説明

管理システム、管理装置、管理ユニット及び選定方法

【課題】使い勝手に悪影響が出ることを抑えつつ不特定多数の監視対象物を監視・管理するための動作制御の複雑化を抑制することができる管理システム並びに当該管理システムを簡素に構成することができる管理装置、管理ユニット及び選定方法を提供する。
【解決手段】管理システム1は、電池セル11を監視する監視装置21と、監視装置21で測定された測定データや電池セル11が正常であるか否かを表す状態情報を記録する管理装置30とを有する蓄電ユニットA1〜A5を備える。蓄電ユニットA1〜A5の管理装置30のうち何れか一つは、マスター管理装置31として機能し、蓄電ユニットA1〜A5の電池セル11についての測定データ及び状態情報を上位管理システムBに送信する。マスター管理装置31は、全管理装置30が互いに管理装置IDを送受信して共有し、管理装置ID群のうち最小の管理装置IDが自己の管理装置IDと一致するか否かにより定める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム、管理装置、管理ユニット及び選定方法に関し、特に、リチウムイオン電池等の二次電池を、公衆回線を介して上位管理システムで監視する場合に適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池に代表される二次電池は、様々な産業分野で使用されてきている。最近では、電気自動車用として、さらには家庭用として大型で大容量の二次電池が広く用いられるようになってきている。そのような二次電池の大容量化に伴い、二次電池を複数個直列に接続して二次電池の監視を行う蓄電池システムが構成され、尚且つそれら蓄電池システムを複数個並列に接続することで大容量の蓄電池システムが構成されている。
【0003】
このため、大容量の蓄電池システムを構成する複数の蓄電池システム各々を管理する電池管理装置も複数個必要となる。さらに、大容量の蓄電池システムの場合はこれら複数の電池管理装置に対応可能な多機能な上位の管理制御装置(上位管理システム)が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−135252号公報
【特許文献2】特開2002−353985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄電池システムを複数並列に接続して大容量の蓄電システムを構築する場合、上位管理システムは、複数の蓄電池システムにおける電池管理装置のそれぞれとのデータの送受信のタイミング制御やどの電池管理装置から送信されたデータであるかを把握するなど、複数の電池管理装置とのアクセスを前提とした様々な機能を有する必要がある。このため、上位管理システムにおける複数の電池管理装置とのアクセス管理・制御は複雑化する。また、このようなデータの送受信や制御を行うに先立ち、複数の電池管理装置にそれぞれのアドレスを設定する必要がある。
【0006】
このような、上位装置が複数の対象物とデータの送受信や制御を行うに際し、この対象物それぞれを特定することができるように各対象物に対するアドレスを設定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
しかしながら、特許文献1で開示されている技術は、いずれも各装置のアドレスを自動的に決定することを開示しているに過ぎず、上位装置(上位管理システム)と複数の対象物(電池管理装置)との間での通信制御の複雑化を改善するものではない。例えば、特許文献1に開示の技術では、製造番号を用いて子機のアドレス設定のために、親機は各子機と多数回の通信を実行し、その通信の結果に基づく判定処理や新アドレス設定処理等を行う必要性が生ずる。特に、子機が新たに追加された場合に同様なアドレス設定処理をその都度実行することとなると、その動作制御は複雑なものとなる。また、特許文献2に開示の技術では、マスター通信ユニットからのWAKE信号をトリガにしてリング状に接続された複数のスレーブ通信ユニットが順次アドレス設定をしていくものであり、通信回数も減ることから特許文献1に比べて動作制御の複雑化を抑制することは期待できるものの、通信ユニットをリング状に接続することが必須となり、新たな通信ユニットの追加が容易にできないため、この点で使い勝手が損なわれることとなる。
【0008】
また、特許文献2では、通信ユニット間でのデータ通信を考慮したものであり、マスター通信ユニットも予め決められており、このマスター通信ユニットからの指示で複数のスレーブ通信ユニットのアドレスを決める技術を開示するに過ぎない。言い換えると、特許文献2は複数の蓄電システム間での通信についての開示をしているに過ぎず、上位管理システムが監視・管理する複数の蓄電システム(内の電池管理装置)との通信に関する動作制御の複雑化等の課題についても考慮されたものではない。
【0009】
このような問題は、二次電池を備える蓄電池システムを複数備えた大容量の蓄電池システムに限らず、種々の監視対象物を備える管理ユニットを複数備え、これらの複数の管理ユニットを上位管理システムで監視・管理する管理システムを構築する場合にも同様に存在する。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑み、使い勝手に悪影響が出ることを抑えつつ不特定多数の監視対象物を監視・管理するための動作制御の複雑化を抑制することができる管理システム並びに当該管理システム実現するための好適な機能を有する管理装置、管理ユニット及び選定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための第1の態様は、監視対象物を監視する管理ユニットを複数備える管理システムであって、前記管理ユニットの各々は、前記監視対象物を監視して前記監視対象物に関する監視対象情報を生成する監視装置と、前記監視装置から前記監視対象情報を得る管理装置と、他の管理ユニットの管理装置とデータの送受信を行うローカル通信手段とを備え、前記各管理ユニットの管理装置は、前記監視対象情報を記録する記憶手段と、前記ローカル通信手段と接続可能な第1通信手段と、当該記憶手段と当該第1通信手段とに接続された制御手段とを有し、前記各管理装置は、前記第1通信手段から管理装置IDを前記ローカル通信手段を介して他の管理装置に送信すると共に他の管理装置から管理装置IDを受信して前記記憶手段に記録し、前記制御手段にて前記記憶手段に格納されている前記管理装置ID群と自分自身の管理装置IDとを対比して、各管理装置に共通に設定された選択基準に当該自分自身の管理装置IDが合致すると判断した場合には自身をマスターの管理装置として認識し、当該選択基準に当該自分自身の管理装置IDが合致しない場合には自身をスレーブの管理装置として認識するマスターの選定処理を実行し、前記マスターとして選定された管理装置は、前記記憶手段に記録している前記監視対象情報を前記監視対象物の集中管理を行う上位管理システムにデータ送信が行われることを特徴とする管理システムにある。
【0012】
かかる第1の態様では、マスター管理装置を予め設定することなく、複数の管理装置から自動的にマスター管理装置を設定することができる。これにより、各管理装置にマスター又はスレーブとして機能させるための設定を予めしておく手間を省くことができる。さらに、複数の管理装置の中から自動的に上位管理システムとの通信が可能なマスター管理装置を決定するように構成されているため、上位管理システムは、この決定したマスター管理装置との通信を行うことで、その通信制御に関する回路やプログラムを簡易に構築することができる。また、他の管理装置の増減があったとしても、各管理装置が自分自身をマスター又はスレーブの何れであるかを決定するための処理動作自体は変更が必要となるものではないため、各管理装置におけるプログラム等のソフトウェアの変更の必要性を抑制し、他の管理装置の増減に対しても容易に対応することができるものとしている。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載する管理システムにおいて、前記各管理ユニットの管理装置は、制御手段にて、自分自身の管理装置ID及び前記記憶手段に記録した前記管理装置ID群を用いて順位づけし、この管理装置IDの順序に基づいて自分自身のアドレスを設定することにある。
