説明

粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置及びその調整法

【課題】 本発明は簡単な構造で粉粒体原料の供給能力の調節が可能な粉粒体供給機を得ることを目的とするものである。
【解決手段】 機枠1に共通直立中心線c上に固定した粉粒体原料投入用上下端開口円形内筒の外側に円環状間隙(通路)8を介して外筒7を固定し、上記外筒7の下端に摺接した水平回転テーブル4と上記内筒6の下端との間に、原料流出間隙tを開設し、かつ上記外筒7に排出口10を形成し、かつ上記内筒6から上記円環状間隙(通路)8を経て上記排出口10に向う排出スクレーパ10’を設けてなる粉粒体供給機において、上記排出スクレーパの位置を調節自在に形成し、上記円環状間隙における上記回転テーブルから上記排出口に案内される粉粒体原料の供給量を調節自在に形成してなる粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置により構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉粒体原料等を定量供給可能な粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置及びその調整法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機枠に台盤を設け、台盤の中心部に直立回動軸を設け、該回動軸の上端部に水平回転テーブルを設け、台盤の外周に直立円筒を立設し、直立円筒の上端にドーナツ形水平円板の外周を接続し、該水平円板の内周に粉粒体原料投入用内筒を固定し、該内筒の下端と上記回転テーブルの上面との間に材料排出間隙を介設し、上記直立円筒の内側に外筒を固定し、該外筒の下端を上記回転テーブルの上面に摺接して内外筒間に粉粒体通路を形成し、かつ該回転テーブルの上面に摺接し両端部を内筒の内面に固定した案内スクレーパを設け、上記通路の外側に面した下向供給口(排出口)を設け、該通路に上記供給口(排出口)に向う排出スクレーパを設けた(特許文献1)。
【0003】
さらに、上記固定案内スクレーパの中央上部に水平回転テーブルと連動して回転する回転羽根を設け、かつ水平回転テーブルに固結粉体解砕用突起を設けた(特許文献1)。
【0004】
上記粉粒体通路内の水平回転テーブル上には内筒内部から材料排出間隙を経て粉粒原料βが安息角αを形成して、内外筒間の粉粒体通路内に定量排出されるものである。そして、該通路内の粉粒原料は上記回転テーブルによって回動し、排出スクレーパによって下向供給口(排出口)に定量供給された。
【0005】
しかし、上記粉粒体通路に上記下向供給口(排出口)の下流側端部から排出スクレーパを上流側の内筒の外面に向かって上記通路を斜めによぎって固定して設けたため、上記通路から上記供給口に進入する粉粒体の定量投入には適しているが、投入量の変更及び調整を行うため、直立回転軸及び水平回転テーブルの回転速度を変更調整する必要があり、又粉粒体通路の拡幅や、上記内外筒及び回転テーブルの径の拡大縮小等の装置を抜本的に改造しなければならないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4278784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は簡単な構造で粉粒体原料の供給能力の調節が可能な粉粒体供給機の粉粒体供給量調整装置及びその調整法を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため本発明は
【0009】
