説明

粉粒体排出検出装置及び粉粒体貯蔵設備

【課題】貯槽に取付け可能で貯槽からの粉粒体の排出状態を精度よく検出可能な粉粒体排出検出装置及び粉粒体貯蔵設備を提供する。
【解決手段】該貯槽2の壁面に一対の開口部11a、11bを対向するように設け、開口部11a、11bを覆い水平で一対の管体6a、6bの軸線が一直線上となるように管体6a、6bの一端を各々該貯槽2の壁面に取付け、各々の管体6a、6bの他端に対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチ3の送波器4及び受波器5を取付け、各開口部11a、11bを塞ぐように各管体6a、6bに取付ける開口部閉塞体8a、8bを、マイクロ波が透過可能で摩擦摩耗特性に優れた材料で形成し、該開口部閉塞体8a、8bを該貯槽2の内壁面19a、19bと面一となるように取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕された石炭、焼却灰など粉粒体を貯蔵する貯槽から正常に粉粒体が排出しているか否かを検出する粉粒体排出検出装置に関し、特に粉粒体の排出の検出を、対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチを用いて行う粉粒体排出検出装置、及びこの粉粒体排出検出装置を備える粉粒体貯蔵設備に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体を貯蔵する貯槽は、バンカ、サイロなどの名称で呼ばれ、石炭焚き火力発電所では、石炭を貯蔵する石炭バンカ、石炭を燃焼させた後に排出される石炭灰を貯槽する粗粉サイロ、細粉サイロなどの貯灰サイロ、燃焼排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去するために使用される石灰石を貯蔵する石灰石サイロなどが使用されている。一般的に、貯槽は円筒体又は角筒体とこれらの下部に配設された逆円錐形状又は逆多角誰形状のホッパとからなる。ホッパの先端には配管、又は粉粒体切出し装置が接続され、貯槽内に貯蔵された粉粒体は、これらを介して他の機器、場所に送られる。例えば、微粉炭燃焼ボイラ用の石炭を貯槽する石炭バンカにあっては、貯炭場から送られる石炭、又は貯炭場から送られる石炭を粗粉砕した石炭を貯蔵する石炭バンカの出口部に給炭機を配設し、給炭機を介して石炭を微粉砕するミルに送り、ここで微粉砕した石炭を微粉炭燃焼ボイラに空気輸送している。
【0003】
ところで貯槽内に貯槽された粉粒体は、貯槽内で圧密され、粉粒体を排出する際ホッパ部でブリッジが発生し、これが原因で粉粒体が排出口から排出しなくなることはよく知られており、これに対する対策がいくつか提案されている。また、貯槽内でブリッジが発生すると、貯槽から粉粒体が排出されなくなるため、必要に応じて後流に配設された機器を停止等する操作が必要となる。ブリッジ以外の理由、たとえば異物の混入による閉塞、又は貯槽内に粉粒体が無く後流側の機器に粉粒体が供給されなくなる場合も、必要に応じて後流の機器を停止等する操作が必要となる。このため貯槽内からの粉粒体の排出状況を検出する技術も提案されている。
【0004】
ブリッジの解消方法として、バイブレータを貯槽の壁面に取付け振動を与える方法があるが、この方法は、ブリッジの解消に必要な大きな振動を与えることが困難であるとして、粉体貯蔵サイロ内に撹拌部材を設置し、撹拌部材を回転させることでブリッジを解消する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、截頭錐体を有する粉粒体貯槽を二重にすることで、粉粒体の堆積によって生じる内部応力を分散し、ブリッジの発生を防止する技術も提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
貯槽内からの粉粒体の排出状況を検出する技術には、静電容量式検出器又は音響式検出器を用いる方法がある。例えば、石炭バンカの下部に配設されたシュート部に静電容量式検出器又は音響式検出器を取付け、これを用いて石炭の排出状態を確認する。しかし静電容量式検出器では、検出端子部に石炭が固着していれば石炭の詰まりはないと誤認識し、音響式検出器は、石炭がシュート部を通過する音をマイクロホンで収集するので、ある音圧レベル以上の音があれば、シュート部を石炭が通過していると認識してしまうと言う問題が指摘されている。石炭の供給をより確実に検出する方法として、給炭機の後流側に監視カメラを設置し、このカメラが撮像する信号を画像処理し、石炭の搬送の有無を検出する方法も提案されている(例えば特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2005−29202号公報
