説明

管路監視装置及びそれを用いた管路監視方法

【課題】危険物や高圧ガスの製造及び取扱いを行なう製油所や化学プラントにおいて、危険地区の製造設備と非危険地区の管理設備との間で、製造設備の運転状況を安全かつ効率よく監視することを可能とする管路監視装置及びそれを用いた管路監視方法の提供を目的とする。
【解決手段】制御部、増幅部及び電源部を備えた電子機器本体と、投光部及び受光部とを備えてなる管路監視装置であって、前記電子機器本体は、防爆構造の全密閉容器内に収納され、前記投光部及び受光部は、前記全密閉容器の外部に配設され、光ファイバによって前記電子機器本体と接続されていることを特徴とする管路監視装置及びそれを用いた管路監視方法による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路監視装置及びそのシステムに関し、さらに詳しくは、危険物や高圧ガスの製造及び取扱いを行なう製油所や化学プラントにおいて、危険地区の製造設備と非危険地区の管理設備との間で、製造設備の運転状況を安全かつ効率よく監視することを可能とする管路監視装置及びそれを用いた管路監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製油所や石油化学工場等では、多くの製造設備が設置されており、これらの設備を安全かつ効率よく稼働させるためには、これらの製造設備を所定期間正常に作動させる必要がある。このため、製造設備が正常に作動していることを確認するとともに、異常が発生した場合、早期にその異常を検知し速やかに対処する必要がある。
一般に、製油所や化学プラント等の配管内の状態を監視するために、サイトグラスと呼ばれる配管内を目視できる監視用の部材が用いられる。このサイトグラスは、配管等の途中に設置され、当該配管内の流体等の流れを、窓ガラスを通して確認するという流体監視のために設けられる。流体としては、例えば、冷却水、潤滑油、スラリー状の流体、粉体等が挙げられる。
【0003】
サイトグラスの例としては、例えば特許文献1(特開2006−266756号公報)に、粉体が流れる流路構造体から分岐するように分岐構造部が配設されており、当該分岐構造部における、連通路を挟んで連通口の対向側に目視部が配設されているサイトグラスが提案され、目視部に当該物質が付着する虞はなく、中空部を良好に監視できる状態を維持することができ、煩雑な方法によって目視部を清掃する必要はなく、簡易な構成によって半永久的に上記中空部の状態を監視することが可能なサイトグラスが提案されている。
【0004】
このようなサイトグラスが提案されているが、このようなサイトグラスを目視によって監視する作業は、運転員や監視者が、配管内の状態等を確認するために当該確認作業を都度現場で行なうこととなり、煩雑かつ労力の負担がかかるといった問題がある。加えて、数値的な傾向管理が行えないといった問題がある。
【0005】
一方、ファクトリーオートメーションの分野において、検出対象物の有無を検出する装置として、各種のものが提案されている。例えば、特許文献2(特開2009−300111号公報)には、光電センサが提案され、検出対象物による反射光あるは透過光の光量により、検出領域における検出対象物の有無を判定できることが開示されている。
そして、このような装置を上記のサイトグラスに適用して配管内の状態等の監視することが考えられ、例えば、石油化学工場などの危険地区から非危険地区の管理設備まで、光の信号をそのまま送信する方法をとろうとすると、光の減衰のためにその送信を達成することは難しいという状況にある。
【0006】
石油化学工場などの危険地区から非危険地区の管理設備までの情報伝達手段として、例えば、特許文献3(特開2010−124097号公報)や特許文献4(特開2006−197402号公報)には、石油化学工場などにおける危険地区にある監視対象を撮影し、その画像データを無線LANによって送信することができる防爆型画像送信装置が提案されている。
【0007】
しかしながら、上記のような装置は、システムが複雑となり、しかも設置コストが高額になるという問題を抱えているため、簡便で設置コスト等が低額であって、しかも労力の負荷のかからない安全な監視装置及びシステムが求められている。また、上記のような画像装置では、目視という監視業務は無くならず、一歩進んで数値的な傾向管理を行うためには専用の画像処理を必要とし、設置コストが高額となる。
このような事情から、従来の監視装置に求められた安全性、信頼性を有しながら、更に効率性、低コスト、簡便性、保守容易性を達成できる管路監視装置及び管路監視方法を提供することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−266756号公報
【特許文献2】特開2009−300111号公報
【特許文献3】特開2010−124097号公報
