説明

管理方法、管理プログラムおよび管理システム

【課題】店長やトレーナーによる教育・指導を行わなくても、各店舗における従業員教育を体験型のトレーニングとして行うことができ、各作業の習熟度を自動的に取得する作業者等の管理方法、管理プログラムおよび管理システムを提供する。
【解決手段】音を取得する集音手段と、位置を検出する位置検出手段と、前記集音手段で取得した音を音声として認識する音声認識手段と、時刻を計測するタイマーを備える携帯端末1と、指示情報を前記携帯端末に送信するとともに、少なくとも当該携帯端末1から送信された位置情報と音声情報とそれらに関連する時刻情報のいずれかと、前記指示情報に含まれる少なくとも所定の前記位置情報と前記音声情報とそれらに関連する前記時刻情報のいずれかと、を比較するサーバー2と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
作業者等の管理方法、管理プログラムおよび管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店等のフランチャイズチェーンでは、本部がマニュアルや教育用ビデオ等を作成し、店長やトレーナーとなる正規社員などに教育を行い、教育を受けた店長やトレーナーはその内容を店舗の従業員(パートやアルバイト作業者等)に教育を施すことが行われている。
【0003】
一方、特許文献1には、全国に散在するチェーン店を運営する事業者、各地に設けられた病院等の施設の運営者に対し、当該店舗や施設の衛生管理をする上で、その従業員や責任者を教育するために、従業員や責任者を一同に集めて教育や研修を行う、あるいは、教育や研修を行える者を各店舗や施設に随時派遣することなく、ネットワークを介して、ユーザの施設の衛生状態に応じた衛生情報を配信する以下の情報配信装置が記載されている。
特許文献1には、「情報配信装置は、所定の施設に従事するユーザが利用するユーザ端末とネットワークを介して通信可能に構成され、上記ユーザ端末に対して、上記施設の衛生状況に応じた衛生情報を配信して、上記ユーザの教育を行う装置であって、上記衛生状況に応じた衛生情報を記憶する衛生情報記憶手段と、上記施設における所定の検査箇所ごとに、予め設定された基準値を所定の項目ごとに分類して記憶する基準値記憶手段と、上記施設における所定の検査箇所ごとに測定された上記項目ごとの測定値に基づき、上記基準値記憶手段を参照して、当該測定値が上記基準値を超える項目を特定する項目特定手段と、上記衛生情報記憶手段を参照して、上記特定した項目をキーワードとして含む衛生情報を検索し、検索の結果発見した衛生情報を抽出する衛生情報検索手段と、上記抽出した衛生情報を、上記ユーザ端末に対して送信する衛生情報配信手段とを有する。」こと、更に、「上記ユーザ端末から、当該ユーザ端末に対して送信した問題に対する回答を受信する回答受信手段と、上記受信した回答を、上記衛生情報記憶手段を参照して、当該回答に係る問題と関連付けて記憶されている解答と照合する照合手段と、を有し、上記衛生情報記憶手段は、問題と、当該問題に対する解答とを関連付けて記憶し、上記衛生情報検索手段は、上記衛生情報記憶手段を参照して、上記特定した項目をキーワードとして含む問題を検索し、検索の結果発見した問題を抽出し、上記衛生情報配信手段は、上記抽出した問題を、上記ユーザ端末に対して送信する。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−59508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された「情報配信装置」は、ユーザ端末に対して、施設の衛生状況に応じた衛生情報を配信して、ユーザの教育を行うものであり、「衛生」に対する「知識教育」を施すものである。そして、ユーザに問題を出して回答を求めることは、ユーザの「衛生」に対する「意識や知識をより高める」ことを目的としたものである。
【0006】
飲食店等のフランチャイズチェーンにおいても、「衛生教育」などであれば、上記特許文献1に記載されているような、ネットワークを介して所謂「知識教育」を施すものでも各店舗の従業員(パートやアルバイト作業者等)に対して、一律の教育を行うことが可能であるが、接客を行う技術、各種の作業を行う技術に対する教育は、単なる「知識教育」を施すのみでは不十分である。
