粉末供給装置
【課題】 局所的に正確にかつ均一に粉末を供給可能な粉末供給装置を提供する。
【解決手段】 粉末薬剤等の供給に使用される粉末供給装置(20)は、「別体の粉末容器」としてのバイアル(31)が結合され、チューブ(25)によって「外部の気体流発生手段」としての圧縮空気供給源に接続される。圧縮空気供給源は、気体流を粉末供給装置(20)に通過させる。また粉末供給装置(20)は、アクチュエータ(27)の内部に、粉末及び/又はバイアル(31)の機械的な撹拌を行う「撹拌手段」を備える。粉末供給装置(20)に気体流を通過させてバイアル(31)から粉末を取り込み粉末供給装置(20)から粉末を供給する気体流発生手段の作動と、バイアル(31)を機械的に撹拌しバイアル(31)からの粉末の放出を促進する撹拌手段の作動とは、機械的に連動して行われる。
【解決手段】 粉末薬剤等の供給に使用される粉末供給装置(20)は、「別体の粉末容器」としてのバイアル(31)が結合され、チューブ(25)によって「外部の気体流発生手段」としての圧縮空気供給源に接続される。圧縮空気供給源は、気体流を粉末供給装置(20)に通過させる。また粉末供給装置(20)は、アクチュエータ(27)の内部に、粉末及び/又はバイアル(31)の機械的な撹拌を行う「撹拌手段」を備える。粉末供給装置(20)に気体流を通過させてバイアル(31)から粉末を取り込み粉末供給装置(20)から粉末を供給する気体流発生手段の作動と、バイアル(31)を機械的に撹拌しバイアル(31)からの粉末の放出を促進する撹拌手段の作動とは、機械的に連動して行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉末供給装置に関する。この粉末供給装置は特に外科手術や他の医学的応用において、人体の内部及び外部表面に局所的に粉末を供給するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の表面に給粉する、又は他の目的のための粉末供給装置が周知である。それらの粉末供給装置の例は以下の特許文献1−16に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許第472355号明細書
【特許文献2】英国特許第539351号明細書
【特許文献3】英国特許第572015号明細書
【特許文献4】英国特許第572112号明細書
【特許文献5】英国特許第607237号明細書
【特許文献6】英国特許第628675号明細書
【特許文献7】英国特許第649506号明細書
【特許文献8】英国特許第668341号明細書
【特許文献9】英国特許第808273号明細書
【特許文献10】英国特許第878106号明細書
【特許文献11】米国特許第1929154号明細書
【特許文献12】米国特許第2151418号明細書
【特許文献13】米国特許第2501279号明細書
【特許文献14】米国特許第5884621号明細書
【特許文献15】米国特許出願第2005/0205087号明細書
【特許文献16】仏国特許第2863503号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば外科手術中に露出した表面のような、外表面又は内表面の人体の表面に、制御された方法で粉末を供給するのに使用される粉末供給装置が継続的に必要とされている。粉末の供給は、高度に局所的な部位に、つまり正確に、及び/又は高度に均一な方法で行われることが必要又は望ましい。これらの目的を達成し、なおかつ製造及び使用が単純で低コストである粉末供給装置が継続的に必要とされている。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、人体の表面に、制御された方法で、正確にかつ均一に粉末を供給する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの必要性に対応し、及び/又は従来技術に関連する欠点を克服又は大幅に緩和する改良された粉末供給装置が考案された。
【0006】
本発明の請求項1に係る粉末供給装置は、粉末を収容する粉末容器を一体に備え、又は、別体の粉末容器に結合される。また、当該粉末供給装置に気体流を通過させる気体流発生手段を備え、又は外部の気体流発生手段に結合される。そして、粉末及び/又は粉末容器の機械的な撹拌を行う撹拌手段をさらに備える。気体流発生手段及び撹拌手段は作動可能に結合される。当該粉末供給装置に気体流を通過させて粉末容器から粉末を取り込み当該粉末供給装置から粉末を供給する気体流発生手段の作動と、粉末容器を機械的に撹拌し粉末容器から粉末の放出を促進する撹拌手段の作動とが機械的に連動して行われることを特徴とする。
【0007】
本発明による粉末供給装置では、当該粉末供給装置から粉末を供給する気体流発生手段の作動は粉末容器の機械的撹拌に伴うものである。そのような撹拌は粉末容器からの粉末の放出を促進し、また粉末供給装置から供給される粉末材料のより均一な分配を可能にする。
【0008】
粉末供給装置が粉末容器内に収容される所定量の粉末を有するよう、粉末容器は本発明の粉末供給装置に一体的に形成されていても良い(請求項9)。そのような場合、粉末供給装置は、所望の量の粉末が粉末容器から供給された後に廃棄される使い捨ての容器でも良い。
【0009】
もしくは、粉末容器は使用前に粉末供給装置に結合される別体の容器であっても良い(請求項10)。そのような場合、所定量の粉末を含む粉末容器は通常、容器が粉末供給装置に結合可能となるよう取り外される閉鎖部を有する。粉末供給装置及び容器は相互に結合可能な補完形状で形成されても良い(請求項11)。例えば、粉末供給装置は粉末容器の首部の内壁に嵌合する突起部又は栓部を有するように形成されても良い(請求項12)。
【0010】
現在の好ましい態様では、粉末容器は所定量の粉末を収容する例えばガラス製の密封したバイアルの形式で提供される(請求項13)。バイアルは取り外し可能な閉鎖部により密閉される首部を有する。閉鎖部が取り外されると、本発明による粉末供給装置は、首部の内部に締まり嵌めされる管状の栓部をバイアルの首部に挿入することによりバイアルと係合する。その後、粉末供給装置と結合したバイアルを逆さにすると、バイアルの中の粉末は栓部の中に落下する。
【0011】
このような配置であると、好ましいことに栓部からの粉末のロスは栓部の内部を横切って延伸する穿孔ベース部材により抑制又は防止される。粉末容器の使用可能な他の態様は例えばプラスチック材料のカートリッジを有する。そのような容器はカートリッジを粉末供給装置に装着する前に取り外される閉鎖部を有していても良く、又は粉末供給装置及び粉末容器が、粉末容器が粉末供給装置へ係合されることにより開口されるように構成されていても良い。例えば、粉末容器は、容器が粉末供給装置に係合する際、粉末供給装置の適切な形式により破断されるフォイル閉鎖部を有していても良い。
【0012】
穿孔ベース部材は気体流発生手段の作動の前に大量の粉末を粉末容器内に保持するが、気体流発生手段の作動により発生した気体流に粉末が取り込まれると、粉末の通過を許容する。よってベース部材の性質は、粉末がベース部材上で停滞する際の充填特性と停滞角度が、粉末が著しい程度の量までベース部材を通過することのないよう穿孔が十分に小さく形成される必要がある。一方、穿孔は、ベース部材上で停滞する粉末が可動化され気体流に取り込まれる際、ベース部材の穿孔を通過して供給されることが可能でなければならない。
【0013】
便宜上、ベース部材は、概略形状が円形の穿孔プレートの形態をとる。好ましくは、プレートの大部分又は最大限まで孔が開けられている。ベース部材の穿孔は例えば円形、正方形又は六角形といったいかなる適切な形状でも良く、通常規則的な配列、及び/又はベース部材の大部分又は最大限といったところまで均一に配列される。
【0014】
よって、本発明の他の態様による粉末供給装置は、粉末容器を一体に備え、又は、別体の粉末容器に結合される。また、当該粉末供給装置に気体流を通過させる気体流発生手段を備え、又は外部の気体流発生手段に結合される。粉末容器は使用時、気体流発生手段の作動前に、容器内に収容される粉末が重力によって定着し、穿孔ベース部材により粉末容器内に保持され、及び穿孔ベース部材の上に停滞するように向けられていることを特徴とする。
【0015】
そのような態様では、気体流がベース部材を通って粉末容器に流入することにより、ベース部材に停滞している粉末を可動化させて気体流に取り込み、粉末はベース部材を通過して出口管に移動し、よって粉末が粉末供給装置から供給される。気体流は穿孔ベース部材を通って流れ、この気体流がベース部材に停滞している粉末の粒子を可動化させ、ある意味ではそれらの粒子に運動エネルギーを与え、粒子を気体流に取り込む。
【0016】
他の態様では、気体流を粉末容器内の穿孔ベース部材から離間した地点へ導く経路又は導管が設けられ、その結果、気体流が現れるのは、大量の粉末の中のベース部材上に停滞する粉末粒子の上方地点となる。可動化された粒子はベース部材を通過することができ、気体流に取り込まれた粉末粒子が供給される出口管へ運ばれる。
【0017】
他の態様では、気体流は穿孔ベース部材へ又は穿孔ベース部材を通過するように向けられていないが、粉末が粉末容器から引き出され、気体流に取り込まれて出口管に入るようになっている。例えば、気体流は例えばスロットのような適切な形状の入口を通って出口管に方向付けられていても良く、その結果ジェット気体が粉末容器の下の出口管へと流れる。ジェット気体は入り口の形状により決定される形式であり、粉末容器から粉末を取り込むため伝導性を有する。例えば、入口は穿孔ベース部材の平面に垂直に配置されたスロットの形式(即ち、大部分の装置の構成においては垂直スロット)を有していても良い。
【0018】
他の態様では、入り口は穿孔ベース部材の平面に平行なスロットの形式(即ち、通常は平行スロット)を有していても良い。便宜上、そのような平行スロットは、共に出口管を画定する装置の構成要素間の隙間(又は少なくとも粉末容器の下に位置する出口管の部分)として形成されても良い。全ての場合において、形成されたジェット気体は粉末容器の下の出口管へ導かれる。ジェット気体の速度は比較的早いため、周囲から空気を引き出しジェット気体に取り込むことにより粉末容器の底部で粉末を可動化させ、粉末容器から粉末を引き出して気体流に取り込むベンチュリー効果を発生させる。
【0019】
粉末材料を粉末容器内で気体流により可動化されるまで保持することとは別に、穿孔ベース部材はふるいとして機能し、大きな塊となった粒子の通過を防止し、粉末供給装置から供給される粉末材料の均一性を高める。出口管を通る気体流の高いエネルギーはまた、粉末供給装置から供給される際に粉末を細かくするのを助ける。
【0020】
気体流発生手段は本発明による粉末供給装置に一体化されていても良く、或いは請求項14に係る発明のように粉末供給装置に結合される外部の手段でも良い。
【0021】
気体流発生手段が粉末供給装置の一部である場合は、様々な形式をとることが可能である。例えば、気体流発生手段は、ユーザーが手動で圧縮可能な圧縮球又はベローズから構成されても良い(請求項16)。その場合、好ましくは球又はベローズは弾性を有し、空気を進入させて、付与されていた圧力が開放された後、球又はベローズが膨張した状態へと戻ることを許容する一方向バルブ又は開口を有していても良い。そのような態様において、気体は通常、周囲空気である。
【0022】
他の態様において、気体流発生手段は圧縮ガス又は液体高圧ガスの入ったボンベである(請求項17)。圧縮ガスは圧縮空気及び圧縮炭化水素を含む。液体高圧ガスはフロンガス及びヒドロフルオロアルカンを含む。全ての態様において、ボンベには通常、気体流が制御されるバルブが設けられている。
【0023】
