説明

簡易球面計の基準高さ合わせ方法およびその装置

【課題】 多種多様な曲率に対応した個々の球面原器を用いることなく簡易球面計の基準高さ合わせを可能にし、従来と同様に球面形状や曲率の測定を行うことを可能にする簡易球面計の基準高さ合わせ方法およびその装置を提供する。
【解決手段】 リング4が接する対リング基準面11を固定的に配設するとともに測定子3が接する対測定子基準面12をマイクロメータ13によって対リング基準面11に対して相対的に上下方向に移動しうるように配設した基準高さ合わせ装置10を用い、計算により求められる基準となる球面の頂点から弦までの高さに基づいて、マイクロメータ13によって対測定子基準面12の上下方向の位置を設定する。これらの対リング基準面11と対測定子基準面12に簡易球面計1のリング4および測定子3をそれぞれ当接させて、球面原器を使用することなく簡易球面計1の基準高さ合わせを行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カメラ、ビデオカメラ等に用いられる球面レンズ等の球面形状を有する部品の球面曲率を簡易球面計により測定する際の簡易球面計の基準高さ合わせ方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、カメラ、ビデオカメラ等に用いられる凹球面や凸球面を有する球面レンズ等の被測定物の球面形状の測定には、図6に示すような簡易球面計が一般に用いられている。簡易球面計1は、図6に図示するように、軸方向に移動自在な測定子3を有するダイヤルゲージ2とこれを保持するリング4とで構成され、リング4の径は、測定対象の径の70〜90%を目安に設定されている。従来は、図7の(a)および(b)に示すように、簡易球面計1を用い、基準となる曲率半径を有する球面原器W0 と比較対象となる球面レンズ等の被測定物Wとの球面の頂点から弦までの高さ(=H0 、H1 )の差であるΔHを読み取り、球面形状や曲率精度の測定に用いられている。ここで、球面原器W0 の曲率をR0 、簡易球面計1のリング径をΦDとする場合の球面の頂点から弦までの高さH0 の算出式は次のとおりである。
0 =R0 −{R02−(D/2)20.5
【0003】簡易球面計の基準高さ合わせは、図7の(a)に示すように、球面原器W0 上に簡易球面計1のリング4を接触させ、ダイヤルゲージ2の測定子3を球面原器W0 に接触するように調整し、その時のダイヤルゲージ2が示す数値を読み取り、この数値H0 を基準にする(通常は、0にリセットする)。
【0004】そして、測定対象となる球面レンズ等被測定物Wの曲率の測定は、図7の(b)に示すように、基準合わせのできた簡易球面計1のリング4および測定子3を被測定物Wに接触させ、ダイヤルゲージ2の数値を読み取る。この数値H1 と基準高さ合わせをした時の数値H0 の差異がΔHである。図7では、ΔH=H1 −H0 となる。また、このときの被測定物の曲率R1 は次式で表される。
1 ={(H0 +ΔH)2 +(D/2)2 }/2(H0 +ΔH)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、簡易球面計を用いて、基準となる球面原器W0 と比較対象となる被測定物Wとの球面の頂点から弦までの高さの差であるΔHを読み取ることにより、被測定物Wの曲率精度を測定することができ、その測定が容易でかつ手軽なために、球面レンズ等のほとんどの製造工程で使用されている。
【0006】しかしながら、球面レンズ等の製造工程においては、1つの製品部番に対し2〜数セットの簡易球面計を必要とし、しかも多種多様の製品部番に対し個々に球面原器を用意しなければならず、以下のような問題が生じていた。
【0007】■ 各製品部番に対応するために大量の球面原器の製作および管理が必要となる。
■ 球面原器は、主に硝子製であるため、連続使用による精度劣化や破損が生じやすく、定期的な補修や再製作が必要である。
