説明

粉体制御装置及び方法

【課題】粉体の付着、凝集、閉塞の各現象に基づく粉体機器のトラブルを、粉体機器等に影響を及ぼすことなく良好に回避できること。
【解決手段】粉体機器2内の粉体1中に複数混入され、磁性材料を含む粒子または小球からなる強磁性体11と、粉体機器2の外部に設置されて強磁性体11に磁場を作用する磁石12とを有し、この磁石12からの磁場を調整することにより粉体1中の強磁性体11の位置を変更して、当該粉体1の挙動を制御するよう構成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体機器内に収容された粉体の付着、凝集、閉塞を防止するために、粉体機器内で粉体の挙動を制御する粉体制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの工業的な分野、例えば食品、セメント、セラミックス、半導体、薬品、廃棄物処理などの分野では、粉体を取り扱うことが多い。このような様々な工業分野で粉体プロセスは重要な役割を担っているが、粉体プロセスにおけるトラブルは、気体や液体系のプロセスとは異なり、困難な問題とされている。その主な原因は、粉体の物性が各工業分野で大きく異なり、データが充分整備されていないことと、気液系のような連続体モデルが適用できないため理論的検討が困難であること等、粉体独特の特性が未だ解明されていないためと考えられる。
【0003】
粉体プロセスのトラブルで代表的なものは、粉体の壁面への付着現象、凝集現象、及び閉塞現象である。これらの3つの現象で全体のトラブル件数の57%を占め、これらのトラブルは、主に粉体の供給、排出、輸送、貯蔵の各工程で発生している(非特許文献1)。
【0004】
これらの各工程では、ホッパーや配管、フィーダー、貯留槽が粉体機器として用いられている。これらの粉体機器では、付着や凝集、閉塞の各現象を抑制するために、例えば、粉体機器の壁面に粉体が付着しないように壁面を振動させたり(振動方式)、攪拌装置としてのスクリューを粉体機器の内部に備えたり(撹拌方式)、粉体にガスを直接注入したり(通気方式)、異なる粉体を混合して流動性を回復させる(微粒子添加方式)等の方法が考えられてきた。
【0005】
つまり、粉体の付着や凝集、閉塞を防止するために、従来、図3に示すような方法が用いられている。この図3では、粉体機器2としてホッパーを採用し、振動方式、攪拌方式、通気方式、微粒子添加方式の例を示している。粉体機器2は、ホッパー以外であっても同様である。
【0006】
振動装置3により粉体機器2の壁面8を揺らすことで、壁面8への粉体1の付着を防止する。また、通気装置4を通じてガス5を粉体機器2の内部へ注入することで、凝集した粉体1に流動性を与える。また、撹拌装置6により粉体1に流動性を回復させて凝集を防止する。更に、粉体1に微粒子7をごく僅か含ませることで閉塞を防止する。この閉塞のメカニズムは十分に解明されてはいないが、粉体1の長距離相関によって発生すると考えられ、微粒子7はその長距離相関を断ち切る役割を担っている。実際、閉塞現象の起り易さの指標としての安息角は、微粒子7の混入によって幾分減少し、その結果として粉体1の流動性が回復する場合がある。この他にも方法はあるが、以上が、粉体プロセスにおける粉体機器のトラブル解消に対し代表的な方法として挙げている。
【非特許文献1】(社)日本粉体工業技術協会編:「粉体工業におけるトラブルとその対策に関する調査研究」(1992)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
粉体プロセスで発生する付着や凝集、閉塞の防止策としては、上述のような振動方式、撹拌方式、通気方式及び微粒子添加方式によって、粉体1の付着力を減少させる方法が採用されてきた。
【0008】
しかし、振動装置3により粉体機器2の壁面8を振動させる振動方式は、粉体機器2に繰り返し力が加わるため、壁面8にクラックが生じる恐れがある。また、通気方式や撹拌方式においては、ガス5や撹拌装置6により粉体1そのものをダイナミックに動かすため、粉塵が発生し易く、通気装置4そのものに閉塞の恐れがあり、撹拌装置6も粉体圧力で動作しなくなる恐れがある。また場合によっては、撹拌装置6を粉体機器2に設置できないことがある。更に、微粒子添加方式では、添加に適した微粒子7が存在しないことがあり、また添加した場合にもppmオーダーの量ではあるが、粉体1の品質に少なからず影響を与える恐れがある。
【0009】
