説明

米粉パンの製造方法

【課題】小麦粉や小麦由来のグルテンを使用することなく、米粉を使用しつつ、公知の米粉パンと比較してさらにおいしい米粉パンの製造方法並びにパン粉の製造方法を提供する。
また一般的な小麦粉を使用したパンのようなサクッとした食感や大きな気泡を有するパンを得ることが可能な米粉パンの製造方法並びにパン粉の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも米粉100重量部、澱粉1〜20重量部を水と混合して加熱した糊状体、酵母及び水を混合し、発酵させた後に焼成する米粉パンの製造方法とする。米粉は、インディカ米粉、乳白米粉の少なくとも1種10〜100重量部と完全粒米粉90重量部以下を含むものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦粉や小麦粉の成分であるグルテンを含まない米粉パンや該米粉パンのパン粉の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
米の消費を拡大して日本の食糧自給率を向上することや、小麦粉によるアレルギーを防止することなどを目的とする米粉を使用したパンは公知である(特許文献1〜3等)。
【0003】
特許文献1及び2に開示された米粉パンは、米粉とグルテンを使用したものである。しかるに、米粉とグルテンを使用してパン生地を作製すると米粉とグルテンとのなじみが悪いために分離し易く、均一な生地となりにくいという問題や、小麦粉由来のグルテンを含有するために小麦粉アレルギーを完全に防止することができないという問題を有する。
【0004】
係る問題を解決した米粉パンとして特許文献3に開示の技術が公知である。特許文献3に開示された発明は、米粉と米粒を精白する際などに発生する白糠粉を使用した米粉組成物並びに米粉パンの製造方法である。
【特許文献1】特開2003−235439号公報
【特許文献2】特開2003−274845号公報
【特許文献3】特開2004−024187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3に開示の技術によれば、均一な生地が得られ、これによって製造された米粉パンは、米の特徴であるもっちり感やしっとり感を有するものであり、おいしいパンであるが、米粉パン普及のためにより一層おいしい米粉パンが求められている。
【0006】
本発明は、小麦粉や小麦由来のグルテンを使用することなく、米粉を使用しつつ、公知の米粉パンと比較してさらにおいしい米粉パンの製造方法並びにパン粉の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の別の目的は、米粉パンをより一層普及させることを目的として、特許文献3に記載された米粉パンのもっちり感やしっとり感より、一般的な小麦粉を使用したパンのようなサクッとした食感や大きな気泡を有するパンを得ることが可能な米粉パンの製造方法並びにパン粉の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の米粉パンの製造方法は、少なくとも米粉100重量部、澱粉1〜20重量部を水と混合して加熱した糊状体、酵母及び水を混合し、発酵させた後に焼成することを特徴とする。
【0009】
係る構成の製造方法により、米粉を使用しつつ、よりおいしい米粉パンを得ることができる。本発明の米粉パンの製造方法により、特許文献3に開示された米粉パンよりおいしい米粉パンの得られる理由は明らかではないが、澱粉が味の向上に大きく作用しているものと推測される。澱粉の添加量が少なすぎる場合には生地の粘りが低下して良好なパンとならず、多すぎると軟らかくなってパンらしい食感が得られない。
【0010】
上記の米粉パンの製造方法においては、前記米粉は、インディカ米粉、乳白米粉の少なくとも1種10〜100重量部と完全粒米粉90重量部以下を含むものであることが好ましい。
【0011】
インディカ米の粉、乳白米の粉の少なくとも1種を使用することによって、一般的な小麦粉を使用したパンのようなサクッとした食感や大きな気泡を有するパンを得ることが可能である。使用する米粉は、インディカ米又は乳白米粉のみであってもよいが、完全粒米粉を90重量部以下を含有するものであることが好ましい。
【0012】
(インディカ米及び/又は乳白米粉)/(完全粒米粉)の配合比が10/90を超えて完全米粒粉が多くなると、サクッとした食感や大きな気泡を有するパンを得ることが難しくなる。
