説明

粉体塗布容器

【課題】使用者の被塗布部に受ける触感の心地よさを向上させる。
【解決手段】頂壁部13は、容器軸O方向の外側に向けて膨出したドーム状に形成されるとともに、頂壁部13および保持部材は弾性変形可能に形成され、排出孔14は、容器軸O回りに沿う周方向に延在し、かつ頂壁部13に周方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、容器軸Oに直交する径方向に間隔をあけて複数列形成され、頂壁部13において、周方向で隣り合う排出孔14同士の間に位置する接続部分13aは、径方向で隣り合う他の列における接続部分13aに対して周方向にずれた位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体塗布容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に粉体塗布容器として、例えば下記特許文献1に示されるような、粉体が収容される容器体と、容器体の口部に装着されるとともに、頂壁部に容器体内の粉体が排出される排出孔が形成された蓋部材と、この蓋部材の頂壁部を覆い、かつ排出孔から排出された粉体を外部に通過可能に保持する保持部材と、蓋部材および保持部材を容器体の口部に装着する装着筒部材と、を備える構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−502415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年では、使用者が保持部材を被塗布部に押し当てて粉体を塗布する際に、使用者の被塗布部に受ける触感の心地よさを向上させることに対する要望が高まっている。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、使用者の被塗布部に受ける触感の心地よさを向上させることができる粉体塗布容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の粉体塗布容器は、粉体が収容される容器体と、容器体の口部に装着されるとともに、頂壁部に前記容器体内の粉体が排出される排出孔が形成された有頂筒状の蓋部材と、該蓋部材にその頂壁部を覆うように装着され、かつ前記排出孔から排出された粉体を外部に通過可能に保持する保持部材と、を備える粉体塗布容器であって、前記頂壁部は、前記容器軸方向の外側に向けて膨出したドーム状に形成されるとともに、該頂壁部および前記保持部材は弾性変形可能に形成され、前記排出孔は、容器軸回りに沿う周方向に延びる長孔状に形成され、かつ前記頂壁部に周方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、容器軸に直交する径方向に間隔をあけて複数列形成され、前記頂壁部において、周方向で隣り合う前記排出孔同士の間に位置する接続部分は、径方向で隣り合う他の列における前記接続部分に対して周方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、前記接続部分が、径方向で隣り合う他の列における前記接続部分に対して周方向にずれた位置に配置されているので、蓋部材の頂壁部の柔軟性を向上させることが可能になり、この頂壁部を被塗布部に保持部材を介して押し付けたときに、該頂壁部を広範囲にわたって大きく窪み変形させることができる。したがって、使用者が保持部材を被塗布部に押し当てて粉体を塗布する際に、使用者の被塗布部に受ける触感の心地よさを向上させることができる。
なお例えば、径方向で互いに隣り合う各列の前記接続部分同士が径方向で連続している場合には、頂壁部において、前記接続部分が径方向で連続している周方向部分の剛性が、他の部分と比べて高くなることで、頂壁部全体の窪み変形が抑えられ、使用者の被塗布部に受ける触感の心地よさを向上させることができないばかりでなく、前記周方向部分が被塗布部に保持部材を介して触れることで使用者に不快感を与えるおそれもある。
【0008】
ここで、前記蓋部材の頂壁部における径方向の内側部分は、径方向の中央部に配置され容器軸が直交する平板部と、この平板部を径方向の外側から囲繞する環板部と、周方向に沿って延在しその両周端部がそれぞれ、前記平板部の外周縁および環板部の内周縁に各別に連結された複数の連結片と、を備え、複数の排出孔のうちの少なくとも一部は、前記平板部と環板部と連結片との間の隙間により構成されてもよい。
【0009】
この場合、平板部の外周縁および環板部の内周縁が、周方向に延びる連結片の両周端部に各別に連結されているので、例えば径方向に延びる連結片を採用した場合と比べて、排出孔の開口面積を過度に大きくすることなく、平板部の容器軸方向に沿った変位を容易に大きく確保することが可能になる。したがって、排出孔を通した粉体の排出量を適度に保ちながら、前記頂壁部のうち、保持部材を介して被塗布部に頻繁に触れる径方向の内側部分の柔軟性を確実に向上させることができる。