■ 球面原器の補充や再製作をした場合や同一曲率表示の球面原器が複数ある場合に、個々の球面原器の製作バラツキが生じるため、原器交換毎に測定時の規格を補正する必要がある。
■ 球面原器の製作には熟練技能が必要であり、緊急時等の対応が難しい。
【0008】そこで、本発明は、前述した従来技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであって、多種多様な曲率に対応した個々の球面原器を用いることなく簡易球面計の基準高さ合わせを可能にし、そして従来と同様に球面形状や曲率の測定を行うことができる簡易球面計の基準高さ合わせ方法およびその装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の簡易球面計の基準高さ合わせ方法は、球面形状の曲率を簡易球面計によって基準となる球面との「球面の頂点から弦までの高さ」の差ΔHにより読み取ることによって前記球面形状の曲率精度を測定するに際して、前記基準となる球面の頂点から弦までの高さを計算により求めて、該基準となる高さに基づいて前記簡易球面計の基準高さ合わせを行うことを特徴とする。
【0010】本発明の簡易球面計の基準高さ合わせ方法においては、前記簡易球面計のリングが接する対リング基準面と前記簡易球面計の測定子が接する対測定子基準面を相対的に移動可能に配設して、前記基準となる球面の計算により求められる「球面の頂点から弦までの高さ」に基づいて前記対リング基準面と前記対測定子基準面の相対位置を設定し、前記簡易球面計のリングおよび測定子をそれぞれ前記対リング基準面および前記対測定子基準面に当接させて、前記簡易球面計の基準高さ合わせを行うことが好ましい。
【0011】さらに、本発明の簡易球面計の基準高さ合わせ装置は、簡易球面計のリングが接する対リング基準面と簡易球面計の測定子が接する対測定子基準面を相対的に移動可能に配設し、一方の基準面に対して他方の基準面を相対的にかつ任意に上下動させる機構と、一方の基準面に対する他方の基準面の相対位置を表示する手段とを備え、前記簡易球面計のリングおよび測定子を前記対リング基準面および前記対測定子基準面にそれぞれ当接させることにより前記簡易球面計の基準高さ合わせを行うことを特徴とする。
【0012】本発明の簡易球面計の基準高さ合わせ装置において、前記対リング基準面を固定的に配置し、前記対測定子基準面を前記対リング基準面に対して任意に上下動可能に配置することが好ましく、また、前記対測定子基準面はマイクロメータにより上下動可能に構成されていることが好ましい。
【0013】本発明の簡易球面計の基準高さ合わせ装置は、前記対測定子基準面を固定的に配置し、前記対リング基準面を前記対測定子基準面に対して任意に上下動可能に配置することが好ましく、また、前記対リング基準面はZ軸ステージに搭載され、該対リング基準面の前記対測定子基準面に対する相対位置を計測する測長器を備えていることが好ましい。
【0014】
【作用】本発明によれば、簡易球面計によるΔH測定に際しての簡易球面計の基準高さを合わせる手段として、対リング基準面および対測定子基準面を設けてそのいずれか一方の基準面に対して、他方の基準面を相対的にかつ任意に上下動させる手段を備え、そして一方の基準面に対する他方の基準面の相対位置(距離)を表示する機能を有する装置を用いることで、レンズ形状毎(部番毎)に対応した個々の球面原器を使用することなく、簡易球面計の基準高さ合わせを可能にし、従来と同様のΔH測定を行うことができる。
【0015】また、本発明の簡易球面計の基準高さ合わせ装置は、種々の球面曲率に対応した基準合わせが可能であって、汎用性がありかつ耐久性が高く、さらに球面原器製作にかかわる負荷を大幅に削減することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】(実施例1)図1の(a)および(b)は、本発明のマイクロメータを用いた基準高さ合わせ装置の構成を概略的に示す正面図と側面図であり、図2の(a)は、本発明のマイクロメータを用いた基準高さ合わせ装置による基準高さ合わせ方法を被測定物が凸形状の場合について説明するための概略図であり、図2の(b)は被測定物が凸形状の場合の従来の球面原器による基準高さ合わせ方法を示す概略図であり、図3の(a)は、本発明のマイクロメータを用いた基準高さ合わせ装置による基準高さ合わせ方法を被測定物が凹形状の場合について説明するための概略図であり、図3の(b)は被測定物が凹形状の場合の従来の球面原器による基準高さ合わせ方法を示す概略図である。