【0013】
上記の米粉パンの製造方法においては、前記澱粉がタピオカ澱粉又は葛澱粉であることが好ましい。
【0014】
澱粉としてタピオカ澱粉又は葛澱粉を使用することにより、従来の米粉パンと比較してより一層おいしい米粉パンを製造することができ、また一般的な小麦粉を使用したパンのようなサクッとした食感や大きな気泡を有する米粉パンを得ることができる。
【0015】
本発明の粉粒状米粉パン(パン粉)の製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の米粉パンの製造方法に、さらに粉砕工程を有することを特徴とする。
【0016】
係る製造方法により得られた米粉パンのパン粉は、フライに使用した場合に従来の米粉パンのパン粉を使用したものよりおいしいフライが得られる。また前記米粉として乳白米粉10〜100重量部と完全粒米粉90重量部以下を含むものを使用した場合には、小麦粉を使用したパン粉のようなカリッとした食感を有するカツやフライを得ることができる。係るカツやフライは小麦粉由来の成分を全く含まないので小麦粉アレルギーの人も安心して摂食することができる。本発明の米粉パンにおいてつなぎとしての卵成分を使用しない場合には、さらに卵アレルギーの人も安心して摂食することができる。また係るカツやフライは小麦粉を使用した場合と比較して具材の風味がより鮮明であるという効果が得られると共に、米粉パンのパン粉は使用した食用油の吸収量が小さいので調理における食用油の使用量の低減、カロリー低下によるダイエット効果、食後に胸焼けがせずにさっぱりした食後感が得られるなどの優れた効果が得られる。
【0017】
上述の粉粒状米粉パン(パン粉)の製造方法においては、前記粉砕工程は、前記米粉パン100重量部と米粉と大豆粉からなる群から選択される少なくとも1種10〜100重量部とを粉砕装置にて粉砕する工程であることが好ましい。
【0018】
係る粉砕工程とすることにより、そぼろ状の粒子の均一なパン粉を製造することができる。粉砕装置の性能によっては、米粉パンの粘りが強すぎて均一な粒子のパン粉ができない場合もあるが、米粉と大豆粉からなる群から選択される少なくとも1種10〜100重量部と共に粉砕装置にて粉砕することにより、粒子の均一なパン粉が得られる。パン粉の製造方法において使用する米粉と大豆粉からなる群から選択される少なくとも1種の添加量は20〜70重量部であることがより好ましく、20〜60重量部であることがさらに好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の米粉パンの材料である米粉は、粳米、もち米などの生米を粉砕、粉末化したものである。粳米の種類としてはジャポニカ米、インディカ米、ジャワニカ米等を限定なく使用することができる。もち米の種類も、特に制限されるものではない。粉砕する前の生米は、精白米、屑米、古米(玄米を除く)等の完全粒の米、並びに乳白米を限定なく使用することができる。これらの中でもインディカ米、乳白米の少なくとも1種の米粉と完全粒米粉、特に好ましくはジャポニカ米の完全粒米粉の少なくとも1種を併用することにより小麦粉を使用したパンに近い食感を有する米粉パンを得ることができる。屑米は完全粒が割れたり欠けたりしたものである。乳白米は、稲の開花受精後に生育傷害を受けた結果、生米粒の一部に乳白色の不透明部分を有するもので、未熟米とも称され、腹白粒、芯白粒、乳白粒、基白粒があり、少なくとも1種を選択して使用することができる。インディカ米は、ジャポニカ米と比較して粘りがなく、乳白米と同様にサクッとした食感を有するパンの製造に有効である。
【0020】
上記の生米粒を粉砕した米粉は、好ましくは胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉、高速回転打撃製粉から選択される。異なる粉砕法により得られた米粉を混合してもよい。
【0021】
製粉方法は、生米粒を各製粉方法に応じた製粉装置を用いて粉砕し、篩にかけて得られる。生米粒は製粉前に洗米してもよく、しなくてもよい。米粉の乾燥は、製粉方法に応じて粉砕前又は粉砕後に行われる。洗米工程を省略した製粉方法の場合は、米粉の乾燥工程も省略することができる。
【0022】
