説明

粉体と液体との連続混合装置

【課題】粉体と液体との少量混合を可能とすると共にこれらの流動体の混合効率を高めることにより、撹拌混合室の容積を小容積化して装置全体の小型化を達成し、連続的に供給する液体と粉体との均一な混合を常に円滑に行い、混合製品としての歩留まりを十分に高めることができ、しかも取扱う粉体と液体および得られる製品に対する汎用性を拡大することができる粉体と液体との連続混合装置の提供。
【解決手段】回転撹拌混合盤12の上面部に円錐状の分散展開コーン26を設けると共に、液体噴射ノズル28を粉体供給口22側の分散展開コーン円錐頂部に配置し、回転撹拌混合盤には、円周方向に所定角度で離間して複数の上面掻取翼30と複数の撹拌羽根32とを設けると共に、撹拌羽根と上面掻取翼とに対応して複数の掻込羽根34と複数の掻出羽根36とを設け、回転撹拌混合盤の下方の混合室14の底板上に底面位置を調整する調整底板38を配置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を加湿、スラリー化、懸濁化あるいは乳化させるために、粉体と液体とを連続的に供給し撹拌してこれらの流動体を混合ないし混練する装置に係り、特に粉体と液体との少量混合を可能とすると共に、これらの流動体の混合効率を高めることにより、撹拌混合室の容積を小容積化して装置全体の小型化を達成し、連続的に供給する粉体と液体との均一な混合を常に円滑に行い、混合製品としての歩留まりを十分に高めることができ、しかも取り扱う粉体と液体および得られる製品に対する汎用性を拡大することができる粉体と液体との連続混合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、化学、薬品、プラスチック、電子、食品、窯業、機械、金属等の産業分野において、各種素材の成形もしくは加工に際して、粉体を取扱うことが不可欠である。このような、粉体の取扱いに際しては、その分散、定量供給、成型、工程間輸送等の生産技術上の主要工程において、それぞれ必要な機器ないし装置として、粉体と液体との連続混合装置が知られている。
【0003】
従来において、この種の粉体と液体との連続混合装置として、粉体を加湿、スラリー化、懸濁化あるいは乳化させる場合において、粉体と液体とを連続的に混合ないし混練して定量供給することができる、粉体と液体との連続混合装置等が種々提案され、実用化されている。
【0004】
本出願人は、先に、粉体と液体との連続混合装置として、粉体油送管等に接続し連続的に粉体を送出する粉体供給管と、この粉体供給管の管口に向かって設けられ駆動回転されて粉体供給管から送出される粉体を周りに分散させる尖頭円錐体と、液体流入管から連続的に給液される貯液槽と、この貯液槽の中央部に前記粉体供給管の下部を囲むように設けられ上端周縁から貯液槽内の液が溢流して内面に沿って薄い膜状に流下する倒立切頭円錐形の溢流筒と、前記尖頭円錐体と共に回転して多数の下向きの固定突片と協動する多数の上向きの可動突片を有し、前記周りに分散された粉体と膜状に流下する液体とを混合撹拌する撹拌混合盤とを備えた混合機において、前記溢流筒の上端周縁から均斉に安定して溢流させるため、中央に前記溢流筒の上端内径にほぼ等しい内径の円形穴を有する薄い液面に浮かぶ液膜形成円板を、前記貯液槽内に貯液槽の液量の増減に伴って上下に自由に浮動できるように設けた構成からなる溢流筒に対する環状流下液膜形成装置を開発し、特許を取得した(特許文献1参照)。
【0005】
すなわち、前記特許文献1に記載の粉体と液体との連続混合装置において、撹拌混合盤は、その上面において3つの上向き突片が円周上に多数列設され、これらはそれぞれ貯液槽の底壁の下面において円周上に多数列設された2つの下向き突片に対し、互いに衝突しないように極めて近接して回転走行するように構成されている。また、撹拌混合盤の周壁部の4個所に、半径方向かつ垂直方向に延びる排風羽根が固着され、これらの羽根は液体と混合された粉体を排出口から強く排出するに役立つように構成されている。
【0006】
