説明

箱詰め装置

【課題】商品の収納姿勢(向き)、載置位置を変更し、商品の整列と収容効率が高い箱詰めを自動で行うことができる箱詰め装置を提供する。
【解決手段】吸着ユニットE1を介して商品Wを上方へ吊上げ、該吊上げた商品を所定の箱詰め位置に移動して下降させ、吸着を解除して箱に箱詰めを行う箱詰め装置において、前記吸着ユニットE1は、商品Wを吸着保持する吸着パッド5と該吸着パッド5を取り付けた軸部6とで構成され、前記軸部6の基部は鉛直方向且つ水平方向に移動可能な昇降基台7に回動可能に軸止され、更に前記軸部は傾動手段E2により所定角度傾動可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は商品の箱詰め装置に関し、更に詳しくは商品の姿勢(向き)を変更して効率よく自動で箱詰めする箱詰め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等の小売店で販売されている「おにぎり」の内、最も歴史があり、一番の売れ筋商品は、所謂、三角形のタイプの「手巻きおにぎり」(フィルムによる外装も三角形)である。
前記「手巻きおにぎり」は、大手コンビニベンダーが生産しており、その生産ラインは、米飯の成型から包装、異物検出、値付けに至るまでほぼ自動化が進んでいるが、出来上がった商品「手巻きおにぎり」のコンテナ(箱)詰め作業については、輸送コスト等の観点から該コンテナに「手巻きおにぎり」を収容効率の高い詰め込み方(三角形が交互に起立状態で組み合わさる様に詰め込む方式)で詰めるようになっている。しかし、前記収容効率の高い詰め込み方は機械化が難しく人手に依存しているのが現状である。
【0003】
何故ならば、前記商品「手巻きおにぎり」をコンテナに効率よく詰め込む場合、コンテナに収容する商品の半分は三角形の頂部が上を向くように起立させて収容し、残りの半分は三角形の頂部を下に向けて前記商品相互間に形成される逆三角形の空間に逆さに起立状態で収容配置することになる。
前記商品「手巻きおにぎり」のコンテナ詰めを行う前に、前記商品「手巻きおにぎり」へ品名(中に入っている具材名含む)や値段等が印字されたラベルを消費者の目に付く箇所で、且つしっかりと貼付させるために、前記商品の一番広い面に貼付することとなる。
そのため、ラベルを貼付する前に、前記商品「手巻きおにぎり」を三角形の頂部が上を向くように一旦起立させ、ラベル貼付装置で起立させた該商品「手巻きおにぎり」の一番広い面へラベルを貼付した後、該ラベルが貼付された商品「手巻きおにぎり」は、起立姿勢のまま下流の箱詰めエリアにコンベア等で搬送される。
しかし、前記ラベル貼付後の商品「手巻きおにぎり」を、そのまま起立姿勢を保ちながら搬送することは難しく、途中で横転する等不揃いな状態で搬送される、及び商品は立った状態(三角形の頂部が上を向いた状態)で搬送されるため、前記商品を機械でピックアップすることは難しかった。
【0004】
一方、前記商品を人手によって収容効率を高めたコンテナ詰めを行う場合、繁忙期には人件費等の費用が嵩む為、どこのベンダーからも効率的な箱詰めが出来る装置(機械)の開発が望まれていた。
また、市場(大手コンビニベンダー)から、前記商品(三角形の手巻きおにぎり)及び三角形のサンドイッチ等の商品について、製造からコンテナ詰め(箱詰め)までのラインを完全に自動化したいという根強いニーズがあった。
【0005】
尚、袋詰めされたスナック菓子を段ボール箱に詰め込む箱詰め装置として、吸着ユニットを備えた装置(ロボット)が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