また他の態様では、気体流発生手段はそれ自身が本発明による粉末供給装置の一部分を形成せず、粉末供給装置が結合される外部の気体供給源となっている(請求項15)。そのような態様では、例えば粉末供給装置は、可撓管といった適切な導管により圧縮気体供給源に結合される。気体の進路は圧縮気体の進路となっても良いし、窒素や二酸化炭素といった他の圧縮気体が使用されても良い。この配置も通常、気体流が制御される手段を含む。典型的には、粉末供給装置は気体の流れを制御する押しボタン型のようなアクチュエータを含む。
【0024】
本発明による粉末供給装置において、気体流発生手段の作動は効果的に撹拌手段の作動に同期している。その配置は気体流発生手段の作動が撹拌手段を作動させ、その逆も同じであるようになされていても良い。
【0025】
本発明のある態様では、撹拌手段は気体流が制御されるアクチュエータに作動可能に結合されていても良い(請求項7)。例えば、アクチュエータは、打撃要素の粉末容器への衝撃をひき起こすトリガー機構に結合されていても良い(請求項8)。
【0026】
他の態様では、撹拌手段は、気体流が発生している間は作動し、気体流が中断されたら停止するよう、気体流に駆動されても良い(請求項2)。現在の好適な態様では、撹拌手段は気体流の経路内に位置する可動要素を備える(請求項3)。好ましくは、そのような可動要素は、移動することにより粉末供給装置内の機械的な撹乱や振動を起こし、粉末容器内に収容された粉末を物理的に撹拌するように取り付けられている(請求項4)。
【0027】
特に好適な態様では、気体が流れる経路は、中で撹拌手段の可動要素が回転移動可能な環状軌道が設けられる(請求項5)。便宜上、そのような環状軌道は円形の軌道であり、撹拌手段の可動要素は気体流により軌道に沿って駆動されるボール、又はボール相当部材である(請求項6)。ボールの動きは粉末供給装置を通って粉末容器に伝達される起振力を発生する。他の態様では、粉末容器の撹拌は、電気モータ等の作動によりもたらされる。
【0028】
好ましくは、粉末は本発明による粉末供給装置から排出管又はバレルを介して排出される。そのような排出管又はバレルは、排出された粉末が流れる方向を例えば外科手術中に粉末の最適な供給を容易にするといった使用状況のニーズに合うよう調節するため、粉末供給装置の残りの部分に対し制限された範囲での目的方向への回動を可能にする。
【0029】
本発明による粉末供給装置は通常、全体的又は部分的にプラスチック材料で製造された要素を備える。しかし、適切な場合には、ステンレス鋼等の金属や、粉末容器用等のガラスのような他の材料が使用されても良い。医療に応用する場合、使用する材料は適切な医療品質のものであり、滅菌可能なものでも良い。
【0030】
使用を簡便にするため、本発明による粉末供給装置の要素は粉末供給装置の外郭に設けられ作動を補助する外部ハウジング部材に組み込まれても良い(請求項18)。例えば、粉末供給装置はユーザーが片手で容易に保持及び操作できるように構成されていても良い(請求項19)。
【0031】
本発明による粉末供給装置は、請求項20に係る発明のように人体の表面に様々な種類の粉末を運ぶのに使用されても良い。そのような粉末は、人体への薬理的効果の点において、又は感染症の予防又は治療に有用な殺菌剤等として治療効果を目的とする薬剤を含む。しかし、本発明の粉末供給装置が有用となる一つの具体的な分野は、外科手術の間又は外傷をうけた後に露出した内部組織に止血パウダー組成物を供給する目的の場合である。組織シーラントとも呼ばれるそのような止血組成物は、例えばフィブリノゲンとトロンビンの乾燥した混合粉末である。そのような混合物は、乾燥状態に形成された際は本質的に不活性であるが、例えば出血した創傷への使用等で一旦水を含むと、混合物は架橋して血液凝固を行うフィブリンの生成を導く。
【0032】
よって、本発明のさらなる態様によれば、外科手術中又は外傷をうけた後に内部組織に止血組成物を供給する方法が提供される。その方法は、上記の粉末供給装置を用い、粉末供給装置に所定量の乾燥粉末形態の止血組成物が充填され、その止血組成物を粉末供給装置から組織の上に供給することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施例による粉末供給装置の、一部が断面図である概略側面図であり、トリガー機構が休止状態であることを示す図である。
【図2】図1の粉末供給装置の背面図であり、トリガー機構が作動状態であることを示す図である。
【図3】本発明の第2実施例による粉末供給装置の側面図である。
【図4】図3の粉末供給装置の斜視図である。
【図5】図3の粉末供給装置の分解斜視図である。
【図6】図3の粉末供給装置の作動中に機械的振動を発生させる機構を示す概略図である。
【図7】図3の粉末供給装置のバルブ形成部の断面図である。
【図8】本発明の第3実施例による粉末供給装置(全体形状は第2実施例と同様である)の一部を形成する中間部材の代替例の斜視図である。
【図9】図8の中間部材の断面図である。
【図10】図8及び9の中間部材と共に使用される上部ハウジング部材の部分斜視図である。
【図11】図10の上部ハウジング部材の部分底面図である。
【図12】本発明の第4実施例による粉末供給装置の部分断面図である。
【図13】本発明の第4実施例による粉末供給装置の断面図であって、気体流の発生が本発明による粉末容器の撹拌に伴うものではないことを除き、図1に示す第1実施例とコンセプトが同じである。
【図14】図13の粉末供給装置の部分拡大図であり、粉末供給装置の一部を構成するバイアルを出入りする空気の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施例について、例示として、図面を参照して詳しく説明する。
【0035】
(第1実施例)
まず図1には、本発明の第1実施例による粉末供給装置1の全体が示される。粉末供給装置1は、直立する筒状の栓5(「突起部又は栓部」に相当)、及び、「気体流発生手段」を構成するベローズ7が装着される本体3を備える。所定量の供給粉末を収容するガラスのバイアル9(「粉末容器」に相当)が後述のように栓5に係合される。
【0036】
本体3はプラスチック材料の射出成形により形成され、概略形状がピストルの形状をしている。本体3の下方にぶら下がる(図1で見ると)中空のリム3aは、ユーザーが握るようになっており、ベローズ7が係合されるソケット4を有する。本体3の水平の(図1で見ると)リムは内部穴3cを有し、粉末が粉末供給装置1から供給されるバレル3bを構成している。
【0037】
栓5もまたプラスチック材料を成形して作られている。栓5は、下端部に周辺フランジ5bが形成されている、上方に向いた(図によると)筒状のコネクタ5aを有する。フランジ5bは本体3の上部表面に対応して形成された凹部内に収容され、フランジ5bと本体3とは結合される。
【0038】
栓5の内部穴は漏斗形状になるようテーパ状であり、内部穴の底部は栓5の残りの部分と一体的に形成された穿孔プレート5cにより閉じられている。バレル3bの内部穴3cは穿孔プレート5cの真下で終結している。穿孔プレート5cの真下に位置する内部穴3cの終端は穿孔プレート5cの穿孔、ひいては栓5の内部穴及びバイアル9と連通するよう上方に開口している。
【0039】
ベローズ7は一端にノズルが装着されている蛇腹型のチャンバである。ベローズ7は、プラスチック材料で形成され、手で圧縮できるようある程度の弾性を有し、付与されている圧力を開放すると図1に示す膨張形状に戻るようになっている。ベローズ7の他端は、例えばフラップバルブ(図1に示されていない)のようなベローズ7が膨張し図1に示す状態に戻る時にベローズに空気を充填する一方向バルブを備えていても良い。もしくはベローズ7の端部は単に、ベローズが圧縮される際に例えばユーザーの親指により塞がれ、その後露出によりベローズ7を膨張させ、図1に示す状態に戻す開口を備えていても良い。
【0040】
ベローズ7のノズルはソケット4に締まり嵌めされている。導管3dは下方にぶら下がるリム3aの内部と栓5を連結する。特に導管3dは、内部穴3cの端部にかぶさる部分に隣接する穿孔プレート5cの領域を通してベローズ7から放出された空気を通過させる。
【0041】
バイアル9は栓5の筒状のコネクタ5aを締まり嵌めにより収容する。バイアル9は首部9aを密封する閉鎖部を有する。バイアル9を直立状態にして、閉鎖部を取り外すと筒状のコネクタ5aが首部9aに挿入される。それから、バイアル9と栓5とのアセンブリを図1に示す方向に対し逆さまの状態にする。アセンブリを180度回転して図1に示す状態にすると、バイアル9内に収容される粉末は重力により落下し、筒状のコネクタ5aの内部穴に充填される。粉末は穿孔プレート5cの上に停滞し、プレート5cの穿孔を通って落下する粉末はほとんどないかゼロである。
【0042】
トリガー11はバイアル9の背面(即ち、バレル3bの遠位側)に隣接して回動可能に設置される。トリガー11は円弧状のトラック15に設けられたストライカー13(「打撃要素」に相当)を保持し、ストライカー13がトリガー11に対して制限された範囲で移動可能にする。引張バネ17(図2を参照)が本体3のバイアル9の前面近くでストライカー13と直立体18の間に設置され、ストライカー13をバイアル9の方へ引っ張っている。
【0043】
図1から分かるように、トリガー11及びストライカー13には協働する戻り止め11a、13aが形成され、トリガー11が(後述の通り)ユーザーにより押し下げられた時、ストライカー13がバネ17の作用に反してバイアル9の表面から引き離されるようになっている。
【0044】
本体3の後部には傾斜19が形成されている。トリガー11が押し下げられると、傾斜19はストライカー13と接触する。トリガー11を押し続けると傾斜19がストライカー13を変位させ、戻り止め11a、13aとの係合が外れる。傾斜19によりトリガー11が開放されると、ストライカー13はバネ17の作用により引っ張られてバイアル9と接触し、よってバイアル9を振動させる。
【0045】
粉末供給装置1の実用的な実施例では、トリガー11は(図示しない)押しボタン型のアクチュエータ内に収容され、アクチュエータを押し下げるとベローズ7も圧縮される。よって、空気流の発生はバイアル9の機械的な振動と同期し、よって粉末を空気流に取り込んでバイアル9から粉末を放出することを容易にする。
【0046】
粉末供給装置1から粉末を供給するには、ユーザーは図1に示すように通常直立した方向で粉末供給装置1を保持し、バレル3bを粉末の添加を意図する部位に向ける。それからユーザーはアクチュエータを押し下げ、ベローズ7を圧縮してトリガー11を押し下げる。例えばアクチュエータを親指で押し下げ、把持を容易にするような適切な形態(図示しない)が粉末供給装置1に形成される。ベローズ7の圧縮により、ジェット状の空気が導管3dを通過するように向けられる。このジェット状の空気は穿孔プレート5cを通ってプレート5c上に停滞している粉末に衝撃を与える。
【0047】
同時に、ストライカー13がバイアル9から引き離され、その後傾斜19の作用によりトリガー11から開放され、その結果ジェット状の空気が粉末に衝撃を与えながらストライカー13がバイアル9に衝撃を与える。可動化した粉末は空気流に取り込まれ、その空気流は再び穿孔プレート5cを通過し、バレル3bの内部穴3cに沿って移動することにより粉末供給装置1から出される。粉末は粉末供給装置1から吹き出されて添加する部位に堆積される。
【0048】
圧力がアクチュエータから開放されると、ベローズ7は図1に示す状態まで緩み、空気が一方向バルブ又はベローズ7の自由端の開口を通ってベローズに引き込まれる。同時に、トリガー11は図1に示す休止状態に戻り、戻り止め11a、13aが再係合する。
【0049】
