説明

粉体分級装置

【課題】一度の操作で3つの粒子領域への分級が可能な粉体分級装置を提供する。
【解決手段】粉体分級装置1は、円筒状のケーシング11a、11bと、混合粉体を気流とともに供給する粉体供給部12と、旋回流を発生させる案内羽根13と、ケーシング11aの接線方向から追加気流を供給して旋回流を強める追加気流供給部20と、多孔質部材32を通過させて整流した分級気流をケーシング11a内に供給する分級気流供給部30と、ケーシング11aの内壁の一部に開口したスリット42を有し、スリット42を通過した粗大粒子が回収される粗大粒子回収部40と、上方に向けて開口した微小粒子回収路52と、微小粒子回収路の上方に配置された傘状体51と、微小粒子回収路52とケーシング11bとの間を通過した中間径粒子が回収される中間径粒子回収部60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体分級装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を分級する乾式の粉体分級装置として、サイクロン式等、従来から様々な気流式分級装置が知られている(例えば、特許文献1等)。特許文献1の気流式分級装置は、本体内に、分級板と、分級板の上方対向位置に配置された案内版と、案内板と分級板との間に形成された分級室と、案内板の上方に形成された円筒状の分散室と、を有する気流式分級装置である。案内板は、本体の上部中央を貫通して分散室内に突出した昇降軸の先端部に昇降軸によって上下動可能に保持されており、これにより分散室を軸対称に形成すると共に、案内板を上下動させることによって案内板と分級板との間隔を調整し分級室の容積を可変となしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−207980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1等の気流式分級装置では、旋回流を生じさせるだけの構造であり、一度の操作で2つの粒子領域への分級しかできなかった。
【0005】
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、一度の操作で3つの粒子領域への分級が可能な粉体分級装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る粉体分級装置は、
円筒状のケーシングと、
前記ケーシングの上方から前記ケーシング内に混合粉体を気流とともに供給する粉体供給部と、
前記ケーシング内に旋回流を発生させる案内羽根と、
前記案内羽根の下方にて前記ケーシングの接線方向から追加気流を供給して旋回流を強める追加気流供給部と、
前記追加気流供給部の下方に位置し、前記ケーシングの内壁から中心方向に所定の幅で設けられたスリットを有し、前記スリットを通過した粗大粒子が回収される粗大粒子回収部と、
上方に向けて開口した微小粒子回収路と、前記微小粒子回収路の上方に配置され上方に頂点を有し下方に向けて末広がり状の傘状体とを有し、前記微小粒子回収路からの吸引により前記微小粒子回収路の開口部と前記傘状体との隙間を通過した微小粒子が回収される微小粒子分級部と、
前記微小粒子回収路と前記ケーシングとの間を通過した中間径粒子が回収される中間径粒子回収部と、を備える、
ことを特徴とする。
【0007】
また、前記追加気流発生部は、前記追加気流を前記ケーシング内へ導出する導出路が形成された着脱自在な風量調節部材を有し、
異なる径の前記導出路が形成された前記風量調節部材を装着することにより、前記ケーシング内へ導出する前記追加気流の風量が調節可能であることが好ましい。
【0008】
また、前記スリットの上方に位置し、所定の幅をもって前記ケーシングの全周に形成された開口部に多孔質部材が配置されて、前記多孔質部材を通過させて整流した分級気流を前記ケーシング内に供給する分級気流供給部を備えることが好ましい。
【0009】
また、前記多孔質部材が燒結金属又は焼結したセラミック物質であることが好ましい。
【0010】
また、前記粗大粒子回収部から前記スリットを通じて微小粒子及び中間径粒子を吹き出す吹き上げ気流供給部を備えることが好ましい。
【0011】
また、前記傘状体が昇降自在であり、前記傘状体の昇降により前記傘状体と前記微小粒子回収路の開口部との隙間が変化して回収する前記微小粒子の粒径を調節可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る粉体分級装置では、異なる粒径や密度を有する粒子が混在する混合粉体を一度の操作で3つの粒子領域に分級することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】粉体分級装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A’断面図であり粉体分級装置の内部構成を示す断面図である。