従って、これらの振動、撹拌、通気及び微粒子添加の各方式は、粉体プロセスのトラブルの大半を占める付着、凝集、閉塞の防止対策として、必ずしも十分であるとはいえない。特に、粉体1が放射性物質や毒物等を有している場合には、粉体機器2の修理時に作業者がその粉体機器2に容易に近寄れない。このため、粉体機器2を故障しにくい構造に構成し、また粉体機器2を修理する場合にも、作業者がその粉体機器2に直接触れなくてもよいようにしておく必要がある。
【0010】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、粉体の付着、凝集、閉塞の各現象に基づく粉体機器のトラブルを、粉体機器等に影響を及ぼすことなく良好に回避できる粉体制御装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る粉体制御装置は、粉体機器内の粉体中に複数混入され、磁性材料を含む粒子または小球からなる磁性体と、前記粉体機器の内部または外部に設置されて、前記磁性体に磁場を作用する磁石とを有し、この磁石からの磁場を調整することにより前記粉体中の前記磁性体の位置を変更して、当該粉体の挙動を制御するよう構成されたものである。
【0012】
本発明に係る粉体制御方法は、粉体機器内の粉体中に、磁性材料を含む粒子または小球からなる磁性体を複数混入し、前記粉体機器の内部または外部に設置された磁石からの磁場を調整することによって、前記粉体中の前記磁性体の位置を変更して、当該粉体の挙動を制御するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る粉体制御装置及び方法によれば、粉体機器内の粉体中に磁性体を複数混入させ、粉体機器の内部または外部に設置された磁石からの磁場を調整することによって、粉体中の磁性体の位置を変更して粉体の挙動を制御することから、磁石からの磁場によって磁性体を粉体機器の壁面に配置することで粉体の壁面への付着を防止し、また、磁石からの磁場によって磁性体を粉体中で振動させることで、粉体に流動性を付与しまたは回復させて粉体の凝集を防止すると共に、粉体間の長距離相関を遮断して粉体の閉塞を防止する。これらによって、粉体の付着、凝集、閉塞の各現象に基づく粉体機器のトラブルを良好に回避できる。このとき、粉体機器内の粉体に混入された磁性体に磁石からの磁場が作用するだけなので、粉体機器等に影響を及ぼすことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。但し、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
[A]第1の実施の形態(図1)
図1は、本発明に係る粉体制御装置の第1の実施の形態を、粉体機器であるホッパーと共に示す構成図である。この第1の実施の形態において、前記背景技術と同様な部分は、同一の符号を付して説明を簡略化し、または省略する。
【0016】
本実施の形態の粉体制御装置10は、粉体機器2(例えばホッパー)内に収容された粉体1に対し、粉体機器2の壁面8への付着、凝集、閉塞の各現象が発生しないように、粉体1の挙動を制御するものであり、磁性体としての強磁性体11と、磁石12とを有して構成される。
【0017】
強磁性体11は、粉体機器2内に収容された粉体1中に複数(多数)混入される。各強磁性体11は、全体が磁性材料から構成されてもよいが、例えば樹脂材料に磁性材料が含有されて構成されてもよい。磁性材料としては鉄やコバルト、ニッケルなどが挙げられるが、これらのそれぞれを主成分とする化合物であってもよい。磁性材料が強磁性を保持するためには、強磁性体11が混入される粉体1の温度がキュリー温度以下である必要がある。このキュリー温度は、磁性材料が鉄の場合には770℃、磁性材料がニッケルの場合には354℃である。
【0018】
また、強磁性体11の形状は粒子または小球形状が好ましく、粉体1の条件や磁石12が与える磁場の強度によって適宜選択される。
【0019】
磁石12は、粉体機器2の外部または内部に、粉体1に対し非接触状態で配置される。本実施形態は、磁石12は、粉体機器2の外側周囲に配置されている。この磁石12は、粉体機器2内の粉体1中に混入された強磁性体11に磁場を付与(作用)するものであり、電磁石または永久磁石が採用される。
【0020】
磁石12は、制御性を考慮した場合には電磁石が好ましい。この電磁石は、常電導磁石であっても超電導磁石であってもよいが、強磁場を形成する場合には超電導磁石が、コストを重視する場合には常電導磁石がそれぞれ用いられる。
【0021】