【0014】
かかる第2の態様は、複雑な方法を用いることなく、マスター・スレーブの関係が自動的に決まると共に、各管理装置のアドレスも自動的に定まるので、アドレスの設定に時間がかかることを抑えることができる。また、他の管理装置の増減があったとしても、アドレス設定のための処理動作自体は変更が必要となるものではないため、各管理装置におけるプログラム等のソフトウェアの変更の必要性を抑制し、他の管理装置の増減に対しても容易に対応することができるものとしている。
【0015】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載する管理システムにおいて、前記各管理装置に共通に設定された選択基準は前記管理装置ID群から最大又は最小の管理装置IDを選択するものとすることを特徴とする管理システムにある。
【0016】
かかる第3の態様では、管理装置ID群から容易に一つの管理装置IDを選択することができる。
【0017】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れか一つの態様に記載する管理システムにおいて、前記各管理ユニットの管理装置は、管理装置IDのほかに前記上位管理システムと通信を可能とする第2通信手段を有するか否かを表す付加情報を他の管理装置に送信すると共に他の管理装置から管理装置ID及び付加情報を受信し、前記各管理装置に共通に設定された選択基準には、前記付加情報も加味することを特徴とする管理システムにある。
【0018】
かかる第4の態様では、上位管理システムとの通信を可能とする第2通信手段を有してマスター管理装置となりうる管理装置の管理装置IDのみを対象として一つの管理装置IDを選択する。これにより、マスターとする管理装置IDの選定に要する時間を短縮することができる。
【0019】
本発明の第5の態様は、第1〜第4の何れか一つの態様に記載する管理システムにおいて、前記各管理ユニットの管理装置は、管理装置IDの受信待機時間内に他の管理装置から管理装置IDを受信し、該受信待機時間経過後に、受信済の管理装置IDと送信した自分自身の管理装置IDとを管理装置ID群として前記マスターの選定を行うことを特徴とする管理システムにある。
【0020】
かかる第5の態様では、管理装置に故障が発生した場合や管理システムを構成する管理装置の台数が未知の場合であっても、管理装置IDの受信待機時間を設けて必要な管理装置IDを受信するようにしているので、管理装置IDの受信にかかる時間が長くなることを抑えつつスター管理装置を選定できる。
【0021】
本発明の第6の態様は、第1〜第5の何れか一つの態様に記載する管理システムにおいて、前記監視対象物は電池セルであり、前記監視対象情報は前記電池セルの電圧、電流、温度の少なくとも1つの測定データを含むことを特徴とする管理システムにある。
【0022】
かかる第6の態様では、一般に監視対象物である電池セルの数が多いシステムに適用しているので、測定データとして重要な項目となる電池セルの電圧、電流、温度のうちの少なくとも1つを含むものとしたので、必要な情報を絞り込むことによる、上位管理システムとの間の通信の合理化の効果を顕著に享受し得る。
【0023】
本発明の第7の態様は、監視対象物を監視する監視装置から当該監視対象物に関する監視対象情報を得る管理装置であって、管理装置IDを他の管理装置に送信すると共に他の管理装置から管理装置IDを受信する通信手段と、前記他の管理装置から受信した管理装置IDを記録する記憶手段と、前記記憶手段及び前記通信手段に接続され、前記記憶手段に記録されている前記管理装置ID群と自分自身の管理装置IDとを対比して、各管理装置に共通に設定された選択基準に当該自分自身の管理装置IDが合致すると判断した場合には自身をマスターの管理装置として認識し、当該選択基準に当該自分自身の管理装置IDが合致しない場合には自身をスレーブの管理装置として認識するマスターの選定処理を実行する制御手段と、を有し、前記マスターとして選定された管理装置は、前記記憶手段に記録している前記監視対象情報を外部へ送信可能となることを特徴とする管理装置にある。
【0024】
かかる第7の態様では、管理装置は、制御手段により、記憶手段に記録された管理装置IDと自分自身の管理装置IDとを用いて自分自身がマスターかスレーブかを認識する処理を実行することができる。これにより、管理装置にマスター又はスレーブとして機能させるための設定を予めしておく手間を省くことができる。また、他の管理装置の増減があったとしても、自分自身がマスターかスレーブかを決定するための処理動作自体は変更が必要となるものではないため、プログラム等のソフトウェアの変更の必要性を抑制し、他の管理装置の増減に対しても容易に対応することができるものとしている。
【0025】
本発明の第8の態様は、第7の態様に記載する管理装置において、前記制御手段は、自分自身の管理装置ID及び前記記憶手段に記録した前記管理装置ID群を用いて順位づけし、この管理装置IDの順序に基づいて自分自身のアドレスを設定する機能を有することを特徴とする管理装置にある。
【0026】
かかる第8の態様では、複雑な方法を用いることなく、マスター・スレーブの関係が自動的に決まると共に、各管理装置のアドレスも自動的に定まるので、アドレスの設定に時間がかかることを抑えることができる。また、他の管理装置の増減があったとしても、アドレスを設定するための処理動作自体は変更が必要となるものではないため、プログラム等のソフトウェアの変更の必要性を抑制し、他の管理装置の増減に対しても容易に対応することができるものとしている。
【0027】
本発明の第9の態様は、第7又は第8の態様に記載する管理装置と、前記監視対象物と、前記監視装置とを備えることを特徴とする管理ユニットにある。
【0028】
かかる第9の態様では、マスター機能を発揮する専用の管理装置を備えた管理ユニットと、スレーブとして機能する管理装置を備えた管理ユニットとを別に製造する必要が無いため、低コストで歩留まりが向上した管理ユニットを製造することができる。
【0029】
本発明の第10の態様は、監視対象物を監視して前記監視対象物に関する監視対象情報を管理する管理装置を複数備えた管理システムにおいて、前記複数の管理装置の前記監視対象情報を外部へ送信する処理を実行するマスターとしての管理装置を選定する選定方法であって、各管理装置は、自分自身の管理装置IDを他の管理装置に送信すると共に他の管理装置から受信した管理装置IDを記憶手段に記録し、前記記憶手段に記録された管理装置IDと自分自身の管理装置IDとを対比して、各管理装置に共通に設定された選択基準に当該自分自身の管理装置IDが合致すると判断した場合には自身をマスターの管理装置として認識し、当該選択基準に当該自分自身の管理装置IDが合致しない場合には自身をスレーブの管理装置として認識することを特徴とする選定方法にある。
【0030】
かかる第10の態様では、管理装置は、制御手段により、記憶手段に記録された管理装置IDと自分自身の管理装置IDとを用いて自分自身がマスターかスレーブかを認識する処理を実行することができる。これにより、管理装置にマスター又はスレーブとして機能させるための設定を予めしておく手間を省くことができる。また、他の管理装置の増減があったとしても、自分自身がマスターかスレーブかを決定するための処理動作自体は変更が必要となるものではないため、当該選定方法を用いることで、そのプログラム等のソフトウェアの変更の必要性を抑制できる。よって、他の管理装置の増減に対しても容易に対応することができる選定方法を提供することができる。
【0031】
本発明の第11の態様は、第10の態様に記載する選定方法において、前記各管理装置は、自分自身の管理装置ID及び前記記憶手段に記録した前記管理装置ID群を順位づけし、この管理装置IDの順序に基づいて自分自身のアドレスを設定する機能を有することを特徴とする選定方法にある。
