説明

粉粒体における小比重異物除去装置

【課題】 簡単な構成で、粉粒体を容易に一様な薄い層状にして移動させることができ、小比重異物除去の処理能力の向上を可能とした粉粒体における小比重異物除去装置を提供する。
【解決手段】 小比重異物除去装置1は、下端部に供給口21を有し、粉粒体を上方から下方に供給する供給部11と、垂直方向の軸心を中心として回転可能に設けられ、供給部11から供給された粉粒体を遠心力により大径側に移動させる凹型の回転容器12と、回転容器12の中心よりも最上縁により近い傾斜した内周面の上方の近接位置に吸引口27を有する吸引部13と、回転容器12の最上縁を包囲する形状を有し、遠心力により回転容器12の最上縁を超えて、その外側に放出される粉粒体に対して受け取り可能に形成された回収部14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体に毛髪、繊維を含む小比重異物が混入している場合にこれを除去して回収するのに好適な粉粒体における小比重異物除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体に混入した異物を取り除くために、粉粒体を一様な薄い厚みの層状になるようにベルトコンベア上に供給し、粉粒体を水平搬送する過程で、光学的に粉粒体に混入した異物を検出し、これを取り除くようにした装置が公知である(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2000−84496号公報
【特許文献2】特開2000−162136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
粉粒体に混入した異物を光学的に検出して、これを取り除くためには、まず粉粒体を一様な薄い層状にする必要がある。特許文献1に記載の装置では、粉粒体を第1コンベア上にてスクイーズローラを用いて均一な厚さにした後、第2コンベア上に移送するようにし、特許文献2に記載の装置では、粉粒体を振動させることにより均すようにしている。いずれにしても、粉粒体の搬送量はコンベアの幅と粉粒体の層の厚みとコンベア速度とにより決まる。粉粒体に混入した異物を光学的に検出するための光センサーの検出可能範囲が限られているため、コンベアの幅を大きくするにも限度があり、検出精度を上げるためには粉粒体の層は薄い程好ましい。また、コンベア速度をむやみに増大させても粉粒体が追随してこないため、これを増大させるにも限度がある。このため、単位時間当たりの粉粒体の搬送量、したがって異物排除の処理能力が制限され、不足する処理能力を補うには、このベルトコンベアとともに、粉体供給部、異物検出部等を含むベルトコンベアラインの増設しかなく、上記処理能力を上げることが難しいという問題がある。また、上述した各装置の場合、粉粒体の種類により、必ずしも粉粒体を一様な薄い層状にすることができないという問題があった。特に、異物が毛髪、繊維を含む小比重物である場合には、粉粒体への混入が絶対に許されないにも拘わらず、この除去が難しいという問題があった。
【0004】
本発明は斯かる従来の問題をなくすことを課題とし、簡単な構成で、粉粒体を容易に一様な薄い層状にして移動させることができ、小比重異物除去の処理能力の向上を可能とした粉粒体における小比重異物除去装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、第1発明は、下端部に供給口を有し、粉粒体を上方から下方に供給する供給部と、垂直方向の軸心を中心として回転可能に設けられ、上記供給部から供給された粉粒体を遠心力により大径側に移動させる凹型の回転容器と、上記回転容器の内周面の上方の近接位置に吸引口を有する吸引部と、上記回転容器の最上縁を包囲する形状を有し、遠心力により上記回転容器の最上縁を超えて、その外側に放出される粉粒体に対して受け取り可能に形成された回収部とを備えた構成とした。
【0006】
第2発明は、第1発明の構成に加えて、上記回転容器上の粉粒体に光を照射する投光部、及び、この投光部から粉粒体を経た光を受け、電気信号に変換する受光部、及び、この電気信号から粉粒体中に毛髪、繊維を含む小比重異物が混入しているか否か監視する光センサー部を設けた構成とした。
【0007】
第3発明は、第1発明の構成に加えて、上記回転容器上の粉粒体に光を照射する投光部、及び、この投光部から粉粒体を経た光を受け、電気信号に変換する受光部、及び、この電気信号から粉粒体中に毛髪、繊維を含む小比重異物が混入しているか否か判断し、この小比重異物が混入している場合には上記吸引部を作動させる光センサー部を設けた構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る粉粒体における小比重異物除去装置によれば、装置が簡単な構成となり、粉粒体に混入した毛髪、繊維を含む小比重異物は、粉粒体より移動が鈍く、かつ移動しているうちに粉粒体の表層或いは表面に現れてくる性質がある故、特にその分離・除去が容易となり、粉粒体の供給流量を大きくしても、回転容器の回転速度を上げれば、容易に粉粒体を一様な薄い層状にすることができ、大幅に小比重異物除去の処理能力を上昇させることが可能となる。