磁石12として永久磁石を採用した場合には、磁石移動手段としての例えばエアシリンダ13、または磁場遮断手段としての磁場遮断プレート14が具備される。エアシリンダ13は、永久磁石である磁石12を粉体機器2に接近させ、または粉体機器2から離反させるものである。また、磁場遮断プレート14は、永久磁石である磁石12と粉体機器2との間に挿入または引き抜き可能に配設されて、挿入時に磁石12からの磁場を遮断し、この磁場が粉体機器2に作用しないようにする。これらのエアシリンダ13または磁場遮断プレート14によって、永久磁石である磁石12から粉体1中の強磁性体11へ作用する磁場が制御される。
【0022】
上述の磁石12の設置位置及び磁石12の仕様は、永久磁石の場合にも電磁石の場合にも、粉体機器2内の粉体1中に混入された強磁性体11の位置を変更させるためにどのような磁場配置が好ましいかを基準に設定される。例えば、磁石12は粉体機器2の外側の周囲に連続して、或いは所定間隔をおいて設置される。
【0023】
粉体機器2内の粉体1中に混入された強磁性体11へ磁石12(永久磁石または電磁石)から作用する磁場を調整することによって、粉体1中での強磁性体11の位置が変更されて粉体1の挙動が制御され、粉体1について、粉体機器2の壁面8への付着や、凝集、閉塞の各現象が防止される。
【0024】
具体的には、磁石12が永久磁石である場合に、エアシリンダ13により磁石12を粉体機器2の壁面8に接近させ、または磁石12と粉体機器2との間から磁場遮断プレート14を引き抜くことにより、それぞれ強磁性体11に作用する磁場を強め、これにより、粉体機器2内の粉体1中の強磁性体11を粉体機器2の壁面8の内側に集めて、この壁面8に粉体1が付着することを防止する。磁石12が電磁石の場合には、磁石12に大電流を供給することで強磁性体11に作用する磁場を強め、粉体機器2内の粉体1中の強磁性体11を粉体機器2の壁面8の内側に集めて、同様に、粉体1の壁面8への付着を防止する。
【0025】
また、磁石12が永久磁石である場合に、エアシリンダ13により磁石12を粉体機器2に対して交互に接近若しくは離反させ、または磁場遮断プレート14を磁石12と粉体機器2との間に交互に挿入または引き抜くことにより、それぞれ強磁性体11に作用する磁場を変化させ、これにより、粉体機器2内の粉体1中で強磁性体11を磁石12に引き寄せたり引き離して振動させる。磁石12が電磁石の場合には、この磁石12に交流電流を供給することで、強磁性体11に作用する磁場を変化させ、粉体機器2内の粉体1中で強磁性体11を振動させる。このように粉体1中で強磁性体11を振動させることにより、粉体1に流動性を付与しまたは回復させて凝集を防止し、且つ粉体1からの長距離相関を遮断して閉塞を防止する。
【0026】
尚、粉体1の閉塞防止は、粉体1に微粒子を混入する従来手法と同様に、粉体1中に多数の強磁性体11を混入して粉体1間の長距離相関を断ち切ることで実現されるが、粉体1中で強磁性体11を振動させることにより一層効果的となる。
【0027】
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば次の効果(1)〜(3)を奏する。
【0028】
(1)粉体機器2内の粉体1中に強磁性体11を多数混入させ、粉体機器2の外部に設置された磁石12からの磁場を調整することによって、粉体1中の強磁性体11の位置を変更して粉体1の挙動を制御する。つまり、磁石12からの磁場によって強磁性体11を粉体機器2の壁面8の内側に配置することで、粉体1の壁面8への付着を防止し、また、磁石12からの磁場によって強磁性体11を粉体1中で振動させることで、粉体1に流動性を付与しまたは回復させて粉体1の凝集を防止させると共に、粉体1間の長距離相関を遮断して粉体1の閉塞を防止させる。これらによって、粉体1の付着、凝集、閉塞の各現象に基づく粉体機器2のトラブルを良好に回避できる。このとき、粉体機器2内の粉体1に混入された強磁性体11に磁石12からの磁場が作用するだけなので、粉体機器2の壁面8にクラック等が生ずることがなく、粉体機器2に影響を及ぼすことがない。
【0029】
(2)粉体機器2内の粉体1中の強磁性体11に磁石12から作用する磁場を調整することで、強磁性体11の位置を変更して、粉体機器2内の粉体1の挙動を制御することから、強磁性体11の位置を磁力を用いて非接触に変更できる。このため、磁石12のメンテナンスのみを実施すれば足りるのでメンテナンスが容易となる。しかも、粉体1が毒性を有していても、メンテナンス時に作業者が粉体機器2内の粉体1に直接触れることがないので安全性を確保できる。
【0030】
(3)粉体機器2内の粉体1を撹拌装置6(図3)を用いて撹拌させ、または粉体機器2内の粉体1中に通気装置4(図3)からガス5を吹き込む背景技術の場合には、通気装置4のガス吹込口が粉体1によって閉塞されたり、撹拌装置6が粉体1の粉体圧力によって動作不可能となるなど機械的な不具合が発生し易い。これに対し、本実施の形態では、粉体機器2の外側に配置された磁石12からの磁力の作用で、粉体機器2内の粉体1に混入された強磁性体11を移動させ、その位置を変更するだけなので、上述のような機械的な不具合が発生することがない。
