説明

米飯補填装置、及び同米飯補填装置を具備するおにぎり製造装置

【課題】補填用の米飯が塊状になることがなく、かつ極めて少量の米飯であっても安定的に補填できる米飯補填装置を提供する。
【解決手段】米飯を供給するために、互いに対向する一対のローラ組を、縦方向に複数段設けた供給部と、この供給部の最下段のローラ組の下方に設けられ、供給された所定量の米飯をほぐす羽根部材と、を具備する米飯補填装置とした。また、前記羽根部材は、回転体の周面に複数の羽根を突設した構成であり、前記供給部の対向するローラ間の中心線上に前記回転体の回転中心を位置させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、販売用のおにぎりを製造する際に供される米飯の不足分を補填する米飯補填装置、及び同米飯補填装置を具備するおにぎり製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストア等で販売されているおにぎりは、おにぎり製造装置などによって量産されており、かかるおにぎり製造装置において、米飯量を一定にするために、米飯補填装置を備えたものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。すなわち、かかるおにぎり製造装置では、米飯補填装置により当初供給された米飯(初期供給米飯)の量を規定量よりも僅かに少なめにしておき、正確に計量した初期供給米飯に、不足分の米飯を米飯補填装置によって供給するようにしている。
【0003】
上記特許文献1に開示された米飯補填装置は、図7に示すような構成となっている。図7において、100は米飯送出部を示しており、対向状態に配設した一対の米飯送出ローラ110,110と、その下方に配設されたシャッター部120とを具備している。なお、シャッター部120は、水平方向へ開閉する左右一対のシャッター体121,121により構成されている。
【0004】
かかる構成によれば、米飯送出ローラ110,110間の隙間面積及びローラ回転量から送出する米飯の体積を算出することができるため、所定の体積となる位置でシャッター部120を駆動させれば、所望する重量の米飯を得ることができる。
【0005】
また、シャッター部120の下方には、米飯供給装置(図示せず)によりやはりシート状に成形されて供給された初期供給米飯(図示せず)を搬送する搬送コンベヤ130が配設されている。そして、この搬送コンベヤ130上の初期供給米飯は正確に計量され、おにぎり製造用の供給米飯としての規定量に不足する量が予め算出される。そして、その分量に見合った量の米飯が米飯補填装置により補填されるのである。
【0006】
すなわち、図示しない米飯収容ホッパから供給されてきた米飯を、米飯送出ローラ110,110の回転により下方にシート状にして送出し、所定量分となるようにシャッター体121,121により切断して、下方の初期供給米飯上に落下させるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−89619号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記米飯補填装置は、帯状となった米飯をシャッター体121,121により切断するシャッター方式であるため、切り分けた補填用の米飯は塊(ブロック)状になってしまい、初期供給米飯と補填された米飯とがうまく馴染まず、製品(おにぎり)となったときに食感を損なうおそれがあった。また、シャッター方式帯状となった米飯を少量の米飯に安定的に切り分けることが難しく、少なくとも5g程度以上のボリュームが必要であった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決して、補填用の米飯が塊状になることがなく、かつ極めて少量の米飯であっても安定的に補填できる米飯補填装置、及び同米飯補填装置を具備するおにぎり製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の本発明では、供給された米飯を計量し、所定量に不足した分の米飯を補填供給するための米飯補填装置であって、互いに対向する一対のローラからなるローラ組を、縦方向に複数段設けた供給部と、この供給部の最下段のローラ組の下方に設けられ、供給された所定量の米飯をほぐす羽根部材と、を具備することとした。
【0011】