その後アクチュエータの作動は必要なだけ繰り返されても良い。粉末は望ましい量の粉末が供給されるまで、或いはバイアル9内の全ての粉末が供給されて空になるまで続けて供給される。バイアル9が空になると、バイアルは適切に栓5から取り外され新しいバイアルと交換され、即ち装置は新たな粉末のバイアルと共に再び使用される。他の状況では、装置は一回のみ使用されその後廃棄されても良い。
【0050】
(第2実施例)
図3から7には、本発明の第2実施例の粉末供給装置20の全体が示される。本実施例は、外部の圧縮ガス供給源と共に使用される点と、粉末を供給する間バイアルが撹拌される機構が異なる点において第1実施例の粉末供給装置1と異なる。
【0051】
最初に図3及び4を参照し、粉末供給装置20はプラスチック材料の射出成形により形成した上部及び下部ハウジング部材23a、23bを有する本体を備える。本体は通常ユーザーの手に把持されるように細長いシリンダの形状をとり、下部ハウジング部材23bの下側はそのような把持を容易にする形状となっている。押しボタンアクチュエータ27が本体の上部に設けられ、よって粉末供給装置20がユーザーに把持されると、アクチュエータ27が粉末供給装置20を把持する手の親指によって押し下げられるようになっている。
【0052】
弾性体のチューブ25が粉末供給装置20の後端より延伸し、例えば圧縮空気の供給源(図示しない)といった気体供給源(「外部の気体流発生手段」に相当)に接続されている。適切なコネクタ(図示せず)がチューブ25の粉末供給装置20と反対側の端部に設けられている。
【0053】
粉末供給装置20の前端には筒状バレル29が設けられ、筒状バレル29を通って粉末が粉末供給装置20から供給される。第1実施例のバイアル9が粉末供給装置1に結合されるのと同様に、ガラスのバイアル31が粉末供給装置20に結合される。図5から分かるように、上部ハウジング部材23aにはバイアル31の開口内に収納される直立の栓33が形成される。一対のクリップ35が、バイアル31がしっかりと定位置に保持されるようにバイアル31の周辺部と係合する。第1実施例のように、栓33の内部は漏斗形状となるようテーパ状であり、栓33の基部は穿孔プレート34により閉じられている。
【0054】
図5を再び参照し、中間部材41は本体23の上部ハウジング要素部材23a及び下部ハウジング部材23bの間に挟まれている。中間部材41の後方近くには、上部ハウジング部材23aの下側に一体的に形成された下方にぶら下がるボス(図5に示されていない)を収容する円形の開口61が形成されている。円形の軌道43が空気の入口経路45及び出口経路46と共に下部ハウジング部材23bに形成されている。中間部材41は下部ハウジング部材23bと協働して軌道43を閉じる。ボール50(図5に示されていない)が、円形の軌道43に沿って自由に回転可能なように軌道43内に保持される。
【0055】
チューブ25は、下部ハウジング部材23bに一体的に形成された直立したボス52内に保持されるバルブ51に連結されている。一方バルブ51は筒状のコネクタ47と係合する短い長さのチューブ25aにより中間部材41に接続され、筒状のコネクタ47は中間部材と一体的に形成されて、中間部材41及び下部ハウジング部材23bが係合した際、空気の入口経路45と正確に重なり合う。
【0056】
バルブ51はアクチュエータ27の、図3で斜めになっている位置の真下に設置される。アクチュエータ27はバルブ51を上から圧迫しバルブ51の作動を制御するカム(図示せず)を有する。アクチュエータが押し下げられると、バルブ51が開かれ空気が外部の圧縮空気供給源から粉末供給装置20を通って流れ、アクチュエータ27が開放されると、空気の流れが中断される。
【0057】
バルブ51は図7の断面図に示されている。これは通常トランペットバルブと称されるタイプのものであり、内部でバルブステム72の制限された往復運動が可能であるバルブ本体71を有する。バルブステム72の下部はバルブ本体71の下部に比べて径が細くなっており、その結果これらの部材の間に環状空間ができる。バルブキャップ73がバルブステム72の上部周辺に設けられる。
【0058】
バルブステム72の運動範囲はバルブキャップ73の基部の内側に向いた周縁部74とバルブステム本体71の上部の外側に向いたフランジ75の係合により制限される。バルブステム72はフランジ75とバルブキャップ73の上部の下側の間で作動する2つの圧縮バネ76の配置により図7に示す位置へ付勢されている。
【0059】
一対の互いに離間したOリング77、78が、バルブステム72とバルブ本体71の内部壁の間の密封係合を提供している。バルブの入口79はチューブ25の端部を収容し、同様にバルブの出口80は中間部材41へと導く短いチューブ25aへ連結されている。
【0060】
図7に示す位置において、バルブ51は閉じている。供給チューブ25からバルブの出口80への気体の通過は遮断されている。例えばユーザーがアクチュエータ27を押すなどしてバルブステム72が押し下げられると、下方のOリング78がバルブの出口80の下の位置まで変位し、バルブ51が開かれ気体がバルブステム72の周りの環状空間を通ってバルブの出口80まで流れる。
【0061】
バルブ51が開かれると、気体は軌道43に流れ込み軌道43の周りのボール(図示せず)を駆動する。空気供給孔48が中間部材41の中の、軌道43の後部上方に形成される。これにより軌道43から所定量の空気が流れ、その空気流は穿孔プレート34の後部へ向けられ短い供給パイプ49まで流れ、供給パイプ49は栓33の内部壁と一体に形成され穿孔プレート34の上方で短い長さで終結しており、第1実施例と同様に穿孔プレート34上で停滞している粉末の中に入っている。
【0062】
供給孔48及び供給パイプ49は、少しの空気流しか粉末内に案内しない。しかし、大部分の空気流は、単に出口経路46を介して排出される。装置の後部の開口59が排気を許容する。バイアル31に案内される空気流の割合は、供給孔48及び/又は出口経路46の大きさを変えることにより、装置の意図する添加に合うよう調節される(即ち、供給される粉末の量や粉末の質に合わせる等)。
【0063】
中間部材41の上部表面は、穿孔プレート34の下の領域において、浅いウェル53と前方に案内する出口54と共に形成される。出口54は短いチューブ55を介して、バレル29に連結される。ノーズ56がバレル29と一体に形成され、上部ハウジング部材23a及び下部ハウジング部材23bの前端部に挟まれている。ノーズ56は通常半球形状であり、ハウジングの端部に「ボール−アンド−ソケット型結合」により保持され、それによりバレル29が制限された範囲で目的方向に回動自在である(これは図4において最も分かりやすくなっている)。
【0064】
粉末供給装置20から粉末を供給するには、ユーザーは粉末供給装置20を片手で保持し、バレル29を粉末の添加を目的とする部位に向け、アクチュエータ27を親指で押し下げる。これによりバルブ51が開き、空気が粉末供給装置20を通って流れる。空気はチューブ25及び25aを通り軌道43へ流れる。軌道43内の空気の循環によりボール50(「撹拌手段の可動要素」に相当)が軌道43の周りを迅速に回転する。ボール50の動きはある程度の機械的振動を発生させ、中間部材41、上方ハウジング部材23a、及びバイアル31(「粉末容器」に相当)へ伝達される。
【0065】
ほとんどの空気流は出口経路46及び開口59を介して粉末供給装置20から排出される。しかし、少ない割合の空気は供給孔48を介して軌道43から逃がされ、供給孔48から空気は穿孔プレート34の下側に向かい供給パイプ49へ流れる。このジェット状の空気がプレート34の上で停滞する粉末に侵入する。軌道43内でのボール50の回転により生じる粉末供給装置20の機械的な撹拌により、粉末がバイアル31から容易に開放される。粉末は空気流に取り込まれ、その空気流は再び穿孔プレート34を通過しウェル53へ移動し、バレル29を通過することにより粉末供給装置20から排出される。粉末は粉末供給装置20から吹き出され添加する部位に堆積される。
【0066】
粉末供給装置の機械的な撹拌は、アクチュエータ27が押されている間継続される。アクチュエータ27が開放されると、空気流は中断されボール50は軌道43内での回転運動を停止する。装置は継続した時間、又は間欠的に作動されても良い。
【0067】
第1実施例の粉末供給装置1に関しては、粉末は所望の量の粉末が供給されるまで、又はバイアル31内の粉末が全て供給されて空になるまで供給が継続されても良い。バイアル31が空になると、栓33から取り外され新しいバイアルに交換するか、又は適切な場合、装置を廃棄しても良い。
【0068】
(第3実施例)
図8から11を参照し、本発明の第3実施例による粉末供給装置は、ほぼ図3から7に示す第2実施例と同様であるが、気体流が粉末容器から粉末を取り込む方法が異なる。第2実施例に対応する第3実施例の構成要素を示す符号は、同じ符号の先頭に「1」を付けることとする。よって、中間部材141は第2実施例の中間部材41に対応し、穿孔プレート(ベース部材)134は穿孔プレート(ベース部材)34に対応する等である。
【0069】
図8及び9は、図3から7の実施例の中間部材41とほぼ同じ形状の中間部材141のそれぞれ斜視図と断面図である。図10及び11は穿孔プレート134を含む上部ハウジング部材123aの一部を示す部分図である。この実施例では、下部ハウジング部材、バレル、バルブ及びアクチュエータ(図示せず)は第2実施例のものと同じである。
【0070】
第2実施例と第3実施例との主な違いは、空気が軌道43から穿孔プレート134の下に位置する中間部材141内のウェル153へ流れる方法にある。第2実施例において(図5)、空気は供給孔48及び供給パイプ49を通って穿孔プレート34の上の栓33内の位置まで流れる。一方、第3実施例において、供給パイプは存在しない。代わりに、供給孔148は垂直なスロット149内で終結しており、垂直なスロット149の上端は上部ハウジング部材123aの下表面の接触部158により閉じられている(図11を参照)。
【0071】
図10から分かるように、上部ハウジング部材123aの上面は、基部が穿孔プレート134を有する直立した栓133が形成される点で第2実施例のものと同じである。しかし、第2実施例では供給パイプ49で占められていた栓133内の後部は、この実施例では単なる斜面163である。栓133の内部の側壁も斜面164として形成され、栓133の内部を漏斗状に形成している。斜面164は省いても良く、その結果穿孔プレート134はほぼ円形となり、その場合図11で明らかな平行リブも省いても良い。実際のところ、装置の現在の最も好ましい実施例はそのような変形を含む。
【0072】
第2実施例と同様に、中間部材141には円形開口161が形成され、円形開口161は上部ハウジング部材123aの下表面に形成された、下方にぶら下がる対応するボス162を収容する(図11を参照)。
【0073】
第3実施例の装置は第2実施例と正に同じ方法で作動する、即ち、ユーザーがアクチュエータを押し下げると、バルブが開いて気体が軌道内に流れ、ボールを軌道の周りで駆動する。ボールの運動は供給粉末を含むバイアルへ伝達される振動を発生する。気体流の一部は供給孔148及びスロット149を介して軌道から排出される。その気体はジェット気体として穿孔プレート134の下のウェル153を横切り、出口154へ向けられる。ウェル153を横切る比較的速いジェット気体は、穿孔プレート134を通して粉末を引き込み、気体流の中に取り込むベンチュリー効果を生じさせる。すなわち、「気体流発生手段」を構成する。
【0074】
(第4実施例)
