説明

簡易浴槽用組立式筐体

【課題】構成パーツの点数が極めて少なく、限られたスペースであっても組み立て及び分解作業が容易であるとともに輸送及び保管に便利で、浴槽としての必要な強度を確保しつつ入浴者に入浴時の安らぎ感を与え得る任意の形状を採用することのできる簡易浴槽用組立式筐体を提供する
【解決手段】適所に入浴者の出入りを許容する開放部3が設定されたメインユニット4と、開放部3を開閉するゲートユニット5と、両ユニット4,5を相互に連結固定する連結手段6とを具備する。メインユニット4は、メイン側手摺フレーム43とベース41とを連結し、貯湯時は簡易浴槽用2シート内の湯の水圧を受容する複数枚の折り畳み自在なメイン側受圧シート44を有しており、ゲートユニット5を取り外した後、メイン側支柱45をメイン側手摺フレーム43から外してベース41上に倒伏させることでベース41上に重ねられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護が必要な病人や老人の沐浴のために使用される簡易浴槽の分野において、特に、簡易浴槽用シートの全周面及び底面をそれらの外側から支持する簡易浴槽用組立式筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、介護が必要な老人或いは病人などを安全且つ簡単な方法で入浴させることができるようにした簡易浴槽としては、例えば、特開平10−295770号公報(特許文献1)に所載の簡易風呂、特開平8−52190号公報(特許文献2)に所載の組立式介助用浴槽、特開2003−180786号公報(特許文献3)に所載の介護用折り畳み式簡易浴槽、特開2005−205124号公報(特許文献4)に所載の携帯型組立て式簡易浴槽などが知られている。
【0003】
特許文献1に所載の簡易風呂は、内部に椅子を設置するとともに貯水を行い得るように上部を開放した耐水袋の外周にフレームを組み立て、フレームに耐水袋の上端外周を着脱自在に固定して耐水袋内への湯水の貯水状態を保持し得るようにしたものである。
【0004】
特許文献2に所載の組立式介助用浴槽は、浴槽フレームと折線が形成された柔軟なシート部材からなる槽を有し、折線に沿って折り立てた槽が浴槽フレームの上部矩形状フレームと下部矩形状フレームの間に組み込まれ、槽底部下方に空間が形成され、支持杆の下端に走行手段を設けてなるものである。
【0005】
特許文献3に所載の介護用折り畳み式簡易浴槽は、脚部に棒状部材を組み付け、この棒状部材に浴槽用無蓋箱状シートを取り付け、この浴槽用無蓋箱状シートで形成した浴槽空間にお湯を流し込むことにより、介護される人の近くで浴槽を組み立てることができ、介護される人を特定場所の浴槽まで運ぶという人為的労力がなくなるとともに、浴槽を任意に選択した設置箇所で簡便に組み立てることができ、また、不使用時には、脚部と棒状部材と浴槽用無蓋箱状シートとを夫々分解して折り畳むことで、その折り畳み作業が容易となり、収納・保管や搬送が容易となり、その取り扱いを簡便にすることができるとともに収納スペースを小さくさせ、しかも、浴槽の軽量化を図ることができるものである。
【0006】
特許文献4に所載の携帯型組立て式簡易浴槽は、折り畳み防水シートと、防水シートを安全に固定させる複数個の側面部装置と、側面部装置を安定させる差込部を設けた浴槽部底盤と、利用者が肌を直接接する入浴板の4種の部材からなり、浴槽部底盤の差込穴に側面部装置を差し込み、その側面部装置に浴槽状に折り畳んだ一枚の防水シートを固定するものである。上記各部材はいずれも女性が一人で持ち、移動可能なサイズ、重さに設定されており、どのような場所でも安全に組立てが可能とされている。また、浴槽立ち上がり部は複数個の側面部装置を浴槽部底盤へ差込む組立て式であるため、一面を開放して入浴利用者を引き込んだ後で、セットすることができ、浴槽部底盤を入浴者の都合の良いレベルにセットさえすれば、入浴者を持ち上げる必要はなく、水平方向の小さな体位移動だけで安全に入浴させる事ができる。したがって、入浴者の入浴時における介護者の負担を軽減できるものである。
