箱状容器
【課題】閉封状態を安定して維持でき、かつ、閉封後であっても破損させることなく開封可能な箱状容器をする。
【解決手段】シート材を折り曲げて形成される箱状容器は、略筒状の本体と、当該本体の下端開口を覆う底体と、当該本体の上端開口を覆う蓋体と、を有する。蓋体は、本体の周壁の一部上縁から延設された第一フラップ30と、本体背壁の上縁から延設された第二フラップ32と、を備える。第一フラップ30は、予め形成された折り目に沿って折り曲げられることにより、上端開口を覆う主部34と、本体背壁に沿った立ち壁となる副部38と、本体の左右両側壁18r,18lに沿った立ち壁となる一対の側部36r,36lと、が形成される。そして、第二フラップ32を折り曲げて、当該第二フラップ32の先端に設けられた差込片52を、第一フラップ30に形成された差込用切込線44に差し込めば、閉封作業が完了となる。
【解決手段】シート材を折り曲げて形成される箱状容器は、略筒状の本体と、当該本体の下端開口を覆う底体と、当該本体の上端開口を覆う蓋体と、を有する。蓋体は、本体の周壁の一部上縁から延設された第一フラップ30と、本体背壁の上縁から延設された第二フラップ32と、を備える。第一フラップ30は、予め形成された折り目に沿って折り曲げられることにより、上端開口を覆う主部34と、本体背壁に沿った立ち壁となる副部38と、本体の左右両側壁18r,18lに沿った立ち壁となる一対の側部36r,36lと、が形成される。そして、第二フラップ32を折り曲げて、当該第二フラップ32の先端に設けられた差込片52を、第一フラップ30に形成された差込用切込線44に差し込めば、閉封作業が完了となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材を折り曲げて形成される箱状容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙やプラスチックシートなどのシート材を、折り曲げ、必要に応じて、接着等を施すことで形成される箱状容器が広く知られている。かかる箱状容器の中には、不正な開封を防止するタンパープルーフ機能、あるいは、開封の痕跡を残すことで不正な開封の有無を明確にするタンパーエビデンス機能(以下、まとめて「耐タンパー機能」と呼ぶ)などを備えたものがある(例えば、下記特許文献1〜9など)。耐タンパー機能を確保するために、従来、箱本体と蓋との間に、蓋をする時には作用せず、蓋を開けるときには作用する一方向性の係止構造を設けたり、箱の蓋部分を接着剤で固定したりすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−31062号公報
【特許文献2】特開2002−274531号公報
【特許文献3】特開2003−160127号公報
【特許文献4】特開2003−165529号公報
【特許文献5】特開2003−327242号公報
【特許文献6】特開2004−352273号公報
【特許文献7】特開2005−35549号公報
【特許文献8】特許第3746961号公報
【特許文献9】特許第4155498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような耐タンパー機能を備えた従来の箱状容器は、容器を組み立てた後での手直しが困難という問題があった。すなわち、箱状容器に収容する商品の種類やその製造方法によっては、当該箱状容器の内部に商品を収容して蓋をした後であっても、当該商品を手直ししたい場合がある。かかる場合において、箱状容器が一方向性の係止構造を有していたり、蓋が接着固定されていたりすると、商品の手直しのたびに当該箱状容器を破壊、廃棄せざるを得なくなり、無駄が多くなるという問題があった。かかる問題を避けるためには、箱状容器を、係止構造や接着固定などがない構成とすればよい。例えば、図17に示すように、容器本体の上端から延設された蓋フラップの先端を折り曲げて、容器本体に差し込むような構成とすることが考えられる。かかる構成とした場合、閉封後も容易に開封することができ、商品の手直しなどが可能となる。しかし、この場合、閉封状態を安定して維持することができず、多少の外力を受けただけで、蓋が開いてしまうことが予想される。
【0005】
そこで、本発明では、閉封状態を安定して維持でき、かつ、閉封後であっても破損させることなく開封可能な箱状容器をすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の箱状容器は、シート材を折り曲げて形成される箱状容器であって、略筒状の本体と、前記本体の下端開口を覆う底体と、前記本体の上端開口を覆う蓋体であって、前記本体の周壁の一部上縁から延設される第一フラップを有する蓋体と、を備え、前記第一フラップは、予め形成された折り目に沿って折り曲げられることにより、少なくとも、前記本体の奥側周壁の上端より低い位置において前記上端開口を覆う主部と、前記本体の左右両側の周壁に沿った立ち壁となる一対の側部と、が形成される、ことを特徴とする。
【0007】
好適な態様では、前記第一フラップは、予め形成された折り目に沿って折り曲げられることにより、前記主部および側部に加え、さらに、前記本体の奥側周壁に沿った立壁となる副部も、形成される。
【0008】
他の好適な態様では、前記主部は、前記本体の手前側周壁の上縁との境界線に沿って山折りされることで前記上端開口を覆い、前記副部は、前記主部の上縁から延設されており、前記主部との境界線に沿って折られることで前記奥側周壁に沿った立ち壁となり、前記一対の側部は、前記主部の左右両側から延設されるとともに傾斜した境界線を介して前記周壁に繋がっており、前記主部との境界線に沿って谷折りしつつ前記傾斜した境界線を山折りすることで前記左右両側の周壁に沿った立ち壁となる、ことが望ましい。
【0009】
他の好適な態様では、さらに、前記第一フラップを折り曲げることにより形成される立ち壁と前記主部との境界線上に部分的に形成される1以上の差込用切込線と、前記周壁の上縁のうち前記差込用切込線に対応する位置から延設される第二フラップと、を備え、前記第二フラップは、前記周壁との境界線に沿って曲げられることで前記第一フラップを折り曲げることにより形成される立ち壁に沿った立ち壁となる矩形部と、前記矩形部の上縁から延設されるとともに、前記差込用切込線に差し込まれる差込片と、を備える。
【0010】
他の好適な態様では、前記側部と主部との境界線上、および、前記側部と前記周壁との境界線上の少なくとも一方には、部分的な切り込み線が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第一フラップの各部が、互いに、他の部の姿勢を規制しあう関係となるため、閉封状態が安定的に維持される。一方で、一方向性の係止構造はないため、閉封後における再開封も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一実施形態である箱状容器の斜視図である。
【図2】第一実施形態の箱状容器の展開図である。
【図3】第一実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図4】第一実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図5】箱状容器を積層する場合の様子を示す図である。
【図6】第二実施形態の箱状容器の展開図である。
【図7】第二実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図8】第二実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図9】第三実施形態の箱状容器の展開図である。
【図10】第三実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図11】第三実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図12】第四実施形態の箱状容器の展開図である。
【図13】第四実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図14】第四実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図15】他の箱状容器の一例を示す図である。
【図16】他の箱状容器の一例を示す図である。
【図17】従来の箱状容器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第一実施形態である箱状容器10の概略斜視図である。また、図2は、この箱状容器10の展開図である。なお、以下の図面では、見易さのために、斜視図と展開図との間で、寸法比や形状を適宜異ならせている。また、図2においてハッチングを施した幾何学形状は接着箇所を意味しており、互いに接着される箇所には同一形状の幾何学形状を図示している。
