説明

粉末エアゾールの目詰まり防止方法

【課題】粉末エアゾールの目詰まり防止方法及び粉末エアゾールの目詰まり防止剤の提供。
【解決手段】化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト複合粉体又は化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合粉体を配合することを特徴とする、粉末エアゾールの目詰まり防止方法;化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト複合粉体又は化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合粉体を有効成分とする、粉体及び噴霧剤を含有する粉末エアゾールの目詰まり防止剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末エアゾールの目詰まり防止方法及び粉末エアゾールの目詰まり防止剤に関する。
【背景技術】
【0002】
制汗物質、殺菌物質、害虫忌避剤等の粉末を含むエアゾール製品は多く発売されている。このような粉末を含有させることによって、それらの目的が達成されるものの、一方で噴射機構部位への粉末の目詰まりが起こり易くなり、噴霧不良や内容物の漏洩の原因となる。
【0003】
この目詰まりの発生を解決するため、エアゾールの噴射機構部位を改良した技術が知られている。
例えば、一般的に粉体を含有しない製品に比べバルブ孔を大きくすることが知られているが、噴射量が多くなるため、必要量以上に噴霧する場合や過剰な噴霧液によって皮膚に対する刺激が強くなる場合がある。
また、バルブを粉体が目詰まりなく均一に定量噴射できるように、バルブ作動時にステムの下部をシールするような構造にしているもの(特許文献1)、バルブに粉体をためておくためのパウダー溜まりを備えているもの(特許文献2)等が知られているが、バルブ等の噴射機構部位を特殊なものに変更する必要がある。
斯様に噴射機構部位自体を特殊なものに変えることなく、充填する粉体組成物により、噴射機構部位へのエアゾールの粉末の目詰まりを軽減する技術は知られていない。
【特許文献1】特開2000−142849号公報
【特許文献2】特開2001−114360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、粉末エアゾールの目詰まり防止方法及び粉末エアゾールの目詰まり防止剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、噴射機構部位への粉体詰まりの起きにくい組成の粉末エアゾールを鋭意探索したところ、化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト複合粉体又は化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合体を、耐圧容器に入れ粉末エアゾールとすると、エアゾールの噴射機構部位への粉末の目詰まりが起きにくくなることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト複合粉体又は化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合体を配合することを特徴とする粉末エアゾールの目詰まり防止方法を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト複合粉体又は化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合体を有効成分とする粉体及び噴霧剤を含有する粉末エアゾールの目詰まり防止剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、噴射機構部位への粉体の目詰まりが起きにくい、またそれに起因して発生する噴霧不良や内容物の漏洩が顕著に減少する粉末エアゾールを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に使用される化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト複合粉体又は化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合体(以下、複合粉体という。)は、後記実施例の通り、粉末エアゾールの目詰まり防止のため粉末エアゾールに配合することができ、これらの複合粉体以外の粉体及び噴霧剤を含有する粉末エアゾールの目詰まり防止剤として使用することができる。
【0010】
本発明で使用する複合粉体は、化粧料用粉体にヒドロキシアパタイト及び必要により酸化亜鉛を複合させた複合粉体であるが、化粧料用粉体の表面にヒドロキシアパタイト及び必要により酸化亜鉛を被覆したものが好ましい。
【0011】
ここで、化粧料用粉体としては、化粧料に使用可能な粉体であれば特に制限されず、無機粉体又は有機粉体のいずれも使用できる。化粧料粉体は、これらを1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0012】
無機粉体としては、天然物の他、合成物であってもよく、例えば粘土鉱物、金属酸化物、金属水酸化物等が挙げられる。
粘土鉱物としては、カオリナイト、デッカイト、ナクライト、ハロイドサイト、アンチゴライト、クリソタイル等のカオリン族鉱物;パイロフィライト、モンモリロナイト、ノントロナイト、サボナイト、ヘクトライト、ベントナイト等のスメクタイト族鉱物;セリサイト、白雲母、黒雲母、リチア雲母、金雲母、合成雲母、合成セリサイト等のイライト族鉱物;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム等のケイ酸塩;タルク、蛇絞石等のマグネシウムシリケート族鉱物;ゼオライト、トルマリン(電気石)等を挙げることができる。
