説明

籾摺り選別機

【解決手段】脱ぷ処理状態Pにおいて、脱ぷ装置3の出口21と選別装置4の入口とを互いに分離するとともに、選別装置4の風口を脱ぷ装置3の出口21に対し分離して、台2上に脱ぷ装置3と選別装置4とを互いに独立して並設している。脱ぷ装置3のみを独立して機能させて、玄米と籾殻とを含む混合米を玄米と籾殻との選別前に回収する。脱ぷ後は、選別装置4を脱ぷ装置3に対し回動させる切替え操作により、選別装置4の風口を脱ぷ装置3の出口21に対し接続して選別処理状態Qにすることができる。その選別処理状態Qにおいて、ファンによる脱ぷ装置3の出口21からの風を選別装置4の風口で利用して選別装置4を機能させ、脱ぷされた混合米を玄米と籾殻とに選別してそれらを回収する。
【効果】籾摺り選別機1を携帯に便利なように小型化することが可能となる。また、脱ぷ装置3と選別装置4とでファンを兼用して電力を節約することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾を脱ぷして玄米と籾殻とを含む混合米を排出する脱ぷ装置と、混合米を選別して玄米と籾殻とを排出する選別装置とを備えた籾摺り選別機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農家の高齢化や米の低価格化などが原因して、稲作の委託及び請負が全国的に行なわれている。請負業者は、コンバインで本格的に稲を刈り取る前に現地の圃場などで少量の生籾を籾摺り選別することができれば、今年の稲の品質や刈取りの適正時期を現地の圃場などで知って、委託農家に説明することができる。営農であれば、今年の稲の品質を知ることにより事前に販売先を思案することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−34570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、例えば上記特許文献1で開示されているような大型の籾摺り選別機しか現存せず、現地の圃場などに簡単に持ち込んで少量の生籾を籾摺り選別することができる携帯に便利な小型籾摺り選別機は開発されていない。また、そのような大型の籾摺り選別機では、通常、風力を維持して籾を円滑に処理するために脱ぷ装置用のファンと選別装置用のファンとをそれぞれ必要とするので、それぞれのファンに電力を供給することができる電源設備を現地の圃場などに持ち込まなければならず、コンバインで本格的に稲を刈り取る前に現地の圃場などで少量の生籾を籾摺り選別する作業が困難になっていた。
【0005】
この発明は、従来の籾摺り選別機とは設計思想を異にして、携帯に便利で且つ大きな電力を必要としない小型籾摺り選別機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態の図面(図1〜7)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる籾摺り選別機(1)は、入口(20)から供給された籾を脱ぷ室(8)内のファン(9)の回転により脱ぷして玄米と籾殻とを含む混合米を出口(21)へ排出する脱ぷ装置(3)と、入口(30)から供給された混合米を選別室(26,27)に風口(25)から送られる風の力で比重差により選別して玄米と籾殻とをそれぞれ出口(29,31)へ排出する選別装置(4)とを互いに並設している。前記脱ぷ装置(3)においてファン(9)の回転により生じる風を出口(21)から排出させ得る脱ぷ処理状態(P)のほかに、その風を前記選別装置(4)の風口(25)へ排出させ得る選別処理状態(Q)を取り得る。
【0007】
請求項1の発明では、例えば台(2)上に脱ぷ装置(3)と選別装置(4)とを互いに独立して並設し、脱ぷ処理状態(P)で脱ぷ装置(3)のみを独立して機能させることができるばかりではなく、脱ぷ後に選別処理状態(Q)で脱ぷ装置(3)からの風を有効に利用して選別装置(4)を機能させることができるので、籾摺り選別機(1)を携帯に便利なように小型化することが可能となる。しかも、脱ぷ装置(3)と選別装置(4)とでファン(9)を兼用しているので、従来の大型の籾摺り選別機とは異なり大きな電力を必要とせず、コンバインで本格的に稲を刈り取る前に現地の圃場などで少量の生籾を籾摺り選別する作業を容易に行なうことができる。
【0008】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記脱ぷ装置(3)の出口(21)と前記選別装置(4)の入口(30)とは互いに分離されている。請求項2の発明では、脱ぷ処理状態(P)で脱ぷ装置(3)のみを独立して機能させて玄米と籾殻とを含む混合米を玄米と籾殻との選別前に回収することができるとともに、必要に応じて出口(21)と入口(30)とを管などで互いに接続すれば、その混合米を入口(30)に自動供給することができる。