【0032】
かかる第11の態様では、複雑な方法を用いることなく、マスター・スレーブの関係が自動的に決まると共に、各管理装置のアドレスも自動的に定まるので、アドレスの設定に時間がかかることを抑えることができる。また、他の管理装置の増減があったとしても、アドレスを設定するための処理動作自体は変更が必要となるものではないため、当該選定方法を用いることで、そのプログラム等のソフトウェアの変更の必要性を抑制できる。よって、他の管理装置の増減に対しても容易に対応することができる選定方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、使い勝手に悪影響が出ることを抑えつつ不特定多数の監視対象物を監視・管理するための動作制御の複雑化を抑制することができる管理システム並びに当該管理システムを簡素に構成することができる管理装置、管理ユニット及び選定方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態1に係る管理システムの概略構成図である。
【図2】実施形態1に係る蓄電ユニットの回路構成図である。
【図3】実施形態1に係る管理装置の回路構成図である。
【図4】実施形態1に係る管理装置の動作のフロー図である。
【図5】実施形態1に係る上位管理システムの動作のフロー図である。
【図6】実施形態1に係る管理システムのマスター管理装置の選定及びアドレスの決定のフロー図である。
【図7】実施形態2に係る管理システムのマスター管理装置の選定及びアドレスの決定のフロー図である。
【図8】変形例に係る管理ユニットの回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。本形態は監視対象物を二次電池の電池セルとする電池セルの管理システムである。ただし、本発明は監視対象物を二次電池の電池セルに限定するものではない。
【0036】
〈実施形態1〉
本発明の管理システムは複数の管理ユニットを備えて構成されるものである。図1は、管理ユニットとしての蓄電ユニットを複数備えて構成される、本実施形態に係る管理システムの概略構成を示し、図2は、図1に示す蓄電ユニットの概略構成を示している。これらの図に基づいて、管理装置、管理ユニット(蓄電ユニット)及び管理システムの構成を説明する。
【0037】
図1に示すように、本形態に係る電池セルの管理システム1は、5つの蓄電ユニットA1,A2,A3,A4,A5と、上位管理システムBとを備えている。蓄電ユニットA1〜A5は負荷50に対して並列に接続されている。また、蓄電ユニットA1〜A5はローカル通信手段である通信ケーブル33を介してデータ送受信可能に相互に接続されている。ここで、図2を用いて蓄電ユニットA1〜A5各々の具体的な構成について説明する。なお、図2においては、蓄電ユニットA3〜A5は、蓄電ユニットA1やA2と同様の構成であるので、蓄電ユニットA1、A2を代表として示している。
【0038】
蓄電ユニットの各々は、複数個が直列に接続されて組電池を構成する監視対象物である電池セル11、電池セル11のそれぞれに対応して設けられ電池セル11に関する監視対象情報を形成する監視装置21、及び管理装置30を有している。また、管理装置30は通信モジュール41を有している。
【0039】
監視対象情報とは、監視対象物である電池セル11に関する情報である。本実施形態では、監視対象情報とは、電池セル11の物理量(セル電圧、セル電流、セル温度等)を測定して得られた測定データや、この測定データに基づいて得られた電池セルが正常であるか否かを表す状態情報である。
【0040】
次に、管理装置30について説明する。図3は管理装置の回路構成図である。
管理装置30は、制御部35、記憶手段の一例である読み出し及び書き込みの可能なメモリ36、通信ケーブルと接続されるCAN(Controller Area Network)通信部37(第1通信手段)、通信モジュール41とのインタフェースをとるためのインタフェース部38、各種プログラムなどを格納するための読み出し専用のメモリ(Read Only Memory:以下、ROMと称する)39とを備えている。制御部35は、例えば、中央処理装置(Central Processing Unit:以下、CPUと称する)からなり、管理装置30での種々の処理を実行する。より具体的には、制御部35は、ROM39に書き込まれたプログラムを読み出して処理を実行することで、メモリ36、CAN通信部37、インタフェース部38の各々に対する各種制御や、監視装置21や電磁遮断器81の動作制御等、管理装置30を構成する各回路部の制御全般を行う。また、詳細は後述するが、各管理装置30の制御部35は、ROM39に書き込まれたプログラムを読み出してマスター選定処理やアドレス設定処理を実行する。マスター選定のプログラムを実行した場合には、制御部35は複数の管理装置30からマスター機能を発揮させるものを一つ選定する処理を行い、アドレス設定のプログラムを実行した場合には、制御部35は各管理装置30同士で通信をする際のアドレスを設定する。
【0041】
管理装置30の制御部35は、監視装置21が測定した電池セル11の物理量を表す測定データを取得してメモリ36に記録(格納)する。メモリ36に記録されている測定データはそのまま保持され、次の測定が実施されて新たな測定データが書き込まれる際に上書きされて消されるものとしてもよいし、記憶容量に余裕があれば新たな測定データとともにメモリ36に残すようにしてもよい。メモリ36に複数回分の測定データをメモリ36の所定の領域に保持するように構成するのであれば、メモリ36における所定の領域の容量を超えるようなときには古い測定データから順に消去されるように制御することが望ましい。
【0042】
また、管理装置30は、制御部35により測定データに基づいて電池セルが正常であるか否かを表す状態情報を生成する。具体的には、制御部35がメモリ36に記録された測定データと所定の判定基準(電池セルが正常か否かを判断するために、予め定めた基準値)とを比較することで各電池セル11が正常であるか否かを判定し、その結果を状態情報としてメモリ36に記録する。
【0043】
管理装置30のCAN通信部37は、通信ケーブル33を介して他の管理装置30とで互いにデータの送受信が可能になっている。CAN通信部37は、データの送信元や受信先のCAN通信部37を搭載した管理装置を特定するためのアドレスが設定されている。したがって、各蓄電ユニットA1〜A5の管理装置30は、このアドレスを用いて特定の蓄電ユニットの管理装置30に対してデータを送信することが可能となっている。なお、各蓄電ユニットA1〜A5の管理装置30のアドレスを設定する処理については後述する。
【0044】
管理装置30の制御部35は、それぞれがメモリ36に記録した測定データ及び状態情報を他の管理装置30にCAN通信部37を介して送信し、他の管理装置30からCAN通信部37を介して受信した測定データ及び状態情報をメモリ36に記録する。つまり、蓄電ユニットA1〜A5各々の管理装置30のメモリ36には、全蓄電ユニットA1〜A5の電池セル11に関する測定データ及び状態情報が記録されることになる。
【0045】
また、負荷50に対して蓄電ユニットA1〜A5が並列に接続されるので、蓄電ユニットA1〜A5のそれぞれの電池セル11は並列接続され、電池セル11の電力が外部の負荷50に供給されるように構成されている。なお、外部の負荷50と電池セル11との間には、電池セル11を遮断するための電磁遮断器81が配設されており、管理装置30の各制御部35は電磁遮断器81の開閉操作を制御することが可能に構成されている。各制御部35は、状態情報が電池セル11は正常で無いことを表す場合には、電磁遮断器81を制御して電池セル11を遮断させる制御を行う。
【0046】
