説明

管理装置及び端末装置及び通信システム及び同期管理方法及びプログラム

【課題】複数のクライアント端末間で画面描画終了時の同期を取る。
【解決手段】画面表示同期サーバ100は、時間情報管理テーブル記憶部102においてクライアント端末ごとに、ネットワーク伝送遅延時間と画像データごとの描画遅延時間とを示す時間情報管理テーブルを記憶しており、時間情報管理テーブルに基づき、複数のクライアント端末間で同期して描画対象の画像データの描画を完了させる画面描画終了時刻を設定し、描画対象の画像データと画面描画終了時刻を示す同期信号を複数のクライアント端末に送信する。各クライアント端末では、同期信号を受信し、描画対象の画像データの描画遅延時間を検出し、画面描画終了時刻から描画遅延時間を差し引いた時刻から描画を開始し、画面描画終了時刻に複数のクライアント端末間で同期して描画対象の画像データの描画を完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の端末装置がネットワークを介して接続されている構成において、複数の端末装置間で出力データ(例えば、画像データ)の出力完了タイミングの同期をとる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の技術では、仮想空間管理サーバが、各利用者端末に対して、当該端末の時間と自身の時間との差分を付加したメディア同期情報を含む複数のメディア情報を送信し、各利用者端末は、メディア情報とそのメディア同期情報に従い、複数のメディアをメディア配信サーバから取得し、仮想空間管理サーバの時間を基準としてそれぞれの表示すべきタイミングに合わせ並列して表示する。仮想空間管理サーバは、ある利用者端末でメディアに為された操作情報を元に該メディアに対する操作同期情報を生成し、仮想空間を共有している利用者端末に配信し、各利用者端末は、前記操作同期情報とその操作情報に従い、当該メディアを操作し、その表示すべきタイミングに合わせ再表示する。
【0003】
つまり、特許文献1に記載の従来の画面同期方式においては、ネットワーク遅延を考慮し、画像データの描画を開始する描画開始時刻の同期を取ることで複数の端末間の画面表示の同期をとる構成をとっている。
【特許文献1】特開2004−139305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、複数の端末間でネットワーク遅延を考慮して画面の描画開始時刻を同期する事は可能であったが、例えばプレゼンテーション資料を遠隔の端末に表示し、資料の表示が終了した時点でプレゼンテーション資料についての説明を各端末に対して一斉に始める場合には、複数の端末間で画面描画終了時、つまり各端末で画像データの描画が完了するタイミングの同期を取る必要がある。
従来の技術では、描画開始時刻の同期を取るのみであり、描画終了時刻の同期を取るものではないため、各端末において描画が完了する時刻が異なる。このため、端末によっては、プレゼンテーション資料の説明の開始タイミングとプレゼンテーション資料の描画完了タイミングとが一致しないという問題があった。
【0005】
本発明では、前記従来システムの課題を解決することを主な目的としており、複数の端末間で画面描画終了時の同期を取ることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る管理装置は、
それぞれが出力データの出力を行う複数の端末装置とネットワークにより接続されている管理装置であって、
端末装置ごとに、ネットワーク伝送遅延時間と出力データごとの出力遅延時間とが示された遅延時間情報を記憶する遅延時間情報記憶部と、
遅延時間情報に示された端末装置ごとのネットワーク伝送遅延時間と出力対象となる出力対象出力データの端末装置ごとの出力遅延時間とに基づき、前記複数の端末装置間で同期して出力対象出力データの出力を完了させる同期出力完了時刻を設定し、出力対象出力データを示すとともに同期出力完了時刻を示す同期信号を生成する同期出力完了時刻設定部と、
前記同期出力完了時刻設定部により生成された同期信号を前記複数の端末装置に対して送信する通信部とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る端末装置は、
ネットワークにより管理装置に接続されている複数の端末装置に含まれるいずれかの端末装置であって、
前記管理装置から、出力対象となる出力対象出力データを示すとともに前記複数の端末装置間で同期して出力対象出力データの出力を完了させる同期出力完了時刻を示す同期信号を受信する通信部と、
