説明

米飯成形装置

【課題】形成した米飯成形体が乾燥しにくく、かつメンテナンス性にも優れた小型の米飯成形装置を提供する。
【解決手段】原料となる米飯5を解しながら送り出す米飯供給部2と、この米飯供給部2から排出された米飯5を圧縮しながら搬送する圧縮搬送部3と、圧縮搬送部5から供給された米飯5を押圧成形する成形部4と、を有する米飯成形装置1において、成形部4に、複数の成形型と、この成形型内に充填された米飯5を押圧する1又は複数の押圧機構44と、成形したしゃり玉6を上昇させる昇降棒49とを設け、押圧機構44の支持体44cと昇降棒49とを連動駆動させ、一の成形型において米飯を押圧しているときに、他の成形型内のしゃり玉6を上昇させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯を所定形状に成形する米飯成形装置に関する。より詳しくは、米飯成形装置を小型化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、握り寿司等で使用されるしゃり玉を作製する米飯成形装置は、米飯を解しながら送り出す供給部、供給部から送り出された米飯を成形部に搬送する搬送部、米飯を所定形状に成形する成形部、及び成形されたしゃり玉を載せる載置部等を備えている。このような従来の米飯成形装置においては、米飯を一定量毎に型に入れ、1又は複数方向から押圧することにより、しゃり玉を形成している。(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の米飯成形装置では、すし飯をわさびと共に成形シリンダ孔内に押し込み、1対のピストンで両側から挟み込むことで、しゃり玉をプレス成形している。また、特許文献2,3に記載の米飯成型装置は、複数の凹部が形成された1対の成形ローラーを、側面同士が当接し、かつそれぞれの凹部の位置が線対称となるように配置している。この米飯成型装置では、各ローラーを内側方向に同期回転させながら、それらの間に米飯を供給すると、凹部の内面により米飯が圧縮されて、しゃり玉が形成される。
【0004】
更に、特許文献4には、ターンテーブルに複数の成形孔を設けたしゃり玉成形装置が開示されている。この装置では、搬送された米飯は、カッター装置によって所定量ずつ切り離され、各成形孔に投入される。そして、各成形孔において形成されたしゃり玉は、下成形部(成形孔の底部)により、ターンテーブルの上面まで押し上げられる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−135651号公報
【特許文献2】特開2006−14635号公報
【特許文献3】特開2006−197823号公報
【特許文献4】特開2007−174944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従来の技術には、以下に示す問題点がある。即ち、特許文献1〜4に記載の装置では、連続してしゃり玉を成形するため、完成したしゃり玉は順次ターンテーブル上に載置される。このため、これらの従来の米飯成形装置には、しゃり玉が乾燥しやすいという問題点がある。また、特許文献1〜3に記載の装置のように、ローラーに設けた凹部を型にして成形すると、しゃり玉の握りが硬くなりやすいという問題点もある。更に、特許文献4に記載の装置は、米飯を分割するためのカッターや、必要に応じて底型を昇降させるための機構をターンテーブルに設ける必要があるため、装置構成が複雑になり、メンテナンスし難いという問題点もある。
【0007】
そこで、本発明は、形成した米飯成形体が乾燥しにくく、かつメンテナンス性にも優れた小型の米飯成形装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る米飯成形装置は、米飯成形体を形成する米飯成形装置であって、
原料となる米飯を解しながら送り出す米飯供給部と、該米飯供給部から排出された米飯を圧縮しながら搬送する圧縮搬送部と、該圧縮搬送部から供給された米飯を押圧成形する成形部と、を有し、前記成形部は、複数の成形型と、該成形型内に充填された米飯を押圧する1又は複数の押圧機構と、成形した米飯成形体を上昇させる昇降機構とを備え、前記押圧機構と前記昇降機構とが連動駆動し、一の成形型において米飯を押圧しているときに、他の成形型内の米飯成形体を上昇させる。
本発明においては、米飯を押圧する押圧機構と完成した米飯成形体を上昇させる昇降機構とを連動駆動させているため、装置構成が簡素化される。これにより、装置全体の小型化が可能であり、メンテナンス性も向上する。更に、各工程が連動しているため、完成した米飯成形体が回収されないと、次の米飯成形体が成形されない。このため、米飯成形体が乾燥しにくい。