【0009】
また、光センサー部を設け、これにより粉粒体に異物が混入しているか否か監視することにより、装置の信頼性を高めることが可能になるという効果を奏する。
【0010】
また、光センサー部を設け、これにより粉粒体に混入した異物を検出した場合に吸引部を作動させるようにすることにより、吸引部の動力消費を節約できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1及び2は、本発明に係る粉粒体における小比重異物除去装置1を示し、この小比重異物除去装置1は、供給部11、回転容器12、吸引部13、回収部14及び光センサー部15とを備えている。
【0012】
供給部11は、水平断面が円形の筒状体で、下端部に供給口21を有し、図示しない粉粒体供給設備に接続しており、ここから送られてきた粉粒体が落下し、供給口21から下方に供給される。また、この供給部11は、高さ調整可能に、かつ内径の異なるものと取り替え可能とするのが好ましい。
【0013】
回転容器12は、凹型に形成され、垂直に回転可能に設けられた回転軸22の上端部に、これと一体回転可能に設けられている。この回転軸22は、図示しない回転駆動部により、例えば、タイミングベルト23,プーリ24を介して回転させられる。上記回転駆動部は可変速であるのが好ましい。また、回転容器12の中心部を貫く回転軸22の上端面上には、供給部11の下方にて、回転軸22と一体回転可能に円錐体25が設けられている。なお、供給部11、回転容器12、回転軸22及び円錐体25のそれぞれは同心である。そして、供給口21内を落下してきた粉粒体は、回転する円錐体25の下方に向かって広がった斜面に沿って、かつ円錐体25の全周にわたって均等に配分され、同じく回転する回転容器12上に、かつ大径側に向けて供給される。回転容器12上では、粉粒体も回転容器12に随伴して回転するため、粉粒体に遠心力が作用し、図2中、一点鎖線の曲線aで示すように大径側に移動してゆくと同時に、円周方向に広がってゆく。即ち、回転容器12上では、粉粒体は直ちに円周方向に一様な、かつ薄い層状になって大径側に向かって移動してゆく。なお、曲線aは90度間隔で例示的に示したもので、実際には、円周方向、360度全体にわたって粉粒体の移動軌跡を示す曲線aが存在する。
【0014】
吸引部13は、図示しない回収設備に接続された吸引ダクト26を有し、その吸引口27は回転容器12の平坦な底面から最上縁に向かって広がるように傾斜した内周面にかけて、その上方の近接位置に配置されている。供給部11から回転容器12に供給された粉粒体は上述したように大径側に向けて移動してゆく一方、これに混入した毛髪、繊維を含む小比重異物は、粉粒体よりゆっくりと移動するとともに、かつ移動しているうちに粉粒体の表層に移ったり、表面に浮き上がるように現れてくる。吸引口27からは常時吸引が行われており、この浮き上がった軽い異物は直ちに吸引口27から吸引ダクト26内に吸引・除去され、小比重異物が除去された粉粒体のみが遠心力により回転容器12の最上縁からこの外側に放出される。
【0015】
回収部14は、回転容器12の最上縁を包囲する形状を有し、遠心力により回転容器の最上縁を超えて、その外側に放出される粉粒体を受け取り、図示しない回収設備に導くように形成されている。
【0016】
光センサー部15は、回転容器12内の傾斜面に向けて光を照射する投光部、及び、上記上面を照射し、ここから反射してきた光を受け、電気信号に変換する受光部、及び、この電気信号から粉粒体中の毛髪、繊維を含む分離・除去すべき小比重異物の有無を監視するものである。この監視のために、例えば、異物の有無を判断し、異物が検出された場合には、発光ダイオードを発光させるようにしてもよい。これにより、粉粒体中の小比重異物の有無が確認され、装置の信頼性を向上させることができるが、複数個設けてもよいが、小比重異物の分離・除去という点のみに限れば、必ずしもこの光センサー部15は必要とするものではない。なお、図2中、二点鎖線で示す両矢印bは光センサー部15の異物検出可能範囲を表し、この両矢印bに沿って投光され、異物検出が行われる。
【0017】
これに対して、光センサー部15を上述した監視のためではなく、異物検出時にのみ吸引部13を作動させるために設けてもよい。即ち、光センサー部15により異物が検出されていない場合には、吸引部13を非作動状態にしておき、光センサー部15により異物が検出されると、光センサー部15からの異物検出信号に基づき吸引部13を作動状態に切り換えるようにし、吸引部13での動力消費を節約するようにしてもよい。この場合も、上記同様、光センサー部15を複数個設けてもよい。
【0018】
このように、回転容器12を用い、遠心力で粉粒体を移動させるようにした小比重異物除去装置1によれば、コンベアにより粉粒体を水平搬送するようにした上述した装置に比して、簡単な構成で、粉粒体を容易に一様な薄い層状にして移動させることができるだけでなく、回転容器12の回転速度を上げることにより粉粒体の回転容器12上へ供給する流量を増大させることができる故、小比重異物除去の処理能力を大幅に向上が可能となっている。また、毛髪、繊維を含む小比重異物については、その挙動が粉粒体とは異なり、移動してゆくうちに表層に移り、さらに粉粒体の表面に浮き上がるように現れてしまう等、従来、小比重異物の除去が絶対に必要であるにも拘わらず、困難であったが、この粉粒体における小比重異物除去装置1では、上述した小比重異物特有の性質を逆に利用することによりその分離・除去の確実性を高めることを可能となっている。