スナック菓子を入れた袋は空気が封入されて略楕円形状に膨らんでおり、それを多段状に重ねて収納するだけで、箱詰めの姿勢を変える必要がないため、同装置で十分対応できている。しかし、同装置には、商品の天地を逆にする姿勢を変更する機構等が装備されていない為、本発明が対象とする、例えば三角形状の商品の互い違いの箱詰めには使用不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−33101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、商品の収納姿勢(向き)、載置位置を変更し、商品の整列と収容効率が高い箱詰めを自動で行うことができる箱詰め装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為に本発明の箱詰め装置は、吸着ユニットを介して商品を上方へ吊上げ、該吊上げた商品を所定の箱詰め位置に移動して下降させ、吸着を解除して容器に箱詰めを行う箱詰め装置において、前記吸着ユニットは、商品を吸着保持する吸着パッドと該吸着パッドを取り付けた軸部とで構成され、前記軸部の基部は鉛直方向且つ水平方向に移動可能な昇降基台に回動可能に軸止され、更に前記軸部は傾動手段により所定角度傾動することを特徴とする(請求項1)。
前記吸着ユニットを鉛直方向に上下移動、水平方向に左右(又は前後)移動させる機構は、伸縮アーム方式、シリンダ方式、チェーン方式等何れでもよい。
前記傾動手段は、前記昇降基台に回動可能に軸支された前記軸部を、前記軸支部を中心として鉛直面内で回動できるものであればよい。
【0009】
上記手段によれば、吸着ユニットの吸着パッドで商品が吸着され、その吸着パッドを備えた軸部が傾動手段によって鉛直面内を所定の角度、例えば、垂直(昇降基台に対し略直角に交差した状態)、或いは任意の角度(昇降基台に対し略直角以外の角度)に傾けることで、商品の載置位置、商品の姿勢を変更でき、商品の態様に応じた商品の整列と収容効率が高い箱詰めを行うことができる。
【0010】
前記傾動手段は、例えば、前記昇降基台に垂下軸支された吸着パッドの軸部における軸支位置と吸着パッドとの間に作動杆を連結し、該作動杆の起動により前記軸部が回動するようにする(請求項2)。前記作動杆としては、アクチュエータの伸縮動作によって直接回動させる方式、或いはリンクとアクチュエータとの組み合わせによって間接的に回動させる方式等何れでもよい。
【0011】
また、前記吸着ユニットによる商品の吸着は吸着パッドを商品に当接させて行うが、例えば、前記搬送装置で搬送される商品を吸着保持する時、前記傾動手段によって前記吸着パッドの吸着面を略水平状態に保持して商品を吸着するようにする(請求項3)。
上記手段によれば、吸着動作を安定して確実に行うことができる。
【0012】
また、前記吸着ユニットは昇降基台に1個又は複数個配置し、その各吸着ユニットがそれぞれに取り付けられた傾動手段で傾動してもよいが、複数個の吸着ユニットが単一の機構で同時に傾動するようにしてもよい。具体的には、前記昇降基台に複数個の吸着ユニットを所定間隔をおいて並列配置し、各吸着ユニットに取り付けられた作動杆を連結杆に連結し、該連結杆をアクチュエータで作動するようにする(請求項4)。
【0013】
上記手段によれば、昇降基台に並列配置した複数個の吸着ユニットを、アクチュエータの作動で同時に同一の傾きに調整することができる。それにより、複数の商品を一度に同じ状態で箱詰めすることが出来る。尚、前記アクチュエータは、油圧や空気圧、磁力等を運動量へ変換するものであれば何れの方式でもよく、モータ、或いはシリンダ等により作動させる。
【0014】
また、前記商品を搬送する搬送装置を更に備え、前記搬送装置は商品を載承して搬送できるものであればその形態は問わないが、例えば、商品が三角形状をした「おにぎり」や「サンドイッチ」の場合は、収容効率の高い箱詰めの観点から、三角形状の商品を起立状態で搬送するのが有効である。具体的には、無端回動する回転帯の外側に、供給される正面視三角形状の商品を頂部が鉛直下方を向く起立状態で保持する受け部を搬送方向に所定間隔をおいて備え、該受け部に商品が供給される毎に回転帯が搬送方向に移動し、前記商品の供給数が所定数毎に前記吸着ユニットで吸着させる(請求項5)。
前記受け部の取付間隔は、前記昇降基台に配置される吸着ユニットの取付間隔と同じ間隔とする。
【0015】