【特許文献4】特開2006−197402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、危険物や高圧ガスの製造及び取扱いを行なう製油所や化学プラントにおいて、危険地区の製造設備と非危険地区の管理設備との間で、製造設備の運転状況を安全かつ効率よく監視することを可能とする管路監視装置及びそれを用いた管路監視方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、制御部、増幅部及び電源部を備えた電子機器本体が、防爆構造の全密閉容器内に収納され、投光部及び受光部が、前記全密閉容器の外部に配設され、光ファイバによって前記電子機器本体と接続されていることを特徴とする管路監視装置およびそれを用いた管路監視方法により、優れた管路監視が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、制御部、増幅部及び電源部を備えた電子機器本体と、投光部及び受光部とを備えてなる管路監視装置であって、前記電子機器本体は、防爆構造の全密閉容器内に収納され、かつ、前記投光部及び受光部は、前記全密閉容器の外部に配設され、光ファイバによって前記電子機器本体と接続されていることを特徴とする管路監視装置が提供される。
【0012】
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、投光部と受光部は、投光部からの光が受光部に入るように、対向に配置されていることを特徴とする管路監視装置が提供される。
【0013】
本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、投光部と受光部は、投光部からの光が検出物体にあたった後、検出物体に反射した光が受光部に入るように、配置されていることを特徴とする管路監視装置が提供される。
【0014】
本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、投光部と受光部は、投光部からの光が対向設置した反射板に反射した後、その反射光が受光部に入るように、配置されていることを特徴とする管路監視装置が提供される。
【0015】
本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、光は、波長が350〜700nmの可視光であることを特徴とする管路監視装置が提供される。
【0016】
本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、投光部への光の投光素子は、発光ダイオードであり、一方、受光部からの光の受光素子は、フォトダイオードであることを特徴とする管路監視装置が提供される。
【0017】
本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、管路内の流体は、液体及び固体、気体及び固体、または気体及び液体のいずれかの組合せであることを特徴とする管路監視装置が提供される。
【0018】
本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、管路内の流体の状態は、層状流、波状流、気泡流、プラグ流、スラグ流、環状流、噴霧流、またはフロス流のいずれかの状態であることを特徴とする管路監視装置が提供される。
【0019】
本発明の第9の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明の装置を用いて、製油所や化学プラント内における危険地区の製造設備と非危険地区の管理設備との間で運転状況を連続的に監視するための管路監視方法が提供される。
【0020】
本発明の好ましい実施態様としては、次のものが包含される。
(1)本発明の第1〜8の発明において、電子機器本体は、光ファイバセンサのアンプ部であり、投光部及び受光部は、光ファイバセンサのヘッド部であることを特徴とする管路監視装置。
(2)本発明の第1〜8の発明において、投光部と受光部とは、管路に設けられたサイトグラスを挟んで配置されていることを特徴とする管路監視装置。
(3)上記(1)において、光ファイバは、透過型光ファイバであることを特徴とする管路監視装置。
(4)本発明の第1〜8の発明において、投光部と受光部とは、管路に設けられたサイトグラスに向けられて配置されていることを特徴とする管路監視装置。
(5)上記(3)において、光ファイバは、反射型光ファイバであることを特徴とする管路監視装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡便で設置コスト等が低額であり、しかも労力の負荷のかからない安全な管路監視装置及び管路監視方法であって、従来の監視装置に求められた安全性、信頼性を有しながら、更に効率性、低コスト、簡便性、保守容易性を達成できる管路監視装置及び管路監視方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の管路監視装置は、制御部、増幅部及び電源部を備えた電子機器本体と、投光部及び受光部とを備えてなる管路監視装置であって、前記電子機器本体は、防爆構造の全密閉容器内に収納され、かつ、前記投光部及び受光部は、前記全密閉容器の外部に配設され、光ファイバによって前記電子機器本体と接続されていることを特徴とするものである。