複数の蓄電ユニットA1〜A5の各管理装置30がそれぞれ制御部35にてマスター選定のプログラムを実行(マスター選定処理)することで、複数の蓄電ユニットA1〜A5の各管理装置30のうち何れか一つは、マスターとして機能するように設定される。本実施の形態で説明する電池セルの管理システム1においては、マスターとしての機能を有する管理装置30は、通信ケーブル33で接続される全管理装置30のうちのいずれか一つであって、全蓄電ユニットA1〜A5の電池セル11の測定データや状態情報、アライブ情報やエラー情報(詳細は後述する)を上位管理システムBに送信するものをいう。以降、マスターとしての機能を有する管理装置30をマスター管理装置31とも称し、また、マスター管理装置31以外の管理装置30をスレーブ管理装置32とも称する。
【0047】
なお、メモリ36はデータの書き込み及び読み出しが可能なメモリであれば、ダイナミックRAMでもEEPROM(電気的に書き込み可能なROM:Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)でもよい。さらに、本実施形態では、各種動作のためのプログラムを格納するものであることから容易に書き換えされてしまわないにROMで構成するものとしたが、プログラムに対して誤って上書きしないように保護可能であれば、ROM39の代わりにRAMを用いてもよいし、メモリ36の所定のアドレス範囲で指定される格納領域をプログラムの格納専用なものとしてもよい。
【0048】
複数の管理装置30のうち、いずれがマスター機能を発揮させるかについては、管理装置30各々が判断するものとしている。なお、自分自身がマスターなのかスレーブなのかの判定の結果は、図示せぬフラグレジスタやメモリ36の所定の判定結果格納領域に格納しておけばよい。
【0049】
本実施形態では、マスター選定処理により、蓄電ユニットA1の管理装置30がマスター管理装置31として機能し、その他の蓄電ユニットA2〜A5の管理装置30がスレーブ管理装置32として機能するようになったものとして説明する。
【0050】
管理装置30には、通信モジュール41が着脱可能に設けられるように構成されており、本実施形態では、全ての管理装置30に通信モジュール41が取りつけられている。通信モジュール41は、PHS網や携帯電話網等の無線又は有線の通信網Dを利用して上位管理システムBとデータの送受信をする第2通信手段である。マスター管理装置31は、通信モジュール41を介して、蓄電ユニットA1〜A5の電池セル11の測定データや状態情報を上位管理システムBに送信することができる。
【0051】
ここで、マスターとしての機能を有するマスター管理装置31について説明する。
マスター管理装置31は、通信モジュール41を介して、全蓄電ユニットA1〜A5の電池セル11が正常であるか否かを上位管理システムBに送信する。具体的には、マスター管理装置31の制御部35が、マスター管理装置31のメモリ36に記録された全蓄電ユニットA1〜A5の電池セル11に関する状態情報が全て正常である旨を表しているか否かを判定する。全て正常である場合には、予め定められたタイミングで通信モジュール41を介して全て正常であることを指示するアライブ情報を生成して上位管理システムBに対し送信する。
【0052】
一方、状態情報の何れかが正常でない場合には、即時に通信モジュール41を介して正常でない状態情報に対応する電池セル11が異常である旨を表すエラー情報を生成して上位管理システムBに対して送信する。
【0053】
また、アライブ情報及びエラー情報は通信情報量の可及的削減を図るべくコード信号とした。本形態におけるエラー情報にはエラーが検出された電池セル11を有する蓄電ユニットA1〜A5及び電池セル11自身を特定するための情報、例えば各電池セル11の製造番号がコード化されて付されている。このアライブ情報やエラー情報を受信する上位管理システムBには、コード信号の示すコードが何を意味するものかを解読するためのテーブルを準備しておけば、情報量を少なくしても受信した情報の意味を容易に理解可能となる。
【0054】
なお、アライブ情報を送信する場合にはアライブ情報のみを送信し、各電池セル11の測定データは送信しない。ただし、上位管理システムBから測定データの送信の要求があった場合には、測定データを上位管理システムBに送信するようにしてもよい。これにより、上位管理システムBでは、測定データを必要とする際に、即座に対象の電池セル11の測定データを得ることができる。
【0055】
上位管理システムBは、例えば、CPU、メモリ、通信手段等を有する一般的な情報処理装置からなる。上位管理システムBはマスター管理装置31が送信したアライブ情報やエラー情報等を受信して予め定められた所定の処理を行う。本形態においては、エラー情報を受信した場合、エラー情報のコードを解読することによりそのエラーを発生している蓄電ユニットA1〜A5及び電池セル11を特定して対応する管理担当者に通知する。ここで、管理担当者とは、例えば各蓄電ユニットA1〜A5の保守・管理を担当する代理店やその代理店の担当者等であり、各蓄電ユニットA1〜A5に対応させて配属されている。管理担当者には管轄毎の管理端末、例えばパソコン91,92が与えられている。かかるパソコン91,92に対する必要なデータの通信は、インターネット網Cを利用して行うようになっている。すなわち、上位管理システムBは通信手段を介して管理担当者のメールアドレスにエラー内容を記載したメールを送信し、管理担当者は、パソコン91,92を用いて、当該メールを確認する。メールには例えばエラー内容、すなわち監視対象(例えば電圧、電流、温度等)の何れのエラーであるか、また何れの警報レベル又は異常であるか等、その程度を表示させる。
【0056】
一方、上位管理システムBがアライブ情報の受信を確認した場合には全ての電池セル11が正常であると判断してそれ以上の処理はしない。すなわち、上位管理システムBでは、アライブ情報が定期的に受信されている限り、電池セル11に異常がないと判断し、管理担当者へ通知を行うことはしない。電池セル11が正常な状態である場合には、公衆回線を介してアライブ情報のみを送信すれば良いこととなるので、通信にかかるコストを大幅に削減することができる。
【0057】
上位管理システムBは、先のアライブ情報を受信してから所定時間(例えば1時間)が経過してもアライブ情報が受信されない場合、マスター管理装置31に対してアライブ情報の送信を要求する送信要求信号を送信する。このため、何らかの影響でアライブ情報あるいはエラー情報が上位管理システムBで受信できなかったとしても、送信要求信号を受信したマスター管理装置31では所定の処理を行うことによりアライブ情報又はエラー情報を上位管理システムBに再度送信することができる。
【0058】
上記構成を有する管理システム1における一連の動作を説明する。図4は、本実施形態にかかる管理装置の動作のフローを示す図である。
図4に示すように、マスター選定処理を行うために、蓄電ユニットA1〜A5の管理装置30の各々は自分自身がマスターとして機能するか、スレーブとして機能するかの判断をするマスター選定のプログラムをROM39から制御部35が読み出し、マスター選定のプログラムを実行する(ステップS101)。なお、本実施の形態においては、このマスター選定のプログラムの読み出しとともに、マスター選定に続いて行われるアドレス設定のプログラムもROM39から制御部35が読み出すものとしている。マスター選定処理の具体的なステップについては後述するが、このマスター選定処理における所定の判断基準に基づき、各管理装置30は、自身がマスターとして機能すべきか否かの判断をする(ステップS102)。各管理装置30が自分自身はマスターとして機能すべきでないと判断した際には、マスターとしての機能を発揮することを禁止し(ステップS103)、各管理装置30が自分自身はマスターとして機能すべきと判断した際には、マスターとしての機能を発揮することを許可する(ステップS108)。次に、マスター管理装置31、スレーブ管理装置32は、共にCAN通信部37で用いるアドレスを決定するアドレス設定処理のためのプログラムを実行し(ステップS109、S104)、通信時に管理装置それぞれを特定可能とするアドレスを決定する(ステップS110、S105)。
【0059】