【0031】
[B]第2の実施の形態(図2)
図2は、本発明に係る粉体制御装置の第2の実施の形態を、粉体機器であるホッパーなどと共に示す構成図である。この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態及び背景技術と同様な部分は、同一の符号を付して説明を簡略化し、または省略する。
【0032】
本実施の形態の粉体制御装置20が前記第1の実施の形態の粉体制御装置10と異なる点は、粉体機器2から排出された粉体1、または粉体機器2内の粉体1に関する情報に基づいて、磁石12が粉体1中の強磁性体11に作用する磁場を調整する磁場調整システム21と、回収手段としての強磁性体回収システム22と、中性子線遮蔽手段としての中性子線遮蔽材23とを有する点である。
【0033】
磁場調整システム21は、粉体1に関する情報を計測する計測器24と、この計測器24からの粉体に関する情報に基づき、磁石12が粉体1中の強磁性体11に作用する磁場を調整する調整信号Aを出力する磁場調整器25とを有して構成される。計測器24が計測手段として、磁場調整器25が磁場調整手段としてそれぞれ機能する。
【0034】
計測器24は、粉体機器2の粉体排出口26付近、または粉体機器2内に設置されて、粉体排出口26から排出された粉体に関する情報、または粉体機器2内の粉体1に関する情報を随時計測する。この粉体に関する情報は、粉体1の粒径分布や、粉体機器2から排出される粉体1の排出量などである。
【0035】
磁場調整器25から出力される調整信号Aは、磁石12が電磁石の場合には、この磁石12へ供給される電流値を変更し、または磁石12へ交流電流を供給するための電源装置(不図示)に対して出力される。磁石12が永久磁石である場合には、磁場調整器25から出力される調整信号Aは、磁石12を移動させるためにエアシリンダ13へ圧縮空気を送給するエア供給装置(不図示)に対して、または磁場遮断プレート14を移動させる駆動装置(不図示)に対してそれぞれ出力される。
【0036】
磁場調整器25からの調整信号Aにより磁石12が粉体1中の強磁性体11に作用する磁場が調整されることで、強磁性体11が粉体機器2の壁面8に移動したり、粉体1中で強磁性体11が振動するなど、強磁性体11の位置が変更されて、粉体機器2内における粉体1の挙動が制御される。これにより、粉体機器2において粉体1の付着、凝集、閉塞の発生が防止される。
【0037】
例えば、粉体機器2から排出された粉体1の粒子径が小さいことが計測器24により計測された場合には、粉体機器2内で壁面8に粉体1が付着し易いので、磁場調整器25は、粉体機器2内の粉体1中の強磁性体11を粉体機器2の壁面8に集めるための調整信号Aを出力して、磁石12から強磁性体11に作用する磁場を調整し、粉体1の付着の発生を防止する。
【0038】
また、粉体機器2から排出された粉体1の排出量が少ないことが計測器24により計測された場合には、粉体機器2内で粉体1が凝集または閉塞していると想定されるので、磁場調整器25は、粉体機器2内の粉体1中の強磁性体11を振動させるための調整信号Aを出力して、磁石12から強磁性体11へ作用する磁場を調整し、粉体1の凝集、閉塞を防止する。
【0039】
前記強磁性体回収システム22は、強磁性体回収部27及び強磁性体搬送経路28を有してなり、強磁性体回収部27が回収用磁石29を備える。強磁性体回収部27は、粉体機器2の粉体排出口26付近に設置され、この粉体排出口26から粉体1と共に排出された強磁性体11を回収用磁石29を用いて吸引して回収する。この回収された強磁性体11は、強磁性体搬送経路28により搬送されて粉体機器2内へ投入される。
【0040】
前記中性子線遮蔽材23は、粉体機器2内に収容される粉体1が放射性物質である場合に、粉体機器2と磁石12との間に配置されて磁石12を覆い、粉体機器2から放射される中性子線が磁石12へ至らないように遮蔽する。これにより、磁石12の中性子線による損傷等が回避される。
【0041】
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の効果(1)〜(3)と同様な効果を奏するほか、次の効果(4)〜(6)を奏する。
【0042】
(4)粉体機器2内の粉体1、または粉体機器2から排出された粉体1に関する情報を計測器24が計測し、この情報に基づき磁場調整器25が、粉体機器2内の粉体1中の強磁性体11に作用する磁石12からの磁場を調整するための調整信号Aを出力して、粉体1中の強磁性体11の位置を変更し、粉体機器2内の粉体1の挙動を制御することから、粉体機器2内の粉体1の付着、凝集、閉塞の各現象を確実かつ迅速に防止することができる。
