説明

管継手

【課題】パイプ挿入前の管継手が、締め付けリングをテーパ内面に押されて縮径しない状態で、袋ナットと継手本体を保持し、パイプ挿入時に締め付けリングがパイプの挿入の妨げになることや、挿入するパイプに傷を付けることなく流体の漏れを防止する管継手を提供する。
【解決手段】端部に形成された雄ねじ部と肩部を連続して有する継手本体と、前記雄ねじ部に螺着される雌ねじ部を有する袋ナットと、前記継手本体または前記袋ナットの貫通口部に形成されたテーパ状内面にその外周面を当接するように配置されたC字状抜止めリングと、を具備する管継手において、脱着可能なスペーサーが、前記継手本体の前記肩部と前記袋ナットの間に挟持された状態で配置されていることを特徴とする管継手。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の管継手として、図14に示すように軟質管の管端を受け入れる受口101と、受口101の外面に形成された第1ねじ102と、受口101の奥部に形成されて管端を止めるストッパ103とを有する本体104、受口101の内面に装着されるパッキン105、一方端部の内面に第1ねじ102と螺合する第2ねじ106が形成され、かつ、他方端部の内面にリング収容部107が形成された袋ナット108、およびリング収容部107に収容される締め付けリング109を備え、リング収容部107は一方端部側から他方端部側へ向かうにつれて径小となるテーパ内面110を有し、かつ、締め付けリング109はテーパ内面110に沿うテーパ外面を有するものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平2000−240874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来の管継手は、袋ナット108の第2ねじ106と本体104の第1ねじ102を螺合して、袋ナット108を増し締めすることで、締め付けリング109がリング収容部107のテーパ内面110に押されて縮径され、締め付けリング109の歯が管(パイプ)111の外面に係止される。
【0005】
しかし、パイプ111を接続する前の袋ナット108と本体104の状態は、螺合されて固定されることなく回転自由であるため、作業者が不用意に袋ナット108を回転させたり輸送過程において袋ナット108が回転したりすることがあり、パイプ111を挿入する前に袋ナット108が本体104に締め付ける方向へ回転した場合、締め付けリング109がテーパ内面110に押されて縮径されるので、この状態でパイプ111を挿入すると締め付けリング109がパイプ111の端部に当たって挿入の妨げになる恐れがある問題や、パイプ111を挿入する時に縮径された締め付けリング109の歯がパイプ111の外周面を傷付けてしまうと、この傷痕の部分で流体のシールが不十分となって流体が漏れ出る問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、パイプ挿入前の管継手が、締め付けリングをテーパ内面に押されて縮径しない状態で、袋ナットと継手本体を保持し、パイプ挿入時に締め付けリングがパイプの挿入の妨げになることや、挿入するパイプに傷を付けることなく流体の漏れを防止する管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係る管継手は、端部に形成された雄ねじ部と肩部を連続して有する継手本体と、前記雄ねじ部に螺着される雌ねじ部を有する袋ナットと、前記継手本体または前記袋ナットの貫通口部に形成されたテーパ状内面にその外周面を当接するように配置されたC字状抜止めリングと、を具備する管継手において、脱着可能なスペーサーが、前記継手本体の前記肩部と前記袋ナットの間に挟持された状態で配置されていることを第1の特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る管継手は、端部に形成された雌ねじ部を有する継手本体と、前記雌ねじ部に螺着される雄ねじ部と鍔部を連続して有する袋ナットと、前記継手本体または前記袋ナットの貫通口部に形成されたテーパ状内面にその外周面を当接するように配置されたC字状抜止めリングと、を具備する管継手において、脱着可能なスペーサーが、前記継手本体と前記袋ナットの前記鍔部の間に挟持された状態で配置されていることを第2の特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る管継手は、前記抜止めリングが、その内径が前記袋ナット側から挿入されるパイプ外径より0.5〜3mm大きくなる状態で配置されていることを第3の特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る管継手は、前記スペーサーは、Wが、スペーサーのmm単位の幅であり、dが、前記抜止めリングが縮径を開始する時における、前記袋ナット端面と前記継手本体の肩部端面との間のmm単位の距離、または前記袋ナットの鍔部端面と前記継手本体端面との間のmm単位の距離であるとき、d≦W≦d+6を満たすように形成されていることを第4の特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る管継手は、前記スペーサーが環状に形成された帯状部材であることを第5の特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る管継手は、前記スペーサーは、帯状部材の両端部に設けられた各切り込みが互いに嵌合されていることを第6の特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る管継手は、前記スペーサーがC字状のリングであることを第7の特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る管継手は、端部に形成された雄ねじ部と肩部を連続して有する継手本体と、前記雄ねじ部に螺着される雌ねじ部を有する袋ナットと、前記継手本体または前記袋ナットの貫通口部に形成されたテーパ状内面にその外周面を当接するように配置されたC字状抜止めリングと、を具備し、前記肩部と前記袋ナットの間に間隙が形成された管継手において、dが、前記抜止めリングが縮径を開始する時における、前記肩部と前記袋ナットとの間のmm単位の距離であり、Zが、前記肩部と前記袋ナットとの間のmm単位の距離であるとき、d≦Z≦d+6を満たすように前記袋ナットが前記継手本体に組み付けられていることを第8の特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る管継手は、端部に形成された雌ねじ部を有する継手本体と、前記雌ねじ部に螺着される雄ねじ部と鍔部を連続して有する袋ナットと、前記継手本体または前記袋ナットの貫通口部に形成されたテーパ状内面にその外周面を当接するように配置されたC字状抜止めリングと、を具備し、前記継手本体と前記袋ナットの前記鍔部の間に間隙が形成された管継手において、dが、前記抜止めリングが縮径を開始する時における、前記鍔部の端面と前記継手本体の端面との間のmm単位の距離であり、Zが、前記鍔部の端面と前記継手本体の端面との間のmm単位の距離であるとき、d≦Z≦d+6を満たすように前記袋ナットが前記継手本体に組み付けられていることを第9の特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る管継手は、前記抜止めリングの切れ目の一端に、管の外周面に凹溝を切削形成する内刃を有し、前記袋ナットと前記抜止めリングとが一体回転するための共廻り手段を具備することを第10の特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る管継手は、前記抜止めリングの内周面に係止刃を有し、前記袋ナットを前記継手本体に螺合することにより、前記抜止めリングの外周面と前記テーパ状内面とが押圧されて、前記抜止めリングの係止刃が前記管の外面に喰込むことを第11の特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、次のような効果を奏する。
(1)パイプ挿入前の抜止めリングの縮径が防止されるので、抜止めリングがパイプの挿入の妨げになることがなく、パイプ挿入時の作業を確実にすることができると共に、パイプに傷を付けることを防止できるため、傷痕から流体が漏れ出ることを防止できる。
(2)パイプを接続する前はスペーサーが袋ナットを必要以上締め付けることを防止し、抜止めリングが縮径することを防止できると共に、パイプ接続前に作業者が不用意に袋ナットを回転させて締め付けることを防止できる。
(3)抜止めリングがパイプ外径より0.5〜3mm内径を大きくされているため、抜止めリング内周とパイプ外周面とのクリアランスを維持し、抜止めリングがパイプの挿入の妨げになることがなく、パイプ挿入時の作業を確実にすることができると共に、管継手の寸法を大きくさせずにコンパクトに形成できる。
(4)袋ナットと継手本体の肩部の間、または袋ナットの鍔部と継手本体の間を、一定幅の間隙を設けたりスペーサーを挟持させることで、常にパイプの挿入に最も良い状態を維持できる。
(5)スペーサーが帯状部材や略C字状リングであるため、パイプ接続時にスペーサーを容易に取り外すことができる。
(6)施工現場での管継手の接続作業が迅速かつスムースに行うことができ、至便である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の第一の実施形態を示す図面に基づき、詳説する。
図1乃至図5に示すように、本発明に係る管継手は、雄ねじ部19と肩部14とを連続して有する継手本体13と、継手本体13の雄ねじ部19に螺着される袋ナット5と、を備える。
具体的に、継手本体13は、管(パイプ)12が挿入される挿口部16を有し、該挿口部16に、Oリング等のシール材17を保持する保持溝部20が形成されており、継手本体13の先端側には、螺着完了時に袋ナット5のテーパ状内面6と当接するテーパ状外面部23を有し、テーパ状外面部23の先端部は、袋ナット5を継手本体13に締め付ける際に抜止めリング2を押圧する押圧面部15を有している。