金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等が挙げられる。
金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの無機粉体の他に、オキシ塩化ビスマス、硫酸バリウム等も使用することができる。
これらを1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0013】
有機粉体としては、例えばナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピンパウダー、ポリスチレンパウダー、酢酸ビニルパウダー、ポリメタアクリル酸エステルパウダー、ポリアクリルニトリルパウダー、セルロースパウダー等が挙げられる。これらを1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらを1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
このうち、セリサイト、合成セリサイト又はタルクがより好ましく、セリサイトが特に好ましい。
【0014】
原料として使用する化粧料用粉体の粒子形状には、特に制限はないが、例えば、薄片状、鱗片状、板状、球状、紡鍾状、X状、星形状、花弁状、ヒトデ状、リボン状、針状、半球状、棒状等の各種の形状が挙げられ、特に、板状、薄片状又は鱗片状が好ましい。
当該化粧料用粉体の大きさは、平均粒子径が0.1〜600μm、より好ましくは0.3〜140μm、更に好ましくは1〜80μm、特に2〜50μmであるのが好ましい。
【0015】
また、ヒドロキシアパタイトとしては、Ca/P=0.5〜2.0(モル比)で、アパタイト構造を有する燐酸カルシウムであれば特に制限はなく、例えばCa5(PO43(OH)、Ca10(PO46(OH)2、Ca4(PO42O、Ca10(PO462等が挙げられる。
【0016】
化粧料用粉体は、複合粉体中に、好ましくは10〜96質量%、より10〜88質量%含有するのが好ましい。また、ヒドロキシアパタイトは、複合粉体中に、好ましくは2〜50質量%、より5〜30質量%含有するのが好ましい。また、粉体(A)は、複合粉体中に、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは10〜40質量%、更に好ましくは10〜35質量%、特に15〜35質量%含有するのが好ましい。
【0017】
複合粉体中の化粧料用粉体:ヒドロキシアパタイトの含有量比は、好ましくは10〜96:2〜50、より好ましくは10〜88:5〜30である。また、複合粉体中の化粧料用粉体:ヒドロキシアパタイト:粉体(A)の含有量比は、好ましくは10〜96:2〜50:2〜40、より好ましくは10〜88:5〜30:10〜40である。
【0018】
本発明で用いる複合粉体の表面は、シリコン処理、テフロン(登録商標)処置、アミノ酸処理、レシチン処理、エステル処理、ポリエチレン処理、ウレタン処理、金属石鹸処理等により表面処理が施されていてもよい。
【0019】
本発明で用いる複合粉体は、好ましくは平均粒子径が0.1〜600μm、より好ましくは0.3〜140μm、特に2〜50μmのものが好ましい。
ここで、「平均粒子径」とは、レーザー回折/散乱法で測定して求めた値である。
【0020】
本発明で使用する複合粉体の製造方法は特に制限はないが、例えば、円筒型、V型等の回転機、スクリュー型、リボン型等の固定型混合機中で化粧料用粉体とヒドロキシアパタイトとを混合することにより製造することができる。製造中に、更に酸化亜鉛を混合してもよい。
例えば、セリサイト及びヒドロキシアパタイト、更に酸化亜鉛を含有する化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合粉体の製造方法(特開2002−20218号公報等)としては、セリサイトの表面にヒドロキシアパタイトを被覆した後、このヒドロキシアパタイト被覆層の表面に酸化亜鉛を固着させる方法等が挙げられる。
【0021】
当該複合粉体の含有量は、原液中に0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは噴射機構への詰まり防止効果の点で1〜20質量%である。
ここで、「原液」とは、少なくとも粉末を含有し、更に媒体を含有してもよく、噴霧剤を含まないものをいう。
【0022】
本発明においては、前記複合粉体が、粉末エアゾールに配合された他の粉体(A)(以下、粉体(A)という)の目詰まりを防止する。
当該粉体(A)としては、媒体に対して難溶性又は不溶性のものであって、対象物への付着性、湿潤部の乾燥性又は滑り・潤滑性を高めるものであれば特に制限されないが、具体的には、前記化粧料用粉体の他、例えば無機−無機複合体、有機−無機複合体等の複合体、疎水化処理粘度鉱物粉体、有機酸粉体及びシクロデキストリン類等が挙げられ、このうち、制汗作用を有する物質(以下、制汗物質という。)や殺菌作用を有する物質(殺菌物質)が好ましい。これらを1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0023】
無機−無機の複合体としては、シリカ−酸化チタン、シリカ−酸化亜鉛、シリカ−酸化チタン−シリカ、シリカ−酸化セリウム−シリカ、シリカ−酸化亜鉛−シリカ等のマルチレイヤー複合体;チタンマイカ、着色チタンマイカ、酸化チタン−硫酸バリウム、酸化チタン−タルク、酸化亜鉛−マイカ、酸化亜鉛−タルク、オキシ塩化ビスマス−マイカ等のパール顔料;それらの表面を水酸アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ処理、硫酸バリウム等で処理したパール顔料等が挙げられる。これらを1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0024】