【0007】
よって、接客や作業に対するマニュアルを読むのみではなく、店長や専門のトレーナーの指導の基に、実際の作業と同様の体験型のトレーニングを、各店舗の従業員(パートやアルバイト作業者等)に実施して、従業員の接客や作業に対する技術の向上を図る教育が必要である。
【0008】
ところが、フランチャイズチェーン本部で受けた教育内容は、店長を経由するため指導を行う店長のレベルにより租借されたり、店長が多忙のため教育を怠り、従業員にはマニュアルを渡すだけなどの場合もある。このため従業員(パートやアルバイト作業者)は接客や作業に対する技術の十分な教育を受けることができず、結果として店舗の作業効率が悪くなったり、顧客に対するサービスが低下したりする。あるいは、従業員に対する教育・指導を行うトレーナーを店舗に派遣する場合は、その養成費用や派遣費用などの費用が余分にかかってしまう。
【0009】
本発明の目的は上記課題を解消することに係り、店長やトレーナーによる教育・指導を行わなくても、各店舗における従業員教育を体験型のトレーニングとして行うことができ、各作業の習熟度を自動的に取得することができる作業者等の管理方法、管理プログラムおよび管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の管理方法は、
サーバーが、指示情報を携帯端末に送信するステップと、
少なくとも、位置情報と音声情報とそれらに関連する時刻情報のいずれかの情報が前記携帯端末によって取得され、取得された当該情報を前記サーバーが受信するステップと、
前記サーバーが、前記携帯端末から取得された当該情報と、前記指示情報に含まれる少なくとも所定の前記位置情報と前記音声情報とそれらに関連する前記時刻情報のいずれかと、を比較するステップと、
を含むことを特徴とする。
上記管理方法によれば、店長やトレーナーによる教育・指導を行わなくても、各店舗における従業員教育を体験型のトレーニングとして行うことができ、各作業の習熟度を自動的に取得することができる。
また好ましくは、前記比較するステップの後、当該比較結果に基づき前記携帯端末に前記指示情報を送信するステップを、更に含むことを特徴とする。
上記管理方法によれば、作業者の携帯端末にさらに送信される指示情報により、先に指示された内容に対する処理を改善するように注意して、次のトレーニングまたは実際の作業を行うことができる。
また好ましくは、前記サーバーが、前記比較結果を含む情報を出力するステップを、更に含むことを特徴とする。
上記管理方法によれば、教育結果のレポートを例えば、店舗のフランチャイズチェーン本部などへ報告し、教育マニュアルの改善および教育マニュアルに基づく各種の教育用作業コンテンツの改善などに役立てることができる。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の管理プログラムは、前記管理方法の各ステップを、前記サーバーに実行させることを特徴とする。
これにより、店長やトレーナーによる教育・指導を行わなくても、各店舗における従業員教育を体験型のトレーニングとして行うことができ、各作業の習熟度を自動的に取得することができる。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の管理システムは、音を取得する集音手段と、位置を検出する位置検出手段と、前記集音手段で取得した音を音声として認識する音声認識手段と、時刻を計測するタイマーを備える携帯端末と、
指示情報を前記携帯端末に送信するとともに、少なくとも当該携帯端末から送信された位置情報と音声情報とそれらに関連する時刻情報のいずれかと、前記指示情報に含まれる少なくとも所定の前記位置情報と前記音声情報とそれらに関連する前記時刻情報のいずれかと、を比較するサーバーと、
を有することを特徴とする。