第1に機枠に台盤を設け、台盤の中心部に直立回動軸を設け、該回動軸の上端部に水平回転テーブルを設け、台盤の外周に直立円筒を立設し、直立円筒の上端にドーナツ形水平円板の外周を接続し、該水平円板の内周に内筒を設け、該内筒の下端と上記回転テーブルの上面との間に材料排出間隙を介設し、上記直立円筒の内側に外筒を設け、外筒の下端を上記回転テーブルの上面に摺接して内外筒間に粉粒体通路を形成し、かつ該回転テーブルの上面に摺接し両端部を内筒の内面に固定した案内スクレーパを設け、上記通路に面した排出口を設けると共に、該排出口の下流側に上記粉粒体通路を進行してくる粉粒体を上記排出口に案内する誘導面を有する排出スクレーパを設けてなる粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置において、上記排出スクレーパは上記内筒の外面の上流側から上記排出口の下流側にかけて上記誘導面が上記粉粒体通路を横切るように設置し、上記排出スクレーパの上記粉粒体に対する上記誘導面の位置を変更することにより、上記誘導面によって上記排出口側に誘導される粉粒体の供給量を調整し得るように構成したものであることを特徴とする粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置により構成される。
【0010】
上記排出スクレーパの上記粉粒体に対する上記誘導面の位置の変更は、例えば排出スクレーパの開き角度(傾斜角度)の調整(例えば図1、図3、図10、図11)、排出スクレーパの上下高さの調整(例えば図5、図6、図7、図8)、排出スクレーパの長手方向への摺動(例えば図9、図12)等により行うことができる。従って、このような排出スクレーパの上記誘導面の位置に変更により排出口に案内される粉粒体の供給量の調整を行うことができる。
【0011】
第2に上記排出スクレーパの上記粉粒体に対する上記誘導面の位置の変更は、上記排出スクレーパの全部又は一部の高さ水準を調節自在に構成することにより行うものである上記第1発明記載の粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置により構成される。
【0012】
例えば排出スクレーパの高さを上昇してその下縁を粉粒体通路上面より上昇させることにより、排出口に誘導される粉粒体の供給量を減少させることができる(例えば図5、図6、図7、図8)。排出スクレーパ(10’)の一部とは、例えば図7、図8における排出スクレーパ10’の先端部10”をいう。
【0013】
第3に上記排出口に対応する上記内筒の下端に切欠部を設け、上記排出スクレーパの上記粉粒体に対する上記誘導面の位置の変更は、上記排出スクレーパの先端部を上記切欠部から上記内筒の内外に出入調節可能とすることにより行うものである上記第1発明記載の粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置により構成される。
【0014】
例えば排出スクレーパの先端部を上記内筒の内部に侵入させることにより、排出口に誘導される粉粒体の供給量を増加させることができる(例えば図1、図3、図9、図10、図11、図12参照)。この場合、排出スクレーパ(10’)の全部を動かしてその先端部(10”)を上記内筒の内外に出入させても良いし(図1、図3、図9、図10参照)、排出スクレーパ(10’)の先端部(10”)のみを別体として、当該先端部のみを動かして該先端部のみを上記内筒の内外に出入させても良い(図11、図12参照)。
【0015】
第4に上記排出スクレーパの上記粉粒体に対する上記誘導面の位置の変更は、上記排出スクレーパを長手方向に正逆摺動調節自在とすることにより行うものである上記第1又は第3発明記載の粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置により構成される。
【0016】
例えば、排出スクレーパを長手方向に摺動させてその端部を内筒の内部に侵入させることにより、排出口に誘導される粉粒体の供給量を増加させることができる(例えば図9、図12)。この場合、排出スクレーパ(10’)の全部を動かしてその先端部(10”)を上記内筒の内外に出入させても良いし(図9参照)、排出スクレーパ(10’)の先端部(10”)のみを別体として、当該先端部のみを動かして該先端部のみを上記内筒の内外に出入させても良い(図12参照)。
【0017】
第5に上記排出スクレーパの上記粉粒体に対する上記誘導面の位置の変更は、上記排出スクレーパの上記粉粒体通路における傾斜角度を調節自在とすることにより行うものである上記第1又は第3発明記載の粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置により構成される。
【0018】