図12は本発明の第4実施例の粉末供給装置の断面図である。図3から7の第2実施例に対応する本実施例の構成要素を示す符号は、同じ符号の先頭に「2」を付けることとする。よって、中間部材243は第2実施例の中間部材43に対応し、穿孔プレート(ベース部材)234は穿孔プレート(ベース部材)34に対応している等である。
【0075】
第4実施例は第2実施例及び上述の第3実施例とほぼ同様である。よって、第4実施例は上部及び下部ハウジング部材223a、223b及び中間部材241を備える。上部ハウジング部材223aにはバイアル231の首部を収容する直立した栓223が形成されている。栓233の基部は穿孔プレート234として形成されている。ウェル253が中間部材241の上面に形成され、穿孔プレート234の下に位置している。中間部材241及び上部ハウジング部材223aは協働してチューブ255に連結される出口253を形成する。中間部材241及び下部ハウジング部材223bは共に、使用時に中でボール(図示せず)が駆動される軌道243を画定する。
【0076】
第4実施例は、軌道243から導かれる供給孔248が、供給パイプ(図5)又は垂直スロット(図8)内ではなく、中間部材241とウェル253を取り囲む上部ハウジング部材223aの隣接面の平面に平行な隙間249で終結している点で第3実施例と異なる。
【0077】
隙間249の効果は、穿孔プレート234と平行な面において早い速度のジェット気体を発生させることである。第3実施例に関しては、そのジェット気体は穿孔プレート234を通して粉末を引き込むベンチュリー効果を発生させる。すなわち、「気体流発生手段」を構成する。
【0078】
(その他の実施例)
最後に図13及び14を参照し、本発明のその他の実施例の粉末供給装置91は、直立した筒状の栓95(「突起部又は栓部」に相当)、及び、「気体流発生手段」を構成するベローズ97が装着される本体93を備える。所定量の供給粉末を収容するガラスのバイアル99(「粉末容器」に相当)が後述のように栓95に係合される。
【0079】
本体93はプラスチック材料の射出成形により形成され、概略形状がピストルの形状をしている。本体93の下方に(図13で見ると)ぶら下がるリム93aはベローズ97を収容する筒状のコネクタを構成する。本体93の平行(図13で見ると)リム93bは内部穴93cを有し、粉末を粉末供給装置91から供給するバレルを構成している。
【0080】
栓95もプラスチック材料で成形される。栓95は、下端部に周辺フランジ95bが形成されている、上方に向いた(図で見ると)筒状のコネクタ95aを有する。フランジ95bは本体93の上面の対応する形状の凹部内に収容され、フランジ95bと本体93とは共に結合される。
【0081】
栓95の内部穴は漏斗形状になるようテーパ状であり、内部穴の底部は栓95の残りの部分と一体に形成された穿孔プレート95cにより閉じられている。本体93の平行リム93bの内部穴93cは穿孔プレート95cの下で終結している。穿孔プレート95cの下に位置する内部穴93cの端部は穿孔プレート95c内の穿孔、ひいては栓95の内部穴及びバイアル99と連通するよう上方に開口している。
【0082】
ベローズ97は一端にノズル97bが装着されている蛇腹型のチャンバ97aを含む。ベローズ97は、プラスチック材料で形成され、手で圧縮できるようある程度の弾性を有し、付与されている圧力を開放すると図13に示す膨張形状に戻るようになっている。ベローズ97の他端は、例えばフラップバルブ(図13に示されていない)のようなベローズ97が膨張し図13に示す状態に戻る時にベローズに空気を充填する一方向バルブを備えていても良い。もしくはベローズ97の端部は単に、ベローズが圧縮される際に例えばユーザーの親指により塞がれ、その後露出によりベローズ97を膨張させ図13に示す状態に戻す開口を備えていても良い。
【0083】
ノズル97bは、リム93aの中に緊密に収容されるよう本体93の下方にぶら下がるリム93aに締まり嵌めされていて、ノズル97bの先端は下方にぶら下がるリム93aの内部と栓95を連結する導管93dに向けられている。特に導管93dは、内部穴93cの端部にかぶさる部分に隣接する穿孔プレート95cの領域を通してベローズ97から放出された空気を通過させる。
【0084】
バイアル99は栓95の筒状のコネクタ95aを収容する首部99aを有する。バイアル99は首部99aを密封する閉鎖部を有する。バイアル99を直立状態にして、閉鎖部を取り外すと筒状のコネクタ95aが首部99aに挿入される。それから、バイアル99と栓95とのアセンブリを図13に示す方向に対し逆さまの状態にする。アセンブリを180度回転して図13に示す状態にすると、バイアル99内に収容される粉末は重力により落下し、筒状のコネクタ95aの内部穴に充填される。粉末は穿孔プレート95cの上に停滞し、穿孔プレート95cの穿孔を通って落下する粉末はほとんどないかゼロである。
【0085】
粉末供給装置91から粉末を供給するには、ユーザーは通常直立した方向で粉末供給装置91を保持し、本体93の平行リム93bを粉末の添加を意図する部位に向ける。それからユーザーはベローズ97を圧縮する。例えば片手の親指と最初の2本の指を使い、把持及びベローズ97の圧縮を容易にするような適切な形式(図示しない)が粉末供給装置91に設けられる。
【0086】
ベローズ97の圧縮により、ジェット状の空気は導管93dへ向けられ、導管93dを通過する。このジェット状の空気は穿孔プレート95cを通って穿孔プレート95c上に停滞している粉末を可動化する。可動化した粉末は、空気流に取り込まれ、その空気流は再び穿孔プレート95cを通過し、平行リム93bの内部穴93cに沿って移動することにより粉末供給装置91から出される。粉末は粉末供給装置91から吹き出され、添加する部位に堆積される。
【0087】
穿孔プレート95cは粉末が可動化されて穿孔プレート95cを通る空気流により供給されるまで粉末を保持する機能を有し、また空気流の中で粉末を粉々にして供給するのを容易にする。
【0088】
図14は(矢印により示される)、筒状のコネクタ95aの内部及びバイアル99内に保持される粉末へ空気流が流れ、空気流及び取り込んだ粉末が粉末供給装置91から出される方向を示す。
【0089】
ベローズ97への圧力を開放すると、ベローズは図13に示す状態へと緩み、空気は一方向バルブ又はベローズ97の自由端の開口を通してベローズに引き込まれる。ベローズ97の圧縮を繰り返すと粉末供給装置91から粉末が供給される。粉末は望ましい量の粉末が供給されるまで、或いはバイアル99内の全ての粉末が供給されて空になるまで続けて供給される。バイアル99が空になると、バイアルは適切に栓95から取り外され新しいバイアルと交換され、即ち装置は新たな粉末のバイアルと共に再び使用される。他の状況では、装置は一回のみ使用されその後廃棄されても良い。
【符号の説明】
【0090】
1、20、91 ・・・粉末供給装置
7、97 ・・・ベローズ(気体流発生手段)
9、31、231、99・・・バイアル(粉末容器)
11 ・・・トリガー
13 ・・・ストライカー(打撃要素)
27 ・・・アクチュエータ
34、134、234 ・・・穿孔プレート
50 ・・・ボール(撹拌手段の可動要素)
【技術分野】
【0001】
本発明は粉末供給装置に関する。この粉末供給装置は特に外科手術や他の医学的応用において、人体の内部及び外部表面に局所的に粉末を供給するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の表面に給粉する、又は他の目的のための粉末供給装置が周知である。それらの粉末供給装置の例は以下の特許文献1−16に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許第472355号明細書
【特許文献2】英国特許第539351号明細書
【特許文献3】英国特許第572015号明細書
【特許文献4】英国特許第572112号明細書
【特許文献5】英国特許第607237号明細書
【特許文献6】英国特許第628675号明細書
【特許文献7】英国特許第649506号明細書
【特許文献8】英国特許第668341号明細書
【特許文献9】英国特許第808273号明細書
【特許文献10】英国特許第878106号明細書
【特許文献11】米国特許第1929154号明細書
【特許文献12】米国特許第2151418号明細書
【特許文献13】米国特許第2501279号明細書
【特許文献14】米国特許第5884621号明細書
【特許文献15】米国特許出願第2005/0205087号明細書
【特許文献16】仏国特許第2863503号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば外科手術中に露出した表面のような、外表面又は内表面の人体の表面に、制御された方法で粉末を供給するのに使用される粉末供給装置が継続的に必要とされている。粉末の供給は、高度に局所的な部位に、つまり正確に、及び/又は高度に均一な方法で行われることが必要又は望ましい。これらの目的を達成し、なおかつ製造及び使用が単純で低コストである粉末供給装置が継続的に必要とされている。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、人体の表面に、制御された方法で、正確にかつ均一に粉末を供給する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの必要性に対応し、及び/又は従来技術に関連する欠点を克服又は大幅に緩和する改良された粉末供給装置が考案された。
【0006】
本発明の請求項1に係る粉末供給装置は、粉末を収容する粉末容器を一体に備え、又は、別体の粉末容器に結合される。また、当該粉末供給装置に気体流を通過させる気体流発生手段を備え、又は外部の気体流発生手段に結合される。そして、粉末及び/又は粉末容器の機械的な撹拌を行う撹拌手段をさらに備える。気体流発生手段及び撹拌手段は作動可能に結合される。当該粉末供給装置に気体流を通過させて粉末容器から粉末を取り込み当該粉末供給装置から粉末を供給する気体流発生手段の作動と、粉末容器を機械的に撹拌し粉末容器から粉末の放出を促進する撹拌手段の作動とが機械的に連動して行われることを特徴とする。
【0007】
本発明による粉末供給装置では、当該粉末供給装置から粉末を供給する気体流発生手段の作動は粉末容器の機械的撹拌に伴うものである。そのような撹拌は粉末容器からの粉末の放出を促進し、また粉末供給装置から供給される粉末材料のより均一な分配を可能にする。
【0008】
粉末供給装置が粉末容器内に収容される所定量の粉末を有するよう、粉末容器は本発明の粉末供給装置に一体的に形成されていても良い(請求項9)。そのような場合、粉末供給装置は、所望の量の粉末が粉末容器から供給された後に廃棄される使い捨ての容器でも良い。
【0009】
もしくは、粉末容器は使用前に粉末供給装置に結合される別体の容器であっても良い(請求項10)。そのような場合、所定量の粉末を含む粉末容器は通常、容器が粉末供給装置に結合可能となるよう取り外される閉鎖部を有する。粉末供給装置及び容器は相互に結合可能な補完形状で形成されても良い(請求項11)。例えば、粉末供給装置は粉末容器の首部の内壁に嵌合する突起部又は栓部を有するように形成されても良い(請求項12)。
【0010】
現在の好ましい態様では、粉末容器は所定量の粉末を収容する例えばガラス製の密封したバイアルの形式で提供される(請求項13)。バイアルは取り外し可能な閉鎖部により密閉される首部を有する。閉鎖部が取り外されると、本発明による粉末供給装置は、首部の内部に締まり嵌めされる管状の栓部をバイアルの首部に挿入することによりバイアルと係合する。その後、粉末供給装置と結合したバイアルを逆さにすると、バイアルの中の粉末は栓部の中に落下する。
【0011】
このような配置であると、好ましいことに栓部からの粉末のロスは栓部の内部を横切って延伸する穿孔ベース部材により抑制又は防止される。粉末容器の使用可能な他の態様は例えばプラスチック材料のカートリッジを有する。そのような容器はカートリッジを粉末供給装置に装着する前に取り外される閉鎖部を有していても良く、又は粉末供給装置及び粉末容器が、粉末容器が粉末供給装置へ係合されることにより開口されるように構成されていても良い。例えば、粉末容器は、容器が粉末供給装置に係合する際、粉末供給装置の適切な形式により破断されるフォイル閉鎖部を有していても良い。
【0012】
穿孔ベース部材は気体流発生手段の作動の前に大量の粉末を粉末容器内に保持するが、気体流発生手段の作動により発生した気体流に粉末が取り込まれると、粉末の通過を許容する。よってベース部材の性質は、粉末がベース部材上で停滞する際の充填特性と停滞角度が、粉末が著しい程度の量までベース部材を通過することのないよう穿孔が十分に小さく形成される必要がある。一方、穿孔は、ベース部材上で停滞する粉末が可動化され気体流に取り込まれる際、ベース部材の穿孔を通過して供給されることが可能でなければならない。
【0013】
便宜上、ベース部材は、概略形状が円形の穿孔プレートの形態をとる。好ましくは、プレートの大部分又は最大限まで孔が開けられている。ベース部材の穿孔は例えば円形、正方形又は六角形といったいかなる適切な形状でも良く、通常規則的な配列、及び/又はベース部材の大部分又は最大限といったところまで均一に配列される。
【0014】
よって、本発明の他の態様による粉末供給装置は、粉末容器を一体に備え、又は、別体の粉末容器に結合される。また、当該粉末供給装置に気体流を通過させる気体流発生手段を備え、又は外部の気体流発生手段に結合される。粉末容器は使用時、気体流発生手段の作動前に、容器内に収容される粉末が重力によって定着し、穿孔ベース部材により粉末容器内に保持され、及び穿孔ベース部材の上に停滞するように向けられていることを特徴とする。
【0015】
そのような態様では、気体流がベース部材を通って粉末容器に流入することにより、ベース部材に停滞している粉末を可動化させて気体流に取り込み、粉末はベース部材を通過して出口管に移動し、よって粉末が粉末供給装置から供給される。気体流は穿孔ベース部材を通って流れ、この気体流がベース部材に停滞している粉末の粒子を可動化させ、ある意味ではそれらの粒子に運動エネルギーを与え、粒子を気体流に取り込む。
【0016】
他の態様では、気体流を粉末容器内の穿孔ベース部材から離間した地点へ導く経路又は導管が設けられ、その結果、気体流が現れるのは、大量の粉末の中のベース部材上に停滞する粉末粒子の上方地点となる。可動化された粒子はベース部材を通過することができ、気体流に取り込まれた粉末粒子が供給される出口管へ運ばれる。
【0017】
他の態様では、気体流は穿孔ベース部材へ又は穿孔ベース部材を通過するように向けられていないが、粉末が粉末容器から引き出され、気体流に取り込まれて出口管に入るようになっている。例えば、気体流は例えばスロットのような適切な形状の入口を通って出口管に方向付けられていても良く、その結果ジェット気体が粉末容器の下の出口管へと流れる。ジェット気体は入り口の形状により決定される形式であり、粉末容器から粉末を取り込むため伝導性を有する。例えば、入口は穿孔ベース部材の平面に垂直に配置されたスロットの形式(即ち、大部分の装置の構成においては垂直スロット)を有していても良い。
【0018】
他の態様では、入り口は穿孔ベース部材の平面に平行なスロットの形式(即ち、通常は平行スロット)を有していても良い。便宜上、そのような平行スロットは、共に出口管を画定する装置の構成要素間の隙間(又は少なくとも粉末容器の下に位置する出口管の部分)として形成されても良い。全ての場合において、形成されたジェット気体は粉末容器の下の出口管へ導かれる。ジェット気体の速度は比較的早いため、周囲から空気を引き出しジェット気体に取り込むことにより粉末容器の底部で粉末を可動化させ、粉末容器から粉末を引き出して気体流に取り込むベンチュリー効果を発生させる。
【0019】
粉末材料を粉末容器内で気体流により可動化されるまで保持することとは別に、穿孔ベース部材はふるいとして機能し、大きな塊となった粒子の通過を防止し、粉末供給装置から供給される粉末材料の均一性を高める。出口管を通る気体流の高いエネルギーはまた、粉末供給装置から供給される際に粉末を細かくするのを助ける。
【0020】
気体流発生手段は本発明による粉末供給装置に一体化されていても良く、或いは請求項14に係る発明のように粉末供給装置に結合される外部の手段でも良い。
【0021】
気体流発生手段が粉末供給装置の一部である場合は、様々な形式をとることが可能である。例えば、気体流発生手段は、ユーザーが手動で圧縮可能な圧縮球又はベローズから構成されても良い(請求項16)。その場合、好ましくは球又はベローズは弾性を有し、空気を進入させて、付与されていた圧力が開放された後、球又はベローズが膨張した状態へと戻ることを許容する一方向バルブ又は開口を有していても良い。そのような態様において、気体は通常、周囲空気である。
【0022】
他の態様において、気体流発生手段は圧縮ガス又は液体高圧ガスの入ったボンベである(請求項17)。圧縮ガスは圧縮空気及び圧縮炭化水素を含む。液体高圧ガスはフロンガス及びヒドロフルオロアルカンを含む。全ての態様において、ボンベには通常、気体流が制御されるバルブが設けられている。
【0023】
また他の態様では、気体流発生手段はそれ自身が本発明による粉末供給装置の一部分を形成せず、粉末供給装置が結合される外部の気体供給源となっている(請求項15)。そのような態様では、例えば粉末供給装置は、可撓管といった適切な導管により圧縮気体供給源に結合される。気体の進路は圧縮気体の進路となっても良いし、窒素や二酸化炭素といった他の圧縮気体が使用されても良い。この配置も通常、気体流が制御される手段を含む。典型的には、粉末供給装置は気体の流れを制御する押しボタン型のようなアクチュエータを含む。
【0024】
本発明による粉末供給装置において、気体流発生手段の作動は効果的に撹拌手段の作動に同期している。その配置は気体流発生手段の作動が撹拌手段を作動させ、その逆も同じであるようになされていても良い。
【0025】
本発明のある態様では、撹拌手段は気体流が制御されるアクチュエータに作動可能に結合されていても良い(請求項7)。例えば、アクチュエータは、打撃要素の粉末容器への衝撃をひき起こすトリガー機構に結合されていても良い(請求項8)。
【0026】
他の態様では、撹拌手段は、気体流が発生している間は作動し、気体流が中断されたら停止するよう、気体流に駆動されても良い(請求項2)。現在の好適な態様では、撹拌手段は気体流の経路内に位置する可動要素を備える(請求項3)。好ましくは、そのような可動要素は、移動することにより粉末供給装置内の機械的な撹乱や振動を起こし、粉末容器内に収容された粉末を物理的に撹拌するように取り付けられている(請求項4)。
【0027】
特に好適な態様では、気体が流れる経路は、中で撹拌手段の可動要素が回転移動可能な環状軌道が設けられる(請求項5)。便宜上、そのような環状軌道は円形の軌道であり、撹拌手段の可動要素は気体流により軌道に沿って駆動されるボール、又はボール相当部材である(請求項6)。ボールの動きは粉末供給装置を通って粉末容器に伝達される起振力を発生する。他の態様では、粉末容器の撹拌は、電気モータ等の作動によりもたらされる。
【0028】
好ましくは、粉末は本発明による粉末供給装置から排出管又はバレルを介して排出される。そのような排出管又はバレルは、排出された粉末が流れる方向を例えば外科手術中に粉末の最適な供給を容易にするといった使用状況のニーズに合うよう調節するため、粉末供給装置の残りの部分に対し制限された範囲での目的方向への回動を可能にする。
【0029】
本発明による粉末供給装置は通常、全体的又は部分的にプラスチック材料で製造された要素を備える。しかし、適切な場合には、ステンレス鋼等の金属や、粉末容器用等のガラスのような他の材料が使用されても良い。医療に応用する場合、使用する材料は適切な医療品質のものであり、滅菌可能なものでも良い。
【0030】
使用を簡便にするため、本発明による粉末供給装置の要素は粉末供給装置の外郭に設けられ作動を補助する外部ハウジング部材に組み込まれても良い(請求項18)。例えば、粉末供給装置はユーザーが片手で容易に保持及び操作できるように構成されていても良い(請求項19)。
【0031】
本発明による粉末供給装置は、請求項20に係る発明のように人体の表面に様々な種類の粉末を運ぶのに使用されても良い。そのような粉末は、人体への薬理的効果の点において、又は感染症の予防又は治療に有用な殺菌剤等として治療効果を目的とする薬剤を含む。しかし、本発明の粉末供給装置が有用となる一つの具体的な分野は、外科手術の間又は外傷をうけた後に露出した内部組織に止血パウダー組成物を供給する目的の場合である。組織シーラントとも呼ばれるそのような止血組成物は、例えばフィブリノゲンとトロンビンの乾燥した混合粉末である。そのような混合物は、乾燥状態に形成された際は本質的に不活性であるが、例えば出血した創傷への使用等で一旦水を含むと、混合物は架橋して血液凝固を行うフィブリンの生成を導く。
【0032】
よって、本発明のさらなる態様によれば、外科手術中又は外傷をうけた後に内部組織に止血組成物を供給する方法が提供される。その方法は、上記の粉末供給装置を用い、粉末供給装置に所定量の乾燥粉末形態の止血組成物が充填され、その止血組成物を粉末供給装置から組織の上に供給することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施例による粉末供給装置の、一部が断面図である概略側面図であり、トリガー機構が休止状態であることを示す図である。
【図2】図1の粉末供給装置の背面図であり、トリガー機構が作動状態であることを示す図である。
【図3】本発明の第2実施例による粉末供給装置の側面図である。
【図4】図3の粉末供給装置の斜視図である。
【図5】図3の粉末供給装置の分解斜視図である。
【図6】図3の粉末供給装置の作動中に機械的振動を発生させる機構を示す概略図である。
【図7】図3の粉末供給装置のバルブ形成部の断面図である。
【図8】本発明の第3実施例による粉末供給装置(全体形状は第2実施例と同様である)の一部を形成する中間部材の代替例の斜視図である。
【図9】図8の中間部材の断面図である。
【図10】図8及び9の中間部材と共に使用される上部ハウジング部材の部分斜視図である。
【図11】図10の上部ハウジング部材の部分底面図である。
【図12】本発明の第4実施例による粉末供給装置の部分断面図である。
【図13】本発明の第4実施例による粉末供給装置の断面図であって、気体流の発生が本発明による粉末容器の撹拌に伴うものではないことを除き、図1に示す第1実施例とコンセプトが同じである。
【図14】図13の粉末供給装置の部分拡大図であり、粉末供給装置の一部を構成するバイアルを出入りする空気の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施例について、例示として、図面を参照して詳しく説明する。
【0035】
(第1実施例)
まず図1には、本発明の第1実施例による粉末供給装置1の全体が示される。粉末供給装置1は、直立する筒状の栓5(「突起部又は栓部」に相当)、及び、「気体流発生手段」を構成するベローズ7が装着される本体3を備える。所定量の供給粉末を収容するガラスのバイアル9(「粉末容器」に相当)が後述のように栓5に係合される。
【0036】
本体3はプラスチック材料の射出成形により形成され、概略形状がピストルの形状をしている。本体3の下方にぶら下がる(図1で見ると)中空のリム3aは、ユーザーが握るようになっており、ベローズ7が係合されるソケット4を有する。本体3の水平の(図1で見ると)リムは内部穴3cを有し、粉末が粉末供給装置1から供給されるバレル3bを構成している。