【0014】
箱状容器10は、シート材を折り曲げ、必要に応じて、一部を接着することで形成される自立可能な箱状の容器である。この箱状容器10を構成するシート材としては、箱形状を維持できる程度の強度を有するものであれば特に限定されず、例えば、厚紙、合成樹脂シート、紙と合成樹脂シートの積層シート、紙又は合成樹脂シートと金属箔の積層シートなどを用いることができる。合成樹脂シートの樹脂材料は特に限定されず、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエステル系などの汎用樹脂が例示される。
【0015】
箱状容器10は、一枚のシート材を、図2に示す展開図の外形線に沿って打ち抜き、組み立てることにより形成される。従って、後述する本体12、底体16、蓋体14などの箱状容器10の構成部材は、全て、一体形成されていることになる。外形線に沿って打ち抜かれたシート材には、予め、押罫や、切罫、ミシン罫、リード罫などからなる折り目線が形成されている。また、折り曲げを容易にしたり、適度な係止機能を確保したりするために、一部には、切り込み線も形成されている。
【0016】
そして、この外形線に沿って打ち抜かれたシート材を折り目線に沿って折り曲げ、必要に応じて、一部(具体的には、図2におけるハッチング箇所)を接着することで、箱状容器10が形成される。形成される箱状容器10は、略筒状の本体12、当該本体12の底面を覆う底体16、および、本体12の上面を覆う蓋体14に大別される。
【0017】
本体12は、複数の周壁18r,18l,18f,18b(以下、特に前後左右を区別しない場合は「周壁18」という)からなる略筒状部位である。本実施形態における本体12は、互いに直交する四つの周壁18、すなわち、前壁18f、背壁18b、左側壁18l、右側壁18rから構成される略四角筒形状である。なお、これら周壁18の名称は、あくまで説明上の名称であり、実際の製品としての前後左右とは無関係であってよい。したがって、例えば、「前壁」は、必ずしも、製品としての前側の周壁である必要はなく、製品としての後側や側面側の周壁が「前壁」であってもよい。
【0018】
この本体12のうち、右側壁18rおよび左側壁18lの上縁の一部は、前壁18fに近づくほど低くなるように傾斜しており、当該傾斜部分から後述する第一フラップ30の側部36r,36l(以下、左右を区別しない場合は単に「側部36」という)が延設されている。なお、この傾斜の関係上、前壁18fと背壁18bとの間には高低差Hが発生している。
【0019】
本体12のうち、やや上端寄りの高さ位置には、左側壁18lから前壁18fを通って右側壁18rにまで到達する二本の半破断線20で区画される帯状領域22が形成されている。ここで、半破断線20とは、ユーザによる破断を誘発するための線で、例えば、間欠的に切り込みを施すミシン目線や、シート材の肉厚よりも浅い溝線であるハーフカット線などが該当する。この帯状領域22は、ユーザが箱状容器10を開封する際に、ユーザにより切り取り除去される領域である。すなわち、箱状容器10を開封する際、ユーザは、この帯状領域22の端部を掴み、二本の半破断線20に沿ってシート材を破断し、帯状領域22を切り取る。そして、帯状領域22が切り取り除去されることで、箱状容器10の内部に収容された商品を容易に取り出すことができる。なお、この帯状領域22の切り取り除去作業を容易にするために、帯状領域22の端部には切り込み線22aが施されており、箱状容器10を組み立てた際に、当該端部が、僅かに突出するようになっている。
【0020】
底体16は、本体12の下縁から延設される四つの底フラップ26a,26b,26c,26dから構成される。第一底フラップ26aおよび第二底フラップ26bは、略台形で、互いに対向する位置に設けられている。第三底フラップ26cおよび第四底フラップ26dは、略M字形で、第一底フラップ26aと第二底フラップ26bとの間に位置している。組み立ての際には、第一底フラップ26aと第三底フラップ26cは重ねられた状態で接着され、第二底フラップ26bと第四底フラップ26dも重ねられた状態で接着される。そして、その状態で、第三底フラップ26cと第四底フラップ26dとを互いに係合させることで、箱状容器10の底体16が形成される。
【0021】
蓋体14は、略筒状の本体12の上端開口を覆う部位で、第一フラップ30および第二フラップ32から構成される。第一フラップ30は、本体12の前壁18fおよび左右側壁18l,18rの一部の上縁から延設される部位である。この第一フラップ30は、さらに、主部34、副部38、右側部36r、および、左側部36lに大別される。主部34は、本体12の前壁18fから延設されており、本体12の上端開口とほぼ同形の矩形状となっている。この主部34の上縁からは副部38が延設されている。副部38は、略長方形となっており、その高さは、本体12の前壁18fおよび背壁18bの高低差Hとほぼ等しい。この副部38と主部34との境界線の略中央位置には、差込用切込線44が形成されている。この差込用切込線44は、後述する第二フラップ32に設けられた差込片52が挿入される切り込み線である。差込用切込線44は、一直線状であってもよいが、本実施形態では、差込片52の差込作業を容易にするために、両端が略90度に屈曲した略コの字状としている。
【0022】
側部36r,36lは、主部34の右縁および左縁から延びた部位で、その下端は、傾斜した境界線を介して本体12の右側壁18rまたは左側壁18lに繋がっている。この側部36r,36lの幅(主部34の左右両縁からの延設量)は、本体前壁18fと本体背壁18bとの高低差Hにほぼ等しくなっている。なお、側部36と本体側壁18r,18lとの境界線上には、後述する山折りを容易にするための切込線42が形成されている。
【0023】
第二フラップ32は、背壁18bの上縁、換言すれば、差込用切込線44に対応する位置から延設される部位である。この第二フラップ32は、さらに、略矩形の矩形部50と、当該矩形部50の上端から延びる差込片52と、に大別される。矩形部50の高さは、本体前壁18fと本体背壁18bとの高低差Hにほぼ等しい。この矩形部50の上縁中央(すなわち、差込用切込線44に対応する位置)からは差込片52が延びている。差込片52は、その基端部(矩形部50側端部)が幅細に絞られた略半円形の部位で、全体としては、略キノコ形状を成している。この差込片52の最大幅は、差込用切込線44の長さよりも僅かに小さい程度となっている。
【0024】
ここで、この蓋体14は、本体12および底体16が形成され、当該形成された本体12に商品が収容された後に、折り曲げられる。そして、この蓋体14が折り曲げられることにより、箱状容器10が閉封されることになる。この蓋体14の折り曲げ作業、すなわち、閉封作業の手順について、図3、図4を参照して説明する。図3、図4は、箱状容器10の閉封過程における上部周辺の斜視図である。この図3、図4において、一点鎖線は、山折りされる境界線であり、二点鎖線は谷折される境界線である。
【0025】
本体12に商品を収容した直後においては、図3に示すとおり、第一フラップ30および第二フラップ32は、略垂直に立っており、本体12の上端開口は完全に露出した状態となっている。この箱状容器10を閉封する場合には、まず、主部34が本体12の上端開口を覆い、かつ、副部38が背壁18bに沿った立ち壁となり、左右側部36r,36lが左右側壁18l,18rに沿った立ち壁となるように、第一フラップ30を折り曲げる。
【0026】
より具体的には、主部34を奥側に押し、主部34と本体前壁18fとの境界線Laを略90度に山折りする。そして、主部34を底体16と平行になるようにし、当該主部34で本体12の上端開口を覆う。なお、このとき主部34は、背壁18bの上端よりも低い位置において上端開口を覆っており、主部34の奥側には、背壁18bの上部が立ち壁として存在することになる。また、この山折りと同時に、主部34と副部38との境界線Lbを略90度に谷折りする。この谷折りにより、副部38は背壁18bに沿った立ち壁となる。なお、この副部38の高さは、前壁18fと背壁18bとの高低差Hにほぼ等しいため、谷折り後(立ち壁となった後)の副部38の上端高さは、背壁18bの上端高さにほぼ等しくなる。さらに、主部34と本体前壁18fとの境界線Laを山折りする際には、同時に、主部34と側部36との境界線Ldを略90度に谷折りしつつ、側部36と側壁18r,18lとの境界線Lcを略180度の山折りにする。この谷折りおよび山折りにより、側部36は、側壁18r,18lに沿った立ち壁となる。ここで、側部36の幅は、前壁18fと背壁18b(ひいては側壁18r,18l)との高低差Hにほぼ等しいため、谷折り後(立ち壁となった後)の側部36の端部高さは、側壁18r,18lの上端高さとほぼ等しくなる。そして、この第一フラップ30の折り曲げにより、箱状容器10の状部周辺は、図4に示すような状態となる。