また、本出願人は、回転混合盤を備えた混合室内に、粉体と液体とを連続的に供給し、前記回転混合盤により粉体と液体との均一な混合流体を得るに際して、混合室内における混合物の付着や発熱を防止すると共に混合物の品質の変化を防止し、混合室の製造ないしメンテナンスを容易化して、装置の長期間に亘る連続運転を可能にし、しかも設備コストの低減を達成することができる粉体と液体との連続混合装置を開発し、特許を取得した(特許文献2参照)。
【0007】
すなわち、前記特許文献2に記載の粉体と液体との連続混合装置は、内部に回転混合盤を収納配置した混合室を設け、この混合室の上部中央に回転混合盤の中心部に指向して粉体を定量的に連続供給するように開口した粉体供給口を介して粉体供給筒を連通接続し、前記混合室における粉体供給口の外周上面をカバー部材により蓋被すると共に、このカバー部材に混合室内へ液体を供給するための液体噴射ノズルを設け、前記混合室内に粉体と液体とを連続的に給給して、前記回転混合盤により粉体と液体との均一な混合流体を得るようにした粉体と液体との連続混合装置の構成とし、前記混合室は、回転混合盤を囲繞する内部周面を直管状に形成した胴部と、内部底面を水平面状に形成した底板とから構成し、その外周の一部に混合流体の排出口を設け、前記混合室の内部周面および内部底面からなる内面部をそれぞれ被覆すると共に、この被覆される周面部と底面部との境界部分をそのほぼ全周に亘ってテーパ状に隆起させた形状に形成し、さらに前記混合室の排出口と対応する位置に排出口を設けてなる、非金属材料で構成した非金属製スリーブを、交換可能に装着した構成からなる。
【0008】
さらに、本出願人は、粉体と液体との均一な混合流体を得るための回転混合盤と駆動モータの回転駆動軸との結合を磁気結合とし、回転混合盤の回転軸部のシール構造を省略し、混合室と駆動部を完全に分離した完全無漏洩の構造とし、従来において取扱いが困難とされた特殊溶剤の適用を可能にすると共に、粉体が溶剤と反応して溶剤の流入面や粉体の落下口外周部等への付着を防止して、常に粉体と液体とが均一に混合分散された均一混合体の連続的な生成を達成することができ、微少量でも最適な粉体と液体との連続混合を可能とする粉体/液体連続混合装置を開発し、特許を取得した(特許文献3参照)。
【0009】
すなわち、前記特許文献3に記載の粉体/液体連続混合装置は、粉体と液体との均一な混合流体を得るための回転混合盤と駆動モータの回転駆動軸との結合を磁気結合として、回転混合盤の回転軸部のシール構造を省略した混合室を備え、前記混合室の上部に、粉体を定量供給する粉体供給筒の開口部を囲繞するように液体をその内壁面に沿って環状溢流膜として流下させるオーバーフローコーンを設け、前記回転混合盤の回転中心となる上面部に円錐形状の分散展開コーンを設けてなり、前記混合室内へ連続的に供給される液体を分散当接させると共に回転混合盤を介して粉体と液体との均一な混合流体を得るようにした粉体/液体連続混合装置の構成とし、前記粉体供給筒の中心部または粉体供給筒より外側の斜め上方位置から前記分散展開コーンの中心部に指向させて、回転する前記分散展開コーン上に液体を噴射供給し、落下する粉体に液体を噴射当接して回転混合盤上における遠心方向への均一な混合分散を行うと共に、前記分散展開コーン上における粉体の付着を防止する液体噴射ノズルを設け、前記オーバーフローコーンの内壁面に沿って環状溢流膜として流下させる液体を貯留する溢流槽に、その上部側を密閉被覆するための前記粉体供給筒および液体噴射ノズルを挿通配置したオーバーフローコーン・カバーを設けると共に、前記溢流槽の溢流口縁部に対して前記液体の環状溢流膜上に粉体の付着を防止するための気流のカーテンを形成する気体供給手段を設けた構成からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公昭53−38828号公報
【特許文献2】特許第4091462号公報
