説明

粉体と液体を混合する混合装置

【課題】粉体を液体を効率的に混合する混合装置を提供する。
【解決手段】粉体を収容したコンテナ(50)を回転させつつ前記コンテナ(50)内に液体を噴霧して粉体と液体を混合する混合装置(1)において、前記コンテナ(50)を着脱可能に固定する枠体(20)と、前記枠体(20)を回転駆動するべく前記枠体(20)の両側面にそれぞれ取り付けられた回転シャフト(41,43)と、液体を収容し前記枠体(20)に着脱可能に固定される液体タンク(61)と、前記液体タンク(61)に圧縮空気を供給するためのエア供給路(66)と、圧縮空気により前記液体タンク(61)から押し出された液体を前記コンテナ(50)内で噴霧するノズル(65)と、を有し、前記エア供給路(66)が、少なくとも一方の前記回転シャフト(43)の内部に軸方向に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を収容したコンテナを回転させつつコンテナ内に液体を噴霧して粉体と液体を混合する混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品製造等において、粒状又は粉状の物質(以下「粉体」と称する)と液体とを均一に混合するために、粉体を収容したコンテナを回転させつつコンテナ内に液体を噴霧する混合装置が知られている。
【0003】
特許文献1は、上記の混合装置の基本形態の一つである、コンテナ内に収容した粉体を撹拌混合する装置を開示する。当該装置に着脱可能なコンテナは、蓋を備え、蓋の下面側に撹拌羽根が取り付けられ、撹拌羽根の軸は蓋の上面側に突出している。コンテナを装置に固定したとき、撹拌羽根の軸は、装置に設置された駆動モータの駆動軸と連結される。駆動モータにより撹拌羽根を回転させて粉体を撹拌する。
【0004】
特許文献2は、粉体と液体の混合装置を開示する。当該装置は、粉体を収容する着脱可能なコンテナを支持し、回転させる。装置外部に設置された液体供給源から連結管とロータリージョイントを介し、液体注入ノズルにより液体をコンテナ内に注入できる。コンテナの回転中、液体注入箇所が上になる回転位置に来たことを回転位置検出センサが検出し、それに応じて注入制御装置が液体をコンテナ内に噴霧状に注入する。
【0005】
特許文献3もまた、粉体と液体の混合装置を開示する。当該装置は、粉体を収容するコンテナと、コンテナを回転させる回転機構部とを有する。液体タンクは、コンテナ固定枠とともに回転する。ロータリー継手を介したエア流路を介して圧縮空気が液体タンクへ供給されることにより、液体タンクからコンテナ内に液体が注入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−144893号公報
【特許文献2】特開平5−168887号公報
【特許文献3】特開2006−122761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2のように、回転するコンテナ内の粉体にノズルで液体を噴霧するときは、ノズルが上の位置にきたときに噴霧することが望ましい。ノズルが下の位置にあるときはノズルが粉体に埋没するので、このときに噴霧するとノズルが閉塞してしまうことから、これを回避するためである。しかしながら、特許文献2の回転位置検出は、光又は磁力を用いたセンサにより行っているため(0030、図2)、センサの電子回路とエア流体回路とを連携させる必要があり、制御機構の構成が複雑となる。
【0008】
特許文献3のように、回転するコンテナ固定枠に液体タンクを取付けた場合、装置外部に液体タンクを設置する場合と比べて、異なる種類の液体に交換する作業が容易でありかつ液体流路の洗浄が不要となるため、作業負担が軽減される。しかしながら、特許文献3では、コンテナ固定枠に取り付けた液体タンクと外部ポンプとを連結する圧縮空気の流路が、コンテナ周囲の空間を渡って導かれているため(0029、図2)、ロータリー継手が介在するとしても、回転に伴ってエア流路に掛かる機械的負担は相当大きく、また、回転するコンテナ固定枠に引っ掛かる虞もあり、耐久性が無い。
【0009】