例えば、排出スクレーパの傾斜角度を変更することにより、例えば上記粉粒体の排出口への通路間隔を狭くして粉粒体の供給量を減少させることができる(例えば図1、図3、図10、図11)。この場合、上記と同様に、排出スクレーパ(10’)の全部を動かしてその先端部(10”)を上記内筒の内外に出入させても良いし(図1、図3、図10参照)、排出スクレーパ(10’)の先端部(10”)のみを別体として、当該先端部のみを動かして該先端部のみを上記内筒の内外に出入させても良い(図11参照)。
【0019】
第6に機枠に台盤を設け、台盤の中心部に直立回動軸を設け、該回動軸の上端部に水平回転テーブルを設け、台盤の外周に直立円筒を立設し、直立円筒の上端にドーナツ形水平円板の外周を接続し、該水平円板の内周に内筒を設け、該内筒の下端と上記回転テーブルの上面との間に材料排出間隙を介設し、上記直立円筒の内側に外筒を設け、外筒の下端を上記回転テーブルの上面に摺接して内外筒間に粉粒体通路を形成し、かつ該回転テーブルの上面に摺接し両端部を内筒の内面に固定した案内スクレーパを設け、上記通路に面した排出口を設けると共に、該排出口の下流側に上記粉粒体通路を進行してくる粉粒体を上記排出口に案内する誘導面を有する排出スクレーパを設け、上記誘導面により上記粉粒体を上記排出口に誘導案内する粉粒体供給機における粉粒体供給量調整法において、上記排出スクレーパは上記内筒の外面の上流側から上記排出口の下流側にかけて上記誘導面が上記粉粒体通路を横切るように設置し、上記排出スクレーパの上記粉粒体に対する上記誘導面の位置を変更することにより、上記誘導面によって上記排出口側に誘導される粉粒体の供給量を調整することを特徴とする粉粒体供給機における粉粒体供給量調整法により構成される。
【0020】
上記排出スクレーパの上記粉粒体に対する上記誘導面の位置の変更は、例えば排出スクレーパの傾斜角度の調整動作、排出スクレーパの上下高さの調整動作、排出スクレーパの長さ方向への摺動動作等により行うことができる。このような調整法によると排出スクレーパの動作調整のみで排出口に案内される粉粒体の供給量の調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、排出スクレーパの動作、態様を変更してその誘導面の位置を変更することにより、水平回転テーブルの回転速度の調整、流量調整リングによる調整等を行うことなく、排出スクレーパの調整のみで簡易に粉粒体の排出口からの供給量の調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】シリンダーによる回動調節自在の排出スクレーパを備えた粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線による正面図である。
【図3】手動による回動調節自在の排出スクレーパを備えた同上粉粒体供給量調整装置を示す平面図である。
【図4】図3のB−B線による正面図である。
【図5】手動による昇降自在の排出スクレーパを備えた同上粉粒体供給量調整装置の平面図である。
【図6】図5のC−C線による正面図である。
【図7】手動による一部昇降調整自在の排出スクレーパを備えた同上粉粒体供給量調整装置の平面図である。
【図8】図7のD−D線による正面図である。
【図9】原料案内スクレーパの先端部が内筒下縁切欠部から内筒内部に摺動した状態を示す同上粉粒体供給量調整装置の平面図である。
【図10】排出スクレーパの先端部を内筒下縁切欠部から内筒内部に回動した状態の同上粉粒体供給量調整装置を示す平面図である。
【図11】排出スクレーパの先端部のみを内筒下縁切欠部から内筒内部に回動した状態を示す同上粉粒体供給量調整装置の平面図である。
【図12】排出スクレーパの先端部のみを内筒下縁切欠部から内筒内部に摺動調整した状態を示す同上粉粒体供給量調整装置の平面図である。
【図13】図12のE−E線による正面図である。
【図14】従来の粉粒体供給機の平面図である。
【図15】図14のF−F線による正面図である。
【図16】図9のG−G線による正面図である。
【図17】図10のI−I線による正面図である。
【図18】図11のJ−J線による正面図である。