【0027】
図4の状態になれば、続いて、第二フラップ32を折り曲げる。より具体的には、第二フラップ32の矩形部50が、副部38(すなわち、第一フラップ30を折り曲げることにより形成される立ち壁)に沿った立ち壁になるように、当該矩形部50と背壁18bとの境界線Leを略180度に山折りにする。そして、この矩形部50の上縁から突出する差込片52を副部38と主部34との境界線上に位置する差込用切込線44に差し込む。ここで、この差込片52の根元には、幅が急激に変化する段差が存在している。そのため、一度、差込片52が差込用切込線44に差し込まれると、この段差部分が、差込用切込線44に引っかかるため、容易には、抜けないようになる。そして、これにより、閉封作業が終了となる。
【0028】
ここで、このように閉封された箱状容器10は、第一フラップ30および第二フラップ32の各部位が、互いに、他の部位の姿勢を規制しあう関係となる。その結果、閉封状態を安定して維持することができる。また、この閉封後の箱状容器10の上部には、図1に示すように、右側方、左側方、および、後方の三方に立ち壁が立脚することになる。かかる三方の立ち壁は、当該箱状容器10の開封作業に多少の困難性を持たすことができる。すなわち、このように一度閉封された箱状容器10を、開封するためには、折り曲げられた第二フラップ32を上に引き上げ、差込片52を差込用切込線44から抜くことが必要となる。第二フラップ32を上側に引き上げる際には、矩形部50の左右両縁、または、矩形部50の上縁に指先を引っ掛けて引っ張ることが一般的である。
【0029】
しかし、本実施形態では、図1に示すように、閉封された場合には、三方の立ち壁が存在することになる。この三方の立ち壁が指先に当たることで、矩形部50の左右両縁や上縁への指先の引っ掛けが若干困難になる。そして、その結果、開封作業に多少の困難性を持たせることができ、不正な開封をある程度防止することができる。ただし、本実施形態では、差込片52を差込用切込線44に差し込んでいるに過ぎないため、多少の時間さえかければ、箱状容器10を破損することなく、開封することは可能である。そのため、閉封後においても、箱状容器10を破損させることなく、商品を取り出すことができるため、閉封後においても、収容された商品などに手直しを施すことができる。
【0030】
また、三方の立ち壁が存在することにより、製品のスタック性を大幅に向上させることができる。すなわち、閉封された箱状容器10は、図5に示すように、上下に積層されてダンボール箱などに収容されることがある。このとき、下側に積層される箱状容器10の立ち壁は、その上側に積層される箱状容器10の下端を支持する支持壁として機能する。そして、かかる支持壁(立ち壁)が存在することにより、上側に積層された箱状容器10の転倒の可能性が大幅に低減し、より安定的に積層することができる。また、この三方の立ち壁は、意匠としての独自性を有しており、製品購入を検討する消費者に対して強い印象を与えることができる。
【0031】
次に、第二実施形態について図6〜図8を参照して説明する。図6は、第二実施形態である箱状容器10の展開図である。また、図7、図8は、この箱状容器10の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【0032】
この箱状容器10は、底体が二つの底フラップ26から構成されている点や、帯状領域22が前壁の上端から下端に縦方向に延びている点などで、上述の第一実施形態と異なっている。また、この箱状容器10は、本体12が断面略D字形状であり、それに伴い、蓋体周辺の構成なども第一実施形態と若干異なっている。より、具体的には、本実施形態の本体12は、平坦状の背壁18bと左右側壁18l,18r、および、略円弧面状の前壁18fを有している。この前壁18fと第一フラップ30との境界線は、左右両端に近づくほど高くなるような略放物線形状となっている。この略放物線形状の境界線を介して第一フラップ30が延設されている。この第一フラップ30は、上述の実施形態と同様に、本体12の上端開口を覆う主部34と、背壁18bに沿った立ち壁となる副部38、左右側壁18l,18rに沿った立ち壁となる一対の側部36r,36lと、を有している。
【0033】
主部34は、前壁18fの上縁の略中央付近から延設される部位で、副部38に近づくほど幅広となる略台形形状をしている。副部38は、主部34の上縁から延設された略長方形の部位で、その高さは、前壁18fと背壁18bとの高低差とほぼ等しくなっている。この副部38と主部34との境界線Lb上には、略コの字状の差込用切込線44が形成されている。側部36r,36lは、主部34の左右両縁から延びるとともに、傾斜線状の境界線Laを介して前壁18fに繋がった部位である。この側部36r,36lの幅は、前壁18fと背壁18bとの高低差とほぼ等しくなっている。この側部36r,36lと主部34との境界線Ld上には、折り曲げ作業を容易にするための切り込み線が形成されている。
【0034】
また、背壁18bの上縁からは、副部38に沿った立ち壁となる矩形部50と、当該矩形部50の上縁略中央から突出した差込片52と、を備えた第二フラップ32が延設されている。矩形部50の高さは、前壁18fと背壁18bとの高低差にほぼ等しい。また、差込片52は、根元が幅細に絞られた略キノコ状となっている。
【0035】
図7に示す箱状容器10を閉封する場合には、第一実施形態と同様に、まず、主部34と前壁18fとの境界線Laを略90度に山折りするとともに、主部34と副部38との境界線Lbを略90度に谷折りする。また、同時に、主部34と側部36r,36lとの境界線Ldを略90度に谷折りしつつ、側部36r,36lと前壁18fとの境界線Laを略180度に山折りする。かかる折り曲げ作業により、蓋体14周辺は、図8に示すような状態となる。図8の状態になれば、矩形部50と背壁18bとの境界線Leを略180度に山折りし、差込片52を差込用切込線44に差し込む。そして、これにより、閉封作業が完了する。
【0036】
閉封後の箱状容器10は、第一実施形態の場合と同様に、第一フラップ30および第二フラップ32の各部位が、互いに、他の部位の姿勢を規制しあう関係となるため、閉封状態を安定して維持することができる。また、三方の立ち壁が存在することにより、閉封後における開封作業に適度な困難性を持たせることができる。その一方で、時間をかければ、箱状容器10を破損することなく開封することができるため、閉封後であっても、箱状容器10に収容された商品を手直しすることが可能となる。さらに、三方の立ち壁が存在することにより、製品のスタック性や、消費者に与える印象なども向上することもできる。
【0037】
なお、この第二実施形態における箱状容器10は、その底体16の構成なども、第一実施形態と異なっているが、当該底体16などの構成は、公知技術を用いて実現できるため、ここでの詳説は省略する。
【0038】
次に、第三実施形態について図9〜図11を参照して説明する。図9は、第三実施形態である箱状容器10の展開図である。また、図10、図11は、この箱状容器10の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【0039】
第三実施形態の箱状容器10も、第二実施形態の場合と同様に、断面略D字状の本体12を有しており、前壁18fと第一フラップ30との境界線Laが略放物線上となっている。ただし、第二実施形態と異なり、第三実施形態は、全体として幅広で、上面視略長方形に近い形状となっている。
【0040】
また、第三実施形態においては、第二フラップ32の差込片52の差込用切込線44からの抜けを防止する構造が、第一実施形態および第二実施形態と若干異なっている。すなわち、本実施形態では、第二フラップ32に、矩形部50の上縁中央から延びる略キノコ状の第一差込片52aのほかに、矩形部50の上縁両端から延びる一対の第二差込片52bも設けている。第二差込片52bは、略矩形の部位で、その幅は一定となっている。
【0041】
また、第一フラップ30の主部34の上縁両端付近には、略三角形状の切り欠き60(図9参照)が形成されている。この切り欠き60があることで、第一フラップ30を折り曲げた際に、主部34の背壁18b側隅部に略三角形状の差込孔60a(図11参照)が形成される。閉封時には、差込用切込線44に第一差込片52aを差し込むだけでなく、さらに、この差込孔60aに第二差込片52bも差し込む。