【特許文献3】特許第4163652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述したような粉体と液体との連続混合装置は、単体で他の周辺装置と組合せ配置したり、あるいは一連のプラントの一部として組合せ配置したりするのが一般的である。この場合、従来におけるこの種の連続混合装置は、生産性を高める観点および装置構成の製作上の観点から、装置全体が比較的大型化する傾向にある。このような観点から、今日においては、この種の連続混合装置として、装置の小型化が要求されと共に、取扱うことができる粉体と液体との組合せおよび得られる製品としての混合物ないし混練物の多様化を可能とする、汎用性に優れた装置が要求されようになった。
【0012】
そこで、本発明者等は、前述した要求を満足することができる装置の開発に着目し、種々検討並びに試作を重ねた結果、粉体と液体との少量混合を可能とすると共に、これらの流動体の混合効率を高めることができ、前記流動体の混合を行う撹拌混合室の容積を可調整とする小容積化により装置全体の小型化を達成し、連続的に供給する液体と粉体との均一な混合を常に円滑に行い、混合製品としての歩留まりを十分に高めることができると共に、取扱う粉体と液体とその混合製品に対する汎用性を拡大し、粉体と液体との連続混合装置の開発に成功した。
【0013】
すなわち、内部に回転駆動軸に軸支した回転撹拌混合盤を収納配置してなる円筒状の混合室を設け、この混合室の上部中央に前記回転撹拌混合盤の中心部に指向して粉体を定量的に連続供給するように開口した粉体供給口を介して粉体供給筒を連通接続すると共に前記混合室における粉体供給口の外周上面をカバー部材により蓋被し、前記混合室の円筒状外側面の一部に排出口を設けると共に前記混合室内へ液体を供給する手段を設けて、前記混合室において前記回転撹拌混合盤により粉体と液体との均質な混合を行い得られた混合物を前記排出口から排出するよう粉体と液体との連続混合装置を構成し、前記回転撹拌混合盤の回転中心となる上面部に円錐状の分散展開コーンを設けると共に、液体を供給する液体噴射ノズルを粉体供給口側において前記分散展開コーンの円錐頂部に指向するように配置し、前記回転撹拌混合盤には、円周方向に所定角度で離間して複数の上面掻取翼と複数の撹拌羽根とをそれぞれ設けると共に、前記撹拌羽根と上面掻取翼とに対応して複数の掻込羽根と複数の掻出羽根とをそれぞれ設け、前記回転撹拌混合盤の下方において、前記混合室の底板上にその底面位置を可調整に設定し得る調整底板を配置することにより、前述した要求を満足することができる粉体と液体との連続混合装置を得ることができることを突き止めた。
【0014】
従って、本発明の目的は、粉体と液体との少量混合を可能とすると共に、これらの流動体の混合効率を高めることにより、撹拌混合室の容積を小容積化して装置全体の小型化を達成し、連続的に供給する液体と粉体との均一な混合を常に円滑に行い、混合製品としての歩留まりを十分に高めることができ、しかも取扱う粉体と液体および得られる製品に対する汎用性を拡大することができる粉体と液体との連続混合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の粉体と液体との連続混練装置は、内部に回転駆動軸に軸支した回転撹拌混合盤を収納配置してなる円筒状の混合室を設け、この混合室の上部中央に前記回転撹拌混合盤の中心部に指向して粉体を定量的に連続供給するように開口した粉体供給口を介して粉体供給筒を連通接続すると共に前記混合室における粉体供給口の外周上面をカバー部材により蓋被し、前記混合室の円筒状外側面の一部に排出口を設けると共に前記混合室内へ液体を供給する手段を設けて、前記混合室において前記回転撹拌混合盤により粉体と液体との均質な混合を行い得られた混合物を前記排出口から排出するように構成した粉体と液体との連続混合装置において、
前記回転撹拌混合盤の回転中心となる上面部に円錐状の分散展開コーンを設けると共に、液体を供給する液体噴射ノズルを粉体供給口側において前記分散展開コーンの円錐頂部に指向するように配置し、
前記回転撹拌混合盤には、円周方向に所定角度で離間して複数の上面掻取翼と複数の撹拌羽根とをそれぞれ設けると共に、前記撹拌羽根と上面掻取翼とに対応して複数の掻込羽根と複数の掻出羽根とをそれぞれ設け、