【0009】
請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記選別装置(4)は脱ぷ処理状態(P)と選別処理状態(Q)との間で前記脱ぷ装置(3)に対し相対移動可能に設けられ、この選別装置(4)の風口(25)はこの脱ぷ装置(3)の出口(21)に対し脱ぷ処理状態(P)で分離されるとともに選別処理状態(Q)で接続される。請求項3の発明では、脱ぷ装置(3)に対し選別装置(4)を相対移動させるだけで、脱ぷ処理状態(P)と選別処理状態(Q)とに容易に切り替えることができる。
【0010】
請求項1から請求項3のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項4の発明において、前記選別装置(4)の風口(25)には選別処理状態(Q)で前記脱ぷ装置(3)の出口(21)から選別室(26,27)に送られる風の力を弱める抵抗手段(25a)を設けている。例えば、抵抗手段として、通風面積を狭めるために、複数の通風孔とその通風孔の周囲の抵抗部を形成した抵抗板(25a)を利用する。請求項4の発明では、脱ぷ室(8)で籾を円滑に脱ぷすることができる風力のまま出口(21)から風口(25)に風を送っても、抵抗手段(25a)で弱められた風により選別室(26,27)で混合米を円滑に選別して玄米と籾殻とに分離することができる。
【0011】
請求項1から請求項4のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項5の発明において、前記脱ぷ装置(3)の入口(20)には脱ぷ室(8)への籾の供給を阻止する閉状態(B)と許容する開状態(A)とを取り得るシャッター(17)を設け、前記選別装置(4)の入口(30)には選別室(26,27)への混合米の供給を阻止する閉状態(B)と許容する開状態(A)とを取り得るシャッター(32)を設けている。請求項5の発明では、シャッター(17)により、入口(20)から脱ぷ室(8)に供給する籾の量を調整して籾の脱ぷ機能を高めることができ、また、シャッター(32)により、入口(30)から選別室(26,27)に供給する混合米の量を調整して玄米と籾殻との分離機能を高めることができる。
【0012】
請求項5の発明を前提とする請求項6の発明において、前記脱ぷ装置(3)の入口(20)のシャッター(17)は選別処理状態(Q)で閉状態(B)を維持するようにストッパ(37)などにより規制される。請求項6の発明では、選別処理状態(Q)で脱ぷ装置(3)の入口(20)に籾が不用意に供給されても、その籾が脱ぷ装置(3)の出口(21)を経て選別装置(4)の風口(25)から選別室(26,27)へ入り込んで入口(30)から供給された混合米と混ざり合うおそれはなくなる。従って、入口(30)から供給された混合米のみを選別室(26,27)で選別して玄米と籾殻との分離機能を高めることができる。
【0013】
請求項1から請求項6のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項7の発明にかかる脱ぷ装置(3)において、ファン(9)は脱ぷ室(8)で鉛直軸(10)を中心に回転し、入口(20)は脱ぷ室(8)上に配設されている。例えば、籾はファン(9)の鉛直軸(10)の周辺でファン(9)内の羽根室(14)に入口(20)から供給される。請求項7の発明では、入口(20)から脱ぷ室(8)に供給された籾が鉛直軸(10)の外周で平均的に分散して脱ぷされるため、籾の脱ぷ機能を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、互いに並設した脱ぷ装置(3)と選別装置(4)とのうち、脱ぷ装置(3)のみを独立して機能させることができるばかりでなく、脱ぷ後に脱ぷ装置(3)からの風を有効に利用して選別装置(4)を機能させることができる設計思想を採用して、携帯に便利で且つ大きな電力を必要としない小型籾摺り選別機(1)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本実施形態にかかる籾摺り選別機において脱ぷ処理状態を示す平面図であり、(b)は同じく選別処理状態を示す平面図である。
【図2】(a)は本実施形態にかかる籾摺り選別機において脱ぷ処理状態を示す正面図であり、(b)は同じく選別処理状態を示す正面図である。
【図3】(a)は本実施形態にかかる籾摺り選別機において脱ぷ処理状態を示す一部切欠き側面図であり、(b)は同じく選別処理状態を示す一部切欠き側面図である。
【図4】図2(a)に示す脱ぷ処理状態を正面側から見た断面図である。
【図5】図1(a)に示す脱ぷ処理状態を平面側から見た断面図である。
