説明

管継手用ロックリング及び管継手

【課題】爪部が管体に食い込みすぎるのを効果的に抑制する管継手用ロックリングを提供すること。
【解決手段】管体40が挿入される環状のリング部31と、リング部31の内周側に周方向に間隔をおいて設けられリング部31の軸方向に対して傾斜する傾斜板部42と、傾斜板部42に周方向Sに間隔をおいて設けられリング部31の径方向内側に延び管体40の外周面に食い込んで管体40の抜け出しを阻止する爪部36と、傾斜板部42の爪部36に隣接した位置に設けられ管体40の外周面に当接して爪部36の管体40の外周面への食い込みを規制する規制部38と、をロックリング30が有することで、爪部36が管体40に食い込みすぎるのを効果的に抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手用ロックリング及び管継手に係り、特に管継手の内部に挿入された管体の抜け出しを阻止する管継手用ロックリング及び管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パイプを継手本体の挿入孔にワンタッチ操作によって接続して保持し、パイプの離脱を抑制することができる管継手が一般的に使用されている。
【0003】
この種の管継手は、挿入孔の内部にロックリングが配置されており、ロックリングの内周側に爪が形成されている。そして、挿入孔に挿入された樹脂製のパイプの外周面にロックリングの爪が食い込むことによって、パイプの挿入孔からの離脱を抑制している。しかしながら、ロックリングの爪がパイプに食い込み過ぎることも考えられる。
【0004】
このため、特許文献1では、ロックリングの爪の両側に食い込みを規制するための規制部を設けている。しかしながら、規制部は爪の周方向端部を切り欠いた形状であるため、管体に抜け出し方向の力が作用した場合には、規制部も管体へ食い込む可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−111531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、爪部が管体に食い込み過ぎるのを効果的に抑制する管継手用ロックリング及び管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、管体が挿入される管継手の一部を構成し、前記管体の抜け出しを阻止する管継手用ロックリングであって、前記管体が挿入される環状のリング部と、前記リング部の内周側に周方向に間隔をおいて複数設けられ、前記リング部の軸方向に対して傾斜する傾斜板部と、前記傾斜板部に前記周方向に間隔をおいて複数設けられ、前記リング部の径方向内側へ延び、前記管体の外周面に食い込んで前記管体の抜け出しを阻止する爪部と、前記傾斜板部の前記爪部に隣接した位置に設けられ、前記管体の外周面に当接して前記爪部の当該外周面への食い込みを規制する規制部と、を有する管継手用ロックリングである。
【0008】
請求項1に記載の管継手用ロックリングでは、管体を管継手の内部に挿入すると、内圧の作用等によってリング部の傾斜板部に設けられた複数の爪部が管体の外周面に食い込み、爪部で管体が保持されることによって、管体の抜け出しが阻止される。
【0009】
また、傾斜板部には、爪部に隣接した位置に規制部が設けられている。この規制部は、爪部が管体の外周面に一定量食い込むと、管体の外周面に当接して爪部がそれ以上管体の外周面に食い込むのを規制する。これにより、爪部が管体の外周面に食い込み過ぎて管体を貫通するなどの不具合が抑制される。
【0010】
ここで、請求項1では、傾斜板部に複数の爪部を設けているため、傾斜板部に爪部を1つ設ける構成のものと比べて、管体に抜け出し方向の力が作用したときの1つ当たりの爪部が受ける力が小さくなる。このため、管体に抜け出し方向の力が作用したときに1つ当たりの爪部が管体の外周面に食い込もうとする力が低下し、管体の外周面に爪部が食い込み過ぎるのが抑制される。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記規制部が前記爪部の前記周方向の両隣に設けられている、管継手用ロックリングである。
【0012】
請求項2に記載の発明では、規制部が爪部の前記周方向の両隣に設けられているので、複数の爪部が管体の外周面に食い込んだときに、爪部の両隣で規制部が管体の外周面に当接する。これにより、爪部の管体の外周面への食い込みが安定化し、食い込み量を効果的に制御できる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記爪部が前記傾斜板部の前記周方向の両端部側にのみ設けられている、管継手用ロックリングである。