【0042】
ここで、このように第二差込片52bを設ける意義について簡単に説明する。本実施形態のように幅広形状の箱状容器10において、第二差込片52bが無い場合、第二フラップを折り曲げた後に、第二フラップ矩形部50の両端付近が、立ち壁となっている第一フラップ30副部38に沿わずに、若干、浮くことが予想される。かかる「浮き」は、指先の引っ掛けを容易にし、ひいては、閉封後における開封動作の困難性を低下させる。一方、矩形部50の上縁両端に第二差込片52bを設けることで、こうした「浮き」が防止できる。そして、結果として、閉封後における開封動作に多少の困難性を持たせることができる。
【0043】
次に、第四実施形態について図12〜図14を参照して説明する。図12は、第四実施形態である箱状容器10の展開図である。また、図13、図14は、この箱状容器10の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【0044】
第四実施形態の箱状容器10は、第一実施形態の場合と同様に、略角筒状の本体12を有している。ただし、第一実施形態と異なり、第四実施形態の本体12は、若干、幅広の断面略長方形の角筒形状となっている。
【0045】
また、本実施形態では、第一フラップ30の主部34の左右両縁から延びる側部36r,36lの幅を、本体側壁18r,18lの幅と等しくしている。別の見方をすれば、側壁18r,18lの上縁は、奥側端部から手前側端部にかけて傾斜しており、その上縁全てが側部36r,36lとの境界線Lcとして機能している。また、第一フラップ側部36r,36lは、側壁18r,18lとの境界線Lcが斜辺となる直角三角形状となっている。したがって、閉封のために第一フラップ30を折り曲げた場合、側方には、略三角形状の立ち壁が形成されることになる(図14参照)。
【0046】
また、第四実施形態において、第二フラップ32は、略キノコ状の差込片52を有しておらず、代わりに、略矩形の差込片52を二つ有している。第一フラップ30の主部34と副部38との境界線Lb上には、この矩形の差込片52に対応する位置に差込用切込線44が形成されており、第二フラップ32を折り曲げた際に、矩形の差込片52を差し込めるようになっている。
【0047】
また、本実施形態では、第二フラップ32の矩形部50の上縁中央に略円弧状の切り欠き62を形成している。これにより、閉封後における開封作業をより容易にすることができ、ひいては、閉封後における商品の手直しをより簡易に行うことができる。なお、商品の手直しのし易さよりも、開封時における困難性を重視したい場合には、当然ながら、この円弧状切り欠き62は省略し、代わりに、略キノコ状の差込片52を設けることが望ましい。しかしながら、いずれの場合であっても、閉封時において、第一フラップ30および第二フラップ32の各部位が、互いに、他の部位の姿勢を規制しあう関係となるため、閉封状態を安定して維持することができる。また、箱状容器10の上部三方に立ち壁が立脚することになるため、スタック性の向上や、意匠としての独自性を向上させることができる。
【0048】
以上、説明したように、第一実施形態〜第四実施形態のいずれの場合であっても、閉封状態を維持可能でありつつも、閉封後に箱状容器10を破損することなく開封することが可能となる。これにより、箱状容器10に商品を収容し、閉封した後でも、当該商品を取り出し、手直しをすることが可能となる。
【0049】
また、三方に立ち壁を形成することで、開封に多少の困難性を持たすことができるため、不正な開封防止にも多少の効果を発揮することができる。さらに、この三方の立ち壁は、箱状容器10のスタック性向上や、意匠としての独自性を向上することもできる。
【0050】
なお、上述した説明では、第一フラップ30主部34と副部38との境界線Lbを、谷折りする場合のみを例示したが、当該境界線Lbは、略90度の山折りとしてもよい。この場合であっても、副部38は背壁18bに沿った立ち壁となるため、問題ない。また、山折り、谷折りいずれの場合であっても、差込用切込線44の出現位置には変化がないため、差込片52の差し込み作業にも影響はでない。
【0051】
また、上述した説明では、第二フラップ32を設けていたが、場合によっては、第二フラップ32を省略してもよい。すなわち、図15に示すとおり、第一フラップ30のみを設け、当該第一フラップ30のみで三方の立ち壁を形成してもよい。また、最終的に三方に立壁が形成されるのであれば、図16に図示するように、第一フラップ30を、主部34および左右側部36l,36rのみで構成し、副部38を省略してもよい。この場合であっても、最終的には、箱状容器10の上部には、左側部36l、右側部36r、および、背壁18bからなる三方の立ち壁が形成されることになる。そして、かかる状態になれば、側部36l,36rと主部34とが互いに規制し合うことになるため、閉封状態を維持しつつも、閉封後に箱状容器10を破損することなく開封することが可能となる。また、これまでの説明では、第二フラップ32を背壁18bから延設する場合を例示していたが、第一フラップ30を折り曲げることにより形成される立ち壁に沿うことができるのであれば、他の部位から延設されてもよい。たとえば、図16に図示するように第二フラップ32を、側壁18r、18lから延設するようにしてもよい。この場合、各第二フラップ32の先端には、差込片52を形成しておく。また、そして、側部36r,36lと主部34との境界線Ldのうち差込片52に対応する位置には、この差込片52が差し込まれる差込用切込線54を形成しておく。そして、閉封する際には、矩形部50と側壁18r,18lとの境界線Leを略180度に山折りし、差込片52を差込用切込線54に差し込めばよい。さらに、図面での例示はしないが、折り曲げられて立ち壁となる第二フラップ32を、側壁18r,18lおよび背壁18bの両方から延設するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る箱状容器は、上記実施形態に具体的構成が開示されており、この具体的構成に基づき量産できることが明らかなので、資質において工業上利用することができる。このことから本発明に係る箱状容器は、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0053】
10 箱状容器、12 本体、14 蓋体、16 底体、18 周壁、18b 背壁、18f 前壁、18l 左側壁、18r 右側壁、22 帯状領域、26 底フラップ、30 第一フラップ、32 第二フラップ、34 主部、36l 左側部、36r 右側部、38 副部、44 差込用切込線、50 矩形部、52 差込片。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材を折り曲げて形成される箱状容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙やプラスチックシートなどのシート材を、折り曲げ、必要に応じて、接着等を施すことで形成される箱状容器が広く知られている。かかる箱状容器の中には、不正な開封を防止するタンパープルーフ機能、あるいは、開封の痕跡を残すことで不正な開封の有無を明確にするタンパーエビデンス機能(以下、まとめて「耐タンパー機能」と呼ぶ)などを備えたものがある(例えば、下記特許文献1〜9など)。耐タンパー機能を確保するために、従来、箱本体と蓋との間に、蓋をする時には作用せず、蓋を開けるときには作用する一方向性の係止構造を設けたり、箱の蓋部分を接着剤で固定したりすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−31062号公報
【特許文献2】特開2002−274531号公報
【特許文献3】特開2003−160127号公報
【特許文献4】特開2003−165529号公報
【特許文献5】特開2003−327242号公報
【特許文献6】特開2004−352273号公報
【特許文献7】特開2005−35549号公報
【特許文献8】特許第3746961号公報
【特許文献9】特許第4155498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような耐タンパー機能を備えた従来の箱状容器は、容器を組み立てた後での手直しが困難という問題があった。すなわち、箱状容器に収容する商品の種類やその製造方法によっては、当該箱状容器の内部に商品を収容して蓋をした後であっても、当該商品を手直ししたい場合がある。かかる場合において、箱状容器が一方向性の係止構造を有していたり、蓋が接着固定されていたりすると、商品の手直しのたびに当該箱状容器を破壊、廃棄せざるを得なくなり、無駄が多くなるという問題があった。かかる問題を避けるためには、箱状容器を、係止構造や接着固定などがない構成とすればよい。例えば、図17に示すように、容器本体の上端から延設された蓋フラップの先端を折り曲げて、容器本体に差し込むような構成とすることが考えられる。かかる構成とした場合、閉封後も容易に開封することができ、商品の手直しなどが可能となる。しかし、この場合、閉封状態を安定して維持することができず、多少の外力を受けただけで、蓋が開いてしまうことが予想される。
【0005】
そこで、本発明では、閉封状態を安定して維持でき、かつ、閉封後であっても破損させることなく開封可能な箱状容器をすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の箱状容器は、シート材を折り曲げて形成される箱状容器であって、略筒状の本体と、前記本体の下端開口を覆う底体と、前記本体の上端開口を覆う蓋体であって、前記本体の周壁の一部上縁から延設される第一フラップを有する蓋体と、を備え、前記第一フラップは、予め形成された折り目に沿って折り曲げられることにより、少なくとも、前記本体の奥側周壁の上端より低い位置において前記上端開口を覆う主部と、前記本体の左右両側の周壁に沿った立ち壁となる一対の側部と、が形成される、ことを特徴とする。
【0007】
好適な態様では、前記第一フラップは、予め形成された折り目に沿って折り曲げられることにより、前記主部および側部に加え、さらに、前記本体の奥側周壁に沿った立壁となる副部も、形成される。
【0008】
他の好適な態様では、前記主部は、前記本体の手前側周壁の上縁との境界線に沿って山折りされることで前記上端開口を覆い、前記副部は、前記主部の上縁から延設されており、前記主部との境界線に沿って折られることで前記奥側周壁に沿った立ち壁となり、前記一対の側部は、前記主部の左右両側から延設されるとともに傾斜した境界線を介して前記周壁に繋がっており、前記主部との境界線に沿って谷折りしつつ前記傾斜した境界線を山折りすることで前記左右両側の周壁に沿った立ち壁となる、ことが望ましい。
【0009】
他の好適な態様では、さらに、前記第一フラップを折り曲げることにより形成される立ち壁と前記主部との境界線上に部分的に形成される1以上の差込用切込線と、前記周壁の上縁のうち前記差込用切込線に対応する位置から延設される第二フラップと、を備え、前記第二フラップは、前記周壁との境界線に沿って曲げられることで前記第一フラップを折り曲げることにより形成される立ち壁に沿った立ち壁となる矩形部と、前記矩形部の上縁から延設されるとともに、前記差込用切込線に差し込まれる差込片と、を備える。
【0010】
他の好適な態様では、前記側部と主部との境界線上、および、前記側部と前記周壁との境界線上の少なくとも一方には、部分的な切り込み線が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第一フラップの各部が、互いに、他の部の姿勢を規制しあう関係となるため、閉封状態が安定的に維持される。一方で、一方向性の係止構造はないため、閉封後における再開封も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一実施形態である箱状容器の斜視図である。
【図2】第一実施形態の箱状容器の展開図である。
【図3】第一実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図4】第一実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図5】箱状容器を積層する場合の様子を示す図である。
【図6】第二実施形態の箱状容器の展開図である。
【図7】第二実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図8】第二実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図9】第三実施形態の箱状容器の展開図である。
【図10】第三実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図11】第三実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図12】第四実施形態の箱状容器の展開図である。
【図13】第四実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図14】第四実施形態の箱状容器の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【図15】他の箱状容器の一例を示す図である。
【図16】他の箱状容器の一例を示す図である。
【図17】従来の箱状容器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第一実施形態である箱状容器10の概略斜視図である。また、図2は、この箱状容器10の展開図である。なお、以下の図面では、見易さのために、斜視図と展開図との間で、寸法比や形状を適宜異ならせている。また、図2においてハッチングを施した幾何学形状は接着箇所を意味しており、互いに接着される箇所には同一形状の幾何学形状を図示している。
【0014】
箱状容器10は、シート材を折り曲げ、必要に応じて、一部を接着することで形成される自立可能な箱状の容器である。この箱状容器10を構成するシート材としては、箱形状を維持できる程度の強度を有するものであれば特に限定されず、例えば、厚紙、合成樹脂シート、紙と合成樹脂シートの積層シート、紙又は合成樹脂シートと金属箔の積層シートなどを用いることができる。合成樹脂シートの樹脂材料は特に限定されず、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエステル系などの汎用樹脂が例示される。
【0015】
箱状容器10は、一枚のシート材を、図2に示す展開図の外形線に沿って打ち抜き、組み立てることにより形成される。従って、後述する本体12、底体16、蓋体14などの箱状容器10の構成部材は、全て、一体形成されていることになる。外形線に沿って打ち抜かれたシート材には、予め、押罫や、切罫、ミシン罫、リード罫などからなる折り目線が形成されている。また、折り曲げを容易にしたり、適度な係止機能を確保したりするために、一部には、切り込み線も形成されている。
【0016】
そして、この外形線に沿って打ち抜かれたシート材を折り目線に沿って折り曲げ、必要に応じて、一部(具体的には、図2におけるハッチング箇所)を接着することで、箱状容器10が形成される。形成される箱状容器10は、略筒状の本体12、当該本体12の底面を覆う底体16、および、本体12の上面を覆う蓋体14に大別される。
【0017】
本体12は、複数の周壁18r,18l,18f,18b(以下、特に前後左右を区別しない場合は「周壁18」という)からなる略筒状部位である。本実施形態における本体12は、互いに直交する四つの周壁18、すなわち、前壁18f、背壁18b、左側壁18l、右側壁18rから構成される略四角筒形状である。なお、これら周壁18の名称は、あくまで説明上の名称であり、実際の製品としての前後左右とは無関係であってよい。したがって、例えば、「前壁」は、必ずしも、製品としての前側の周壁である必要はなく、製品としての後側や側面側の周壁が「前壁」であってもよい。
【0018】
この本体12のうち、右側壁18rおよび左側壁18lの上縁の一部は、前壁18fに近づくほど低くなるように傾斜しており、当該傾斜部分から後述する第一フラップ30の側部36r,36l(以下、左右を区別しない場合は単に「側部36」という)が延設されている。なお、この傾斜の関係上、前壁18fと背壁18bとの間には高低差Hが発生している。
【0019】
本体12のうち、やや上端寄りの高さ位置には、左側壁18lから前壁18fを通って右側壁18rにまで到達する二本の半破断線20で区画される帯状領域22が形成されている。ここで、半破断線20とは、ユーザによる破断を誘発するための線で、例えば、間欠的に切り込みを施すミシン目線や、シート材の肉厚よりも浅い溝線であるハーフカット線などが該当する。この帯状領域22は、ユーザが箱状容器10を開封する際に、ユーザにより切り取り除去される領域である。すなわち、箱状容器10を開封する際、ユーザは、この帯状領域22の端部を掴み、二本の半破断線20に沿ってシート材を破断し、帯状領域22を切り取る。そして、帯状領域22が切り取り除去されることで、箱状容器10の内部に収容された商品を容易に取り出すことができる。なお、この帯状領域22の切り取り除去作業を容易にするために、帯状領域22の端部には切り込み線22aが施されており、箱状容器10を組み立てた際に、当該端部が、僅かに突出するようになっている。