【0037】
栓5もまたプラスチック材料を成形して作られている。栓5は、下端部に周辺フランジ5bが形成されている、上方に向いた(図によると)筒状のコネクタ5aを有する。フランジ5bは本体3の上部表面に対応して形成された凹部内に収容され、フランジ5bと本体3とは結合される。
【0038】
栓5の内部穴は漏斗形状になるようテーパ状であり、内部穴の底部は栓5の残りの部分と一体的に形成された穿孔プレート5cにより閉じられている。バレル3bの内部穴3cは穿孔プレート5cの真下で終結している。穿孔プレート5cの真下に位置する内部穴3cの終端は穿孔プレート5cの穿孔、ひいては栓5の内部穴及びバイアル9と連通するよう上方に開口している。
【0039】
ベローズ7は一端にノズルが装着されている蛇腹型のチャンバである。ベローズ7は、プラスチック材料で形成され、手で圧縮できるようある程度の弾性を有し、付与されている圧力を開放すると図1に示す膨張形状に戻るようになっている。ベローズ7の他端は、例えばフラップバルブ(図1に示されていない)のようなベローズ7が膨張し図1に示す状態に戻る時にベローズに空気を充填する一方向バルブを備えていても良い。もしくはベローズ7の端部は単に、ベローズが圧縮される際に例えばユーザーの親指により塞がれ、その後露出によりベローズ7を膨張させ、図1に示す状態に戻す開口を備えていても良い。
【0040】
ベローズ7のノズルはソケット4に締まり嵌めされている。導管3dは下方にぶら下がるリム3aの内部と栓5を連結する。特に導管3dは、内部穴3cの端部にかぶさる部分に隣接する穿孔プレート5cの領域を通してベローズ7から放出された空気を通過させる。
【0041】
バイアル9は栓5の筒状のコネクタ5aを締まり嵌めにより収容する。バイアル9は首部9aを密封する閉鎖部を有する。バイアル9を直立状態にして、閉鎖部を取り外すと筒状のコネクタ5aが首部9aに挿入される。それから、バイアル9と栓5とのアセンブリを図1に示す方向に対し逆さまの状態にする。アセンブリを180度回転して図1に示す状態にすると、バイアル9内に収容される粉末は重力により落下し、筒状のコネクタ5aの内部穴に充填される。粉末は穿孔プレート5cの上に停滞し、プレート5cの穿孔を通って落下する粉末はほとんどないかゼロである。
【0042】
トリガー11はバイアル9の背面(即ち、バレル3bの遠位側)に隣接して回動可能に設置される。トリガー11は円弧状のトラック15に設けられたストライカー13(「打撃要素」に相当)を保持し、ストライカー13がトリガー11に対して制限された範囲で移動可能にする。引張バネ17(図2を参照)が本体3のバイアル9の前面近くでストライカー13と直立体18の間に設置され、ストライカー13をバイアル9の方へ引っ張っている。
【0043】
図1から分かるように、トリガー11及びストライカー13には協働する戻り止め11a、13aが形成され、トリガー11が(後述の通り)ユーザーにより押し下げられた時、ストライカー13がバネ17の作用に反してバイアル9の表面から引き離されるようになっている。
【0044】
本体3の後部には傾斜19が形成されている。トリガー11が押し下げられると、傾斜19はストライカー13と接触する。トリガー11を押し続けると傾斜19がストライカー13を変位させ、戻り止め11a、13aとの係合が外れる。傾斜19によりトリガー11が開放されると、ストライカー13はバネ17の作用により引っ張られてバイアル9と接触し、よってバイアル9を振動させる。
【0045】
粉末供給装置1の実用的な実施例では、トリガー11は(図示しない)押しボタン型のアクチュエータ内に収容され、アクチュエータを押し下げるとベローズ7も圧縮される。よって、空気流の発生はバイアル9の機械的な振動と同期し、よって粉末を空気流に取り込んでバイアル9から粉末を放出することを容易にする。
【0046】
粉末供給装置1から粉末を供給するには、ユーザーは図1に示すように通常直立した方向で粉末供給装置1を保持し、バレル3bを粉末の添加を意図する部位に向ける。それからユーザーはアクチュエータを押し下げ、ベローズ7を圧縮してトリガー11を押し下げる。例えばアクチュエータを親指で押し下げ、把持を容易にするような適切な形態(図示しない)が粉末供給装置1に形成される。ベローズ7の圧縮により、ジェット状の空気が導管3dを通過するように向けられる。このジェット状の空気は穿孔プレート5cを通ってプレート5c上に停滞している粉末に衝撃を与える。
【0047】
同時に、ストライカー13がバイアル9から引き離され、その後傾斜19の作用によりトリガー11から開放され、その結果ジェット状の空気が粉末に衝撃を与えながらストライカー13がバイアル9に衝撃を与える。可動化した粉末は空気流に取り込まれ、その空気流は再び穿孔プレート5cを通過し、バレル3bの内部穴3cに沿って移動することにより粉末供給装置1から出される。粉末は粉末供給装置1から吹き出されて添加する部位に堆積される。
【0048】
圧力がアクチュエータから開放されると、ベローズ7は図1に示す状態まで緩み、空気が一方向バルブ又はベローズ7の自由端の開口を通ってベローズに引き込まれる。同時に、トリガー11は図1に示す休止状態に戻り、戻り止め11a、13aが再係合する。
【0049】
その後アクチュエータの作動は必要なだけ繰り返されても良い。粉末は望ましい量の粉末が供給されるまで、或いはバイアル9内の全ての粉末が供給されて空になるまで続けて供給される。バイアル9が空になると、バイアルは適切に栓5から取り外され新しいバイアルと交換され、即ち装置は新たな粉末のバイアルと共に再び使用される。他の状況では、装置は一回のみ使用されその後廃棄されても良い。
【0050】
(第2実施例)
図3から7には、本発明の第2実施例の粉末供給装置20の全体が示される。本実施例は、外部の圧縮ガス供給源と共に使用される点と、粉末を供給する間バイアルが撹拌される機構が異なる点において第1実施例の粉末供給装置1と異なる。
【0051】
最初に図3及び4を参照し、粉末供給装置20はプラスチック材料の射出成形により形成した上部及び下部ハウジング部材23a、23bを有する本体を備える。本体は通常ユーザーの手に把持されるように細長いシリンダの形状をとり、下部ハウジング部材23bの下側はそのような把持を容易にする形状となっている。押しボタンアクチュエータ27が本体の上部に設けられ、よって粉末供給装置20がユーザーに把持されると、アクチュエータ27が粉末供給装置20を把持する手の親指によって押し下げられるようになっている。
【0052】
弾性体のチューブ25が粉末供給装置20の後端より延伸し、例えば圧縮空気の供給源(図示しない)といった気体供給源(「外部の気体流発生手段」に相当)に接続されている。適切なコネクタ(図示せず)がチューブ25の粉末供給装置20と反対側の端部に設けられている。
【0053】
粉末供給装置20の前端には筒状バレル29が設けられ、筒状バレル29を通って粉末が粉末供給装置20から供給される。第1実施例のバイアル9が粉末供給装置1に結合されるのと同様に、ガラスのバイアル31が粉末供給装置20に結合される。図5から分かるように、上部ハウジング部材23aにはバイアル31の開口内に収納される直立の栓33が形成される。一対のクリップ35が、バイアル31がしっかりと定位置に保持されるようにバイアル31の周辺部と係合する。第1実施例のように、栓33の内部は漏斗形状となるようテーパ状であり、栓33の基部は穿孔プレート34により閉じられている。
【0054】
図5を再び参照し、中間部材41は本体23の上部ハウジング要素部材23a及び下部ハウジング部材23bの間に挟まれている。中間部材41の後方近くには、上部ハウジング部材23aの下側に一体的に形成された下方にぶら下がるボス(図5に示されていない)を収容する円形の開口61が形成されている。円形の軌道43が空気の入口経路45及び出口経路46と共に下部ハウジング部材23bに形成されている。中間部材41は下部ハウジング部材23bと協働して軌道43を閉じる。ボール50(図5に示されていない)が、円形の軌道43に沿って自由に回転可能なように軌道43内に保持される。
【0055】
チューブ25は、下部ハウジング部材23bに一体的に形成された直立したボス52内に保持されるバルブ51に連結されている。一方バルブ51は筒状のコネクタ47と係合する短い長さのチューブ25aにより中間部材41に接続され、筒状のコネクタ47は中間部材と一体的に形成されて、中間部材41及び下部ハウジング部材23bが係合した際、空気の入口経路45と正確に重なり合う。
【0056】
バルブ51はアクチュエータ27の、図3で斜めになっている位置の真下に設置される。アクチュエータ27はバルブ51を上から圧迫しバルブ51の作動を制御するカム(図示せず)を有する。アクチュエータが押し下げられると、バルブ51が開かれ空気が外部の圧縮空気供給源から粉末供給装置20を通って流れ、アクチュエータ27が開放されると、空気の流れが中断される。
【0057】
バルブ51は図7の断面図に示されている。これは通常トランペットバルブと称されるタイプのものであり、内部でバルブステム72の制限された往復運動が可能であるバルブ本体71を有する。バルブステム72の下部はバルブ本体71の下部に比べて径が細くなっており、その結果これらの部材の間に環状空間ができる。バルブキャップ73がバルブステム72の上部周辺に設けられる。
【0058】
バルブステム72の運動範囲はバルブキャップ73の基部の内側に向いた周縁部74とバルブステム本体71の上部の外側に向いたフランジ75の係合により制限される。バルブステム72はフランジ75とバルブキャップ73の上部の下側の間で作動する2つの圧縮バネ76の配置により図7に示す位置へ付勢されている。
【0059】
一対の互いに離間したOリング77、78が、バルブステム72とバルブ本体71の内部壁の間の密封係合を提供している。バルブの入口79はチューブ25の端部を収容し、同様にバルブの出口80は中間部材41へと導く短いチューブ25aへ連結されている。
【0060】
図7に示す位置において、バルブ51は閉じている。供給チューブ25からバルブの出口80への気体の通過は遮断されている。例えばユーザーがアクチュエータ27を押すなどしてバルブステム72が押し下げられると、下方のOリング78がバルブの出口80の下の位置まで変位し、バルブ51が開かれ気体がバルブステム72の周りの環状空間を通ってバルブの出口80まで流れる。
【0061】
バルブ51が開かれると、気体は軌道43に流れ込み軌道43の周りのボール(図示せず)を駆動する。空気供給孔48が中間部材41の中の、軌道43の後部上方に形成される。これにより軌道43から所定量の空気が流れ、その空気流は穿孔プレート34の後部へ向けられ短い供給パイプ49まで流れ、供給パイプ49は栓33の内部壁と一体に形成され穿孔プレート34の上方で短い長さで終結しており、第1実施例と同様に穿孔プレート34上で停滞している粉末の中に入っている。
【0062】
供給孔48及び供給パイプ49は、少しの空気流しか粉末内に案内しない。しかし、大部分の空気流は、単に出口経路46を介して排出される。装置の後部の開口59が排気を許容する。バイアル31に案内される空気流の割合は、供給孔48及び/又は出口経路46の大きさを変えることにより、装置の意図する添加に合うよう調節される(即ち、供給される粉末の量や粉末の質に合わせる等)。
【0063】