【図19】図12のK−K線による正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、図14及び図15に示す従来の水平回転テーブルを有する粉粒体供給機(ディスクフィーダ)を説明する。これらの図において、機枠1に台盤2を設け、台盤2の下面に、中心軸線c上に直立回動軸3を有する原動機3’を設け、直立回動軸3の上端に水平回転テーブル4を設け、その外周下面の支持具2’を上記台盤2の外周上面に回動自在に摺接支持する。
【0024】
上記台盤2上の上記支持具2’側の外側突出部には図14、図15に示すように外郭円筒(直立円筒)5の下端を支持し、該円筒5の上端に円環状水平隔板(ドーナツ形水平円板)5’の外周を接続し、該隔板5’の内周に粉粒体原料投入用上下端開口円形内筒(内筒)6の中程外周を接続し、該内筒6の下端と上記水平回転テーブル4の上面との間に粉粒原料流出間隙(材料排出間隙)tを開設する。
【0025】
そして、上記外郭円筒(直立円筒)5の内周(内側)には固定具5”によって円形外筒7を接続し、該外筒7の下端を上記回転テーブル4の上面に摺動自在に接し(摺接し)、上記上下端開口内筒6との間に円環状間隙(粉粒体通路)8を介在させ、該間隙8と上記粉粒体原料流出間隙tとを連通させることによって、上記円環状間隙8を粉粒体原料の環状流通路とすることができる。
【0026】
そして、上記外郭円筒5及び外筒7に開口部7’を設け、該開口部7’の外側にコ形直立板10aを設けて、上記開口部7’の外側(上記通路8の外周側)に面した下向の排出口10を開口形成し、上記外筒7から上記内筒6の間の上記間隙(通路)8をよぎって上記開口部7’及びコ形直立板10aによる排出口10の下流側端部から上流側の上記内筒6に向って水平方向に斜向する排出スクレーパ10’を設ける(図14)。9は案内スクレーパである。
【0027】
本発明に係る粉粒体供給機の粉粒体供給量調整装置及び調整法は、図14、図15に示す従来の水平回転テーブルを有する粉粒体供給機において、上記排出スクレーパ10’を各種の態様により調節可能とすることにより、排出口から供給される粉粒体の供給量を調節可能に構成したものである。次に、本発明に係る粉粒体供給機の粉粒体供給量調整装置及び粉粒体供給機の粉粒体供給量調整法を説明する。
【0028】
上記排出スクレーパ10’の基部は図1、図2に示すように排出口10の一側部(下流側端部)に枢支した直立回動軸11に設け、先端部10”を上記内筒6の下縁に形成した切欠部6’から該内筒6の内部に挿入し、上記間隙(粉粒体通路)8及び該内筒6内を矢印a方向(進行方向)に回動する粉粒体原料を上記スクレーパ10’の誘導面10b(粉粒体の進行方向aに対向する面)、先端部10”によって排出口10側に連続的に誘導案内し、上記粉粒体を上記排出口10から下方に落下させ、該排出口10の下方に設けた定量コンベヤ(図示していない)を経て目的の装置(図示していない)に定量供給することができる。図1、図2中12は上記回動軸11の動作腕、13は動作用油圧シリンダーである。上記切欠部6’は図2に示すように上記開口部7’に対応するように内筒6の周方向の一定範囲に設けられており、当該切欠部6’から上記先端部10”が出入可能に構成されている。
【0029】
図3、図4では手動による排出スクレーパ10’、誘導面10b及びその先端部10”を示し、14は回動軸11の動作腕、15は把持杆である。尚、図1、図3に示すように排出スクレーパ10’,10”を、上記シリンダー13の駆動又は手動により、実線位置から仮想線位置に矢印d,e方向に連続的に無段階に回動して排出口10の開口部7’を閉鎖することができる。また、排出スクレーパ10’を任意の位置で停止することにより、上記誘導面10bに当接しながら上記排出口10側に誘導される粉粒体の供給量を調整することができるものである。
【0030】
上記図1〜図4の排出スクレーパ10’はその内面10b’は上記外筒7の内周面と同じ曲率の円弧面に形成されており、全閉時(図1、図3の二点鎖線参照)は上記内面10b’が上記外筒7の内周面と面一となり粉粒体の流通を阻害しないように構成されている。
【0031】