出力対象出力データを出力する際の出力遅延時間を検出する出力遅延時間検出部と、
前記同期出力完了時刻から出力遅延時間を差し引いた時刻から出力対象出力データの出力を開始し、前記同期出力完了時刻に前記複数の端末装置間で同期して出力対象出力データの出力を完了するデータ出力部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、端末装置ごとに出力遅延時間が異なる場合であっても、各端末装置における出力完了時刻が一致し、複数の端末装置間で同期して出力対象の出力データの出力を完了することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、図面を用いて本実施の形態に係る通信システムを詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る複数端末間で画面描画終了時に同期を取る方式のシステム概略図である。
画面表示同期サーバ装置100(以下、画面表示同期サーバ又はサーバともいう)は、同期の制御を行う。画面表示同期サーバ100は、管理装置の例である。
クライアント端末装置210〜2n0(以下、クライアント端末又はクライアント又は端末ともいう)は、利用者に画面(出力データ)を表示(出力)し、複数端末間で画面表示終了時の同期を取る。クライアント端末210〜2n0は、端末装置の例である。
画面表示同期サーバ100と各クライアント端末210〜2n0はネットワーク300にて接続される。
【0010】
画面表示同期サーバ100において、メディア同期部101は、各クライアント端末210〜2n0に対する同期信号を生成する。メディア同期部101は、同期出力完了時刻設定部の例である。
時間情報管理テーブル記憶部102は、各クライアント端末210〜2n0のネットワーク伝送遅延時間(以下、ネットワーク遅延時間ともいう)と表示画面毎の描画遅延時間が示された時間情報管理テーブル(遅延時間情報)を記憶している。時間情報管理テーブル記憶部102は、遅延時間情報記憶部の例である。ここで、描画遅延時間とは、メディア同期部101からの同期信号を各クライアント端末210〜2n0が受信してから対象となる表示画面の描画が完了するまでに要する時間であり、クライアント端末210〜2n0の性能(CPU性能やメモリ性能等)によりクライアント端末ごとに描画遅延時間は異なる場合が多い。また、表示画面のデータ量により表示画面ごとに描画遅延時間が異なる場合が多い。描画遅延時間は出力遅延時間の例である。
時間情報受信部103は、各クライアント端末210〜2n0から各クライアント端末210〜2n0における表示画面毎の描画遅延時間情報を受信する。
同期信号送信部104は、メディア同期部101により生成された同期信号を各クライアント端末210〜2n0に送信する。
【0011】
クライアント端末210〜2n0において、メディア同期部211は、画面表示同期サーバ100より送信された同期信号を解析して画面描画開始時刻を算出するとともに、メディア表示部212に画面描画開始指示を行う。メディア同期部211は、出力遅延時間検出部の例である。
メディア表示部212は、メディア同期部211より指示を受け実際に画面を表示する。メディア表示部212は、データ出力部の例である。
時間情報管理テーブル記憶部213は、自端末における表示画面毎の描画遅延時間を示す時間情報管理テーブルを記憶している。時間情報管理テーブル記憶部213は、遅延時間情報記憶部の例である。
時間情報送信部214は、時間情報管理テーブルに示されている表示画面毎の描画遅延時間情報を画面表示同期サーバ100に対して送信する。
同期信号受信部215は、画面表示同期サーバ100より送信された同期信号を受信する。同期信号受信部215は、通信部の例である。
【0012】
図2は、時間情報管理テーブル記憶部102に記憶されている時間情報管理テーブルの一実現方式を示している。
図2において、301はクライアント端末名を格納する端末名列である。
302はクライアント端末に対応するネットワーク遅延時間を格納するネットワーク遅延列である。
303は同期して画面を表示する際の画面名を格納する画面名列である。
304は各クライアント端末210〜2n0における各表示画面を表示する際の描画遅延時間を格納する描画遅延列である。
本テーブルは一例であり、テーブルの構成要素が同一であれば、テーブル名称や行列配置は本例によらない。なお、図2における時間の単位はミリ秒であってもよいし、システムとしての相対時間を用いてもよい。
【0013】
ここで、本実施の形態に係る通信システムの動作例を概説する。