中間部材41の上部表面は、穿孔プレート34の下の領域において、浅いウェル53と前方に案内する出口54と共に形成される。出口54は短いチューブ55を介して、バレル29に連結される。ノーズ56がバレル29と一体に形成され、上部ハウジング部材23a及び下部ハウジング部材23bの前端部に挟まれている。ノーズ56は通常半球形状であり、ハウジングの端部に「ボール−アンド−ソケット型結合」により保持され、それによりバレル29が制限された範囲で目的方向に回動自在である(これは図4において最も分かりやすくなっている)。
【0064】
粉末供給装置20から粉末を供給するには、ユーザーは粉末供給装置20を片手で保持し、バレル29を粉末の添加を目的とする部位に向け、アクチュエータ27を親指で押し下げる。これによりバルブ51が開き、空気が粉末供給装置20を通って流れる。空気はチューブ25及び25aを通り軌道43へ流れる。軌道43内の空気の循環によりボール50(「撹拌手段の可動要素」に相当)が軌道43の周りを迅速に回転する。ボール50の動きはある程度の機械的振動を発生させ、中間部材41、上方ハウジング部材23a、及びバイアル31(「粉末容器」に相当)へ伝達される。
【0065】
ほとんどの空気流は出口経路46及び開口59を介して粉末供給装置20から排出される。しかし、少ない割合の空気は供給孔48を介して軌道43から逃がされ、供給孔48から空気は穿孔プレート34の下側に向かい供給パイプ49へ流れる。このジェット状の空気がプレート34の上で停滞する粉末に侵入する。軌道43内でのボール50の回転により生じる粉末供給装置20の機械的な撹拌により、粉末がバイアル31から容易に開放される。粉末は空気流に取り込まれ、その空気流は再び穿孔プレート34を通過しウェル53へ移動し、バレル29を通過することにより粉末供給装置20から排出される。粉末は粉末供給装置20から吹き出され添加する部位に堆積される。
【0066】
粉末供給装置の機械的な撹拌は、アクチュエータ27が押されている間継続される。アクチュエータ27が開放されると、空気流は中断されボール50は軌道43内での回転運動を停止する。装置は継続した時間、又は間欠的に作動されても良い。
【0067】
第1実施例の粉末供給装置1に関しては、粉末は所望の量の粉末が供給されるまで、又はバイアル31内の粉末が全て供給されて空になるまで供給が継続されても良い。バイアル31が空になると、栓33から取り外され新しいバイアルに交換するか、又は適切な場合、装置を廃棄しても良い。
【0068】
(第3実施例)
図8から11を参照し、本発明の第3実施例による粉末供給装置は、ほぼ図3から7に示す第2実施例と同様であるが、気体流が粉末容器から粉末を取り込む方法が異なる。第2実施例に対応する第3実施例の構成要素を示す符号は、同じ符号の先頭に「1」を付けることとする。よって、中間部材141は第2実施例の中間部材41に対応し、穿孔プレート(ベース部材)134は穿孔プレート(ベース部材)34に対応する等である。
【0069】
図8及び9は、図3から7の実施例の中間部材41とほぼ同じ形状の中間部材141のそれぞれ斜視図と断面図である。図10及び11は穿孔プレート134を含む上部ハウジング部材123aの一部を示す部分図である。この実施例では、下部ハウジング部材、バレル、バルブ及びアクチュエータ(図示せず)は第2実施例のものと同じである。
【0070】
第2実施例と第3実施例との主な違いは、空気が軌道43から穿孔プレート134の下に位置する中間部材141内のウェル153へ流れる方法にある。第2実施例において(図5)、空気は供給孔48及び供給パイプ49を通って穿孔プレート34の上の栓33内の位置まで流れる。一方、第3実施例において、供給パイプは存在しない。代わりに、供給孔148は垂直なスロット149内で終結しており、垂直なスロット149の上端は上部ハウジング部材123aの下表面の接触部158により閉じられている(図11を参照)。
【0071】
図10から分かるように、上部ハウジング部材123aの上面は、基部が穿孔プレート134を有する直立した栓133が形成される点で第2実施例のものと同じである。しかし、第2実施例では供給パイプ49で占められていた栓133内の後部は、この実施例では単なる斜面163である。栓133の内部の側壁も斜面164として形成され、栓133の内部を漏斗状に形成している。斜面164は省いても良く、その結果穿孔プレート134はほぼ円形となり、その場合図11で明らかな平行リブも省いても良い。実際のところ、装置の現在の最も好ましい実施例はそのような変形を含む。
【0072】
第2実施例と同様に、中間部材141には円形開口161が形成され、円形開口161は上部ハウジング部材123aの下表面に形成された、下方にぶら下がる対応するボス162を収容する(図11を参照)。
【0073】
第3実施例の装置は第2実施例と正に同じ方法で作動する、即ち、ユーザーがアクチュエータを押し下げると、バルブが開いて気体が軌道内に流れ、ボールを軌道の周りで駆動する。ボールの運動は供給粉末を含むバイアルへ伝達される振動を発生する。気体流の一部は供給孔148及びスロット149を介して軌道から排出される。その気体はジェット気体として穿孔プレート134の下のウェル153を横切り、出口154へ向けられる。ウェル153を横切る比較的速いジェット気体は、穿孔プレート134を通して粉末を引き込み、気体流の中に取り込むベンチュリー効果を生じさせる。すなわち、「気体流発生手段」を構成する。
【0074】
(第4実施例)
図12は本発明の第4実施例の粉末供給装置の断面図である。図3から7の第2実施例に対応する本実施例の構成要素を示す符号は、同じ符号の先頭に「2」を付けることとする。よって、中間部材243は第2実施例の中間部材43に対応し、穿孔プレート(ベース部材)234は穿孔プレート(ベース部材)34に対応している等である。
【0075】
第4実施例は第2実施例及び上述の第3実施例とほぼ同様である。よって、第4実施例は上部及び下部ハウジング部材223a、223b及び中間部材241を備える。上部ハウジング部材223aにはバイアル231の首部を収容する直立した栓223が形成されている。栓233の基部は穿孔プレート234として形成されている。ウェル253が中間部材241の上面に形成され、穿孔プレート234の下に位置している。中間部材241及び上部ハウジング部材223aは協働してチューブ255に連結される出口253を形成する。中間部材241及び下部ハウジング部材223bは共に、使用時に中でボール(図示せず)が駆動される軌道243を画定する。
【0076】
第4実施例は、軌道243から導かれる供給孔248が、供給パイプ(図5)又は垂直スロット(図8)内ではなく、中間部材241とウェル253を取り囲む上部ハウジング部材223aの隣接面の平面に平行な隙間249で終結している点で第3実施例と異なる。
【0077】
隙間249の効果は、穿孔プレート234と平行な面において早い速度のジェット気体を発生させることである。第3実施例に関しては、そのジェット気体は穿孔プレート234を通して粉末を引き込むベンチュリー効果を発生させる。すなわち、「気体流発生手段」を構成する。
【0078】
(その他の実施例)
最後に図13及び14を参照し、本発明のその他の実施例の粉末供給装置91は、直立した筒状の栓95(「突起部又は栓部」に相当)、及び、「気体流発生手段」を構成するベローズ97が装着される本体93を備える。所定量の供給粉末を収容するガラスのバイアル99(「粉末容器」に相当)が後述のように栓95に係合される。
【0079】
本体93はプラスチック材料の射出成形により形成され、概略形状がピストルの形状をしている。本体93の下方に(図13で見ると)ぶら下がるリム93aはベローズ97を収容する筒状のコネクタを構成する。本体93の平行(図13で見ると)リム93bは内部穴93cを有し、粉末を粉末供給装置91から供給するバレルを構成している。
【0080】
栓95もプラスチック材料で成形される。栓95は、下端部に周辺フランジ95bが形成されている、上方に向いた(図で見ると)筒状のコネクタ95aを有する。フランジ95bは本体93の上面の対応する形状の凹部内に収容され、フランジ95bと本体93とは共に結合される。
【0081】
栓95の内部穴は漏斗形状になるようテーパ状であり、内部穴の底部は栓95の残りの部分と一体に形成された穿孔プレート95cにより閉じられている。本体93の平行リム93bの内部穴93cは穿孔プレート95cの下で終結している。穿孔プレート95cの下に位置する内部穴93cの端部は穿孔プレート95c内の穿孔、ひいては栓95の内部穴及びバイアル99と連通するよう上方に開口している。
【0082】
ベローズ97は一端にノズル97bが装着されている蛇腹型のチャンバ97aを含む。ベローズ97は、プラスチック材料で形成され、手で圧縮できるようある程度の弾性を有し、付与されている圧力を開放すると図13に示す膨張形状に戻るようになっている。ベローズ97の他端は、例えばフラップバルブ(図13に示されていない)のようなベローズ97が膨張し図13に示す状態に戻る時にベローズに空気を充填する一方向バルブを備えていても良い。もしくはベローズ97の端部は単に、ベローズが圧縮される際に例えばユーザーの親指により塞がれ、その後露出によりベローズ97を膨張させ図13に示す状態に戻す開口を備えていても良い。
【0083】
ノズル97bは、リム93aの中に緊密に収容されるよう本体93の下方にぶら下がるリム93aに締まり嵌めされていて、ノズル97bの先端は下方にぶら下がるリム93aの内部と栓95を連結する導管93dに向けられている。特に導管93dは、内部穴93cの端部にかぶさる部分に隣接する穿孔プレート95cの領域を通してベローズ97から放出された空気を通過させる。
【0084】
バイアル99は栓95の筒状のコネクタ95aを収容する首部99aを有する。バイアル99は首部99aを密封する閉鎖部を有する。バイアル99を直立状態にして、閉鎖部を取り外すと筒状のコネクタ95aが首部99aに挿入される。それから、バイアル99と栓95とのアセンブリを図13に示す方向に対し逆さまの状態にする。アセンブリを180度回転して図13に示す状態にすると、バイアル99内に収容される粉末は重力により落下し、筒状のコネクタ95aの内部穴に充填される。粉末は穿孔プレート95cの上に停滞し、穿孔プレート95cの穿孔を通って落下する粉末はほとんどないかゼロである。
【0085】
粉末供給装置91から粉末を供給するには、ユーザーは通常直立した方向で粉末供給装置91を保持し、本体93の平行リム93bを粉末の添加を意図する部位に向ける。それからユーザーはベローズ97を圧縮する。例えば片手の親指と最初の2本の指を使い、把持及びベローズ97の圧縮を容易にするような適切な形式(図示しない)が粉末供給装置91に設けられる。
【0086】
ベローズ97の圧縮により、ジェット状の空気は導管93dへ向けられ、導管93dを通過する。このジェット状の空気は穿孔プレート95cを通って穿孔プレート95c上に停滞している粉末を可動化する。可動化した粉末は、空気流に取り込まれ、その空気流は再び穿孔プレート95cを通過し、平行リム93bの内部穴93cに沿って移動することにより粉末供給装置91から出される。粉末は粉末供給装置91から吹き出され、添加する部位に堆積される。
【0087】
穿孔プレート95cは粉末が可動化されて穿孔プレート95cを通る空気流により供給されるまで粉末を保持する機能を有し、また空気流の中で粉末を粉々にして供給するのを容易にする。
【0088】
図14は(矢印により示される)、筒状のコネクタ95aの内部及びバイアル99内に保持される粉末へ空気流が流れ、空気流及び取り込んだ粉末が粉末供給装置91から出される方向を示す。
【0089】