この装置では、前記押圧機構は、成形型内の米飯を押圧する上型と、前記上型を支持する支持部材と、を備えると共に、前記昇降機構は、磁力によって前記成形型の底部に着脱可能に持着する支承部材を備えていてもよく、その場合、前記支持部材が上昇しているとき前記支承部材は下降し、前記支承部材が上昇しているとき前記支持部材は下降する。
また、前記支持部材及び前記支承部材は、それぞれ回転体に取り付けられており、この1対の回転体を環状のベルトにより連動させて回転させることもできる。
更に、前記成形部は、前記成形型に米飯を充填する充填領域と、充填された米飯を押圧して成形する成形領域と、成形された米飯成形体を回収する回収領域とが、それぞれ水平方向に配置されていてもよい。
更にまた、この装置では、寿司用のしゃり玉を形成することもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、米飯を押圧する押圧機構と成形された米飯成形体を上昇させる昇降機構とを連動駆動させているため、米飯及びその成形体が乾燥しにくく、更に、装置構成を簡素化することが可能となるため、装置全体を小型化することができ、メンテナンス性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る米飯成形装置の構成を示す一部断面正面図である。
【図2】米飯供給部の構成を示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は撹拌部材の構造例を示す平面図である。
【図4】(a)及び(b)は各ローラーの形状例を示す断面図である。
【図5】外型の形状を示す上面図である。
【図6】(a)は底型の形状を示す断面図であり、(b)は上型の形状を示す断面図である。
【図7】(a)及び(b)は底型及び上型を昇降させる機構の構成及び動作を示す模式図である。
【図8】(a)及び(b)はすり切り部材の動作を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照して、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0012】
[全体構成]
先ず、本発明の実施形態に係る米飯成形装置の構成について説明する。図1は本実施形態の米飯成形装置の構成を示す一部断面正面図である。本実施形態の米飯成形装置は、握り寿司及びいなり寿司等の各種寿司用のしゃり玉やおにぎり等の米飯成形体を作製する装置であり、図1に示すように、上方から、米飯供給部2、圧縮搬送部3及び成形部4が、この順に設けられている。以下、本実施形態の米飯成型装置1を構成する各部の具体的構造について、にぎり寿司用のしゃり玉を形成する場合を例にして説明する。
【0013】
[米飯供給部2]
図2は米飯供給部2の構造を示す断面図である。図1及び図2に示すように、米飯供給部2は、上面及び下面が矩形状に開口し、下側になるに従い断面積が小さくなる漏斗状のホッパー21を備えている。また、ホッパー21の下端部には、排出方向に向かって傾斜するケーシング部材22が連設されており、その内部には、1又は複数の撹拌部材23が回転可能に配設されている。更に、ケーシング部材22の下端部には、米飯5を、圧縮搬送部3の所定位置に排出するためのガイド部材24が取り付けられている。
【0014】
図3(a)〜(c)は撹拌部材23の構造例を示す平面図である。撹拌部材23は、米飯5を解しつつ、ケーシング部材22の下端部の排出口へと送り出すものであり、図3(a)〜(c)に示すように、軸体23aの周囲に複数の撹拌子23b〜23dが突設された構造となっている。一般に、米飯はべたつきがあり、塊になりやすいが、このような撹拌部材23で解すことにより、供給量のばらつきを抑制し、均一なしゃり玉を形成することができる。
【0015】
なお、撹拌部材23における撹拌子23b〜23dの数、形状及び取付け位置は、特に限定されるものではなく、ホッパー21の大きさ、ケーシング部材22の幅及び米飯の性状等に応じて、適宜選択することができる。また、米飯供給部2に複数の撹拌部材23を配設する場合は、異なる構造のものを組み合わせて使用してもよい。例えば、撹拌子の形状が同じでも、その配設位置を変えることにより、米飯の解し具合や送り出し量を調整することができる。
【0016】