図1に示すように、本実施の形態に係る通信システムは、それぞれが画像データの出力を行う複数のクライアント端末210、220、2n0(端末装置)と画面表示同期サーバ100(管理装置)がネットワーク300により接続されている。
【0014】
画面表示同期サーバ100では、時間情報管理テーブル記憶部102(遅延時間情報記憶部)がクライアント端末210〜2n0ごとに、ネットワーク伝送遅延時間と画像データ(出力データ)ごとの描画遅延時間とが示された時間情報管理テーブル(遅延時間情報)を記憶している。
そして、メディア同期部101(同期出力完了時刻設定部)が、時間情報管理テーブルに示されたクライアント端末210〜2n0ごとのネットワーク伝送遅延時間と描画対象となる画像データ(出力対象出力データ)のクライアント端末ごとの描画遅延時間とに基づき、複数のクライアント端末間で同期して描画対象の画像データの表示を完了させる画面描画終了時刻(同期出力完了時刻)を設定し、描画対象の画像データを示すとともに画面描画終了時刻を示す同期信号を生成する。
そして、同期信号送信部104(通信部)が、同期信号を複数のクライアント端末210〜2n0に対して送信する。
【0015】
各クライアント端末210〜2n0では、同期信号受信部215(通信部)が、画面表示同期サーバ100からの同期信号を受信する。この同期信号には、前述のように、描画対象の画像データが示されるとともに複数のクライアント端末間で同期して描画対象の画像データの表示を完了させる画面描画終了時刻が示される。
そして、メディア同期部211(出力遅延時間検出部)が、描画対象の画像データを描画する際の描画遅延時間を検出する。メディア同期部211は、例えば、同期信号に含まれている描画遅延時間を抽出してもよいし、時間情報管理テーブル記憶部213に記憶されている描画遅延時間を抽出してもよい。
そして、メディア表示部212(データ出力部)が、画面描画終了時刻から描画遅延時間を差し引いた時刻から描画対象の画像データの描画を開始し、画面描画終了時刻に複数のクライアント端末間で同期して描画対象の画像データの描画を完了する。
【0016】
次に、本実施の形態に係る画面表示同期サーバ100及びクライアント端末210〜2n0のハードウェア構成例について説明する。
図6は、本実施の形態に示す画面表示同期サーバ100及びクライアント端末210〜2n0のハードウェア資源の一例を示す図である。
図6において、画面表示同期サーバ100及びクライアント端末210〜2n0は、プログラムを実行するCPU911(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介して、例えば、ROM(Read Only Memory)913、RAM(Random Access Memory)914、通信ボード915、表示装置901、キーボード902、マウス903、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。更に、CPU911は、FDD904(Flexible Disk Drive)、コンパクトディスク装置905(CDD)、プリンタ装置906、スキャナ装置907と接続していてもよい。また、磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
通信ボード915、キーボード902、スキャナ装置907、FDD904などは、入力部、入力装置の一例である。
また、通信ボード915、表示装置901、プリンタ装置906などは、出力部、出力装置の一例である。
【0017】
通信ボード915は、図1に示すように、ネットワークに接続されている。例えば、通信ボード915は、LAN(ローカルエリアネットワーク)、インターネット、WAN(ワイドエリアネットワーク)などに接続されていても構わない。
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0018】
上記プログラム群923には、本実施の形態の説明において「〜部」、「〜手段」として説明している機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、以下に述べる説明において、「〜の判定結果」、「〜の計算結果」、「〜の処理結果」、「〜の評価結果」等として説明している情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリになどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリ、レジスタ、キャッシュメモリ、バッファメモリ等に一時的に記憶される。