従来技術の上記の問題点に鑑み、本発明は、粉体と液体を混合する混合装置において、回転するコンテナに対して液体を最適なタイミングで噴霧できる簡易な構成を提供するとともに、回転する枠体に取り付けられた液体タンクに対して圧縮空気を確実にかつ安全に供給できる耐久性のある構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の構成を提供する。なお、括弧内の数字は、後述する図面中の符号であり、参考のために付する。
【0011】
本発明による粉体と液体を混合する混合装置は、粉体を収容したコンテナ(50)を回転させつつ前記コンテナ(50)内に液体を噴霧して粉体と液体を混合する混合装置(1)において、前記コンテナ(50)を着脱可能に固定する枠体(20)と、前記枠体(20)を回転駆動するべく前記枠体(20)の両側面にそれぞれ取り付けられた回転シャフト(41,43)と、液体を収容し前記枠体(20)に着脱可能に固定される液体タンク(61)と、前記液体タンク(61)に圧縮空気を供給するためのエア供給路(66)と、圧縮空気により前記液体タンク(61)から押し出された液体を前記コンテナ(50)内で噴霧するためのノズル(65)と、を有し、前記エア供給路(66)が、少なくとも一方の前記回転シャフト(43)の内部に軸方向に形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記の混合装置において、前記液体タンク(61)が、両端部(61a,61b)を閉鎖された円筒状の本体と、前記本体の内部空間に配置された1つのピストン(67)と、圧縮空気を流入させるために一方の端部(61a)に形成された流入口(61a1)と、液体を押し出すために他方の端部(61b)に形成された流出口(61b1)と、を有し、前記ピストン(67)と他方の端部(61b)との間の内部空間に液体を収容可能であることが、好適である。
【0013】
上記の混合装置において、前記回転シャフト(41,43)とともに回転するカム(71)と、前記カム(71)により運動する従節(72)と、前記従節(72)の運動に従って前記エア供給路(66)への圧縮空気の供給又は停止を切り替えるエアバルブ(73)と、をさらに有し、
前記回転シャフト(41,43)により前記コンテナ(50)が回転するとき、前記コンテナ(50)が所定の回転角度範囲(θ)内にあるときのみ圧縮空気が供給されるように、前記カム(71)の形状が設定されることが、好適である。
また、前記カム(71)は分割された2つのカム片(71a、71b)からなり、前記2つのカム片(71a、71b)同士は軸方向から見て重なり合うことができるように回転軸の周りで相対的に移動可能であり、前記2つのカム片(71a、71b)の重なり合う角度を変更することにより、圧縮空気が供給される前記所定の回転角度範囲(θ)を変更可能であることが、好適である。
【0014】
上記の混合装置において、前記コンテナ(50)が前記枠体(20)に固定された状態にて前記コンテナ(50)内部に配置される撹拌羽根(14,59)と、前記撹拌羽根(14,59)を回転するべく前記枠体(20)に固定された撹拌モータ(11)と、をさらに有することが、好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の粉体と液体を混合する混合装置は、コンテナを着脱可能に固定する枠体に液体タンクが取り付けられており、液体タンクから液体を押し出すために液体タンクに供給する圧縮空気のエア供給路が、枠体を回転駆動する回転シャフトのうちの少なくとも一方の内部に軸方向に形成されている。つまり、混合装置外部から枠体まで圧縮空気を導くエア供給路が回転シャフトの内部に形成されている。これにより、回転に伴ってエア供給路の構成部材に機械的負担が掛かったり、回転中にエア供給路の構成部材が枠体に引っ掛かったりすることが無い。よって、エア供給路の耐久性を確保でき、常に安定して圧縮空気を供給できる。
【0016】
また、本発明では、一工程でコンテナ内に供給される液体の量が、液体タンクの容量によって規定される。これにより、過剰な液体がコンテナに供給されることが無いため、過剰な液体によりコンテナ内の圧力が高まる危険性を生じない。また、液体タンク内の液体が無くなると、ピストンが他方の端部に到達してそれ以上移動しないので、圧縮空気の圧力が液体の流出口より先の部分には及ばない。つまり、圧縮空気の圧力がコンテナ内にまで負荷されることはない。この点においても、コンテナ内が高圧となる危険性(爆発の虞がある)を回避できる。
【0017】