【特許文献1】特開平10−295770号公報
【特許文献2】特開平8−52190号公報
【特許文献3】特開2003−180786号公報
【特許文献4】特開2005−205124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記したいずれの特許文献に所載の技術にあっても、浴槽の組み立て及び分解に際して浴槽底部の周囲でフレームを取り回すものであるため、浴槽の設置予定位置の周りにそれ相応の作業スペースを確保する必要があることから、狭い室内では取り扱いに不便であるといった問題があった。特に、スペースの限られている住居内の浴室の洗い場や脱衣場、また入浴サービスに使用される巡回車両の室内などには到底持ち込めるものではなかった。
【0008】
また、上記いずれの従来技術にあっても、構成パーツの点数が多いため、組み立て及び分解作業が煩雑で、女性や年配者には取り扱い辛く、しかも構成パーツの点数が多い分輸送及び保管に不便なものであった。
【0009】
さらに、簡易浴槽とはいえその貯湯量は200リットル前後にもなり、それだけでも浴槽内のシートが受ける水圧はかなりなものになるが、それに加えて浴槽内には人が入ることから、シートが受ける圧力は相当大きなものとなる。従って、浴槽自体にかなりの強度が求められるところ、上記いずれの従来技術にあっても、せいぜい、フレームを構成するパイプだけで浴槽シートを支持し、浴槽シートそれ自体に強度を求める構造をとっているため、その分浴槽シートが分厚いものとならざるを得ず、その結果、折り畳み及び展開がしにくく取扱い性に欠けるばかりか、コスト高を招来するといった問題があった。
【0010】
また、上記いずれの従来技術にあっても、その構造上直方体の形状しか採り得なかったため、介護を要する入浴者にとってはせっかく安らぎを覚える入浴時でありながら、直方体という無骨で無味乾燥な浴槽によって安らぎ感も半減されるといった問題があった。それとともに、すべての周面が底面に対して直角であるため、上体を傾斜させて入浴するには不向きであり、このことも入浴時の安らぎ感を削いでしまう要因でもあった。
【0011】
本発明は上記従来の問題点を解決すべく創案されたものであり、構成パーツの点数が極めて少なく、限られたスペースであっても組み立て及び分解作業が容易であるとともに輸送及び保管に便利で、しかも浴槽としての必要な強度を確保しつつ浴槽シートに薄手で取扱い性及び経済性に優れたものを採用することができ、さらには入浴者に入浴時の安らぎ感を与え得る任意の形状を採用することのできる簡易浴槽用組立式筐体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1の発明に係る簡易浴槽用組立式筐体は、適所に入浴者の出入りを許容する開放部が設定されたメインユニットと、このメインユニットの開放部を開閉するゲートユニットと、これら両ユニットを相互に連結固定する連結手段とを具備し、前記メインユニットは、簡易浴槽用シートの底面を受けるベースと、このベースの上方において前記開放部を除く部分に配置されるメイン側手摺フレームと、このメイン側手摺フレームと前記ベースとの間に介装され、これらメイン側手摺フレームとベースとを連結するとともに、貯湯時は前記簡易浴槽用シート内の湯の水圧を受容する複数枚の折り畳み自在なメイン側受圧シートと、これら複数枚のメイン側受圧シート同士の間及び前記メイン側手摺フレームの両端部にそれぞれ対応して前記ベースに基端部が回動可能に取り付けられ、不使用時には前記ベースに倒伏可能とされる一方、使用時には起立されて先端部が前記メイン側手摺フレームと着脱可能に嵌合され該メイン側手摺フレームを支持固定する複数本のメイン側支柱と、を備え、前記ゲートユニットは、前記開放部において前記メイン側手摺フレームの両端部を架橋するゲート側手摺フレームと、このゲート側手摺フレームの下方に対設されたゲート側下フレームと、このゲート側下フレームと前記ゲート側手摺フレームとの間に介装され、これら両フレーム同士を連結するとともに、貯湯時は前記簡易浴槽用シート内の湯の水圧を受容する1枚又は複数枚のゲート側受圧シートと、このゲート側受圧シートの両側に配設され前記ゲート側手摺フレームと前記ゲート側下フレームとを相互に連結支持するゲート側支柱とを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