前記回転撹拌混合盤の下方において、前記混合室の底板上にその底面位置を可調整に設定し得る調整底板を配置したことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項2に記載の粉体と液体との連続混合装置は、前記回転撹拌混合盤の上面において、その円周方向に所定角度で離間して前記カバー部材の混合室側内面にそれぞれ半径方向に指向し翼面が近接するように配置した複数の上面掻取翼を設けると共に、前記上面掻取翼とそれぞれ所定間隔離間してそれぞれ半径方向に指向し先端部が混合室の円筒状内周面に近接するように配置した複数の撹拌羽根を設けたことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項3に記載の粉体と液体との連続混合装置は、前記回転撹拌混合盤の上面に設ける撹拌羽根として、それぞれ半径方向に指向する先端部において、回転方向側を尖鋭化すると共に先端縁部を上下二股状に拡開するように構成したことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項4に記載の粉体と液体との連続混合装置は、前記回転撹拌混合盤の下面において、その円周方向に所定角度で離間してそれぞれ回転方向に鋭角となるように混合室の円筒状内周面側に突出するように配置した複数の掻込羽根を設けると共に、前記掻込羽根とそれぞれ所定間隔離間してそれぞれ半径方向に指向し先端縁部が混合室の円筒状内周面に近接するように配置した複数の掻出羽根を設けたことを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項5に記載の粉体と液体との連続混合装置は、前記回転撹拌混合盤の下面において、前記撹拌羽根と対応しそれぞれ回転方向に鋭角に指向して混合室の円筒状内周面側に突出するように配置した複数の掻込羽根を設けると共に、前記上面掻取翼と対応しそれぞれ半径方向に指向して先端縁部が混合室の円筒状内周面に近接するように配置した複数の掻出羽根を設けたことを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項6に記載の粉体と液体との連続混合装置は、前記混合室の底板上にその底面位置を可調整に設定し得る調整底板として、それぞれ底板上の底面位置を可調整とするそれぞれ厚さ寸法の異なる複数の調整底板を準備し、これらの調整底板を前記回転撹拌混合盤の回転駆動軸と結合するボス部と嵌合するように配置してそれぞれ交換使用し、前記混合室に設けた排出口の開口面積を可変に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1に記載の粉体と液体との連続混合装置によれば、粉体と液体との少量混合を可能とすると共に、これらの流動体の混合効率を高めることにより、撹拌混合室の容積を小容積化して装置全体の小型化を達成し、連続的に供給する液体と粉体との均一な混合を常に円滑に行い、混合製品としての歩留まりを十分に高めることができ、しかも取扱う粉体と液体および得られる製品に対する汎用性を拡大することができる粉体と液体との連続混合装置を得ることができる。
【0022】
本発明の請求項2および請求項3に記載の粉体と液体との連続混練装置によれば、回転撹拌混合盤の上面において、その円周方向に所定角度で離間して前記カバー部材の混合室側内面にそれぞれ半径方向に指向し翼面が近接するように配置した複数の上面掻取翼を設けると共に、前記上面掻取翼とそれぞれ所定間隔離間してそれぞれ半径方向に指向し先端部が混合室の円筒状内周面に近接するように配置した複数の撹拌羽根を設けることにより、混合室の小容積化により粉体と液体との少量供給に際しての混合効率を円滑にして有効に実現することができる。この場合、前記撹拌羽根を、それぞれ半径方向に指向する先端部において、回転方向側を尖鋭化すると共に先端縁部を上下二股状に拡開するように構成したことにより、前述した混合効率をより一層有効に達成することができる。
【0023】