有機−無機の複合粉体としては、酸化チタン内包ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、酸化亜鉛内包PMMA、酸化セリウム内包PMMA等の硬質カプセル;ポリエチレン−酸化亜鉛、ポリエチレン−酸化チタン、ポリエチレン−水酸化アルミニウム、ポリエチレン−水酸化アルミニウム−PMMA等を挙げられる。これらを1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0025】
有機−有機の複合粉体としては、ナイロン−セルロース等が挙げられる。
【0026】
制汗物質としては、クロロヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、アルミニウムハイドロキシクロライド、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、フェノールスルホン酸アルミニウム、β−ナフトールジスルホン酸アルミニウム、過ホウ酸ナトリウム、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、ジルコニウムクロロハイドレート、硫酸アルミニウムカリウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩基性臭化アルミニウム、アルミニウムナフタリンスルホン酸、塩基性ヨウ化アルミニウム、酸化亜鉛等が挙げられる。これらを1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
制汗物質を配合する場合、制汗物質の含有量は、原液中に0〜60質量%、より好ましくは10〜40質量%、特に好ましくは20〜35質量%である。
【0027】
使用する粉体(A)には、シリコン処理、テフロン(登録商標)処置、アミノ酸処理、レシチン処理、エステル処理、ポリエチレン処理、ウレタン処理、金属石鹸処理等により表面処理が施されていてもよい。
【0028】
また、使用する粉体(A)の粒子形状には特に制限はない。形状としては、例えば、薄片状、鱗片状、板状、球状、紡鍾状、X状、星形状、花弁状、ヒトデ状、リボン状、針状、半球状、棒状等の各種の形状が挙げられる。白残りを防ぐ点で、薄片状、鱗片状、板状、棒状等の形状が好ましく、特に板状、薄片状、鱗片状が好ましい。
【0029】
当該粉体(A)の大きさは、平均粒子径が0.1〜600μm、より好ましくは0.3〜140μm、更に好ましくは1〜80μm、特に好ましくは2〜50μmである。
【0030】
当該粉体(A)と複合粉体の合計粉体量は、原液中に、好ましくは0.1〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%、更に好ましくは45〜65質量%である。
【0031】
本発明に使用される噴射剤は、液化石油ガス(LPG)、炭酸ガス、窒素ガス、ジメチルエーテル及びフロン類ガス等が挙げられ、液化石油ガスが好ましい。
液化石油ガスとしては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
粉末エアゾール中の原液と噴射剤の混合質量比は、好ましくは原液/噴射剤が0.5〜99.5/99.5〜0.5、より好ましくは2〜40/98〜60、特に好ましくは5〜20/95〜80である。
【0033】
更に、粉末エアゾールには、上記複合粉体、粉体(A)及び噴射剤の他に、粉体を分散させるためや各剤の有効成分を溶解させるため、媒体を含有するのが好ましい。
媒体としては、特に限定されず、水、非水系媒体及びこれらの混合物が挙げられる。
当該非水系媒体は水以外の媒体であり、非水系媒体としては、低級アルコール、グリコール、シリコン油、炭化水素、脂肪族アルコール、冷感剤、界面活性剤、油脂、脂肪酸エステル等が挙げられる。これらを1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0034】
低級アルコールとしては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、グリコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。これらを1種又は2種以上使用することができる。
【0035】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン混合物等が挙げられる。これらを1種又は2種以上使用することができる。
【0036】
炭化水素としてはポリイソブチレン、スクワラン、スクワレン、ワセリン、流動パラフィン等が挙げられる。これらを1種又は2種以上使用することができる。
【0037】
脂肪族アルコールは、炭素数6〜26、好ましくは14〜20の脂肪族アルコールであって、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノ−ル等が挙げられる。これらを1種又は2種以上使用することができる。
【0038】
冷感剤としては、メントール;メンチルグリセリルエーテル、メンチルラクテートカンファー等のメントール誘導体;ユーカリ油等が挙げられる。これらを1種又は2種以上使用することができる。
【0039】
界面活性剤としては、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルグリセリル、ポリオキシエチレンアルキル硬化ヒマシ油、ポリエーテル変性シリコン、アルキル変性シリコン等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらを1種又は2種以上使用することができる。
【0040】
油脂としてはアボガド油、オリーブ油、ゴマ油、サンフラワー油、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、綿実油、カカオ油、パーム油、ヤシ油等が挙げられる。これらを1種又は2種以上使用することができる。
【0041】