上記手段によれば、三角形状の商品が頂部を鉛直下方に向く起立状態で受け部に収容され搬送されるため、該商品の上面は略水平面となり、吸着ユニットによる吸着動作を安定且つ確実に行うことができる。そして、受け部に収容された商品が所定数(昇降基台に配置された吸着ユニットの数)に達すると、吸着ユニットが降下して商品を吸着保持する為、効率よく吸着できる。しかも、商品を吸着保持した吸着ユニットを前記傾動手段によって傾けることで商品の箱詰め姿勢を変えることができる。
【0016】
また、前記吸着ユニットは、前記吸着保持した正面視三角形状の商品を傾動手段を作動させて該正面視三角形状の商品の頂部を鉛直上方にし、該正面視三角形状の商品の底辺が前記容器の接地面と略平行な状態にして箱詰め位置に移動下降させ、吸着を解除して前記容器への箱詰めを行い、前記容器内に収容された正面視三角形状の商品相互間に空いた逆三角形状の空間へ、前記正面視三角形状の商品の頂部を鉛直下方に向けて前記空間へ移動下降させ、吸着を解除させて箱詰めを行う(請求項6)。
【0017】
上記手段によれば、三角形状の商品(手巻きおにぎりやサンドイッチ)を、容器(コンテナ)に収容する半分を三角形の頂部が上を向くように起立させて収容し、該容器へ収容された三角形状の商品(手巻きおにぎりやサンドイッチ)相互間に形成された逆三角形の空間へ、残り半分の三角形状の商品(手巻きおにぎりやサンドイッチ)の頂部を下に向けて移動させて、商品(手巻きおにぎりやサンドイッチ)の三角形状が交互に起立状態で組み合わさる様に容器へ収容配置させることができるので、商品の整列と収容効率が高い箱詰めとを行うことができ、輸送コストを軽減させることが出来る。
【0018】
また、前記箱詰め位置は、前記搬送装置の側部に平行に配置され、前記吸着ユニットは前記箱詰め位置に配置される箱内の収容列と直交する方向に摺動するように構成されている(請求項7)。即ち、前記吸着ユニットは、前記搬送装置上で上下し、且つ上昇位置で搬送装置の側部に配置される箱(箱詰め位置)側に水平移動し、更に上下するように構成されている。
【0019】
上記手段によれば、箱内の収容列毎に商品の収容姿勢を変えて効率よく、自動的に箱詰めすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の箱詰め装置は請求項1、2記載の構成により、箱詰めを行う商品や、或いは箱の形状に合わせて、商品の傾きを変えて商品を詰め込むことが出来るので、商品の態様に応じた商品の整列と収容効率が高い箱詰めを行うことができる。
また、請求項3記載の構成により、吸着パッドによる商品の吸着を安定して確実に行うことができる。
また、請求項4記載の構成により、昇降基台に並列配置した複数個の吸着ユニットを、アクチュエータの作動で同時に同一の傾きに調整することができる。それにより、複数の商品を一度に同じ状態で箱詰めすることが出来る。
また、請求項5記載の構成により、三角形状の商品(おにぎりやサンドイッチ等)を起立状態で安定して確実に吸着することができると共に、一度に複数個の商品を同じ姿勢で箱詰めすることができる。
また、請求項6記載の構成により、三角形状の商品(おにぎりやサンドイッチ等)を収容効率が高く輸送コストを軽減させる箱詰めが出来る。
また、請求項7記載の構成により、商品の姿勢(向き)、或いは商品の載置間隔を調整して収容効率の高い箱詰めを自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る箱詰め装置を組み込んだおにぎり生産ラインの全体を示す正面図。
【図2】同平面図。
【図3】搬送装置の概略を示し、(a)は正面図、(b)は同平面図。
【図4】包装された商品が搬送装置の受け部に収容される状態を示す拡大斜視図。
【図5】搬送装置の受け部に収容された商品を吸着ユニットで吸着する状態を示す正面図。
【図6】(a)は商品を吸着した吸着ユニットを傾動手段で所定角度に傾けた状態を示す同正面図、(b)は傾動手段で傾けた商品を箱に収容する状態を示す正面図。