一方、図2に示すように、本実施形態の米飯成型装置1においては、ケーシング部材22の底面22aに、断面が略半円状で幅方向に延びる1又は複数の凹部を設け、この凹部内に各撹拌部材23を配設することが望ましい。これにより、ホッパー21に投入された米飯5を、むらなく撹拌することができる。また、ケーシング部材22及びガイド部材24における米飯5と接触する面は、フッ素系樹脂等により撥水処理が施されていることが望ましい。これにより、これらの表面に米飯5が付着することを防止できる。
【0017】
更に、洗浄及びメンテナンス性の観点から、ホッパー21、ケーシング部材22、撹拌部材23及びガイド部材24は、いずれも脱着可能とすることが望ましい。更にまた、ホッパー21上には、必要に応じて、その開口部を覆う蓋(図示せず)を載置することができる。
【0018】
[圧縮搬送部3]
圧縮搬送部3は、その回転軸が相互に平行になるように配置された2対のローラー31a,31b,32a,32bで構成されている。具体的には、圧縮搬送部3の上部、即ち、米飯供給部2寄りの位置に、1対の大径ローラー31a,31bが、その側面同士を対向させて配置されており、その下方、即ち、成形部4寄りの位置に、大径ローラー31a,31bよりも小径の1対の小径ローラー32a,32bが、その側面同士を対向させると共に、それぞれ間隔をあけて配置されている。
【0019】
これら大径ローラー31a,31b及び小径ローラー32a,32bは、いずれもモーター(図示せず)等により、米飯を巻き込む方向に回転する。即ち、図示左側に配設された大径ローラー31a及び小径ローラー32aは時計回りに、図示右側に配設された大径ローラー31b及び小径ローラー32bは反時計回りに回転する。そして、大径ローラー31a,31b及び小径ローラー32a,32bで囲まれる領域が米飯流路となる。
【0020】
前述した米飯供給部2から供給される米飯5は、撹拌部材23によって撹拌されているため、粒の向きがばらばらで、多くの空気を含んでいる。このため、そのままの状態で形成すると、成形型への充填量にばらつきが生じたり、しゃり玉(米飯成形体)が形崩れしやすくなったりする。更に形成されるしゃり玉内の空気配分が疎らになるため、良好な食感が得られない。
【0021】
そこで、本実施形態の米飯成形装置1では、大径ローラー31a,31b間及び小径ローラー32a,32b間において、米飯5を圧縮することにより、供給された米飯5の向きを揃えると共に、適度に空気を抜いて、形成されるしゃり玉の空隙の割合を調節する。これにより、しゃり玉内の空気配分を均等にすることができると共に、各成形型に供給される米飯量のばらつきを抑えることができるため、寿司職人が握ったもと同様又はそれ以上の食感が得られる。
【0022】
ここで、本実施形態の米飯成形装置1では、小径ローラー32a,32b間の距離(間隔)を、大径ローラー31a,31b間の距離(間隔)よりも短くしており、米飯流路の幅は、成形部4に近づくに従い狭くなっている。これにより、米飯供給部2から排出された米飯5は、大径ローラー31a,31b間及び小径ローラー32a,32b間を通過する際に、段階的に圧縮されることになる。
【0023】
その際の圧縮率は、特に限定されるものではなく、求められる食感に応じて適宜設定することができるが、例えば、完成品(しゃり玉)の圧縮度を100%としたとき、大径ローラー31a,31bにより20〜30%程度まで圧縮し、その後、小径ローラー32a,32bにより40〜60%程度まで圧縮することができる。これにより、良好な食感のしゃり玉が得られる。
【0024】
また、本実施形態の米飯成形装置1では、ローラー対を構成する各ローラーの回転数に差をつけてもよい。例えば、図示左側に配設された大径ローラー31a及び小径ローラー32aの回転速度を、図示右側に配設された大径ローラー31b及び小径ローラー32bの回転速度よりも速くすることができる。これにより、米飯5の流れに捩りが生じ、米飯5に対して作用する圧力が分散されるため、通流する米飯5に均等な圧力分布と空気の配分を実現することができる。
【0025】
図4(a)及び(b)は各ローラーの形状例を示す断面図である。この圧縮搬送部3に配設される大径ローラー31a,31b及び小径ローラー32a,32bの形状は、特に限定されるものではないが、例えば、図4(a)及び(b)に示すような形状とすることができる。なお、図4(a)に示す側面に断面が略扇型で長手方向に延びる複数の凸部が向きを同じにして等間隔に形成されたローラーを使用する場合は、一のローラーと他のローラーとで凸部の向きが相互に逆になるように配設する。
【0026】
また、本実施形態の米飯成形装置1においては、大径ローラー31a,31bに図4(a)に示す形状のローラーを使用し、小径ローラー32a,32bに図4(b)に示す形状のローラーを使用することが望ましい。これにより、米飯5の圧縮度合いが良好となり、食感に優れたしゃり玉を形成することができる。