【0020】
一方、袋ナット5は、パイプ12が挿入される貫通口部25を有し、該貫通口部25は、袋ナット5の一端部に形成されパイプ12が挿入される挿入口部27と、該挿入口部27の内側に形成された周状段部28と、該周状段部28から内方側に拡径状に形成されたテーパ状内面6と、他端部に形成され継手本体13の雄ねじ部19に螺着される雌ねじ部18と、から成る。また、段部28とテーパ状内面6の内部に抜止めリング収容部26が形成されている。
【0021】
なお、図1において、この継手本体13は、一部分のみを(断面で)示しているが、この継手本体13の全体は、ストレート、エルボ、チーズ、ソケット等の各種のものであり、さらに、図外の他端側に、同様の構造のものを形成してもよい。
また、挿口部16の奥側には、挿入されたパイプ12の先端面が当接する突当たり用段部24が、形成されている。
また、継手本体13の肩部14は、袋ナット5と共にスペーサー1を挟持できる形状であれば良く、図1に示すような雄ねじ部19より大径の円筒状に形成しても良く、図12に示すような鍔状に形成しても良い。
【0022】
また、継手本体13や袋ナット5の材質は、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアセタール、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンなどの樹脂、鉄、銅、銅合金、真鍮、アルミニウム、ステンレスなどの金属、または磁器などのセラミックのいずれでも良い。特に、薬液の配管ラインには耐食性に優れる樹脂製の管継手が好適に使用される。
【0023】
袋ナット5が継手本体13に螺着されたとき、袋ナット5と継手本体13の肩部14の間にはスペーサー1が配置されており、対峙する袋ナット5端面21と、継手本体13の肩部14端面22の間でスペーサー1を軽く挟持した状態で保持されている。
また、スペーサー1はパイプ12挿入後に脱着可能に形成されている。
【0024】
具体的には、図5において、スペーサー1は、帯状部材29(図5(a)参照)の一方の端部30に、両側の長辺の一方の側から帯状部材29の幅の半分程の切り込み31を設け、帯状部材29の他方の端部32に、両側の長辺の他方の側から帯状部材29の幅の半分程の切り込み33を設けた後、帯状部材29を環状に曲げて、切り込み31、33同士を嵌合させることで環状のスペーサー1が形成されている(図5(b)参照)。
なお、上記スペーサー1は、帯状部材29を環状に形成したものであれば、他の形状の切り込みを設けて環状に形成しても良く、両端部に係合可能な凸部または凹部を各々設けて環状に形成しても良く、環状の帯状部材29の円周の一部を切り離し可能に形成しても良い。
また、本実施形態では帯状部材29を用いているが、図6に示すようにスペーサー34を円周に1個の切れ目35を有する略C字状リングとしても良い。スペーサー34は、切れ目35を開いて袋ナット5端面21と継手本体13の肩部14端面22の間に配置されるように嵌着できるものであれば、形状は特に限定されない。
また、スペーサー1、34は樹脂で形成されることが好ましく、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS樹脂などが好ましい。
【0025】
さらに、図1乃至図5において、管継手は、円周に1個の切れ目8を有するC字状抜止めリング2を有し、この抜止めリング2は、外周面9を袋ナット5の貫通口部25のテーパ状内面6に当接して、配設され、袋ナット5と、抜止めリング2とが、一体回転するための共廻り手段7を具備する。
【0026】
具体的には、袋ナット5は、そのテーパ状内面6に、パイプ12の軸心方向Lに沿うように、凸条部10が形成され、かつ、抜止めリング2は、その外周面9に、上記凸条部10に係止される凹溝部11が、形成される(図4参照)。
そして上記共廻り手段7は、袋ナット5の凸条部10と、抜止めリング2の凹溝部11と、から成り、凸条部10は、凹溝部11に、軸心方向Lにスライド自在として、係止される。
【0027】
なお、上記共廻り手段7は、袋ナット5の凸条部10のかわりに凹溝部(図示せず)を設け、かつ抜止めリング2の凹溝部11の代わりに袋ナット5の凹溝部に係止される係止凸部(図示せず)を設けても良い。
また、図例では、凹溝部11は、抜止めリング2の外周面9の一端寄り(内刃3のある側)に形成されているが、凹溝部11は、外周面9の他端寄り(内刃3のない側)や中間部位に備えられても良く、複数設けても良い。
ここで、上記抜止めリング2の一端とは、袋ナット5を螺着する際に、回転する抜止めリング2の先頭になる側を指す。
【0028】
また、図4に示すように、抜止めリング2は、切れ目8の一端に、パイプ12の外周面に凹溝4を切削形成する内刃3を有する。内刃3は、径方向内方に、抜止めリング2の内周面から所定突出寸法Dの刃が突出して形成され、所定突出寸法Dは、接続されるパイプ12の肉厚寸法に応じて0.3mm〜0.7mmに設定されるが、約0.5mmが望ましい。該突出寸法Dが0.3mm未満の場合は、パイプ12の外周面に切削形成する凹溝4が浅く、パイプ12を抜け止めする効果が小さく、また、0.7mm超過の場合は、袋ナット5の締め付けに多くの力を要してしまい、また、肉厚が薄くなりパイプ12の強度の低下の虞れがあり、不都合である。