請求項2記載の本発明では、請求項1に記載の米飯補填装置において、前記ローラ組のうち、最上段のローラ組に間歇駆動による回転動作を行なわせるとともに、補填する米飯量に応じて一回の回転量を制御することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の本発明では、請求項1又は2に記載の米飯補填装置において、前記羽根部材は、回転体の周面に複数の羽根を突設した構成であり、前記供給部の対向するローラ間の中心線上に前記回転体の回転中心を位置させたことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の本発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の米飯補填装置において、前記羽根部材の羽根先端が干渉することのない弧状凹面が形成され、この弧状凹面同士が対向するように前記羽根部材を挟むように米飯ガイド体を配設したことを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の本発明では、所定量の米飯をシート状に成形して供給する米飯供給装置と、この米飯供給装置の下手側に設けられた請求項1〜4のいずれか1項に記載の米飯補填装置と、この米飯補填装置の後段に設けられ、所定重量となったシート状米飯をコンベヤベルトで流しながら冷却する米飯冷却装置と、を備えるおにぎり製造装置とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、充填した米飯が塊になることなく、ほぐされた状態で補填されるため、当初供給された米飯と補填された米飯との馴染みが良く、食感を損なうおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る米飯補填装置を具備するおにぎり製造装置の一例を示す正面図である。
【図2】同米飯補填装置の斜視図である。
【図3】同米飯補填装置の側面図である。
【図4】同米飯補填装置の正面図である。
【図5】同米飯補填装置の前面カバーを外した正面図である。
【図6】米飯冷却装置の説明図である。
【図7】従来の米飯補填装置の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本実施形態のおにぎり製造装置は、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで販売される、商用の量産おにぎりを製造するためのものであり、図1に示すように、上手側(図面中の右側)より、炊き上がった米飯をほぐし、粗熱除去を行うとともに、米飯をシート状に成形する米飯供給部1と、成形されたシート状米飯の重量を計量し、所定量になるように米飯を補填する米飯補填部2と、所定重量となったシート状米飯Rをコンベヤベルト50で流しながら冷却する米飯冷却部3と、冷却されたシート状米飯Rを所定のおにぎり形状に成形する成形部へ受け渡す受け渡し部4とを備えている。図中、符号Bは米飯冷却部3の最下手側に設けられた繋ぎベルトコンベヤを示し、冷却されたシート状米飯Rを受け渡し部4に移送する。また、符号Cは制御盤を示している。
【0018】
なお、受け渡し部4の下手側には、図示しない成形部を備えており、この成形部は、冷却後のシート状米飯Rの両端を上方に折り返して上側を絞り込ませる第1成形装置と、所定の型により最終成形を行う第2成形装置とから構成されている。そして、さらにその下手側には包装部が配設され、この包装部には、成形部により成形されたおにぎりを、所定の包装用フィルムにより包装する包装装置が備えられている。
【0019】
米飯供給装置により構成される米飯供給部1は、米飯ホッパ(図示せず)から搬送経路を経て所定量よりもわずかに少ない量の米飯をシート状に形成して供給する。また、米飯供給部1は、シート状に供給された米飯の正確な重量を計るための計量部を備えている。計量部は、計量機能を有する計量コンベア10により構成され、シート状の米飯を下手側へ搬送可能としている。なお、この計量部による計量結果を示すデータは図示しない制御部に送信され、計量結果を受けた制御部は、おにぎりの規定重量と計量結果との差分を演算し、その差分に相当する量を補填できるように米飯補填部2を制御している。
【0020】
こうして、米飯の効率的な送給を行いながらも、米飯の重量と米飯所定重量との誤差を小さくすることができる。
【0021】