本発明の請求項4および請求項5に記載の粉体と液体との連続混練装置によれば、回転撹拌混合盤の下面において、その円周方向に所定角度で離間してそれぞれ回転方向に鋭角となるように、混合室の円筒状内周面側に突出するように配置した複数の掻込羽根を設けると共に、前記掻込羽根とそれぞれ所定間隔離間してそれぞれ半径方向に指向し先端縁部が混合室の円筒状内周面に近接するように配置した複数の掻出羽根を設けたことにより、混合室の小容積化により粉体と液体との少量供給に際しての混合効率を円滑にして有効に実現することができる。この場合、前記回転撹拌混合盤の上面における複数の上面掻取翼と複数の撹拌羽根とに対応して、それぞれ複数の掻込羽根と複数の掻出羽根とを設けることにより、前述した混合効率をより一層有効に達成することができる。
【0024】
本発明の請求項6に記載の粉体と液体との連続混練装置によれば、混合室の底板上にその底面位置を可調整に設定し得る調整底板として、それぞれ底板上の底面位置を可調整とするそれぞれ厚さ寸法の異なる複数の調整底板を準備し、これらの調整底板を前記回転撹拌混合盤の回転駆動軸と結合するボス部と嵌合するように配置してそれぞれ交換使用し、前記混合室に設けた排出口の開口面積を可変に設定することにより、取扱う粉体および液体の種類や、混合状態の態様に応じた使用をすることができる汎用性に優れた粉体と液体との連続混合装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る粉体と液体との連続混合装置の基本的な構成例を示す概略断面側面図である。
【図2】図1に示す本発明に係る粉体と液体との連続混合装置に設ける撹拌混合盤の一実施例であって、この撹拌混合盤の上面に配置された撹拌羽根と上面掻取翼のそれぞれ構成配置を示す平面図である。
【図3】図1に示す本発明に係る粉体と液体との連続混合装置に設ける撹拌混合盤の一実施例であって、この撹拌混合盤の下面に配置された掻込羽根と掻出羽根のそれぞれ構成配置を示す底面図である。
【図4】図2に示す撹拌混合盤のA−A線断面であって、この撹拌混合盤の上面に配置された撹拌羽根と上面掻取翼および下面に配置された掻込羽根と掻出羽根のそれぞれ側面を示す説明図である。
【図5】本発明に係る粉体と液体との連続混合装置における撹拌混合盤を設けた撹拌混合室を示す、図1のB−B線断面図である。
【図6】本発明に係る粉体と液体との連続混合装置における撹拌混合盤を設けた撹拌混合室を示す、図1のC−C線断面図である。
【図7】本発明に係る粉体と液体との連続混合装置において、図6に示す撹拌混合室における粉体と液体との混合流動作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明に係る粉体と液体との連続混合装置の実施例につき、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明に係る粉体と液体との連続混合装置の基本的な構成例を示すものである。すなわち、図1に示す構成例において、粉体と液体との連続混合装置10は、内部に回転撹拌混合盤12を配置した混合室14を備える。この混合室14は、前記回転撹拌混合盤12を囲繞するように配置した円筒状の胴部16と、一部に粉体と液体との混合物を排出するための排出口17を設けた水平面状の底板18とから構成されている。また、前記底板18の中心部には、前記回転撹拌混合盤12を軸支する回転駆動軸20が挿通配置されている。なお、前記回転駆動軸20は、従来公知の外部駆動源(図示せず)と適宜結合されて回転駆動するように構成されている。
【0028】
前記撹拌混合室14の上部には、前記回転撹拌混合盤12の中心部に粉体を連続供給するための粉体供給口22が設けられ、この粉体供給口22を介して従来公知の粉体供給筒23に接続配置されると共に、前記粉体供給口22の外周はカバー部材24によって蓋被されている。
【0029】