抜け止めリング2は、ステンレス等の硬質材料で形成されるものや、樹脂で形成されたC字状のリングにステンレス等の金属材料で形成された内刃3を配置したものが好ましい。
【0029】
次に、第一の実施形態の管継手の使用方法(作用)について説明する。
まず、パイプ12を接続する前の管継手は図1の状態であり、スペーサー1が袋ナット5端面21と、継手本体13の肩部14端面22の間に挟まって配置しているため、この状態から袋ナット5を継手本体13に締め付けようとしても、スペーサー1が袋ナット5の回転を抑制し、一定量以上袋ナット5を締め付けることができないようになっている。そのため、抜止めリング2が抜止めリング収容部26内でテーパ状内面6に押されることがないので縮径することがない。
このときの抜止めリング2の最小内径が、パイプ12の外径より0.5mm〜3.0mm大きくなるように設定されるが、0.7〜1.5mmがより望ましい。0.5mm未満の場合は、抜止めリング2が斜めになった状態で抜止めリング収容部26内に保持されていると、抜止めリング2の内刃3とパイプ12外周面とのクリアランスがなくなり、抜止めリング2の内刃3がパイプ12の端部に当接して挿入の妨げとなることや、内刃3がパイプ12の外周面に傷を付ける虞れがあり、また、3.0mm超過の場合は、抜止めリング2がパイプ12に係止するまでに袋ナット5を回転させる量が多くなり、作業性が悪くなると共に、ねじ部の幅を多く取らなければならず、管継手の寸法が大きくなり、不都合である。
【0030】
そして、パイプ12を袋ナット5の挿入口部27から挿入し、さらに、抜止めリング2の内周面に通し、次に、パイプ12の先端面が継手本体13の挿口部16の突当たり用段部24に当接するまで、継手本体13の挿口部16に挿入する。
【0031】
そして、スペーサー1を管継手から取り外し、継手本体13に袋ナット5を締め付けていく。
スペーサー1の取り外しは、図5(b)において、スペーサー1から突き出た状態の端部30と端部32をひねるようにして、互いに嵌合された切り込み31、33を外すことで、管継手から簡単に取り外しが可能である。
スペーサー1が取り付けられている時には、抜止めリング2は、抜止めリング収容部26内で袋ナット5のテーパ状内面6や継手本体13の押圧面部15と隙間がある状態で収容されているが、袋ナット5を継手本体13に締め付けていくと徐々に隙間が狭まり、継手本体13の先端部の押圧面部15が抜止めリング2の端面に当接すると共に、抜止めリング2の外周面9がテーパ状内面6に当接した状態となる(図2の状態)。この状態が、抜止めリング2が縮径を開始直前の状態であり、この状態から袋ナット5をさらに締め付けることで、抜止めリング2の外周面9がテーパ状内面6に押圧されて縮径を開始することになる。
【0032】
このときの袋ナット5端面21と継手本体13の肩部14端面22の間の距離d(mm)とした時、スペーサー1の幅W(mm)は、d≦W≦d+6に設定される。Wがdと同じかdより大きく設けられていることにより、パイプ12を接続する前の管継手は、袋ナット5がスペーサー1によって抜止めリング2が縮径を開始する状態まで締め付けられないようになっている。d>Wの場合は、抜止めリング2が縮径を開始するため、抜止めリング2の内刃3とパイプ12外周面とのクリアランスが小さくなり、抜止めリング2の内刃3がパイプ12の端部に当接して挿入の妨げとなったり、内刃3がパイプ12の外周面に傷を付ける可能性が高くなり、また、W>d+6の場合は、抜止めリング2がパイプ12に係止するまでに袋ナット5を回転させる量が多くなり、パイプ接続の作業性が悪くなると共に、ねじ部の幅を多く取らなければならず、管継手の寸法が大きくなり、不都合である。ここで、袋ナット5を継手本体13に螺着してパイプ接続する構成上、管継手は口径10〜50mm程度が好適な範囲となり、このときの雌ねじ部18及び雄ねじ部19のピッチは1〜3mmで設定される。袋ナット5を1回転した時にピッチの寸法分移動することになるので、袋ナット5が2回転するまでに抜止めリング2が縮径を開始するようにW≦d+6であることが良い。
また、スペーサー1の幅W(mm)は、抜止めリング2が縮径を開始する直前の状態になるまで袋ナット5が半回転から1回転する分の余裕を持たせると良く、ピッチが1〜3mmで設定されることから、d+0.5≦W≦d+3であることがより望ましい。
具体的には、該ねじ部のピッチをPとすると、d≦W≦d+2Pが望ましく、d+0.5P≦W≦d+Pがより望ましい。
【0033】
そして、この図2の状態から、継手本体13に袋ナット5をさらに締め付けていくと、継手本体13の先端部の押圧面部15が、抜止めリング2を、袋ナット5の貫通口部25の段部28側に押圧する。すると、抜止めリング2は、袋ナット5と一体回転しながらテーパ状内面6を軸心方向Lにスライドして、次第に縮径していく。その後、パイプ12は継手本体13に対しては回転せず、抜止めリング2が、パイプ12廻りを回転しながら、内刃3によりパイプ12の外周面に、円環状に浅い凹溝4を切削形成する。