【図3】案内羽根を示す斜視図である。
【図4】図4(A)は風量調節部材の構造を示す斜視図であり、図4(B)は図4(A)のD−D’断面図である。
【図5】図2のB−B’断面図であり、分級気流供給部の構成を示す断面図である。
【図6】図2のC−C’断面図であり、スリットを示す断面図である。
【図7】微小粒子分級部の模式図である。
【図8】吹き込み気流供給部の模式図である。
【図9】実施例1に用いた粉体分級装置の構成を示す図である。
【図10】実施例1における部分分離効率を示すグラフである。
【図11】実施例2に用いた粉体分級装置の構成を示す図である。
【図12】実施例2における部分分離効率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図を参照しつつ、本実施の形態に係る粉体分級装置について説明する。粉体分級装置1は、図1及び図2に示すように、ケーシング11a、11bと、粉体供給路12と、案内羽根13と、追加気流供給部20と、分級気流供給部30と、粗大粒子回収部40と、微小粒子分級部50と、中間径粒子回収部60とを備える。なお、以下では混合粉体を3つの粒子領域に分級する例について説明し、便宜上、3つの粒子領域に属するそれぞれの粒子を、粗大粒子、中間径粒子、微小粒子として説明する。
【0015】
ケーシング11a、11bは、鉛直方向に延伸した円筒状体であり、内部にて混合粉体の分級が行われる。上方に位置するケーシング11aと下方に位置するケーシング11bとは同心状に配置されており、ケーシング11aの内径はケーシング11bの内径よりも大きく、後述のようにケーシング11aとケーシング11bとの間にスリット42が形成されている。
【0016】
粉体供給路12は、種々の粒径の粒子が混在する混合粉体を気流の導入に伴ってケーシング11a、11b内に供給する流路である。粉体供給路12の一方は、ケーシング11aの上部に接続しており、他方は不図示の空気を供給するコンプレッサー及び混合粉体を供給するフィーダー等と接続している。
【0017】
案内羽根13は、ケーシング11a、11b内に旋回流を生じさせる機能を果たす。案内羽根13は、一例として図3に示すように、円筒状の軸に複数の板状の羽根が捻られて設置された構造であり、ケーシング11a内に固定されている。粉体供給路12を経てケーシング11a内に流入した気流が上方から下方へと案内羽根13を通過することにより、ケーシング11a、11b内に旋回流を生じさせる。
【0018】
追加気流供給部20は、追加気流供給路21と風量調節部材22を備える。追加気流供給部20は、ケーシング11a内に追加気流を供給し、案内羽根13によって生じた旋回流を強める役割を有する。追加気流はケーシング11aの接線方向からケーシング11a内へ供給される。
【0019】
追加気流供給路21は、一方が風量調節部材22に接続し、他方が不図示のコンプレッサー等に接続しており、コンプレッサーからの空気を風量調節部材22に供給する。
【0020】
風量調節部材22は、図4(A)、(B)に示すように、環状体の一部に外周面から内周面へと貫通する追加気流導出路23が形成されている。追加気流導出路23の外周面側が追加気流供給路21と接続し、内周面側はケーシング11a内に通じている。そして、追加気流導出路23は、図4(B)に示すように、ケーシング11aの接線方向から追加気流を供給するように形成されている。なお、追加気流は上記案内羽根13によって生じた旋回流の旋回方向に向けて供給されるよう構成される。
【0021】
また、風量調節部材22は、ケーシング11aに着脱自在な構成であることが好ましい。例えば、ケーシング11aが風量調節部材22の箇所で分割可能な構成であれば、ケーシング11aから風量調節部材22を着脱することが可能である。外形寸法が同寸で異なる径dの追加気流導出路23が形成された風量調節部材22をケーシング11aに装着することで、ケーシング11a内に導入する追加気流の風量を異ならせることが可能である。コンプレッサーを介し、追加気流供給路21に供給される空気の流量が同じである場合、大きい径の追加気流導出路23が形成された風量調節部材22を用いた場合に比べ、小さい径の追加気流導出路23が形成された風量調節部材22を用いた場合では、より高い圧力で空気を吹き出すので、ケーシング11a、11b内の旋回流がより強められる。
【0022】
なお、本実施の形態では、環状体の風量調節部材22を示しているが、ケーシング11aの接線方向から追加気流を供給可能であれば、どのような形態であってもよい。
【0023】
分級気流供給部30は、分級気流供給路31と、多孔質部材32とを備える。
【0024】