【0014】
請求項3に記載の発明では、爪部を傾斜板部の前記周方向の両端部側にのみ設けているので、爪部が傾斜板部の前記周方向の中央に設けられるよりも、爪部に管体への食い込み方向の力が伝わり難い。
【0015】
請求項4に記載の発明は、管体が挿入される挿入孔が形成された継手本体と、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の管継手用ロックリングと、前記継手本体に外挿され、前記管継手用ロックリングを前記継手本体に保持すると共に、前記管継手用ロックリングの前記リング部に当接して前記爪部の前記管体からの抜けを阻止するテーパー面を備えたキャップと、を有する管継手である。
【0016】
請求項4に記載の発明では、継手本体に、管体が挿入される挿入孔が形成されており、継手本体に管継手用ロックリングが装着されている。また、継手本体に外挿されたキャップによって管継手用ロックリングが継手本体に保持されている。管体を挿入孔に挿入すると、管体は管継手用ロックリング内を通り、傾斜板部に設けられた複数の爪部が管体の外周面に食い込む。これにより、管継手に挿入された管体の抜け出しが抑制される。このとき爪部は、管体の外周面に一定量食い込むと、規制部が管体の外周面に当接してそれ以上管体の外周面に食い込むのが規制される。また、傾斜板部に複数の爪部が設けられているため、管体に抜け出し方向の力が作用したときに1つ当たりの爪部が管体の外周面に食い込もうとする力が低下し、管体の外周面に爪部が食い込み過ぎるのが抑制される。
【0017】
請求項5に記載の発明は、前記キャップの内周側には、前記管継手用ロックリングの前記爪部と前記管体の間に入り込んで前記爪部の前記管体への食い込みを解除する解放リングが設けられている、管継手である。
【0018】
請求項5に記載の発明では、キャップに設けられた解放リングが爪部と管体の間に入り込むことで、爪部の管体への食い込みが解除され、管体を挿入孔から引き抜くことが可能となる。このため、簡単な操作によって、管体の管継手からの離脱を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る管継手用ロックリング及び管継手では、爪部が管体に食い込みすぎるのを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る管継手の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る管継手であって、管体を分離した状態を示す半裁断面図である。
【図3】(A)は図1に示す管継手に用いられるロックリングの斜視図、(B)は図1に示す管継手に用いられるロックリングの平面図、(C)はロックリングの半裁断面図である。
【図4】(A)は図3(B)に示すロックリングのA−A断面図、(B)は図3(B)に示すロックリングのB−B断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る管継手であって、管体を途中まで挿入した状態を示す半裁断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る管継手であって、管体を結合した状態を示す半裁断面図である。
【図7】図6に示すロックリングの爪部が管体に食い込んだ状態を示す部分拡大図である。
【図8】本発明の実施形態に係る管継手であって、管体を離脱させるためにロックリングの食い込みを解除した状態を示す半裁断面図である。
【図9】本発明のロックリングの変形例を示す平面図である。
【図10】本発明のロックリングの規制部の変形例を示す平面図である。
【図11】本発明のロックリングの規制部の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る管継手用のロックリング30を備えた管継手10の分解斜視図が示されている。また、図2には、本発明の実施形態に係る管継手用のロックリング30を備えた管継手10の、管体40を挿入する前の半裁断面図が示されている。
【0022】
管継手10は、管状の本体部12と、この本体部12に外挿される管状の中間部14とを備えている。本体部12と中間部14とで継手本体16が構成されている。さらに、管継手10は、管状のキャップ18を備えている。キャップ18は、中間部14に外挿されている。図2に示すように、中間部14及びキャップ18と本体部12との間には、管体40が挿入される挿入孔20が構成されている。
【0023】