上記管理システムによれば、店長やトレーナーによる教育・指導を行わなくても、各店舗における従業員教育を体験型のトレーニングとして行うことができ、各作業の習熟度を自動的に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る管理方法システムを適用した一例を説明する模式図である。
【図2】携帯端末の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】携帯端末の音声認識部(モジュール)の詳細な機能的構成を示すブロック図である。
【図4】携帯端末及びサーバーによる位置検出に基づくデータ処理手順の1例を説明するためのフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る管理方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る管理方法の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態に係る管理方法システムを適用した一例を説明する模式図である。
【0015】
本発明の実施形態に係る作業者の管理方法システムは、店舗内の各作業者が保持し、音を取得する集音手段と、絶対位置を検出する絶対位置検出手段と、相対位置を検出する相対位置検出手段と、集音手段で取得した音を音声と認識する音声認識手段と、を備える携帯端末1と、携帯端末1と相互間でデータの送受信を実行することができる教育用作業指示を行うサーバー2と、を有することを特徴とするものであり、図1は、飲食店等の各店舗とこれらの各店舗を管理するFC(フランチャイズチェーン)本部の間で、教育マニュアルおよび教育マニュアルに基づく各種の教育用作業コンテンツを配信するシステムに、本発明の実施形態に係る管理方法システムを適用した説明図である。なお、図1では、説明簡略化のため、店舗は1店のみを記載している。
【0016】
FC(フランチャイズチェーン)本部は、配信システム11と、コンテンツデータベース12とを備え、このコンテンツデータベース12には、教育マニュアルおよび教育マニュアルに基づく各種の教育用作業コンテンツが記憶・登録されている。
【0017】
配信システム11は、各種の教育用作業コンテンツを各店舗に対して配信する。教育用作業コンテンツとしては、接客作業のコンテンツの他、複数人で連携して接客作業を行うコンテンツ、厨房での調理作業のコンテンツ、レジ作業のコンテンツ、またこれらの作業を組み合わせた作業コンテンツなどがある。
【0018】
各店舗の教育用作業指示を行うサーバー2は、配信された各種の教育用作業コンテンツを、それぞれ教育用データベース21に記憶・登録する。このサーバー2に記憶・登録された各種の教育用作業コンテンツは、教育用作業コンテンツファイルとして閲覧可能であり、各店舗の管理者(例えば、店長D)は、教育用作業コンテンツを基に、各店舗および各従業員(作業者)に応じたトレーニングメニューを作成する。例えば、各店舗の内装(テーブル、厨房、レジ等の設備配置)や各従業員(作業者)の担当(接客、調理)などに合わせたトレーニングメニューを作成する。
【0019】
管理者は、作成したトレーニングメニューを店舗管理者端末22(パーソナルコンピュータ等)に入力する。このトレーニングメニューは、サーバー2に送信され、教育用データベース21に記憶される。
携帯端末1は、店舗内の各作業者(従業員)が保持するものであり、詳細は以下に述べる。
【0020】
次に、図2、3を用いて、携帯端末1およびRFIDタグ3の構成について詳細に説明する。
図2の1は作業者(従業員)が保持する携帯端末であって、各作業者の頭部にセットされたマイクロフォンとスピーカーとを含むヘッドセットと対になって使用される。
前記携帯端末とヘッドセットとの間の通信は、有線でも無線でも良い。
【0021】
携帯端末1には、絶対位置検出部1−1と、相対位置検出部1−2と、音声認識部1−3と、サーバー2との間で通信を行う通信部(図2では無線LAN通信)1−4と、それらを制御する制御部(メインCPU)1−5と、図示しない電源(電池)が含まれている。
【0022】