分級気流供給路31の一方はケーシング11aに接続し、他方はコンプレッサー等に接続しており、コンプレッサーを介して空気をケーシング11a内に供給する流路である。
【0025】
多孔質部材32は、ケーシング11aの開口部に設置されている。このケーシング11aの開口部はケーシングの長手方向へ所定の幅をもってケーシング11aの全周に渡り形成されており、この開口部に多孔質部材32が埋設された形態である。図5の断面図に示すように、分級気流供給路31から供給された空気は、多孔質部材32を通過してケーシング11a内に供給される。空気はケーシング11aの全周に渡って配置された多孔質部材32を通過し整流されて、ケーシング11a内に供給される。多孔質部材32は内部の細孔径が小さく緻密な構造であることが好ましく、一例として燒結金属や焼結したセラミックス物質等が挙げられる。
【0026】
粗大粒子回収部40は、ケーシング11aの内壁から中心方向へ所定の幅をもって開口するスリット42と粗大粒子回収容器41を備える。多孔質部材32が配置された下方には、図6の断面図に示すように、ケーシング11aとケーシング11bとの間に開口するスリット42が形成されている。スリット42は多孔質部材32の下方に配置された粗大粒子回収容器41に通じている。
【0027】
微小粒子分級部50は、傘状体51と微小粒子回収路52とを有する。
【0028】
微小粒子回収路52は傘状体51の下方に位置する円筒状の流路であり、微小粒子が通過する通路である。微小粒子回収路52はケーシング11a、11bと同心状に配置されている。微小粒子回収路52の一端(紙面上、上端)は傘状体51の底部近辺に位置し、他端は不図示の吸引装置に接続している。なお、微小粒子回収路52の径は、傘状体51の底部の径と略同一寸法に形成されている。
【0029】
傘状体51は、上方に頂点を有し下方に向けて末広がり状である。傘状体51は公知の手法によって粉体分級装置1内の所定位置に設置されていればよく、本実施の形態では、傘状体51は棒体55を介し、支持部材54によって微小粒子回収路52に設置されている。なお、支持部材54は、格子状体等、微小粒子の通過を阻害しない構成であればいずれでもよい。図7に示すように、傘状体51は昇降自在(ケーシング11a、11bの長手方向に移動自在)に構成されており、傘状体51の底部と微小粒子回収路52の上端との隙間53が可変可能である。なお、傘状体51の昇降機構については、歯車やベルト等、公知の手法にて昇降自在に構成されていればよい。
【0030】
中間径粒子回収路60は、上部が微小粒子回収路52とケーシング11bとで挟まれた流路である。
【0031】
続いて、粉体分級装置1による混合粉体の作用について説明する。
【0032】
異なる粒径の粒子が混在する混合粉体を供給するフィーダー及び圧縮空気を供給するコンプレッサーから、粉体供給路12を通じてケーシング11a内に混合粉体が気流ともに供給される。
【0033】
供給された気流が案内羽根13を通過することで、ケーシング11a内に旋回流が生じる。
【0034】
案内羽根13の下方では、追加気流供給部20によって、ケーシング11a内に追加気流が導入される。これにより、案内羽根13によって生じた旋回流が強まる。
【0035】
混合粉体はこの旋回流にのって、旋回しつつケーシング11a内を下降してゆく。旋回流により粉体は遠心力を受ける。粉体に作用する遠心力は、重量に比例するため、大きな粒径の粒子ほどケーシング11aの内壁に近接或いは接触しつつ旋回し、下降していくことになる。
【0036】
このため、ケーシング11a内壁に近接或いは当接しつつ下降した粗大粒子はケーシング11aとケーシング11bとの間のスリット42を通過し、粗大粒子回収容器41に回収される。
【0037】
また、スリット42の上方には、分級気流をケーシング11a内に導入している。分級気流はケーシング11a全周から中心方向に向けて逆放射状に供給している。静電引力等により粗大粒子に吸着している中間径粒子或いは微小粒子は、分級気流によって分離され、中間径粒子等が粗大粒子回収容器41に流入しにくい。
【0038】
粗大粒子回収容器41に回収されなかった微小粒子及び中間径粒子は、旋回流に伴い、更に旋回しつつケーシング11b内を下降し、傘状体51及び微小粒子回収路52が設置されている箇所へと進む。
【0039】
微小粒子回収路52の下方からは吸引装置等でケーシング11b内の空気及び粉体を吸引している。重量の小さい微小粒子では、吸引装置等による吸引力が遠心力に勝ることになり、微小粒子が傘状体51と微小粒子回収路52との隙間53に流入し、微小粒子回収路52を通じて回収される。
【0040】
一方、微小粒子よりも重量の大きい中間径粒子では、遠心力が吸引装置等による吸引力に勝り、隙間53に流入することなくそのまま下降する。そして中間径粒子は中間径粒子回収路60を通じて回収される。
【0041】