キャップ18の内側には、管体40を挿入孔20に保持するためのロックリング30が配置されている。このロックリング30は、断面が90度回転した略V字形をなしており、略V字形の開口部30A(図4参照)が継手本体16の奥側(管体40の挿入側と逆側)に向かうように配置されている。そして、ロックリング30の開口部30Aが中間部14の先端部14Aと対向し、略V字形の内側面の一部が先端部14Aに当接している。ロックリング30の詳細については後述する。
【0024】
キャップ18の内壁には、ロックリング30の略V字形の外側面が当接可能なテーパー面18Aが形成されている。このテーパー面18Aは、挿入孔20の入口20A側に向かって縮径するように形成されている。
【0025】
キャップ18の内周側には、ロックリング30よりも挿入孔20の入口20A側に、管継手10の軸方向に沿って移動可能な解放リング22が内挿されている。この解放リング22は、略筒状とされ、内壁が挿入孔20の一部を構成している。解放リング22の奥側外周には、周方向に突起22Aが形成されており、キャップ18の内周に形成された小径部18Bに当接することで、キャップ18からの抜けが防止されている。突起22Aの先端部22Bは先細りとなるテーパー形状とされ、ロックリング30の径方向内側の外周面に沿って配置されている。本体部12には、挿入孔20に面した外周面に2つの周溝12Aが形成されており、これらの周溝12Aにそれぞれゴム製、環状の止水リング24が嵌め込まれている。
【0026】
本体部12の周溝12Aよりも奥側で挿入孔20の最奥部には、外径が拡径された壁面13が形成されている。この壁面13に管体40の先端が当接し、壁面13は管体40のストッパーになっている。また、本体部12の挿入孔20と反対側には、他の配管が接続される雌ネジ12Bが形成されている。また、本体部12の挿入孔20と反対側の端部には、床との接続のためのフランジ部12Cが形成されている。
【0027】
この管継手10では、本体部12は青銅製、中間部14、キャップ18及び解放リング22は樹脂製、ロックリング30はステンレス製とすることができる。なお、管継手10の各部材はこれらの材質に限定するものではなく、他の材質でも構わない。また、管体40は樹脂製である。なお、管体40は樹脂製に限らず、ゴム製、金属製(ロックリング30の爪部36が食い込み可能な金属材)、又はその他の材質としてもよい。
【0028】
図3には、図1に示す管継手10に用いられるロックリング30の単体が示されている。図3(A)はロックリング30の斜視図、図3(B)はロックリング30の平面図、(C)はロックリング30の半裁断面図、である。
【0029】
このロックリング30は、環状の板材を略V字形に折り曲げて形成されたリング部31を備えている。このリング部31には、周方向(以下、リング部31の周方向を単に、周方向Sとして記載する。)の所定間隔で内周側からリング部31を径方向に切り欠く切欠部32、及び、切欠部32とは異なる位置でリング部31を外周側から径方向に切り欠く切欠部34が形成されている(本実施形態では各々8箇所)。なお、ロックリング30は、切欠部32、34の構成されていない部分を軸方向に沿って切断した断面が横向きの略V字形となっている。また、以下では、リング部31の隣り合う切欠部32間に形成される板部分を傾斜板部42として説明する。なお、傾斜板部42は、切欠部32間に形成されることから、リング部31の内周側に周方向Sに所定間隔で配置されている。また、傾斜板部42は、リング部31の軸方向に傾斜している。
【0030】
傾斜板部42の先端には、リング部31の径方向内側へ延出する爪部36が複数形成されている。なお、本実施形態では、爪部36が2つ形成されている。この爪部36は、傾斜板部42の先端の周方向Sの両端側にのみ設けられており、図4(A)に示すように、周方向Sからみて、リング部31のV字に沿った方向からV字の外側へ向かう方向に屈曲している。なお、爪部36の先端部は尖っており、管体40の外周面に食い込みやすい形状となっている。
【0031】
また、爪部36の周方向Sの両隣には、規制部38が形成されている。規制部38は、爪部36が管体40に食い込んだときに管体40の外周面に当接する傾斜板部42の先端面であり、この先端面が管体40の外周面に当接することにより爪部36の管体40への食い込みを規制するようになっている。また、図3及び図4(B)に示されるように、本実施形態では、傾斜板部42の先端部は、端面がロックリング30の軸方向とほぼ平行、又は若干傾斜した先端形状となっている。なお、上述の先端部の端面は、ロックリング30に挿入された管体40に抜け出し方向の力が作用し爪部36が管体40へ食い込んだ際に、管体40の外周面に当接するようになっている。
【0032】