即ち、図1〜図4の排出スクレーパ10’は、その誘導面10bにて上記円環状間隙8(粉粒体通路)を進行してくる粉粒体を上記間隙8の粉粒体を上記排出口10側に案内すべく、上記内筒6の外面の上流側L1から上記排出口10の下流側L2にかけて上記間隙8を上記排出口10側に傾斜状態で横切るように設けられている。従って、粉粒体の上記間隙8における排出間隔Hを、上記排出スクレーパ10’の上記粉粒体通路における傾斜角度θにより調節自在とした形態となっている。上記傾斜角度θは、上記排出スクレーパ10’の全閉位置(図1の二点鎖線位置)から全開位置(図1の実線位置)に向けての角度である。
【0032】
上記排出スクレーパ10’を例えば図1の位置Xに固定したとすると、排出間隔Hから上記排出スクレーパ10’の誘導面10bによって排出口10側に誘導案内される粉粒体と、上記誘導面10bによって誘導されることなく排出スクレーパ10’の内面10b’側を通過してく粉粒体に分離することができ、よって排出スクレーパ10’の上記傾斜角度θを増減調整することにより排出口に誘導し得る粉粒体の供給量を調整することができる。
【0033】
このように、上記排出スクレーパ10’は上記傾斜角度θを増減する方向(矢印d,e方向)に回動することにより、上記間隙8における粉粒体の排出間隔Hを増減し、上記粉粒体の排出口10からの供給量を調整することができる。勿論、上記排出スクレーパ10’の上記開き角度(傾斜角度)θを大きくすることにより供給量を増加させることができ、また、上記排出スクレーパ10’の先端部10”を上記切欠部6’から上記内筒6の内部に侵入させることにより、上記内筒6内部に位置する粉粒体をも上記排出口10に誘導することができ、該粉粒体の供給量をより増加させることができる。
【0034】
図5、図6は手動昇降自在の方形板状の上記排出スクレーパ10’を示し、16は該スクレーパ10’に設けた直立ボルト、17は円環状水平隔板5’に設けられ、上記ボルト16を螺入する雌ネジであって、上記スクレーパ10’を図6破線位置から実線位置に昇降調節するもので、上記間隙(通路)8内で上記回転テーブル4と上記スクレーパ10’との間を開口して、通路8内の粉粒体の流通量を調整し、上記排出口10へ誘導される粉粒体供給量を調整することができる。図5、図6の装置では上記内筒6の切欠部6’は存在しない。
【0035】
この排出スクレーパ10’は、上記円環状間隙8(粉粒体通路)を進行してくる粉粒体を誘導面10bによって排出口10側に案内するものであり、該誘導面10bは上記間隙8の粉粒体を上記排出口10側に案内すべく、上記内筒6の外面の上流側L1から上記排出口10の下流側L2かけて上記間隙8を上記排出口10側に傾斜状態で横切るように設けられている。
【0036】
そして、上記排出スクレーパ10’の位置を破線位置(排出スクレーパ10’の下縁10cが回転テーブル4上面に位置している位置)から実線位置(排出スクレーパ10’の下縁10cが回転テーブル4上面から上昇し、上記下縁10cと上記上面との間に間隙Sが生じている位置)に上昇させると、上記間隙Sを介して排出口10に誘導されない粉粒体、即ち上記誘導面10bにより堰き止められずに排出スクレーパ10’を通過する粉粒体が生じるので、粉粒体の排出量を減少させることができる。
【0037】
図7、図8では、排出スクレーパ10’の先端に該スクレーパ10’とは別体の排出スクレーパの先端部10”(小型の方形板状)を設け、上記排出スクレーパ10’の上記先端部10”のみ昇降調整し、上昇させた先端部10”の下縁10c’と上記テーブル4との間隙Sを粉粒体を通過させ、供給量を調整することができる。尚、図7、図8の装置では上記内筒6の切欠部6’は存在しない。図7、図8において、16は該スクレーパ10’の先端部10”に設けた直立ボルト、17は円環状水平隔板5’に設けられ、上記ボルト16を螺入する雌ネジであって、上記先端部10”を図8破線位置から実線位置に昇降調節するもので、上記間隙(通路)8内で上記回転テーブル4と上記先端部10”との間を開口して、通路8内の粉粒体の流通量を調整し、上記排出口10へ誘導される粉粒体供給量を調整するものである。
【0038】
即ち、図7、8の排出スクレーパ10’は、上記円環状間隙8(粉粒体通路)を進行してくる粉粒体を誘導面10b,10bによって上記排出口10側に案内すべく、上記内筒6の外面の上流側L1から上記排出口10の下流側L2かけて上記間隙8を上記排出口10側に傾斜状態で横切るように設けられている。