製粉装置としては、例えば胴搗き製粉の場合は杵やスタンプミル、ロール製粉の場合はロール製粉機、石臼製粉の場合は各種石臼、気流粉砕製粉の場合は気流粉砕機、高速回転打撃製粉の場合はハンマーミルが例示される。石臼製粉は、各種石臼を用いて乾式製粉又は水挽き製粉(湿式製粉)を行う。高速回転打撃製粉は、ハンマーミルを用いて乾式製粉又は湿式製粉を行う。
【0023】
粉砕した米粉は、篩にかけて米粉の粒度を整えることが好ましい。米粉パンの出来上がりを良好にするためには、80〜100メッシュの篩を通過させた米粉を用いることが好ましい。
【0024】
米粉の水分率は、原料の米の種類や製粉方法により異なるが、通常7〜15%であり、11〜13.5%であることが好ましい。水分率が前記範囲内であれば米粉の固まりが生じにくく、本発明の米粉パンの製造方法において生地を作製する際の作業性に優れる。水分率は、加熱乾燥法により米粉を常圧下100℃で乾燥させ、恒量に達した後乾燥前後の重量を測定し、式
水分率(重量%)=100×(乾燥前の重量−乾燥後の重量)/(乾燥前の重量)
により求める。
【0025】
米粉と共に使用する澱粉は、公知の澱粉が使用可能であり、具体的にはコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘薯澱粉、かたくり澱粉、タピオカ澱粉、わらび澱粉、葛澱粉から選択される少なくとも1種の使用が好ましい。これらの中でも、特においしい米粉パンが得られる点でタピオカ澱粉又は葛澱粉の使用が好ましい。これらの澱粉は、澱粉約80〜85%、水約15〜20を主成分とし、タンパク質、脂肪、灰分を合計して1〜2%を含有するものである。米粉との混合量は、市販の澱粉の形態で計量して米粉100重量部に対して1〜20重量部を配合する。澱粉は水と混合して加熱し、糊状体として混合する。澱粉を糊状体とするために使用する水は、特に限定されないが、澱粉の重量の2〜10倍であることが好ましく、3〜7倍であることがより好ましい。
【0026】
本発明の米粉パンの製造においては、必要に応じてさらに糖類、白糠、食塩、ガム質、乳成分、卵成分、油脂、無機塩類およびビタミン類からなる副原料群より選ばれる1種又は2種以上を配合することが好ましい。油脂、卵成分を添加しなくても良好な米粉パンを製造することができる。油脂を使用しない場合には低カロリーのパンとなり、卵成分を使用しない場合には卵アレルギーの人にも摂食可能なパンとなる。
【0027】
糖類としては、ぶどう糖、果糖、乳糖、砂糖や黒砂糖、トレハロース、マルトース、イソマルトースなどの糖、又はソルビト−ル、マルチトール、パラチニット、水添水飴などの糖アルコールが例示される。トレハロースやマルチトールを添加すると米粉に含まれる脂肪酸類からのアルデヒドの発生を抑制するという効果が得られる。
【0028】
白糠とは、日本酒の原料となる「酒米」を搗精するときに得られる糠のうち、玄米の外皮部分の糠(赤糠)を除いたものをいう。白糠としては、搗精率10%〜15%程度の中糠、搗精率15%〜25%程度の上白粉又は搗精率25%以上の極上糠が例示される。
【0029】
食塩としては、塩化ナトリウムが99%以上の精製塩、又は天日塩もしくは粗塩等の粗製塩などが限定なく使用でき、乳成分としては粉乳、脱脂粉乳、大豆粉乳等が例示される。また卵成分としては、卵黄、卵白、全卵その他の卵に由来する成分が例示される。
【0030】
副原料である油脂としては、バター、マーガリン、ショートニング、ラード、オリーブ油等が例示され、無機塩類としては、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、焼成カルシウム、アンモニウムミョウバン等が例示される。
【0031】
副原料としてアルギン酸、キサンタンガム、デキストリン、セルロース等のガム質を添加すると、米粉、澱粉とその他の原料のなじみがより向上し、好ましい。
【0032】
これらの副原料の含有量は、製造する米粉パンの種類に応じて適宜設定することができる。
【0033】
加水量は、水分率が14%の米粉を用いた場合、米粉100重量部に対して85〜90重量部であることが好ましい。加水量が85重量部未満であると製造したパンが粉っぽくなり、90重量部を越えると生地が粥状になり、作業性、機械適性が低下する。生地に牛乳や卵等の水を含む原料を混合する場合は、加水量はこれらの原料中の水分も加えて計算する。また糊状体とした澱粉の含有する水も加水量に算入する。
【0034】