この特定事項により、構成パーツは、実質的にメインユニットとゲートユニットの2点だけとなるため、輸送及び保管に便利である。また、組み立てに際してはメインユニットのメイン側手摺フレームをベースから上方に引き上げたのち、複数本のメイン側支柱を順次起立させそれぞれの先端部をメイン側手摺フレームに嵌合させてメイン側手摺フレームを固定し、ついでメインユニット内に簡易浴槽用シートを敷設し入浴者に開放部からメインユニット内に入ってもらい、それが完了したら簡易浴槽用シートを所定の形状に成形してから開放部をゲートユニットで閉じるとともに連結手段によりゲートユニットをメインユニットに連結固定し、簡易浴槽用シート内に湯を注入する。分解するときは逆の手順となる。従って、メインユニットの周囲に全くスペースがなくても、少なくとも開放部の正面にのみスペースあれば、組み立て及び分解が可能であり、極めて狭い場所でも使用することができる。
【0014】
また、メイン側受圧シートとゲート側受圧シートとによって貯湯時に簡易浴槽用シート内の湯の水圧を受容するとともに、その水圧を各受圧シート間の支柱によっても受け、且つ、各受圧シートと支柱との空間において僅かながら簡易浴槽用シートを浴槽外に膨出させることにより水圧を分散させる構成としているから、高強度を確保することができ、簡易浴槽用シートに薄手で取扱い性及び経済性に優れたものを採用することができる。それとともに、メイン側手摺フレーム及びゲート側手摺フレームの形状を任意の形状とすることが可能となるため、例えば、方形ではあっても四隅に丸みを付けたり、あるいは浴槽の開口部全体の形状を楕円形としたりすることもでき、従来の直方体からは決して得ることのできない安らぎ感を演出することができる。また、メイン側手摺フレーム及びゲート側手摺フレームが形作る全体としての手摺フレームをベースよりも多少大きくすることもでき、この場合は浴槽の周面が上方にいくに従って漸次広がることになることから、入浴者が上体を斜めに倒した状態で入浴することが可能となり、入浴時の安らぎ感をより高めることができる。
【0015】
請求項2の発明に係る簡易浴槽用組立式筐体は、簡易浴槽用シートの底面を受けるベースと、このベースの上方に配置される手摺フレームと、この手摺フレームと前記ベースとの間に介装され、これら手摺フレームとベースとを連結するとともに、貯湯時は前記簡易浴槽用シート内の湯の水圧を受容する複数枚の折り畳み自在な受圧シートと、これら複数枚のメイン側受圧シート同士の間にそれぞれ対応して前記ベースに基端部が回動可能に取り付けられ、不使用時には前記ベースに倒伏可能とされる一方、使用時には起立されて先端部が前記手摺フレームと着脱可能に嵌合され該手摺フレームを支持固定する複数本の支柱とを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
この発明に係るものは、請求項1の発明に係るものから開放部及びそれに伴うゲートユニットを省いたものであり、入浴者が浴槽の周壁を跨いで入ることのできる場合に適用され、その作用は上記した請求項1の発明のものと同じである。
【0017】
上記の簡易浴槽用組立式筐体にあっては、前記ベースは、その下面に脚部材が設けられるとともに、簡易浴槽用シートに接続された排水管が挿通される排水管挿通孔が設けられたものであってもよい。
【0018】
この場合、簡易浴槽用シートの底面から排水することができるため、入浴後の後始末を迅速に行うことができる。
【0019】
請求項4の発明に係る簡易浴槽は、上記構成の簡易浴槽用組立式筐体と、この簡易浴槽用組立式筐体内に配設される簡易浴槽用シートとを備えたものである。
また、上記の簡易浴槽は、さらに、車椅子の座面と略同じ高さを有する台座を備え、この台座上に簡易浴槽用組立式筐体が載置されたものであってもよい。
