説明

簡易モルタルミキサー

【課題】移動用の滑車を備えた架台と、この架台上に載置できる攪拌タンクとを着脱自在に構成し、さらに攪拌タンクに挿通される電動攪拌ミキサーを架台と着脱自在として変化に富んだ使用ができると共に作業者1人での作業を可能とした新規な簡易モルタルミキサーの提供。
【解決手段】モルタルを混練する簡易モルタルミキサーであって、滑車を備えた架台Aと、この架台上に載置される攪拌タンクBとより成り、前記架台Aと前記攪拌タンクBとの固定手段Cを着脱自在に備え、かつ電動攪拌ミキサー7を、前記支持杆12と、着脱自在に係止して電動攪拌ミキサー7の回転羽根7bを攪拌タンクB内で回転できるようにして成ることを特徴とする簡易モルタルミキサー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取扱いが簡便で、単独使用可能な簡易モルタルミキサーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のモルタルミキサーは、従来最も一般的なものとして、ハンド式攪拌が知られている。
【0003】
即ち、ペール缶内に予め計測した量の水を投入し、電動の手持ち攪拌機で攪拌している中へ、モルタル包装よりモルタルを順次と投入し、必要に応じて他の骨材を配合して必要時間攪拌した後、必要なモルタル投入箇所に供給して施工を完了する。
【0004】
また、モルタル専用攪拌機として滑車を備えた架台上にモルタル攪拌タンクを備えたものも知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−166020号公報
【特許文献2】実用新案登録第3057987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来一般的なハンド式攪拌は、少量のモルタルには格別問題はないが、或る量以上のモルタルに対しては非能率で、作業性が悪いという不都合がある。
【0007】
これに対し、特許文献1または2に示すような滑車を備えた架台上に攪拌タンクを設置したモルタル専用攪拌機は、大きく、重量があり、価格も高く、モルタルの処理量は大量可能であるが、架台と攪拌タンクとが一体に固定されているので、使用後の攪拌タンクの清掃に多くの手間が掛かり、しかも2人以上の作業者を必要とすると共に、攪拌羽根が攪拌タンクの底部に臨ませてあるので、超速硬性モルタルの場合は、素早く清掃を行わないと、前記攪拌羽根がモルタルで固着してしまうなど多くの問題,不都合があった。
【0008】
本発明は、叙上の点に着目して成されたもので、移動用の滑車を備えた架台と、この架台上に載置できる攪拌タンクとを着脱自在に構成し、さらに攪拌タンクに挿通される電動攪拌ミキサーを、前記架台に設けられる支持杆で着脱自在に支持し、変化に富んだ使用ができると共に作業者1人での作業を可能とした新規な簡易モルタルミキサーを提供できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は下記の構成を備えることにより上記課題を解決できるものである。
【0010】
(1)モルタルを混練する簡易モルタルミキサーであって、滑車を備えた架台と、この架台上に載置される攪拌タンクとより成り、前記架台と前記攪拌タンクとの固定手段を着脱自在に備え、かつ電動攪拌ミキサーを、前記支持杆と、着脱自在に係止して電動攪拌ミキサーの回転羽根を攪拌タンク内で回転できるようにして成ることを特徴とする簡易モルタルミキサー。
【0011】
(2)支持杆には、電動攪拌ミキサーの回転軸を回転できる本体の下部を支持懸下できる水平方向の切欠係止孔と、前記本体に設けられる棒状のハンドルを係止する縦板の垂直方向の横孔を設けて成ることを特徴とする前記(1)記載の簡易モルタルミキサー。
【0012】
(3)固定手段は、架台に設けたボルト孔を介してボルトにより攪拌タンクの外周に設けた雌ネジと螺合による着脱自在として成ることを特徴とする前記(1)記載の簡易モルタルミキサー。
【0013】
(4)攪拌タンクの下部に設けたモルタルの供給筒管は、架台の傾斜したモルタル案内路に貫通して臨ませ、架台に設けたアーム杆の開閉弁を、前記モルタルの供給筒管の開口部と接離開閉できるように成ることを特徴とする前記(1)記載の簡易モルタルミキサー。
【0014】
