説明

箱型鞄

【課題】かぶせを開けた状態で収納物の出し入れができる箱型鞄を提供する。
【解決手段】マチ12が広く横幅Wが高さHより長い箱型鞄10において、矩形のかぶせ14を一のマチ12aの上部から延出させて設ける。かぶせ14の2つの長辺に係合部16a、16bを備え、前記係合部16a、16bをそれぞれ係合させる被係合部18a、18bを箱型鞄10の前身頃10aと後見頃10bの裏面上部に備える。係合部と被係合部18a、18bとをかみ合せ又離して、かぶせ14を開閉する。また、かぶせ14を開けるとき、かぶせ14を一のマチ12aの上部に巻き取る。箱型鞄10において、マチ12aにかぶせ14を巻き取ることにより、取り出し口を全開にでき、収納物の出し入れを容易にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マチ(襠)が広く横幅が高さより長い箱型鞄に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マチが広く横幅が高さより長い箱型鞄は、多くの書類やパソコン等を収納でき、ビジネスバックや学生鞄等に利用されている。箱型鞄の中には、学生鞄にようにかぶせ(かぶせ蓋)を備えるものがあり、そのかぶせは、鞄の前身頃(又は後見頃)から延出するように形成されていた。このような鞄は、かぶせを開けると取り出し口を全開にでき、収納物の出し入れが容易なものであった。
しかし、収納物の出し入れの度に、かぶせを開閉するのは不便であった。そこで、従来、かぶせを開閉せずに収納物の出し入れが可能な蓋部付き鞄が提供されている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−18193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の蓋部付き鞄は、かぶせを開閉する鞄であり、かぶせに取り出し口に通じる補助開口部を設けたものである。これにより、かぶせを閉じた状態でも収納物の出し入れができる。また、かぶせを開閉することなく収納物の出し入れを可能にし、従来のように収納物の出し入れの度にかぶせを開閉するという不便を解消できる。
しかし、特許文献1の蓋部付き鞄は、補助開口部の開閉具としてファスナーを用いて補助開口部を形成するものであり、取り出し口を全開にするものではなかった。従って、特許文献1の蓋部付き鞄の補助開口部は、かぶせを開ける場合に比べ取り出し口が狭く、収納物の出し入れが不便なものであった。
【0005】
本発明は、かぶせを開けた状態で収納物の出し入れができる箱型鞄を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の箱型鞄は、マチが広く横幅が高さより長い箱型鞄において、矩形のかぶせを一のマチの上部から延出させて設け、前記かぶせの2つの長辺に係合部を備え、前記係合部を係合させる被係合部を前記箱型鞄の前身頃と後見頃の裏面上部に備えるものであって、前記係合部と被係合部とを係合し又離して前記かぶせを開閉し、当該かぶせを開けるとき、そのかぶせを前記一のマチの上部に巻き取るようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の箱型鞄は、一のマチから延出するかぶせをそのマチに巻き取ることにより、取り出し口を全開にするものである。これにより、従来の箱型鞄のようにかぶせを開閉しながら収納物の出し入れを行う不便はなく、また、出し入れも容易にできる。
また、従来の箱型鞄では、かぶせは鞄の後見頃(又は前身頃)から延出するように形成されていたことから、かぶせを開いた状態で収納物の出し入れを行う際、場所を取り、かぶせが邪魔になる場合があった。これに対し、かぶせをマチに巻き取る本発明では、収納物の出し入れの際、場所を取らず、かぶせが邪魔になることもない。
さらに、従来の箱型鞄では、床に鞄を置いて収納物の出し入れを行う場合、かぶせを開くとかぶせの重みで鞄がかぶせ側に倒れてしまうことがあった。これに対し、横幅が高さより長い本発明の箱型鞄においては、マチにかぶせを巻き取ることで、鞄が倒れることを防止でき、床に鞄を置いたまま収納物の出し入れを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の箱型鞄のかぶせを開いた状態を表わす図である。
【図2】本発明の箱型鞄のかぶせを表わす図であり、図(a)は、かぶせの裏面の構造を表わす図であり、図(b)は、かぶせを巻き取る状態を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、かぶせを開いたまま収納物の出し入れを実現するものである。
【実施例】
【0010】
本発明の箱型鞄を図に基づいて説明する。図1は、本発明の箱型鞄のかぶせを開いた状態を表わす図である。図2は、本発明の箱型鞄のかぶせを表わす図であり、図(a)は、かぶせの裏面の構造を表わす図であり、図(b)は、かぶせを巻き取る状態を表わす図である。
本発明の箱型鞄10は、マチ12(の幅)が広く横幅Wが高さHより長い箱型の鞄である。図1の箱型鞄10において、かぶせ14は、一のマチ12aの上部にロール状に巻かれ、取り出し口15が全開(フルオープン)となっている。