【0020】
この場合、車椅子の乗り降りが単独で或いは介助者の介助があればできる者であれば、臀部を車椅子の座面からそのままのレベルを保ったまま簡易浴槽用組立式筐体内へスライドさせることで筐体内に体を移すことができ、利用範囲が広がる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る簡易浴槽用組立式筐体及び簡易浴槽は、構成パーツの点数が極めて少なく、限られたスペースであっても組み立て及び分解作業が容易であるとともに輸送及び保管に便利で、しかも浴槽としての必要な強度を確保しつつ浴槽シートに薄手で取扱い性及び経済性に優れたものを採用することができ、さらには入浴者に入浴時の安らぎ感を与え得る任意の形状を採用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は本発明に係る簡易浴槽用組立式筐体を示す分解斜視図、図2は組み立た状態の簡易浴槽用組立式筐体を示す斜視図、図3は簡易浴槽用組立式筐体のメインユニットを示し、すべてのメイン側支柱を倒伏させメイン側手摺フレームをベース上に重ねた状態の斜視図、図4はメインユニットとゲートユニットとを連結固定する連結手段の一例を示す部分分解斜視図、図5はメインユニット内に簡易浴槽用シートを敷設し入浴者を待ち受ける状態を示す斜視図、図6はゲートユニットにより開放部を閉じ、湯の注入を待ち受ける状態を示す斜視図である。
【0024】
本発明に係る簡易浴槽用組立式筐体1は、簡易浴槽用シート2の全周面及び底面をそれらの外側から支持するものである。
【0025】
この簡易浴槽用組立式筐体1は、適所に入浴者の出入りを許容する開放部3が設定されたメインユニット4と、このメインユニット4の開放部3を開閉するゲートユニット5と、これら両ユニット4,5を相互に連結固定する連結手段6とを具備している。
【0026】
本実施の形態においては、開放部3は、入浴者が両手を突いて臀部をずらせながら後ろ向きで浴槽内に入ることができるよう、四つあるうちの一つのコーナーを挟んで隣接する二辺をそれぞれ部分的に切り欠くかたちで設けられている。尚、開放部3の形態はこれに限るものではなく、いずれか一辺に設けられていてもよい。
【0027】
上記メインユニット4は、簡易浴槽用シート2の底面を受けるベース41と、このベース41の上方において前記開放部3を除く部分に配置されるメイン側手摺フレーム43と、このメイン側手摺フレーム43と前記ベース41との間に介装され、これらメイン側手摺フレーム43とベース41とを連結するとともに、貯湯時は簡易浴槽用シート2内の湯の水圧を受容する複数枚の折り畳み自在なメイン側受圧シート44と、これら複数枚のメイン側受圧シート44同士の間及びメイン側手摺フレーム43の両端部にそれぞれ対応してベース41に基端部45aが回動可能に取り付けられ、不使用時にはベース41に倒伏可能とされる一方、使用時には起立されて先端部45bがメイン側手摺フレーム43と着脱可能に嵌合されメイン側手摺フレーム43を支持固定する複数本のメイン側支柱45とを備えたものである。
【0028】
メイン側支柱45は、図示例ではベース41の上面周囲に周設固定されたベースフレーム42に回動可能に取り付けられたチーズ継手46にその基端部が取着されている。またメイン側支柱45の先端部45bにはメイン側手摺フレーム43と嵌合可能な嵌合部材47が取着されている。ここで、メイン側支柱45は、ベース41内から外方に向けて起立し、メイン側手摺フレーム43と嵌合するものであるから、貯湯時に水圧を受けてもメイン側手摺フレーム43から外れることは決してない。
【0029】
尚、メイン側支柱45のベース41への取り付け手段は上記した例に限るものではなく、ベースフレーム42を設けることなく、基端部45aを直接ベース41に回動可能に取り付けてもよい。また、メイン側支柱45の基端部45aはチーズ継手46に、例えば螺合手段により着脱可能として、不使用時にメイン側支柱45を完全に取り外せるようにしてもよい。このようにすることによって、メイン側支柱45を倒伏させた時にメイン側支柱45同士がベース41上で干渉し合うといったことがなくなる。