米飯補填部2は、計量コンベア10の下手側に配設され、当該計量コンベア10から受け渡されたシート状米飯Rを下手側の米飯冷却部3へ搬送する搬送コンベア21(図5参照)と、この搬送コンベア21の上方位置に配設された米飯補填装置9とを具備している。
【0022】
以下、本実施形態の要部をなす米飯補填装置9の構成について説明する。米飯補填装置9は、図2〜図5に示すように、互いに対向する一対の大径ローラ91a,91aからなる第1のローラ組91及び小径ローラ92a,92aからなる第2のローラ組92を、縦方向に2段に設けた供給部93と、この供給部93の最下段のローラ組である第2のローラ組92の下方に設けられた羽根部材94とを具備しており、この羽根部材94により、供給部93から供給された所定量の米飯をほぐして下方へ落下させるようにしている。
【0023】
また、本実施形態においては最上段のローラ組となる第1のローラ組91の大径ローラ91a,91aに、それぞれ間歇駆動による回転動作を行なわせるとともに、補填する米飯量に応じて一回の回転量を制御している。
【0024】
すなわち、本おにぎり製造装置には、CPUや各種プログラムやデータなどを記憶したメモリや作業用メモリなどを備え、当該おにぎり製造装置の駆動制御を含む全体的な制御を行う制御部(不図示)が設けられており、この制御部により、大径ローラ91a,91aの回転量を制御して補充する米飯量に応じた量の米飯を下手側に送給可能としている。つまり、大径ローラ91a,91a間の隙間面積及びローラ回転量から、送出する米飯の体積を算出することができるため、大径ローラ91a,91aの1回転当たりの米飯量は演算可能である。したがって、回転量を制御することによって、所望する重量の米飯を得ることができるようになっている。
【0025】
また、羽根部材94は、筒状あるいは棒状とした回転体94aの周面に複数の羽根体94bを所定間隔をあけて突設した構成としており、供給部93のローラ組91,92の各対向する大径ローラ91a,91a間及び小径ローラ92a,92a間の仮想中心線上に回転体94aの回転中心を位置させている。したがって、供給部93のローラ組91,92のように一対の大径ローラ91a,91a及び小径ローラ92a,92aにより供給された米飯を、1つの羽根部材94で簡便にほぐして下方へ落下させて送給すことができる。
【0026】
また、前記大径ローラ91a,91aの回転量の制御と、羽根部材54とを用いることにより、例えば不足分の米飯重量が1gであっても補填可能である。
【0027】
なお、羽根体94bの形状や突設角度としては、特に限定するものではないが、棒状に供給されてくる米飯をほぐすのに適するように適宜決定されている。
【0028】
また、本実施形態に係る羽根部材94は、その羽根体94bの先端が干渉することのないように、内側面に弧状凹面95a,95aがそれぞれ形成された米飯ガイド体95,95を、弧状凹面95a,95a同士が対向するように、かつ、羽根部材94を挟むように配設している。
【0029】
かかる構成により、供給部93から供給された充填用の米飯を、米飯ガイド体95,95と羽根体94bとの間で均等にほぐし、直下のシート状米飯Rの上に、塊となることなく落下させて、シート状米飯Rが所定量となるように米飯の充填をすることができる。
【0030】
次に、米飯補填部2の下手側に配設された米飯冷却装置からなる米飯冷却部3について説明すると、米飯冷却部3は、図1及び図6に示すように、ベルトコンベヤ5と、冷気を供給する冷気供給装置6と、シート状米飯Rを搬送する前記ベルトコンベヤ5の上方に配設された冷気吹出装置7と、ベルトコンベヤ5を介してシート状米飯Rの下方から冷気を吸引する吸引装置8とを備えている。
【0031】
ベルトコンベヤ5は、回転ローラ51やテンションローラ52や従動ローラ53などを介して通気性を有する無端状のコンベヤベルト50を巻回して構成している。通気性を有する無端状コンベヤベルト50としては、例えば、小孔が多数形成されたものを使用したり、あるいは、網目状の材料を使用したりすることができる。
【0032】
冷気供給装置6としては、圧縮空気を供給するだけで冷気を発生する既知のエアクーラ(図示せず)を用いており、ベルトコンベヤ5の裏側に設けている。なお、かかるエアクーラでは、筒状体の内部にコンプレッサからの高圧空気を送って渦流を発生させ、渦流にはたらく大きな遠心力によって圧力及び密度を急上昇させて抵抗を増加して温度を上昇させる。このとき、渦流の外側ほど周速が大きくなるとともに、温度も高くなるため、渦流の中心部の間とに大きな圧力差を生じ、渦流の中心部を空気が冷気の出口へ移動する時に膨張しながら減速による制動作用のため外側の渦流に対して熱交換される。したがって、外側では温度が上がり、中心部には低温空気(冷気)ができ、この冷気を供給するようにしている。かかるエアクーラは複数個配設され、ベルトコンベヤ5の上方に位置するコンベヤベルト50の直上方に臨設された冷気吹出装置7の各冷却用ローラ70にそれぞれ連通連結している。