本発明において使用する酵母は、パンの製造に通常用いられているサッカロミセス・セレビシエのパン酵母が制限なく使用することができ、具体的には生酵母又は乾燥酵母があげられる。生酵母の添加量は、酵母の種類により適宜設定することができる。乾燥酵母の添加量は、米粉100重量部に対して通常0.5〜10重量部、より好ましくは2〜7重量部である。
【0035】
混合条件は、市販のミキサーを用い、製造する米粉パンの種類に応じて適宜設定することができる。同様に、捏ね上げ温度も適宜設定することができ、30〜40℃であることが好ましい。
【0036】
本発明においては、小麦粉を使用した公知のパンの製造において設けられる第1発酵工程は不要である。従って、本発明における第1発酵工程の所要時間(フロアータイム)は0〜30分であることが好ましい。生酵母の場合は、フロアータイムは0分であることが好ましく、乾燥酵母の場合は、捏ね上げ温度と同温度で30分程度であることが好ましい。油脂を使用しないで生地を製造する場合は、乾燥酵母を用いることが好ましい。
【0037】
米粉には、上述の副原料を配合することができるが、油脂を配合する場合は、水および酵母と同時に混合して捏ね上げることが好ましい。同時に油脂を混合して捏ね上げることにより、水分が米粉の粒子内に入りにくくなり、生地が軽く仕上がるという効果が得られる。
【0038】
生地の製造工程に次いで、得られた生地を成型する成型工程を行い、成型生地とする。生地を所定の重量に分割し、目的のパンの形状に応じて成型する。成型前にベンチタイムを15〜25分設けることが好ましい。
【0039】
成型生地は、最終発酵をする最終発酵工程に供する。本発明では小麦粉パンの第1発酵工程に相当する第1発酵工程を設けず、最終発酵工程の所要時間(ホイロタイム)を十分に取る。ホイロタイムは、適宜設定することができるが、温度35〜38℃、湿度75〜80%にて30分以上、好ましくは40〜60分である。
【0040】
本発明の米粉パンの製造方法における調理工程は、焼成、フライ、蒸煮、マイクロ波加熱又は加圧加熱をする工程であることが好ましい。本発明の米粉パンはフライによる製造においても小麦粉パンと比較すると食用油の吸収量が少なく、低カロリーであるが、食用油を使用しない調理法によることがさらに低カロリーのパンとなり、好ましい。
【0041】
焼成方法としては、例えば、上面、下面の少なくとも一方から加熱するオーブンによる加熱焼成方法、予熱した炉面などに直接接触させて加熱する方法等を用いることができる。フライ方法としては、例えば、食用油を使って加熱する調理法、いわゆる妙める、揚げるなどの方法を用いることができる。蒸煮方法としては、例えば、火炎上で加熱することにより蒸気を発生させて加熱する蒸し器を使用する方法、ボイラーを用いて予め作られた蒸気を容器内に送り込んで加熱する方法等を用いることができる。マイクロ波による方法としては、例えば、マイクロ波を発生、照射することのできる機能を備えた機器、装置を用いて加熱する方法等を用いることができる。加圧加熱方法としては、例えば、高温高圧条件で加熱することのできる圧力鍋等の装置を用いて加圧加熱する方法を用いることができる。これらの焼成方法の中でも、上面、下面の少なくとも一方から加熱するオーブンによる加熱焼成方法が好ましく、該オーブンを使用した場合、上面、下面の加熱温度160〜170℃にて10〜20分行った後に、200〜230℃に温度を挙げて焼き上がりまで加熱焼成することが好ましい。
【0042】
本発明の米粉パンの製造方法は、ベンチタイム(15〜25分)も含めた全製造工程の所要時間が約60〜150分で外観、内相、食味に優れた高品質の米粉パンに仕上げることができる。これは、小麦粉を用いたパン製造の所要時間の半分以下の時間であり、本発明の製造方法は、作業性の点からも優れた方法である。
【0043】
本発明の製造方法により製造可能な米粉パンは、食パン、コッペパン、バターロール、揚げパン、菓子パン、フランスパン、ドイツパン、ベーグル、デニッシュパン、中華饅頭、イーストドーナツ、プレッツェル、ピザもしくはナン等の発酵により得られるパンなど多種多様に及ぶが、本発明の製造方法により得られるものであればこれらに限定されるものではない。
【0044】
また本発明の米粉パンの製造方法においては、生地を成型する際に、アン、カレー、各種惣菜などの具材料を包み込む工程を設けることにより、アンパン、カレーパン、惣菜パンや中華饅頭等のパンを製造することができる。
【0045】