【図6】図2(b)に示す選別処理状態を正面側から見た断面図である。
【図7】図1(b)に示す選別処理状態を平面側から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態にかかる籾摺り選別機について図面を参照して説明する。
籾摺り選別機1は、台2上で互いに並設された脱ぷ装置3と選別装置4とを備え、図1(a)、図2(a)及び図3(a)に示す格納運搬状態における平面視の縦横幅寸法や正面視及び側面視の高さ寸法がそれぞれ約300mm前後に抑えられて携帯に便利な小型となるように設計されている。その脱ぷ装置3と選別装置4とは、図1(a)、図2(a)、図3(a)、図4及び図5に示す脱ぷ処理状態Pで互いに分離され、図1(b)、図2(b)、図3(b)、図6及び図7に示す選別処理状態Qで互いに結合される。
【0017】
脱ぷ処理状態Pにある脱ぷ装置3においては、台2上に載設された軸受収容筒5上に脱ぷ筒6が取着されているとともに、脱ぷ筒6上にホッパー7が取着され、脱ぷ筒6内に形成された脱ぷ室8にファン9が収容されている。ファン9は、軸受収容筒5から脱ぷ室8に延びる回転軸10(鉛直軸)を中心に回転する。台2上に載設された電動モータ11の回転は台2の内側で回転軸10に伝えられる。ファン9においては、上板12と下板13との間に形成された羽根室14で複数の羽根15が回転軸10を中心に回転方向へ等間隔に配設され、羽根室14の外周が各羽根15間で脱ぷ室8に開放されている。脱ぷ筒6の内周にはゴムライニング16がファン9の外周に沿って貼られている。脱ぷ筒6とホッパー7との間には開口17aを有するシャッター17が台2上の支軸18を中心に手動操作により回動可能に支持されている。シャッター17の下方で脱ぷ筒6に設けられた口筒19が回転軸10の中心で脱ぷ室8を通してファン9の上板12から羽根室14に挿入され、口筒19の外周に形成された供給口19aが羽根室14に開放されている。シャッター17は、ホッパー7の底部に形成された籾の入口20に対し口筒19が開口17aを介して連通する開状態Aと遮断される閉状態Bとを取り得る。脱ぷ筒6の外周には玄米と籾殻とを含む混合米の出口21がファン9の回転方向に対する接線方向に沿って開放されている。出口21の外周には接続板22が取着されている。ファン9の回転により脱ぷ室8で生じる風は出口21から排出される。
【0018】
脱ぷ処理状態Pにある選別装置4の全体は、シャッター17の回動中心でもある支軸18を中心に台2上で回動可能に支持され、選別装置4を形成する箱23で台2上の磁石24により保持されている。箱23には脱ぷ筒6の出口21が開放された向きに対し直角に向いて開放された風口25が形成されている。風口25には網状に打ち抜かれた抵抗板25a(抵抗手段)が嵌め込まれている。抵抗板25aには、通風面積を狭めるために、複数の通風孔とその通風孔の周囲の抵抗部が形成されている。風口25は出口21に対し分離されているため、脱ぷ室8で生じた風は風口25に送られない。
【0019】
そのほか選別装置4の箱23においては、図6に示すように、風口25から横向きに延びる導入通路26(選別室)と、導入通路26に対し斜め上方へ延びる浮遊通路27(選別室)とが互いに一連に設けられているとともに、これらの通路26,27の上方には脱ぷ筒6の出口21に対し分離されたホッパー28が設けられている。浮遊通路27の上端部には籾殻の排出口29が設けられている。これらの通路26,27の交差部の付近で、ホッパー28の底部に混合米の入口30が設けられているとともに、入口30の下方で玄米の排出口31が設けられている。ホッパー28内には閉塞部32aにより入口30を開閉するシャッター32が手動操作によりスライド可能に支持されている。シャッター32の下端部には閉塞部32aがホッパー28の底部に当接して入口30を閉じた状態でその底部に対し若干離間する落下規制部32bが閉塞部32aに対し収容室32cをあけて形成されている。シャッター32は、ホッパー28の底部に形成された混合米の入口30に対し導入通路26が連通する開状態Aと遮断される閉状態Bとを取り得る。導入通路26と浮遊通路27との交差部でそれらの通路26,27や入口30や排出口31を外側から見ることができる窓33が図2(b)に示すように箱23に設けられている。排出口29で箱23には支持腕34が回動可能に支持されて図3(a)に示す垂下状態と図2(b)に示す突出状態とを取り得る。
【0020】
なお、籾摺り選別機1を稼働させる電源としては、現地の圃場などに持ち込む自動車のシガレットソケット及びバッテリーや、屋内における家庭用100V電源などを利用することができる。
【0021】
まず、脱ぷ処理状態Pにある籾摺り選別機1により、籾を脱ぷして玄米と籾殻とを含む混合米を回収する場合について述べる。