【0039】
この構成では、図5、図6と同様に、上記排出スクレーパ(先端部)10”の位置を破線位置(排出スクレーパ(先端部)10”の下縁10c’が回転テーブル4上面に位置している位置)から実線位置(排出スクレーパ(先端部)10”の下縁10c’が回転テーブル4上面から上昇し、上記下縁10c’と上記上面との間に間隙Sが生じている位置)に上昇させると、上記間隙Sを介して排出口10に誘導されない粉粒体、即ち上記誘導面10bにより堰き止められずに排出スクレーパ10’を通過する粉粒体が生じるので、粉粒体の排出量を減少させることができる。この構成では、上記図5の事例と異なり、昇降調整範囲が上記排出スクレーパ10’の一部(先端部10”)のみなので、粉粒体の供給量の微調整が可能となる。
【0040】
図9では、方形板状の上記排出スクレーパ10’を矢印b方向(長手方向)に締付ネジ18を緩めることによって、案内ガイド19内を正逆摺動し、先端部10”を内筒6の下縁切欠部6’の内外に配置することができる(図9のG−G線の正面図である図16参照)。又、図10では直立回動軸11を中心に方形板状の上記排出スクレーパ10’を回動調整して、内筒6内の粉粒体を内筒6の下縁切欠部6’から上記間隙8内に誘導し、又は先端部10”を上記間隙8側に移動して上記排出口10内に原料粉粒体の流入供給量を増減調整することができる(図10のI−I線の正面図である図17参照)。尚、図9、図10の装置では図16、図17に示すように上記内筒6の周方向の一定範囲に切欠部6’が設けられている。
【0041】
この排出スクレーパ10’は、上記円環状間隙8(粉粒体通路)を進行してくる粉粒体を誘導面10bによって上記排出口10側に案内すべく、上記内筒6の外面の上流側L1から上記排出口10の下流側L2かけて上記間隙8を上記排出口10側に傾斜状態で横切るように設けられている。
【0042】
そして図9の構成では(図16参照)、上記排出スクレーパ10’をその長手方向に摺動調整することにより、その先端部10”を内筒6の内部に侵入させることにより、内筒6内の粉粒体をも誘導面10bによって排出口10に誘導することが可能となり、粉粒体の供給量を増加させることができる。図10(図17参照)の事例も同様であり、排出スクレーパ10’をその直立回動軸11を中心として回動し、その開き角度(傾斜角度)θを増加させ、先端部10”を上記内筒6内に進入させることにより、内筒6内の粉粒体をも誘導面10bによって排出口10に誘導することが可能となり、粉粒体の供給量を増加させることができる。このように排出スクレーパ10’の先端部10”を内筒6内に侵入させることにより、内筒6内に位置する粉粒体をも上記誘導面10bによって上記間隙8に誘導して排出することができるため、上記排出口10に誘導し得る粉粒体の量を増加することができる。尚、上記傾斜角度θは、図10の排出スクレーパ10’の先端部10”が内筒6の外周に位置する実線位置からその先端部10”が内筒6の内側に入った破線位置への角度である。
【0043】
図11、図12、図13では、方形板状の上記排出スクレーパ10’の先端に該スクレーパ10’とは別体の排出スクレーパの先端部10”(小型の方形板状)を設け、上記排出スクレーパ10’の先端部10”のみを上記下縁切欠部6’から内筒6内外に回動又は摺動させて、内筒6内の粉粒体を誘導面10bによって上記間隙8内に誘導し、又は間隙8内の粉粒体の一部を上記排出口10側に誘導することができる(図11のJ−J線の正面図である図18、図12のK−K線の正面図である図19参照)。これら図11、図12の装置では図18、図19に示すように上記内筒6の周方向の一定範囲に切欠部6’が設けられている。尚、図12、図13、図19中18’は先端部10”を排出スクレーパ10’の端部に取り付けるための締付ネジ、18”は締付ネジ18’の締付用長孔であり、上記先端部10”は上記長孔18”の範囲で矢印b方向に摺動可能である。
【0044】