【0030】
ベース41は、その下面に複数個の脚部材48(図1中破線で示す)が設けられるとともに、簡易浴槽用シート2に接続された排水管(図示省略)が挿通される排水管挿通孔49が設けられている。また、このベース41の上面には断熱シート(図示省略)が設けられている。
【0031】
尚、排水管が簡易浴槽用シート2の側面に接続されている場合は、排水管をメイン側受圧シート44とメイン側支柱45との間から外方に引き出すことが可能であるため、上記した排水管挿通孔49を省くことは任意である。また、その場合は、ベース41の下面側に排水管用のスペースを確保する必要がないので、上記した脚部材48も省くことは任意である。
【0032】
メイン側受圧シート44は、貯湯時に簡易浴槽用シート2を介して受ける水圧に十分耐えうる強度を有するものであれば、布製シート、合成樹脂製シートのいずれであってもよい。このメイン側受圧シート44は、図示例では上端部がメイン側手摺フレーム43に、下端部がベースフレーム42にそれぞれ巻き付けられた状態で各端縁部分がシート本体部分に縫着されることによりそれら各フレーム42,43に固縛されている。ここで、図示例のように、メイン側受圧シート44をメイン側手摺フレーム43のコーナー部分に設けた場合は、コーナー部分には支柱がこないため、該コーナー部分を丸みのある形状とすることができ、浴槽全体として入浴時に安らぎ感を与えうる形状とすることができる。
【0033】
前記ゲートユニット5は、前記開放部3においてメイン側手摺フレーム43の両端部を架橋するゲート側手摺フレーム53と、このゲート側手摺フレーム53の下方に対設されたゲート側下フレーム51と、このゲート側下フレーム51とゲート側手摺フレーム53との間に介装され、これら両フレーム51,53同士を連結するとともに、貯湯時は簡易浴槽用シート2内の湯の水圧を受容する2枚のゲート側受圧シート54と、このゲート側受圧シート54の両側に配設されゲート側手摺フレーム53とゲート側下フレーム51とを相互に連結支持するゲート側支柱55とを備えたものである。
【0034】
このゲートユニット5は、メインユニット4の一つのコーナーに設定された開放部3を開閉するものであるため、ゲート側手摺フレーム53及びゲート側下フレーム51はそれぞれ該コーナーの形状に合致するように屈曲されている。
【0035】
ゲート側支柱55は、ゲートユニット5の両端部と、上記屈曲部分から外れた個所とに設けられるとともに、これら各ゲート側支柱55の下方延長線上には、開放部3においてベースフレーム42とその上方から嵌合する嵌合部56がそれぞれ設けられている。
【0036】
ゲート側受圧シート54は、前記したメイン側受圧シート44と同じものである。図示例では2枚のゲート側受圧シート54が用いられているが、これに限らず1枚でもよいし3枚以上であってもよい。
【0037】
ゲート側手摺フレーム53の両端部には、図4に示すように、それぞれ該両端部のゲート側支柱55,55から外方に突出する断面アーチ形状の連結片61が設けられるとともに、これら各連結片61,61の内面には、メイン側手摺フレーム43の両端部に穿設された連結孔62,62とそれぞれ嵌合する連結突起63が設けられている。そして、これら連結片61,61及び連結孔62,62、並びに、メイン側手摺フレーム43の両端部に位置するメイン側支柱45,45とゲート側手摺フレーム53の両端部に位置するゲート側支柱55,55とに両端部が嵌着される2対の連結杆64‥により、本発明における連結手段6が構成される。尚、連結手段の具体的構成はこの例に限るものではなく、浴槽としての強度を確保できるのであれば、形態は任意である。例えば、図7に示すように、上記した連結片61及び連結突起63、並びに連結孔62を省き、連結杆64だけで連結手段を構成してもよい。
【0038】
次に、上記のようになる簡易浴槽用組立式筐体の使用手順について説明する。
【0039】