【0018】本発明のマイクロメータを用いた基準高さ合わせ装置10は、図1の(a)および(b)に示すように、装置ベース部材15に立設された保持板16の上部に固定され装置ベース部材15と平行でかつ水平に配置された天板17と該天板17の下面に取り付けられた側面視逆L字状のマイクロメータ支持部14と該マイクロメータ支持部14に支持されたマイクロメータ13とを備え、マイクロメータ13は、その伸縮自在の軸部材13aを天板17に穿設された貫通孔17aを介して上下方向に移動し得るように備え、軸部材13aの先端面を天板17の上面に対して相対的にかつ任意の位置に上下方向に移動させるように構成されている。
【0019】そして、天板17の上面を、簡易球面計1(図6参照)のリング4が接する基準面(以下、対リング基準面という)11とし、マイクロメータ13の軸部材13aの先端面を、簡易球面計1の測定子3が接触する面(以下、対測定子基準面という)12として、この対測定子基準面12は、対リング基準面11に平行になるように構成されている。したがって、マイクロメータ13は、その対測定子基準面12を対リング基準面11に対して相対的にかつ任意の位置に上下方向に移動させることができ、そして、対測定子基準面12が対リング基準面11を中心に上下方向に全ストロークの約1/2振り分けとなるように取り付けられ、さらに、対測定子基準面12の原点位置(図1の(b)参照)は、対リング基準面11と同一面になるよう平面原器等を用いて設定する。
【0020】次に、図1に図示する基準高さ合わせ装置10を用いて凸形状の球面のΔHを測定する場合の基準高さ合わせの概要を図2を用いて説明する。
【0021】以下に、リング径をΦ24mmとする簡易球面計(ΔH計)1を球面曲率Rを20mmとする凸形状の球面原器W0 に対応するように基準高さ合わせする場合の手順を例にとって、凸形状の球面のΔHを測定する場合の基準高さ合わせの方法を説明する。
【0022】■ 基準高さ(球面の頂点から弦までの高さ)Hの算出球面原器W0 の曲率をR0 、簡易球面計のリング径をΦDとするときの基準高さH0 (図2の(b)参照)の算出式は以下のとおりである。
0 =R0 −{R02−(D/2)20.5したがって、前記条件での基準高さH0 (+)=4.000mmが算出できる。
【0023】■ 基準高さ合わせ装置10において、対リング基準面11に対する対測定子基準面12の相対位置を+4.000mm(=H0 (+))になるようにマイクロメータ13を調整する。すなわち、凸形状の場合は、対測定子基準面12の対リング基準面11に対する相対位置を(+)方向に調整する。
【0024】■ そして、簡易球面計1を基準高さ合わせ装置10上に図2の(a)のようにセットし、通常の原器合わせと同様に基準合わせをする(ダイヤルゲージ2の目盛りを0にリセットする)。
【0025】以上の作業により、図2の(b)に示すような専用の球面原器W0 を使用することなく、通常の原器合わせと同様に基準高さの設定ができる。
【0026】次に、図1に図示する基準高さ合わせ装置10を用いて凹形状の球面のΔHを測定する場合の基準高さ合わせの概要を図3を用いて説明する。
【0027】以下に、リング径をΦ24mmとする簡易球面計1を球面曲率Rを20mmとする凹形状の球面原器W0 に対応するように基準高さ合わせする場合の手順を例によって、凹形状の球面のΔHを測定する場合の基準高さ合わせの方法を説明する。
【0028】■ 基準高さ(球面の頂点から弦までの高さ)Hの算出球面原器W0 の曲率をR0 、簡易球面計のリング径をΦDとするときの基準高さH0 (図3の(b)参照)の算出式は以下のとおりである。
0 =R0 −{R02−(D/2)20.5したがって、前記条件での基準高さH0 (−)=4.000mmが算出できる。
【0029】■ 基準高さ合わせ装置10において、対測定子基準面12の対リング基準面11に対する相対位置を−4.000mm(=H0 (−))になるようにマイクロメータ13を調整する。すなわち、凹形状の場合は、対測定子基準面12の対リング基準面11に対する相対位置を(−)方向に調整する。
【0030】■ そして、簡易球面計1を基準高さ合わせ装置10上に図3の(a)のようにセットし、通常の原器合わせと同様に基準合わせをする(ダイヤルゲージ2の目盛りを0にリセットする)。
【0031】以上の作業により、図3の(b)に示すような専用の球面原器W0 を使用することなく、通常の原器合わせと同様に基準高さの設定ができる。
【0032】以上のように基準高さ合わせ装置10を用いて対測定子基準面12の対リング基準面11に対する相対位置を調整することによって、簡易球面計1の基準高さ合わせを行うことができ、レンズ形状毎(部番毎)に対応した個々の球面原器を使用することなく簡易球面計の基準高さ合わせを可能にし、そして、従来と同様のΔH測定を行うことができる。
【0033】(実施例2)次に、本発明の他の基準高さ合わせ装置について、図4および図5を参照して説明する。
【0034】図4の(a)および(b)は、本発明のZ軸ステージおよびデジタル測長器を用いた基準高さ合わせ装置の構成を概略的に示す正面図と側面図であり、図5R>5の(a)は、本発明のZ軸ステージおよびデジタル測長器を用いた基準高さ合わせ装置による基準高さ合わせ方法を被測定物が凸形状の場合について説明するための概略図であり、図5の(b)は被測定物が凸形状の場合の従来の球面原器による基準高さ合わせ方法を示す概略図である。
【0035】本発明のZ軸ステージおよびデジタル測長器を用いた基準高さ合わせ装置20は、図4の(a)および(b)に示すように、装置ベース部材25に立設された保持板26に上下方向(Z軸方向)に移動自在に配設されたZ軸ステージ24と、Z軸ステージ24に装置ベース部材25と平行でかつ水平に搭載された天板27と、装置ベース部材25に立設された支持部28に固定された軸部材29とを備え、天板27を搭載するZ軸ステージ24は、Z軸駆動つまみ30を回転させることにより保持板26に沿ってZ軸方向に移動する。天板27には軸部材29が通過しうるように貫通孔27aが設けられている。また、支持部28に取り付けられたデジタル測長器23は、天板27のZ軸方向の位置を計測して、その値をディスプレイ31に表示するように構成されている。
【0036】以上のように構成される基準高さ合わせ装置20において、Z軸ステージ24に搭載されている天板27の上面を簡易球面計1(図6参照)のリング4が接する対リング基準面21とし、支持部28に保持された軸部材29の先端面を簡易球面計1の測定子3が接触する対測定子基準面22とし、対リング基準面21は、対測定子基準面22と平行になるようにZ軸ステージ24に組み付けられており、Z軸ステージ24のZ軸駆動つまみ30を回転させることによりZ軸ステージ24を上下動させることで、対測定子基準面22との相対位置を調整することができる構造になっている。また、その相対位置は、対測定子基準面22側に固定されているデジタル測長器23により、対リング基準面21の上下動に追従して計測され、ディスプレイ31に表示される。対リング基準面21の原点(図4の(b)参照)は、対測定子基準面22と同一面になるよう平面原器等を用いて設定し、ディスプレイ31上で0にリセットできるように構成される。
【0037】次に、図4に図示する基準高さ合わせ装置20を用いて凸形状の球面のΔHを測定する場合の基準高さ合わせの概要を図5を用いて説明する。
【0038】以下に、リング径をΦ24mmとする簡易球面計1を球面曲率Rを20mmとする凸形状の球面原器W0 に対応するように基準高さ合わせする場合の手順を例にとって、凸形状の球面のΔHを測定する場合の基準高さ合わせの方法を説明する。
【0039】■ 基準高さ(球面の頂点から弦までの高さ)Hの算出球面原器W0 の曲率をR0 、簡易球面計のリング径をΦDとするときの基準高さH0 (図5の(b)参照)の算出式は以下のとおりである。
0 =R0 −{R02−(D/2)20.5したがって、前記条件での基準高さH0 (+)=4.000mmが算出できる。
【0040】■ 基準高さ合わせ装置20において、対測定子基準面22に対する対リング基準面21の相対位置を+4.000mmになるようにZ軸ステージ24を移動させて調整する。このとき、デジタル測長器23により対リング基準面21のZ軸方向の位置を計測することができ、対リング基準面21の対測定子基準面22に対する相対位置はディスプレイ31により確認することができる。このように、凸形状の場合は、対測定子基準面22に対する対リング基準面21の相対位置を(+)方向(図4の(b)参照)に調整する。なお、凹形状の場合は逆に(−)方向に調整する。
【0041】■ そして、簡易球面計1を基準高さ合わせ装置20上に図5の(a)のようにセットし、通常の原器合わせと同様に基準合わせをする(ダイヤルゲージ2の目盛りを0にリセットする)。
【0042】以上の作業により、図5の(b)に示すような専用の球面原器W0 を使用することなく、通常の原器合わせと同様に基準高さの設定ができる。したがって、レンズ形状毎(部番毎)に対応した球面原器を使わずに簡易球面計の基準高さ合わせを可能にし、従来と同様のΔH測定ができるものである。
【0043】以上のように基準高さ合わせ装置20を用いて対測定子基準面22の対リング基準面21に対する相対位置を調整することによっても、前述した実施例と同様に、簡易球面計1の基準高さ合わせを行うことができ、レンズ形状毎(部番毎)に対応した個々の球面原器を使用することなく簡易球面計の基準高さ合わせを可能にし、そして、従来と同様のΔH測定を行うことができる。
【0044】以上の実施例では、高さ基準としてマイクロメータやデジタル測長器を用いたが、高さ基準としては広く使用されているブロックゲージを使用することもでき、また、一定間隔で製作したハイトゲージを使用することもできる。
【0045】また、測長器としてダイヤルゲージやデジタル測長器で説明したが、光学スケールを用いた測長器やその他の触針を使用して変位量を計測できる計測器を用いることもできる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、ΔH測定における簡易球面計の基準高さを合わせる手段として、対リング基準面と対測定子基準面を設けて、そのいずれか一方の基準面に対して他方の基準面を相対的にかつ任意に上下動させる手段を備え、そして一方の基準面に対する他方の基準面の相対位置(距離)を表示する機能を有する装置を用いることで、レンズ形状毎(部番毎)に対応した個々の球面原器を使用することなく簡易球面計の基準高さ合わせを可能にし、従来と同様のΔH測定を行うことができる。
【0047】また、本発明の基準高さ合わせ装置は、種々の球面曲率に対応した基準合わせが可能であって、汎用性がありかつ耐久性が高く、さらに、本発明は、次のようの効果があげられ、球面原器の製作にかかわる負荷を大幅に削減することができる。
【0048】■ 各製品部番に対応するための大量の原器の製作や管理が不要となる。
■ 原器の定期的な補修や再製作が不要である。
■ 原器バラツキに対する測定時の規格の補正が不要となる。
■ 緊急時等の対策が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は、本発明のマイクロメータを用いた基準高さ合わせ装置の構成を概略的に示す正面図と側面図である。
【図2】(a)は、本発明のマイクロメータを用いた基準高さ合わせ装置による基準高さ合わせ方法を被測定物が凸形状の場合について説明するための概略図であり、(b)は、被測定物が凸形状の場合の従来の球面原器による基準高さ合わせ方法を示す概略図である。
【図3】(a)は、本発明のマイクロメータを用いた基準高さ合わせ装置による基準高さ合わせ方法を被測定物が凹形状の場合について説明するための概略図であり、(b)は、被測定物が凹形状の場合の従来の球面原器による基準高さ合わせ方法を示す概略図である。
【図4】(a)および(b)は、本発明のZ軸ステージおよびデジタル測長器を用いた基準高さ合わせ装置の構成を概略的に示す正面図と側面図である。
【図5】(a)は、本発明のZ軸ステージおよびデジタル測長器を用いた基準高さ合わせ装置による基準高さ合わせ方法を被測定物が凸形状の場合について説明するための概略図であり、(b)は、被測定物が凸形状の場合の従来の球面原器による基準高さ合わせ方法を示す概略図である。
【図6】一般的な簡易球面計の構成を示す概略図である。
【図7】(a)および(b)は、従来の球面原器による簡易球面計の基準高さ合わせと被測定物であるレンズの曲率の測定方法を説明するための概略図である。
【符号の説明】
0 球面原器
W 被測定物(球面レンズ)
1 簡易球面計
2 ダイヤルゲージ
3 測定子
4 リング
10 基準高さ合わせ装置
11 対リング基準面
12 対測定子基準面
13 マイクロメータ
13a 軸部材
14 マイクロメータ支持部
15 装置ベース部
16 保持板
17 天板
20 基準高さ合わせ装置
21 対リング基準面
22 対測定子基準面
23 デジタル測長器
24 Z軸ステージ
25 装置ベース部
26 保持板
27 天板
28 支持部
29 軸部材
30 Z軸駆動つまみ
31 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 球面形状の曲率を簡易球面計によって基準となる球面との「球面の頂点から弦までの高さ」の差ΔHにより読み取ることによって前記球面形状の曲率精度を測定するに際して、前記基準となる球面の頂点から弦までの高さを計算により求めて、該基準となる高さに基づいて前記簡易球面計の基準高さ合わせを行うことを特徴とする簡易球面計の基準高さ合わせ方法。
【請求項2】 前記簡易球面計のリングが接する対リング基準面と前記簡易球面計の測定子が接する対測定子基準面を相対的に移動可能に配設して、前記基準となる球面の計算により求められる「球面の頂点から弦までの高さ」に基づいて前記対リング基準面と前記対測定子基準面の相対位置を設定し、前記簡易球面計のリングおよび測定子をそれぞれ前記対リング基準面および前記対測定子基準面に当接させて、前記簡易球面計の基準高さ合わせを行うことを特徴とする請求項1記載の簡易球面計の基準高さ合わせ方法。
【請求項3】 簡易球面計のリングが接する対リング基準面と簡易球面計の測定子が接する対測定子基準面を相対的に移動可能に配設し、一方の基準面に対して他方の基準面を相対的にかつ任意に上下動させる機構と、一方の基準面に対する他方の基準面の相対位置を表示する手段とを備え、前記簡易球面計のリングおよび測定子を前記対リング基準面および前記対測定子基準面にそれぞれ当接させることにより前記簡易球面計の基準高さ合わせを行うことを特徴とする簡易球面計の基準高さ合わせ装置。
【請求項4】 前記対リング基準面を固定的に配置し、前記対測定子基準面を前記対リング基準面に対して任意に上下動可能に配置することを特徴とする請求項3記載の簡易球面計の基準高さ合わせ装置。
【請求項5】 前記対測定子基準面はマイクロメータにより上下動可能に構成されていることを特徴とする請求項4記載の簡易球面計の基準高さ合わせ装置。
【請求項6】 前記対測定子基準面を固定的に配置し、前記対リング基準面を前記対測定子基準面に対して任意に上下動可能に配置することを特徴とする請求項3記載の簡易球面計の基準高さ合わせ装置。
【請求項7】 前記対リング基準面はZ軸ステージに搭載され、該対リング基準面の前記対測定子基準面に対する相対位置を計測する測長器を備えていることを特徴とする請求項6記載の簡易球面計の基準高さ合わせ装置。

【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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