図11〜図13の構成の排出スクレーパ10’も基本的には、上記円環状間隙8(粉粒体通路)を進行してくる粉粒体を誘導面10bによって上記排出口10側に案内すべく、上記内筒6の外面の上流側L1から上記排出口10の下流側L2かけて上記間隙8を上記排出口10側に傾斜状態で横切るように設けられている。そして、上記排出スクレーパ10’の先端部10”のみを回動又は摺動させることにより、粉粒体の供給量を調整することができる。図11の装置では、直立回動軸11’を排出スクレーパ10’の内筒6側端部に設け、当該回動軸11’から上記切欠部6’を介して内筒6の内外に回動し得る排出スクレーパ10’の先端部10”を設けている。図12、図13の装置では、上記締付ネジ18’を緩め、先端部10”を上記長孔18”に沿って、内筒6の内外に、排出スクレーパ10’の長手方向(矢印b方向)に、正逆摺動調節し得るように構成している。尚、調整後、上記締付ネジ18’を締め付けて先端部10”を固定する。
【0045】
さらに、図1及び図3に示すように上記内筒6の中心軸線c上に固定した上記原料誘導スクレーパ(案内スクレーパ)9の中心部に直立回動軸3の上端ボス3”を突出し、該ボス3”に4個の回転羽根20を設け、内筒6内の原料粉粒体を水平回転テーブル4と共に矢印a方向に回動させることができ、勿論、回動する原料粉粒体は内筒6に固定した誘導スクレーパ9,9に沿って上記流出間隙tから円環状間隙(通路)8内に誘導され、さらに該間隙(通路)8に入って、水平回転テーブル4上を矢印a方向に回動するものであり、さらに上記スクレーパ10’によって上記排出口10から調整した供給量が機外に排出される。
【0046】
本発明は以上のように、排出スクレーパ10’の上記粉粒体に対する誘導面の位置を変更することにより、水平回転テーブル4の回転速度の調整、流量調整リングによる調整等を行うことなく、排出スクレーパ10’の位置調整のみで簡易に粉粒体の排出口10からの供給量の調整を行うことができる。
【0047】
また、本発明の排出スクレーパ10’の上記粉粒体に対する誘導面の位置の変更に、例えば水平回転テーブル4の回転速度の調整、流量調整リングによる調整等を組み合わせることにより、排出スクレーパ10’のみの調整の場合に比較して、より幅の広い粉粒体の供給量の調整を行うことが可能となる。
【0048】
本発明では、このように直立回転軸及び水平回転テーブルの回転速度の調整、上記内外筒の径の調整及び上記粉粒体通路の幅及び粉粒体原料流出間隙の高さ等を変更調整する必要がなく、内筒6の外周面から横向供給口(排出口10)に向う排出スクレーパ10’の態様、即ち該スクレーパ10’の位置を昇降、長手方向への摺動及び上記排出スクレーパ10’の基部を中心とする方向角度調整、即ち該スクレーパ10’の態様又は形態を変更調整するのみで、簡便に粉粒体原料の上記排出口10からの供給量を増加又は減少調節し得て、上記ディスクフィーダの抜本的サイズ変更、即ち機体全体の寸法変更を必要としない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
上記内筒6の外側に設けた円環状間隙(通路)8内には粉粒原料βが安息角αを形成して、上記流出間隙tから定量流入し(図6、図15)上記回転テーブル4によって上記間隙(通路)8内を矢印a方向に定量回動し、上記排出スクレーパ10’の上記昇降量(図5〜8)、上記摺動量(図9)及び上記回動量(図1〜図4、図10)の調節又は調整によって必要量の原料粉粒体を排出口10から定量排出し、次工程に定量供給することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 機枠
2 台盤
3 直立回転軸
4 水平回転テーブル
5 外郭円筒(直立円筒)
5’ 円環状水平隔板(ドーナツ形水平円板)
c 共通直立中心線(中心軸線)
6 粉粒体原料投入用上下端開口円形内筒(内筒)
6’ 切欠部
7 外筒
8 円環状間隙(粉粒体通路)
9 案内スクレーパ
β 粉粒原料
10 排出口
10b 誘導面
10’ 排出スクレーパ
10” 上記排出スクレーパの先端部
10a コ形直立板
t 材料排出間隙
θ 傾斜角度
L1 上流側