【0020】
底体16は、本体12の下縁から延設される四つの底フラップ26a,26b,26c,26dから構成される。第一底フラップ26aおよび第二底フラップ26bは、略台形で、互いに対向する位置に設けられている。第三底フラップ26cおよび第四底フラップ26dは、略M字形で、第一底フラップ26aと第二底フラップ26bとの間に位置している。組み立ての際には、第一底フラップ26aと第三底フラップ26cは重ねられた状態で接着され、第二底フラップ26bと第四底フラップ26dも重ねられた状態で接着される。そして、その状態で、第三底フラップ26cと第四底フラップ26dとを互いに係合させることで、箱状容器10の底体16が形成される。
【0021】
蓋体14は、略筒状の本体12の上端開口を覆う部位で、第一フラップ30および第二フラップ32から構成される。第一フラップ30は、本体12の前壁18fおよび左右側壁18l,18rの一部の上縁から延設される部位である。この第一フラップ30は、さらに、主部34、副部38、右側部36r、および、左側部36lに大別される。主部34は、本体12の前壁18fから延設されており、本体12の上端開口とほぼ同形の矩形状となっている。この主部34の上縁からは副部38が延設されている。副部38は、略長方形となっており、その高さは、本体12の前壁18fおよび背壁18bの高低差Hとほぼ等しい。この副部38と主部34との境界線の略中央位置には、差込用切込線44が形成されている。この差込用切込線44は、後述する第二フラップ32に設けられた差込片52が挿入される切り込み線である。差込用切込線44は、一直線状であってもよいが、本実施形態では、差込片52の差込作業を容易にするために、両端が略90度に屈曲した略コの字状としている。
【0022】
側部36r,36lは、主部34の右縁および左縁から延びた部位で、その下端は、傾斜した境界線を介して本体12の右側壁18rまたは左側壁18lに繋がっている。この側部36r,36lの幅(主部34の左右両縁からの延設量)は、本体前壁18fと本体背壁18bとの高低差Hにほぼ等しくなっている。なお、側部36と本体側壁18r,18lとの境界線上には、後述する山折りを容易にするための切込線42が形成されている。
【0023】
第二フラップ32は、背壁18bの上縁、換言すれば、差込用切込線44に対応する位置から延設される部位である。この第二フラップ32は、さらに、略矩形の矩形部50と、当該矩形部50の上端から延びる差込片52と、に大別される。矩形部50の高さは、本体前壁18fと本体背壁18bとの高低差Hにほぼ等しい。この矩形部50の上縁中央(すなわち、差込用切込線44に対応する位置)からは差込片52が延びている。差込片52は、その基端部(矩形部50側端部)が幅細に絞られた略半円形の部位で、全体としては、略キノコ形状を成している。この差込片52の最大幅は、差込用切込線44の長さよりも僅かに小さい程度となっている。
【0024】
ここで、この蓋体14は、本体12および底体16が形成され、当該形成された本体12に商品が収容された後に、折り曲げられる。そして、この蓋体14が折り曲げられることにより、箱状容器10が閉封されることになる。この蓋体14の折り曲げ作業、すなわち、閉封作業の手順について、図3、図4を参照して説明する。図3、図4は、箱状容器10の閉封過程における上部周辺の斜視図である。この図3、図4において、一点鎖線は、山折りされる境界線であり、二点鎖線は谷折される境界線である。
【0025】
本体12に商品を収容した直後においては、図3に示すとおり、第一フラップ30および第二フラップ32は、略垂直に立っており、本体12の上端開口は完全に露出した状態となっている。この箱状容器10を閉封する場合には、まず、主部34が本体12の上端開口を覆い、かつ、副部38が背壁18bに沿った立ち壁となり、左右側部36r,36lが左右側壁18l,18rに沿った立ち壁となるように、第一フラップ30を折り曲げる。
【0026】
より具体的には、主部34を奥側に押し、主部34と本体前壁18fとの境界線Laを略90度に山折りする。そして、主部34を底体16と平行になるようにし、当該主部34で本体12の上端開口を覆う。なお、このとき主部34は、背壁18bの上端よりも低い位置において上端開口を覆っており、主部34の奥側には、背壁18bの上部が立ち壁として存在することになる。また、この山折りと同時に、主部34と副部38との境界線Lbを略90度に谷折りする。この谷折りにより、副部38は背壁18bに沿った立ち壁となる。なお、この副部38の高さは、前壁18fと背壁18bとの高低差Hにほぼ等しいため、谷折り後(立ち壁となった後)の副部38の上端高さは、背壁18bの上端高さにほぼ等しくなる。さらに、主部34と本体前壁18fとの境界線Laを山折りする際には、同時に、主部34と側部36との境界線Ldを略90度に谷折りしつつ、側部36と側壁18r,18lとの境界線Lcを略180度の山折りにする。この谷折りおよび山折りにより、側部36は、側壁18r,18lに沿った立ち壁となる。ここで、側部36の幅は、前壁18fと背壁18b(ひいては側壁18r,18l)との高低差Hにほぼ等しいため、谷折り後(立ち壁となった後)の側部36の端部高さは、側壁18r,18lの上端高さとほぼ等しくなる。そして、この第一フラップ30の折り曲げにより、箱状容器10の状部周辺は、図4に示すような状態となる。
【0027】
図4の状態になれば、続いて、第二フラップ32を折り曲げる。より具体的には、第二フラップ32の矩形部50が、副部38(すなわち、第一フラップ30を折り曲げることにより形成される立ち壁)に沿った立ち壁になるように、当該矩形部50と背壁18bとの境界線Leを略180度に山折りにする。そして、この矩形部50の上縁から突出する差込片52を副部38と主部34との境界線上に位置する差込用切込線44に差し込む。ここで、この差込片52の根元には、幅が急激に変化する段差が存在している。そのため、一度、差込片52が差込用切込線44に差し込まれると、この段差部分が、差込用切込線44に引っかかるため、容易には、抜けないようになる。そして、これにより、閉封作業が終了となる。
【0028】
ここで、このように閉封された箱状容器10は、第一フラップ30および第二フラップ32の各部位が、互いに、他の部位の姿勢を規制しあう関係となる。その結果、閉封状態を安定して維持することができる。また、この閉封後の箱状容器10の上部には、図1に示すように、右側方、左側方、および、後方の三方に立ち壁が立脚することになる。かかる三方の立ち壁は、当該箱状容器10の開封作業に多少の困難性を持たすことができる。すなわち、このように一度閉封された箱状容器10を、開封するためには、折り曲げられた第二フラップ32を上に引き上げ、差込片52を差込用切込線44から抜くことが必要となる。第二フラップ32を上側に引き上げる際には、矩形部50の左右両縁、または、矩形部50の上縁に指先を引っ掛けて引っ張ることが一般的である。
【0029】
しかし、本実施形態では、図1に示すように、閉封された場合には、三方の立ち壁が存在することになる。この三方の立ち壁が指先に当たることで、矩形部50の左右両縁や上縁への指先の引っ掛けが若干困難になる。そして、その結果、開封作業に多少の困難性を持たせることができ、不正な開封をある程度防止することができる。ただし、本実施形態では、差込片52を差込用切込線44に差し込んでいるに過ぎないため、多少の時間さえかければ、箱状容器10を破損することなく、開封することは可能である。そのため、閉封後においても、箱状容器10を破損させることなく、商品を取り出すことができるため、閉封後においても、収容された商品などに手直しを施すことができる。
【0030】
また、三方の立ち壁が存在することにより、製品のスタック性を大幅に向上させることができる。すなわち、閉封された箱状容器10は、図5に示すように、上下に積層されてダンボール箱などに収容されることがある。このとき、下側に積層される箱状容器10の立ち壁は、その上側に積層される箱状容器10の下端を支持する支持壁として機能する。そして、かかる支持壁(立ち壁)が存在することにより、上側に積層された箱状容器10の転倒の可能性が大幅に低減し、より安定的に積層することができる。また、この三方の立ち壁は、意匠としての独自性を有しており、製品購入を検討する消費者に対して強い印象を与えることができる。
【0031】
次に、第二実施形態について図6〜図8を参照して説明する。図6は、第二実施形態である箱状容器10の展開図である。また、図7、図8は、この箱状容器10の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【0032】