【0034】
そして、図3に示すように、抜止めリング2が袋ナット5の段部28に当接するまで螺着すれば、螺着完了となる。このとき、抜止めリング2は、袋ナット5の段部28及び継手本体13の押圧面部15に、挟着される。それにより、凹溝4に抜止めリング2が係止されたパイプ12は、管継手に強固に固定される。
なお、パイプ12の材質としては、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル、その他の樹脂が好ましいが、その他、柔らかい金属(銅や黄銅)であって、切削され易い材質であればよい。
【0035】
以上のように、スペーサー1が配置されていることにより、パイプ12を接続する前は、スペーサー1が袋ナット5の回転を抑制し、抜止めリング2が縮径する状態まで袋ナット5を締め付けることができない。そのため、簡易な構造で、少ない部品点数でありながら、パイプ挿入時に抜止めリング2がパイプ12を挿入する妨げになることがなく、パイプ12挿入時の作業が確実となり、また、抜止めリング2の内刃3がパイプ12の外周面を傷付けることを防止し、傷痕から流体が漏れ出ることを防止できる。これにより、パイプ12接続前に作業者が不用意に袋ナット5を締め付けることを防止し、常にパイプ12の挿入に最も良い状態を維持できる。
また、スペーサー1は管継手を分解することなく容易に取り外すことができると共に、施工現場でのパイプ12の接続作業も迅速かつスムースに行なうことができ、パイプ12は管継手に確実に接続され、施工後に不意に抜けてしまう虞れがなく、様々な場所において配管の接続を行うのに便利である。
【0036】
次に、本発明の第二の実施形態を示す図面に基づき、詳説する。本実施形態では第一の実施形態と同じ構成要素については同一符号を付して示す。
【0037】
図7、図8において、袋ナット5の抜止めリング収容部26に配置された抜止めリング41は、円周を断絶する切れ目を有し、内周面にパイプ12の外周面に係止される断面形状が鋸歯状の係止刃42が形成されている。
抜け止めリング41は、ステンレス等の硬質材料で形成されるか、係止刃42の部分のみステンレス等の硬質材料として他の部分を樹脂で形成されることが好ましい。また、パイプ12が樹脂の場合はパイプ12の樹脂より硬度が高い樹脂で形成されても良い。
なお、本実施形態の抜止めリング41と袋ナット5には共廻り手段は設けられていないが、共廻り手段を設けても良い。第二の実施形態のその他の構成は第一の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0038】
次に、第二の実施形態の管継手の使用方法(作用)について説明する。
【0039】
図7の状態から、パイプ12を挿入して、スペーサー1を管継手から取り外し、継手本体13に袋ナット5を締め付けていくと、継手本体13の先端部の押圧面部15が抜止めリング41の端面に当接し、抜止めリング41を、袋ナット5の貫通口部25の段部28側に押圧する。すると、抜止めリング41は、テーパ状内面6を軸心方向Lにスライドして、次第に縮径していく。このとき、抜止めリング41の係止刃42がパイプ12の外周面に食い込まれる。
そして、抜止めリング41は、袋ナット5の段部28及び継手本体13の押圧面部15に挟着されて、パイプ12は管継手に強固に固定される(図8の状態)。
【0040】
このとき、第一の実施形態と同様に、スペーサー1が配置されていることにより、パイプ12を接続する前は、スペーサー1が袋ナット5の回転を抑制し、抜止めリング2が縮径を開始する状態まで袋ナット5を締め付けることができず、常にパイプ12の挿入に最も良い状態を維持できる。
【0041】
次に、本発明の第三の実施形態を示す図面に基づき、詳説する。本実施形態では第一の実施形態と同じ構成要素については同一符号を付して示す。
【0042】
図9において、継手本体13の挿口部16の開口部側には、奥側に縮径状に形成されたテーパ状内面51と、該テーパ状内面51の縮径した側の挿口部16の内側に形成された周状段部55とを有し、段部55とテーパ状内面51の内部に抜止めリング収容部52が形成されている。袋ナット5の内周には、抜止めリング収容部52に嵌合される突出部が形成され、螺着完了時に継手本体13のテーパ状内面51と当接するテーパ状外面部53を有し、テーパ状外面部53の先端部は、袋ナット5を継手本体13に締め付ける際に抜止めリング56を押圧する押圧面部54を有している。
袋ナット5の抜止めリング収容部52に配置された抜止めリング56は、円周を断絶する切れ目を有し、内周面にパイプ(図示せず)の外周面に係止される断面形状が鋸歯状の係止刃57が形成されている。なお、本実施形態の抜止めリング56と袋ナット5には共廻り手段は設けられていないが、共廻り手段を設けても良い。
第三の実施形態のその他の構成は第一の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0043】
次に、第三の実施形態の管継手の使用方法(作用)について説明する。