脂肪酸エステルとしてはアジピン酸ジイソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソオクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。これらを1種又は2種以上使用することができる。
【0042】
上記非水系媒体のうち、好ましくは、エタノール、ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、スクワラン、スクワレン、オクチルドデカノ−ル、イソステアリルアルコール、メントール、メントール誘導体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエーテル変性シリコン、ホホバ油、ヒマワリ油、アボガド油、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。これらを1種又は2種以上使用することができる。
【0043】
原液中の媒体の含有量は、0〜97質量%、より5〜95質量%、更に10〜90質量%であるのが好ましい。
原液中の非水系媒体の含有量は、0〜80質量%、より10〜80質量%、更に25〜55質量%、特に35〜45質量%であるのが好ましい。
【0044】
原液中の粉体(A)と媒体の含有質量比は、より粉体:媒体が3〜97:97〜3であり、更に好ましくは5〜95:95〜5、更に10〜90:90〜10であるのが好ましい。
【0045】
上記原液中には、更に、酸化防止剤、殺菌物質、保湿剤、湿潤剤、水溶性高分子、紫外線吸収剤、薬効剤、生薬及びハーブ等の植物抽出液類;ラベンダー、レモン、ライム、ジャスミン、ミント、ローズ等の植物精油;ムスク、シベット、カストリウム等の動物性香料やその他の合成香料等の任意成分を適宜配合してもよい。
【0046】
殺菌物質としては、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、3,4,4−トリクロロカルバニリド(T.C.C)、トリエチルサイトレート(T.E.C)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾトニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、レゾルシン、フェノール、ソルビン酸、サリチル酸、ヘキサクロロフェン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、銀担持ゼオライト、銀担持シリカ等が挙げられる。これらを1種又は2種以上使用することができる。
【0047】
なお、当該粉体エアゾールは、医薬品、医薬部外品、化粧品、害虫駆除剤等として用いることができる。具体的には、化粧料、制汗剤、防臭剤、育毛剤、昆虫忌避剤、室内消臭剤、衣類消臭剤等が挙げられる。
【0048】
実施例によって、本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0049】
実施例1
表1に、噴射機構を備えた耐圧容器に充填した制汗剤の成分を示す。
複合体として、セリサイトの表面にヒドロキシアパタイトを被覆したセリサイト/ヒドロキシアパタイト複合粉体(平均粒子径10μm)を使用した。なお、複合体の含有量比は、セリサイト85質量%及びヒドロキシアパタイト15質量%であった。
粉体(A)として、タルク(平均粒子径15μm)、クロルヒドロキシアルミニウム(平均粒子径10μm)、ポリメチルシルセスキオキサン(平均粒子径5μm)を使用した。
【0050】
【表1】

【0051】
実施例2
表2に、噴射機構を備えた耐圧容器に充填した制汗剤の成分を示す。
複合体として、セリサイトの表面にヒドロキシアパタイトを被覆し、このヒドロキシアパタイト被覆層の表面に酸化亜鉛を固着させた、セリサイト/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合粉体(平均粒子径7.5μm)を使用した。なお、複合体の含有量比は、セリサイト80質量%、ヒドロキシアパタイト15質量%及び酸化亜鉛5質量%であった。
粉体(A)として、タルク(平均粒子径15μm)、クロルヒドロキシアルミニウム(平均粒子径10μm)を使用した。
【0052】
【表2】

【0053】
試験例1:粉末エアゾール(制汗剤)の粉体目詰まりによる内容物漏洩試験
噴射機構を備えた耐圧容器に、表1及び表2の制汗剤を充填した。これらを1日1回倒立状態で1秒間噴射することを3回繰り返す。これを各群10本ずつ行い、噴射機構への粉体の詰まり易さを、内容物の漏洩量により比較した。内容物の漏洩量は、噴射直後の質量と1日保存後の質量の差から算出し、10本の平均漏洩量を図1及び図2に示した。
その結果、本発明品1は比較品1に比べて、また、本発明品2は比較品2に比べて顕著に内容物の漏洩量が少なく、噴射機構に粉体が詰まり難くなっていた。
また、本発明品2は、本発明品1に比べて、内容物の漏洩量が少なかった。
【0054】
実施例3
表3に、噴射機構を備えた耐圧容器に充填した化粧料の成分を示す。
複合体として、セリサイトの表面にヒドロキシアパタイトを被覆したセリサイト/ヒドロキシアパタイト複合粉体(平均粒子径10μm)を使用した。なお、複合体の含有量比は、セリサイト85質量%及びヒドロキシアパタイト15質量%であった。
粉体(A)として、タルク(平均粒子径15μm)、セルロース末(平均粒子径10μm)、ポリメチルシルセスキオキサン(平均粒子径5μm)を使用した。
【0055】
【表3】

【0056】
試験例2:粉末エアゾール(化粧料)の粉体目詰まりによる内容物漏洩試験
噴射機構を備えた耐圧容器に、制汗物質を含まない表3の化粧料を充填した。これらを1日1回倒立状態で1秒間噴射することを3回繰り返す。これを各群10本ずつ行い、噴射機構への粉体の詰まり易さを、内容物の漏洩量により比較した。内容物の漏洩量は、噴射直後の質量と1日保存後の質量の差から算出し、10本の平均漏洩量を図3に示した。