また、以下で説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0019】
また、本実施の形態の説明において「〜部」、「〜手段」として説明しているものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「手段」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」、「〜手段」として説明しているものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、本実施の形態の「〜部」、「〜手段」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、本実施の形態の「〜部」、「〜手段」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0020】
このように、本実施の形態に示す画面表示同期サーバ100及びクライアント端末210〜2n0は、処理装置たるCPU、記憶装置たるメモリ、磁気ディスク等、入力装置たるキーボード、マウス、通信ボード等、出力装置たる表示装置、通信ボード等を備えるコンピュータであり、上記したように「〜部」、「〜手段」として示された機能をこれら処理装置、記憶装置、入力装置、出力装置を用いて実現するものである。
【0021】
次に、図3を元に画面表示同期サーバ100側の動作例(同期管理方法)について説明する。
まず、S402にて、メディア同期部101が表示画面を選択する。
次に、S403で、メディア同期部101が時間情報管理テーブル記憶部102に記憶されている時間情報管理テーブルより各クライアント端末210〜2n0へ同期信号を送信する際のネットワーク遅延時間と表示する画面に対応する描画遅延時間を読込む(同期出力時刻設定ステップ)。
次に、S404で、メディア同期部101はクライアント端末毎にネットワーク遅延時間と描画遅延時間を合計し、合計値(総遅延時間)の中で最大値を算出する(同期出力時刻設定ステップ)。
次に、S405で、メディア同期部101は、現在時刻を取得し、S404で算出したネットワーク遅延時間と描画遅延時間の合計値の最大値を現在時刻に加算し、画面表示同期システムの画面描画終了時刻(同期出力完了時刻)を算出する(同期出力時刻設定ステップ)。
次に、S406にて、メディア同期部101は算出した画面描画終了時刻を示す同期信号を生成し(同期信号生成ステップ)、同期信号送信部104が、各クライアント端末210〜2n0に同期信号を送信する(通信ステップ)。
【0022】
図4は、S406において各クライアント端末210〜2n0に送信される同期信号の一実現方式を示し、各端末にて同期を取って表示する画面名(NAME:画面1)と、その画面の描画終了時刻(DISP_END_TIME:2006/03/14 12;00:00 444)からなる。
また後述のように、クライアント端末が描画を完了するために必要な描画遅延時間(DISP_DELAY_TIME:800)のフィールドを持つ場合もありえる。
本例ではXML(eXtensible Markup Language)形式でデータ表現をしているが、別の表現形式をとってもよい。
【0023】
次に、画面表示同期サーバ100から送信された同期信号を受信し、画面を表示する際のクライアント端末210〜2n0の動作例を図5を用いて説明する。
先ず、S502で、同期信号受信部215が、画面表示同期サーバ100から送信された同期信号を受信する。
次に、S503にて、メディア同期部211が、同期表示を行う画面名及び描画終了時刻を同期信号から取り出す。また、同期信号に描画遅延時間のフィールドが含まれている場合は、描画遅延時間も同期信号から取り出すようにしてもよい。
次に、S504にて、メディア同期部211が、画面名より描画遅延時間を得る。これはクライアント端末210〜2n0に予め画面に対応した描画遅延時間を時間情報管理テーブル記憶部213内に時間情報管理テーブルとして保持し、この時間情報管理テーブルから画面名に対応した描画遅延時間を得てもよいし、同期信号に描画遅延時間のフィールドが含まれている場合は、メディア同期部211はS503において同期信号より描画遅延時間を取得し、取得した描画遅延時間を用いても良い。また、時間情報管理テーブルは、図2の画面名列303、描画遅延列304から構成される。
次に、S505において、メディア同期部211は、描画終了時刻からS504において取得した描画遅延時間を差し引いて画面描画を開始する画面描画開始時刻を算出する。