【0043】
(5)粉体機器2の粉体排出口26から粉体1と共に排出された強磁性体11を、強磁性体回収部27において回収用磁石29を用いて回収することから、粉体1に強磁性体11が混入された状態とならず、除去された状態となるので、粉体1の品質に影響を及ぼすことを防止できる。しかも、回収された強磁性体11が強磁性体搬送経路28を経て粉体機器2内に投入されて再使用されることから、強磁性体11の無駄を省くことができる。
【0044】
(6)粉体機器2内に収容される粉体1が放射性物質である場合に、粉体機器2と磁石12との間に中性子線遮蔽材23が設置されて、この中性子線遮蔽材23により磁石12が中性子線から遮蔽されるので、磁石12の中性子線による損傷を防止できる。更に、磁石12のメンテナンス時に作業者が粉体機器2内の粉体1に直接触れることがなく、しかも、磁石12が中性子線から遮蔽されているため、作業者は磁石12の修理を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る粉体制御装置の第1の実施の形態を、粉体機器であるホッパーと共に示す構成図。
【図2】本発明に係る粉体制御装置の第2の実施の形態を、粉体機器であるホッパーなどと共に示す構成図。
【図3】従来の粉体機器であるホッパーを示す概略側断面図。
【符号の説明】
【0046】
1 粉体
2 粉体機器
8 壁面
10 粉体制御装置
11 強磁性体(磁性体)
12 磁石
13 エアシリンダ(磁石移動手段)
14 磁場遮断プレート(磁場遮断手段)
20 粉体制御装置
21 磁場調整システム
22 強磁性体回収システム
23 中性子線遮蔽材(中性子線遮蔽手段)
24 計測器(計測手段)
25 磁場調整器(磁場調整手段)
27 強磁性体回収部(回収手段)
28 強磁性体搬送経路(搬送経路)
29 回収用磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体機器内の粉体中に複数混入され、磁性材料を含む粒子または小球からなる磁性体と、
前記粉体機器の内部または外部に設置されて、前記磁性体に磁場を作用する磁石とを有し、
この磁石からの磁場を調整することにより前記粉体中の前記磁性体の位置を変更して、当該粉体の挙動を制御するよう構成されたことを特徴とする粉体制御装置。
【請求項2】
前記磁石が永久磁石である場合に、この永久磁石を移動させる磁石移動手段、または前記永久磁石からの磁場を遮断可能な磁場遮断手段が具備されたことを特徴とする請求項1に記載の粉体制御装置。
【請求項3】
前記粉体機器内の粉体、または当該粉体機器から排出された粉体に関する情報を計測する計測手段と、この計測手段からの情報に基づき磁石からの磁場を調整する磁場調整手段と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の粉体制御装置。
【請求項4】
前記粉体機器から粉体と共に流出した磁性体を回収する回収手段が設置されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の粉体制御装置。
【請求項5】
前記回収手段は、回収した磁性体を、搬送経路を経て粉体機器内へ再投入するよう構成されたことを特徴とする請求項4に記載の粉体制御装置。
【請求項6】
前記粉体機器に収容される粉体が放射性物質である場合、中性子線を遮蔽する中性子線遮蔽手段が磁石を覆って配置されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の粉体制御装置。
【請求項7】
粉体機器内の粉体中に、磁性材料を含む粒子または小球からなる磁性体を複数混入し、
前記粉体機器の内部または外部に設置された磁石からの磁場を調整することによって、前記粉体中の前記磁性体の位置を変更して、当該粉体の挙動を制御することを特徴とする粉体制御方法。
【請求項8】
前記粉体機器内の粉体に関する情報に基づき、磁石が前記粉体中の磁性体に作用する磁場を調整して、粉体中の磁性体の位置を変更することを特徴とする請求項7に記載の粉体制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−200588(P2008−200588A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38416(P2007−38416)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】