【0010】
また、前記容器体の口部には、前記排出孔と容器体の内部とを連通する連通孔が形成され、前記蓋部材は、前記容器体に対して容器軸回りに回転自在に配設されるとともに、その内側に、該蓋部材とともに前記容器体に対して容器軸回りに回転移動することで前記連通孔を開閉させる開閉部材を備えてもよい。
【0011】
この場合、蓋部材が前記開閉部材を備えているので、保管時には前記連通孔を開閉部材により閉塞しておくことが可能になり、容器体内の粉体が湿気などの影響により劣化することや粉体が漏出することを抑制することができる。
また例えば、粉体を塗布する前に、容器体内の粉体を前記連通孔および排出孔を通して保持部材に保持させておき、その後、前記連通孔を開閉部材により閉塞した状態で粉体を塗布する場合には、予期しない大量の粉体が被塗布部に塗布される等、塗布する粉体の量が不安定になるのを防ぐこともできる。
【0012】
さらに、前記頂壁部において容器軸方向の内側を向く裏面と、前記開閉部材において容器軸方向の外側を向く表面と、の間には、容器軸方向の隙間が設けられて計量空間が画成されてもよい。
【0013】
この場合、頂壁部と開閉部材との間に前記計量空間が配設されているので、粉体を塗布する前に、容器体内の粉体を計量空間に前記連通孔を通して充填させた後に、前記連通孔を開閉部材により閉塞することで粉体を計量し、その後、この計量空間内の粉体を被塗布部に塗布することで、塗布する粉体を計量空間内のものに限定することが可能になり、その塗布量を一定にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用者の被塗布部に受ける触感の心地よさを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る一実施形態として示した粉体塗布容器の一部半縦断面図である。
【図2】図1に示す粉体塗布容器の蓋部材の上面図である。
【図3】本発明に係る他の実施形態として示した粉体塗布容器の一部半縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係る粉体塗布容器1は、図1および図2に示されるように、粉体が収容される容器体11と、容器体11の後述する口部材(口部)12に装着されるとともに、頂壁部13に粉体が排出される排出孔14が形成された有頂筒状の蓋部材15と、蓋部材15にその頂壁部13を覆うように装着され、かつ排出孔14から排出された粉体を外部に通過可能に保持する保持部材16と、を備えている。
図示の例では、容器体11および蓋部材15はそれぞれ、共通軸上に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿って蓋部材15の頂壁部13側を上側、容器体11の底部11a側を下側といい、また容器軸Oに直交する方向を径方向といい、さらに容器軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0017】
容器体11は、有底筒状に形成されるとともに内部に粉体が収納される本体部材17と、この本体部材17の口筒部17aに装着された有頂筒状の口部材12と、を備えている。
本体部材17の胴部17bは、上端および下端からそれぞれ容器軸O方向に互いに近づくに従い漸次、曲線状に縮径してくびれている。本体部材17の口筒部17aは、上側に位置する小径筒部17cおよび下側に位置する大径筒部17dを備え、この大径筒部17dの下端と胴部17bの上端とが肩部17eを介して接続されている。
【0018】
口部材12は、本体部材17の口筒部17aに外嵌される周壁部18と、口筒部17aの上端開口を閉塞する天壁部19と、を備えている。
周壁部18は、天壁部19の外周縁に連なり下方に向けて延びる上側周壁部18aと、上側周壁部18aの下方に位置しかつ上側周壁部18aより大径の下側周壁部18bと、上側周壁部18aの下端と下側周壁部18bの上端とを連結する第1フランジ部18cと、を備えている。上側周壁部18aおよび下側周壁部18bの双方が、本体部材17の口筒部17aに外嵌されている。なお、周壁部18内には、第1フランジ部18cの下面および下側周壁部18bの内面の双方から突出する突起体18eが設けられており、この突起体18eが、本体部材17における小径筒部17cの外面に突設された回り止めリブ17fに係合されることにより、本体部材17と口部材12との相対的な周方向に沿った移動が規制されている。