ロックリング30は、断面が横向きの略V字形であり、リング部31の内周側及び外周側に合計16個の切欠部32及び切欠部34が設けられていることから、V字の内側空間が潰れるように弾性変形可能とされている。したがって、管体40の挿入孔20への挿入に伴って、ロックリング30は弾性変形して同心円状に拡径する。
【0033】
また、図3に示されるように、爪部36の爪先長さL(爪部36の先端の周方向Sに沿った長さ)の総長さ(爪先長さL×爪部36の数)を、爪先を通りリング部31と同心である円Mの周長の16%〜46%の範囲内にすることが好ましく、また、25%〜35%の範囲内とすることがより好ましい。爪部36の爪先Lの総長さが、円Mの周長の16%未満の場合には、管体40に抜け出し方向の力が作用した際に爪部36の食い込み力(保持力)が足りず、管体40が管継手10から抜け出す虞があり、46%を超えた場合には、管体40に抜け出し方向の力が作用した際に爪部36の食い込み力が強過ぎて、爪部36が管体40を貫通し管体40に食い切りが生じる虞がある。このため爪部36の爪先長さLの総長さは、円Mの周長の16%〜46%の範囲内にすることが好ましく、さらには25%〜35%の範囲内とすることでより好ましい結果が得られる。
【0034】
次に、管継手10の作用について説明する。
管継手10の挿入孔20に管体40を挿入すると、図5に示されるように、管体40の先端がロックリング30を拡径する。そして、管体40の外周面がロックリング30の爪部36を摺接しながら管体40が奥側へ挿入され、管体40の内周面が止水リング24に接触する。管体40が更に挿入されると、管体40の先端が本体部12の壁面13に到達する。
【0035】
図5に示す装着状態において、管体40に内圧が作用すると、管体40が継手本体16から抜ける方向の力を受ける。これによって、管体40及びロックリング30が挿入孔20から抜ける方向に若干移動し、図6に示されるように、ロックリング30のリング部31の外周側がキャップ18のテーパー面18Aに当たる。これによって、図7にも示されるように、ロックリング30の爪部36が管体40の外周側に食い込む。このとき、ロックリング30の爪部36は、継手本体16の奥側に向けて傾斜しているので、管体40に食い込みやすく、かつ、爪部36が管体40の抜け出し方向と逆方向を向いており、管体40が抜けにくい。
【0036】
一方、ロックリング30の爪部36が管体40の外周面に食い込むと、爪部36の両隣に形成された規制部38が、管体40の外周面に当接し、爪部36が一定量以上食い込むことが規制される。すなわち、規制部38によって爪部36の管体40への食い込み量を制御することができ、爪部36の食い込み量が過多となることが抑制される。
【0037】
また、複数(本実施形態では合計16個)の爪部36の両隣に規制部38が設けられているので、各々の爪部36の食い込み量を制御することができ、爪部36による管体40の保持力が安定化する。このため、管体40が挿入孔20から抜け出す(離脱する)ことを抑制できる。
【0038】
さらに、傾斜板部42の先端に複数の爪部36を設けているため、例えば、傾斜板部42の先端に爪部を1つ設ける構成のものと比べて、管体40に抜け出し方向の力が作用したときの1つ当たりの爪部36が受ける力が小さくなる。このため、管体40に抜け出し方向の力が作用したときに1つ当たりの爪部36が管体40の外周面に食い込もうとする力が低下し、管体40の外周面に爪部36が食い込み過ぎるのが抑制される。
【0039】
そして、爪部36が傾斜板部42の先端の周方向Sの両端部側に設けられているので、爪部が傾斜板部42の先端の周方向Sの中央に設けられるよりも、爪部36に管体40への食い込み方向の力が伝わり難い。すなわち、傾斜板部42の先端中央に爪部を設けた場合には、爪部が抜け出し方向に引っ張られた際に規制部が管体40の外周面に食い込む可能性があるが、本実施形態のように、傾斜板部42の先端の周方向Sの両端部側に爪部36を設けた場合には、爪部36が抜け出し方向に引っ張られた際に規制部28が管体40に食い込み難くい。
【0040】
一方、図6に示す装着状態から管体40を離脱させる場合には、挿入孔20の入口20A側から専用の治具を差し込んで、解放リング22を奥側に押し込む。これによって、図8に示すように、解放リング22の奥側の先端部22Bがロックリング30の爪部36を押し、ロックリング30を拡径させる。その際、解放リング22の先端部22Bがロックリング30の爪部36を押し広げると同時に、爪部36と管体40の間に入り込み、爪部36を管体40から抜き出す。この状態で挿入孔20から管体40を引き抜く(離脱させる)ことができる。
【0041】