【0027】
更に、少なくとも、大径ローラー31a,31b及び小径ローラー32a,32bの前面には、各ローラー間の米飯流路を覆い、米飯5のこぼれを防止する脱落防止カバー(図示せず)を設けることが望ましい。この脱落防止カバーは、少なくとも各ローラー間の米飯流路部分のみを覆う構造であればよいが、例えば、前述したケーシング部材22の前面からすり切り部材33までを覆う構造や、圧縮搬送部3全体を覆う開閉可能な安全カバー内に組み込まれた構造にすることもできる。
【0028】
[成形部4]
成形部4は、圧縮搬送部3を経て供給された米飯5を、所定形状に成形する部分であり、圧縮搬送部3を経て供給された米飯5を成形型に充填する「米飯充填領域」と、充填された米飯5を押圧成形する「成形領域」と、形成されたしゃり玉6に具材を載せたり又は何もせずに回収したりする「仕上げ・回収領域」とが設けられている。また、これら各領域は、それぞれ水平方向に配置されている。
【0029】
この成形部4で使用する成形型は、外型41、底型42及び上型44aに分割されている。図5は外型41の形状を示す上面図である。また、図6(a)は底型42の形状を示す断面図であり、図6(b)は上型44aの形状を示す断面図である。図5に示すように、外型41は、樹脂製の円板内に、平面視で略楕円形状の凹部41aが、その長軸方向が外型41の半径方向になるように、等間隔で形成されており、各凹部41aの底面には、平面視で円形状の貫通孔41bが設けられている。この外型41は、ターンテーブル45上に載置されており、モーター(図示せず)等により、所定速度及び所定間隔で回転するようになっている。
【0030】
また、底型42は、例えば、図6(a)に示す長手方向端部が高く、中心部が低い舟形状をしており、外型41の各凹部41aに嵌入させた状態で使用され、米飯5は、凹部41aの側面及び底型42によって囲まれる空間内に充填される。この底型42の底部には、例えば平面視円形状で、貫通孔41bよりも小径の金属板43が取り付けられており、この金属板43は貫通孔41bを通して露出するようになっている。更に、底型42の上面中央部分には、突起42aが設けられていることが望ましい。この突起42a部分により、しゃり玉(米飯成形体)に空気層が形成されるため、柔らかい食感が得られる。
【0031】
更に、上型44aは、例えば、図6(b)に示す凹型形状をしており、支持体44cに固定された板ばね44bの先端部分に取り付けられている。そして、この支持体44c、板ばね44b及び上型44a等で構成される押圧機構44は、ターンテーブル45の横に設けられている。この押圧機構44は、支持体44cが昇降することにより、上型44aの位置が上下方向に変更可能となっており、支持体44cが下降し、「成形領域」に位置する外型41の凹部41aに上型44aが嵌合することにより、その中に充填されている米飯5を押圧する。
【0032】
ここで、本実施形態の米飯成形装置1では、「成形領域」において上型44aが押圧成形しているときに、「仕上げ・回収領域」に位置している凹部41a内に嵌入している底型42が、外型41の上面と同等又はそれよりも上方まで上昇するようになっている。具体的には、成形部4の「仕上げ・回収領域」には、底型42を昇降させるための昇降棒49が設けられており、この昇降棒49が前述した押圧機構44の支持体44cと連動駆動するようになっている。
【0033】
図7(a)及び(b)は底型及び上型を昇降させる機構の構成及び動作を示す模式図である。図7(a)及び(b)に示すように、この昇降棒49及び支持体44cはいずれも回転体47a,47bに取り付けられており、各回転体47a,47bは、ベルト48で連結されている。そして、この回転体47a,47b及びベルト48により、一方が上昇すると、他方が下降するようになっている。
【0034】
例えば、成形を開始するときは、図7(a)に示すように、ベルト48により回転体47a,47bを回転させて、昇降棒49を上昇させると共に、支持体44cを下降させる。このとき、「仕上げ・回収領域」においては、昇降棒49がターンテーブル45に設けられた貫通孔45a及び外型41の貫通孔41aを通過して上昇し、その上端に取り付けられた磁石50が底型42の金属板43に磁着する。これにより、底型42は昇降棒49に固定され、昇降棒49の上昇により、上方に押し上げられる。一方、「成形領域」においては、支持体44bが下降し、上型42aにより米飯5が押圧される。
【0035】