かぶせ14は矩形のものであり(図2(a))、布、化学繊維、EVA(エチレン酢ビコポリマーethylene vinyl acetate copolymer)等の材質で成型されている。
かぶせ14の2つの長辺14a,14bには、係合部16a,16bが備えられている(図2(a))。図2(a)の係合部16a,16bは、かぶせ14の長辺14a,14bに縫い付けられたファスナーA、Bの務歯(エレメント)である(図2(b))。また、鞄10の前身頃10aと後見頃10bの裏面の上部には、係合部16a,16bをそれぞれ係合する被係合部18a,18bが備えられている。図1および図2(b)の被係合部18a,18bは、ファスナーA,Bの務歯(エレメント)である。係合部16a,16bは、ファスナーA,Bのスライダーを上下させることにより、被係合部18a,18bとかみ合い又離れる(図2(b))。すなわち、かぶせ14は、ファスナーA,Bにより開閉される。
【0011】
かぶせ14の一の端部14cは、かぶせ14をマチ12aの上部に固定するかぶせ固定部である。図1および図2(b)において、かぶせ固定部14cは、マチ12aの上部に取り付け固定され、かぶせ14はマチ12aの上部から延出するように設けられている。
かぶせ14の他の端部14dは、かぶせ14を閉めるとき、マチ12bの上部に取り付けられる綴じ代部である。綴じ代部14dの裏面には、留め具20が備えられている。なお、留め具20は、面ファスナー、マグネット等である。
【0012】
かぶせ固定部14cを除くかぶせ14の裏面には、長辺14a,14bと平行に、ロール状(又は渦巻き状)に巻き上がる形状を記憶する帯状の合金22(たとえば、形状記憶合金、超弾性合金等)が取り付けられている。本発明における合金22は、一定の力によって直線状に変形させることができ、力を除けばロール状(又は渦巻き状)の形態に復元するものである。すなわち、スライダーを上下させてかぶせ14を開閉する際、かぶせ14は自動的に巻き取られ、また伸ばされるように設定されている(図2(b))。なお、合金20は、かぶせ14を巻き取り又は伸ばすことができるものであれば足り、上例の合金20に限定されるものではない。
【0013】
図2(b)において、ファスナーA,Bの引き手(つまみ)は、チェーンを介して連結されており、チェーンを用いて、2つのファスナーA、Bを同時に上下できるようになっている。
また、かぶせ14の係合部16a,16bは、かぶせ固定部14cおよび綴じ代部14cを除くかぶせ14の長辺14a,14b部分に設けられている。
また、係合部16a,16b、被係合部18a,18bは、ファスナーの務歯以外のものであってもよい。たとえば、面ファスナー、マグネット等を用いてもよい。
【0014】
箱型鞄10において、マチ12aにかぶせ14を巻き取ることにより、取り出し口15を全開(フルオープン)にできるため、収納物の出し入れができる。従来の学生鞄のようにかぶせを開閉しながら収納物の出し入れを行う必要がなく、また収納物の出し入れも便利である。
【0015】
従来の学生鞄では、かぶせは前身頃(又は後見頃)から延出するように形成されていたことから、かぶせを開いた状態で出し入れする際、場所を取り、かぶせが邪魔になる場合があった。これに対し、本発明では、かぶせ14をマチ12aに巻き取って束ねるため、場所を取らず、またかぶせ14が邪魔になることもない。
また、かぶせが前身頃(又は後見頃)から延出するように形成されていた従来の学生鞄では、床に鞄を置いて収納物を出し入れする際、かぶせの重さで鞄が倒れてしまうことがあり、出し入れが不便な場合があった。これに対し、本発明では、横幅が高さより長い箱型鞄10のマチ12にかぶせ14を巻き取るため、かぶせ14の重さで鞄10が倒れることはなく、従来の出し入れ時の不便を解消することができる。
【0016】
本発明において、かぶせ14を開閉するファスナーA,Bを防水ファスナーとしてもよい。これにより、防水効果のある箱型鞄を提供できる。たとえば、PC等の精密機器や販促商品等を収納するビジネス用バックとして、また多種多様のルアーを入れたボックスを収納するフィッシング等に使用するアウトドア用バックとして利用できる。
【符号の説明】
【0017】
10 箱型鞄
10a 前身頃
10b 後身頃
12a,12b マチ
14 かぶせ
16a,16b 係合部
18a,18b 被係合部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マチが広く横幅が高さより長い箱型鞄において、矩形のかぶせを一のマチの上部から延出させて設け、前記かぶせの2つの長辺に係合部を備え、前記係合部を係合させる被係合部を前記箱型鞄の前身頃と後見頃の裏面上部に備えるものであって、前記係合部と被係合部とを係合し又離して前記かぶせを開閉し、当該かぶせを開けるとき、そのかぶせを前記一のマチの上部に巻き取ることを特徴とする箱型鞄。


【図1】
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【図2】
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