【図7】図5で商品を吸着した吸着ユニットをそのまま上昇させた状態を示す同正面図。
【図8】吸着ユニットを上下、且つ水平移動する移動機構の一例を示す斜視図。
【図9】箱に三角形のおにぎりを箱詰めする状態を示し、(a)は1段目の箱詰め状態を示す斜視図、(b)は2段目の箱詰め状態を示す斜視図。
【図10】(a)は商品Wを列単位で略半ピッチずらして収納する状態を示す平面図、(b)はずらし収納を行う吸着パッドの状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る箱詰め装置の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本箱詰め装置を三角形の手巻きおにぎり(以下、商品という)Wの生産ラインに組み込んだ状態を示し、その生産ラインは、米飯の成型から包装までを行うおにぎり製造装置Aから始まり下流方向(図面では左方向)に向かって異物検出装置B、ラベル貼付装置(値付け)Cが順次連接配置され、更に下流方向に搬送装置D、箱詰め装置Eが連接配置され、各装置が連動して動作するように構成されている。
【0023】
おにぎり製造装置Aは、米飯を三角形のおにぎりに成型する今日周知のもので、ターンテーブル上に円周方向に沿って成型孔が形成され、その成型孔に米飯を所定量充填し、且つその充填した米飯内に、製造対象のおにぎりに応じて各種の具材が入れられておにぎりが成型され、成型されたおにぎりはフィルム又はフィルムが被着された紙で三角形状に包装され、移送装置で下流側の異物検出装置Bに供給されるようになっている。尚、おにぎり製造装置Aは本発明の箱詰め装置に直接関係しないため、詳細な説明は省略する。おにぎり製造装置としては、例えば、特開2007−282567号公報、特開2005−29175号公報等が挙げられる。尚、フィルム又はフィルムが被着された紙による包装は、おにぎりを包む海苔が前記フィルム内にセットされたものに限らず、海苔がセットされていないフィルム又は紙だけの包装でもよい。
【0024】
異物検出装置Bは三角形に成型されたおにぎりの内部に、異物(金属片、金属線、その他、金属製以外の食用に不適なもの)が混入していないかを検出するもので、金属製の異物については金属探知機、或いはX線異物検出機等、今日採用されている各種検出機を選択使用することができる。又、異物検出装置Bは前記おにぎり製造装置Aから移送装置によって連続的に排出される商品Wを停滞させることなく移送しながら異物を検出できるように、移送装置の移送方向に沿って配置されている。そして、異物の混入が検出された不良商品は移送装置から取り除かれ、異物の混入が検出されなかった商品は移送装置で下流のラベル貼付装置Cに送り込まれる。
【0025】
ラベル貼付装置Cは、フィルムで包装された商品Wの三角形の面(前後面)に商品ラベル、添加物ラベル等のラベル15を貼付する装置で、商品Wを起立状態で搬送する搬送手段C1と、その搬送手段C1で搬送される移動中の商品Wに商品ラベル、添加物ラベル等のラベルLを貼付するラベル貼付手段C2とで構成されている。
【0026】
前記搬送手段C1は、ラベル貼付対象の商品Wの重量を計量し搬送する計量コンベアと、前記計量コンベアで計量を完了した商品Wを下流側のラベル貼付手段C2に向けて搬送する搬送コンベアとで構成され、該搬送コンベアの搬送路の側部にラベル貼付手段C2が配置されている。
計量コンベアは、無端回動するベルトを備えたコンベア本体を載架する架台が、基台に載架固定したロードセルに連結され、それによりコンベア本体で商品Wを搬送しながら、該商品Wの重量を計測し得るようになっている。
【0027】
前記ラベル貼付手段C2は、帯状の台紙にラベル15が所定の間隔をおいて剥離可能に仮着されたロール巻きのラベルロール紙を回転可能に保持する保持部と、前記保持部に保持されたラベルロール紙から台紙を引き出す繰出し部と、前記繰出し部の作動で引き出した台紙に仮着されているラベルを台紙から剥離する剥離部と、該剥離部で剥離されたラベルLを搬送移動する商品Wに貼付する貼付部と、前記繰出し部の作動で該繰出し部より下流側に引き出し移動させた空の台紙(ラベルが剥離された台紙)を巻き取る台紙巻取り部と、前記繰出し部から該台紙巻取り部へ至る台紙移送路を通る空の台紙に対して制動力を付与する制動力付与手段が配置されて構成されている。