本発明の米粉パンからパン粉を製造する粉粒状米粉パンの製造方法においては公知の粉砕装置、例えばフードプロセッサーを使用することができる。パン粉を製造する場合に使用する米粉としては、上述の米粉に加えて玄米粉も使用可能である。またパン粉を製造する際に使用可能な大豆粉は、大豆を粉砕、粉末化したものであり、粉末化の方法は特に限定されない。機械的に粉砕したもの、例えばきな粉や石臼粉砕大豆粉(商品名「ゴールドパウダー」(エスエススピリッツ東京製)であってもよく、その他の方法で粉末化したものであってもよい。大豆の粉末化方法としては、ペクチナーゼ等を使用した酵素処理により細胞膜を破壊することなく粉末化する方法が公知である(特開2002−306102号公報)。同様な技術により製造された市販品(例えば商品名「ソイセルパウダー」(エスシー食品)、商品名「アルブロス」((株)アルプロン))等も使用可能である。異なる粉砕法により得られた大豆粉を混合して使用してもよい。米粉と大豆粉を併用してもよい。
【実施例1】
【0046】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
【0047】
(実施例1)
上新粉((株)マツモトフーズ製、水分率14%、胴搗き製粉により製造されたもの)100重量部、葛澱粉10重量部に水50重量部を添加し、加熱して得られる糊状体60重量部、砂糖15重量部、食塩2重量部、生イースト3重量部、水35重量部をミキサーを用いて26℃にて、低速で6分混捏し、中速で7分、高速で3分間、この順にて混捏し、パン生地を作製した。パン生地は35℃にて20分1次発酵させた。
【0048】
1次発酵後のパン生地を食型に流し込み、40℃、湿度80%のホイロにて40分間の最終発酵させた。最終発酵終了後、上火170℃、下火170℃のオーブンにて15分加熱し、その後上火、下火共に230℃に設定して焼き上がりまで焼成し、米粉パンを得た。この米粉パンは、さっぱりした優れた食感を有するおいしいパンであった。
【0049】
(比較例1)
米粉と葛澱粉に代えてグルテンを15重量%含む米粉(こめの粉(パン用):斉藤製粉)115重量部に対して白糠10重量部を使用した以外は実施例1と同様にして米粉パンを製造した。このパンも良好な食感を有するものであるが、比較すると実施例1の方がおいしいものであった。
【0050】
(実施例2)
実施例1で製造した米粉パン100重量部と45重量部の米粉(こめの粉(グルテン非含有):斉藤製粉)とを家庭用のフードプロセッサーに入れて粉砕したところ、市販の小麦粉パンから製造したものと同様な、そぼろ状で均一なパン粉が得られた。このパン粉を使用してコロッケと豚カツを製造したところ、食材の風味が生きたおいしいものであった。また揚げ加工に使用した食用油の消費も少なく、食後感もさっぱりしたものであった。
【0051】
(実施例3)
実施例1で製造した米粉パンを、米粉を添加することなく実施例2と同様にフードプロセッサーで粉砕したところ、パン粉は得られたが大きな粒のものも混在していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも米粉100重量部、澱粉1〜20重量部を水と混合して加熱した糊状体、酵母及び水を混合し、発酵させた後に加熱調理することを特徴とする米粉パンの製造方法。
【請求項2】
前記米粉は、インディカ米粉、乳白米粉の少なくとも1種10〜100重量部と完全粒米粉90重量部以下を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の米粉パンの製造方法。
【請求項3】
前記澱粉がタピオカ澱粉又は葛澱粉であることを特徴とする請求項1又は2に記載の米粉パンの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の米粉パンの製造方法に、さらに粉砕工程を有することを特徴とする粉粒状米粉パンの製造方法。
【請求項5】
前記粉砕工程は、前記米粉パン100重量部と米粉と大豆粉からなる群から選択される少なくとも1種10〜100重量部とを粉砕装置にて粉砕する工程であることを特徴とする請求項4に記載の粉粒状米粉パンの製造方法。



【公開番号】特開2006−136255(P2006−136255A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329605(P2004−329605)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(503067502)有限会社シトギジャパン (13)
【Fターム(参考)】