(4)攪拌タンクの蓋には、モルタルの包装袋に刺通して開封できるカッターを備えたモルタル投入口を有することを特徴とする前記(1)記載の簡易モルタルミキサー。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、滑車を備えた架台と、電動攪拌ミキサーを操作できる攪拌タンクとが分離可能に連結できるので小型化でき、しかも、施工後の攪拌タンク内の清掃作業が架台と分離された状態で行えるので、非常に便利である。しかも、運搬移動が便利で作業性が良いと共に、連結取外しの固定手段は、ボルトによる螺合,螺出とか、ベルトによる緊締など好みの構成でできる。
【0016】
攪拌タンクでの電動攪拌ミキサーによる攪拌ミキシング作業は、電動攪拌ミキサーが架台との係止により設置固定できるので、作業者1人で使用できる。
【0017】
さらに、攪拌タンクの蓋には、モルタルの包装袋を開封できるカッターを備えたモルタル投入口が設けられてあるのでモルタル投入作業が能率的に行える。
【0018】
また、架台と攪拌タンクとの連結に際し、攪拌タンクに設けたモルタルの供給筒管は、架台のモルタル案内路に臨ませてアーム杆の開閉弁により前記モルタル供給筒管の開口部と接離自在としてあるので、モルタル混練作業後のモルタル供給作業が迅速に行える効果がある。
【0019】
さらに、電動攪拌ミキサーは架台との係止構成が着脱自在であるので、必要に応じて電動攪拌ミキサーを外して無蓋状のタンクとして作業者が両手で把持してモルタルのミキシング操作を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る簡易モルタルミキサーの一実施例を示す使用状態の側面図である。
【図2】図1の縦断側面図を示し、アーム杆の作動状態を鎖線で示す。
【図3】架台のみを示し、(a)は架台の側面図、(b)は縦断面図、(c)は平面図を示す。
【図4】攪拌タンクの蓋を取り外した状態を示し、(a)は平面図、(b)は側面図を示す。
【図5】攪拌タンクの蓋を示し、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は(b)のA−A線断面図、(d)は(b)のB−B線断面図、(e)はモルタル包装袋投入口の拡大斜面図を示す。
【図6】電動攪拌ミキサーの側面図である。
【図7】図1の正面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】開蓋状態で作業者が電動攪拌ミキサーを手持ち状態でモルタルを混練している状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施例を図面と共に説明する。
【実施例】
【0022】
図において、Aは、台板1の一側に起立された支持板2を備え、かつ前記台板1の下部に設けた移動用滑車3を主に配設した架台、Bは前記架台A上に載置される攪拌タンクを示し、開口部4を開閉する蓋5を備え、この蓋5の挿通孔6より電動攪拌ミキサー7の回転軸7aを挿通して下端の攪拌羽根7bを水に投入したモルタル内で回転させて混練操作を行わせることができる。
【0023】
上記架台Aの台板1上の支持板2に沿って、通孔8が設けられ、前記攪拌タンクBの下側端に突設したモルタル供給用筒管9を、前記通孔8内に挿通させて攪拌タンクBを架台A上に載置させることができる。
【0024】
両者A,Bを緊締固定させるための固定手段Cは、例えば、架台Aの支持板2にボルト孔を設けてボルト10により攪拌タンクBの外周に設けた雌ネジ板11と螺合緊締させて簡単に固定できる。
【0025】
なお、この両者A,Bの固定手段Cは、図示ないしがベルトを捲回するなど何等特定されない。
【0026】
12は、前記電動攪拌ミキサー7を切欠係止孔13で支持掛止できる┐状の支持杆で、前記支持板2の上部の円弧板14にボルト14a止めされ、かつ棒状のハンドル7cも前記支持杆12に取付けた縦板15の横孔16内で掛止可能としている。
【0027】
17は、前記攪拌タンクBの蓋5の一側に設けた溝孔で、前記挿通孔6と連通してあり電動攪拌ミキサー7の回転軸7aを挿通させることができると共に、蓋5に軸支させた回転腕18の係止横孔19により前記攪拌ミキサー7の回転軸7aを蓋5において係止できるようにしてある。
【0028】
したがって、電動攪拌ミキサー7は棒状のハンドル7cと共に、架台Aの支持板2を設けた支持杆12の切欠係止孔13と縦板15の横孔16と蓋5の溝孔17並びに回動腕18の係止横孔19によって挿通孔6内で確固に固定支持される。