また、1個の商品Wに、商品ラベルと添加物ラベルの2枚のラベルを貼付する場合は、前記ラベル貼付手段C2を搬送手段C1の搬送路を挟んで両側部に配置する。
尚、ラベル貼付装置Cは本発明と直接関係しない為、詳細な説明は省略するが、ラベル貼付装置の詳細な構成は特開2010−6414号公報を参照。
【0028】
ラベルLが貼付された商品Wは下流側に連接配置した搬送装置Dに供給される。
前記搬送装置Dは、ラベル15が貼付された商品Wを、後段の箱詰め装置Eの吸着ユニットで吸着保持しやすい姿勢に保持して搬送するもので、無端回動する回転帯1の外側面に、商品Wの頂部が鉛直下方を向く起立状態に保持する受け部2が搬送方向に所定の間隔をおいて配置されて構成され、その搬送装置Dは支持脚3,3’で所定の高さに支持されると共に、生産ラインの移動、変更に対して移動設置できるように構成されている。
【0029】
前記受け部2は、図3に示すように回転帯1の外側面に、合成樹脂材又は金属板等で略く字型に形成した受け部材2aを2個、搬送方向に沿い互い違いに配置して略V字型の収容部が形成されている。
前記受け部2を構成する各受け部材2aは回転帯1に対して着脱交換可能に取り付けられ、回転帯1の無端回動により往路側において前記2個1組の受け部材2aで商品Wの受け部2が順次形成されるようになっている。
【0030】
また、前記搬送装置Dには、回転帯1の搬送方向に沿って設けた受け部材2aの幅方向(搬送方向と直交する方向)の外側には、受け部2に収容された商品Wが搬送中に該受け部2から落下しないように拘束する落下防止杆4,4’が、搬送装置Dの往路側の略全長に亘って配置されている。尚、落下防止杆4,4’の始端側は、図4に示すように、前記ラベル貼付装置Cの搬送手段C1で起立搬送される商品Wが搬送装置Dの受け部2に確実に乗り移り収容されるように外側に向けて拡開形成されている。
そして、この搬送装置Dは上流側のラベル貼付装置Cから搬送供給される商品Wを受け部2に収容するために間欠駆動され、所定数(図示例では6個)の受け部2に商品Wが収容されると、箱詰め装置Eが作動を開始する。
【0031】
箱詰め装置Eは、前記搬送装置Dの受け部2に収容保持された商品Wを吸着保持する吸着ユニットE1と、該吸着ユニットE1を箱詰めの形態に合わせて鉛直以外の傾きに変更調整する傾動手段E2と、前記吸着ユニットE1を箱詰め位置に配置された箱まで移動させる移動機構E3とで構成されている。
【0032】
前記吸着ユニットE1は、受け部2に収容保持された商品Wを吸着保持する吸着パッド5と、該吸着パッド5を取り付けた軸部6を有し、該軸部6の基部は鉛直方向及び水平方向に移動可能な昇降基台7の下面に回動可能に軸支されている。
前記吸着パッド5は、商品Wに当接する吸着パッド5の内部の空気が吸引されることで商品Wを吸着保持するもので、該吸着パッド5を保持する軸部6に吸気ホース8が接続され、吸気ホース8の他端は前記昇降基台7にジョイントを介して接続され、6個の吸着パッドの吸気制御が一括して行えるように構成されている。具体的には、例えば、昇降基台7の内部に吸気管(図示省略)を収容し、その吸気管に吸着パッド5の個数分のジョイントを接続して構成する。或いは、昇降基台7自体を中空構造として吸気管に仕立て、昇降基台7にジョイントを取り付けて構成してもよい。そして、昇降基台7に収容した吸気管又は中空構造の昇降基台7はホースを介して吸引装置(図示省略)に接続され、吸着パッド5に吸引力が発生するようになっている。
【0033】
また、昇降基台7に対して鉛直面内を回動可能に垂下取り付けられた軸部6には、該軸部6を所定の傾きに傾斜させる傾動手段E2が取り付けられている。
傾動手段E2は、前記軸部6の長さ方向の中間部(軸支部と吸着パッドとの間)に連結した作動杆9と、各軸部6に連結された作動杆9の他端部を一括して連結する連結杆10と、該連結杆10を上下させるシリンダ(アクチュエータ)11とで構成されている。