RFIDタグ3は、店舗内の絶対位置の情報が記録されており、各テーブル上に固定配置されたTTO(Table Top Oderring)端末等に内蔵されている。このRFIDタグ3には、近距離通信専用CPUを含む送受信部3−1とアンテナ3−2及び電池(固定部であるので必ずしも電池である必要はなく、商用電源でも良い。)が含まれている。
なお、RFIDタグ3は必ずしもTTO端末に内蔵されていなくてもよく、各テーブル近辺に配置されていればよい。
【0023】
次に、携帯端末の構成を詳細に説明する。
図2の携帯端末に設けられた絶対位置検出部は、飲食店内の絶対位置(テーブルの位置)の情報が記録されたRFIDタグ3からアンテナを介して送信された近距離通信用の電波を絶対位置検出部1−1のアンテナ1−1aで受信して近距離通信専用CPU1−1bで処理して、当該携帯端末の存在する絶対位置を算出する。
【0024】
本発明に使用可能な近距離通信としては、上記RFIDによる近距離通信以外にも、「Bluetooth」(10m〜100m),「ZigBee」(10m〜70m),「Wibree」(10m),「UWB」(10m)等がある。
【0025】
前記絶対位置検出部の近距離通信専用CPUでは、フロアに配置された複数のアンテナ3−2から送信される電波を受信することによって、各アンテナの位置は予め定められているので、複数のアンテナから受信した電波の位相差等から、携帯端末の存在する絶対位置の算出が可能である。
【0026】
図2の相対位置検出部1−2には、相対位置検出センサーとして、3軸ジャイロセンサー1−2a、3軸加速度センサー1−2b、気圧センサー1−2c、地軸センサー1−2dが設けられている。
図2の携帯端末では、上記の4種類の相対位置検出センサーが設けられているが、必ずしも4種類の相対位置検出センサーが必要とは限らず、前記4種類のセンサーの内のいずれか数種類若しくは、前記4種類とは別の相対位置検出センサーを設けることも可能である。また、時刻や時間を計測するタイマーを備えており、時刻情報を取得することができる。
【0027】
前記相対位置検出センサー1−2a〜1−2dで検出された相対位置データは、位置検出CPUで処理されて、所定の時間(時刻毎に)どの方向に、どのような速度、歩数で移動しているのかという相対位置データが算出される。
この相対位置データの算出には、メモリ(ROM,RAM)1−2fに予め格納された相対位置演算用のプログラムが利用され、演算結果は、必要に応じて当該メモリに格納される。
【0028】
位置検出CPU1−2eで算出された、所定の時間(時刻毎に)どの方向に、どのような速度、歩数で移動しているのかという相対位置データをメインCPU1−5に送信する。
【0029】
1−4は無線LAN通信部である。携帯端末を保持する作業者の頭部にセットされたマイクロフォンとスピーカーとを含むヘッドセットを介して作業に対する指示を与えるように構成される。
【0030】
1−3は本発明に特有の音声認識部(モジュール)であって、主として携帯端末を保持する作業者の頭部にセットされたマイクロフォン(集音手段)から作業者の発する音声を認識する。
【0031】
音声認識部(モジュール)の詳細については、図3を用いて以下に詳述する。
図3は、音声認識・発生部(モジュール)1−3を携帯端末の他の部分である位置検出手段(絶対位置検出部1−1,相対位置検出部1−2)と制御部(メインCPU)1−5の、音声認識及び音声発生に関係する部分の機能構成を示した図である。
【0032】
図3の1−3は作業者が保持する携帯端末の音声認識・発生部(モジュール)であって、作業者の頭部にセットされたヘッドセットのマイクロフォン1−6b(集音手段)とスピーカー1−6aとの間が有線若しくは無線で通信可能に接続されている。
音声認識・発生部(モジュール)は、音声認識・音声発生の専用ICで構成され、作業者の発する音声を作業者の頭部にセットされたヘッドセットのマイクロフォンで取得・認識(音声入力判別)してデジタルデータに変換(テキストデータ又はコードデータ等)して、制御部(メインCPU)に送出する。
また、制御部(メインCPU)から送出された作業者に対する指示等のデジタルデータ(テキストデータ又はコードデータ等)を音声データに変換(音声変換)して作業者の頭部にセットされたヘッドセットのスピーカーから送出する。