【特許文献2】特開2002−145385号公報
【特許文献3】特開平10−61937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、ブリッジの発生の抑制に有用な技術と思われるが、これら技術も完全なものではなく、貯槽の大きさ、形状、貯蔵する粉粒体の性状などによっては、貯槽内でブリッジが発生してしまう。よって、貯槽から排出される粉粒体の状態を検出する必要があるが、上記の特許文献3に記載の技術は、給炭機の後流側に監視カメラを設置し、このカメラが撮像する信号を画像処理し、石炭の搬送の有無を検出するので、貯槽の下部に直接配管を配設して、粉粒体を輸送するような場合には適用することはできない。また、カメラの設置場所に制限があるような場合には、粉粒体の排出、供給状態を適切に検出することができず、レンズの汚れによる誤認も懸念される。また、設備が大がかりとなり、設備費も安価とは言えない。特許文献3の技術も含め、液体の場合とは異なり、貯槽から粉粒体が正常に排出されているか否かを適切に検出する技術は十分に確立されているとは言えず、これら技術の開発が待たれている。
【0007】
本発明の目的は、貯槽に取付け可能で貯槽からの粉粒体の排出状態を精度よく検出可能な粉粒体排出検出装置及び粉粒体貯蔵設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、粉粒体を貯蔵する貯槽に取付け、該貯槽からの該粉粒体の排出状態を検出する対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチを用いた粉粒体排出検出装置であって、
該貯槽の壁面に一対の開口部を対向するように設け、開口部を覆い水平で一対の管体の軸線が一直線上となるように管体の一端を各々該貯槽の壁面に取付け、各々の管体の他端に対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチの送波器及び受波器を取付け、各開口部を塞ぐように各管体に取付ける開口部閉塞体を、マイクロ波が透過可能で摩擦摩耗特性に優れた材料で形成し、該開口部閉塞体を該貯槽の内壁面と面一となるように取付けることを特徴とする粉粒体排出検出装置である。
【0009】
本発明は、前記開口部閉塞体を、開口部を塞ぐ閉塞体と該閉塞体を支持する支持体とで形成し、該閉塞体をマイクロ波が透過可能で摩擦摩耗特性に優れた材料で形成することを特徴とする請求項1に記載の粉粒体排出検出装置である。
【0010】
また本発明で、前記摩擦摩耗特性に優れた材料は、四フッ化エチレン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉粒体排出検出装置である。
【0011】
また本発明で、前記開口部は、逆円錐形状又は逆多角誰形状のホッパ部を出口に有する前記貯槽の該ホッパ部に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の粉粒体排出検出装置である。
【0012】
また本発明で、前記粉粒体は、粗粉砕された石炭であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載の粉粒体排出検出装置である。
【0013】
また本発明は、前記請求項1から5のいずれか1に記載の粉粒体排出検出装置と、
粉粒体を貯蔵する貯槽と、
を含むことを特徴とする粉粒体貯蔵設備である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粉粒体排出検出装置は、貯槽の壁面に一対の開口部を対向するように設け、開口部を覆い水平で一対の管体の軸線が一直線上となるように管体の一端を各々貯槽の壁面に取付け、各々の管体の他端に対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチの送波器及び受波器を取付け、各開口部を塞ぐようにマイクロ波が透過可能な開口部閉塞体を各管体に取付けるので、対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチを貯槽に取付けても管体内に粉粒体が入り込むことがない。これにより貯槽からの粉粒体の排出状態を精度よく検出することができる。また、貯槽内でのブリッジの発生も容易に検出することができる。さらに開口部閉塞体を貯槽の内壁面と面一となるように管体に取付けるので、開口部閉塞体の前面に粉粒体が堆積することがなく、粉粒体の排出状態の誤認を防止することができる。