【0033】
冷気吹出装置7は、コンベヤベルト50の幅方向に延びる軸を中心軸とする複数の冷却用ローラ70を互いに近接させた状態でベルトコンベヤ5の長手方向に沿って並列して構成されており、各冷却用ローラ70と各エアクーラとがそれぞれ連通連結している。
【0034】
また、冷却用ローラ70は、外周面に複数の突起70aが形成されるとともに、中心軸として片持支持された中空軸(不図示)に遊嵌されている。そして、中空軸の基端側から前記エアクーラからの冷気が供給されるように構成するとともに、この中空軸と冷却用ローラ70に形成した複数の冷気通路(不図示)とを、中空軸の下半部に形成した連通孔を介して連通している。
【0035】
また、各冷気通路は、冷却用ローラ70の表面に開口した冷気吹出孔に連通している。なお、冷気吹出孔としては、少なくとも突起70aの最外部に開口しておけばよいのであるが、本実施形態では、突起70aの先端の他、ローラ表面にも冷気吹出孔を多数設けている。
【0036】
吸引装置8は、図示しない吸気装置と、この吸気装置に連通連結する複数のダクト81とから構成されており、ダクト81をベルトコンベヤ5のコンベヤベルト50の周回部分の内側に組み込み、上側に位置するコンベヤベルト50の直下にダクト81の開口部を臨ませている。本実施形態では、図示するように、ベルトコンベヤ5を長手方向に4区画に分け、各区画に2本のダクト81を並設している。
【0037】
かかる構成により、本実施形態に係る米飯冷却部3によれば、薄く形成されたシート状米飯Rを、ベルトコンベヤ5で搬送しつつ、冷却用ローラ70から冷気を送るとともに、ベルトコンベヤ5の下方から、冷却用ローラ70から送られた冷気を吸引して、当該冷気をシート状米飯Rの内部を通過させることによってシート状米飯Rを効率良く冷却することが可能となる。しかも、米飯に空気を含有させることができ、食感を向上させることができる。
【0038】
ところで、本実施形態では、冷却用ローラ70は、シート状米飯Rをコンベヤベルト50と協働して挟持可能な位置に配設されている。すなわち、本実施形態に係る米飯冷却部3は、冷却用ローラ70を、シート状米飯Rと当接するように配設し、シート状米飯Rを当該冷却用ローラ70とベルトコンベヤ5のコンベヤベルト50とで挟持しながら搬送可能に構成している。
【0039】
したがって、各冷却用ローラ70の表面に形成された突起70aは、シート状米飯Rを搬送する際には当該シート状米飯Rの内部に食い込むことになる。そのため、各突起70aの先端に形成された冷気吹出孔は、シート状米飯Rの中で直接米飯に冷気を吹き出すことになり、より効率良く米飯冷却を行うことができる。
【0040】
ここで、本実施形態に係るおにぎり製造装置によりおにぎりが製造されていく工程について説明する。
【0041】
先ず、米飯供給部1に、約70℃程度の高温の米飯が供給され、米飯供給部1において供給された米飯をほぐすとともに粗熱を除去する。粗熱の除去は、自然放熱が主となるが、ファンなどを用いて強制的に温度低下を図ってもよい。
【0042】
そして、所定量に計量された米飯をシート状に成形し、成形されたシート状米飯Rを次工程に送る。このとき、シート状米飯Rの温度は約40〜50℃であり、各シート状米飯Rは、それぞれ10mm程度の一定の間隔をあけて、1個ずつ送られていく。なお、各シート状米飯Rの所定量とは、おにぎり一個部分の量よりも若干少なめの重量で規定されている。そして、計量されたシート状米飯Rが米飯補填部2に送られる。
【0043】
米飯補填部2においては、計量されたシート状米飯Rと、実際のおにぎり1個部の重量とに基づいて、実際の重量に対する不足分を補填する。このとき、米飯補填装置9における大径ローラ91a,91aの回転量を制御することによって、所望する重量の米飯を補填用として得ることができる。
【0044】
しかも、補填される米飯は、羽根部材94によって、塊状から十分にほぐされた状態にされて下方へ送給される。そのため、補填された米飯はシート状米飯Rと馴染み易く、製品である「おにぎり」としての所定の形状(例えば三角)に成形されたときに、米飯が後に補填されているにも拘わらず食感を損なうおそれがない。