その結果、本発明品3は比較品3に比べて、顕著に内容物の漏洩量が少なく、噴射機構に粉体が詰まり難くなっていた。
【0057】
実施例4〜11、比較例4〜7
表4に、噴射機構を備えた耐圧容器に充填した制汗剤の成分を示す。
複合体として、それぞれ比率の異なるセリサイト/ヒドロキシアパタイト複合粉体または、セリサイト/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合粉体を使用した。なお、複合体の含有量比は、表に記載された数値の通りである。
粉体(A)として、タルク(平均粒子径15μm)、クロルヒドロキシアルミニウム(平均粒子径10μm)を使用した。
【0058】
試験例3:粉末エアゾール(制汗剤)の粉体目詰まりによる内容物漏洩試験
噴射機構を備えた耐圧容器に、表4の制汗剤を充填した。これらについて、試験例1と同様の方法で試験を実施し、以下の基準で評価した。
〔粉末エアゾールの目詰まり評価基準〕
◎:試験8日目終了後の内容物の平均漏洩量が1.0g未満のとき
○:試験8日目終了後の内容物の平均漏洩量が1.1〜2.0gのとき
△:試験8日目終了後の内容物の平均漏洩量が2.1〜5.0gのとき
×:試験8日目終了後の内容物の平均漏洩量が5.1g以上のとき
【0059】
【表4】

【0060】
以上のことより、粉末エアゾールである制汗剤及び化粧料共に、セリサイト/ヒドロキシアパタイト複合体粉体又はセリサイト/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合体粉体を配合することによって、噴射機構部位への粉体詰まりが起きにくくなり、それに起因して発生する噴霧不良や内容物の漏洩が顕著に減量した。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】粉末エアゾールにおけるセリサイト/ヒドロキシアパタイト複合粉体の有無による粉体目詰まりによる内容物漏洩試験の結果を示す。
【図2】セリサイト/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合粉体の有無による粉体目詰まりによる内容物漏洩試験の結果を示す。
【図3】粉末エアゾール(制汗物質を含まない)におけるセリサイト/ヒドロキシアパタイト複合粉体の有無による粉体目詰まりによる内容物漏洩試験の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト複合粉体又は化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合粉体を配合することを特徴とする粉末エアゾールの目詰まり防止方法。
【請求項2】
化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト複合粉体又は化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合粉体が、化粧料用粉体10〜96質量%及びヒドロキシアパタイト2〜50質量%を含有するものである請求項1記載の目詰まり防止方法。
【請求項3】
化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合粉体が、酸化亜鉛2〜50質量%である請求項2記載の目詰まり防止方法。
【請求項4】
化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト複合粉体又は化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合粉体が、化粧料用粉体の表面にヒドロキシアパタイトを被覆したものである請求項1〜3の何れか1項記載の目詰まり防止方法。
【請求項5】
化粧料用粉体がセリサイト、合成セリサイト及びタルクから選ばれる1種以上である請求項1〜4の何れか1項記載の目詰まり防止方法。
【請求項6】
化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト複合粉体又は化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合粉体を有効成分とする粉体及び噴霧剤を含有する粉末エアゾールの目詰まり防止剤。
【請求項7】
化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト複合粉体又は化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合粉体が、化粧料用粉体10〜96質量%及びヒドロキシアパタイト2〜50質量%を含有するものである請求項6記載の目詰まり防止剤。
【請求項8】
化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合粉体が、酸化亜鉛2〜50質量%である請求項7記載の目詰まり防止剤。
【請求項9】
化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト複合粉体又は化粧料用粉体/ヒドロキシアパタイト/酸化亜鉛複合粉体が、化粧料用粉体の表面にヒドロキシアパタイトを被覆したものである請求項5〜8の何れか1項記載の目詰まり防止剤。
【請求項10】
化粧料用粉体がセリサイト、合成セリサイト及びタルクから選ばれる1種以上である請求項5〜9の何れか1項記載の目詰まり防止剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−191030(P2009−191030A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34556(P2008−34556)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(398039945)ニベア花王株式会社 (9)
【Fターム(参考)】