次に、S506において、算出した画面描画開始時刻が到来したら、メディア同期部211はメディア表示部212に対して画面の描画指示を行い、これにより、画面描画終了時刻に複数のクライアント端末210〜2n0間で同期して描画対象の画像データの描画を完了する。
【0024】
以上に説明したとおり、本実施の形態によれば、画面表示同期サーバ100にて画面描画終了時刻を算出し、クライアント端末210〜2n0にて画面名と画面描画終了時刻を取得し、画面描画終了時刻に合せて画面を描画する事により、各端末間で画面描画終了の同期を取ることが可能となる。
【0025】
尚、時間情報管理テーブルで用いるネットワーク遅延時間については、従来技術(例えば非特許文献 IETF RFC792 INTERNET CONTROL MESSAGE PROTOCOL)を用いて算出することができる。また、一定時間毎に再算出する事により、ネットワーク状態に合せたネットワーク遅延時間を得ることも可能とする。
描画遅延時間については予め時間を測定し設定する方式以外に、クライアント端末の起動時に時間情報管理テーブル記憶部213に格納されている時間情報管理テーブルの描画遅延時間を時間情報送信部214を用いて画面表示同期サーバ100に送信し、時間情報受信部103がそれを受信し、テーブルを作成する方式がある。尚、送信する描画遅延時間は例えば図4のNAMEフィールドとDISP_DELAY_TIMEフィールドを画面分繰り返した表現方式を取る。
クライアント端末210〜2n0の時間情報管理テーブル記憶部213に記憶される時間情報管理テーブルは予め時間を測定してテーブルに格納する方式と、クライアント端末起動時に実際に表示画面の表示を行いその時間を格納する方式がある。
【0026】
本実施の形態では、ネットワークで接続された複数の端末間で画面の描画終了を同期するシステムにおいて、各クライアント端末に対して、各クライアントとサーバ間のネットワーク伝送遅延と表示する画面毎の描画時間を管理する同期時間管理テーブルを有し、各端末に画面を表示するための同期信号を送信するメディア同期部を有する画面表示同期サーバについて説明した。
【0027】
また、本実施の形態では、ネットワークで接続された複数の端末間で画面の描画終了を同期するシステムにおいて、サーバより同期信号を受信しメディア表示部に画面表示指示を実施するメディア同期部と実際の画面を表示するメディア表示部を有する画面表示同期クライアントについて説明した。
【0028】
また、本実施の形態では、画面表示同期サーバにて各端末のネットワーク遅延と描画遅延を元に描画終了時刻を算出しそれを同期信号として送出し、同期信号を受信した各端末は自端末の画面描画能力を元に指定された時間に画面描画が終了するタイミングで画面描画を開始することにより、画面描画終了時を複数端末間で同期をとることを説明した。
【0029】
また、本実施の形態では、画面表示同期サーバが、クライアント端末より送信された画面描画遅延時間を受信し時間情報管理テーブルに格納する時間情報受信部を有することを説明した。
【0030】
また、本実施の形態では、画面表示同期クライアントが、画面毎の描画遅延時間を格納した時間情報管理テーブルを有することを説明した。
【0031】
また、本実施の形態では、画面表示同期クライアントが、画面毎の描画遅延時間を画面表示同期サーバに送信する時間情報送信部を有することを説明した。
【0032】
以上のように、本実施の形態では、管理装置が、端末装置ごとに、ネットワーク伝送遅延時間と出力データごとの出力遅延時間とが示された遅延時間情報を記憶し、遅延時間情報に示された端末装置ごとのネットワーク伝送遅延時間と出力対象となる出力対象出力データの端末装置ごとの出力遅延時間とに基づき、前記複数の端末装置間で同期して出力対象出力データの出力を完了させる同期出力完了時刻を設定し、出力対象出力データを示すとともに同期出力完了時刻を示す同期信号を生成し、生成した同期信号を前記複数の端末装置に対して送信する。
そして、複数の端末装置のそれぞれは、管理装置より前記同期信号を受信し、出力対象出力データを出力する際の出力遅延時間を検出し、前記同期出力完了時刻から出力遅延時間を差し引いた時刻から出力対象出力データの出力を開始し、前記同期出力完了時刻に前記複数の端末装置間で同期して出力対象出力データの出力を完了する。
このため、端末装置ごとに出力遅延時間が異なる場合であっても、各端末装置における出力完了時刻が一致し、複数の端末装置間で同期して出力対象の出力データの出力を完了することができる。
【0033】