本実施の形態に係る粉体分級装置1では、追加気流供給部20を備えており、案内羽根13によって生じる旋回流を更に強めることができる。そして、風量調節部材22は着脱自在であり、異なる径の追加気流導出路23が形成された風量調節部材22を適宜選択して用いることで、ケーシング11a内の旋回流の強弱、すなわち粒子が受ける遠心力を容易に調節可能である。したがって、用いる混合粉体に応じ、風量調節部材22を調節することで、どの程度の粒径の粒子を粗大粒子としてケーシング11a内壁に近接或いは当接させて分離するかを調節することができる。
【0042】
たとえば、粒子a、粒子b、粒子c、粒子d及び粒子eが混在し、粒子径が粒子a<粒子b<粒子c<粒子d<粒子eの関係にある混合粉体を分級する場合、旋回流の強さを調節することで、粒子eを粗大粒子として粗大粒子回収容器41に回収することや、或いは、追加気流導出路23がより小径な風量調節部材22を用いることで、粒子eよりも小さな粒子dをもケーシング11a内壁に近接或いは当接させて、粒子d及び粒子eを粗大粒子として分離し、粗大粒子回収容器41に回収することができる。
【0043】
また、粗大粒子回収容器41へ通じるスリット42の上方に分級気流供給部30を備えており、粗大粒子に吸着している微小粒子や中間径粒子を分離させることができるので、精度よく粗大粒子を粗大粒子回収容器41内に回収することができる。
【0044】
更には、傘状体51が昇降自在に構成されているため、傘状体51と微小粒子回収路52の開口部との隙間53を容易に調節することができる。したがって、中間径粒子と微小粒子とをどの程度の粒径(重量)で分級するかを容易に調節することができる。
【0045】
たとえば、吸引装置による吸引力が同じである場合、傘状体51と微小粒子回収路52の開口部との隙間53を広く設定すれば、隙間53に生じる負圧が小さくなるので、より小さな粒径の粒子のみを吸引することになり、小さな粒径の微小粒子のみを微小粒子回収路52に導くことができる。たとえば、粒子a〜粒子dの粒子が混在する混合粉体から粒子aの紛体を微小粒子として微小粒子回収路52に導き、粒子b〜粒子dの粒子から分離することができる。
【0046】
一方、傘状体51と微小粒子回収路52の開口部との隙間53を狭く設定すれば、隙間53に生じる負圧が大きくなるので、より大きな粒径の粒子を吸引して微小粒子回収路52に流入させることができる。たとえば、粒子a〜粒子dの粒子が混在する混合粉体から粒子a及び粒子bの粒子を微小粒子回収路52に導き、粒子c及び粒子dの粒子から分離することができる。
【0047】
また、粉体分級装置1は、図8に示すように、粗大粒子回収容器41からスリット42を通じて吹き上げ気流を供給する吹き上げ気流供給部を備えていてもよい。吹き上げ気流供給路43の一方は粗大粒子回収容器41に接続し、他方はコンプレッサー等に接続している。コンプレッサーからの空気が吹き上げ気流供給路43を通じて粗大粒子回収容器41に流入し、スリット42を通じてケーシング11a、11b内に排出される。これにより、慣性の大きい粗大粒子がスリット42を通過し、慣性の弱い中間径粒子及び微小粒子はスリット42を通過しにくくなる。このため、精度よく粗大粒子を回収することができる。
【0048】
以上のように、本実施の形態に係る粉体分級装置1では、粗大粒子、中間径粒子、微小粒子の3つの粒子領域に分級することができるとともに、それぞれの分級点も容易に調節可能である。
【実施例1】
【0049】
(追加気流による分級能についての検証)
図9に示す装置構成にて、追加気流の供給による影響について検証した。
【0050】
混合粉体として関東ローム(JIS 8種)を用いた。混合粉体を気流とともにケーシング内に供給し、旋回流を生じさせ、追加気流を供給して旋回流を強め、混合粉体を粗粉と微粉との2つの粒子領域に分級した。そして、傘状体と微小粒子回収路との隙間を通過した微粉を回収し、部分分離効率を粒径毎に測定した。
【0051】
なお、混合粉体を送り込む流量(Q)を800L/minとし、追加気流の流量(q)を0L/min、100L/min、200L/minとし、それぞれについて行った。
【0052】
測定した部分分離効率を図10に示す。追加気流を導入しなかった場合に比べ、追加気流を導入した場合では、曲線の傾きがシャープになっており、良好に分級されている。追加気流の流量を異ならせて旋回流の強さを調節することで、分級する粒子径を調節することも可能であることがわかった。
【実施例2】
【0053】
(分級気流による分級能の検証)
図11に示す、所謂軸流サイクロン式分級装置構成にて、混合粉体を粗粉及び微粉の2つの粒子領域に分級し、分級気流の供給による影響について検証した。
【0054】
混合粉体として関東ローム(JIS 8種)を用いた。混合粉体を気流とともにケーシング内に供給し、旋回流を生じさせ、そして、追加気流を供給して旋回流を強め、混合粉体を粗粉と微粉との2つの粒子領域に分級した。スリットから進入した粗粉を回収し、部分分離効率を粒径毎に測定した。