組み立てに際しては、最初は、図3に示すように、メインユニット4のメイン側支柱45がすべてベース41上に倒伏し、メイン側手摺フレーム43がベースフレーム42上に重なっているので、まずはメイン側手摺フレーム43をベース41から上方に引き上げたのち、メイン側支柱45を順次起立させ(図1参照)、それぞれの先端部をメイン側手摺フレーム43に嵌合させてメイン側手摺フレームを固定する。
【0040】
次いで、図5に示すように、メインユニット4内に簡易浴槽用シート2を敷設し入浴者(図示省略)に開放部3からメインユニット4内に入ってもらい、それが完了したら簡易浴槽用シート2を所定の形状に成形してからゲートユニット5で開放部3を閉じるとともにゲートユニット5を連結手段によりメインユニット4に連結固定する。
【0041】
その後、図6に示すように、メイン側手摺フレーム43及びゲート側手摺フレーム53に巻き掛けられた簡易浴槽用シート2の端部に、弾性を有する固定クリップCを冠着し、簡易浴槽用シート2の固定を完了してから、簡易浴槽用シート2内に湯を注入する。
【0042】
分解するときは上記と逆の手順となる。
【0043】
尚、メイン側手摺フレーム43及びゲート側手摺フレーム53の形状は上記した例に限るものではなく、任意の形状とすることができる。例えば、浴槽の開口部全体の形状を楕円形としたり、部分的に湾曲部を有する形状としてもよい。また、メイン側手摺フレーム43及びゲート側手摺フレーム53が形作る全体としての手摺フレームをベース41よりも多少大きくすることで、浴槽の周面が上方にいくに従って漸次広がるようにしてもよい。この場合、入浴者が上体を斜めに倒した状態で入浴することが可能となり、入浴時の安らぎ感をより高めることができる。また、入浴者が跨いで浴槽内に入ることができる場合は、開放部3及びこれに伴うゲートユニット5を設けなくともよい。
【0044】
また、図8に示すように、車椅子の座面と略同じ高さを有する台座7を用意し、この台座7上に上記構成の簡易浴槽用組立式筐体1を載置するようにすると、車椅子の乗り降りが単独で或いは介助者の介助があればできる者であれば、臀部を車椅子の座面からそのままのレベルを保ったまま簡易浴槽用組立式筐体1内へスライドさせることで筐体1内に体を移すことができ、利用範囲が広がる。この場合、台座7を図8に示すようにパイプ材を組んで構成する一方、この台座7を構成する上部フレーム内に、ベース41の下面の四隅に存する脚部材48が嵌まり込むようにすると、台座7上で簡易浴槽用組立式筐体1がずれたりする虞がなく、安全性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る簡易浴槽用組立式筐体の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】簡易浴槽用組立式筐体の組み立て完了状態を示す斜視図である。
【図3】簡易浴槽用組立式筐体のメインユニットを示し、すべてのメイン側支柱を倒伏させメイン側手摺フレームをベース上に重ねた状態の斜視図である。
【図4】メインユニットとゲートユニットとを連結固定する連結手段の一例を示す部分分解斜視図である。
【図5】メインユニット内に簡易浴槽用シートを敷設し入浴者を待ち受ける状態を示す斜視図である。
【図6】ゲートユニットにより開放部を閉じ、湯の注入を待ち受ける状態を示す斜視図である。
【図7】連結手段の他の例を示す部分拡大正面図である。
【図8】簡易浴槽用組立式筐体を台座上に載置した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 簡易浴槽用組立式筐体
2 簡易浴槽用シート
3 開放部
4 メインユニット
41 ベース
43 メイン側手摺フレーム
44 メイン側受圧シート
45 メイン側支柱
45a 基端部
45b 先端部
49 排水管挿通孔
48 脚部材
5 ゲートユニット
51 ゲート側下フレーム
53 ゲート側手摺フレーム
54 ゲート側受圧シート
55 ゲート側支柱
6 連結手段
61 連結片
62 連結孔
63 連結突起
64 連結杆