なお、以上の説明では、出力データの例として、表示のための画像データを説明したが、これに限らず、音声データや、音声と画像の組み合わせデータ等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施の形態1に係る通信システムの構成例を示す図。
【図2】実施の形態1に係る時間情報管理テーブルの例を示す図。
【図3】実施の形態1に係る画面表示同期サーバの動作例を示すフローチャート図。
【図4】実施の形態1に係る同期信号の例を示す図。
【図5】実施の形態1に係るクライアント端末の動作例を示すフローチャート図。
【図6】実施の形態1に係る画面表示同期サーバ及びクライアント端末のハードウェア構成例を示す図。
【符号の説明】
【0035】
100 画面表示同期サーバ装置、101 メディア同期部、102 時間情報管理テーブル記憶部、103 時間情報受信部、104 同期信号送信部、210 クライアント端末装置、211 メディア同期部、212 メディア表示部、213 時間情報管理テーブル記憶部、214 時間情報送信部、220 クライアント端末装置、2n0 クライアント端末装置、300 ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが出力データの出力を行う複数の端末装置とネットワークにより接続されている管理装置であって、
端末装置ごとに、ネットワーク伝送遅延時間と出力データごとの出力遅延時間とが示された遅延時間情報を記憶する遅延時間情報記憶部と、
遅延時間情報に示された端末装置ごとのネットワーク伝送遅延時間と出力対象となる出力対象出力データの端末装置ごとの出力遅延時間とに基づき、前記複数の端末装置間で同期して出力対象出力データの出力を完了させる同期出力完了時刻を設定し、出力対象出力データを示すとともに同期出力完了時刻を示す同期信号を生成する同期出力完了時刻設定部と、
前記同期出力完了時刻設定部により生成された同期信号を前記複数の端末装置に対して送信する通信部とを有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記同期出力完了時刻設定部は、
端末装置ごとにネットワーク伝送遅延時間と出力対象出力データの出力遅延時間を加算して端末装置ごとの総遅延時間を算出し、算出した総遅延時間の中で最大値の総遅延時間を選択し、選択した最大値の総遅延時間と現在時刻とを加算して同期出力完了時刻を設定することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記同期出力完了時刻設定部は、
端末装置ごとに、出力対象出力データと同期出力完了時刻とを示すとともに出力対象出力データについての当該端末装置の出力遅延時間を示す同期信号を生成し、
前記通信部は、
端末装置ごとに生成された同期信号を端末装置ごとに送信することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記管理装置は、
それぞれが画像データの表示を行う複数の端末装置とネットワークにより接続されており、
前記遅延時間情報記憶部は、
端末装置ごとに、ネットワーク伝送遅延時間と画像データごとの描画遅延時間とを示す遅延時間情報を記憶し、
前記同期出力完了時刻設定部は、
遅延時間情報に示された端末装置ごとのネットワーク伝送遅延時間と表示対象の画像データの端末装置ごとの描画遅延時間とに基づき、前記複数の端末装置間で同期して表示対象の画像データの表示を完了させる同期出力完了時刻を設定することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
ネットワークにより管理装置に接続されている複数の端末装置に含まれるいずれかの端末装置であって、
前記管理装置から、出力対象となる出力対象出力データを示すとともに前記複数の端末装置間で同期して出力対象出力データの出力を完了させる同期出力完了時刻を示す同期信号を受信する通信部と、
出力対象出力データを出力する際の出力遅延時間を検出する出力遅延時間検出部と、
前記同期出力完了時刻から出力遅延時間を差し引いた時刻から出力対象出力データの出力を開始し、前記同期出力完了時刻に前記複数の端末装置間で同期して出力対象出力データの出力を完了するデータ出力部とを有することを特徴とする端末装置。
【請求項6】
前記通信部は、
出力対象出力データについての自装置の出力遅延時間が示された同期信号を受信し、
前記出力遅延時間検出部は、
前記同期信号から出力遅延時間を検出することを特徴とする請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記端末装置は、更に、
出力データごとの出力遅延時間が示された遅延時間情報を記憶する遅延時間情報記憶部を有し、