天壁部19の下面における外周縁部は、本体部材17における口筒部17aの上端開口縁に当接している。また、天壁部19の下面における外周部には、容器軸Oと同軸に配置されたシール筒19aが下方に向けて突設されており、このシール筒19aが、本体部材17の口筒部17a内に嵌合されている。天壁部19には、蓋部材15の排出孔14と容器体11の内部とを連通する第1連通孔19bが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0019】
蓋部材15は、前記頂壁部13と、頂壁部13の外周縁に下方に向けて延設された装着筒部20と、装着筒部20の下端に全周にわたって突設された第2フランジ部21と、を備えている。
頂壁部13は、上方に向けて膨出したドーム状に形成されるとともに、弾性変形可能に形成され、容器軸Oと同軸に配設されている。
第2フランジ部21は、口部材12の第1フランジ部18c上に配置されている。
装着筒部20は、口部材12の上側周壁部18aに容器軸O回りに回転自在に外嵌されている。図示の例では、装着筒部20の内周面には第1係合突部20aが突設されており、この第1係合突部20aが、口部材12の上側周壁部18aの外周面に突設された第2係合突部18dを下方に乗り越えこの第2係合突部18dに係合することにより、蓋部材15が口部材12から外れるのを防止している。
【0020】
保持部材16は、弾性変形可能な多孔質材により形成されている。図示の例では、保持部材16はスポンジ体からなり、蓋部材15における頂壁部13および装着筒部20を全域にわたって覆っている。
ここで、蓋部材15の装着筒部20には嵌合筒部材22が外嵌されており、保持部材16は、その外周縁部が装着筒部20と嵌合筒部材22とで径方向に挟み込まれて固定されている。なお、嵌合筒部材22の下端縁は、蓋部材15の第2フランジ部21上に配置されている。また、嵌合筒部材22と蓋部材15との間には、図示されない回り止め機構が配設されており、嵌合筒部材22と蓋部材15との相対的な周方向に沿った移動が規制されている。なお、この回り止め機構に代えて、例えば蓋部材15の装着筒部材20の外面形状、および嵌合筒部材22の内面形状をそれぞれ、多角形状等の非円形状にすることで、嵌合筒部材22と蓋部材15との相対的な周方向に沿った移動を規制するようにしてもよい。
【0021】
口部材12における下側周壁部18bの外周面には雄ねじが形成されており、この雄ねじにオーバーキャップ23が着脱自在に螺着されている。オーバーキャップ23により、保持部材16、嵌合筒部材22および口部材12の下側周壁部18bが覆われている。オーバーキャップ23の内面には、容器軸Oと同軸に下方に向けて筒部23aが突設されており、この筒部23aと蓋部材15の第2フランジ部21とにより嵌合筒部材22が上下方向に挟み込まれている。
【0022】
そして本実施形態では、排出孔14が、図2に示されるように、蓋部材15の頂壁部13に周方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、径方向に間隔をあけて複数列形成されている。各排出孔14は周方向に沿って延びる長孔状に形成されている。
図示の例では、排出孔14は、頂壁部13に径方向に間隔をあけて6列形成され、これらのうち、径方向の外側に位置する2列では周方向に間隔をあけて4つずつ形成され、径方向の内側に位置する4列では周方向に間隔をあけて3つずつ形成されている。
なお、前記第1連通孔19bは、口部材12の天壁部19において、排出孔14に容器軸O方向で対向する部分に形成されている。
【0023】
頂壁部13において、周方向で隣り合う排出孔14同士の間に位置する接続部分13aは、径方向で隣り合う他の列における接続部分13aに対して周方向にずれた位置に配置されている。すなわち、径方向で隣り合う各列における接続部分13a同士は、径方向で不連続となっている。
【0024】
さらに、頂壁部13における径方向の内側部分は、径方向の中央部に配置され容器軸Oが直交する平板部24と、この平板部24を径方向の外側から囲繞する第1環板部25と、周方向に沿って延在しその両周端部がそれぞれ、平板部24の外周縁および第1環板部25の内周縁に各別に連結された複数の第1連結片26と、を備えている。そして、排出孔14の、前述した径方向の内側に位置する4つの列のうち、径方向の内側に位置しかつ径方向で互いに隣接する2つの列における各排出孔14が、平板部24と第1環板部25と第1連結片26との間の隙間により構成されている。図示の例では、これら2つの列のうち、径方向の内側に位置する列の排出孔14における一方の周端部と、径方向の外側に位置する列の排出孔14における他方の周端部と、が径方向に連通されている。また、第1連結片26の両周端部がそれぞれ、前記接続部分13aとなっている。
【0025】