作動杆9を一括保持する連結杆10は、前記昇降基台7と略同じ長さを有し、長さ方向の略中央部が、前記昇降基台7に取り付けられたシリンダ11のロッド11aに連結され、シリンダ11の作動で連結杆10が上下するように構成されている。
【0034】
また、吸着ユニットE1の吸着パッド5が搬送装置Dに収容保持された商品Wを吸着する時、吸着パッド5の吸着面は商品Wの上面と略平行な水平状態を保持するように前記傾動手段E2が取り付けられている。
具体的には、図5に示すように、シリンダ11のロッド11aが伸長された時、吸着パッド5を取り付けた軸部6が鉛直状態にあり、その位置から図6に示すようにシリンダ11を作動してロッド11aが引き込まれると連結杆10が鉛直方向上方に引き上げられ、更に連結杆10の上方への移動により作動杆9も引き上げられ、それにより吸着パッド5を取り付けた軸部6は昇降基台7との軸支部を中心として鉛直面内を左上方(時計回り方向)に回動され、所定の傾き状態に変更される。そして、吸着ユニットE1に吸着保持された商品Wも左方向(時計回り方向)に回動され、吸着時、鉛直線上にあった頂部も左方向に回動されて右側の斜辺部分が水平面と略平行な状態に姿勢が変更される。
前記傾動手段E2の作動、具体的にはシリンダ11の作動は商品Wの箱詰め形態に応じて適宜切換え作動される。
【0035】
前記吸着ユニットE1で吸着された商品Wは、移動機構E3による吸着ユニットE1の作業領域、具体的には前記搬送装置Dと略平行に配置した箱搬送コンベア15上の箱詰め位置Pに載置された箱14に、順次収容配置される。
前記移動機構E3は、吸着ユニットE1を鉛直方向に上下させ、且つ搬送装置Dの位置と箱詰め位置Pとの間を幅方向に水平移動させるもので、今日周知の上下移動手段、水平移動手段を適宜組み合わせて構成することができる。
図8は移動機構の一例を示し、吸着ユニットE1の上部に、伸縮調整可能な前方アーム12と後方アーム13が取り付けられ、その前方アーム12と後方アーム13の上端は機枠(固定枠)に固定されている。そして、移動調整は、CPUが座標データ(商品Wの箱詰め形態)に基づいて前記前方アーム12、後方アーム13を伸縮させることにより、上下及び前後方向へ吸着ユニットE1を移動させることができる。
【0036】
次に、前記箱詰め装置Eによる箱詰め動作を図9及び図10の箱詰め例に基づいて説明する。尚、図1及び図2に示した生産ラインにおけるおにぎり製造装置Aからラベル貼付装置Cまでの動作は本発明に直接関係しないため説明は省略し、搬送装置Dによる商品Wの搬送以降の動作について説明する。
【0037】
図9の箱詰め例は、商品Wを三角形が交互に組み合わさる様に詰め込む方式で、商品Wの収容効率を高めることができる。
先ず、図9(a)に示すように、箱14に下段列の商品W1を箱詰めする場合、下段列は商品Wを頂部が上を向くように箱詰めする。
搬送装置Dの各受け部2に順次商品Wが収容され、商品Wの収容個数が箱詰め装置Eの吸着ユニットE1の吸着パッド5の個数(6個)に達した信号を受信すると、吸着ユニットE1が移動機構E3によって作動が開始され、図5に示すように、吸着ユニットE1を搬送装置Dの商品Wが収容された受け部2上に移動し、更にその位置で鉛直下方に降下させて吸着ユニットE1の各吸着パッド5を商品Wの上面に当接させ、吸引装置の作動で商品Wを吸着保持する。
【0038】
この吸着状態では商品Wは頂部が鉛直下方を向いており、図9(a)に示す下段列のような箱詰めとするためには、前記吸着保持した商品Wの姿勢(向き)を変える必要がある。その為に、図6に示すように、商品Wを吸着ユニットE1で吸着し、移動機構E3によって搬送装置Dから上方に引き上げた後、傾動手段E2のシリンダ11を作動させて、吸着パッド5を備えた軸部6を所定角度(例えば、60度)傾斜させ、商品Wの姿勢を、頂部が略鉛直方向を向くように変更する。商品の姿勢を変更後、吸着ユニットE1を移動機構E3によって箱詰め位置Pの箱14上へ移動し、且つ下降させて箱搬送コンベア15の搬送方向に向かって箱14の左側から右側に向かって順次箱詰めされる。尚、図示例は一列の収納個数が6個であるが、吸着ユニットE1に配置された吸着パッド5の個数が一列の収容個数になっているため、1回の詰め込み動作で一列分を収容することが出来る。