【0044】
図9の状態から、パイプ(図示せず)を挿入して、スペーサー1を管継手から取り外し、継手本体13に袋ナット5を締め付けていくと、袋ナット5の押圧面部54が、抜止めリング56を、継手本体13の挿口部16の奥側に押圧する。すると、抜止めリング56は、テーパ状内面51を軸心方向Lにスライドして、次第に縮径していく。このとき、抜止めリング56の係止刃57がパイプの外周面に食い込まれる。
さらに袋ナット5を締め付け、抜止めリング56をパイプに係止させる作用は、第二の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0045】
次に、本発明の第四の実施形態を示す図面に基づき、詳説する。本実施形態では第一の実施形態と同じ構成要素については同一符号を付して示す。
【0046】
図10において、管継手は、雌ねじ部61を有する継手本体13と、継手本体13の雌ねじ部61に螺着される雄ねじ部62と鍔部63とを連続して有する袋ナット5と、を備える。
具体的には、袋ナット5は、パイプ(図示せず)が挿入される貫通口部25を有し、袋ナット5の先端側には、螺着完了時に継手本体13のテーパ状内面66と当接するテーパ状外面部64を有し、テーパ状外面部64の先端部は、袋ナット5を継手本体13に締め付ける際に抜止めリング71を押圧する押圧面部65を有している。また、他端部には鍔部63と、鍔部63に連続して継手本体13の雌ねじ部61に螺着される雄ねじ部62が形成されている。
【0047】
一方、継手本体13は、パイプ12が挿入される挿口部16を有し、挿口部16は、開口部側に雌ねじ部61と、雌ねじ部61の奥側に連続して内方側に縮径状に形成されたテーパ状内面66、テーパ状内面66の縮径した側の挿口部16の内側に形成された周状段部67と、から成る。また、段部67とテーパ状内面66の内部に抜止めリング収容部68が形成されている。
袋ナット5の抜止めリング収容部68に配置された抜止めリング71は、円周を断絶する切れ目を有し、内周面にパイプ(図示せず)の外周面に係止される断面形状が鋸歯状の係止刃72が形成されている。なお、本実施形態の抜止めリング71と袋ナット5には共廻り手段は設けられていないが、共廻り手段を設けても良い。
第四の実施形態のその他の構成は第一の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0048】
次に、第四の実施形態の管継手の使用方法(作用)について説明する。
【0049】
図10の状態から、パイプ(図示せず)を挿入して、スペーサー1を管継手から取り外し、継手本体13に袋ナット5を螺着していくと、袋ナット5の先端部の押圧面部65が、抜止めリング71を、継手本体13の挿口部16の奥側に押圧する。すると、抜止めリング71は、テーパ状内面66を軸心方向Lにスライドして、次第に縮径していく。このとき、抜止めリング71の係止刃72がパイプの外周面に食い込まれる。
さらに袋ナット5を締め付け、抜止めリング71をパイプに係止させる作用は、第二の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0050】
次に、本発明の第五の実施形態を示す図面に基づき、詳説する。本実施形態では第一の実施形態と同じ構成要素については同一符号を付して示す。
【0051】
図11において、袋ナット5の貫通口部25の先端側には、内方側に縮径状に形成されたテーパ状内面81と、テーパ状内面81の縮径した側の貫通口部25の内側に形成された周状段部82とを有し、段部82とテーパ状内面81の内部に抜止めリング収容部83が形成されている。
継手本体13の開口部側の内周には、抜止めリング収容部83に嵌合される突出部が形成され、螺着完了時に袋ナット5のテーパ状内面81と当接するテーパ状外面部84を有し、テーパ状外面部84の先端部は、袋ナット5を継手本体13に締め付ける際に抜止めリング2を押圧する押圧面部85を有している。
また、管継手は、袋ナット5と、抜止めリング2とが、一体回転するための共廻り手段を有している。(第一の実施形態の共廻り手段と同様の構成)。
第五の実施形態のその他の構成は第四の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0052】
次に、第五の実施形態の管継手の使用方法(作用)について説明する。
【0053】
図11の状態から、パイプ(図示せず)を挿入して、スペーサー1を管継手から取り外し、継手本体13に袋ナット5を締め付けていくと、継手本体13の押圧面部85が、抜止めリング2の端面に当接し、押圧面部85と抜止めリング2の共廻り手段が互いに係合して、袋ナット5と抜止めリング2が一体回転する。
さらに袋ナット5を締め付け、抜止めリング2をパイプに係止させる作用は、第一の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0054】
次に、本発明の第六の実施形態を示す図面に基づき、詳説する。本実施形態では第一の実施形態と同じ構成要素については同一符号を付して示す。