7 台座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
簡易浴槽用シートの全周面及び底面をそれらの外側から支持する簡易浴槽用組立式筐体において、
適所に入浴者の出入りを許容する開放部が設定されたメインユニットと、このメインユニットの開放部を開閉するゲートユニットと、これら両ユニットを相互に連結固定する連結手段とを具備し、
前記メインユニットは、
前記簡易浴槽用シートの底面を受けるベースと、
このベースの上方において前記開放部を除く部分に配置されるメイン側手摺フレームと、
このメイン側手摺フレームと前記ベースとの間に介装され、これらメイン側手摺フレームとベースとを連結するとともに、貯湯時は前記簡易浴槽用シート内の湯の水圧を受容する複数枚の折り畳み自在なメイン側受圧シートと、
これら複数枚のメイン側受圧シート同士の間及び前記メイン側手摺フレームの両端部にそれぞれ対応して前記ベースに基端部が回動可能に取り付けられ、不使用時には前記ベースに倒伏可能とされる一方、使用時には起立されて先端部が前記メイン側手摺フレームと着脱可能に嵌合され該メイン側手摺フレームを支持固定する複数本のメイン側支柱と、
を備え、
前記ゲートユニットは、
前記開放部において前記メイン側手摺フレームの両端部を架橋するゲート側手摺フレームと、
このゲート側手摺フレームの下方に対設されたゲート側下フレームと、
このゲート側下フレームと前記ゲート側手摺フレームとの間に介装され、これら両フレーム同士を連結するとともに、貯湯時は前記簡易浴槽用シート内の湯の水圧を受容する1枚又は複数枚のゲート側受圧シートと、
このゲート側受圧シートの両側に配設され前記ゲート側手摺フレームと前記ゲート側下フレームとを相互に連結支持するゲート側支柱と
を備えたことを特徴とする簡易浴槽用組立式筐体。
【請求項2】
簡易浴槽用シートの全周面及び底面をそれらの外側から支持する簡易浴槽用組立式筐体において、
前記簡易浴槽用シートの底面を受けるベースと、
このベースの上方に配置される手摺フレームと、
この手摺フレームと前記ベースとの間に介装され、これら手摺フレームとベースとを連結するとともに、貯湯時は前記簡易浴槽用シート内の湯の水圧を受容する複数枚の折り畳み自在な受圧シートと、
これら複数枚のメイン側受圧シート同士の間にそれぞれ対応して前記ベースに基端部が回動可能に取り付けられ、不使用時には前記ベースに倒伏可能とされる一方、使用時には起立されて先端部が前記手摺フレームと着脱可能に嵌合され該手摺フレームを支持固定する複数本の支柱と、
を備えたことを特徴とする簡易浴槽用組立式筐体。
【請求項3】
前記ベースは、その下面に脚部材が設けられるとともに、前記簡易浴槽用シートに接続された排水管が挿通される排水管挿通孔が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の簡易浴槽用組立式筐体。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の簡易浴槽用組立式筐体と、この簡易浴槽用組立式筐体内に配設される簡易浴槽用シートとを備えた簡易浴槽。
【請求項5】
請求項4に記載の簡易浴槽において、さらに、車椅子の座面と略同じ高さを有する台座を備え、この台座上に簡易浴槽用組立式筐体が載置されたことを特徴とする簡易浴槽。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−79636(P2008−79636A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−259707(P2006−259707)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【特許番号】特許第3976776号(P3976776)
【特許公報発行日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(506108620)株式会社 ナンワ (3)
【Fターム(参考)】