さらに、頂壁部13は、第1環板部25を径方向の外側から囲繞する第2環板部27と、周方向に沿って延在しその両周端部がそれぞれ、第1環板部25の外周縁および第2環板部27の内周縁に各別に連結された複数の第2連結片28と、を備えている。そして、排出孔14の、前述した径方向の内側に位置する4つの列のうち、径方向の外側に位置しかつ径方向で互いに隣接する2つの列における各排出孔14が、第1環板部25と第2環板部27と第2連結片28との間の隙間により構成されている。図示の例では、これら2つの列のうち、径方向の内側に位置する列の排出孔14における他方の周端部と、径方向の外側に位置する列の排出孔14における一方の周端部と、が径方向に連通されている。また、第2連結片28の両周端部がそれぞれ、前記接続部分13aとなっている。
【0026】
さらに本実施形態では、図1に示されるように、蓋部材15は、その内側に、該蓋部材15とともに容器体11に対して容器軸O回りに回転移動することで第1連通孔19bを開閉させる開閉部材29を備えている。
図示の例では、蓋部材15の頂壁部13において、排出孔14が形成されている部分よりも径方向の外側に位置する部分に、容器軸Oと同軸に下方に向けて支持筒部13bが突設されており、この支持筒部13bに有底筒状の開閉部材29が外嵌されている。支持筒部13bの外周面と開閉部材29の内周面との間には、図示されない回り止め機構が配設されており、蓋部材15と開閉部材29との相対的な周方向に沿った移動が規制されている。なお、この回り止め機構に代えて、例えば支持筒部13bの外面形状、および開閉部材29の内面形状をそれぞれ、多角形状等の非円形状にすることで、蓋部材15と開閉部材29との相対的な周方向に沿った移動を規制するようにしてもよい。
開閉部材29の底壁部には、周方向に間隔をあけて複数の第2連通孔29cが形成されている。また、頂壁部13の下面と開閉部材29における底壁部の上面との間には、容器軸O方向の隙間が設けられて計量空間Aが画成されている。すなわち、この計量空間Aを通して、頂壁部13の排出孔14と開閉部材29の第2連通孔29cとが連通している。
【0027】
口部材12の天壁部19における外周縁部には、容器軸Oと同軸に上方に向けて筒部19cが突設されており、この筒部19cに、蓋部材15の頂壁部13において支持筒部13bよりも径方向の外側に位置する外周縁部が容器軸O回りに回転自在に外嵌されている。また、筒部19c内には、有底筒状に形成されたパッキン部材30が嵌合されている。筒部19cの内周面とパッキン部材30の外周面との間には、図示されない回り止め機構が配設されており、口部材12とパッキン部材30との相対的な周方向に沿った移動が規制されている。なお、この回り止め機構に代えて、例えばパッキン部材30の外面形状、および筒部19cの内面形状をそれぞれ、多角形状等の非円形状にすることで、口部材12とパッキン部材30との相対的な周方向に沿った移動を規制するようにしてもよい。また、パッキン部材30の内周面と開閉部材29の外周面との間には、径方向の隙間が設けられている。なお、パッキン部材30内に開閉部材29を嵌合し、パッキン部材30の内周面と開閉部材29の外周面との間に前記回り止め機構を配設してもよい。
【0028】
また、パッキン部材30の底壁部は、開閉部材29の底壁部と口部材12の天壁部19とにより容器軸O方向に挟み込まれており、パッキン部材30の底壁部と開閉部材29の底壁部との間、およびパッキン部材30の底壁部と口部材12の天壁部19との間がそれぞれ気密に保持されている。パッキン部材30の底壁部には、周方向に間隔をあけて複数の第3連通孔30aが形成されている。パッキン部材30は、口部材12に固定されており、口部材12における複数の第1連通孔19bとパッキン部材30における複数の第3連通孔30aとは常に連通している。なお、第1連通孔19b、第2連通孔29cおよび第3連通孔30aは、同数ずつ形成されるとともに、互いに同形同大とされ、かつ容器軸Oとの距離は全て互いに同等になっている。
【0029】
以上の構成において、まずオーバーキャップ23を取り外し、保持部材16、嵌合筒部材22および口部材12の下側周壁部18bを外部に露出させた後に、嵌合筒部材22を操作して、保持部材16、蓋部材15および開閉部材29を、容器体11およびパッキン部材30に対して容器軸O回りに回転させて、開閉部材29の第2連通孔29cと、容器体11の第1連通孔19bおよびパッキン部材30の第3連通孔30aと、を連通させる。これにより、容器体11の内部と排出孔14とが、第1連通孔19b、第3連通孔30a、第2連通孔29cおよび計量空間Aを通して連通される。
【0030】