L2 下流側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠に台盤を設け、台盤の中心部に直立回動軸を設け、該回動軸の上端部に水平回転テーブルを設け、台盤の外周に直立円筒を立設し、直立円筒の上端にドーナツ形水平円板の外周を接続し、該水平円板の内周に内筒を設け、該内筒の下端と上記回転テーブルの上面との間に材料排出間隙を介設し、上記直立円筒の内側に外筒を設け、外筒の下端を上記回転テーブルの上面に摺接して内外筒間に粉粒体通路を形成し、かつ該回転テーブルの上面に摺接し両端部を内筒の内面に固定した案内スクレーパを設け、上記通路に面した排出口を設けると共に、該排出口の下流側に上記粉粒体通路を進行してくる粉粒体を上記排出口に案内する誘導面を有する排出スクレーパを設けてなる粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置において、
上記排出スクレーパは上記内筒の外面の上流側から上記排出口の下流側にかけて上記誘導面が上記粉粒体通路を横切るように設置し、
上記排出スクレーパの上記粉粒体に対する上記誘導面の位置を変更することにより、上記誘導面によって上記排出口側に誘導される粉粒体の供給量を調整し得るように構成したものであることを特徴とする粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置。
【請求項2】
上記排出スクレーパの上記粉粒体に対する上記誘導面の位置の変更は、上記排出スクレーパの全部又は一部の高さ水準を調節自在に構成することにより行うものである請求項1記載の粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置。
【請求項3】
上記排出口に対応する上記内筒の下端に切欠部を設け、上記排出スクレーパの上記粉粒体に対する上記誘導面の位置の変更は、上記排出スクレーパの先端部を上記切欠部から上記内筒の内外に出入調節可能とすることにより行うものである請求項1記載の粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置。
【請求項4】
上記排出スクレーパの上記粉粒体に対する上記誘導面の位置の変更は、上記排出スクレーパを長手方向に正逆摺動調節自在とすることにより行うものである請求項1又は3記載の粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置。
【請求項5】
上記排出スクレーパの上記粉粒体に対する上記誘導面の位置の変更は、上記排出スクレーパの上記粉粒体通路における傾斜角度を調節自在とすることにより行うものである請求項1又は3記載の粉粒体供給機における粉粒体供給量調整装置。
【請求項6】
機枠に台盤を設け、台盤の中心部に直立回動軸を設け、該回動軸の上端部に水平回転テーブルを設け、台盤の外周に直立円筒を立設し、直立円筒の上端にドーナツ形水平円板の外周を接続し、該水平円板の内周に内筒を設け、該内筒の下端と上記回転テーブルの上面との間に材料排出間隙を介設し、上記直立円筒の内側に外筒を設け、外筒の下端を上記回転テーブルの上面に摺接して内外筒間に粉粒体通路を形成し、かつ該回転テーブルの上面に摺接し両端部を内筒の内面に固定した案内スクレーパを設け、上記通路に面した排出口を設けると共に、該排出口の下流側に上記粉粒体通路を進行してくる粉粒体を上記排出口に案内する誘導面を有する排出スクレーパを設け、上記誘導面により上記粉粒体を上記排出口に誘導案内する粉粒体供給機における粉粒体供給量調整法において、
上記排出スクレーパは上記内筒の外面の上流側から上記排出口の下流側にかけて上記誘導面が上記粉粒体通路を横切るように設置し、
上記排出スクレーパの上記粉粒体に対する上記誘導面の位置を変更することにより、上記誘導面によって上記排出口側に誘導される粉粒体の供給量を調整することを特徴とする粉粒体供給機における粉粒体供給量調整法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−1368(P2012−1368A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95851(P2011−95851)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(592096111)株式会社ヨシカワ (19)
【Fターム(参考)】