そして、「仕上げ・回収領域」において完成したしゃり玉6を回収し、「成形領域」での成形が完了すると、図7(b)に示すように、ベルト48により回転体47a,47bを回転させて、支持体44cを上昇させると共に、昇降棒49を下降させる。このとき、「仕上げ・回収領域」においては、昇降棒49は、外型41の貫通孔41a及びターンテーブル45の貫通孔45aを通過して下降する。そして、底型42の底面が外型41の凹部41aの底面の位置まで達すると、底型42はそれ以上降下することができなくなるため、昇降棒49の磁石50と底型42の金属板43とが分離する。また、支持体44c上昇に伴い、上型45aも外型41の凹部41aから外れ、上方に移動する。これにより、ターンテーブル45の回転が可能となる。
【0036】
このように、押圧機構44の支持体44cと、「仕上げ・回収領域」に設けられた昇降棒49とを連動駆動させることにより、装置構成を簡素化することができる。更に、センサー等により「仕上げ・回収領域」におけるしゃり玉6の有無を検知し、しゃり玉6を回収しなければ、次の成形を行わないようにすることで、米飯やしゃり玉の乾燥を防止することができる。この場合、「成形領域」においては、米飯5は型に囲まれた状態にあるため、「仕上げ・回収領域」での作業に時間を要した場合でも、型内の米飯5は乾燥することはない。
【0037】
また、本実施形態の米飯成形装置1においては、外型41に設ける凹部41aの数を、後述する押圧機構44cの設置数に応じて決定している。具体的には、押圧機構44cの設置数がn(nは自然数)個のときは、凹部41aの数を3n個としている。これにより、各凹部41aは、「米飯充填領域」、「成形領域」及び「仕上げ・回収領域」のいずれかに属することになるため、成形型に充填された米飯5及び完成したしゃり玉6の乾燥を最低限に抑えることができる。なお、しゃり玉6の乾燥防止及び小型化の観点からは、押圧機構44cの設置数を1個とし、凹部41aの数を3個とすることが望ましい。
【0038】
更に、本実施形態の米飯成形装置1では、押圧機構44が配置されている側、即ち、ターンテーブル45の回転方向側の小径ローラー31aと、下型42との間に、すり切り部材46を配設している。図8(a)及び(b)はすり切り部材46の動作を模式的に示す平面図である。すり切り部材46は、圧縮搬送部4を経て供給された米飯5を、外型41の凹部41aの側面及び底型42によって囲まれる空間内に、一定量充填するものである。具体的には、図8(a)及び(b)に示すように、外側41が回転する際に、凹部41aから溢れている部分を凹部41a内に押し込み、更に入らない分を取り除くものである。このすり切り部材46を設けることにより、カッターを使用しなくても、成形型に充填される米飯5の量を均一にすることができる。
【0039】
[動作]
次に、前述の如く構成された米飯成形装置1の動作について説明する。本実施形態の米飯成形装置1により、しゃり玉を形成する場合は、先ず、ホッパー21に原料となる寿司飯(米飯5)を投入する。次に、撹拌部材23、大径ローラー31a,31b及び小径ローラー32a,32bを所定時間動作させる。この初期状態では、外型41の各凹部は、「米飯充填領域」、「成形領域」及び「仕上げ・回収領域」のいずれかに位置している。
【0040】
そして、撹拌部材23により解され、更に大径ローラー31a,31b及び小径ローラー32a,32bにより適度に圧縮された米飯5は、「米飯充填領域」に位置している凹部41a内に落下する。このときの落下量(米飯5の充填量)は、撹拌部材23、大径ローラー31a,31b及び小径ローラー32a,32bの動作時間を調節することにより、調節することができる。
【0041】
撹拌部材23、大径ローラー31a,31b及び小径ローラー32a,32bが停止すると、ターンテーブル45が回転する。このとき、図8(a)及び(b)に示すように、すり切り部材46によって、充填された米飯5は、凹部41a内に押し込まれると共に、入らない分が取り除かれる。そして、凹部41aが「成形領域」に達すると、ターンテーブル45の回転が停止し、支持体44cが降下して、上型44aにより米飯5を押圧する。所定時間米飯5を押圧して成形を行った後、支持体44cを上昇させて押圧を解除し、更に、上型44aが待機位置にまで戻し、ターンテーブル45を回転させる。
【0042】
次に、凹部41aが「仕上げ・回収領域」に達すると、ターンテーブル45の回転が停止し、昇降棒49が上昇する。これにより、底型42が押し上げられ、形成されたしゃり玉6が外型41の上面よりも上に位置することとなる。その結果、仕上げ・回収作業が容易になる。なお、このとき、「成形領域」では、支持体44cが下降して押圧成形が行われ、「米飯充填領域」では、所定量の米飯が凹部41a内に充填されている。
【0043】