【0015】
また本発明の粉粒体排出検出装置は、開口部を塞ぐように管体に取付ける開口部閉塞体をマイクロ波が透過可能で摩擦摩耗特性に優れた材料で形成するので、開口部閉塞体が粉粒体と接触しても磨耗しにくい。さらに摩擦特性に優れているので摩擦による静電気の発生が抑制される。これらのことから、開口部閉塞体の前面に粉粒体が堆積することがなく、より精度よく貯槽からの粉粒体の排出状態を検出することができる。
【0016】
また本発明の粉粒体排出検出装置は、開口部閉塞体を、開口部を塞ぐ閉塞体と閉塞体を支持する支持体とで形成し、閉塞体をマイクロ波が透過可能で摩擦摩耗特性に優れた材料で形成するので、効率的であり、粉粒体排出検出装置をより安価に製造することができる。
【0017】
また本発明で、摩擦摩耗特性に優れた材料は、四フッ化エチレン樹脂であるので、摩擦係数が非常に小さく又耐摩耗性にも優れる。よって開口部閉塞体が粉粒体と接触しても磨耗しにくく、開口部閉塞体の前面に粉粒体が堆積することがなく、より精度よく貯槽からの粉粒体の排出状態を検出することができる。また、四フッ化エチレン樹脂は、マイクロ波を殆ど減衰することなく透過させることができるので、開口部閉塞体の材質として優れている。また、摩擦摩耗特性に優れた材料は、四フッ化エチレン樹脂であるので、安価に又容易に入手することができる。
【0018】
また本発明で、開口部は、逆円錐形状又は逆多角誰形状を有するホッパ部を出口に有する貯槽のホッパ部に設けられるので、サイロ、石炭バンカなどに容易に本発明を適用することができる。ブリッジは、ホッパ部で発生しやすいので、この部分に粉粒体排出検出装置を取付けることでブリッジの発生をより検出しやすくなる。ホッパ部に粉粒体排出検出装置を取付けると、垂直な壁面に取付ける場合と比較し、開口部を塞ぐように設けた開口部閉塞体と粉粒体との衝突、接触が多くなるが、本発明では、開口部閉塞体を摩擦摩耗特性に優れた材料で形成するので、開口部閉塞体が粉粒体と接触しても磨耗しにくく、開口部閉塞体の前面に粉粒体が堆積することがなく、より精度よく貯槽からの粉粒体の排出状態を検出することができる。
【0019】
また本発明で、粉粒体は、粗粉砕された石炭であるので粗粉砕された石炭を貯蔵する石炭バンカに本発明を適用することができる。粗粉砕された石炭は、角張った形状を有しているため材料を傷つけやすいが、本発明では、開口部閉塞体を摩擦摩耗特性に優れた材料で形成するので、開口部閉塞体が粉粒体と接触しても磨耗しにくく、開口部閉塞体の前面に粉粒体が堆積することがなく、より精度よく貯槽からの粉粒体の排出状態を検出することができる。
【0020】
また本発明は、上記の粉粒体排出検出装置と粉粒体を貯蔵する貯槽とを含む粉粒体貯蔵設備であるので、石炭バンカ、焼却灰サイロなどに本発明を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明の実施形態としての粉粒体排出検出装置1を石炭バンカ2に取付けた状態を示す部分断面図である。図2は、粉粒体排出検出装置1の粉粒体の排出検出原理を説明するための図であって、図2(a)は、石炭バンカ2から計量給炭機28に石炭が定常的に排出されている様子を示す図であり、図2(b)は、ホッパ部10にブッリジが発生している状態を示す図である。
【0022】
本実施形態に示す粉粒体排出検出装置1は、石炭の排出状態を検出する対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチ3と、対向型マクロウエーブ式レベルスイッチ3を構成する送波器4及び受波器5、送波器4及び受波器5を石炭バンカ2に取付けるための一対の管体6a、6b、管体6(6a、6b)内に取付け管体6内に石炭7が入り込むことを防止する開口部閉塞体8a、8bを主に構成される。
【0023】
石炭バンカ2は、粗粉砕された石炭7を受入れ貯蔵する貯槽であって、上部に円筒体(図示を省略)を下部に逆円錐形状のホッパ10を有する。ここに示す石炭バンカ2は、図示を省略した微粉炭燃焼ボイラへ微粉炭を供給するする設備の一部であって、石炭バンカ2から排出された石炭7は、ホッパ下部に配設される計量給炭機28を介して図示を省略した石炭微粉砕機へ送られ、ここで微粉炭となり最終的に微粉炭燃焼ボイラ(図示を省略)へ供給される。
【0024】