【0039】
下段列の箱詰めは、図6(b)に示すように、吸着保持した商品Wの姿勢を傾動手段E2を作動させて所定角度傾斜させ、頂部が略鉛直方向を向くよう(言い換えると、三辺のうちの一つの斜辺が接地面と略平行に近い状態)に変更し、その状態で箱14の底面近くまで降下させ、吸着パッド5の吸引を解除することで商品の吸着が解放され、商品Wは頂部が鉛直方向を向いた状態で箱14内に収容される。この作業を繰り返し行なうことで箱14に下段列(図示例、図9(a)6個×9列)の詰め込みが完了する。
【0040】
下段列の詰め込みを完了した後、今度は上段列の詰め込みを行なうが、上段列は下段列の商品の詰め込みでできた商品W相互間の略V字状の空間に、商品Wを、頂部を鉛直下方に向けて(下段列の収納姿勢を180度反転させた状態)収容することで、図9(b)に示すように、商品の整列と収容効率が高い箱詰めを行うことが出来る。
その上段列の商品W2の箱詰めは、前記したように商品Wを、頂部を鉛直下方に向けて詰め込めばよいため、図7に示すように、搬送装置Dから商品Wを吸着保持した時の姿勢のまま(傾動手段E2の作動なし)で吸着ユニットE1を移動機構E3によって上下方向、水平方向(前後方向)に移動させることで上段列の詰め込みを行うことができる。
以上の如く、箱14に上下段列とも所定数量の商品Wを詰め終わると、詰め終わった箱14を1箱分下流側へ移送すると共に、空の箱を箱詰め位置Pに移動させる。
上記動作により、従来は手作業で箱詰めしていた上下段が互い違いに組み合わさる詰め込み方式を機械によって自動的に行うことが可能となる。
【0041】
上記は吸着ユニットE1を傾動手段E2によって所定の角度に傾け、吸着保持する商品Wの姿勢を変え、詰め込みの状態を変更した例であるが、前記傾動手段E2による吸着ユニットE1の傾斜切換えは、商品Wを詰め込み配置する位置の変更にも利用することができる。その使用の一例を図10(a)に示す箱詰めについて説明する。
図10(a)に示す箱詰めは、商品Wを列単位で略半ピッチずらして収納する方法で、同図(a)において箱14の搬送方向(矢印方向)に向かって該箱14の左側から数えて奇数列と偶数列とでは該商品Wの寸法LのL/2だけずれて配置されている。
従って、図10(b)に示すように、奇数列の商品Wを詰め込む場合は吸着ユニットE1を、搬送装置Dから商品Wを吸着保持した状態のまま箱詰め位置に移動し、箱14に向け降下して1列目(奇数列)の収納を行う。次に、2列目(偶数列)の収納は、吸着ユニットE1が搬送装置Dから商品Wを吸着保持した後、傾動手段E2を作動して商品Wを吸着保持する吸着パッド5を図10(b)に仮想線で示す傾斜状態に変更する。吸着パッド5の傾斜により、商品Wが載置される位置は1列目に対して略L/2だけ左側に移動される。
よって、商品Wを吸着保持した吸着ユニットE1を、商品の収納列に応じ傾動手段E2を操作することで図10(a)の箱詰めを自動的に行うことができる。
尚、図10(a)に示す箱詰めは、前記吸着ユニットE1自体をズレ量(L/2)分だけ平行移動させても箱詰めできるが、その場合吸着ユニット全体を移動させるため、移動制御が困難である。しかし、前記方法は吸着ユニットE1自体の位置は変わらず、吸着パッドの傾斜切換のみでよいため、制御が簡単で、箱詰め形態の変更に容易に対応することができる。
【0042】
本発明の箱詰め装置は図示した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では、吸着ユニットとして吸着パッドを6個取り付けた例を示したがこれに限定されず、吸着パッドの個数は任意である。しかし、箱詰めの効率性を考慮した場合は、箱に収納する1列分の個数とするのが好適である。