しかるに、本実施例においては、図1に示す構成例において、前記回転撹拌混合盤12の回転中心となる上面部に円錐状の分散展開コーン26を設けると共に、液体を供給する液体噴射ノズル28を、粉体供給口22側において液体の供給を行う給水管27に連通接続されて、前記分散展開コーン26の円錐頂部に指向するように配置される。この場合、前記液体噴射ノズル28は、図示するように、前記分散展開コーン26の円錐頂部の頂点と一致する前記回転撹拌混合盤12の回転中心軸上(真上)の位置において開口するように配置することができる。代案として、前記液体噴射ノズル28は、その噴射液体が前記分散展開コーン26の円錐頂部の頂点に達するように配置されていれば充分であり、従って前記液体噴射ノズル28は、前記回転撹拌混合盤12の回転中心軸(垂直軸)に対して、所要の傾度を有する位置に適宜傾斜させて配置することもできる。
【0030】
図2〜図4は、前述した図1に示す本実施例における粉体と液体との連続混合装置10に組込まれる回転撹拌混合盤12の好適な実施例を示すものである。すなわち、図2は回転撹拌混合盤12の平面図、図3は底面図、図4は図2に示す回転撹拌混合盤12のA−A線断面における側面説明図である。
【0031】
図2および図4において、回転撹拌混合盤12の上面には、その円周方向に所定角度(図示例では、120°)で離間して前記カバー部材24の混合室14側内面にそれぞれ半径方向に指向し翼面が近接するように配置(図1参照)した複数の上面掻取翼30を設けると共に、前記上面掻取翼30とそれぞれ所定間隔離間(図示例では、60°)してそれぞれ半径方向に指向し先端部が混合室14の胴部16における円筒状内周面に近接するように配置した複数の撹拌羽根32を設ける。
【0032】
この場合、前記回転撹拌混合盤12の上面に設ける撹拌羽根32は、図2および図4に示すように、それぞれ半径方向に指向する先端部32aにおいて、回転方向側を尖鋭化すると共に先端縁部を上下二股状32a1、32a2に拡開するように構成する。
【0033】
また、図3および図4において、回転撹拌混合盤12の下面には、その円周方向に所定角度(図示例では、120°)で離間してそれぞれ回転方向に鋭角となるように、混合室14の胴部16における円筒状内周面側に突出するように配置した複数の掻込羽根34を設けると共に、前記掻込羽根34とそれぞれ所定間隔離間(図示例では、60°)してそれぞれ半径方向に指向し先端縁部36aが混合室14の胴部16における円筒状内周面に近接するように配置した複数の掻出羽根36を設ける。
【0034】
なお、この場合、前記複数の掻込羽根34は、前記回転撹拌混合盤12の上面に設けた撹拌羽根32とそれぞれ対応して配置すると共に、前記複数の掻出羽根36は、前記回転撹拌混合盤12の上面に設けた上面掻取翼30とそれぞれ対応して配置することができる。
【0035】
さらに、図1に示す本実施例における粉体と液体との連続混合装置10においては、回転撹拌混合盤12の下方において、混合室14の底板18上にその底面位置を可調整に設定し得る調整底板38を配置する。この場合、前記調整底板38は、混合室14における底板18上の底面位置を可調整とするように、それぞれ厚さ寸法pの異なる複数の調整底板38を準備し、これらの調整底板38を回転撹拌混合盤12の回転駆動軸20と結合するボス部13と嵌合するように配置するように構成する。このように厚さ寸法pの異なる複数の調整底板38をそれぞれ交換使用することにより、混合室14に設けた排出口17の開口面積を可変に設定することができる。
【0036】
このように構成された本実施例の回転撹拌混合盤12は、図5〜図7に示すように、図1に示す粉体と液体との連続混合装置10の混合室14の内部に組み込まれる。すなわち、図5は図1に示す混合室14のB−B線断面図、図6は図1に示す混合室14のC−C線断面、図7は図6に示す混合室14内における粉体と液体との混合流動作用(矢印)を示す説明図である。
【0037】
従って、前記のように構成された本実施例に係る粉体と液体との連続撹拌混合装置10によれば、混合室14において、回転撹拌混合盤12の中心部に供給された粉体と液体とは、回転撹拌混合盤12の回転駆動により遠心方向に流動し、その上面に設けられた上面掻取翼30と撹拌羽根32とにより、撹拌混合される。この場合、前記回転撹拌混合盤12の中心部に供給される粉体に対し、その回転中心となる上面部に設けられた円錐状の分散展開コーン26の円錐頂部に指向するように配置された液体噴射ノズル28から供給される液体によって、粉体と液体との均斉な混合流動化を容易に達成することができる(図1参照)。