次に、マスター管理装置31は監視装置21から測定データを取得してメモリに記憶し、測定データに基づいて状態情報を生成する(ステップS111)。同様に、スレーブ管理装置32は、監視装置21から測定データを取得してメモリに記憶し、測定データに基づいて状態情報を生成する(ステップS106)。状態情報の生成は、上述したように各管理装置において、取得した測定データと所定の判定基準との比較により行う。
【0060】
次に、マスター管理装置31、スレーブ管理装置32は、それぞれの測定データ及び状態情報を他の管理装置へCAN通信部37を介して送信することで互いに測定データ及び状態情報を共有する(ステップS112、S107)。すなわち、マスター管理装置31、スレーブ管理装置32は、それぞれ自身が取得した測定データ及び状態情報を他方の管理装置にCAN通信部37を介して送信すると共に、CAN通信部37を介して他方の管理装置から受信した測定データ及び状態データをメモリに記録する。
【0061】
測定データ及び状態情報の送信の際には、マスター管理装置31、スレーブ管理装置32や電池セル11を識別する番号と共に送信するようにしてある。このため、マスター管理装置31及びスレーブ管理装置32においては、測定データ及び状態情報は、どの管理装置や電池セルに関するものであるかが識別できるようになっている。
【0062】
次に、マスター管理装置31は、メモリに記録された状態情報に基づいてアライブ情報もしくはエラー情報を上位管理システムBに送信する(ステップS113〜115)。アライブ情報及びエラー情報の生成については、上述したように、メモリに記録された全電池セル11、12に関する状態情報の何れもが正常であるか否かを制御部にて判定(ステップS113)し、判定の結果として何れの状態情報も正常であると判定されたならばアライブ情報を送信(ステップS114)し、当該状態情報が一つでも正常で無い旨を表すならばエラー情報を送信(ステップS115)する。情報送信の後は、ステップS111へフィードバックして定期的(本実施形態では1時間毎)に上記処理が繰り返し実行される。
【0063】
次に、図5を用いて上位管理システムの動作について説明する。
上位管理システムBでは、所定期間毎(本実施形態では1時間毎)にアライブ情報の受信有無を判定する(ステップS201)。アライブ情報を受けた場合には(ステップS201:Yes)、全蓄電ユニットA1〜A5は正常であると判断し(ステップS202)、所定期間後(本実施形態では1時間後)に再びステップS201の判定を行うまで待機状態をとる。アライブ情報を受信しなかった場合には、エラー情報の有無を判定する(ステップS203)。エラー情報を受けた場合には(ステップS203:Yes)、何らかの故障等のトラブルに対するメンテナンスを促すべく管理担当者にメールによるエラー発生の通知を行う(ステップS204)。
【0064】
さらに、エラー情報の受信も確認されなかった場合(ステップS203:No)は、通信環境の悪化等でアライブ情報あるいはエラー情報の受信ができなかった可能性があるため、アライブ情報の再送要求を行う(ステップS205)。
【0065】
以上の通り、本実施形態における各管理装置及び上位管理システムは動作するものとしている。ここで、各管理装置におけるマスター選定処理及びアドレス設定処理について図面を用いて具体的に説明する。図6は各管理装置の制御部で行われるマスター選定処理及びアドレス設定処理のフロー図である。
【0066】
具体的には、図6に示すように、まず、各蓄電ユニットA1〜A5の管理装置30が初期アドレス設定を行う(ステップS10)。初期アドレスは、全管理装置30のCAN通信部37が必ず受信するアドレスとする。本実施形態では、CAN通信部37は、宛先アドレスが「0」であるデータは必ず受信するように構成されており、各管理装置30は、CAN通信部37に初期アドレスとして「0」を設定する。
【0067】
次に、各管理装置30の制御部35は、それぞれの管理装置30を一意に識別する管理装置IDを宛先アドレス「0」にCAN通信部37を介して他の管理装置30に送信する(ステップS11)。本実施形態では、管理装置IDとして、例えば、各管理装置30のROM39に重複しないように記録された製造番号を用いている。したがって、制御部35は、ROM39から製造番号を読み出し、CAN通信部37を介して他の管理装置30に送信する。
【0068】
次に、各管理装置30の制御部35は、タイマーをスタートさせる(ステップS12)。そして、そのタイマーが所定時間に達する前であれば(ステップS13:No)、他の管理装置30の管理装置IDを受信し、メモリ36に記録する(ステップS14)。タイマーが所定時間を経過した場合は(ステップS13:Yes)、他の管理装置30からの管理装置IDの受信を打ち切る。
【0069】
管理システム1を構成する管理装置30の数が各管理装置30で認識されている場合においては、各管理装置30の制御部35は、原則として、(自分自身を含めて)その認識されている数だけの管理装置IDを受信するまで待機する。さらに、上述したように管理装置IDの受信を所定時間(設定される所定時間は、すべての管理装置に故障なくCAN通信部37を介したデータ送受信が可能な状態で、各管理装置30がCAN通信部37を介してデータ送受信可能に接続されている他の管理装置30の全てからの管理装置IDを受信できるに足りる時間としてある)に限ったので(ステップS12〜S14)、或る管理装置30が故障して管理装置IDを送信できなくなったとしても、故障した管理装置30の管理装置IDを受信するまで永久に待機してしまうことを回避できる。
【0070】
また、管理システム1を構成する管理装置30の数が各管理装置30に設定されていない場合においては、上述したように所定時間に受信した管理装置IDが以降の処理対象となり、その管理装置IDの管理装置30の何れかがマスター管理装置31となる。
【0071】
次に、各管理装置30の制御部35は、マスター選定処理を実行する(ステップS15〜ステップS18)。マスター選定処理では、各管理装置30の制御部35は、複数の蓄電ユニットA1の管理装置30から所定の選択基準に基づいて、自分自身がマスターとして機能すべき管理装置となるべきか否かの判断をする。この選択基準は、全ての管理装置30に共通である。
【0072】
本実施形態では、選択基準は、管理装置ID群を昇順にソートし、最小の管理装置IDを選ぶというものとした。つまり、各管理装置は、自己の管理装置IDが、受信した他の管理装置IDと比較した結果、最小の管理装置IDであると判断された場合には、自分自身がマスターとして機能すべきであることを認識するものである。
【0073】
具体的には、各管理装置30の制御部35は、各管理装置30の管理装置IDと、受信した他の管理装置30からの管理装置IDとからなる管理装置ID群を昇順でソートする(ステップS15)。このソートした管理装置ID群のうち最小の管理装置IDが、自己の管理装置IDと等しいか否かを比較する(ステップS16)。自己の管理装置IDとは、比較を実行する制御部35を有する管理装置30の管理装置IDである。
【0074】
最小の管理装置IDと自己の管理装置IDとが等しい場合(ステップS16:Yes)、その自己の管理装置IDを有する管理装置30(本実施形態では蓄電ユニットA1の管理装置30)は、マスターとして機能するように予め準備されているマスターとしての機能の実行を許可し(ステップS17)、等しくない場合(ステップS16:No)、その自己の管理装置IDを有する管理装置30(本実施形態では蓄電ユニットA2〜A5の管理装置30)は、スレーブとして機能するように予め準備されているマスターとしての機能の実行することを禁止する(ステップS18)。本実施形態においては、マスターとして機能する管理装置30は、通信モジュール41を動作させて上位管理システムBとデータ送受信可能とし、スレーブとして機能する管理装置30は通信モジュール41を搭載していてもそれを動作させずに、上位管理システムBとのデータ送受信をしないようにしている。
【0075】