前記出力遅延時間検出部は、
遅延時間情報から出力対象出力データに対応する遅延時間情報を検出することを特徴とする請求項5に記載の端末装置。
【請求項8】
前記通信部は、
前記管理装置から、表示対象となる表示対象画像データを示すとともに前記複数の端末装置間で同期して表示対象画像データの表示を完了させる同期出力完了時刻を示す同期信号を受信し、
前記出力遅延時間検出部は、
前記同期信号に示された表示対象画像データを表示する際の描画遅延時間を検出し、
前記データ出力部は、
前記同期出力完了時刻から描画遅延時間を差し引いた時刻から表示対象画像データの描画を開始し、前記同期出力完了時刻に前記複数の端末装置間で同期して表示対象画像データの表示を完了することを特徴とする請求項5に記載の端末装置。
【請求項9】
それぞれが出力データの出力を行う複数の端末装置と、
ネットワークにより前記複数の端末装置に接続されている管理装置とを有する通信システムであって、
前記管理装置は、
端末装置ごとに、ネットワーク伝送遅延時間と出力データごとの出力遅延時間とが示された遅延時間情報を記憶し、遅延時間情報に示された端末装置ごとのネットワーク伝送遅延時間と出力対象となる出力対象出力データの端末装置ごとの出力遅延時間とに基づき、前記複数の端末装置間で同期して出力対象出力データの出力を完了させる同期出力完了時刻を設定し、出力対象出力データを示すとともに同期出力完了時刻を示す同期信号を生成し、生成した同期信号を前記複数の端末装置に対して送信し、
前記複数の端末装置のそれぞれは、
前記管理装置より前記同期信号を受信し、出力対象出力データを出力する際の出力遅延時間を検出し、前記同期出力完了時刻から出力遅延時間を差し引いた時刻から出力対象出力データの出力を開始し、前記同期出力完了時刻に前記複数の端末装置間で同期して出力対象出力データの出力を完了することを特徴とする通信システム。
【請求項10】
それぞれが出力データの出力を行う複数の端末装置とネットワークを介した通信を行って出力データの出力の同期をとる同期管理方法であって、
端末装置ごとにネットワーク伝送遅延時間と出力データごとの出力遅延時間とが示された遅延時間情報を用い、端末装置ごとのネットワーク伝送遅延時間と出力対象となる出力対象出力データの端末装置ごとの出力遅延時間とに基づき、前記複数の端末装置間で同期して出力対象出力データの出力を完了させる同期出力完了時刻を設定する同期出力時刻設定ステップと、
出力対象出力データを示すとともに同期出力完了時刻を示す同期信号を生成する同期信号生成ステップと、
前記同期信号生成ステップにより生成された同期信号を前記複数の端末装置に対して送信する通信ステップとを有することを特徴とする同期管理方法。
【請求項11】
それぞれが出力データの出力を行う複数の端末装置とネットワークにより接続されたコンピュータに、
端末装置ごとにネットワーク伝送遅延時間と出力データごとの出力遅延時間とが示された遅延時間情報を用い、端末装置ごとのネットワーク伝送遅延時間と出力対象となる出力対象出力データの端末装置ごとの出力遅延時間とに基づき、前記複数の端末装置間で同期して出力対象出力データの出力を完了させる同期出力完了時刻を設定する同期出力時刻設定処理と、
出力対象出力データを示すとともに同期出力完了時刻を示す同期信号を生成する同期信号生成処理と、
前記同期信号生成ステップにより生成された同期信号を前記複数の端末装置に対して送信する通信処理とを実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
ネットワークにより管理装置に接続されている複数のコンピュータに含まれるいずれかのコンピュータに、
前記管理装置から、出力対象となる出力対象出力データを示すとともに前記複数のコンピュータ間で同期して出力対象出力データの出力を完了させる同期出力完了時刻を示す同期信号を受信する通信処理と、
出力対象出力データを出力する際の出力遅延時間を検出する出力遅延時間検出処理と、
前記同期出力完了時刻から出力遅延時間を差し引いた時刻から出力対象出力データの出力を開始し、前記同期出力完了時刻に前記複数のコンピュータ間で同期して出力対象出力データの出力を完了するデータ出力処理とを実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−310777(P2007−310777A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141280(P2006−141280)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】