また、本発明の管路監視方法は、上記管路監視装置を用いて、製油所や化学プラント内における危険地区の製造設備と非危険地区の管理設備との間で運転状況を連続的に監視するための管路監視方法である。
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明は、本発明の一態様であって、その要旨を越えない限り、これらの例に制約されるものではない。
図1は、管路監視装置及びそのシステムの概略ブロック図を示している。同図において、管路1にサイトグラス2が設けられ、管路1の内部を観察することが可能となっている。サイトグラス2は、管路1の両側から内部を観察できるように設置されている。投光部3及び受光部4は、このサイトグラス2を挟んで対向するように配置されている。
【0024】
図1の投光部3及び受光部4は、それぞれ光ファイバ5によって、電子機器本体8と接続されている。電子機器本体8は、光電気変換用の電子機器であって、防爆構造の全密閉容器6の内部に収納され、光ファイバ5は、全密閉容器6の容器壁部分において封止機構7によって封止されており、防爆構造を満足している。
電子機器本体8は、制御部、増幅部及び電源部を備えている。電子機器本体8は、電流信号線9によって制御システム11と接続している。また、光電気変換用電子機器8は、電源線10によって制御システム11と接続している。電流信号線9及び電源線10は、全密閉容器6の容器壁部分において封止機構7によって封止されており、防爆構造を満足している。防爆構造は、好ましくは本質安全防爆構造や耐圧防爆構造が採用される。
【0025】
管路1に設けられたサイトグラス2は、一般に、配管内の状態を監視するために、配管内を目視できる監視用の部材が用いられる。具体的には、このサイトグラスは、配管等の途中に設置され、当該配管内の流体の流れを、窓ガラスを通して確認するという流体監視用の部材である。流体としては、例えば、冷却水、潤滑油、スラリー状の流体、粉体等が挙げられる。本実施の形態の配管内の流体は、冷却水、潤滑油、スラリー状の流体に限定されるものではなく、粉体であってもよく、これらが管路1内を流れている場合に、サイトグラス2は、これらを監視・観察するために適用されるものである。
管路内の流体の検知は、必ずしも固体である必要性は無く、例えば、気液混相でも気体混合量(気泡)により光量が変化して検知が可能である。また、液単相又は気単相でも、着色流体の混合量により光量が変化して検知することが可能である。
管路内の流体の状態は、層状流、波状流、気泡流、プラグ流、スラグ流、環状流、噴霧流、フロス流のいずれでもよい。
【0026】
サイトグラス2には、透明な構造材料を用いることができる。具体的には、ガラス、アクリルガラス(樹脂)、透明ポリ塩化ビニル(樹脂)、透明ポリエーテルスルホン(樹脂)、透明ポリエステル(樹脂)、耐熱ガラス、強化耐熱ガラス等が挙げられ、耐熱性、耐薬品性の観点から、耐熱ガラス、強化耐熱ガラスが好適である。なお、消防法及び高圧ガス保安法上題の無い材質であることが求められる場合、その制限のもとで選択されることが好ましい。
【0027】
投光部3、受光部4、光ファイバ5、電子機器本体8を含む光ファイバセンサは、発光素子(例えば発光ダイオード)及び受光素子(例えばフォトダイオード)を内蔵した光電気変換用の電子機器本体(アンプ部ともいう)と光ファイバユニットからなる。
光ファイバユニットは、光ファイバケーブル(単に光ファイバということもある)とその先端部に装着されたヘッド部(投光部3、受光部4)からなり、光ファイバケーブルの基端部は上記電子機器本体に接続される。
【0028】
光ファイバセンサには大きく分けて反射型と透過型とがあり、図1は、透過型の説明図である。
透過型の光ファイバセンサでは、1つのヘッド部に1本の光ファイバケーブルが固定された光ファイバユニットを2本使用する。第1及び第2の光ファイバユニットのヘッド部は、それぞれの光ファイバの先端面(投光面である投光部3及び受光面である受光部4)が対向するように所定の距離を隔てて配置される。すなわち、サイトグラス2を挟んで、投光部と受光部とを配置することができる。
なお、図1とは別に、本発明においては、投光部および受光部の配置としては、投光部からの光の少なくとも一部が受光部に入る配置であればいずれの配置でも良く、投光部からの光が検出物体にあたり、検出物体に反射した光が受光部に入るように投光部と受光部が配置された装置としてもよいし、投光部からの光が対向設置した反射板に反射し、当該反射光が受光部に入るように投光部と受光部が配置された装置としてもよい。
そして、投光面から受光面への光路を、例えば、検出対象物が遮らない状態では、第1の光ファイバの先端面から出射した光が第2の光ファイバの先端面に入射し、第2の光ファイバ内を伝播して光検出器に達する。流体が管路1を流れる際に、光路を遮るので、受光素子から出力される電気信号が変化する。したがって、受光素子からの電気信号を処理することにより、光量の変化による、流体の通過状態を検出することができる。