【0038】
また、前記回転撹拌混合盤12の上面において、粉体と液体との混合流動体は、先端縁部が上下二股状32a1、32a2に形成された前記撹拌羽根32により、回転撹拌混合盤12の回転に伴い、その外周部において前記上下二股状32a1、32a2の先端部32aが有効に機能して、粉体と液体との瞬時的な撹拌混合を円滑にして効率良く行うことができる。そして、カバー部材24の混合室14側内面にそれぞれ半径方向に指向し翼面が近接するように配置された前記上面掻取翼30により、前記回転撹拌混合盤12上における粉体と液体との撹拌混合流動体を滞留させることなく、回転撹拌混合盤12の下面側へ円滑にして確実に移送することができる(図5参照)。
【0039】
また、前記回転撹拌混合盤12の下面において、円滑に移送された粉体と液体との撹拌混合流動体は、それぞれ回転方向に鋭角となるように配置された前記掻込羽根34により、前記混合室14内における撹拌混合流動体を、それぞれ回転方向に隣接するように配置される掻出羽根34に対して円滑にして効率よく移送し得るように掻き込み機能を有効に発揮させることができる(図6および図7参照)。そして、前記掻込羽根34の掻き込み機能により移送される撹拌混合流動体は、それぞれ半径方向に指向し先端縁部36aが混合室14の胴部16における円筒状内周面に近接するように配置された掻出羽根36により、順次滞留することなく円滑にして効率良く排出口17へ排出し得るように掻き出し機能を有効に発揮させることができる(図6および図7参照)。
【0040】
さらに、本発明においては、前記混合室14において、その底板18上に異なる厚さ寸法pで設定された調整底板38を選択して配置することにより、混合室14を所要の小容積に設定すると共に、混合室14に設けた排出口17の開口率を調整することができる。従って、このような排出口17の開口率を調整することにより、混合室14内における粉体と液体との撹拌混合状態を所望の状態になるように設定することが可能となり、取扱う粉体および液体の種類や、混合状態の態様に応じた広範囲の使用を可能とする汎用性に優れた粉体と液体との連続撹拌混合装置を得ることができる(図1参照)。
【0041】
次に、前記構成からなる粉体と液体との連続混合装置を使用して粉体と液体とを連続的に混合する試作例について説明する。但し、本発明はこの試作例のみに限定されるものではない。
【0042】
(試作例1:サブミクロン粒子材料の均一混合物の製造)
混合室14の頂部において、液体噴射ノズル28から580cc/hの純水を連続的に噴射供給すると共に、粉体供給口22から1850g/hの金属粉および無機質の超微粉体とカーボンナノチューブ状の活物質+結合剤を供給した。同時に、混合室14の底部における排出口17の開口率を、全開状態に対して45%となるように調整底板38を設定して、回転撹拌混合盤12を2400rpmで回転させて均一混合物を連続的に製造した。この結果、完全に流動化して安定したペースト状の均質に流動化した混合物を、約100%に近い高い歩留まりで製造することができた。
【0043】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明の構成要素である回転撹拌混合盤および調整底板等に関し、その形状、構成および配置等について、それぞれ図示した構成例に限定されることなく、種々の形状、構成および配置等を採用することができるばかりでなく、その他本発明の精神を逸脱しない範囲内において、多くの設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0044】
10 粉体と液体との連続混合装置
12 回転撹拌混合盤
13 ボス部
14 混合室
16 胴部
17 排出口
18 底板
20 回転駆動軸
22 粉体供給口
23 粉体供給筒
24 カバー部材
26 分散展開コーン
27 給水管
28 液体噴射ノズル
30 上面掻取翼
32 撹拌羽根
32a 先端部
32a1、32a2 上下二股状の先端縁部
34 掻込羽根
36 掻出羽根
36a 先端縁部
38 調整底板