脱ぷ筒6の出口21には予め収容袋35が被せられ、出口21と収容袋35の口部とが磁石により互いに吸着されて保持される。シャッター17によりホッパー7の入口20を閉じた閉状態Bでホッパー7に少量の籾を供給した後、シャッター17を開状態Aにしてホッパー7の入口20を開くと、ホッパー7の籾はシャッター17の開口17aから口筒19に落下して脱ぷ室8で供給口19aからファン9の回転軸10の周辺で羽根室14に供給される。羽根室14の籾は、ファン9の回転により羽根15と衝突して脱ぷされ、玄米と籾殻とを含む混合米として出口21から排出されて収容袋35に回収される。
【0022】
次に、選別処理状態Qにある籾摺り選別機1により、脱ぷされた混合米を玄米と籾殻とに選別してそれらを回収する場合について述べる。
脱ぷ処理状態Pにある選別装置4の全体を台2上で支軸18を中心に90度回動させて箱23を台2上の磁石24から離し、箱23の風口25を脱ぷ筒6の出口21に対向させて箱23を出口21側の接続板22に対し止め具36により係止すると、風口25が出口21に接続されて籾摺り選別機1が選別処理状態Qとなり、脱ぷ室8で生じた風を出口21から風口25に送ることができる。その際、脱ぷ装置3においてシャッター17は、箱23に設けられたストッパ37に当接するため、閉状態Bを維持してホッパー7の入口20を常に閉じ、その入口20から脱ぷ室8への籾の供給を阻止する。また、箱23の支持腕34を垂下状態から突出状態にしてその支持腕34に収容袋38を被せる。
【0023】
そのような籾摺り選別機1の選別処理状態Qにおいて、前述した脱ぷ処理で収容袋35に回収した混合米をホッパー28に供給する。ホッパー28では、混合米が落下規制部32bに当たった後に収容室32cで閉塞部32aに当たって溜まる。その後、シャッター32の閉塞部32aをホッパー28の入口30に対し開くと、混合米が収容室32cに少しずつ補充されながら入口30から落下し、出口21から風口25に送られた風が抵抗板25aにより弱められながら導入通路26と浮遊通路27との交差部で混合米に衝突する。混合米はその風の力で比重差により選別され、玄米より軽い籾殻は風の力で玄米から分離されて浮遊通路27に浮き上がり、排出口29に運ばれて収容袋38に回収されるとともに、籾殻より重い玄米は籾殻から分離されてそのまま排出口31に落下して回収される。
【0024】
逆に、選別処理状態Qにある選別装置4の全体を台2上で支軸18を中心に90度回動させれば、籾摺り選別機1を脱ぷ処理状態Pに戻すことができる。
本実施形態は下記の効果を有する。
【0025】
(1) 脱ぷ処理状態Pにおいて、脱ぷ装置3の出口21と選別装置4の入口30とを互いに分離するとともに、選別装置4の風口25を脱ぷ装置3の出口21に対し分離して、台2上に脱ぷ装置3と選別装置4とを互いに独立して並設したので、脱ぷ装置3のみを独立して機能させて、玄米と籾殻とを含む混合米を玄米と籾殻との選別前に回収することができる。脱ぷ後は、選別装置4を脱ぷ装置3に対し回動させるだけの容易な切替え操作により、選別装置4の風口25を脱ぷ装置3の出口21に対し接続して選別処理状態Qにすることができる。その選別処理状態Qにおいて、脱ぷ装置3の出口21からの風を選別装置4の風口25で有効に利用して選別装置4を機能させ、脱ぷされた混合米を玄米と籾殻とに選別してそれらを回収することができる。このような設計を採用して、籾摺り選別機1を携帯に便利なように小型化することが可能となる。
【0026】
(2) 脱ぷ装置3と選別装置4とでファン9を兼用しているので、電力を節約することができるとともに従来の大型の籾摺り選別機とは異なり大きな電力を必要とせず、自動車のシガレットソケット及びバッテリーなどを利用することができる。従って、コンバインで本格的に稲を刈り取る前に現地の圃場などで少量の生籾を籾摺り選別する作業を容易に行なうことができる。また、屋内において家庭用100V電源も利用することができる。
【0027】
(3) 選別処理状態Qにおいて、脱ぷ室8で籾を円滑に脱ぷすることができる風力のまま出口21から風口25に風を送っても、抵抗板25aで弱められた風により混合米を円滑に選別して玄米と籾殻とに分離することができる。
【0028】
(4) 脱ぷ装置3において入口20から脱ぷ室8に供給する籾の量をシャッター17により調整して籾の脱ぷ機能を高めることができる。また、選別装置4において入口30から供給する混合米の量をシャッター32により調整して玄米と籾殻との分離機能を高めることができる。
【0029】
(5) 脱ぷ装置3の入口20のシャッター17を選別処理状態Qで閉状態Bを維持するようにストッパ37により規制したので、選別処理状態Qで入口20に籾が不用意に供給されても、その籾が出口21を経て選別装置4の風口25から入り込んで入口30からの混合米と混ざり合うおそれはなくなり、入口30から供給された混合米のみを選別して玄米と籾殻との分離機能を高めることができる。