本実施形態の管継手10では、ロックリング30の爪部36が管体40の外周面に食い込んだときに、爪部36の両隣の規制部38が管体40の外周面に当接するため、爪部36が一定量以上食い込むことが抑制される。このため、爪部36の管体40への食い込み量が過多となり、場合によっては管体40を貫通してしまうのを防止することができる。
【0042】
なお、上記実施形態では、傾斜板部42の規制部38としての先端部は、端面がロックリング30の軸方向とほぼ平行、又は若干傾斜した形状となっているが、本発明はこの構成に限定されず、上記先端部の端面を断面視で凸状に湾曲させた形状としてもよく、図11に示すように上記先端部の端面を断面視で略直角に切り落とされたフラットな形状としてもよく、図10に示すように傾斜板部42の規制部38に湾曲した突起44を設ける構成としてもよい。なお、規制部38としての先端部の端面を凸状に湾曲させた形状とした場合には管体40に規制部38がより食い込み難くなり、図11に示すように規制部38としての先端部の端面を略直角に切り落とされたフラットな形状とした場合には、傾斜板部42に規制部38を切断加工のみで形成できるため経済的であり、規制部38としての先端部に湾曲した突起44を設けた場合には、突起44の吐出量を調整することで爪部36の管体40への食い込み量を調整できる。
【0043】
また、上記実施形態では、爪部36を傾斜板部42の先端の周方向Sの両端部側にのみ形成した例について説明したが、爪部36の位置は、この位置に限定されるものではない。例えば、図9に示すように、爪部36を傾斜板部42の中央部に形成したりなどして、爪部36を合計3つ又はそれ以上にしてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、ロックリング30の傾斜板部42の数が8個であったが、この構成に限定するものではなく、他の個数としてもよい。また、爪部36と規制部38の寸法及び形状は、これに限定されず、他の構成としてもよい。
【0045】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
なお、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
10 管継手
12 本体部
14 中間部
16 継手本体
18 キャップ
20 挿入孔
22 解放リング
30 ロックリング
31 リング部
32 切欠部
34 切欠部
36 爪部
38 規制部
40 管体
42 傾斜板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体が挿入される管継手の一部を構成し、前記管体の抜け出しを阻止する管継手用ロックリングであって、
前記管体が挿入される環状のリング部と、
前記リング部の内周側に周方向に間隔をおいて複数設けられ、前記リング部の軸方向に対して傾斜する傾斜板部と、
前記傾斜板部に前記周方向に間隔をおいて複数設けられ、前記リング部の径方向内側へ延び、前記管体の外周面に食い込んで前記管体の抜け出しを阻止する爪部と、
前記傾斜板部の前記爪部に隣接した位置に設けられ、前記管体の外周面に当接して前記爪部の当該外周面への食い込みを規制する規制部と、
を有する管継手用ロックリング。
【請求項2】
前記規制部が前記爪部の前記周方向の両隣に設けられている請求項1に記載の管継手用ロックリング。
【請求項3】
前記爪部が前記傾斜板部の前記周方向の両端部側にのみ設けられている請求項1又は請求項2に記載の管継手用ロックリング。
【請求項4】
管体が挿入される挿入孔が形成された継手本体と、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の管継手用ロックリングと、
前記継手本体に外挿され、前記管継手用ロックリングを前記継手本体に保持すると共に、前記管継手用ロックリングの前記リング部に当接して前記爪部の前記管体からの抜けを阻止するテーパー面を備えたキャップと、
を有する管継手。
【請求項5】
前記キャップの内周側には、前記管継手用ロックリングの前記爪部と前記管体の間に入り込んで前記爪部の前記管体への食い込みを解除する解放リングが設けられている請求項4に記載の管継手。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−261555(P2010−261555A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114534(P2009−114534)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】