【0055】
図12において、継手本体13には鍔状の肩部91が形成され、袋ナット5と継手本体13の肩部91の間には間隙92が形成されている。この間隙92の幅Z(mm)は、抜止めリング2の外周面9がテーパ状内面6に当接して、抜止めリング2が縮径を開始する直前時の、対峙する袋ナット5端面21と継手本体13の肩部91端面22の間の距離d(mm)とした時(図2参照)、間隙92の幅Z(mm)を、d≦Z≦d+6に設定される。
Zがdと同じかdより大きく設けられていることにより、パイプ(図示せず)を接続する前の管継手は、袋抜止めリング2が縮径しない状態で保持される。d>Zの場合は、抜止めリング2が縮径を開始するため、抜止めリング2がパイプの端部に当接して挿入の妨げとなったり、抜止めリング2がパイプの外周面に傷を付ける可能性が高くなり、また、Z>d+6の場合は、抜止めリング2がパイプに係止するまでに袋ナット5を回転させる量が多くなり、パイプ接続の作業性が悪くなると共に、ねじ部の幅を多く取らなければならず、管継手の寸法が大きくなり、不都合である。
また、間隙92の幅Z(mm)は、抜止めリング2が縮径を開始する直前の状態になるまで袋ナット5が半回転から1回転する分の余裕を持たせると良く、ねじ部のピッチを1〜3mmで設定するとして、d+0.5≦W≦d+3であることがより望ましい。
具体的には、管継手は口径10〜50mm程度が好適な範囲となるので、ねじ部のピッチをPとすると、d≦W≦d+2Pが望ましく、d+0.5P≦W≦d+Pがより望ましい。
第六の実施形態のその他の構成は第一の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0056】
次に、第六の実施形態の管継手の使用方法(作用)について説明する。
【0057】
図12の状態から、本実施形態ではスペーサー(図1参照)を設けていないので、パイプ(図示せず)を挿入した後は、袋ナット5を締め付けて接続が行なわれる。第六の実施形態の他の作用は、第一の実施形態と同様なので説明を省略する。
なお、スペーサーが設けられていない本実施形態の管継手に対して、パイプ接続する前にスペーサーを取り付けて、間隙92の幅Zをスペーサーの幅Wに合わせた後、パイプ接続しても良い。これは、スペーサーが間隙92を接続に最適な幅に合わせるためのスケールとして用いられる。この場合においては、パイプを挿入した後は、スペーサー1を取り外して袋ナット5を締め付けてパイプが接続される。
【0058】
次に、本発明の第七の実施形態を示す図面に基づき、詳説する。本実施形態では第四の実施形態と同じ構成要素については同一符号を付して示す。
【0059】
図13において、袋ナット5の鍔部63と継手本体13の間には間隙92が形成されている。この間隙92の幅Z(mm)は、抜止めリング71の外周面がテーパ状内面66に当接して、抜止めリング71が縮径を開始する直前時の、対峙する袋ナット5の鍔部63端面93と継手本体13の端面94の間の距離d(mm)とした時、間隙92の幅Z(mm)を、d≦Z≦d+6に設定される。
第七の実施形態のその他の構成は第四の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0060】
次に、第七の実施形態の管継手の使用方法(作用)について説明する。
【0061】
図13の状態から、本実施形態ではスペーサー(図10参照)を設けていないので、パイプ(図示せず)を挿入した後は、袋ナット5を締め付けて接続が行なわれる。第七の実施形態の他の作用は、第四の実施形態と同様なので説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の管継手の第一の実施形態を示す断面側面図である。
【図2】図1の螺着途中を示す断面側面図である。
【図3】図1の螺着完了を示す断面側面図である。
【図4】図1のa−a断面図である。
【図5】スペーサーを示し、(a)は製作前の帯状部材の正面図、(b)は製作後の斜視図である。
【図6】スペーサーの他の実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明の管継手の第二の実施形態を示す断面側面図である。
【図8】図7の螺着完了を示す断面側面図である。
【図9】本発明の管継手の第三の実施形態を示す断面側面図である。
【図10】本発明の管継手の第四の実施形態を示す断面側面図である。
【図11】本発明の管継手の第五の実施形態を示す断面側面図である。
【図12】本発明の管継手の第六の実施形態を示す断面側面図である。
【図13】本発明の管継手の第七の実施形態を示す断面側面図である。
【図14】従来の管継手を示す断面側面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 スペーサー
2 抜止めリング
5 袋ナット
6 テーパ状内面
9 外周面
12 パイプ
13 継手本体
14 肩部
15 押圧面部
16 挿口部
18 雌ねじ部
19 雄ねじ部
21 端面
22 端面
23 テーパ状外面部
25 貫通口部
26 抜け止めリング収容部
27 挿入口部
28 段部