【0030】
(6) 脱ぷ装置3において、ファン9を脱ぷ室8で鉛直の回転軸10を中心に回転させ、入口20を脱ぷ室8上に配設し、籾を回転軸10の周辺で羽根室14に入口20から供給したので、籾を回転軸10の外周で平均的に分散して脱ぷして籾の脱ぷ機能を高めることができる。
【0031】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 前記実施形態では選別装置4を脱ぷ装置3に対し回動させたが、逆に脱ぷ装置3を選別装置4に対し回動させたり、選別装置4と脱ぷ装置3とを共に回動させたりしてもよい。
【0032】
・ 選別装置4を脱ぷ装置3に対し回動させずに、選別処理状態Qで脱ぷ装置3の出口21と選別装置4の風口25とを可撓管で着脱可能に接続して、脱ぷ処理状態Pでその可撓管を取り外してもよい。
【0033】
・ 収容袋35に混合米を回収しない場合には、収容袋35に代えて、脱ぷ装置3の出口21と選別装置4の入口30とを可撓管で着脱可能に接続して混合米を出口21から入口30に自動供給してもよい。
【0034】
・ 前記実施形態ではファン9が鉛直の回転軸10を中心に回転するが、ファンが水平の回転軸を中心に回転するようにしてもよい。
・ 選別装置4の風口25の抵抗手段としては、複数の通風孔を形成した抵抗板25a以外に、脱ぷ装置3の出口21から風口25に至る前の通路で通路容積を大きくした風力減少室を設けてもよい。
【0035】
・ ホッパー7のシャッター17やホッパー28のシャッター32を省略したり、ストッパ37を省略したりしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…籾摺り選別機、2…台、3…脱ぷ装置、4…選別装置、8…脱ぷ室、9…ファン、10…ファンの回転軸(鉛直軸)、17…脱ぷ装置のシャッター、20…脱ぷ装置の入口、21…脱ぷ装置の出口、25…選別装置の風口、25a…風口の抵抗板(抵抗手段)、26…導入通路(選別室)、27…浮遊通路(選別室)、29…籾殻の排出口、30…混合米の入口、31…玄米の排出口、32…選別装置のシャッター、37…ストッパ、P…脱ぷ処理状態、Q…選別処理状態、A…シャッターの開状態、B…シャッターの閉状態。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口から供給された籾を脱ぷ室内のファンの回転により脱ぷして玄米と籾殻とを含む混合米を出口へ排出する脱ぷ装置と、入口から供給された混合米を選別室に風口から送られる風の力で比重差により選別して玄米と籾殻とをそれぞれ出口へ排出する選別装置とを互いに並設し、前記脱ぷ装置においてファンの回転により生じる風を出口から排出させ得る脱ぷ処理状態のほかに、その風を前記選別装置の風口へ排出させ得る選別処理状態を取り得ることを特徴とする籾摺り選別機。
【請求項2】
前記脱ぷ装置の出口と前記選別装置の入口とは互いに分離されていることを特徴とする請求項1に記載の籾摺り選別機。
【請求項3】
前記選別装置は脱ぷ処理状態と選別処理状態との間で前記脱ぷ装置に対し相対移動可能に設けられ、この選別装置の風口はこの脱ぷ装置の出口に対し脱ぷ処理状態で分離されるとともに選別処理状態で接続されることを特徴とする請求項2に記載の籾摺り選別機。
【請求項4】
前記選別装置の風口には選別処理状態で前記脱ぷ装置の出口から選別室に送られる風の力を弱める抵抗手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一つの請求項に記載の籾摺り選別機。
【請求項5】
前記脱ぷ装置の入口には脱ぷ室への籾の供給を阻止する閉状態と許容する開状態とを取り得るシャッターを設け、前記選別装置の入口には選別室への混合米の供給を阻止する閉状態と許容する開状態とを取り得るシャッターを設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一つの請求項に記載の籾摺り選別機。
【請求項6】
前記脱ぷ装置の入口のシャッターは選別処理状態で閉状態を維持するように規制されることを特徴とする請求項5に記載の籾摺り選別機。
【請求項7】
前記脱ぷ装置において、ファンは脱ぷ室で鉛直軸を中心に回転し、入口は脱ぷ室上に配設されていることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一つの請求項に記載の籾摺り選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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