【0029】
20は、蓋5に設けたモルタル投入口で、テーパ状の開口部中央に凸形のカッター21を設け、包装袋のまま投入すると、包装袋にカッター21が突き刺され、内部のモルタルがカッター21で切り開かれた包装口より重力により自然落下して攪拌タンクB内に投入されることとなる。要するに、予め開封することなく、包装袋の開封とモルタルの投入とが同時に行うことを可能としている。
【0030】
但し、火急を要する場合は、予め開封して直接モルタルを投入することもある。
【0031】
22は、攪拌タンクBのモルタル供給用筒管9の開口部9aを開閉する開閉弁を示し、架台Aの支持板2に沿って設けたL字状のアーム杆23を閉止位置の止杆24と係脱させ、軸部25で回動自在とし、前記アーム杆23の他端に開閉弁22と連結された短杆26を介して供給用筒管9の開口部9aを接離可動させて開閉できる。
【0032】
なお、前記開閉弁22の開閉面には弾性機能を有する当片27を貼接して閉止時の密封性を図っている。28は前記アーム杆23の止杆24の掛止用ストッパーを示す。
【0033】
29は、前記攪拌タンクBの供給用筒管9が臨まれる架台Aの支持板2の通孔8の両側と下方に向う傾斜したモルタル案内路であり、この案内路29によって案内され乍ら攪拌タンクB内の混練されたモルタルを所望の路面,施工孔などに適確に排出供給させることができる。
【0034】
30は攪拌タンクBの両側面に設けた把手、31は電動攪拌ミキサーの基部に設けた把持部、32は電源コードであり、この把持部31を設けた本体33内に電動モータ,ギヤ機構が内蔵されており、把持部31の内側に電源スイッチが配設され、作業者が把持部31を把持した際に電源スイッチを開閉できる。
【0035】
上述の構成において、架台Aの滑車3は、台板1の下部3箇所に設け、2個は固定式滑車とし、1個のみ自在式滑車として形成するのが好ましい。
【0036】
叙上の構成に基づいて、作用を説明する。
【0037】
作業現場に到着する前には、概して架台Aと攪拌タンクBとは、格別に分離して運搬する。しかし、作業上、両者A,Bを連結させて置く場合もある。
【0038】
つぎに、架台A上に攪拌タンクBを載置連結する作用を示す。
【0039】
始めに、攪拌タンクBを架台Aの台板1上に載置し、同時に攪拌タンクBの供給用筒管9を架台Aの通孔8内に挿通し、併せてボルト10を用いて、架台Aの支持板2のボルト孔を介して攪拌タンクBの雌ネジ板11と一致させて螺合固定する。この螺合固定による固定手段Cにより架台A上に攪拌タンクBを確固に固定する。併せて攪拌タンクBの供給用筒管9の開口部9aを確実に閉止して置く必要があるので、アーム杆23を掛止用ストッパー28に係止させて開閉弁22を確実に開口部9aを閉塞して置く。
【0040】
次に、電動攪拌ミキサー7を取付ける作用を説明する。
【0041】
電動攪拌ミキサー7の把持部31と棒状のハンドル7cを作業者が両手で持ち、攪拌羽根7bを攪拌タンクB内に入れ、回転軸7aを架台Aの円弧板14にボルト止めされた┐状の支持杆12の切欠係止孔13で回転軸7aの基部を係止させると共に、棒状のハンドル7cを縦板15の横孔16内に係入して、支持掛止めを完了する。
【0042】
ついで、攪拌タンクBを閉蓋し、同時に回動腕18を回動させて、係止横孔19で回転軸7aを非接触の状態に包囲し、蓋5の溝孔17を閉塞できる。これにより蓋5の挿通孔6に挿通された状態を呈する。
【0043】
そして、モルタルを攪拌タンクBに投入することとなるが、使用するモルタルの種類,量によって供給する水の量、或いはモルタルのみの場合、或いは他の骨材の混合比など異にするが、硬化が早い超速硬性無収縮モルタルの場合についてその一例を示す。
【0044】
計量カップなどで計量された水18リットル〜20リットルを攪拌タンクB内に入れ、電動攪拌ミキサー7の電源を入れる。
【0045】
攪拌羽根7bを回転させ乍ら、モルタルを包装袋毎、蓋5のモルタル投入口20に載置させると、モルタル投入口20の中央に設けられるカッター21が包装袋内に刺通して突き破り、開封されるので、内部のモルタルは速やかに攪拌タンクB内に投入され、回転中の水と混合し混練される。
【0046】
包装袋内のモルタルがすべてタンクB内に供給されて、未だ不足している場合は、他の包装袋を同様にモルタル投入口20に載置することにより直ちに追加供給できる。