【0033】
前記音声入力判別及び音声変換には、無条件での変換(判別)を実現するためには、大きなデータベースと処理時間を要するが、位置検出手段による検出データを参照して、当該携帯端末が存在する位置(場所)での使用される可能性のある用語に絞ったデータベースを使用することによって処理時間の短縮を図っている。
即ち、携帯端末の存在する場所が異なった場合には、変換に使用するデータベースを変更することができる。
【0034】
次に、位置検出に基づくデータ処理手順の例を図4のフローチャートを用いて以下に説明する。
・相対位置検出部1−2を構成する相対位置検出センサーである3軸ジャイロセンサー1−2a、3軸加速度センサー1−2b、気圧センサー1−2c、地軸センサー1−2dの検出出力を位置検出CPU1−2eに送信する。(ステップS1)
・位置検出CPU1−2eは、全てのセンサーの検出出力の内、各センサーの特性及び教育用作業指示を行うサーバーが適用された用途等を考慮してメインCPU1−5に選択されたセンサー検出出力を送信する。(ステップS2)
・メインCPU1−5は、3軸ジャイロセンサーの検出出力と、3軸加速度センサーの検出出力から移動距離を積分して算出する。(ステップS3)
【0035】
・メインCPU1−5は、3軸ジャイロセンサーの検出出力と、3軸加速度センサーの検出出力から歩数及び歩数に応じた移動距離を算出する。(ステップS4)
・メインCPU1−5は、3軸ジャイロセンサーの検出出力から作業者の移動方向(向き)を算出する。(ステップS5)
【0036】
・絶対位置検出部1−1のアンテナ1−1aで受信した複数の受信電波の処理を近距離通信専用CPUで実行して得た携帯端末の絶対位置データをメインCPU1−5に送信する。(ステップS6)
・マイクロフォン1−6bで取得した音声を音声認識モジュールでデジタルデータに変換(認識)された認識結果をメインCPU1−5に送信する。(ステップS7)
【0037】
・メインCPU1−5では、受信した絶対位置データを、メインCPU1−5で算出した、歩数、移動距離、端末の向き等のデータで補正をして、作業者(携帯端末)の向きを含むフロアにおける現在位置として算出し、前記作業者の音声認識結果データを作業者の補正された現在位置データと対応付けて、無線LAN1−4を介して教育用作業指示を行うサーバーに送信する。(ステップS8)
なお、ステップS3〜S5において算出した移動距離、歩数、移動方向等の相対位置データ、ステップS6において算出した絶対位置データは、データそのものを音声認識結果データと共に教育用作業指示を行うサーバー2に送信することもできる。ここでは、相対位置データを、主として絶対位置データを補正するために利用しているが、管理システムの適用分野に応じて教育用作業指示を行うサーバー2において他の用途のために利用することもできるからである。
・サーバー2は、無線LANを介して受信した、作業者の音声認識結果データ及び作業者の補正された現在位置データとに基づいて、予め蓄積された作業場所毎の作業者の作業に関する音声のデータベースに基づいて作業者の作業内容を特定する。(ステップS9)
【0038】
・サーバー2は、特定された作業内容を基に、次に作業者に与える指示データを作成して無線LANを介して作業者の携帯端末に送信する。(ステップS10)
・作業者の携帯端末1は、無線LANを介して受信した指示データを音声発生ICで音声に変換してスピーカーを介して音声で作業者に伝える。(ステップS11)
【0039】
次に、本実施形態に係る作業者の管理方法の手順を図1及び図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る作業者の管理方法の手順を示すフローチャートである。
【0040】
教育用作業指示を行うサーバー2は、作業者(従業員A)に対するトレーニングメニューに沿った一連の作業の指示情報を従業員Aが保持する携帯端末1Aに送信する(ステップS21)。
【0041】
携帯端末1Aはこれを受信して、指示情報をスピーカー1−6aから音声で出力する(ステップS22)。
【0042】