【0055】
多孔質部材として、燒結金属を用いた。用いた燒結金属は40メッシュである。混合粉体とともに供給する気流の流量(Q)は400L/min、追加気流の流量(q)は200L/minとした。分級気流の流量(q)、0L/min、10L/min、20L/min、40L/minとし、それぞれについて行った。
【0056】
その結果を図12に示す。分級気流の流量が大きいほど、粗粉に微粉が混入しなくなることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明に係る粉体分級装置では、異なる粒径の粒子が混在する混合粉体を精度よく3つの粒子領域に分級することができる。また、異なる密度を有する粒子が混在する混合粉体を分離することも可能で、混合粉体の分離が必要なさまざまな分野での利用が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 粉体分級装置
11a、11b ケーシング
12 粉体供給路(粉体供給部)
13 案内羽根
20 追加気流供給部
21 追加気流供給路
22 風量調節部材
23 追加気流導出路
30 分級気流供給部
31 分級気流供給路
32 多孔質部材
40 粗大粒子回収部
41 粗大粒子回収容器
42 スリット
43 吹き上げ気流供給路
50 微小粒子分級部
51 傘状体
52 微小粒子回収路
53 隙間
54 支持部
60 中間径粒子回収路(中間径粒子回収部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のケーシングと、
前記ケーシングの上方から前記ケーシング内に混合粉体を気流とともに供給する粉体供給部と、
前記ケーシング内に旋回流を発生させる案内羽根と、
前記案内羽根の下方にて前記ケーシングの接線方向から追加気流を供給して旋回流を強める追加気流供給部と、
前記追加気流供給部の下方に位置し、前記ケーシングの内壁から中心方向に所定の幅で設けられたスリットを有し、前記スリットを通過した粗大粒子が回収される粗大粒子回収部と、
上方に向けて開口した微小粒子回収路と、前記微小粒子回収路の上方に配置され上方に頂点を有し下方に向けて末広がり状の傘状体とを有し、前記微小粒子回収路からの吸引により前記微小粒子回収路の開口部と前記傘状体との隙間を通過した微小粒子が回収される微小粒子分級部と、
前記微小粒子回収路と前記ケーシングとの間を通過した中間径粒子が回収される中間径粒子回収部と、を備える、
ことを特徴とする粉体分級装置。
【請求項2】
前記追加気流供給部は、前記追加気流を前記ケーシング内へ導出する導出路が形成された着脱自在な風量調節部材を有し、
異なる径の前記導出路が形成された前記風量調節部材を装着することにより、前記ケーシング内へ導出する前記追加気流の風量が調節可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の粉体分級装置。
【請求項3】
前記スリットの上方に位置し、所定の幅をもって前記ケーシングの全周に形成された開口部に多孔質部材が配置されて、前記多孔質部材を通過させて整流した分級気流を前記ケーシング内に供給する分級気流供給部を備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体分級装置。
【請求項4】
前記多孔質部材が燒結金属又は焼結したセラミック物質である、
ことを特徴とする請求項3に記載の粉体分級装置。
【請求項5】
前記粗大粒子回収部から前記スリットを通じて微小粒子及び中間径粒子を吹き出す吹き上げ気流供給部を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粉体分級装置。
【請求項6】
前記傘状体が昇降自在であり、前記傘状体の昇降により前記傘状体と前記微小粒子回収路の開口部との隙間が変化して回収する前記微小粒子の粒径を調節可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の粉体分級装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−192387(P2012−192387A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60281(P2011−60281)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年2月22日、http://www3.scej.org/meeting/76a/abst/K114.pdf
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】