また、本発明では、エア供給路への圧縮空気の供給と停止を制御するために、回転シャフトとともに回転するカムと、カムにより運動する従節と、従節の運動に従ってエア供給路への圧縮空気の供給又は停止を切り替えるエアバルブと、を有する。このように本発明では、コンテナを回転させる回転シャフトの運動が、カム機構を介して直接的にエアバルブの切替えに利用されるので、光センサや磁力センサを用いる場合における電子回路が不要であり、また、電子回路と流体回路の連携も不要である。よって、簡易な構成にて確実に液体の噴霧及び停止を制御できる。
【0018】
さらにまた、カムを2分割して、カムの形状を変更可能とすることにより、圧縮空気を供給する回転角度範囲を変更することができる。これにより、回転角度範囲を変更するためにカムを取り外して別の形状のカムに交換する必要がなく、作業性がよくなる。
【0019】
コンテナ内に撹拌羽根を配置し、撹拌モータにより回転することにより、噴霧された液体により塊状(いわゆるダマ)となった粉体を効率よく破砕することができ、液体と粉体の良好な混合を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明による粉体と液体の混合装置の一実施例における主要部を概略的に示す正面図である。
【図2】図2は、図1と同様の平面図(図1よりも左右両側に広い領域を示す)である。
【図3】図3は、図1と同様の右側面図である。
【図4】図4は、液体タンクの実施例を詳細に示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
【図5】液体タンクに圧縮空気を送出して液体を押し出す作動中の状態を説明する図である。(a)は開始時の状態、(b)は作動中の状態、(c)は終了時の状態である。
【図6】図6は、図2に示した液体制御手段の詳細な構成を示した拡大図であり、(a)は、回転シャフトを含む液体制御手段の近傍を示した部分断面側面図であり、(b)は、(a)の概略的なA矢視図である。
【図7】図7は、図6に示したカムの別の実施例である。
【図8】図8は、本発明の混合装置の別の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明による粉体と液体の混合装置の一実施例における主要部を概略的に示す正面図であり、図2は、平面図(図1よりも左右両側に広い領域を示す)であり、図3は、右側面図である。
【0022】
図1〜図3に示すように、混合装置1は、コンテナ50を着脱可能に固定する枠体20を備えている。枠体20は、略直方体の箱形状であり、梁、柱、壁板に相当する各部材を適宜組み合わせて形成されている。枠体20は、上面に天井部材21が配置され、少なくとも四隅に柱部材22が配置され、左右の側面に壁板部材24が配置されている。右側面の壁板部材24には回転シャフト41が、左側面の壁板部材24には回転シャフト43がそれぞれ取り付けられている。枠体20は、回転シャフト41、43を軸として回転する。柱部材22の下端からは、伸縮柱部材23が延在している。伸縮柱部材23は、その下端に連結されたコンテナ脚受け部材25の上下動に従って伸縮する。
【0023】
枠体20の天井部材21の上面中央には、撹拌モータ11が固定されている。撹拌モータ11の駆動軸である撹拌軸12は、天井部材21を下方に突き抜けている。突き抜けた撹拌軸12の周囲には、コンテナ50の蓋13がベアリングを介して取り付けられている。さらに撹拌軸12は、蓋13の下方に延びて先端に撹拌羽根14を具備する。撹拌羽根14は、撹拌モータ11により回転駆動される。
【0024】
さらに、蓋13を貫通する適宜の連結具13aが設けられている。蓋13の上面側では、連結具13aに液体を供給する液体供給ホース64が連結され、蓋13の下面側では、連結具13aにノズル65が連結される。これにより、液体供給ホース64とノズル65は連通している。
【0025】
枠体20の内側には、コンテナ50を着脱可能に固定するためのコンテナ固定部30が設けられている。枠体20の左側面及び右側面の内側にそれぞれ、エアシリンダー31が固定されている。エアシリンダー31の下端から突出したプランジャー32は、その下端がコンテナ脚受け部材25と連結されている。プランジャー32は、エアシリンダー31に供給される圧縮空気(この圧縮空気のエア供給路は図示を省略)により伸縮し、それによりコンテナ脚受け部材25が上下動する。また、枠体20の天井部材21から、コンテナ押圧部材34が垂下している。