【0029】
また、本発明においては、反射型の光ファイバセンサ装置を使用することもできる。反射型の光ファイバセンサ装置では、1本の光ファイバケーブル内に、投光用と受光用の2種類の光ファイバが導入されている。すなわち、1本の光ファイバのヘッド部である先端面が、投光部および受光部を含んでいる。反射型の光ファイバとしては、平行型、同軸型、分割型等が挙げられるが、本発明では、いずれのものも使用することができる。
反射型の光ファイバセンサ装置を使用する場合には、反射型の光ファイバの先端面を、サイトグラス2に向けて配置することにより、投光部および受光部が配置される。
【0030】
光ファイバセンサに使用される光としては、波長が350〜700nmの可視光や赤外光が挙げられ、例えば、赤、緑、青の可視光、好ましくは赤の可視光が挙げられる。光源としては、発光ダイオード(LED)、レーザー等各種の光源を採用することができ、LEDが好ましいものとして挙げられる。光量が多過ぎれば、スリット等の減衰機構を使用して調節することが可能である。光量が少な過ぎれば、センサを並列設置して、信号を和算する等の方法により広範囲に検知することも可能である。
【0031】
光ファイバセンサを構成する電子機器本体は、発光素子及び受光素子からなる光学素子を含む制御部、増幅回路を含む増幅部、電源回路を含む電源部等の部品を収容しており、該電子機器本体8から光ファイバ5が引き出されている。
光ファイバ5は、中心部のコアと周辺部の屈折率の小さいクラッドから構成されているものが挙げられ、単芯タイプ、マルチコアタイプ、バンドルタイプ等各種のものが挙げられる。光ファイバ5は、例えばアクリル系のプラスチックからなるコアと、フッ素系のプラスチックからなりコア間を充填するクラッドと、これらを被覆するポリエチレンからなる被覆材とを有するものが挙げられる。
【0032】
防爆用機器は、「電気機械器具防爆構造規格」(厚生労働省告示)によれば、点火の危険性に応じて、ケースやその設置する部品を防爆仕様とすることが義務付けられている。この防爆仕様には耐圧防爆構造と本質安全防爆構造があり、耐圧防爆構造はケース内で点火してもケース外で爆発しない強靭な全閉構造を言い、本質安全防爆構造は各構成部から生じる火花では爆発せず、全閉構造を必要としない構造を言う。
本発明の全密閉容器6は、耐圧防爆構造の密閉容器である。容器は厚肉であり、例えば金属容器、プラスチック製容器、好ましくは金属容器が用いられ、火花が外部に漏れない構造となっている。
なお、平成20年厚生労働省令第32号による「労働安全衛生規則」の改正、及び平成20年厚生労働省告示88号による「電気機械器具防爆構造規格」の改正(同年3月1日に告示、同年10月1日施行)により、「1.特別危険箇所、第一類危険箇所、第二類危険箇所」と云う区分が新たに制定され、また「2.危険箇所毎に適用可能な防爆構造」が制定され、各危険箇所毎に適用可能な防爆構造が採用可能となり、防爆用機器が採用される。
【0033】
封止機構7は、光ファイバ5、電流信号線9及び電源線10が全密閉容器6に入る容器壁部分において、全密閉容器6が密封構造となるように封止する機構であり、各種の手段を採用することができ、防爆構造を満足している。封止機構7は、全密閉容器6の内部と外部とを遮断する封止手段であり、円筒状等各種形状の封止材料が用いられ、例えば、ゴム、プラスチック等のパッキン材やエポキシ樹脂、シリコン樹脂等の接着材、コンパウンド材若しくはシーリング材等が用いられ、Oリングやガスケット等を用いてシールする構造としてもよい。
【0034】
前記電子機器本体8が防爆構造の全密閉容器内に収納されることにより、発火等の危険性が高いため、通常、危険地区内に設置できない光ファイバセンサのアンプ部であっても、危険地区内に設置することができ、光量を電流信号に変換して非危険地区に伝送する事ができ、長距離の監視が可能となる。
【0035】
前記電流信号線9および電源線10は、制御システム11と接続されている。制御システムは、信号処理装置、演算装置、記憶装置、表示装置、警報装置、制御装置および操作装置などを含んで構成され、種々の監視を可能とする。
具体的には、表示装置を使用したグラフによる視覚的な傾向監視や、警報装置を使用した音響信号による監視や、記憶装置から過去の数値を呼出して中長期的な傾向監視を行うことができる。更には、演算装置と制御装置を使用することにより、自動制御にて製造システムを適切に調節することができる。
【0036】
図1において、光ファイバセンサを用いて製油所や化学プラント内における危険地区の製造設備と非危険地区の管理設備との間で運転状況を連続的に監視する方法の一態様としては、具体的には、以下の方法を挙げることができる。
サイトグラス2が設置された管路1には、流体として液化石油ガスと粉体粒子が連続的に流されており、サイトグラス2を挟んで、光ファイバセンサの投光部3と受光部4とが、対面して設置されている。サイトグラス2は上記のとおり透明な構造材料で構成されており、流体の状態は層状流である。