【0045】
次いで、シート状米飯Rはベルトコンベヤ5により搬送されながら米飯冷却部3により急速に冷却される。なお、本実施形態では、25℃程度まで冷却することとしている。
【0046】
すなわち、米飯冷却部3のコンベヤベルト50上に載置されたシート状米飯Rは、その上方に配設された冷却用ローラ70との間で挟持されながら搬送されることになる。このとき、冷却用ローラ70の突起70aがシート状米飯Rの中に突き刺さった状態となる。突起70aの先端には冷気吹出孔が形成されているため、冷気吹出孔を介して冷気がシート状米飯Rの内部に吹き込まれる。
【0047】
冷却用ローラ70の表面には、前述したように、冷気吹出孔の他にも多数の冷気吹出孔が形成されているため、シート状米飯Rの表面には、これら多数の冷気吹出孔から0〜5℃に調整された冷気が吹き出される。ここで用いられる冷気は、前述した既知のエアクーラから送られるが、エアクーラに導入される空気、あるいはエアフィルタから出た空気は、予めフィルタなどを通して浄化された空気としておくことが望ましい。
【0048】
他方、上側のコンベヤベルト50の直下には、吸引装置8のダクト81の上端開口部が臨んでおり、冷却用ローラ70から噴出された冷気をシート状米飯Rの下方から吸引している。したがって、冷却用ローラ70からの冷気は、シート状米飯Rの外部及び内部に広く接触して熱を奪い、効率的に冷却することが可能となる。
【0049】
こうして、本実施形態によれば、米飯をほぐしてシート状米飯R上に補填するため、補填された米飯は元々供給された米飯(シート状米飯R)と馴染み易く、しかも、正確に軽量されてベルトコンベヤ5で搬送される。そして、短時間で急速冷却されて受け渡し部4を介して成形部へと送られ、所定のおにぎり形状へと成形される。このとき、米飯冷却部3におけるシート状米飯Rの冷却に時間を要さないため、シート状米飯Rはその表面が乾燥したりすることもなく、適度な保湿状態を維持しながら後工程の成形部へと送られる。また、補填された米飯は十分にほぐされているため、成形後におにぎりとして製品化されたときに、食感を損なうことがない。
【0050】
本実施形態では、成形部の第1成形装置により、中央に具材が載置されたシート状米飯Rをベルト搬送しながら、その両端を搬送しているベルトによって上方に折り返して上側を絞り込ませて塊状にして、その後、三角あるいは四角の所定形状のおにぎり型からなる第2成形装置で最終成形をしているが、成形部の構成は特に限定されるものではない。
【0051】
ところで、上述の実施形態では、シート状米飯Rを冷却用ローラ70とベルトコンベヤ5のコンベヤベルト50とで挟持しながら搬送可能に構成したが、必ずしもかかる構成に限定されるものではない。
【0052】
冷却用ローラ70をシート状米飯Rから離隔して配設してもよいし、そもそも冷気吹出装置をローラ型とせずに、搬送されるシート状米飯Rに冷気を吹き付け可能であればいかなる構成であってもよい。
【0053】
上述してきた実施形態より、以下の米飯補填装置が実現される。
【0054】
例えば、シート状に形成されて供給されたシート状米飯Rを計量し、所定量に不足した分の米飯を補填供給するための米飯補填装置9であって、互いに対向する一対の大径ローラ91a,91aからなる第1のローラ組91及び小径ローラ92a,92aからなる第2のローラ組92を、縦方向に2段に設けた供給部93と、この供給部93の小径ローラ92a,92a(最下段のローラ組)の下方に設けられ、供給された所定量の米飯をほぐす羽根部材94と、を具備する米飯補填装置9。
【0055】
かかる米飯補填装置9によれば、補填する米飯が塊状ではなくほぐされた状態となるので、最初に供給されるシート状米飯Rに対して馴染みがよく、おにぎりに成形したときの食感を損なうことがない。
【0056】
上記構成において、前記ローラ組91,92のうち、大径ローラ91a,91aからなる第1のローラ組91(最上段のローラ組)に間歇駆動による回転動作を行なわせるとともに、補填する米飯量に応じて一回の回転量を制御することを特徴とする米飯補填装置9。
【0057】
かかる米飯補填装置9によれば、大径ローラ91a,91aの回転量を制御することによって、所望する重量の米飯を補填用として得ることができる。
【0058】
上記構成において、羽根部材94は、回転体94aの周面に複数の羽根体94b(羽根)を突設した構成であり、供給部93の対向する大径ローラ91a,91aの間や小径ローラ92a,92aの間(ローラ間)の中心線上に回転体94aの回転中心を位置させた米飯補填装置9。