ベローズ97への圧力を開放すると、ベローズは図13に示す状態へと緩み、空気は一方向バルブ又はベローズ97の自由端の開口を通してベローズに引き込まれる。ベローズ97の圧縮を繰り返すと粉末供給装置91から粉末が供給される。粉末は望ましい量の粉末が供給されるまで、或いはバイアル99内の全ての粉末が供給されて空になるまで続けて供給される。バイアル99が空になると、バイアルは適切に栓95から取り外され新しいバイアルと交換され、即ち装置は新たな粉末のバイアルと共に再び使用される。他の状況では、装置は一回のみ使用されその後廃棄されても良い。
【符号の説明】
【0090】
1、20、91 ・・・粉末供給装置
7、97 ・・・ベローズ(気体流発生手段)
9、31、231、99・・・バイアル(粉末容器)
11 ・・・トリガー
13 ・・・ストライカー(打撃要素)
27 ・・・アクチュエータ
34、134、234 ・・・穿孔プレート
50 ・・・ボール(撹拌手段の可動要素)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所的に粉末を供給可能な粉末供給装置であって、
粉末を収容する粉末容器を一体に備え、又は、別体の粉末容器に結合され、
当該粉末供給装置に気体流を通過させる気体流発生手段を備え、又は外部の気体流発生手段に結合され、
粉末及び/又は前記粉末容器の機械的な撹拌を行う撹拌手段をさらに備え、
前記気体流発生手段及び前記撹拌手段は作動可能に結合され、
当該粉末供給装置に気体流を通過させて前記粉末容器から粉末を取り込み当該粉末供給装置から粉末を供給する前記気体流発生手段の作動と、前記粉末容器を機械的に撹拌し前記粉末容器から粉末の放出を促進する前記撹拌手段の作動とが機械的に連動して行われることを特徴とする粉末供給装置。
【請求項2】
前記撹拌手段は、気体流により駆動され、気体流が発生している間は作動し、気体流が中止されたら停止することを特徴とする請求項1に記載の粉末供給装置。
【請求項3】
前記撹拌手段は、気体流の経路内に位置する可動要素を有することを特徴とする請求項2に記載の粉末供給装置。
【請求項4】
前記可動要素は、移動により前記粉末供給装置内で機械的な撹乱や振動を生じさせ、前記粉末容器内に収容された粉末を物理的に撹拌することを特徴とする請求項3に記載の粉末供給装置。
【請求項5】
前記気体流の経路に、前記撹拌手段の前記可動要素が回転移動可能な環状軌道が設けられることを特徴とする請求項3又は4に記載の粉末供給装置。
【請求項6】
前記環状軌道は円形の軌道であり、前記撹拌手段の前記可動要素は、気体流により前記環状軌道に沿って駆動されるボール、又はボール相当部材であることを特徴とする請求項5に記載の粉末供給装置。
【請求項7】
前記撹拌手段は、気体流を制御するアクチュエータに作動可能に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の粉末供給装置。
【請求項8】
前記アクチュエータは、打撃要素に前記粉末容器へ衝撃を与えさせるトリガー機構に結合されていることを特徴とする請求項7に記載の粉末供給装置。
【請求項9】
前記粉末容器は、当該粉末供給装置に一体的に形成され、前記粉末容器内に収容される所定量の粉末を当該粉末供給装置に供給可能であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項10】
前記粉末容器は、使用前に当該粉末供給装置に結合される別体の容器であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項11】
別体の前記粉末容器と相互に結合可能な補完形状で形成されることを特徴とする請求項10に記載の粉末供給装置。
【請求項12】
別体の前記粉末容器の首部の内壁に嵌合する突起部又は栓部を有することを特徴とする請求項11に記載の粉末供給装置。
【請求項13】
別体の前記粉末容器は、所定量の粉末を収容する密封されたバイアルであることを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項14】
外部の気体流発生手段に結合されることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項15】
前記外部の気体流発生手段は、圧縮ガスの供給源であることを特徴とする請求項14に記載の粉末供給装置。
【請求項16】
前記気体流発生手段は、ユーザーが手動で圧縮可能な圧縮球又はベローズから構成されることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項17】
前記気体流発生手段は、圧縮ガス又は液体高圧ガスのボンベであることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項18】
当該粉末供給装置の外郭に設けられ作動を補助するハウジング部材を備えることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項19】
ユーザーが片手で保持及び操作できるように構成されていることを特徴とする請求項18に記載の粉末供給装置。
【請求項20】
前記粉体は、外科手術の間又は外傷をうけた後に露出した内部組織に供給される止血組成物であることを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項21】
外科手術中又は外傷をうけた後に露出した内部組織に止血組成物を供給する方法であって、
請求項1から20のいずれか一項に記載の粉末供給装置を用い、
前記粉末供給装置に所定量の乾燥粉末形態の止血組成物が充填される段階と、
前記止血組成物を前記粉末供給装置から前記組織の上に供給する段階と、
を含むことを特徴とする止血組成物の供給方法。
【請求項22】
前記止血組成物は、フィブリノゲン及びトロンビンを含むことを特徴とする請求項21に記載の止血組成物の供給方法。
【請求項1】
局所的に粉末を供給可能な粉末供給装置であって、
粉末を収容する粉末容器を一体に備え、又は、別体の粉末容器に結合され、
当該粉末供給装置に気体流を通過させる気体流発生手段を備え、又は外部の気体流発生手段に結合され、
粉末及び/又は前記粉末容器の機械的な撹拌を行う撹拌手段をさらに備え、
前記気体流発生手段及び前記撹拌手段は作動可能に結合され、
当該粉末供給装置に気体流を通過させて前記粉末容器から粉末を取り込み当該粉末供給装置から粉末を供給する前記気体流発生手段の作動と、前記粉末容器を機械的に撹拌し前記粉末容器から粉末の放出を促進する前記撹拌手段の作動とが機械的に連動して行われることを特徴とする粉末供給装置。
【請求項2】
前記撹拌手段は、気体流により駆動され、気体流が発生している間は作動し、気体流が中止されたら停止することを特徴とする請求項1に記載の粉末供給装置。
【請求項3】
前記撹拌手段は、気体流の経路内に位置する可動要素を有することを特徴とする請求項2に記載の粉末供給装置。
【請求項4】
前記可動要素は、移動により前記粉末供給装置内で機械的な撹乱や振動を生じさせ、前記粉末容器内に収容された粉末を物理的に撹拌することを特徴とする請求項3に記載の粉末供給装置。
【請求項5】
前記気体流の経路に、前記撹拌手段の前記可動要素が回転移動可能な環状軌道が設けられることを特徴とする請求項3又は4に記載の粉末供給装置。
【請求項6】
前記環状軌道は円形の軌道であり、前記撹拌手段の前記可動要素は、気体流により前記環状軌道に沿って駆動されるボール、又はボール相当部材であることを特徴とする請求項5に記載の粉末供給装置。
【請求項7】
前記撹拌手段は、気体流を制御するアクチュエータに作動可能に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の粉末供給装置。
【請求項8】
前記アクチュエータは、打撃要素に前記粉末容器へ衝撃を与えさせるトリガー機構に結合されていることを特徴とする請求項7に記載の粉末供給装置。
【請求項9】
前記粉末容器は、当該粉末供給装置に一体的に形成され、前記粉末容器内に収容される所定量の粉末を当該粉末供給装置に供給可能であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項10】
前記粉末容器は、使用前に当該粉末供給装置に結合される別体の容器であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項11】
別体の前記粉末容器と相互に結合可能な補完形状で形成されることを特徴とする請求項10に記載の粉末供給装置。
【請求項12】
別体の前記粉末容器の首部の内壁に嵌合する突起部又は栓部を有することを特徴とする請求項11に記載の粉末供給装置。
【請求項13】
別体の前記粉末容器は、所定量の粉末を収容する密封されたバイアルであることを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項14】
外部の気体流発生手段に結合されることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項15】
前記外部の気体流発生手段は、圧縮ガスの供給源であることを特徴とする請求項14に記載の粉末供給装置。
【請求項16】
前記気体流発生手段は、ユーザーが手動で圧縮可能な圧縮球又はベローズから構成されることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項17】
前記気体流発生手段は、圧縮ガス又は液体高圧ガスのボンベであることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項18】
当該粉末供給装置の外郭に設けられ作動を補助するハウジング部材を備えることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項19】
ユーザーが片手で保持及び操作できるように構成されていることを特徴とする請求項18に記載の粉末供給装置。
【請求項20】
前記粉体は、外科手術の間又は外傷をうけた後に露出した内部組織に供給される止血組成物であることを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項21】
外科手術中又は外傷をうけた後に露出した内部組織に止血組成物を供給する方法であって、
請求項1から20のいずれか一項に記載の粉末供給装置を用い、
前記粉末供給装置に所定量の乾燥粉末形態の止血組成物が充填される段階と、
前記止血組成物を前記粉末供給装置から前記組織の上に供給する段階と、
を含むことを特徴とする止血組成物の供給方法。
【請求項22】
前記止血組成物は、フィブリノゲン及びトロンビンを含むことを特徴とする請求項21に記載の止血組成物の供給方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2012−511946(P2012−511946A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540220(P2011−540220)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051714
【国際公開番号】WO2010/070333
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(310019154)プロフィブリックス ビー.ヴイ. (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051714
【国際公開番号】WO2010/070333
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(310019154)プロフィブリックス ビー.ヴイ. (3)
【Fターム(参考)】
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