対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチ3は、送波器4と受波器5とを備え、送波器4から発射されるマイクロ波を受波器5で受信し、受波器5が受信するマイクロ波の大きさ、又は有無から送波器4と受波器5との間に測定対象物が存在するか否かを検出するもので、多くのメーカから市販されている。本発明で使用する対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチ3も特別のものではなく、市販されている対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチを使用することができる。
【0025】
対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチ3の送波器4及び受波器5は、管体6a、6bを介してホッパ部10に装着される。ホッパ部10の壁面に開口部11a、11bを穿設し、この開口部11a、11bを覆うように管体6a、6bの一端を固着する。開口部11a、11bを設けるのは、マイクロ波は、金属材料を透過することがでないことによる。管体6a、6bは、水平にまた一対の管体6a、6bが一直線上になるように壁面に固着する。管体6a、6bは、他端に、送波器4及び受波器5を固着するためのフランジ13a、13bを有する。送波器4及び受波器5も取付け用のフランジ部15、16を有するので、このフランジ部15、16を介して管体6a、6bに送波器4及び受波器5を固着する。
【0026】
送波器4及び受波器5は、管体6a、6bに取付け使用するが、この状態で使用すると、開口部11a、11bから管体6a、6bに石炭7が入り込む。管体6a、6bの内部に石炭7が入り込むと、対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチ3は、ホッパ部10に石炭7がないときもホッパ部10に石炭7があるとの信号を出力するため、誤認してしまう。これを防止するために管体6a、6bの内部に石炭7が入り込まないように、開口部11a、11bを閉塞するための開口部閉塞体8a、8bを管体6a、6bに取付ける。開口部閉塞体8a、8bは、開口部閉塞体8a、8bの端面17a、17bがホッパ10の内壁面19a、19bと面一となるように取付ける。
【0027】
開口部閉塞体8a、8bの端面17a、17bとホッパ10の内壁面19a、19bとに段差があると、この段差部に石炭7が堆積してしまい、対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチ3が常時ホッパ部10に石炭7があるとの信号を出力するため、誤認してしまう。これを防止するために開口部閉塞体8a、8bの端面17a、17bがホッパ10の内壁面19a、19bと面一となるように取付ける。
【0028】
また、開口部閉塞体8a、8bは、マイクロ波を透過する材料であることが必要であるとともに、耐摩耗性に優れた材料で形成する。開口部閉塞体8a、8bを耐摩耗性に優れた材料で形成しないと、石炭7が開口部閉塞体8a、8bに接触し、開口部閉塞体8a、8bの表面を傷つけ、又は開口部閉塞体8a、8bを磨耗させてしまう。その結果、開口部閉塞体8a、8bの前面部(端面部)17a、17bに石炭が堆積し、対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチ3は、ホッパ部10に石炭7があるとの信号を出力するため、誤認してしまう。これを防止する観点から、開口部閉塞体8a、8bは、耐摩耗性に優れた材料で形成する。
【0029】
また、開口部閉塞体8a、8bは、摩擦係数が小さい材料で形成することが好ましい。摩擦係数が小さい材料で開口部閉塞体8a、8bを形成することで、石炭の接触による磨耗を抑制することが可能となり、さらに静電気による開口部閉塞体8a、8bの端面17a、17bへの石炭粉の付着も抑制することができる。これより、石炭有無の検出精度が向上する。特に石炭バンカ2のように角張った材料を貯蔵、排出する貯槽にあっては、開口部閉塞体8a、8bが傷つき、磨耗しやすいので材料選定には注意が必要である。さらにホッパ部10のように、傾斜した壁面に開口部11a、11bを設け、この開口部11a、11bを塞ぐように開口部閉塞体8a、8bを取付ける場合は、垂直な壁面に開口部を設ける場合に比べ、開口部閉塞体8a、8bに多くの石炭7が接触するため、よりいっそう開口部閉塞体8a、8bが傷つき、磨耗しやすい。
【0030】