34、41、56、71 抜止めリング
42、57、72 係止刃
51、66、81 テーパ状内面
52、68、83 抜止めリング収容部
53、64、84 テーパ状外面部
54、65、85 押圧面部
55、67、82 段部
61 雌ねじ部
62 雄ねじ部
63 鍔部
91 肩部
92 間隙
93 端面
94 端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に形成された雄ねじ部と肩部を連続して有する継手本体と、前記雄ねじ部に螺着される雌ねじ部を有する袋ナットと、前記継手本体または前記袋ナットの貫通口部に形成されたテーパ状内面にその外周面を当接するように配置されたC字状抜止めリングと、を具備する管継手において、
脱着可能なスペーサーが、前記継手本体の前記肩部と前記袋ナットの間に挟持された状態で配置されていることを特徴とする管継手。
【請求項2】
端部に形成された雌ねじ部を有する継手本体と、前記雌ねじ部に螺着される雄ねじ部と鍔部を連続して有する袋ナットと、前記継手本体または前記袋ナットの貫通口部に形成されたテーパ状内面にその外周面を当接するように配置されたC字状抜止めリングと、を具備する管継手において、
脱着可能なスペーサーが、前記継手本体と前記袋ナットの前記鍔部の間に挟持された状態で配置されていることを特徴とする管継手。
【請求項3】
前記抜止めリングが、その内径が前記袋ナット側から挿入されるパイプ外径より0.5〜3mm大きくなる状態で配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
前記スペーサーは、
Wが、スペーサーのmm単位の幅であり、
dが、前記抜止めリングが縮径を開始する時における、前記袋ナット端面と前記継手本体の肩部端面との間のmm単位の距離、または前記袋ナットの鍔部端面と前記継手本体端面との間のmm単位の距離であるとき、
d≦W≦d+6を満たすように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項5】
前記スペーサーが環状に形成された帯状部材であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項6】
前記スペーサーは、帯状部材の両端部に設けられた各切り込みが互いに嵌合されていることを特徴とする請求項5記載の管継手。
【請求項7】
前記スペーサーがC字状のリングであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項8】
端部に形成された雄ねじ部と肩部を連続して有する継手本体と、前記雄ねじ部に螺着される雌ねじ部を有する袋ナットと、前記継手本体または前記袋ナットの貫通口部に形成されたテーパ状内面にその外周面を当接するように配置されたC字状抜止めリングと、を具備し、前記肩部と前記袋ナットの間に間隙が形成された管継手において、
dが、前記抜止めリングが縮径を開始する時における、前記肩部と前記袋ナットとの間のmm単位の距離であり、Zが、前記肩部と前記袋ナットとの間のmm単位の距離であるとき、
d≦Z≦d+6を満たすように前記袋ナットが前記継手本体に組み付けられていることを特徴とする管継手。
【請求項9】
端部に形成された雌ねじ部を有する継手本体と、前記雌ねじ部に螺着される雄ねじ部と鍔部を連続して有する袋ナットと、前記継手本体または前記袋ナットの貫通口部に形成されたテーパ状内面にその外周面を当接するように配置されたC字状抜止めリングと、を具備し、前記継手本体と前記袋ナットの前記鍔部の間に間隙が形成された管継手において、
dが、前記抜止めリングが縮径を開始する時における、前記鍔部の端面と前記継手本体の端面との間のmm単位の距離であり、Zが、前記鍔部の端面と前記継手本体の端面との間のmm単位の距離であるとき、
d≦Z≦d+6を満たすように前記袋ナットが前記継手本体に組み付けられていることを特徴とする管継手。
【請求項10】
前記管継手が、
前記抜止めリングの切れ目の一端に、管の外周面に凹溝を切削形成する内刃を有し、
前記袋ナットと前記抜止めリングとが一体回転するための共廻り手段を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項11】
前記管継手が、
前記抜止めリングの内周面に係止刃を有し、
前記袋ナットを前記継手本体に螺合することにより、前記抜止めリングの外周面と前記テーパ状内面とが押圧されて、前記抜止めリングの係止刃が前記管の外面に喰込むことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−103286(P2009−103286A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277753(P2007−277753)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000117102)旭有機材工業株式会社 (235)
【出願人】(000221638)東尾メック株式会社 (60)
【Fターム(参考)】