次に、各管理装置30の制御部35は、アドレス設定処理を実行する。具体的には、各管理装置30の制御部35は、先のマスター選定処理の際にソートして順序づけられた管理装置ID群を参照し、各管理装置IDの順序に基づいて自己のアドレスを決定する(ステップS19)。自己のアドレスとは、各管理装置30のCAN通信部37を介した通信のために割り振る一意なアドレスである。
【0076】
例えば、制御部35は、自己の管理装置IDがステップS15でソートした管理装置ID群のうちのN番目(Nは正の整数)であるかを算出し、そのNに基づいて自己のアドレスを決定する。
【0077】
表1に、ステップS12〜S14の処理を実行して得られた管理装置ID群を例示し、表2に、ステップS15〜ステップS19においてマスター管理装置31、スレーブ管理装置32及びアドレスが決定される際の管理装置ID等を例示する。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
ステップS14の実行後、各管理装置30のメモリ36には、表1に示すような5つの管理装置IDからなる管理装置ID群が記録される。
【0081】
ステップS15の実行後、各管理装置30のメモリ36には、表2に示すように、管理装置IDが昇順にソートされ、蓄電ユニットA1、A3、A2、A5、A4の順になる。
【0082】
そして、表2に示すように、蓄電ユニットA1の管理装置30では、自己の管理装置IDが最小であるので、蓄電ユニットA1の管理装置30がマスター管理装置31となり、その他の管理装置30がスレーブ管理装置32となる。
【0083】
さらに、蓄電ユニットA1の管理装置30は、上記順序によれば最初であるので、例えば「000」を自己のアドレスとして設定する。蓄電ユニットA2〜A5の管理装置30は、上記順序に対応して「000」から連番に自己のアドレスを設定する。
【0084】
以上のようにして、各管理装置30は、重複しないアドレスを設定することができ、また、どのアドレスがどの管理装置30に対応しているかを把握することができる。これにより、スレーブ管理装置32は、測定データや状態情報をマスター管理装置31に送信することができ、また、マスター管理装置31は、特定のスレーブ管理装置32に対して測定データや状態情報を要求する情報等を送信することができる。
【0085】
なお、このようなマスター選定処理やアドレス設定処理は、任意のタイミングで行ってもよいが、各管理装置30の電源投入後のイニシャル処理として行うことが望ましい。
【0086】
以上に説明したように、本実施形態に係る管理システム1では、蓄電ユニットA1〜A5の管理装置30のうち何れか一つがマスター機能を発揮するか否かが自動的に決定される。すなわち、全ての管理装置30が有する管理装置IDを相互に共有し、それらの管理装置ID群を、全管理装置30に共通の選択基準をもって一つの管理装置IDを選定し、当該管理装置IDを有する管理装置30をマスター管理装置31とし、それ以外の管理装置30がスレーブ管理装置32とする。
【0087】
すなわち、マスター管理装置31を予め設定することなく、複数の管理装置30から自動的にマスター管理装置31が設定される。これにより、各管理装置30にマスター又はスレーブとして機能させるための設定をすることが不要となり、設定の手間を省くことができる。さらに、各管理装置30は、自動的にマスター管理装置31を決定するように構成されているため、上位管理システムBは、マスター管理装置31との通信を行うように構成することができ、その通信制御に関する回路やプログラムを簡易に構築することができる。特に、管理装置の減少や新たな管理装置の増設等の管理装置の増減があったとしても、各管理装置各々が実行するマスターかスレーブかを決定するための処理動作自体は変更が必要となるものではないため、各管理装置で行う動作プログラム等のソフトウェアの変更の必要性を抑制できる。よって、本発明は、他の管理装置の増減に対しても容易に対応可能である。
【0088】
さらに、マスター機能を発揮する専用の管理装置やスレーブとして機能する管理装置のそれぞれを別々に製造する必要がないので、マスター管理装置とスレーブ管理装置とを同様な回路や同様の構成の管理装置を製造すればよい。このため、本発明に係る管理装置は、量産化に好適であり、コストを低減することができる。
【0089】
また、マスター・スレーブの関係が自動的に決まると共に、各管理装置30のアドレスも自動的に定まるので、アドレスの設定を行う手間を省くことができる。特に、マスターかスレーブかを決定処理と同様に、管理装置の減少や新たな管理装置の増設等の管理装置の増減があったとしても、各管理装置各々が実行するアドレス設定の処理動作自体は変更が必要となるものではないため、各管理装置で行う動作プログラム等のソフトウェアの変更の必要性を抑制できる。よって、本発明は、他の管理装置の増減に対しても容易に対応可能である。
【0090】
さらに、アドレスの設定に際しては、管理装置ID(製造番号)そのものをアドレスに用いておらず、管理装置IDの順序に基づいて各管理装置30のCAN通信部37を利用しての通信に用いるアドレスを設定した。このため、管理装置IDがいかなるビット数であっても、CAN通信部37のアドレス長は任意の大きさに設定することができる。したがって、CAN通信部37のアドレス長を小さくし、送信するデータの大きさを小さくし、データ送受信の速度が遅延することを防止することができる。
【0091】
管理システム1では、マスター管理装置31には、全蓄電ユニットA1〜A5における電池セル11に係る測定データや状態情報が集中的に管理される。マスター管理装置31は、それらの測定データや状態情報に基づき、全蓄電ユニットA1〜A5における電池セル11が正常に稼働しているか否かを判定し、その結果をアライブ情報ないしはエラー情報として上位管理システムBに送信する。これにより、電池セル11が正常に稼働しているか否かを把握すると共に、異常が生じた場合には迅速に異常が生じた旨を管理者等に通知することができる。
【0092】
このように、管理システム1に複数の蓄電ユニットA1〜A5が設けられていても、上位管理システムBとの通信を行うのはマスター管理装置31のみであるので、上位管理システムBは一つの管理装置との間でアクセス管理・制御をすればよい。これにより、上位管理システムBのアクセス管理・制御の開発に係る費用や時間を大幅に低減することができる。
【0093】
さらに、上位管理システムBが全蓄電ユニットA1〜A5の電池セル11に係る測定データ及び状態情報を入手する場合であっても、一つのマスター管理装置31と通信すればよいため、複数の管理装置30のそれぞれと通信が可能になるまで待つ必要が無く、円滑に迅速に測定データ及び状態情報の送受信が可能となる。
【0094】
また、管理装置30は、通信モジュールが着脱可能なものとしている。このような構成とすることにより、通信モジュールと管理装置30とを別々に製造できるので、歩留まりを向上することができ、また開発に係る時間やコストを低減することが期待できる。
【0095】
〈実施形態2〉
実施形態1では、マスター選定処理においては、各管理装置30において自己の管理装置IDが最小の管理装置IDであるか否かによりマスター管理装置31を選定した。しかしながら、マスター管理装置31を選定するための選定基準はこのような方法に限定されず、例えば、各管理装置30が通信モジュール41を有するか否かを表す付加情報を用いてもよい。
【0096】
図7に基づいて、実施形態2に係るマスター選定処理について説明する。図7は、実施形態2に係るマスター選定処理及びアドレス決定処理のフロー図である。なお、実施形態1と同一のステップについては同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、実施形態2において、蓄電ユニットA1〜A3には通信モジュール41が装着されており、蓄電ユニットA4〜A5には通信モジュール41が装着されていないものとする。
【0097】