上記条件を備え、加工の容易性、材料費を考慮すれば、開口部閉塞体8a、8bの材料としては、四フッ化エチレン樹脂が好ましい。さらに、マイクロ波を大きく減衰させることなく透過させ、摩擦磨耗特性に優れた材料であるとともに、非帯電性に優れた材料であれば、静電気による開口部閉塞体8a、8bの端面17a、17bへの石炭粉の付着もさらに抑制されより好ましい。マイクロ波を透過させ、非帯電性に優れた材料としては、帯電防止剤を含有する合成樹脂が例示される。
【0031】
開口部閉塞体8a、8bの管体6a、6bへの取付けは、石炭7が管体6a、6b内に入り込まないように、又開口部閉塞体8a、8bの端面17a、17bがホッパ10の内壁面19a、19bと面一となるように取付けることが可能ならば、取付け方法は特に限定されない。よって、本実施形態に示すように、開口部閉塞体8a、8bの本体を管体6a、6bの内径とほぼ同じ大きさで形成し、前面部をホッパの形状に合わせ、後端にフラシジ部21a、21bを形成し、このフランジ部21a、21bを、管体6a、6bのフランジ13a、13bと送波器4及び受波器5のフランジ15、16とで挟み込むようにして固定してもよい。
【0032】
上記のように構成され、石炭バンカ2に取付けた石炭7の排出状態を検出する粉粒体排出検出装置1の対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチ3は、図示を省略した外部から電源の供給を受けて作動し、受波器5は送波器4から発射されるマイクロ波を受信し、外部に信号を出力する。石炭バンカ2から計量給炭機28へ石炭を定常供給しているときは、図2(a)に示すようにホッパ部10は石炭7で満杯の状態である。この状態では、送波器4から発射されるマイクロ波は、石炭7に遮断され、受波器5が受信するマイクロ波は小さいか、又は受信することができない。これによりホッパ部10に石炭があることを検知することができる。
【0033】
一方、ホッパ部10でブリッジが発生すると、計量給炭機28のコンベヤ上の石炭7はそのまま石炭微粉砕機(図示を省略)へ送られるため、図2(b)に示すようにホッパ部10に大きな空間部25が発生する。この状態では、送波器4から発射されるマイクロ波は、殆ど減衰することなく受波器5に送られるので、これによりホッパ部10に石炭7がないことを検知することができる。本実施形態に示す粉粒体排出検出装置1は、ブリッジの発生を直接的に検出するものではなく、対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチ3の送波器4と受波器5との間に石炭7が存在するか否かを検出することで、間接的にブリッジの発生などを検出するものであり、円筒部(図示を省略)でブリッジが発生した場合、石炭バンカ2内の石炭が全て排出され、石炭バンカ2内が空になったことも検出することができる。
【0034】
図3は、図1に示した粉粒体排出検出装置1の開口部閉塞体8a、8bの変形例30を示す断面図である。図3に示す開口部閉塞体30は、開口部11a、11bを閉塞する閉塞体31とこれを支持固定するための支持体32とからなる。図1に示す開口部閉塞体8a、8bは、同一の部材で一体的に形成されていたが、開口部閉塞体8a、8bは、必ずしも同一の部材で一体的に形成する必要はない。開口部閉塞体8a、8bは、マイクロ波を大きく減衰させることなく開口部11a、11bを閉塞し、管体6a、6b内に石炭7が入り込むことを防止する機能を有するものであればよい。よって、開口部閉塞体30を、開口部を閉塞する閉塞体31とこれを支持固定する支持体32とで形成し、これらを別々に製造した後、これらを固着し使用してもよい。
【0035】
閉塞体31は、板状の形状を有し、石炭7と接触するので、マイクロ波を大きく減衰することなく又耐摩耗性に優れた合成樹脂、例えば四フッ化エチレン樹脂で形成する。一方、支持体32は、管体であって、一端に固定用のフランジ部21を有する。支持体32は、直接石炭7と接触することがないので磨耗性を考慮する必要はなく、例えば塩化ビニルなど加工が容易で安価な材料で形成することができる。なお、支持体32は、中実材であってもよい。
【0036】
閉塞体31と支持体32との固着方法は特に限定されないので、閉塞体31に貫通孔、支持体32に雌ねじを設け、閉塞体31と支持体32とを雄ねじで接続してもよい。閉塞体31に凸部を設け、支持体32に閉塞体31の凸部に嵌合可能な凹部を設け、閉塞体31を支持体32に嵌込み固定してもよい。その他の方法であってもよいことは言うまでもないが、閉塞体31と支持体32とを着脱可能に固着する方法が好ましい。これにより閉塞体31が磨耗したような場合であっても閉塞体31のみ交換することが可能となる。