その後、粉体塗布容器1全体を上下反転するように傾け、容器体11内の粉体を、第1連通孔19b、第3連通孔30aおよび第2連通孔29cを通して、計量空間A内に進入させて充填した後に、嵌合筒部材22を操作して、保持部材16、蓋部材15および開閉部材29を、容器体11およびパッキン部材30に対して容器軸O回りに回転させて、開閉部材29の底壁部において周方向で隣り合う第2連通孔29c同士の間に位置する部分により、第3連通孔30aおよび第1連通孔19bを閉塞させる。
そして、この粉体塗布容器1全体を上下反転するように傾けた状態で、保持部材16を被塗布部に押し付けて、この保持部材16および頂壁部13を弾性的に窪み変形させつつ、計量空間A内の粉体を排出孔14および保持部材16を通して被塗布部に塗布する。
【0031】
以上説明したように、本実施形態による粉体塗布容器1によれば、周方向で隣り合う排出孔14同士の間に位置する接続部分13aが、径方向で隣り合う他の列における接続部分13aに対して周方向にずれた位置に配置されているので、蓋部材15の頂壁部13の柔軟性を向上させることが可能になり、この頂壁部13を被塗布部に保持部材16を介して押し付けたときに、該頂壁部13を広範囲にわたって大きく窪み変形させることができる。したがって、使用者が保持部材16を被塗布部に押し当てて粉体を塗布する際に、使用者の被塗布部に受ける触感の心地よさを向上させることができる。
【0032】
また、平板部24の外周縁および第1環板部25の内周縁が、周方向に延びる第1連結片26の両周端部に各別に連結されているので、例えば径方向に延びる連結片を採用した場合と比べて、排出孔14の開口面積を過度に大きくすることなく、平板部24の容器軸O方向に沿った変位を容易に大きく確保することが可能になる。したがって、排出孔14を通した粉体の排出量を適度に保ちながら、頂壁部13のうち、保持部材16を介して被塗布部に頻繁に触れる径方向の内側部分の柔軟性を確実に向上させることができる。
【0033】
さらに本実施形態では、頂壁部13が、第1環板部25を径方向の外側から囲繞する第2環板部27と、周方向に沿って延在しその両周端部がそれぞれ、第1環板部25の外周縁および第2環板部27の内周縁に各別に連結された複数の第2連結片28と、を備えているので、平板部24のみならず第1環板部25および第1連結片26の容器軸O方向に沿った変位をも容易に大きく確保することが可能になる。したがって、頂壁部13のうち、保持部材16を介して被塗布部に頻繁に触れる径方向の内側部分の柔軟性をより一層確実に向上させることができる。
さらにまた、第1連結片26および第2連結片28が、頂壁部13に形成された排出孔14の複数の列のうち、径方向の内側に位置する列にのみ備えられているので、粉体の塗布時に第1連結片26および第2連結片28の各変形量が大きくなり過ぎ、これらの両連結片26、28の耐久性が低くなるのを防ぐことができる。
【0034】
また、蓋部材15が開閉部材29を備えているので、保管時には第3連通孔30aおよび第1連通孔19bを開閉部材29により閉塞しておくことが可能になり、容器体11内の粉体が湿気などの影響により劣化することや粉体が漏出することを抑制することができる。
さらに例えば、粉体を塗布する前に、容器体11内の粉体を第1連通孔19bおよび排出孔14等を通して保持部材16に保持させておき、その後、第3連通孔30aおよび第1連通孔19bを開閉部材29により閉塞した状態で粉体を塗布する場合には、予期しない大量の粉体が被塗布部に塗布される等、塗布する粉体の量が不安定になるのを防ぐこともできる。
【0035】
また、蓋部材15の頂壁部13と開閉部材29との間に計量空間Aが配設されているので、粉体を塗布する前に、容器体11内の粉体を計量空間Aに第1連通孔19b、第3連通孔30aおよび第2連通孔29cを通して充填させた後に、第3連通孔30aおよび第1連通孔19bを開閉部材29により閉塞することで粉体を計量し、その後、この計量空間A内の粉体を被塗布部に塗布することで、塗布する粉体を計量空間A内のものに限定することが可能になり、その塗布量を一定にすることができる。
なお、このように計量空間Aを用いて粉体を計量せずに粉体を被塗布部に塗布してもよい。
【0036】
次に、本発明に係る他の実施の形態について説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0037】
本実施形態に係る粉体塗布容器2は、図3に示されるように、容器体41、蓋部材42、保持部材16、嵌合筒部材22、およびオーバーキャップ23を備えている。
容器体41は、胴部17bと肩部17eと口部41aとを備え、これらが一体に形成され、口部41aにオーバーキャップ23が着脱自在に螺着されている。
【0038】