【0059】
かかる米飯補填装置9によれば、供給部93のローラ組91,92のように一対の大径ローラ91a,91a及び小径ローラ92a,92aとにより供給された米飯を、1つの羽根部材94で簡便にほぐすことができる。
【0060】
また、上記構成において、羽根部材94の羽根体94bの先端(羽根先端)が干渉することのない弧状凹面95aが形成され、この弧状凹面95a,95a同士が対向するように羽根部材94を挟むように米飯ガイド体95を配設した米飯補填装置9。
【0061】
かかる米飯補填装置9によれば、供給部93から供給された充填用の米飯を、米飯ガイド体95,95と羽根体94bとの間で均等にほぐし、直下のシート状米飯Rの上に、塊となることなく落下させて、シート状米飯Rが所定量となるように米飯の充填をすることができる。
【0062】
所定量の米飯をシート状に成形して供給する米飯供給部1(米飯供給装置)と、この米飯供給装置の下手側に設けられた米飯補填装置9と、この米飯補填装置9の後段に設けられ、所定重量となったシート状米飯Rをコンベヤベルトで流しながら冷却する米飯冷却部3(米飯冷却装置)と、を備えるおにぎり製造装置。
【0063】
かかるおにぎり製造装置によれば、極めてコンパクトな構成としながら、おにぎりの重量を均一にすることができるとともに、シート状米飯を乾燥させることなく急速に所定温度まで冷却することができ、シート状米飯から形成された食感のよいおにぎりを効率良く製造することができる。
【0064】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することの無い限り、適宜設計変更したものを含めて本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0065】
R シート状米飯
1 米飯供給部
2 米飯補填部
3 米飯冷却部
4 受け渡し部
5 ベルトコンベヤ
6 冷気供給装置
7 冷気吹出装置
8 吸引装置
9 米飯補填装置
91 第1のローラ組
92 第2のローラ組
91a 大径ローラ
92a 小径ローラ
93 供給部
94 羽根部材
94a 回転体
94b 羽根体
95 米飯ガイド体
95a 弧状凹面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された米飯を計量し、所定量に不足した分の米飯を補填供給するための米飯補填装置であって、
互いに対向する一対のローラからなるローラ組を、縦方向に複数段設けた供給部と、
この供給部の最下段のローラ組の下方に設けられ、供給された所定量の米飯をほぐす羽根部材と、
を具備することを特徴とする米飯補填装置。
【請求項2】
前記ローラ組のうち、最上段のローラ組に間歇駆動による回転動作を行なわせるとともに、補填する米飯量に応じて一回の回転量を制御することを特徴とする請求項1に記載の米飯補填装置。
【請求項3】
前記羽根部材は、回転体の周面に複数の羽根を突設した構成であり、前記供給部の対向するローラ間の中心線上に前記回転体の回転中心を位置させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の米飯補填装置。
【請求項4】
前記羽根部材の羽根先端が干渉することのない弧状凹面が形成され、この弧状凹面同士が対向するように前記羽根部材を挟むように米飯ガイド体を配設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の米飯補填装置。
【請求項5】
所定量の米飯をシート状に成形して供給する米飯供給装置と、
この米飯供給装置の下手側に設けられた請求項1〜4のいずれか1項に記載の米飯補填装置と、
この米飯補填装置の後段に設けられ、所定重量となったシート状米飯をコンベヤベルトで流しながら冷却する米飯冷却装置と、
を備えるおにぎり製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−235754(P2012−235754A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108117(P2011−108117)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000236746)不二精機株式会社 (48)
【Fターム(参考)】