【0026】
図1では、コンテナ50については、固定状態における左半分のみを実線で示し、開放状態における右半分のみを点線で示している。コンテナ50は、角筒部分と角錐部分からなる容器本体51を備え、上面の中央に円筒状の開口頸部53を介して円形の開口を有する。容器本体51の上面の四隅には、押圧パッド52が設けられている。さらに、4本の脚55を有し、脚55の下端にはローラ57が取り付けられている。角錐部分の下端には排出口54が設けられている。コンテナ50は、混合装置1から開放されたときは、ローラ57により移動できる。脚55の中間位置に、水平な支持板56が外向きに設けられている。支持板56は、枠体20のコンテナ脚受け部材25上に載置される。
【0027】
コンテナ50を固定するときは、エアシリンダー31のプランジャーが収縮することにより、コンテナ脚受け部材25がコンテナ50の支持板56を載せて上昇する。コンテナ50の上面の押圧パッド52が、枠体20のコンテナ押圧部材34に当たると、エアシリンダー31のエア圧により、コンテナ50が上方に押し付けられ固定される。固定状態において、コンテナ50の上面開口は、蓋13により密閉される。この固定状態では、コンテナ50の容器本体51内に、撹拌羽根14とノズル65が配置されることとなる。逆に、コンテナ50を開放するときは、エアシリンダー31のプランジャーを伸張させる。
【0028】
なお、枠体20、コンテナ固定部30及びコンテナ50の具体的構成は、図示の実施例に限定されるものではなく、公知の種々の構成を利用してもよい。
【0029】
コンテナ50内で液体を噴霧するための液体噴霧手段60の主要部は、枠体20に取り付けられており、枠体20とともに回転する。液体噴霧手段60は、液体を収容する液体タンク61を有する。液体タンク61は円筒状であり、適宜の固定具62を用いて枠体20に着脱可能に固定される。固定具62は、例えば、留め具付きの長さ調節可能なバンドである。液体タンク61から液体を押し出すために、液体タンク61に圧縮空気を送るエア供給ホース63が、液体タンク61の一方の端部に接続される。液体タンク61からから押し出された液体は、液体タンク61の他方の端部に接続された液体ホース64によりノズル65に導かれ、ノズル65によりコンテナ50内で噴霧される。
【0030】
図2の平面図に示すように、枠体20は、その両側面に取り付けられら回転シャフト41、43の軸に対して傾斜して取り付けられている。これにより、コンテナ50の内部で複雑な撹拌動作が行われるため、混合の効率が向上する。これは好適な実施例であるが、必ずしも回転軸に対して枠体20が傾斜していなくともよい。
【0031】
一方の回転シャフト41は、ベアリング44により支持され、その先端には直交軸ギヤモータである回転モータ42が取り付けられている。直交軸ギヤモータは、モータ軸と回転軸が直交しており、これにより装置全体をコンパクトとすることができる。但し、回転モータ42は、直交軸ギヤモータに限られない。他方の回転シャフト43もまた、ベアリング44により支持されている。この構成により、枠体20は、回転シャフト41、43により支持されかつ回転駆動される。
【0032】
液体噴霧手段60の液体タンク61の一端に接続されるエア供給ホース63は、回転シャフト43の内部に軸方向に形成されたエア供給路66と連通している。エア供給路66とエア供給ホース63とは、例えば、適宜の継手(図示せず)により接続される。
【0033】
ここでは図示しないが、コンテナ固定部30のエアシリンダー31に圧縮空気を供給するエア供給路も同様に、回転シャフト43の内部に軸方向に形成されていることが好適である。これらのエア供給路については、後述する図6で詳細に示す。回転シャフト43の先端には、これらのエア供給路を外部の圧縮空気源(図示せず)と接続するためのロータリー継手46が設けられる。
【0034】
さらに、少なくとも一方の回転シャフト43の中間位置に、液体制御手段70が設けられている。液体制御手段70は、液体噴霧手段60による液体の噴霧又は停止を制御する。具体的には、回転中のコンテナ50が、正立姿勢となるときにのみノズル65から液体を噴霧し、倒立姿勢となるときには、液体を噴射しないように制御する。これは、倒立姿勢のときは、ノズル65が粉体に埋没するため、その状態で噴霧するとノズル65が閉塞してしまうからである。