蓋部材42は、頂壁部13と、頂壁部13の外周縁部に容器軸Oと同軸に下方に向けて延設された周壁部42aと、周壁部42aの外周面における容器軸O方向の中央部に径方向の外側に向けて突設されたフランジ部42bと、を備え、これらが一体に形成されている。そして、蓋部材42は、フランジ部42bが容器体41の口部41aにおける上端開口縁上に配置されるとともに、周壁部42aのうち、フランジ部42bよりも上側に位置する上側部分が口部41aから上方に突出し、かつフランジ部42bよりも下側に位置する下側部分が口部41a内に嵌合されて、容器体41に装着されている。また、保持部材16は、蓋部材42のうち頂壁部13および周壁部42aの上側部分を覆い、かつその外周縁部が、周壁部42aの上側部分と嵌合筒部材22とにより径方向に挟み込まれて固定されている。なお、嵌合筒部材22の下端縁はフランジ部42b上に配置されている。
以上の構成においても、使用者の被塗布部に受ける触感の心地よさを向上させることができる。
【0039】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
例えば、容器体11、41における胴部17bは、前記実施形態のようにくびれさせずに、容器軸O方向に沿って平行に延在させてもよい。
また、第1連結片26および第2連結片28は径方向に延在してもよい。
【0041】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
使用者の被塗布部に受ける触感の心地よさを向上させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1、2 粉体塗布容器
11、41 容器体
12 口部材(口部)
13 頂壁部
13a 接続部分
14 排出孔
15、42 蓋部材
16 保持部材
19 第1連通孔(連通孔)
24 平板部
25 第1環板部(環板部)
26 第1連結片(連結片)
27 第2環板部
28 第2連結片
29 開閉部材
29c 第2連通孔
30 パッキン部材
30a 第3連通孔
41a 口部
A 計量空間
O 容器軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体が収容される容器体と、
容器体の口部に装着されるとともに、頂壁部に前記容器体内の粉体が排出される排出孔が形成された有頂筒状の蓋部材と、
該蓋部材にその頂壁部を覆うように装着され、かつ前記排出孔から排出された粉体を外部に通過可能に保持する保持部材と、を備える粉体塗布容器であって、
前記頂壁部は、前記容器軸方向の外側に向けて膨出したドーム状に形成されるとともに、該頂壁部および前記保持部材は弾性変形可能に形成され、
前記排出孔は、容器軸回りに沿う周方向に延びる長孔状に形成され、かつ前記頂壁部に周方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、容器軸に直交する径方向に間隔をあけて複数列形成され、
前記頂壁部において、周方向で隣り合う前記排出孔同士の間に位置する接続部分は、径方向で隣り合う他の列における前記接続部分に対して周方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする粉体塗布容器。
【請求項2】
請求項1記載の粉体塗布容器であって、
前記蓋部材の頂壁部における径方向の内側部分は、径方向の中央部に配置され容器軸が直交する平板部と、この平板部を径方向の外側から囲繞する環板部と、周方向に沿って延在しその両周端部がそれぞれ、前記平板部の外周縁および環板部の内周縁に各別に連結された複数の連結片と、を備え、
複数の排出孔のうちの少なくとも一部は、前記平板部と環板部と連結片との間の隙間により構成されていることを特徴とする粉体塗布容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の粉体塗布容器であって、
前記容器体の口部には、前記排出孔と容器体の内部とを連通する連通孔が形成され、
前記蓋部材は、前記容器体に対して容器軸回りに回転自在に配設されるとともに、その内側に、該蓋部材とともに前記容器体に対して容器軸回りに回転移動することで前記連通孔を開閉させる開閉部材を備えていることを特徴とする粉体塗布容器。
【請求項4】
請求項3記載の粉体塗布容器であって、
前記頂壁部において容器軸方向の内側を向く裏面と、前記開閉部材において容器軸方向の外側を向く表面と、の間には、容器軸方向の隙間が設けられて計量空間が画成されていることを特徴とする粉体塗布容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−30906(P2011−30906A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182016(P2009−182016)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】