ステップS10の実行後、各管理装置30は、自己の管理装置IDと共に、付加情報を制御部35の制御によりCAN通信部37を利用してアドレス「0」に送信する(ステップS11’)。付加情報とは、共に送信される管理装置IDで指定される管理装置30が通信モジュール41を有するか否かを表す情報である。
【0098】
例えば、各管理装置30の制御部35は、通信モジュール41が管理装置30に設けられているか否を確認するためのコマンドを通信モジュール41に発行する。
【0099】
通信モジュール41が設けられている蓄電ユニットA1〜A3の各管理装置30は、通信モジュール41がコマンドに対する応答を返したことを検知して、通信モジュール41を有していることを確認することで、通信モジュール41を有する旨を表す付加情報を生成して、管理装置IDと共に他の管理装置30に送信する。
【0100】
一方、通信モジュール41が搭載されていない管理装置30は、通信モジュール41がコマンドに対する応答を返さないことを検知して、通信モジュール41を有していないことを確認することで、通信モジュール41を有さない旨を表す付加情報を生成して、管理装置IDと共に他の管理装置30に送信する。
【0101】
以後、各管理装置30の制御部35は、実施形態1と同様なステップS12〜S15までを実行する。そして、各管理装置30の制御部35は、受信してメモリ36に記録された管理装置ID群のうち、これら管理装置ID群とともに受信した付加情報群に基づいて、通信モジュール41を有する管理装置30の管理装置IDを選択する。選択された管理装置IDが複数あった場合には、この選択された管理装置IDのうち昇順にソートした際の最小のものが自己の管理装置IDと一致する場合(ステップS16’:Yes)、その管理装置30がマスター管理装置31として機能するように予め準備されているマスターとしての機能の実行することを許可し(ステップS17)、その他の管理装置30がスレーブ管理装置32として機能するように予め準備されているマスターとしての機能の実行することを禁止する(ステップS18)。
【0102】
表3に、ステップS15〜ステップS19においてマスター管理装置31、スレーブ管理装置32及びアドレスが決定される際の管理装置ID等を例示する。
【0103】
【表3】

【0104】
表3に示すように、蓄電ユニットA4は、管理装置IDは最小ではあるものの、付加情報は、「通信モジュール無し」であるので、マスター管理装置31としては機能させることができないことから、マスターとしての選定対象から外されることとなる。このため、付加情報が「通信モジュール有り」である蓄電ユニットA1〜A3の管理装置30の中から、マスター管理装置31が選定されることとなる。実施形態2においては、蓄電ユニットA1〜A3の中で管理装置IDが最小である蓄電ユニットA1がマスター管理装置31として選定される。
【0105】
以上に説明したように、管理装置30は、通信モジュール41が設けられているか否かも加味して、マスター機能を発揮するか否かを決定するように構成されている。このため、通信モジュール41を有してマスター管理装置31となり得る管理装置30だけを対象としてマスター管理装置31を選定すればよいため、この選定処理に要する時間を短縮することができる。
【0106】
なお、管理装置30には、通信モジュール41が別に設けられていたが、これに限られない。例えば、管理装置30と通信モジュール41の機能を1チップ若しくは複数チップ(例えば、通信用チップと管理用チップとを積層し、両チップを樹脂で封止したマルチチップ構成のもの等)からなる一体型の管理装置としてもよい。
【0107】
このような一体型の管理装置を採用した場合、マスター選定処理の結果に応じて通信モジュールが起動可能若しくは起動不能となるように構成してもよい。
【0108】
通信モジュール41が起動可能とは、例えば、電源供給や起動信号の供給が可能なようにスイッチ手段をオンにすることや、当該起動信号の供給が可能なように配線又は起動信号供給線の電圧レベルを固定せず、起動信号の変化に応じて通信モジュールが起動可能とすることなどが挙げられる。通信モジュール41が起動不能とは、例えば、電源供給や起動信号の供給がされないようにスイッチ手段をオフにすることや、起動信号が遮断されるように配線を予め断線しておくことや起動信号の電圧レベルを固定することが挙げられる。
【0109】
このような一体型の管理装置では、マスター選定処理にてマスターと選定された管理装置に対する通信モジュール41は起動させ、スレーブと選定された管理装置に対する通信モジュール41は起動させないようにして、マスター選定処理の結果に応じて通信モジュールの起動可能・不能を切り替えるだけで、マスター管理装置31となることができる管理装置を容易に設定することができる。特に、すべての管理装置30に通信モジュール41が設けられている場合には、スレーブとなる管理装置30の通信モジュール41の起動を抑制することにより消費電力を抑えることができる。
【0110】
〈他の実施形態〉
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0111】
実施形態1においては管理装置30がいずれも通信モジュール41を設けているので、実施形態2のような通信モジュール41の有無を示す付加情報やマスター選定処理にてその付加情報を用いた選択処理はあえて必要としないものの、管理装置30のいずれに通信モジュール41が設けられている場合であっても実施形態2のような通信モジュール41の有無を示す付加情報やマスター選定処理にてその付加情報を用いた選択処理をするようにしてもよい。この場合、マスターと選定された管理装置30との通信モジュール41に故障等が生じたとしても、各管理装置に対してあらためてイニシャル処理を行わせることで別の管理装置30を新たなマスターとして選定させることに容易に対応できる。例えば、各管理装置があらためてイニシャル処理を実行することで、当初マスターとして選定されていた管理装置30が通信モジュール41に対してコマンドを発行したとしても、故障により通信モジュール41からの応答を制御部35にて受信することができないので、「通信モジュール無し」の旨を示す付加情報(管理装置がいずれも通信モジュールを有するのが前提となっていれば「通信モジュールに異常有り」を示す付加情報と解釈することもできる)を管理装置IDとともに送信することとなる。このため、マスター選定処理においてこの付加情報を用いて異常があると判断される通信モジュール41を有する管理装置をマスター候補から外すことができ、異常がないと判断される通信モジュール41を有する管理装置の中からマスターを選定することができる。
【0112】
上述した実施形態では、マスター選定処理においては、管理装置ID群を昇順にソートしたがこれに限られず、降順でもよい。さらに、昇順・降順に限られず、複数の管理装置30の全てが管理装置ID群を或る特定の順序に並び替えられればよい。また、マスター選定処理では、最小の管理装置IDを一つ選び出す選択基準を用いたが、このような選択基準に限定されず、最大の管理装置IDを一つ選び出す選択基準でもよい。さらに、最小又は最大の管理装置IDを選び出す選択基準に限らず、複数の管理装置30の全てが管理装置ID群から或る特定の管理装置IDを選び出せる基準であればよい。
【0113】
また、電池セル11の物理量にも特別な制限はない。例えば、上記実施形態の場合、電池セル11に関する電圧、電流等の物理量のみならず、電池セル11が設置されている環境の温度等の物理量であっても勿論構わない。さらに、監視対象物は、電池セル11に限られず、物理量を測定しうる任意の物を対象とすることができる。
【0114】