従業員Aは音声出力された作業指示に従ってトレーニングを実行する。携帯端末1Aは、トレーニングメニューに沿った一連の作業に関する従業員Aの行動に係る情報を取得する。即ち、携帯端末1Aは、前述のように、音声認識・発生部(モジュール)1−3や位置検出手段(絶対位置検出部1−1,相対位置検出部1−2)や時刻を計測するタイマーを備えており、トレーニングメニューの一連の作業ごとに、(携帯端末1Aを保持する従業員Aの)位置情報と音声情報と、それらに関連する時刻情報を取得する(ステップS23)。
【0043】
上記取得する位置情報は、単に現在の絶対位置(の座標)のみならず、携帯端末1Aの相対位置検出部1−2で検出され、メインCPU1−5で算出された移動距離、歩数、移動方向等の相対位置データの情報も含むものである。更に、携帯端末1Aの向きがわかるので、これを保持する従業員Aがどちらの方向を向いているかも推定できる。
【0044】
従って、従業員Aに対するトレーニング中に、例えば、待機位置から接客位置(客役Cと対面して会話できる位置)までの所要時間、ルート、歩数を計測でき、接客位置に到達した時点での従業員Aの向き(客役Cの方向を向いているか否かなど)等の情報も取得できる。また、従業員Aが発声した声(客役Cに対する挨拶やオーダー等、なお、図中客役Cを点線で示したように、客役Cが居ない場合は、お客様がそこにいるものとして行ってもよい)の音量や明瞭度等を音声情報として取得できる。
【0045】
そして、携帯端末1Aは、上記取得した位置情報と音声情報と、それらに関連する時刻情報をデジタルデータ化し、サーバー2に送信する(ステップS24)。
【0046】
サーバー2は、上記デジタルデータ化された位置情報と音声情報と、それらに関連する時刻情報を受信する(ステップS25)。
次に、サーバー2は、携帯端末1Aから得られた位置情報と音声情報と、それらに関連する時刻情報と、をトレーニングメニューの一連の作業ごとに分析し、各作業の習熟度を得る(ステップS26)。具体的な上記トレーニングメニューの一連の作業としては、例えば、店舗の入り口でお出迎えの際に「いらっしゃいませ。」や「しばらくお待ちください。」などの基本的な台詞を、所定の音量、抑揚、時間で、発しているか、また、料理の説明をするときにお客様に対して定められた向き(例えばお客様の右側に立って話し掛ける)で応対しているか、また、料理の注文を受けたときに復唱しているか、などがある。
【0047】
サーバー2は、従業員Aに対する各作業の習熟度を、教育用データベース21に記憶する(ステップS27)。
【0048】
次に、従業員Aに対する各作業の習熟度と、予め、教育用データベース21に記憶させておいた標準値(標準作業情報)と、を比較し比較結果を得る(ステップS27)。例えば、食事が終わった客のテーブルをかたづける「かたづけ作業」の作業時間を標準の作業時間と比較するなどである。
【0049】
更に、比較結果から、標準値よりも劣る結果の作業(例えば、作業時間が標準値よりも所定の閾値以上にかかった作業)を抽出する。
【0050】
例えば、仮に従業員Aがトレーニングで行った「かたづけ作業」の作業時間5分であり、標準の作業時間が3分であり、閾値が1分であったとする。この場合に、標準の作業時間との差が2分であるので、従業員Aによる「かたづけ作業」は標準値よりも劣る結果であった作業として抽出される。
【0051】
従業員Aの保持する携帯端末1Aに対して、抽出された上記「かたづけ作業」は、「改善すべき点」であることを通知する。あるいは、「かたづけ作業」を再度トレーニングするようにとの指示情報を送信するようにしてもよい。従って、従業員Aは上記指示情報により、指示された点である「かたづけ作業」を改善するように注意して、次のトレーニングまたは実際の作業を行うことができる。
【0052】
また、上記「かたづけ作業」以外の作業における標準値との比較の例としては、例えば、お客様への追加注文を伺いに行く回数(位置情報と音声情報)、お客様に呼び出されてからテーブルに行くまでの時間(位置情報のみ)、お勧めメニューを説明した回数(音声情報のみ)、食事後におしぼりやお冷やを出すタイミング(食事終了後**分以内に)、料理の注文を受けてから提供終了するまでの時間などを標準値と比較する。