この箱状容器10は、底体が二つの底フラップ26から構成されている点や、帯状領域22が前壁の上端から下端に縦方向に延びている点などで、上述の第一実施形態と異なっている。また、この箱状容器10は、本体12が断面略D字形状であり、それに伴い、蓋体周辺の構成なども第一実施形態と若干異なっている。より、具体的には、本実施形態の本体12は、平坦状の背壁18bと左右側壁18l,18r、および、略円弧面状の前壁18fを有している。この前壁18fと第一フラップ30との境界線は、左右両端に近づくほど高くなるような略放物線形状となっている。この略放物線形状の境界線を介して第一フラップ30が延設されている。この第一フラップ30は、上述の実施形態と同様に、本体12の上端開口を覆う主部34と、背壁18bに沿った立ち壁となる副部38、左右側壁18l,18rに沿った立ち壁となる一対の側部36r,36lと、を有している。
【0033】
主部34は、前壁18fの上縁の略中央付近から延設される部位で、副部38に近づくほど幅広となる略台形形状をしている。副部38は、主部34の上縁から延設された略長方形の部位で、その高さは、前壁18fと背壁18bとの高低差とほぼ等しくなっている。この副部38と主部34との境界線Lb上には、略コの字状の差込用切込線44が形成されている。側部36r,36lは、主部34の左右両縁から延びるとともに、傾斜線状の境界線Laを介して前壁18fに繋がった部位である。この側部36r,36lの幅は、前壁18fと背壁18bとの高低差とほぼ等しくなっている。この側部36r,36lと主部34との境界線Ld上には、折り曲げ作業を容易にするための切り込み線が形成されている。
【0034】
また、背壁18bの上縁からは、副部38に沿った立ち壁となる矩形部50と、当該矩形部50の上縁略中央から突出した差込片52と、を備えた第二フラップ32が延設されている。矩形部50の高さは、前壁18fと背壁18bとの高低差にほぼ等しい。また、差込片52は、根元が幅細に絞られた略キノコ状となっている。
【0035】
図7に示す箱状容器10を閉封する場合には、第一実施形態と同様に、まず、主部34と前壁18fとの境界線Laを略90度に山折りするとともに、主部34と副部38との境界線Lbを略90度に谷折りする。また、同時に、主部34と側部36r,36lとの境界線Ldを略90度に谷折りしつつ、側部36r,36lと前壁18fとの境界線Laを略180度に山折りする。かかる折り曲げ作業により、蓋体14周辺は、図8に示すような状態となる。図8の状態になれば、矩形部50と背壁18bとの境界線Leを略180度に山折りし、差込片52を差込用切込線44に差し込む。そして、これにより、閉封作業が完了する。
【0036】
閉封後の箱状容器10は、第一実施形態の場合と同様に、第一フラップ30および第二フラップ32の各部位が、互いに、他の部位の姿勢を規制しあう関係となるため、閉封状態を安定して維持することができる。また、三方の立ち壁が存在することにより、閉封後における開封作業に適度な困難性を持たせることができる。その一方で、時間をかければ、箱状容器10を破損することなく開封することができるため、閉封後であっても、箱状容器10に収容された商品を手直しすることが可能となる。さらに、三方の立ち壁が存在することにより、製品のスタック性や、消費者に与える印象なども向上することもできる。
【0037】
なお、この第二実施形態における箱状容器10は、その底体16の構成なども、第一実施形態と異なっているが、当該底体16などの構成は、公知技術を用いて実現できるため、ここでの詳説は省略する。
【0038】
次に、第三実施形態について図9〜図11を参照して説明する。図9は、第三実施形態である箱状容器10の展開図である。また、図10、図11は、この箱状容器10の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【0039】
第三実施形態の箱状容器10も、第二実施形態の場合と同様に、断面略D字状の本体12を有しており、前壁18fと第一フラップ30との境界線Laが略放物線上となっている。ただし、第二実施形態と異なり、第三実施形態は、全体として幅広で、上面視略長方形に近い形状となっている。
【0040】
また、第三実施形態においては、第二フラップ32の差込片52の差込用切込線44からの抜けを防止する構造が、第一実施形態および第二実施形態と若干異なっている。すなわち、本実施形態では、第二フラップ32に、矩形部50の上縁中央から延びる略キノコ状の第一差込片52aのほかに、矩形部50の上縁両端から延びる一対の第二差込片52bも設けている。第二差込片52bは、略矩形の部位で、その幅は一定となっている。
【0041】
また、第一フラップ30の主部34の上縁両端付近には、略三角形状の切り欠き60(図9参照)が形成されている。この切り欠き60があることで、第一フラップ30を折り曲げた際に、主部34の背壁18b側隅部に略三角形状の差込孔60a(図11参照)が形成される。閉封時には、差込用切込線44に第一差込片52aを差し込むだけでなく、さらに、この差込孔60aに第二差込片52bも差し込む。
【0042】
ここで、このように第二差込片52bを設ける意義について簡単に説明する。本実施形態のように幅広形状の箱状容器10において、第二差込片52bが無い場合、第二フラップを折り曲げた後に、第二フラップ矩形部50の両端付近が、立ち壁となっている第一フラップ30副部38に沿わずに、若干、浮くことが予想される。かかる「浮き」は、指先の引っ掛けを容易にし、ひいては、閉封後における開封動作の困難性を低下させる。一方、矩形部50の上縁両端に第二差込片52bを設けることで、こうした「浮き」が防止できる。そして、結果として、閉封後における開封動作に多少の困難性を持たせることができる。
【0043】
次に、第四実施形態について図12〜図14を参照して説明する。図12は、第四実施形態である箱状容器10の展開図である。また、図13、図14は、この箱状容器10の閉封過程における上部周辺の斜視図である。
【0044】
第四実施形態の箱状容器10は、第一実施形態の場合と同様に、略角筒状の本体12を有している。ただし、第一実施形態と異なり、第四実施形態の本体12は、若干、幅広の断面略長方形の角筒形状となっている。
【0045】
また、本実施形態では、第一フラップ30の主部34の左右両縁から延びる側部36r,36lの幅を、本体側壁18r,18lの幅と等しくしている。別の見方をすれば、側壁18r,18lの上縁は、奥側端部から手前側端部にかけて傾斜しており、その上縁全てが側部36r,36lとの境界線Lcとして機能している。また、第一フラップ側部36r,36lは、側壁18r,18lとの境界線Lcが斜辺となる直角三角形状となっている。したがって、閉封のために第一フラップ30を折り曲げた場合、側方には、略三角形状の立ち壁が形成されることになる(図14参照)。
【0046】
また、第四実施形態において、第二フラップ32は、略キノコ状の差込片52を有しておらず、代わりに、略矩形の差込片52を二つ有している。第一フラップ30の主部34と副部38との境界線Lb上には、この矩形の差込片52に対応する位置に差込用切込線44が形成されており、第二フラップ32を折り曲げた際に、矩形の差込片52を差し込めるようになっている。
【0047】
また、本実施形態では、第二フラップ32の矩形部50の上縁中央に略円弧状の切り欠き62を形成している。これにより、閉封後における開封作業をより容易にすることができ、ひいては、閉封後における商品の手直しをより簡易に行うことができる。なお、商品の手直しのし易さよりも、開封時における困難性を重視したい場合には、当然ながら、この円弧状切り欠き62は省略し、代わりに、略キノコ状の差込片52を設けることが望ましい。しかしながら、いずれの場合であっても、閉封時において、第一フラップ30および第二フラップ32の各部位が、互いに、他の部位の姿勢を規制しあう関係となるため、閉封状態を安定して維持することができる。また、箱状容器10の上部三方に立ち壁が立脚することになるため、スタック性の向上や、意匠としての独自性を向上させることができる。
【0048】
以上、説明したように、第一実施形態〜第四実施形態のいずれの場合であっても、閉封状態を維持可能でありつつも、閉封後に箱状容器10を破損することなく開封することが可能となる。これにより、箱状容器10に商品を収容し、閉封した後でも、当該商品を取り出し、手直しをすることが可能となる。
【0049】
また、三方に立ち壁を形成することで、開封に多少の困難性を持たすことができるため、不正な開封防止にも多少の効果を発揮することができる。さらに、この三方の立ち壁は、箱状容器10のスタック性向上や、意匠としての独自性を向上することもできる。
【0050】