光ファイバセンサのアンプ部が含まれる電子機器本体8は、全密閉機器6内に、封止機構7により封止されて光ファイバ5と接続され、一方、封止機構7に封止されて電気信号線9および電源線10が引き出されており、制御システム11と接続されている。なお、アンプ部(光電気変換用の電子機器本体)は、発光素子(例えば発光ダイオード)及び受光素子(例えばフォトダイオード)を内蔵している。
例えば、流体中の粉体粒子濃度が変化するといった流体状態の変化が起こると、受光部が受光する光量が多く又は少なく変化するため、制御システムがそれを感知する。なお、光量の変化の割合は、あらかじめ検定しておくことができ、これにより、数値管理が可能となる。
その後手動にて、または、自動制御にて、製造システムを適切に調節することができる。
【0037】
本発明の管路監視装置及びそのシステムを用いることにより、光量を電流信号に変換して非危険地区に伝送する事ができ、長距離の監視が可能となる。また、例えば分散形制御システム(DCS)による監視を行えば、連続的な数値管理が可能となり、更に適切な警報設定を行う事により常時監視からも開放される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上説明したように、本発明の管路監視装置及びそのシステムは、危険物や高圧ガスの製造及び取扱いを行なう製油所や化学プラントにおいて、危険地区の製造設備と非危険地区の管理設備との間で、製造設備の運転状況を安全かつ効率よく監視することを可能とするので、その産業上の利用可能性は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る管路監視装置及びそのシステムの概略ブロック図を示している。
【符号の説明】
【0040】
1 管路
2 サイトグラス
3 投光部
4 受光部
5 光ファイバ
6 防爆構造の全密閉容器
7 防爆構造を満足する封止機構
8 電子機器本体
9 電流信号線
10 電源線
11 制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部、増幅部及び電源部を備えた電子機器本体と、投光部及び受光部とを備えてなる管路監視装置であって、
前記電子機器本体は、防爆構造の全密閉容器内に収納され、
前記投光部及び受光部は、前記全密閉容器の外部に配設され、光ファイバによって前記電子機器本体と接続されていることを特徴とする管路監視装置。
【請求項2】
投光部と受光部は、投光部からの光が受光部に入るように、対向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の管路監視装置。
【請求項3】
投光部と受光部は、投光部からの光が検出物体にあたった後、検出物体に反射した光が受光部に入るように、配置されていることを特徴とする請求項1に記載の管路監視装置。
【請求項4】
投光部と受光部は、投光部からの光が対向設置した反射板に反射した後、その反射光が受光部に入るように、配置されていることを特徴とする請求項1に記載の管路監視装置。
【請求項5】
光は、波長が350〜700nmの可視光であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の管路監視装置。
【請求項6】
投光部への光の投光素子は、発光ダイオードであり、一方、受光部からの光の受光素子は、フォトダイオードであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の管路監視装置。
【請求項7】
管路内の流体は、液体及び固体、気体及び固体、または気体及び液体のいずれかの組合せであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の管路監視装置。
【請求項8】
管路内の流体の状態は、層状流、波状流、気泡流、プラグ流、スラグ流、環状流、噴霧流、またはフロス流のいずれかの状態であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の管路監視装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の装置を用いて、製油所や化学プラント内における危険地区の製造設備と非危険地区の管理設備との間で運転状況を連続的に監視するための管路監視方法。


【図1】
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【公開番号】特開2012−177598(P2012−177598A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40285(P2011−40285)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(303060664)日本ポリエチレン株式会社 (233)
【Fターム(参考)】