【0053】
また、サーバー2は、上記作業者(従業員A)に対する各作業の習熟度および標準値との比較結果や「改善すべき点」などの情報を教育結果のレポートとして出力する(ステップS28)。
そして、上記教育結果のレポートは店舗管理者端末22に送信することができる。このようにして、更に他の各作業者(従業員B、・・・)にもトレーニングを実施して、店舗内の各作業者(従業員)に対する教育結果のレポートを得ることができる。
また、店舗の管理者(店長D)は、トレーニングを行った各作業者(従業員A、従業員B、・・・)の教育結果のレポートをFC本部へ報告することができる。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る管理方法によれば、各店舗における従業員教育は、FC本部から提供された教育用作業コンテンツに基づく体験型のトレーニングとして行われるので、教育レベルの均一化を図ることができ、効率よく短期間で作業の習熟度をあげられる。また、店舗においては、サーバーと各作業者(従業員)が保持する携帯端末との連携でトレーニングの指示および各作業の習熟度の取得が自動的に行われるので、専門の教育用トレーナーや記録係などの人員は必要ないので、人件費を節約できる。
【0055】
また、各作業者(従業員)の教育レベルを数値化できるのみならず、各店舗間の教育レベルのばらつきを改善することができる。
【0056】
さらに、各店舗からの各作業者(従業員)の教育結果を基に、FC本部の担当者Eは、基本となる作業者(従業員)教育のマニュアルの改善および教育マニュアルに基づく各種の教育用作業コンテンツも同時に改善を行うことができる。そして、改善された教育マニュアルおよび教育用作業コンテンツは、コンテンツデータベース12に登録できる。
【符号の説明】
【0057】
1…携帯端末、2…サーバー、11…配信システム、12…コンテンツデータベース、21…教育用データベース、22…店舗管理者端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバーが、指示情報を携帯端末に送信するステップと、
少なくとも、位置情報と音声情報とそれらに関連する時刻情報のいずれかの情報が前記携帯端末によって取得され、取得された当該情報を前記サーバーが受信するステップと、
前記サーバーが、前記携帯端末から取得された当該情報と、前記指示情報に含まれる少なくとも所定の前記位置情報と前記音声情報とそれらに関連する前記時刻情報のいずれかと、を比較するステップと、
を含むことを特徴とする管理方法。
【請求項2】
前記比較するステップの後、
当該比較結果に基づき前記携帯端末に前記指示情報を送信するステップを、更に含むことを特徴とする請求項1に記載の管理方法。
【請求項3】
前記サーバーが、前記比較結果を含む情報を出力するステップを、更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の管理方法。
【請求項4】
前記請求項1〜3のいずれか1項の管理方法の各ステップを、前記サーバーに実行させることを特徴とする管理プログラム。
【請求項5】
音を取得する集音手段と、位置を検出する位置検出手段と、前記集音手段で取得した音を音声として認識する音声認識手段と、時刻を計測するタイマーを備える携帯端末と、
指示情報を前記携帯端末に送信するとともに、少なくとも当該携帯端末から送信された位置情報と音声情報とそれらに関連する時刻情報のいずれかと、前記指示情報に含まれる少なくとも所定の前記位置情報と前記音声情報とそれらに関連する前記時刻情報のいずれかと、を比較するサーバーと、
を有することを特徴とする管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−186039(P2010−186039A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29926(P2009−29926)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】