なお、上述した説明では、第一フラップ30主部34と副部38との境界線Lbを、谷折りする場合のみを例示したが、当該境界線Lbは、略90度の山折りとしてもよい。この場合であっても、副部38は背壁18bに沿った立ち壁となるため、問題ない。また、山折り、谷折りいずれの場合であっても、差込用切込線44の出現位置には変化がないため、差込片52の差し込み作業にも影響はでない。
【0051】
また、上述した説明では、第二フラップ32を設けていたが、場合によっては、第二フラップ32を省略してもよい。すなわち、図15に示すとおり、第一フラップ30のみを設け、当該第一フラップ30のみで三方の立ち壁を形成してもよい。また、最終的に三方に立壁が形成されるのであれば、図16に図示するように、第一フラップ30を、主部34および左右側部36l,36rのみで構成し、副部38を省略してもよい。この場合であっても、最終的には、箱状容器10の上部には、左側部36l、右側部36r、および、背壁18bからなる三方の立ち壁が形成されることになる。そして、かかる状態になれば、側部36l,36rと主部34とが互いに規制し合うことになるため、閉封状態を維持しつつも、閉封後に箱状容器10を破損することなく開封することが可能となる。また、これまでの説明では、第二フラップ32を背壁18bから延設する場合を例示していたが、第一フラップ30を折り曲げることにより形成される立ち壁に沿うことができるのであれば、他の部位から延設されてもよい。たとえば、図16に図示するように第二フラップ32を、側壁18r、18lから延設するようにしてもよい。この場合、各第二フラップ32の先端には、差込片52を形成しておく。また、そして、側部36r,36lと主部34との境界線Ldのうち差込片52に対応する位置には、この差込片52が差し込まれる差込用切込線54を形成しておく。そして、閉封する際には、矩形部50と側壁18r,18lとの境界線Leを略180度に山折りし、差込片52を差込用切込線54に差し込めばよい。さらに、図面での例示はしないが、折り曲げられて立ち壁となる第二フラップ32を、側壁18r,18lおよび背壁18bの両方から延設するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る箱状容器は、上記実施形態に具体的構成が開示されており、この具体的構成に基づき量産できることが明らかなので、資質において工業上利用することができる。このことから本発明に係る箱状容器は、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0053】
10 箱状容器、12 本体、14 蓋体、16 底体、18 周壁、18b 背壁、18f 前壁、18l 左側壁、18r 右側壁、22 帯状領域、26 底フラップ、30 第一フラップ、32 第二フラップ、34 主部、36l 左側部、36r 右側部、38 副部、44 差込用切込線、50 矩形部、52 差込片。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を折り曲げて形成される箱状容器であって、
略筒状の本体と、
前記本体の下端開口を覆う底体と、
前記本体の上端開口を覆う蓋体であって、前記本体の周壁の一部上縁から延設される第一フラップを有する蓋体と、
を備え、
前記第一フラップは、予め形成された折り目に沿って折り曲げられることにより、少なくとも、前記本体の奥側周壁の上端より低い位置において前記上端開口を覆う主部と、前記本体の左右両側の周壁に沿った立ち壁となる一対の側部と、が形成される、
ことを特徴とする箱状容器。
【請求項2】
請求項1に記載の箱状容器であって、
前記第一フラップは、予め形成された折り目に沿って折り曲げられることにより、前記主部および側部に加え、さらに、前記本体の奥側周壁に沿った立壁となる副部も、形成される、ことを特徴とする箱状容器。
【請求項3】
請求項2に記載の箱状容器であって、
前記主部は、前記本体の手前側周壁の上縁との境界線に沿って山折りされることで前記上端開口を覆い、
前記副部は、前記主部の上縁から延設されており、前記主部との境界線に沿って折られることで前記奥側周壁に沿った立ち壁となり、
前記一対の側部は、前記主部の左右両側から延設されるとともに傾斜した境界線を介して前記周壁に繋がっており、前記主部との境界線に沿って谷折りしつつ前記傾斜した境界線を山折りすることで前記左右両側の周壁に沿った立ち壁となる、
ことを特徴とする箱状容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の箱状容器であって、さらに、
前記第一フラップを折り曲げることにより形成される立ち壁と前記主部との境界線上に部分的に形成される1以上の差込用切込線と、
前記周壁の上縁のうち前記差込用切込線に対応する位置から延設される第二フラップと、
を備え、前記第二フラップは、
前記周壁との境界線に沿って曲げられることで前記第一フラップを折り曲げることにより形成される立ち壁に沿った立ち壁となる矩形部と、
前記矩形部の上縁から延設されるとともに、前記差込用切込線に差し込まれる差込片と、
を備える、
ことを特徴とする箱状容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の箱状容器であって、
前記側部と主部との境界線上、および、前記側部と前記周壁との境界線上の少なくとも一方には、部分的な切り込み線が形成されている、ことを特徴とする箱状容器。
【請求項1】
シート材を折り曲げて形成される箱状容器であって、
略筒状の本体と、
前記本体の下端開口を覆う底体と、
前記本体の上端開口を覆う蓋体であって、前記本体の周壁の一部上縁から延設される第一フラップを有する蓋体と、
を備え、
前記第一フラップは、予め形成された折り目に沿って折り曲げられることにより、少なくとも、前記本体の奥側周壁の上端より低い位置において前記上端開口を覆う主部と、前記本体の左右両側の周壁に沿った立ち壁となる一対の側部と、が形成される、
ことを特徴とする箱状容器。
【請求項2】
請求項1に記載の箱状容器であって、
前記第一フラップは、予め形成された折り目に沿って折り曲げられることにより、前記主部および側部に加え、さらに、前記本体の奥側周壁に沿った立壁となる副部も、形成される、ことを特徴とする箱状容器。
【請求項3】
請求項2に記載の箱状容器であって、
前記主部は、前記本体の手前側周壁の上縁との境界線に沿って山折りされることで前記上端開口を覆い、
前記副部は、前記主部の上縁から延設されており、前記主部との境界線に沿って折られることで前記奥側周壁に沿った立ち壁となり、
前記一対の側部は、前記主部の左右両側から延設されるとともに傾斜した境界線を介して前記周壁に繋がっており、前記主部との境界線に沿って谷折りしつつ前記傾斜した境界線を山折りすることで前記左右両側の周壁に沿った立ち壁となる、
ことを特徴とする箱状容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の箱状容器であって、さらに、
前記第一フラップを折り曲げることにより形成される立ち壁と前記主部との境界線上に部分的に形成される1以上の差込用切込線と、
前記周壁の上縁のうち前記差込用切込線に対応する位置から延設される第二フラップと、
を備え、前記第二フラップは、
前記周壁との境界線に沿って曲げられることで前記第一フラップを折り曲げることにより形成される立ち壁に沿った立ち壁となる矩形部と、
前記矩形部の上縁から延設されるとともに、前記差込用切込線に差し込まれる差込片と、
を備える、
ことを特徴とする箱状容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の箱状容器であって、
前記側部と主部との境界線上、および、前記側部と前記周壁との境界線上の少なくとも一方には、部分的な切り込み線が形成されている、ことを特徴とする箱状容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−235143(P2010−235143A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85037(P2009−85037)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【出願人】(000202154)相互印刷紙器株式会社 (43)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【出願人】(000202154)相互印刷紙器株式会社 (43)
【Fターム(参考)】
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