【0019】
図3は、小比重異物除去装置1の粉粒体選別装置2への適用例を示し、この図3において図1及び2と互いに共通する部分については、同一番号を付して説明を省略する。
【0020】
小比重異物除去装置1では、回収部14が回転容器12を包囲するように形成され、その傾斜した底面の最下部に下方に向けて開口した排出口31が設けられている。そして、小比重異物が除去され、回転容器12から放出された粉粒体は、上記底面上に受け取られ、排出口31から下方に排出されるようになっている。
【0021】
粉粒体選別装置2は、粉粒体移送部32と光センサー部33とを備えている。粉粒体移送部32は、例えば垂直な軸心を中心として回転可能に設けられた回転部材で、排出口31から排出された粉粒体は、粉粒体移送部32上にて遠心力により大径側に移動しつつ、一様な薄い層状となる。そして、光センサー部15と同様な光センサー部33により粉粒体における上記小比重異物を除く異物の有無の検出が行われ、粉粒体移送部32の大径側の図示しない周縁部にて、この異物が検出された場合と検出されていない場合に粉粒体の回収経路の切り換えがなされることにより異物と粉粒体との選別がなされるようになっている。
【0022】
なお、上記実施形態では、反射型の光センサー部15,44を示したが、本発明はこれに限るものでなく、反射型に代えて透過型の光センサー部を用いた装置をも含むものである。また、吸引部13の吸引口27は、回転容器12の上方にて、径方向にできるだけ広い範囲にわたって位置することが好ましい。さらに、供給部11の断面形状は円形に限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、例えば顆粒剤に混入している異物や毛髪等を取り除くための顆粒剤検査システムに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る粉粒体における小比重異物除去装置の概略を示す断面図である。
【図2】図1に示す小比重異物除去装置の一部断面で示す平面図である。
【図3】図1に示す小比重異物除去装置の粉粒体選別装置への適用例の概略を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 小比重異物除去装置
2 粉粒体選別装置
11 供給部
12 回転容器
13 吸引部
14 回収部
15 光センサー部
21 供給口
22 回転軸
23 タイミングベルト
24 プーリ
25 円錐体
26 吸引ダクト
27 吸引口
31 排出口
32 粉粒体移送部
33 光センサー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部に供給口を有し、粉粒体を上方から下方に供給する供給部と、
垂直方向の軸心を中心として回転可能に設けられ、上記供給部から供給された粉粒体を遠心力により大径側に移動させる凹型の回転容器と、
上記回転容器の内周面の上方の近接位置に吸引口を有する吸引部と、
上記回転容器の最上縁を包囲する形状を有し、遠心力により上記回転容器の最上縁を超えて、その外側に放出される粉粒体に対して受け取り可能に形成された回収部とを備えたことを特徴とする粉粒体における小比重異物除去装置。
【請求項2】
上記回転容器上の粉粒体に光を照射する投光部、及び、この投光部から粉粒体を経た光を受け、電気信号に変換する受光部、及び、この電気信号から粉粒体中に毛髪、繊維を含む小比重異物が混入しているか否か監視する光センサー部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の粉粒体における小比重異物除去装置。
【請求項3】
上記回転容器上の粉粒体に光を照射する投光部、及び、この投光部から粉粒体を経た光を受け、電気信号に変換する受光部、及び、この電気信号から粉粒体中に毛髪、繊維を含む小比重異物が混入しているか否か判断し、この小比重異物が混入している場合には上記吸引部を作動させる光センサー部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の粉粒体における小比重異物除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−75790(P2006−75790A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265162(P2004−265162)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(395005491)五大エンボディ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】