【0035】
液体制御手段70は、回転シャフト43とともに回転するカム71と、カム71により運動する従節72と、従節72の運動に従ってエア供給路63への圧縮空気の供給又は停止を切り替えるエアバルブ73とを有する。液体制御手段70については、後述する図6において詳細に示す。図示の例では、液体制御手段70は、回転シャフト43上に設けられているが、回転シャフト41上に設けることも可能である。
【0036】
図4は、液体タンク61の実施例を詳細に示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。液体タンク61の円筒状の本体の内部空間には、1つのピストン67が配置されている。ピストン67は、内部空間とほぼ同じ直径をもつ円板又は円柱である。ピストン67は、軸方向に移動可能である。ピストン67が内部空間の中間位置にあるとき、内部空間は軸方向において2つの室に区画される。円筒状の本体の両端部は、着脱可能な蓋61a、61bにより閉鎖されており、密閉可能である。一方の端部の蓋61aには、圧縮空気の流入口61a1が形成され、エア供給ホースを接続可能である。他方の端部の蓋61bには、液体の流出口61b1が形成され、液体供給ホースを接続可能である。
【0037】
図5は、液体タンク61に圧縮空気を送り込んで液体を押し出す作動中の状態を説明する図である。(a)は開始時の状態、(b)は作動中の状態、(c)は終了時の状態である。
【0038】
図5(a)の開始時には、ピストン67はエア供給ホース63側の一方の端部に位置し、液体タンク61の内部空間全体に液体80が充填されている。(b)に示す作動中は、エア供給ホース63から圧縮空気90が送り込まれることにより、ピストン67が他方の端部に向かって移動し、液体80が液体供給ホース64へ押し出される。作動中に圧縮空気90の流入が停止すると、ピストン67も停止し、液体80の押出しも停止する。(c)の終了時には、ピストン67が完全に他方の端部まで移動し、液体80が全て押し出されている。
【0039】
複数のコンテナを用いた混合作業を連続して行う際に、液体80の種類を変える場合は、液体タンク61、液体供給ホース64及びノズル65をまとめて交換すればよい。これらの部品を洗浄して液体を入れ替える必要がないので、作業性がよい。
【0040】
また、液体タンク61内の液体80が無くなると、ピストン67が他方の端部に到達してそれ以上移動しないので、圧縮空気90の圧力が、液体供給ホース64より先の部分には及ばない。これにより、所定量の液体のみを確実に噴霧できると同時に、圧縮空気の圧力がコンテナにまで負荷されてコンテナ内が高圧となる危険性を回避できる。
【0041】
図6は、図2に示した液体制御手段70の詳細な構成を示した拡大図である。(a)は、回転シャフト43を含む液体制御手段70の近傍を示した部分断面側面図であり、(b)は、(a)の概略的なA矢視図である。図6では、圧縮空気の流れを2点波線で模式的に示している。
【0042】
液体制御手段70は、回転シャフト43とともに回転するカム71と、カム71により運動する従節72と、従節72の運動に従ってエア供給路66への圧縮空気の供給又は停止を切り替えるエアバルブ73とを有する。エアバルブ73は、コンプレッサ等の圧縮空気源91と接続されている。図示の例では、カム71は、所定の回転角度範囲θでは大直径の円であり、それ以外の回転角度範囲では小直径の円であるような外郭形状を具備する板である。カム71は、回転シャフト43と同軸上に配置されかつ一体に回転するように固定されている。従節72は、カム71の外郭形状に沿って旋回運動する端子である。従節72の向きの変化により、エアバルブ73が、圧縮空気源91からロータリー継手46への圧縮空気の流れを通過させたり遮断したりする。従節72がカム71の回転角度範囲θの部分に接している間は、圧縮空気を通過させ、それ以外の部分に接している間は、圧縮空気を遮断する。
【0043】
カム71の回転角度範囲θは、コンテナ50がほぼ正立姿勢となる回転角度範囲に相当するように設定されている。θは、例えば120°に設定されるが、これに限られない。異なるθを設定する場合には、θの異なる別の外郭形状をもつカム71に交換すればよい。この構成によれば、カム71の回転により、コンテナ50が所定の回転角度範囲内にあるときのみ液体が噴霧されることとなる。