(2)実施の形態では、搬送装置の受け部の形状を三角形のおにぎりやサンドイッチ用としたがこれに限定されず、収容対象の商品形状に合わせて決定される。尚、受け部を構成する受け部材を回転帯に対して着脱可能とした場合は、箱詰め商品に合わせて受け部材を交換することで、各種商品の箱詰めに対応することができる。
(3)実施の形態では、吸着ユニットの移動機構としてアーム機構を例示したがこれに限定されず、今日採用されている上下機構、水平移動機構などから適宜選択してもよい。
(4)実施の形態では、複数の吸着パッドの傾き変更を単一のシリンダで動かす構成を示したがこれに限定されず、それぞれの吸着パッドに小型のシリンダを取り付けて個々に動かすようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
D…搬送装置 E…箱詰め装置
E1…吸着ユニット E2…傾動手段
E3…移動機構 W…商品
1…回転帯 2…受け部
5…吸着パッド 6…軸部
7…昇降基台 9…作動杆
11…シリンダ(アクチュエータ) P…箱詰め位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着ユニットを介して商品を上方へ吊上げ、該吊上げた商品を所定の箱詰め位置に移動して下降させ、吸着を解除して容器に箱詰めを行う箱詰め装置において、
前記吸着ユニットは、商品を吸着保持する吸着パッドと該吸着パッドを取り付けた軸部とで構成され、前記軸部の基部は鉛直方向且つ水平方向に移動可能な昇降基台に回動可能に軸止され、更に前記軸部は傾動手段により所定角度傾動することを特徴とする箱詰め装置。
【請求項2】
前記傾動手段は、前記軸部の昇降基台との軸支位置と吸着パッドとの間に連結した作動杆と、該作動杆を起動するアクチュエータとで構成されていることを特徴とする請求項1記載の箱詰め装置。
【請求項3】
前記吸着ユニットは、前記商品を吸着保持する時、前記傾動手段によって前記吸着パッドの吸着面を略水平状態に保持して商品を吸着することを特徴とする請求項1または2記載の箱詰め装置。
【請求項4】
前記吸着ユニットは、前記昇降基台に複数個が所定間隔をおいて並列配置され、各吸着ユニットに取り付けられた作動杆はアクチュエータによって作動することを特徴とする請求項2又は3記載の箱詰め装置。
【請求項5】
前記商品を搬送する搬送装置を更に備え、前記搬送装置は、無端回動する回転帯の外側に、供給される正面視三角形状の商品を頂部が鉛直下方を向く起立状態で保持する受け部を搬送方向に所定間隔をおいて備え、該受け部に商品が供給される毎に回転帯が搬送方向に移動し、前記商品の供給数が所定数毎に前記吸着ユニットで吸着させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の箱詰め装置。
【請求項6】
前記吸着ユニットは、前記吸着保持した正面視三角形状の商品を傾動手段を作動させて該正面視三角形状の商品の頂部を鉛直上方にし、該正面視三角形状の商品の底辺が前記容器の接地面と略平行な状態にして箱詰め位置に移動下降させ、吸着を解除して前記容器への箱詰めを行い、前記容器内に収容された正面視三角形状の商品相互間に空いた逆三角形状の空間へ、前記正面視三角形状の商品の頂部を鉛直下方に向けて前記空間へ移動下降させ、吸着を解除させて箱詰めを行うことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の箱詰め装置。
【請求項7】
前記箱詰め位置は、前記搬送装置の側部に平行に配置され、前記吸着ユニットは前記箱詰め位置に配置される箱内の収容列と直交する方向に摺動することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の箱詰め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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