さらに、上述した実施形態では、図1及び図2に示されるように、蓄電ユニットA1〜A5(各蓄電ユニットA1〜A5中の電池セル11)が負荷50に対して並列接続されたものを例に示しているが、これに限るものではない。例えば、負荷への出力を大きくするために、蓄電ユニットA1〜A5中の電池セル11が負荷に対して直列に接続されるようにしてもよい。各蓄電ユニットA1〜A5の電池セル11同士を直列に接続することは、図8に示すように、電池セル11を構成する各電池の接続を次のようにすれば可能である。つまり、蓄電ユニットA1中で直列接続された電池セル11の一端に位置する電池の一方の電極を負荷に接続し、電池セル11の他端に位置する電池の他方の電極を、次段の蓄電ユニットA2の中で直列接続された電池セル11の一端に位置する電池の一方の電極に接続する。同様に、蓄電ユニットAx(xは2,3,4のいずれか)の電池セル11の他端に位置する電池の他方の電極は次段の蓄電ユニットA(x+1)の電池セル11の一端に位置する電池の一方の電極に接続する。最終段となる蓄電ユニットA5の電池セル11の他端の電池の他方の電極は負荷に接続する。このような接続とすることで、各蓄電ユニットA1〜A5の電池セル11同士を直列に接続することができる。このような構成にしても、本発明のマスター選定処理やアドレス設定処理等を用いることで、上述の実施形態での説明と同様な効果が期待できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は分散配置された多数の監視対象物を上位管理システムで一元的に管理するシステムを構築する産業分野や、その保守、運用を行う産業分野において良好に利用することができる。
【符号の説明】
【0116】
A1〜A5 蓄電ユニット(管理ユニット)
B 上位管理システム
C インターネット網
D 通信網
1 管理システム
11 電池セル
21 監視装置
30 管理装置
31 マスター管理装置
32 スレーブ管理装置
33 通信ケーブル
35 制御部
36 メモリ
37 CAN通信部
38 インタフェース部
39 ROM
41 通信モジュール
50 負荷
81 電磁遮断器
91、92 パソコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象物を監視する管理ユニットを複数備える管理システムであって、
前記管理ユニットの各々は、前記監視対象物を監視して前記監視対象物に関する監視対象情報を生成する監視装置と、前記監視装置から前記監視対象情報を得る管理装置と、他の管理ユニットの管理装置とデータの送受信を行うローカル通信手段とを備え、
前記各管理ユニットの管理装置は、
前記監視対象情報を記録する記憶手段と、前記ローカル通信手段と接続可能な第1通信手段と、当該記憶手段と当該第1通信手段とに接続された制御手段とを有し、
前記各管理装置は、前記第1通信手段から管理装置IDを前記ローカル通信手段を介して他の管理装置に送信すると共に他の管理装置から管理装置IDを受信して前記記憶手段に記録し、
前記制御手段にて前記記憶手段に格納されている前記管理装置ID群と自分自身の管理装置IDとを対比して、各管理装置に共通に設定された選択基準に当該自分自身の管理装置IDが合致すると判断した場合には自身をマスターの管理装置として認識し、当該選択基準に当該自分自身の管理装置IDが合致しない場合には自身をスレーブの管理装置として認識するマスターの選定処理を実行し、
前記マスターとして選定された管理装置は、前記記憶手段に記録している前記監視対象情報を前記監視対象物の集中管理を行う上位管理システムにデータ送信が行われる
ことを特徴とする管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載する管理システムにおいて、
前記各管理ユニットの管理装置は、制御手段にて、自分自身の管理装置ID及び前記記憶手段に記録した前記管理装置ID群を用いて順位づけし、この管理装置IDの順序に基づいて自分自身のアドレスを設定することを特徴とする管理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する管理システムにおいて、
前記各管理装置に共通に設定された選択基準は前記管理装置ID群から最大又は最小の管理装置IDを選択するものとする
ことを特徴とする管理システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載する管理システムにおいて、
前記各管理ユニットの管理装置は、管理装置IDのほかに前記上位管理システムと通信を可能とする第2通信手段を有するか否かを表す付加情報を他の管理装置に送信すると共に他の管理装置から管理装置ID及び付加情報を受信し、
前記各管理装置に共通に設定された選択基準には、前記付加情報も加味する
ことを特徴とする管理システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載する管理システムにおいて、
前記各管理ユニットの管理装置は、管理装置IDの受信待機時間内に他の管理装置から管理装置IDを受信し、該受信待機時間経過後に、受信済の管理装置IDと送信した自分自身の管理装置IDとを管理装置ID群として前記マスターの選定を行う
ことを特徴とする管理システム。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載する管理システムにおいて、
前記監視対象物は電池セルであり、前記監視対象情報は前記電池セルの電圧、電流、温度の少なくとも1つの測定データを含む
ことを特徴とする管理システム。
【請求項7】
監視対象物を監視する監視装置から当該監視対象物に関する監視対象情報を得る管理装置であって、
管理装置IDを他の管理装置に送信すると共に他の管理装置から管理装置IDを受信する通信手段と、
前記他の管理装置から受信した管理装置IDを記録する記憶手段と、
前記記憶手段及び前記通信手段に接続され、前記記憶手段に記録されている前記管理装置ID群と自分自身の管理装置IDとを対比して、各管理装置に共通に設定された選択基準に当該自分自身の管理装置IDが合致すると判断した場合には自身をマスターの管理装置として認識し、当該選択基準に当該自分自身の管理装置IDが合致しない場合には自身をスレーブの管理装置として認識するマスターの選定処理を実行する制御手段と、を有し、
前記マスターとして選定された管理装置は、前記記憶手段に記録している前記監視対象情報を外部へ送信可能となる
ことを特徴とする管理装置。
【請求項8】
請求項7に記載する管理装置において、
前記制御手段は、自分自身の管理装置ID及び前記記憶手段に記録した前記管理装置ID群を用いて順位づけし、この管理装置IDの順序に基づいて自分自身のアドレスを設定する機能を有することを特徴とする管理装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載する管理装置と、前記監視対象物と、前記監視装置とを備える
ことを特徴とする管理ユニット。
【請求項10】
監視対象物を監視して前記監視対象物に関する監視対象情報を管理する管理装置を複数備えた管理システムにおいて、前記複数の管理装置の前記監視対象情報を外部へ送信する処理を実行するマスターとしての管理装置を選定する選定方法であって、
各管理装置は、
自分自身の管理装置IDを他の管理装置に送信すると共に他の管理装置から受信した管理装置IDを記憶手段に記録し、
前記記憶手段に記録された管理装置IDと自分自身の管理装置IDとを対比して、各管理装置に共通に設定された選択基準に当該自分自身の管理装置IDが合致すると判断した場合には自身をマスターの管理装置として認識し、当該選択基準に当該自分自身の管理装置IDが合致しない場合には自身をスレーブの管理装置として認識する
ことを特徴とする選定方法。
【請求項11】
請求項10に記載する選定方法において、
前記各管理装置は、自分自身の管理装置ID及び前記記憶手段に記憶した前記管理装置ID群を順位づけし、この管理装置IDの順序に基づいて自分自身のアドレスを設定する機能を有することを特徴とする選定方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−215029(P2011−215029A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84200(P2010−84200)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(507317502)エリーパワー株式会社 (34)
【Fターム(参考)】