【0044】
図6に示すように、ロータリー継手46と連通するエア供給路66は、回転シャフト43の内部を軸方向に貫通し、さらに図1に示したエア供給ホース63を介して液体タンク61と連通する。
【0045】
また、圧縮空気源91は、図1に示したコンテナ固定部30のエアシリンダー31にも圧縮空気を供給する。エアシリンダー31へ連通するエア供給路33も同様に、回転シャフト43の内部に軸方向に形成されている。エア供給路33とエアシリンダー31の間は、適宜のエア供給ホースにより連結する。
【0046】
これらのエア供給路66、33は、回転シャフト43の内部に形成されることにより、枠体20の回転による機械的な影響(振動、捻れ、接触等)を受けない。
【0047】
図7は、図6に示したカム71の別の実施例を示す。図7(a)(b)(c)は、この別の実施例における1つのカムの取り得る3つの異なる形状を示しており、上側の図は図6(b)と同様のA矢視図であり、下側の図は概略側面図である。このカムは、2つのカム片71a、71bからなる。2つのカム片71a、71bは、例えば図6のカム71を直径に沿って2つに分割した形状からなる。概略側面図に示すように、これら2つのカム片71a、71bは軸方向に所定の距離だけずれて回転シャフト43に配置されている。なお、従節72は、双方のカム片71a、71bに当接できる幅を備えるようにする。
【0048】
そして、例えば、カム片71aが回転シャフト43に完全に固定され、カム片71bは回転軸の周りで回動可能とする。つまり、回転軸周りの角度関係において2つのカム片を相対的に移動可能とする。これにより、2つのカム片71a、71b同士は軸方向から見て重なり合うことができ、重なり合う角度を変更することができる。この結果、図7(a)(b)(c)に示すように、2つのカム片71a、71bからなるカムの全体形状を変えることができる。所定のカム形状に設定した後、例えば、適宜の留め具75をカム片に設けた孔に通して2つのカム片同士を固定する。この固定手段は任意である。
【0049】
図7に示したカムを用いることにより、1つのカムを別のカムと交換することなくカム形状を変更することができ、すなわち、圧縮空気が供給される所定の回転角度範囲を変更可能となる。
【0050】
図8は、本発明の混合装置の別の実施例を示す図である。図1と同様に、固定状態のコンテナ50’の左半分を実線で、開放状態のコンテナ50’の右半分を点線で示している。混合装置2は、図1に示した混合装置1とは、撹拌羽根と蓋の構成において異なる。
【0051】
混合装置2では、撹拌モータ11の駆動軸である撹拌軸12は、枠体20の天井部材21を貫通して下方に突出しているが、撹拌軸12の下端部分には、接続機構のみが設けられており、蓋及び撹拌羽根は取り付けられていない。一方、コンテナ50’には、着脱可能な蓋58が設けられ、蓋58の下方に撹拌羽根59が配置され、撹拌羽根59の回転軸59aは、蓋58の中央を貫通して上方に突出し、上端部分に接続機構を具備する。
【0052】
このように、混合装置2では、蓋58及び撹拌羽根59は、枠体20ではなくコンテナ50’に付設されている。また、蓋58の上面には液体供給ホース64を連結でき、蓋58を下面にはノズル65を連結可能である。ノズル65は、予め蓋58の下面に取り付けておく。コンテナ50’を固定する場合は、図1の実施例と同様にコンテナ50’を上昇させて押圧状態とし、撹拌羽根59の回転軸59aと、撹拌モータ11の撹拌軸12とを接続する。接続機構は、撹拌軸12から回転軸59aに回転が伝達されるならば、公知のいずれの構成を用いてもよい。
【0053】
図1の混合装置1では、蓋及び撹拌羽根が枠体20に付設されているので、複数のコンテナで連続作業をする際に、混合物の内容が異なる場合は蓋及び撹拌羽根を洗浄する必要があるが、図8の混合装置2では、蓋58及び撹拌羽根59がコンテナ50’に付設されているので、別のコンテナに交換する際に蓋及び撹拌羽根を洗浄する必要がなく、作業性がよい。
【0054】
図8の混合装置2の他の部分の構成については、図1の混合装置1と同様であるので、説明を省略する。
【符号の説明】
【0055】
1、2 混合装置
11 撹拌モータ
12 撹拌軸
13 コンテナ蓋
14 撹拌羽根
20 枠体
21 天井部材
22 柱部材
23 伸縮柱部材
