織された炭素繊維筒30の表面に塗布し、その後、乾燥して、図10に示すように各炭素繊維6の表面にコーティング層40を形成する。続いて、後に説明する焼工程により、各炭素繊維6の表面のコーティング層が焼結される。この場合、セラミック層はセラミック(Al2O3+ZrO2+Y2O3)から形成されてもよい。一方、本発明は、炭素コーティングを使用することができるが、炭素コーティング剤として、例えば、面状発熱体などに使用され、日本国etec社によって製造されている製品名「炭素ブロック」等が用いられる。
【0036】
焼工程
編織及びコーティングされた炭素繊維筒が1,000℃〜3,500℃の温度で焼かれたとき、コーティング層40は焼結される。図10に示された一般繊維(6−2,6−4,…6−n)が燃焼し、図12及び図13に示されたような、網孔32が形成される(図面は一般繊維が存在するかの如く示しているが、一般繊維は焼工程において燃え尽きて、網孔32が形成される)。一般繊維が燃焼されて形成された網孔32は、コーティング層400が焼結された後に残る各炭素繊維(6−1、6−3、…6−n−1)の接触部分を結合する作用をする。その後、冷却操作が行われ(徐冷操作、又は急冷操作が選択されて用いられる)、一定の網孔32を有する炭素繊維筒が得られる。
【0037】
本発明の好ましい実施形態を実例を示す目的で開示したが、添付する請求の範囲で開示された本発明の範囲と思想から外れない範囲で、当業者は種々の変更、付加、置換によりさらに改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、従来の炭素系発熱体の構成を示す図である。
【図2】図2は、図1で用いられた発熱体の要部を示す拡大図である。
【図3】図3は、従来のばね型炭素繊維加熱ランプを示す平面図である。
【図4】図4は、別の従来のばね型炭素繊維加熱ランプを示す図である。
【図5】図5は、図4の炭素繊維発熱体の製造装置の示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明に係る炭素繊維加熱ランプの平面図である。
【図7】図7は、本発明の支持端子を示す断面図である。
【図8】図8は、図6のA−A線に沿った拡大断面図である。
【図9】図9は、炭素繊維束での使用を示す拡大断面図である。
【図10】図10は、図8の断面をより詳細に示した図である。
【図11】図11は、図10の炭素繊維筒がコーティングされた状態を示す部分断面図である。
【図12】図12は、図10の炭素繊維筒が加熱されて、一般繊維が燃焼された場合を示す断面図である。
【図13】図13は、図8〜図10及び図12の管状の炭素繊維筒のように、炭素繊維の数を減らし、コーティング層を省略した状態を示した平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ガラス管と、
炭素繊維(6)及び一般繊維を原料として用いて編織された、中空部を有する管状炭素繊維筒(30)と、
所定の長さを有し、前記真空ガラス管に収納された前記中空の管状炭素繊維筒(30)を含有し、前記真空ガラス管の外部に備えられた両端子を通じて外部から供給された電力を用いて熱を生成する発熱体とを備える炭素繊維加熱ランプ。
【請求項2】
前記管状炭素繊維筒(30)の表面は、前記編織された炭素繊維を固定するためのコーティング層(40)でコートされている請求項1に記載の炭素繊維加熱ランプ。
【請求項3】
前記コーティング層(40)は、炭素コーティング層である請求項2に記載の炭素繊維加熱ランプ。
【請求項4】
前記コーティング層(40)は、セラミックコーティング層である請求項2に記載の炭素繊維加熱ランプ。
【請求項5】
前記炭素繊維(6)は、炭素繊維束の単位からなる請求項1に記載の炭素繊維加熱ランプ。
【請求項6】
炭素繊維及び一般繊維を原料として用いて編織することにより、中空の管状炭素繊維筒を形成する工程と、
前記管状炭素繊維筒の表面に耐熱性コーティング層をコーティング及び乾燥する工程と、
前記コーティングされた管状炭素繊維筒を加熱して前記一般繊維のみを燃焼させることにより、前記管状炭素繊維筒を網状の炭素繊維筒に変化させる工程と、を含む炭素繊維加熱ランプ用の炭素繊維筒の製造方法。
【請求項7】
前記コートされた管状炭素繊維筒が、1000℃〜3500℃の温度範囲で加熱される請求項6に記載の製造方法。
【請求項1】
真空ガラス管と、
炭素繊維(6)及び一般繊維を原料として用いて編織された、中空部を有する管状炭素繊維筒(30)と、
所定の長さを有し、前記真空ガラス管に収納された前記中空の管状炭素繊維筒(30)を含有し、前記真空ガラス管の外部に備えられた両端子を通じて外部から供給された電力を用いて熱を生成する発熱体とを備える炭素繊維加熱ランプ。
【請求項2】
前記管状炭素繊維筒(30)の表面は、前記編織された炭素繊維を固定するためのコーティング層(40)でコートされている請求項1に記載の炭素繊維加熱ランプ。
【請求項3】
前記コーティング層(40)は、炭素コーティング層である請求項2に記載の炭素繊維加熱ランプ。
【請求項4】
前記コーティング層(40)は、セラミックコーティング層である請求項2に記載の炭素繊維加熱ランプ。
【請求項5】
前記炭素繊維(6)は、炭素繊維束の単位からなる請求項1に記載の炭素繊維加熱ランプ。
【請求項6】
炭素繊維及び一般繊維を原料として用いて編織することにより、中空の管状炭素繊維筒を形成する工程と、
前記管状炭素繊維筒の表面に耐熱性コーティング層をコーティング及び乾燥する工程と、
前記コーティングされた管状炭素繊維筒を加熱して前記一般繊維のみを燃焼させることにより、前記管状炭素繊維筒を網状の炭素繊維筒に変化させる工程と、を含む炭素繊維加熱ランプ用の炭素繊維筒の製造方法。
【請求項7】
前記コートされた管状炭素繊維筒が、1000℃〜3500℃の温度範囲で加熱される請求項6に記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−537283(P2008−537283A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501796(P2008−501796)
【出願日】平成17年12月30日(2005.12.30)
【国際出願番号】PCT/KR2005/004657
【国際公開番号】WO2006/098548
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(503391120)ジーエスシーオー インク. (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月30日(2005.12.30)
【国際出願番号】PCT/KR2005/004657
【国際公開番号】WO2006/098548
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(503391120)ジーエスシーオー インク. (1)
【Fターム(参考)】
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