【0037】
以上、実施形態を用いて説明したように、本発明の粉粒体排出検出装置1は、簡単な構成で貯槽に取付け粉粒体が排出しているか否かを検出することができる。特に開口部11a、11bを閉止する開口部閉塞体8a、8bを耐摩耗性に優れた材料で形成するので、石炭7のように角張った粉粒体であっても、開口部閉塞体8a、8bが殆ど磨耗することはなく、開口部閉塞体8a、8bの前面には粉粒体がほとんど堆積することがない。これにより長期間の使用であっても、粉粒体が排出しているか否かを精度よく、また誤認することなく検出することができる。さらにホッパ部10に粉粒体排出検出装置1を取付けても、開口部閉塞体8a、8bがほとんど磨耗することがないので、ホッパ部10でのブリッジの発生等を的確に検知することができる。また、開口部閉塞体8a、8bを耐摩耗性に優れ、かつ摩擦係数の小さい材料で形成することで、より精度よく貯槽からの粉粒体の排出状態を検出することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、石炭を貯蔵する例を用いて説明したけれども、粉粒体はこれに限定されるものではなく、粉砕した石灰石を貯蔵する石灰石サイロ、石炭灰を貯槽する貯灰サイロ、砂、砂利、小麦など貯蔵するサイロなどにも本発明の粉粒体排出検出装置1を取付け使用することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態としての粉粒体排出検出装置1を石炭バンカ2に取付けた状態を示す部分断面図である。
【図2】図1の粉粒体排出検出装置1の粉粒体の排出検出原理を説明するための図であって、図2(a)は、石炭バンカ2から計量給炭機28に石炭7が定常的に排出されている様子を示す図であり、図2(b)は、ホッパ部10にブッリジが発生している状態を示す図である。
【図3】図1の粉粒体排出検出装置1の開口部閉塞体の変形例30を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 粉粒体排出検出装置
2 石炭バンカ
3 対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチ
4 送波器
5 受波器
6a、6b 管体
7 石炭
8a、8b 開口部閉塞体
10 ホッパ部
11a、11b 開口部
17a、17b 開口部閉塞体の端面(前面)
19a、19b ホッパの内壁面
30 開口部閉塞体
31 閉塞体
32 支持体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を貯蔵する貯槽に取付け、該貯槽からの該粉粒体の排出状態を検出する対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチを用いた粉粒体排出検出装置であって、
該貯槽の壁面に一対の開口部を対向するように設け、開口部を覆い水平で一対の管体の軸線が一直線上となるように管体の一端を各々該貯槽の壁面に取付け、各々の管体の他端に対向型マイクロウェーブ式レベルスイッチの送波器及び受波器を取付け、各開口部を塞ぐように各管体に取付ける開口部閉塞体を、マイクロ波が透過可能で摩擦摩耗特性に優れた材料で形成し、該開口部閉塞体を該貯槽の内壁面と面一となるように取付けることを特徴とする粉粒体排出検出装置。
【請求項2】
前記開口部閉塞体を、開口部を塞ぐ閉塞体と該閉塞体を支持する支持体とで形成し、該閉塞体をマイクロ波が透過可能で摩擦摩耗特性に優れた材料で形成することを特徴とする請求項1に記載の粉粒体排出検出装置。
【請求項3】
前記摩擦摩耗特性に優れた材料は、四フッ化エチレン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉粒体排出検出装置。
【請求項4】
前記開口部は、逆円錐形状又は逆多角誰形状のホッパ部を出口に有する前記貯槽の該ホッパ部に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の粉粒体排出検出装置。
【請求項5】
前記粉粒体は、粗粉砕された石炭であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載の粉粒体排出検出装置。
【請求項6】
前記請求項1から5のいずれか1に記載の粉粒体排出検出装置と、
粉粒体を貯蔵する貯槽と、
を含むことを特徴とする粉粒体貯蔵設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate