粉粒体排出装置
【課題】シュートに粉粒体が付着するのを防止して、排出精度が低下するのを防止するともに、シュート洗浄の手間を軽減できる。
【解決手段】粉粒体排出装置は、粉粒体排出部5に設けられた弁座に、バルブ10をバルブ昇降装置40により昇降自在に設け、バルブ10が弁座から離間する開放時に、バルブ10よりも下方に配置したシュート30を介して粉粒体排出部5から粉粒体を排出する。バルブ昇降装置40とバルブ10とをバルブ支持手段20で連結する。シュート30は可撓性を有する材料から構成され、シュート30の上下部を不動とするとともに、シュート30の周壁を前記バルブ支持手段20で保持する。バルブ昇降装置40が、バルブを昇降させる際に、バルブ支持手段20がシュート30の周壁を上下方向に往復動させる。
【解決手段】粉粒体排出装置は、粉粒体排出部5に設けられた弁座に、バルブ10をバルブ昇降装置40により昇降自在に設け、バルブ10が弁座から離間する開放時に、バルブ10よりも下方に配置したシュート30を介して粉粒体排出部5から粉粒体を排出する。バルブ昇降装置40とバルブ10とをバルブ支持手段20で連結する。シュート30は可撓性を有する材料から構成され、シュート30の上下部を不動とするとともに、シュート30の周壁を前記バルブ支持手段20で保持する。バルブ昇降装置40が、バルブを昇降させる際に、バルブ支持手段20がシュート30の周壁を上下方向に往復動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイロ、中間バルクコンテナ等のコンテナまたはホッパー内に貯蔵された粉粒体の所定量を排出可能とした粉粒体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体の粉粒体排出装置は、粉粒体の排出部にバルブを設け、このバルブを昇降装置により、排出部の排出口に設けた弁座を開閉自在にしたものが公知である。そして、排出口を通過した粉粒体は、シュートを介して下方に配置された秤量器等に搬送するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−348902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の排出装置は、バルブを通過した粉粒体が、シュートに案内されて落下するため、かかる粉粒体がシュートの内周面に付着する場合がある。特に、バルブが略円錐状のコーンバルブである場合、粉粒体が、コーンバルブを通過する際に、コーンバルブに沿って径外方向に飛散するため、シュートに付着する傾向にある。このように、シュートの内周面に粉粒体が付着すると、排出精度が低下する問題がある。また、粉粒体のシュートへの付着量が多くなると、メンテナンスにより、シュートを洗浄して付着した粉粒体を除去する必要がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、シュートに粉粒体が付着するのを防止して、排出精度が低下するのを防止するともに、シュート洗浄の手間を軽減できることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が講じた解決手段は、粉粒体排出部に設けられた弁座を開閉するバルブと、弁座を閉塞する上昇位置と弁座を開放する下降位置とに前記バルブを昇降させるバルブ昇降装置と、前記バルブよりも下方に配置したシュートとを備え、前記バルブの開放時に、シュートを介して粉粒体排出部から粉粒体を排出するようにした粉粒体排出装置において、前記バルブ昇降装置と前記バルブとをバルブ支持手段で連結し、前記シュートが可撓性を有する材料から構成され、該シュートの上下部を不動とするとともに、シュートの周壁を前記バルブ支持手段で保持し、前記バルブ昇降装置が、前記バルブ支持手段を介して前記バルブを昇降させる際に、前記バルブ支持手段がシュートの周壁を上下方向に往復動させることにある。
【0007】
ここで、シュートの上下部を不動とするとは、例えば、前記シュートの上下部を、粉粒体排出装置が適宜固定される架台や、バルブ昇降装置で昇降することのないその他の部材に固定することをいう。
【0008】
そして、前記本発明は、前記バルブ昇降装置が、前記バルブ支持手段を介して前記バルブを昇降させる際に、バルブ支持手段がシュートの周壁を上下方向に往復動させる構成であることから、バルブの昇降運動に連動してシュートの周壁を変形させることが可能となる。この結果、粉粒体がシュートに当接しても、粉粒体はこのシュートの変形により、付着することなく落下する。しかも、シュートに粉粒体が付着し難いため、シュートを頻繁に洗浄する手間も軽減する。
【0009】
前記粉粒体排出装置において、前記バルブが円錐状のコーンバルブからなり、前記バルブ支持手段は、前記シュートの周壁内外に挿通されるアームと、前記シュートの周壁に外嵌される環状の保持部材と、前記コーンバルブを下方から支持するバルブ支持軸とを備えていることにある。
【0010】
そして、前記本発明は、アームがシュートの周壁内外に挿通され、しかも、保持部材がシュートの周壁に外嵌されていることから、保持部材がシュートを安定した状態で保持し、アームがシュートの周壁を確実に上下方向に往復動させる。この結果、粉粒体がシュートに付着するのを確実に防止できる。
【0011】
前記粉粒体排出装置において、前記コーンバルブが前記弁座を閉塞する際に、前記弁座に対して前記コーンバルブの芯合せをする芯合せ機構が設けられたことにある。
【0012】
しかも、前記芯合せ機構は、前記コーンバルブ側に設けられた係合手段と、前記バルブ支持手段側に設けられ且つ前記係合手段が係脱自在に係合する被係合手段と、前記係合手段と被係合手段とを係合する方向に付勢する弾性手段とからなり、前記コーンバルブが前記弁座を閉塞する際に、前記コーンバルブの前記バルブ支持手段に対する移動を許容すべく、前記係合手段と前記被係合手段との係合が解除され、前記コーンバルブが前記弁座から離間した際に、前記係合手段と前記被係合手段との係合を復帰させることにある。
【0013】
そして、前記本発明は、コーンバルブの中心と、弁座開口中心とが若干ずれていた場合であっても、コーンバルブを、弁座に対して芯合せすることができる。このため、コーンバルブは、弁座に均等に密着することとなり、コーンバルブの開閉動作を確実に行え、粉粒体の排出精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、バルブ昇降装置が、バルブ支持手段を介してバルブを昇降させる際に、バルブ支持手段がシュートの周壁を上下方向に往復動させるので、粉粒体がシュートに当接しても、シュートに粉粒体が付着するのを防止して、排出精度が低下するのを防止するともに、シュート洗浄の手間を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る粉粒体排出装置の全体を示す断面正面図である。
【図2】同コーンバルブが開状態の要部を示す断面正面図である。
【図3】同コーンバルブが閉状態の要部を示す断面正面図である。
【図4】同シュートの斜視図である。
【図5】同コーンバルブの分解図である。
【図6】同コーンバルブの分解断面図である。
【図7】同コーンバルブが開状態の全体を示す断面正面図である。
【図8】同コーンバルブが開状態の全体を示す断面正面図である。
【図9】同コーンバルブが開状態の全体を示す断面正面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係るコーンバルブが閉状態の断面正面図である。
【図11】同コーンバルブが開状態の断面正面図である。
【図12】同コーンバルブを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1〜図9は、本発明の粉粒体排出装置の一実施形態を示す。
【0018】
粉粒体排出装置1は、図1〜図3に示すように、ホッパー6内に供給された粉粒体を、ホッパー6の下方に設けたコーンバルブ10を上下方向に往復動(昇降)させることにより、所定量排出するものである。
【0019】
なお、図1はコーンバルブが閉状態にある全体の断面正面図、図2はコーンバルブが開状態にある断面正面図、図3はコーンバルブが閉状態にある断面正面図である。
【0020】
かかる粉粒体排出装置1は、固定側の架台2に固定される排出部としてのシ−トリング5と、ホッパー6と、コーンバルブ10と、コーンバルブ10を支持するバルブ支持手段20と、シュート30と、バルブ支持手段20を介してコーンバルブ10を昇降させるバルブ昇降装置40とを備えている。
【0021】
前記シ−トリング5は、硬質のシリコンゴム等の樹脂から筒状に成形されており、上部に設けられたフランジ部5aが、架台2の周溝2aに上方から嵌合されている。また、シ−トリング5は、上下面が開口されており、内部空間が排出路となっているとともに、下端内周面が弁座5bとなっている。
【0022】
前記ホッパー6は、シ−トリング5と連通するようにシ−トリング5の上方に位置し、ホッパー6の下部に設けられたフランジ部6aが、ボルト3により架台2に固定されている。
【0023】
前記コーンバルブ10は、図5および図6に示すように、ポリプロピレン(PP)等の樹脂から略円錐状に成形されており、下部のバルブ本体11と、バルブ本体11の上面に着脱自在に固定された上部材12とから構成されている。
【0024】
バルブ本体11の内部には、下面が開口する下凹部11aが形成されており、この下凹部11aの底面中央には、上スプリング受座13がボルト15で固定されている。
【0025】
また、バルブ本体11および上スプリング受座13の中央には、挿通孔11b、13aが形成されている。なお、バルブ本体11の下凹部11aは、シリコンゴム等の樹脂からなるシート状のカバー14で閉塞されている。バルブ本体11の上面中央には、挿通孔11bを中心とする上凹部11cが形成され、この上凹部11cの中心には、下方に向けて小径となる係合手段としてのテーパー状の係合凹部11dが形成されている。
【0026】
前記バルブ支持手段20は、昇降装置40とコーンバルブ10とを連結するもので、L字状を呈しているバルブ支持軸21と、バルブ昇降装置40に接続されるアーム46と、保持部材31とからなる。
【0027】
バルブ支持軸21は、上向きのバルブ挿入部22と、バルブ挿入部22の下部に設けられたボス部23と、ボス部23からコーンバルブ10の径外方向に延設された固定部25とからなる。固定部25は、アーム46の先端に相対回転不可能に嵌入されている。
【0028】
バルブ挿入部22は、カバー14の挿通孔14a、上スプリング受座13の挿通孔13aおよびバルブ本体11の挿通孔11bに、下方から順次挿通されている。また、バルブ挿入部22は、先端側にねじ軸22aが設けられている。なお、バルブ挿入部22は、挿通孔14a、13a、11bに対して若干遊びがある状態(遊嵌された状態)となっている。
【0029】
ねじ軸22aには被係合手段としての係止部材16が螺合されており、係止部材16はナット17により位置決めされている。係止部材16の下部には、バルブ本体11の係合凹部11dが係脱自在に係合するテーパー状の係合凸部16aが設けられている。
【0030】
バルブ支持軸21には、ボス部23に下方から保持される下スプリング受け座18が嵌合されている。下スプリング受座18と上スプリング受座13との間には、弾性手段としてのコイルスプリング19が介在されている。コイルスプリング19は、その弾性力により、上スプリング受座13を介してコーンバルブ10を上方に付勢している。そして、バルブ本体11の係合凹部11dが、バルブ挿入部22のねじ軸22aに螺合されている係止部材16の係合凸部16aに、下方から係脱自在に係合し、この結果、コーンバルブ10は上方への移動が規制されている。
【0031】
また、コーンバルブ10を下方に押圧した際には、コーンバルブ10はバルブ支持軸21に対して、コイルスプリング19の弾性力に抗して若干下方に相対移動するため、係合凹部11dは係止部材16から離間して係合凹部11dと係止部材16との係合が解除される。
【0032】
この結果、コーンバルブ10は、バルブ挿入部22が挿通孔14a、13a、11bに遊嵌された状態であるため、バルブ挿入部22に対して任意の方向にフローティング可能である。すなわち、コーンバルブ10は、若干傾斜したり、直径方向に移動したりすることが可能となる。
【0033】
以上のように、コーンバルブ10側に設けられた係合凹部11dと、バルブ支持軸21側に設けられ且つ前記係合凹部11dが係脱自在に係合する係止部材16と、係合凹部11dと係止部材16とを係合する方向に付勢するコイルスプリング19とから芯合せ機構が構成されている。
【0034】
前記シュート30は、図4に示すように、シリコンゴム等の樹脂から可撓性を有し、且つ上下面が開口する筒状に成形されている。シュート30は大径の周壁30aと、この周壁30a上縁から上方に向けて小径となる上部テーパー周壁30bが延設され、さらに上部テーパー周壁30bから小径筒状の上取付部30cが延設されている。また、大径の周壁30a下縁から下方に向けて小径となる下部テーパー周壁30dが延設されている。前記上取付部30cが前記シ−トリング5に外嵌接続されている。
【0035】
また、シュート30は、バルブ支持手段20に保持されている。具体的には、環状の帯板からなる保持部材31が、シュート30の周壁30aに外嵌され、周壁30aには、保持部材31に上下から嵌合する嵌合片32a、32bが、周壁30aの周方向に設けられている。この嵌合片32a、32bは、シュート30に一体的に成形しても、シュート30の成形後に別部材を固定してもよい。
【0036】
保持部材31には筒部31aが突設されており、筒部31a、保持部材31および周壁30a内外に、前記アーム46が挿通されている。なお、アーム46におけるシュート30内の部分は、筒状のシリコンカバー47で被覆されており、アーム46に粉粒体が直接接触しないように構成されている。また、アーム46は周壁30aに密着状態に挿通されている。
【0037】
このように、アーム46に固定された保持部材31を、嵌合片32a、32bで係止することにより、可撓性を有するシュート30が不用意に内側に変形するのを防止しているとともに、シュート30全体の水平方向の姿勢を維持している。
【0038】
下部テーパー周壁30d下部には下取付部としてのフランジ部30eが形成されている。フランジ部30eは、図示省略のステーを介して架台2に支持されている円筒からなる下部シュート34に、ボルト33により固定されている。
【0039】
シュート30の外側はケーシング35で被覆されている。ケーシング35の上部はボルト36により、架台2に固定され、また、ケーシング35の下部は、前記ボルト33により下部シュート34に固定されている。
【0040】
バルブ昇降装置40は、例えば、サーボモータ45で駆動する電動シリンダ装置から構成されている。電動シリンダ装置40は昇降する可動スライド43を備え、可動スライド43には、前記アーム46が水平に突設されている。サーボモータ45は、図示省略の制御装置により制御されている。
【0041】
本実施形態に係る粉粒体排出装置1は、以上の構成からなり、次に、かかる粉粒体排出装置1の運転動作について説明する。
【0042】
粉粒体排出装置1の運転モードは、停止モード運転とジョギングモード運転とが選択可能である。また、停止モード運転とジョギングモード運転とを組み合わせた運転も可能である。
【0043】
ここで、停止モード運転とは、コーンバルブ10を閉じた閉塞位置(上昇位置)から所定距離だけ下げて、コーンバルブ10の開放位置(下降位置)を一定に維持する運転である。また、ジョギングモード運転とは、コーンバルブ10を閉塞位置と適宜設定した開放位置とを往復移動させる運転である。なお、ジョギングモード運転におけるコーンバルブ10の昇降動作速度やストロークは、粉粒体の材質に応じて適宜設定可能である。
【0044】
先ず、ジョギングモード運転をする場合について説明する。
【0045】
最初、コーンバルブ10の昇降ストロークは、本排出作業における最大(大量排出モード)に設定されている。バルブ昇降装置40を作動させると、サーボモータ45は、可動スライド43を上下に往復移動させる。これによって、可動スライド43とともに、アーム46を介してコーンバルブ10が昇降運動する。
【0046】
そして、ホッパー6内の粉粒体は、コーンバルブ10の昇降ストロークが大量排出モードに設定されているため、大量に自然落下し、下方の秤量器に載置されたコンテナ(図示省略)等に供給される。
【0047】
このコーンバルブ10の昇降動作に連動して、保持部材31も昇降するため、保持部材31は、シュート30を上下方向に往復動させようとする。コーンバルブ10の閉塞位置において、保持部材31は最高位置となる。シュート30の上部テーパー周壁30b(保持部材31よりも上の部分)は、上下方向に収縮した状態(上部テーパー周壁30bが径内方向に向けて下方に変形した状態)であり、下部テーパー周壁30dは若干緊張した状態である(図1参照)。
【0048】
また、コーンバルブ10の開放位置において、保持部材31は最低位置となる。この保持部材31の最低位置において、シュート30の上部テーパー周壁30bは緊張した状態であり、下部テーパー周壁30dは押し下げられて収縮した状態である(図7参照)。
【0049】
このように、コーンバルブ10の昇降動作により、シュート30は上部の上取付部30cおよび下部のフランジ部30eが固定されて不動であるため、上部テーパー周壁30bおよび下部テーパー周壁30dは、上下方向に伸長したり、凹凸状に湾曲したりして変形する。このシュート30の変形は、あたかもバイブレータにより振動させたと同じように作用するため、コーンバルブ10を通過した粉粒体が、シュート30の内面に頻繁に飛散する場合であっても、その粉粒体が、コーンバルブ10の内面に付着するのを防止することができる。
【0050】
さらに、粉粒体が所定量排出されると、コーンバルブ10の昇降ストロークを小さくするようにバルブ昇降装置40を制御する。このように、コーンバルブ10の昇降ストロークを小さくすることにより、排出量を少なくでき微調整を行うことができる(図8参照)。
【0051】
所定量排出した後に、コーンバルブ10の昇降ストロークをさらに小さくするようにバルブ昇降装置40を制御する(図9参照)。コーンバルブ10の昇降ストロークを小さくすることにより、さらに粉粒体の排出量を少なく制御でき、秤量器の計量精度と同等の精度での重量測定が可能となる。具体的には、秤量器の計量精度が1gである場合に、コーンバルブ10の昇降動作速度やストロークを制御することにより、粉粒体を1g単位で排出することが可能となる。
【0052】
以上のように、コーンバルブ10の昇降ストロークを複数段に設定することにより、最初の段階では、粉粒体を大量に排出し、コーンバルブ10の昇降ストロークを適宜制御するため、確実な計量が迅速に行える。しかも、コーンバルブ10の昇降動作と連動してシュート30を変形させてシュートに粉粒体が付着し難いようにしているため、シュートを頻繁に洗浄する手間も軽減できる。
【0053】
また、コーンバルブ10を昇降運動させるジョギングモード運転の場合は、コーンバルブ10の閉塞位置において、コーンバルブ10で弁座5bを確実に閉塞する必要がある。このためには、コーンバルブ10の中心と、シ−トリング5の弁座5bの開口中心とを合致させる必要がある。
【0054】
仮に、コーンバルブ10の中心と、シ−トリング5の弁座5bの開口中心とが若干ずれていた場合に、コーンバルブ10の周面の一部が、弁座5bの一部と接触すると、弁座5bは、コーンバルブ10をコイルスプリング19の弾性力に抗して下方に押圧する。このとき、コーンバルブ10側の嵌合凹部11dが、係止部材16から離間するため、コーンバルブ10とバルブ支持軸21との係合が解除され、コーンバルブ10は、任意の方向の移動が許容される(特に、コーンバルブ10の直径方向の移動が許容される)ため、コーンバルブ10を、シ−トリング5の弁座5bに対して芯合せすることができる。この結果、コーンバルブ10は、弁座5bに均等に密着することとなり、コーンバルブ10の往復運動を高速にした場合であっても、コーンバルブ10の開閉動作を確実に行え、粉粒体の排出精度を向上させることができる。
【0055】
コーンバルブ10が弁座5bから離間すると、コイルスプリング19は、コーンバルブ10を上方に付勢することから、バルブ本体11の係合凹部11dが、バルブ挿入部22側の係止部材16に、下方から係合する状態に復帰する。
【0056】
次に、停止モード運転を行う場合について説明する。停止モード運転を行う場合にも、コーンバルブ10の下降距離は任意に設定可能となっている。すなわち、最初、コーンバルブ10の下降距離は大量排出モードに設定されている。そして、粉粒体を所定量排出する毎に、コーンバルブ10を複数回に分けて上昇させる。かかる停止モード運転は、コーンバルブ10を昇降運動させないため、ホッパー6およびシ−トリング5内の粉粒体が排出し難くなるおそれがある。かかる場合には、図1に仮想線で示すように、バイブレータ48をコーンバルブ10の下凹部11a内に設けておいて、コーンバルブ10を振動させることも可能である。このように、バイブレータ48がコーンバルブ10を振動させるため、シ−トリング5内の粉粒体を容易に排出することができる。
【0057】
シ−トリング5、シュート30およびアーム46が金属製である場合には、その金属粉が粉粒体に混入するおそれがあるが、本実施形態は、シ−トリング5およびシュート30をシリコンゴム等の樹脂材から構成し、アーム46にシリコンカバー47を被覆しているため、これら構成部品の金属粉が粉粒体に混入するおそれもない。
【0058】
図10〜図12は、本発明の他の実施形態を示す。なお、前記実施形態と共通する部材には、同一の符号を付し、それぞれの説明は省略するとともに、本実施形態の特徴について説明する。
【0059】
本実施形態のコーンバルブ10は、周面の傾斜角度が複数段に形成されている。すなわち、図12に示すように、下部側の傾斜角度(コーンバルブ10中心に対する角度)α1が、上部側の傾斜角度α2よりも小さく設定されている。粉粒体を大量に排出する場合には、コーンバルブ10の下降距離が大きくなり、コーンバルブ10の上部側の傾斜角度α2の周面と弁座5bとの間を粉粒体が流れる。
【0060】
粉粒体の排出を少量に調整する場合に、図11に仮想線で示すように、コーンバルブ10が上昇して弁座5bに近付くと、粉粒体は、傾斜角度α1の周面と、弁座5bとの間を通過することとなる。この傾斜角度α1である下部側周面の長さL1の範囲内でジョギング運転を行う際には、コーンバルブ10と弁座5bとの間隔の変化量を小さくできる。すなわち、コーンバルブ10の昇降ストロークを5mmに設定した場合に、傾斜角度α1の周面は、傾斜角度α2の周面に比し、弁座5bとの間隔の変化量が小さくなる。このため、粉粒体の排出量の精度が更に向上し微調整が確実に行える。
【0061】
本発明は、前記実施形態に限定されることはない。例えば、シュート30は、周壁をジャバラ状に形成し、上下に伸縮する構成であってもよい。
【0062】
また、サイロ等のように材料排出装置1と離れた遠隔地から粉粒体を搬送する場合には、図10および図11に示すように、ホッパー6に代えて搬送用シュート27を架台2に接続することも可能である。この搬送用シュート27内には、シリコンゴム等の合成樹脂から可撓性を有する内側シュート27aが設けられている。また、搬送用シュート27には、バイブレータ28が設けられており、このバイブレータ28が内側シュート27aを振動させる構成である。従って、バイブレータ28が内側シュート27aを振動させるため、粉粒体を内側シュート27a内で滞留することなく、シ−トリング5に確実に搬送することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 材料排出装置
2 架台
5 排出部(シ−トリング)
5b 弁座
6 ホッパー
10 バルブ(コーンバルブ)
11 バルブ本体
12 上部材
11d 嵌合凹部(係合手段)
16 係止部材(被係合手段)
19 コイルスプリング(弾性手段)
20 バルブ支持手段
30 シュート
40 バルブ昇降装置
45 サーボモータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイロ、中間バルクコンテナ等のコンテナまたはホッパー内に貯蔵された粉粒体の所定量を排出可能とした粉粒体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体の粉粒体排出装置は、粉粒体の排出部にバルブを設け、このバルブを昇降装置により、排出部の排出口に設けた弁座を開閉自在にしたものが公知である。そして、排出口を通過した粉粒体は、シュートを介して下方に配置された秤量器等に搬送するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−348902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の排出装置は、バルブを通過した粉粒体が、シュートに案内されて落下するため、かかる粉粒体がシュートの内周面に付着する場合がある。特に、バルブが略円錐状のコーンバルブである場合、粉粒体が、コーンバルブを通過する際に、コーンバルブに沿って径外方向に飛散するため、シュートに付着する傾向にある。このように、シュートの内周面に粉粒体が付着すると、排出精度が低下する問題がある。また、粉粒体のシュートへの付着量が多くなると、メンテナンスにより、シュートを洗浄して付着した粉粒体を除去する必要がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、シュートに粉粒体が付着するのを防止して、排出精度が低下するのを防止するともに、シュート洗浄の手間を軽減できることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が講じた解決手段は、粉粒体排出部に設けられた弁座を開閉するバルブと、弁座を閉塞する上昇位置と弁座を開放する下降位置とに前記バルブを昇降させるバルブ昇降装置と、前記バルブよりも下方に配置したシュートとを備え、前記バルブの開放時に、シュートを介して粉粒体排出部から粉粒体を排出するようにした粉粒体排出装置において、前記バルブ昇降装置と前記バルブとをバルブ支持手段で連結し、前記シュートが可撓性を有する材料から構成され、該シュートの上下部を不動とするとともに、シュートの周壁を前記バルブ支持手段で保持し、前記バルブ昇降装置が、前記バルブ支持手段を介して前記バルブを昇降させる際に、前記バルブ支持手段がシュートの周壁を上下方向に往復動させることにある。
【0007】
ここで、シュートの上下部を不動とするとは、例えば、前記シュートの上下部を、粉粒体排出装置が適宜固定される架台や、バルブ昇降装置で昇降することのないその他の部材に固定することをいう。
【0008】
そして、前記本発明は、前記バルブ昇降装置が、前記バルブ支持手段を介して前記バルブを昇降させる際に、バルブ支持手段がシュートの周壁を上下方向に往復動させる構成であることから、バルブの昇降運動に連動してシュートの周壁を変形させることが可能となる。この結果、粉粒体がシュートに当接しても、粉粒体はこのシュートの変形により、付着することなく落下する。しかも、シュートに粉粒体が付着し難いため、シュートを頻繁に洗浄する手間も軽減する。
【0009】
前記粉粒体排出装置において、前記バルブが円錐状のコーンバルブからなり、前記バルブ支持手段は、前記シュートの周壁内外に挿通されるアームと、前記シュートの周壁に外嵌される環状の保持部材と、前記コーンバルブを下方から支持するバルブ支持軸とを備えていることにある。
【0010】
そして、前記本発明は、アームがシュートの周壁内外に挿通され、しかも、保持部材がシュートの周壁に外嵌されていることから、保持部材がシュートを安定した状態で保持し、アームがシュートの周壁を確実に上下方向に往復動させる。この結果、粉粒体がシュートに付着するのを確実に防止できる。
【0011】
前記粉粒体排出装置において、前記コーンバルブが前記弁座を閉塞する際に、前記弁座に対して前記コーンバルブの芯合せをする芯合せ機構が設けられたことにある。
【0012】
しかも、前記芯合せ機構は、前記コーンバルブ側に設けられた係合手段と、前記バルブ支持手段側に設けられ且つ前記係合手段が係脱自在に係合する被係合手段と、前記係合手段と被係合手段とを係合する方向に付勢する弾性手段とからなり、前記コーンバルブが前記弁座を閉塞する際に、前記コーンバルブの前記バルブ支持手段に対する移動を許容すべく、前記係合手段と前記被係合手段との係合が解除され、前記コーンバルブが前記弁座から離間した際に、前記係合手段と前記被係合手段との係合を復帰させることにある。
【0013】
そして、前記本発明は、コーンバルブの中心と、弁座開口中心とが若干ずれていた場合であっても、コーンバルブを、弁座に対して芯合せすることができる。このため、コーンバルブは、弁座に均等に密着することとなり、コーンバルブの開閉動作を確実に行え、粉粒体の排出精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、バルブ昇降装置が、バルブ支持手段を介してバルブを昇降させる際に、バルブ支持手段がシュートの周壁を上下方向に往復動させるので、粉粒体がシュートに当接しても、シュートに粉粒体が付着するのを防止して、排出精度が低下するのを防止するともに、シュート洗浄の手間を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る粉粒体排出装置の全体を示す断面正面図である。
【図2】同コーンバルブが開状態の要部を示す断面正面図である。
【図3】同コーンバルブが閉状態の要部を示す断面正面図である。
【図4】同シュートの斜視図である。
【図5】同コーンバルブの分解図である。
【図6】同コーンバルブの分解断面図である。
【図7】同コーンバルブが開状態の全体を示す断面正面図である。
【図8】同コーンバルブが開状態の全体を示す断面正面図である。
【図9】同コーンバルブが開状態の全体を示す断面正面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係るコーンバルブが閉状態の断面正面図である。
【図11】同コーンバルブが開状態の断面正面図である。
【図12】同コーンバルブを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1〜図9は、本発明の粉粒体排出装置の一実施形態を示す。
【0018】
粉粒体排出装置1は、図1〜図3に示すように、ホッパー6内に供給された粉粒体を、ホッパー6の下方に設けたコーンバルブ10を上下方向に往復動(昇降)させることにより、所定量排出するものである。
【0019】
なお、図1はコーンバルブが閉状態にある全体の断面正面図、図2はコーンバルブが開状態にある断面正面図、図3はコーンバルブが閉状態にある断面正面図である。
【0020】
かかる粉粒体排出装置1は、固定側の架台2に固定される排出部としてのシ−トリング5と、ホッパー6と、コーンバルブ10と、コーンバルブ10を支持するバルブ支持手段20と、シュート30と、バルブ支持手段20を介してコーンバルブ10を昇降させるバルブ昇降装置40とを備えている。
【0021】
前記シ−トリング5は、硬質のシリコンゴム等の樹脂から筒状に成形されており、上部に設けられたフランジ部5aが、架台2の周溝2aに上方から嵌合されている。また、シ−トリング5は、上下面が開口されており、内部空間が排出路となっているとともに、下端内周面が弁座5bとなっている。
【0022】
前記ホッパー6は、シ−トリング5と連通するようにシ−トリング5の上方に位置し、ホッパー6の下部に設けられたフランジ部6aが、ボルト3により架台2に固定されている。
【0023】
前記コーンバルブ10は、図5および図6に示すように、ポリプロピレン(PP)等の樹脂から略円錐状に成形されており、下部のバルブ本体11と、バルブ本体11の上面に着脱自在に固定された上部材12とから構成されている。
【0024】
バルブ本体11の内部には、下面が開口する下凹部11aが形成されており、この下凹部11aの底面中央には、上スプリング受座13がボルト15で固定されている。
【0025】
また、バルブ本体11および上スプリング受座13の中央には、挿通孔11b、13aが形成されている。なお、バルブ本体11の下凹部11aは、シリコンゴム等の樹脂からなるシート状のカバー14で閉塞されている。バルブ本体11の上面中央には、挿通孔11bを中心とする上凹部11cが形成され、この上凹部11cの中心には、下方に向けて小径となる係合手段としてのテーパー状の係合凹部11dが形成されている。
【0026】
前記バルブ支持手段20は、昇降装置40とコーンバルブ10とを連結するもので、L字状を呈しているバルブ支持軸21と、バルブ昇降装置40に接続されるアーム46と、保持部材31とからなる。
【0027】
バルブ支持軸21は、上向きのバルブ挿入部22と、バルブ挿入部22の下部に設けられたボス部23と、ボス部23からコーンバルブ10の径外方向に延設された固定部25とからなる。固定部25は、アーム46の先端に相対回転不可能に嵌入されている。
【0028】
バルブ挿入部22は、カバー14の挿通孔14a、上スプリング受座13の挿通孔13aおよびバルブ本体11の挿通孔11bに、下方から順次挿通されている。また、バルブ挿入部22は、先端側にねじ軸22aが設けられている。なお、バルブ挿入部22は、挿通孔14a、13a、11bに対して若干遊びがある状態(遊嵌された状態)となっている。
【0029】
ねじ軸22aには被係合手段としての係止部材16が螺合されており、係止部材16はナット17により位置決めされている。係止部材16の下部には、バルブ本体11の係合凹部11dが係脱自在に係合するテーパー状の係合凸部16aが設けられている。
【0030】
バルブ支持軸21には、ボス部23に下方から保持される下スプリング受け座18が嵌合されている。下スプリング受座18と上スプリング受座13との間には、弾性手段としてのコイルスプリング19が介在されている。コイルスプリング19は、その弾性力により、上スプリング受座13を介してコーンバルブ10を上方に付勢している。そして、バルブ本体11の係合凹部11dが、バルブ挿入部22のねじ軸22aに螺合されている係止部材16の係合凸部16aに、下方から係脱自在に係合し、この結果、コーンバルブ10は上方への移動が規制されている。
【0031】
また、コーンバルブ10を下方に押圧した際には、コーンバルブ10はバルブ支持軸21に対して、コイルスプリング19の弾性力に抗して若干下方に相対移動するため、係合凹部11dは係止部材16から離間して係合凹部11dと係止部材16との係合が解除される。
【0032】
この結果、コーンバルブ10は、バルブ挿入部22が挿通孔14a、13a、11bに遊嵌された状態であるため、バルブ挿入部22に対して任意の方向にフローティング可能である。すなわち、コーンバルブ10は、若干傾斜したり、直径方向に移動したりすることが可能となる。
【0033】
以上のように、コーンバルブ10側に設けられた係合凹部11dと、バルブ支持軸21側に設けられ且つ前記係合凹部11dが係脱自在に係合する係止部材16と、係合凹部11dと係止部材16とを係合する方向に付勢するコイルスプリング19とから芯合せ機構が構成されている。
【0034】
前記シュート30は、図4に示すように、シリコンゴム等の樹脂から可撓性を有し、且つ上下面が開口する筒状に成形されている。シュート30は大径の周壁30aと、この周壁30a上縁から上方に向けて小径となる上部テーパー周壁30bが延設され、さらに上部テーパー周壁30bから小径筒状の上取付部30cが延設されている。また、大径の周壁30a下縁から下方に向けて小径となる下部テーパー周壁30dが延設されている。前記上取付部30cが前記シ−トリング5に外嵌接続されている。
【0035】
また、シュート30は、バルブ支持手段20に保持されている。具体的には、環状の帯板からなる保持部材31が、シュート30の周壁30aに外嵌され、周壁30aには、保持部材31に上下から嵌合する嵌合片32a、32bが、周壁30aの周方向に設けられている。この嵌合片32a、32bは、シュート30に一体的に成形しても、シュート30の成形後に別部材を固定してもよい。
【0036】
保持部材31には筒部31aが突設されており、筒部31a、保持部材31および周壁30a内外に、前記アーム46が挿通されている。なお、アーム46におけるシュート30内の部分は、筒状のシリコンカバー47で被覆されており、アーム46に粉粒体が直接接触しないように構成されている。また、アーム46は周壁30aに密着状態に挿通されている。
【0037】
このように、アーム46に固定された保持部材31を、嵌合片32a、32bで係止することにより、可撓性を有するシュート30が不用意に内側に変形するのを防止しているとともに、シュート30全体の水平方向の姿勢を維持している。
【0038】
下部テーパー周壁30d下部には下取付部としてのフランジ部30eが形成されている。フランジ部30eは、図示省略のステーを介して架台2に支持されている円筒からなる下部シュート34に、ボルト33により固定されている。
【0039】
シュート30の外側はケーシング35で被覆されている。ケーシング35の上部はボルト36により、架台2に固定され、また、ケーシング35の下部は、前記ボルト33により下部シュート34に固定されている。
【0040】
バルブ昇降装置40は、例えば、サーボモータ45で駆動する電動シリンダ装置から構成されている。電動シリンダ装置40は昇降する可動スライド43を備え、可動スライド43には、前記アーム46が水平に突設されている。サーボモータ45は、図示省略の制御装置により制御されている。
【0041】
本実施形態に係る粉粒体排出装置1は、以上の構成からなり、次に、かかる粉粒体排出装置1の運転動作について説明する。
【0042】
粉粒体排出装置1の運転モードは、停止モード運転とジョギングモード運転とが選択可能である。また、停止モード運転とジョギングモード運転とを組み合わせた運転も可能である。
【0043】
ここで、停止モード運転とは、コーンバルブ10を閉じた閉塞位置(上昇位置)から所定距離だけ下げて、コーンバルブ10の開放位置(下降位置)を一定に維持する運転である。また、ジョギングモード運転とは、コーンバルブ10を閉塞位置と適宜設定した開放位置とを往復移動させる運転である。なお、ジョギングモード運転におけるコーンバルブ10の昇降動作速度やストロークは、粉粒体の材質に応じて適宜設定可能である。
【0044】
先ず、ジョギングモード運転をする場合について説明する。
【0045】
最初、コーンバルブ10の昇降ストロークは、本排出作業における最大(大量排出モード)に設定されている。バルブ昇降装置40を作動させると、サーボモータ45は、可動スライド43を上下に往復移動させる。これによって、可動スライド43とともに、アーム46を介してコーンバルブ10が昇降運動する。
【0046】
そして、ホッパー6内の粉粒体は、コーンバルブ10の昇降ストロークが大量排出モードに設定されているため、大量に自然落下し、下方の秤量器に載置されたコンテナ(図示省略)等に供給される。
【0047】
このコーンバルブ10の昇降動作に連動して、保持部材31も昇降するため、保持部材31は、シュート30を上下方向に往復動させようとする。コーンバルブ10の閉塞位置において、保持部材31は最高位置となる。シュート30の上部テーパー周壁30b(保持部材31よりも上の部分)は、上下方向に収縮した状態(上部テーパー周壁30bが径内方向に向けて下方に変形した状態)であり、下部テーパー周壁30dは若干緊張した状態である(図1参照)。
【0048】
また、コーンバルブ10の開放位置において、保持部材31は最低位置となる。この保持部材31の最低位置において、シュート30の上部テーパー周壁30bは緊張した状態であり、下部テーパー周壁30dは押し下げられて収縮した状態である(図7参照)。
【0049】
このように、コーンバルブ10の昇降動作により、シュート30は上部の上取付部30cおよび下部のフランジ部30eが固定されて不動であるため、上部テーパー周壁30bおよび下部テーパー周壁30dは、上下方向に伸長したり、凹凸状に湾曲したりして変形する。このシュート30の変形は、あたかもバイブレータにより振動させたと同じように作用するため、コーンバルブ10を通過した粉粒体が、シュート30の内面に頻繁に飛散する場合であっても、その粉粒体が、コーンバルブ10の内面に付着するのを防止することができる。
【0050】
さらに、粉粒体が所定量排出されると、コーンバルブ10の昇降ストロークを小さくするようにバルブ昇降装置40を制御する。このように、コーンバルブ10の昇降ストロークを小さくすることにより、排出量を少なくでき微調整を行うことができる(図8参照)。
【0051】
所定量排出した後に、コーンバルブ10の昇降ストロークをさらに小さくするようにバルブ昇降装置40を制御する(図9参照)。コーンバルブ10の昇降ストロークを小さくすることにより、さらに粉粒体の排出量を少なく制御でき、秤量器の計量精度と同等の精度での重量測定が可能となる。具体的には、秤量器の計量精度が1gである場合に、コーンバルブ10の昇降動作速度やストロークを制御することにより、粉粒体を1g単位で排出することが可能となる。
【0052】
以上のように、コーンバルブ10の昇降ストロークを複数段に設定することにより、最初の段階では、粉粒体を大量に排出し、コーンバルブ10の昇降ストロークを適宜制御するため、確実な計量が迅速に行える。しかも、コーンバルブ10の昇降動作と連動してシュート30を変形させてシュートに粉粒体が付着し難いようにしているため、シュートを頻繁に洗浄する手間も軽減できる。
【0053】
また、コーンバルブ10を昇降運動させるジョギングモード運転の場合は、コーンバルブ10の閉塞位置において、コーンバルブ10で弁座5bを確実に閉塞する必要がある。このためには、コーンバルブ10の中心と、シ−トリング5の弁座5bの開口中心とを合致させる必要がある。
【0054】
仮に、コーンバルブ10の中心と、シ−トリング5の弁座5bの開口中心とが若干ずれていた場合に、コーンバルブ10の周面の一部が、弁座5bの一部と接触すると、弁座5bは、コーンバルブ10をコイルスプリング19の弾性力に抗して下方に押圧する。このとき、コーンバルブ10側の嵌合凹部11dが、係止部材16から離間するため、コーンバルブ10とバルブ支持軸21との係合が解除され、コーンバルブ10は、任意の方向の移動が許容される(特に、コーンバルブ10の直径方向の移動が許容される)ため、コーンバルブ10を、シ−トリング5の弁座5bに対して芯合せすることができる。この結果、コーンバルブ10は、弁座5bに均等に密着することとなり、コーンバルブ10の往復運動を高速にした場合であっても、コーンバルブ10の開閉動作を確実に行え、粉粒体の排出精度を向上させることができる。
【0055】
コーンバルブ10が弁座5bから離間すると、コイルスプリング19は、コーンバルブ10を上方に付勢することから、バルブ本体11の係合凹部11dが、バルブ挿入部22側の係止部材16に、下方から係合する状態に復帰する。
【0056】
次に、停止モード運転を行う場合について説明する。停止モード運転を行う場合にも、コーンバルブ10の下降距離は任意に設定可能となっている。すなわち、最初、コーンバルブ10の下降距離は大量排出モードに設定されている。そして、粉粒体を所定量排出する毎に、コーンバルブ10を複数回に分けて上昇させる。かかる停止モード運転は、コーンバルブ10を昇降運動させないため、ホッパー6およびシ−トリング5内の粉粒体が排出し難くなるおそれがある。かかる場合には、図1に仮想線で示すように、バイブレータ48をコーンバルブ10の下凹部11a内に設けておいて、コーンバルブ10を振動させることも可能である。このように、バイブレータ48がコーンバルブ10を振動させるため、シ−トリング5内の粉粒体を容易に排出することができる。
【0057】
シ−トリング5、シュート30およびアーム46が金属製である場合には、その金属粉が粉粒体に混入するおそれがあるが、本実施形態は、シ−トリング5およびシュート30をシリコンゴム等の樹脂材から構成し、アーム46にシリコンカバー47を被覆しているため、これら構成部品の金属粉が粉粒体に混入するおそれもない。
【0058】
図10〜図12は、本発明の他の実施形態を示す。なお、前記実施形態と共通する部材には、同一の符号を付し、それぞれの説明は省略するとともに、本実施形態の特徴について説明する。
【0059】
本実施形態のコーンバルブ10は、周面の傾斜角度が複数段に形成されている。すなわち、図12に示すように、下部側の傾斜角度(コーンバルブ10中心に対する角度)α1が、上部側の傾斜角度α2よりも小さく設定されている。粉粒体を大量に排出する場合には、コーンバルブ10の下降距離が大きくなり、コーンバルブ10の上部側の傾斜角度α2の周面と弁座5bとの間を粉粒体が流れる。
【0060】
粉粒体の排出を少量に調整する場合に、図11に仮想線で示すように、コーンバルブ10が上昇して弁座5bに近付くと、粉粒体は、傾斜角度α1の周面と、弁座5bとの間を通過することとなる。この傾斜角度α1である下部側周面の長さL1の範囲内でジョギング運転を行う際には、コーンバルブ10と弁座5bとの間隔の変化量を小さくできる。すなわち、コーンバルブ10の昇降ストロークを5mmに設定した場合に、傾斜角度α1の周面は、傾斜角度α2の周面に比し、弁座5bとの間隔の変化量が小さくなる。このため、粉粒体の排出量の精度が更に向上し微調整が確実に行える。
【0061】
本発明は、前記実施形態に限定されることはない。例えば、シュート30は、周壁をジャバラ状に形成し、上下に伸縮する構成であってもよい。
【0062】
また、サイロ等のように材料排出装置1と離れた遠隔地から粉粒体を搬送する場合には、図10および図11に示すように、ホッパー6に代えて搬送用シュート27を架台2に接続することも可能である。この搬送用シュート27内には、シリコンゴム等の合成樹脂から可撓性を有する内側シュート27aが設けられている。また、搬送用シュート27には、バイブレータ28が設けられており、このバイブレータ28が内側シュート27aを振動させる構成である。従って、バイブレータ28が内側シュート27aを振動させるため、粉粒体を内側シュート27a内で滞留することなく、シ−トリング5に確実に搬送することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 材料排出装置
2 架台
5 排出部(シ−トリング)
5b 弁座
6 ホッパー
10 バルブ(コーンバルブ)
11 バルブ本体
12 上部材
11d 嵌合凹部(係合手段)
16 係止部材(被係合手段)
19 コイルスプリング(弾性手段)
20 バルブ支持手段
30 シュート
40 バルブ昇降装置
45 サーボモータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体排出部に設けられた弁座を開閉するバルブと、弁座を閉塞する上昇位置と弁座を開放する下降位置とに前記バルブを昇降させるバルブ昇降装置と、前記バルブよりも下方に配置したシュートとを備え、前記バルブの開放時に、シュートを介して粉粒体排出部から粉粒体を排出するようにした粉粒体排出装置において、
前記バルブ昇降装置と前記バルブとをバルブ支持手段で連結し、
前記シュートが可撓性を有する材料から構成され、該シュートの上下部を不動とするとともに、シュートの周壁を前記バルブ支持手段で保持し、
前記バルブ昇降装置が、前記バルブ支持手段を介して前記バルブを昇降させる際に、前記バルブ支持手段がシュートの周壁を上下方向に往復動させることを特徴とする粉粒体排出装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の粉粒体排出装置において、前記バルブが円錐状のコーンバルブからなり、前記バルブ支持手段は、前記シュートの周壁内外に挿通されるアームと、前記シュートの周壁に外嵌される環状の保持部材と、前記コーンバルブを下方から支持するバルブ支持軸とを備えていることを特徴とする粉粒体排出装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載の粉粒体排出装置において、前記コーンバルブが前記弁座を閉塞する際に、前記弁座に対して前記コーンバルブの芯合せをする芯合せ機構が設けられたことを特徴とする粉粒体排出装置。
【請求項4】
前記請求項3に記載の粉粒体排出装置において、前記芯合せ機構は、前記コーンバルブ側に設けられた係合手段と、前記バルブ支持手段側に設けられ且つ前記係合手段が係脱自在に係合する被係合手段と、前記係合手段と被係合手段とを係合する方向に付勢する弾性手段とからなり、
前記コーンバルブが前記弁座を閉塞する際に、前記コーンバルブの前記バルブ支持手段に対する移動を許容すべく、前記係合手段と前記被係合手段との係合が解除され、前記コーンバルブが前記弁座から離間した際に、前記係合手段と前記被係合手段との係合を復帰させることを特徴とする粉粒体排出装置。
【請求項1】
粉粒体排出部に設けられた弁座を開閉するバルブと、弁座を閉塞する上昇位置と弁座を開放する下降位置とに前記バルブを昇降させるバルブ昇降装置と、前記バルブよりも下方に配置したシュートとを備え、前記バルブの開放時に、シュートを介して粉粒体排出部から粉粒体を排出するようにした粉粒体排出装置において、
前記バルブ昇降装置と前記バルブとをバルブ支持手段で連結し、
前記シュートが可撓性を有する材料から構成され、該シュートの上下部を不動とするとともに、シュートの周壁を前記バルブ支持手段で保持し、
前記バルブ昇降装置が、前記バルブ支持手段を介して前記バルブを昇降させる際に、前記バルブ支持手段がシュートの周壁を上下方向に往復動させることを特徴とする粉粒体排出装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の粉粒体排出装置において、前記バルブが円錐状のコーンバルブからなり、前記バルブ支持手段は、前記シュートの周壁内外に挿通されるアームと、前記シュートの周壁に外嵌される環状の保持部材と、前記コーンバルブを下方から支持するバルブ支持軸とを備えていることを特徴とする粉粒体排出装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載の粉粒体排出装置において、前記コーンバルブが前記弁座を閉塞する際に、前記弁座に対して前記コーンバルブの芯合せをする芯合せ機構が設けられたことを特徴とする粉粒体排出装置。
【請求項4】
前記請求項3に記載の粉粒体排出装置において、前記芯合せ機構は、前記コーンバルブ側に設けられた係合手段と、前記バルブ支持手段側に設けられ且つ前記係合手段が係脱自在に係合する被係合手段と、前記係合手段と被係合手段とを係合する方向に付勢する弾性手段とからなり、
前記コーンバルブが前記弁座を閉塞する際に、前記コーンバルブの前記バルブ支持手段に対する移動を許容すべく、前記係合手段と前記被係合手段との係合が解除され、前記コーンバルブが前記弁座から離間した際に、前記係合手段と前記被係合手段との係合を復帰させることを特徴とする粉粒体排出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−131914(P2011−131914A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293108(P2009−293108)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成21年10月21日に粉体工業展大阪2009の博覧会にて発表
【出願人】(393020281)東洋ハイテック株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成21年10月21日に粉体工業展大阪2009の博覧会にて発表
【出願人】(393020281)東洋ハイテック株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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