即ち、本実施形態の米飯成形装置1においては、「米飯充填領域」、「成形領域」及び「仕上げ・回収領域」において、それぞれ同時に、充填工程、成形工程、及び仕上げ・回収工程が行われている。そして、この米飯成形装置1では、「仕上げ・回収領域」において、完成したしゃり玉が底型42から取り除かれない限り、ターンテーブル45は回転せず、次の工程は実施しない。このため、連続して成形を行う従来の装置に比べて、形成したしゃり玉6が乾燥しにくい。
【0044】
以上詳述したように、本実施形態の米飯成形装置1では、押圧機構44支持体44cと底型を上昇させるための昇降棒49とを連動駆動させているため、従来の装置に比べて、成形部4の構成を簡略化することができる。これにより、装置全体を小型化することができる。また、工程数及び押圧機構44の数に基づき、成形型(凹部41a)の数を設定しているため、作業を効率化できると共に、型に充填された米飯5や完成したしゃり玉6の乾燥を防止することができる。
【0045】
更に、本実施形態の米飯成形装置1では、底型42は固定し、板ばね44bに取り付けた上型44aで上方から押圧することにより成形しているため、特許文献1〜4に記載された成形方法に比べて、食感が良好で、またにぎりの硬さの調節も容易に行うことができる。更にまた、この米飯成形装置1では、撹拌部材23やローラーの動作時間の調整及びすり切り部材46によって、成形型への米飯5の充填量を調整しているため、カッターが不要であり、従来装置に比べて、メンテナンス性に優れている。
【0046】
なお、本実施形態の米飯成形装置1では、外型41、底型42及び上型44aの形状を変更することにより、各種形状の米飯成形体を製造することができ、その場合も前述した効果が得られる。
【符号の説明】
【0047】
1 米飯成形装置
2 米飯供給部
3 圧縮搬送部
4 成形部
5 米飯
6 しゃり玉(完成品)
21 ポッパー
22 ケーシング部材
23 撹拌部材
23a 軸体
23b〜23d 撹拌子
24 ガイド部材
31a,31b 大径ローラー
32a,32b 小径ローラー
41 外型
41a 凹部
41b 貫通孔
42 底型
42a 突起
43 金属板
44 押圧機構
44a 上型
44b 板ばね
44c 支持体
45 ターンテーブル
46 すり切り部材
47a,47b 回転体
48 ベルト
49 昇降棒
50 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯成形体を形成する米飯成形装置であって、
原料となる米飯を解しながら送り出す米飯供給部と、
該米飯供給部から排出された米飯を圧縮しながら搬送する圧縮搬送部と、
該圧縮搬送部から供給された米飯を押圧成形する成形部と、を有し、
前記成形部は、複数の成形型と、該成形型内に充填された米飯を押圧する1又は複数の押圧機構と、成形した米飯成形体を上昇させる昇降機構とを備え、
前記押圧機構と前記昇降機構とが連動駆動し、一の成形型において米飯を押圧しているときに、他の成形型内の米飯成形体を上昇させる米飯成形装置。
【請求項2】
前記押圧機構は、成形型内の米飯を押圧する上型と、前記上型を支持する支持部材と、を備えると共に、
前記昇降機構は、磁力によって前記成形型の底部に着脱可能に持着する支承部材を備え、
前記支持部材が上昇しているとき前記支承部材は下降し、前記支承部材が上昇しているとき前記支持部材は下降することを特徴とする請求項1に記載の米飯成形装置。
【請求項3】
前記支持部材及び前記支承部材は、それぞれ回転体に取り付けられており、この1対の回転体を環状のベルトにより連動させて回転させることを特徴とする請求項1又は2に記載の米飯成形装置。
【請求項4】
前記成形部は、前記成形型に米飯を充填する充填領域と、充填された米飯を押圧して成形する成形領域と、成形された米飯成形体を回収する回収領域とが、それぞれ水平方向に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の米飯成形装置。
【請求項5】
寿司用のしゃり玉を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の米飯成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−10553(P2011−10553A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154581(P2009−154581)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(597097515)
【Fターム(参考)】