【0047】
なお、電動攪拌ミキサー7の混練作用が不均一の場合など、必要に応じ、電動攪拌ミキサー7を取り外し蓋5を開けて、作業者の両手で把持部31とハンドル7cを持ち、攪拌する攪拌羽根7bを攪拌タンクB内で自在に移動させて、均一な混練作業を人為的に行うことも可能である(図9参照)。
【0048】
斯くして十分混練されたモルタルは、架台Aの滑車3により使用する施工場所に移動し、架台Aのモルタル案内路29の先端を投入箇所に臨ませ、L字状のアーム杆23を止杆24の係止用ストッパー28より外すことにより、開閉弁22は開口部9aより離開し、攪拌タンクB内のモルタルはモルタル供給筒管9より自動的に傾斜したモルタル案内路29を通って流出させることができる。
【0049】
なお、攪拌タンクB内での残渣モルタルについては、ヘラなどを用いてすくい出して用いることもできる。
【0050】
以上で、一連のモルタル施工を行うことができる。
【0051】
終了後の攪拌タンクB内の清掃には、架台Aとボルト10で固定されている攪拌タンクBは、このボルト10を取り外すことにより簡単に両者は分離でき、迅速な水洗作業により反覆使用を可能とすることができる。
【0052】
なお、この実施例で用いた超速硬性無収縮モルタルは、骨材(砂,砂利など)を含まないモルタルであり、狭い間隙やわずかな隙間にも浸透して空隙を作らずに施工できる性質を有するので、電動攪拌ミキサー7の回転羽根7bには、ステンレス製を用いることができ、施工箇所はコンクリート構造物,マンホール補修,橋や高速道路のひび割れ箇所等の補修など、多くの分野での使用ができる。
【符号の説明】
【0053】
A 架台
B 攪拌タンク
C 固定手段
1 台板
2 支持板
3 移動用滑車
4 開口部
5 蓋
6 挿通孔
7 電動攪拌ミキサー
7a 回転軸
7b 攪拌羽根
7c ハンドル
8 通孔
9 供給用筒管
9a 開口部
10 ボルト
11 雌ネジ板
12 支持杆
13 切欠係止孔
14 円弧板
14a ボルト
15 縦板
16 横孔
17 溝孔
18 回転腕
19 係止横孔
20 モルタル投入口
21 カッター
22 開閉弁
23 アーム杆
24 止杆
25 軸部
26 短杆
27 当片
28 掛止用ストッパー
29 モルタル案内路
30 把手
31 把持部
32 電源コード
33 本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モルタルを混練する簡易モルタルミキサーであって、滑車を備えた架台と、この架台上に載置される攪拌タンクとより成り、前記架台と前記攪拌タンクとの固定手段を着脱自在に備え、かつ電動攪拌ミキサーを、前記支持杆と、着脱自在に係止して電動攪拌ミキサーの回転羽根を攪拌タンク内で回転できるようにして成ることを特徴とする簡易モルタルミキサー。
【請求項2】
支持杆には、電動攪拌ミキサーの回転軸を回転できる本体の下部を支持懸下できる水平方向の切欠係止孔と、前記本体に設けられる棒状のハンドルを係止する縦板の垂直方向の横孔を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の簡易モルタルミキサー。
【請求項3】
固定手段は、架台に設けたボルト孔を介してボルトにより攪拌タンクの外周に設けた雌ネジと螺合による着脱自在として成ることを特徴とする請求項1記載の簡易モルタルミキサー。
【請求項4】
攪拌タンクの下部に設けたモルタルの供給筒管は、架台の傾斜したモルタル案内路に貫通して臨ませ、架台に設けたアーム杆の開閉弁を、前記モルタルの供給筒管の開口部と接離開閉できるように成ることを特徴とする請求項1記載の簡易モルタルミキサー。
【請求項5】
攪拌タンクの蓋には、モルタルの包装袋に刺通して開封できるカッターを備えたモルタル投入口を有することを特徴とする請求項1記載の簡易モルタルミキサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−143637(P2011−143637A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6759(P2010−6759)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(503140539)セーブマシン株式会社 (13)
【Fターム(参考)】