p 調整底板の厚さ寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に回転駆動軸に軸支した回転撹拌混合盤を収納配置してなる円筒状の混合室を設け、この混合室の上部中央に前記回転撹拌混合盤の中心部に指向して粉体を定量的に連続供給するように開口した粉体供給口を介して粉体供給筒を連通接続すると共に前記混合室における粉体供給口の外周上面をカバー部材により蓋被し、前記混合室の円筒状外側面の一部に排出口を設けると共に前記混合室内へ液体を供給する手段を設けて、前記混合室において前記回転撹拌混合盤により粉体と液体との均質な混合を行い得られた混合物を前記排出口から排出するように構成した粉体と液体との連続混合装置において、
前記回転撹拌混合盤の回転中心となる上面部に円錐状の分散展開コーンを設けると共に、液体を供給する液体噴射ノズルを粉体供給口側において前記分散展開コーンの円錐頂部に指向するように配置し、
前記回転撹拌混合盤には、円周方向に所定角度で離間して複数の上面掻取翼と複数の撹拌羽根とをそれぞれ設けると共に、前記撹拌羽根と上面掻取翼とに対応して複数の掻込羽根と複数の掻出羽根とをそれぞれ設け、
前記回転撹拌混合盤の下方において、前記混合室の底板上にその底面位置を可調整に設定し得る調整底板を配置したことを特徴とする粉体と液体との連続混合装置。
【請求項2】
前記回転撹拌混合盤の上面には、その円周方向に所定角度で離間して前記カバー部材の混合室側内面にそれぞれ半径方向に指向し翼面が近接するように配置した複数の上面掻取翼を設けると共に、前記上面掻取翼とそれぞれ所定間隔離間してそれぞれ半径方向に指向し先端部が混合室の円筒状内周面に近接するように配置した複数の撹拌羽根を設けたことを特徴とする請求項1記載の粉体と液体との連続混合装置。
【請求項3】
前記回転撹拌混合盤の上面に設ける撹拌羽根は、それぞれ半径方向に指向する先端部において、回転方向側を尖鋭化すると共に先端縁を上下二股状に拡開するように構成したことを特徴とする請求項2記載の粉体と液体との連続混合装置。
【請求項4】
前記回転撹拌混合盤の下面には、その円周方向に所定角度で離間してそれぞれ回転方向に鋭角となるように混合室の円筒状内周面側に突出するように配置した複数の掻込羽根を設けると共に、前記掻込羽根とそれぞれ所定間隔離間してそれぞれ半径方向に指向し先端縁部が混合室の円筒状内周面に近接するように配置した複数の掻出羽根を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の粉体と液体との連続混合装置。
【請求項5】
前記回転撹拌混合盤の下面には、前記撹拌羽根と対応しそれぞれ回転方向に鋭角に指向して混合室の円筒状内周面側に突出するように配置した複数の掻込羽根を設けると共に、前記上面掻取翼と対応しそれぞれ半径方向に指向して先端縁部が混合室の円筒状内周面に近接するように配置した複数の掻出羽根を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の粉体と液体との連続混合装置。
【請求項6】
前記混合室の底板上にその底面位置を可調整に設定し得る調整底板は、それぞれ底板上の底面位置を可調整とするそれぞれ厚さ寸法の異なる複数の調整底板を準備し、これらの調整底板を前記回転撹拌混合盤の回転駆動軸と結合するボス部と嵌合するように配置して交換使用し、前記混合室に設けた排出口の開口面積を可変に設定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の粉体と液体との連続混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−85997(P2013−85997A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226942(P2011−226942)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(591250008)株式会社粉研パウテックス (6)
【Fターム(参考)】