24 壁板部材
25 コンテナ脚受け部材
30 コンテナ固定部
31 エアシリンダー
32 プランジャー
33 エア供給路
34 コンテナ押圧部材
41、43 回転シャフト
42 回転モータ
44 ベアリング
46 ロータリー継手
50 コンテナ
51 容器本体
52 押圧パッド
53 開口頸部
54 排出口
55 脚
56 支持板
57 ローラ
58 蓋
59 撹拌羽根
60 液体噴霧手段
61 液体タンク
62 固定具
63 エア供給ホース
64 液体供給ホース
65 ノズル
66 エア供給路
67 ピストン
70 液体制御手段
71 カム
71a、71b カム片
72 従節
73 エアバルブ
75 カム固定ピン
80 液体
90 圧縮空気
91 圧縮空気源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を収容したコンテナ(50)を回転させつつ前記コンテナ(50)内に液体を噴霧して粉体と液体を混合する混合装置(1)において、
前記コンテナ(50)を着脱可能に固定する枠体(20)と、
前記枠体(20)を回転駆動するべく前記枠体(20)の両側面にそれぞれ取り付けられた回転シャフト(41,43)と、
液体を収容し前記枠体(20)に着脱可能に固定される液体タンク(61)と、
前記液体タンク(61)に圧縮空気を供給するためのエア供給路(66)と、
圧縮空気により前記液体タンク(61)から押し出された液体を前記コンテナ(50)内で噴霧するためのノズル(65)と、を有し、
前記エア供給路(66)が、少なくとも一方の前記回転シャフト(43)の内部に軸方向に形成されていることを特徴とする粉体と液体を混合する混合装置。
【請求項2】
前記液体タンク(61)が、両端部(61a,61b)を閉鎖された円筒状の本体と、前記本体の内部空間に配置された1つのピストン(67)と、圧縮空気を流入させるために一方の端部(61a)に形成された流入口(61a1)と、液体を押し出すために他方の端部(61b)に形成された流出口(61b1)と、を有し、前記ピストン(67)と他方の端部(61b)との間の内部空間に液体を収容可能であることを特徴とする請求項1に記載の、粉体と液体を混合する混合装置。
【請求項3】
前記回転シャフト(41,43)とともに回転するカム(71)と、前記カム(71)により運動する従節(72)と、前記従節(72)の運動に従って前記エア供給路(66)への圧縮空気の供給又は停止を切り替えるエアバルブ(73)と、をさらに有し、
前記回転シャフト(41,43)により前記コンテナ(50)が回転するとき、前記コンテナ(50)が所定の回転角度範囲(θ)内にあるときのみ圧縮空気が供給されるように、前記カム(71)の形状が設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の、粉体と液体を混合する混合装置。
【請求項4】
前記カム(71)は分割された2つのカム片(71a、71b)からなり、前記2つのカム片(71a、71b)同士は軸方向から見て重なり合うことができるように回転軸の周りで相対的に移動可能であり、前記2つのカム片(71a、71b)の重なり合う角度を変更することにより、圧縮空気が供給される前記所定の回転角度範囲(θ)を変更可能であることを特徴とする請求項3に記載の、粉体と液体を混合する混合装置。
【請求項5】
前記コンテナ(50)が前記枠体(20)に固定された状態にて前記コンテナ(50)内部に配置される撹拌羽根(14,59)と、前記撹拌羽根(14,59)を回転するべく前記枠体(20)に固定された撹拌モータ(11)と、をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の、粉体と液体を混合する混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−49018(P2013−49018A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188668(P2011−188668)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(392013051)山崎金属産業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】