説明

粉粒体搬送用分岐装置

【課題】分岐・排出の際に装置内の粉粒体による摩耗が少なく且つ装置内に粉粒体が残留又は付着しがたい構造とすると共に、排出口の間隔を短くすることが可能な粉粒体搬送用分岐装置を提供する。
【解決手段】1つの投入口110と2つの排出口120、130を有する筐体150を備え、前記投入口から投入される粉粒体の種類に応じて、前記2つの排出口のどちらに排出するかを振り分ける分岐部材140を前記筐体内に有する粉粒体搬送用分岐装置100において、前記分岐部材が、分岐平面板144の中央位置に回転軸146を備え、前記分岐平面板の両側面に扇形状板142が垂設された形状を有しており、前記回転軸を中心に前記分岐部材が回動することによって、前記投入口から投入される粉粒体を前記2つの排出口のどちらかに分岐排出する機構を備えたことによって、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント・化学製品・肥料・穀物等の粉粒体を一つの投入口から投入し、粉粒体の種類に応じて目的の搬送方面に分岐・排出する粉粒体搬送用分岐装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、セメント・化学製品・肥料・穀物等の粉粒体を分岐・排出する粉粒体搬送用分岐装置として、四角形のゲート板と、そのゲート板の一つの辺に沿って回転軸が存在するゲート板部材を分岐装置の筐体内に備え、回転軸を左右に回転することによって2つの方向に分岐排出するものが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実公平3−46282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述したような粉粒体搬送用分岐装置の構造では、ゲート板部材の回転軸とゲート板の取付部に粉粒体が堆積して残る粉粒体(残留物)が存在し、種類の異なる粉粒体を投入すると残った粉粒体と新しい粉粒体が混ざってしまい、粉粒体の搬送品質を低下させるという課題があった。
【0004】
更には、装置の筐体内側に粉粒体がこびり付いて残る粉粒体(付着物)が存在し、ゲート板を回転させて分岐方向を変えたとしても残った粉粒体と新しい粉粒体が混ざってしまい粉粒体の搬送品質を低下させるという課題が指摘されていた。また、ゲート板部材や筐体内側に粉粒体が激しく衝突するため、これらの部材が摩耗し、装置の寿命が短くなるという課題も懸念されていた。
【0005】
そこで、本発明の目的は、分岐・排出の際に装置内の粉粒体による摩耗が少なく且つ装置内に粉粒体が残留及び付着し難い構造とすると共に、装置の長寿命化が可能な粉粒体搬送用分岐装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、1つの投入口と2つの排出口を有する筐体を備え、前記投入口から投入される粉粒体の種類に応じて、前記2つの排出口のどちらに排出するかを振り分ける分岐部材を前記筐体内に有する粉粒体搬送用分岐装置において、前記分岐部材が、分岐平面板の中央位置に回転軸を備え、前記分岐平面板の両側面に扇形状板が垂設された形状を有しており、前記回転軸を中心に前記分岐部材が回動することによって、前記投入口から投入される粉粒体を前記2つの排出口のどちらかに分岐排出する機構を備えたことによって、上記の課題を解決するものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、分岐部材が、分岐平面板の中央付近で山折り屈曲されていることによって、上記の課題をさらに解決するものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明の構成に加えて、分岐部材の表面にセラミックス板が貼り付けられていることによって、上記課題をさらに解決するものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3に係る発明の構成に加えて、投入口近傍において、分岐部材の扇形状板は、筐体側板と投入部側板とによって挟持されていると共に、前記扇形状板の上端部と前記筐体側板と前記投入部側板とによって形成される空間に、封止部材を有することによって、上記の課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、1つの投入口と2つの排出口を有する筐体を備え、前記投入口から投入される粉粒体の種類に応じて、前記2つの排出口のどちらに排出するかを振り分ける分岐部材を前記筐体内に有する粉粒体搬送用分岐装置において、前記分岐部材が、分岐平面板の中央位置に回転軸を備え、前記分岐平面板の両側面に扇形状板が垂設された形状を有しており、前記回転軸を中心に前記分岐部材が回動することによって、前記投入口から投入される粉粒体を前記2つの排出口のどちらかに分岐排出する機構を備えているので、分岐部材の分岐平面板上に粉粒体が堆積せず、残留物をなくすことができる。更に、装置の筐体内側の側面には、粉粒体が直接接触しにくく、付着物を少なくすることができ、搬送品質を向上させることができると共に、筐体の摩耗が少なく装置の耐摩耗性が向上する。さらに、粉粒体が直接接触する分岐部材を交換可能とすることによって、装置のメンテナンス負担が軽減される。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、分岐部材が、分岐平面板の中央付近で山折り屈曲されていることによって、2つの排出口間の間隔を短くすることができ、装置の小型・省スペース化が図られる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明の構成に加えて、分岐部材の表面にセラミックス板を貼り付けることによって、分岐部材の摩耗が少なく、分岐部材の長寿命化が図られる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3に係る発明の構成に加えて、投入口近傍において、分岐部材の扇形状板は、筐体側板と投入部側板とによって挟持されていると共に、前記扇形状板の上端部と前記筐体側板と前記投入部側板とによって形成される空間に、封止部材を有することによって、装置内の密閉率が向上し、粉粒体が隙間から漏れて外部に出ていくことを防止できる。また、分岐部材端面への粉粒体の堆積を極力少なくすることができ、搬送品質を一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図4に基づいて説明する。図1は、本発明の粉粒体搬送用分岐装置の内部構造が分かるように、その一部を切り欠いて示した斜視図である。図2は、図1に示した粉粒体搬送用分岐装置の前面の筐体を外した状態で示した側面図である。図3は、図2の前面の筐体を嵌めた状態で3−3線で切断した断面図と、その断面図においてA部として示された部分の拡大図である。図4は、本発明の分岐部材だけを2方向から示した斜視図である。
【0015】
図1及び図2に示すように粉粒体搬送用分岐装置100は、1つの投入口110と2つの排出口120、130を有する筐体150を備えており、投入口110から投入される粉粒体の種類に応じて、2つの排出口120、130のどちらに排出するかを振り分ける分岐部材140を筐体150内に有している。本実施例においては、筐体150を多角形状にしているため円弧形状の場合に比べて加工性が向上している。
【0016】
分岐部材140は、図4に明示されるように、分岐平面板144の中央付近に回転軸146を備えていると共に、分岐平面板144の両側面に扇形状板142が垂設された形状を有している。そして、回転軸146を中心に分岐部材140を回動させることによって、投入口110から投入された粉粒体を2つの排出口120、130のどちらかに分岐排出する機構を構成している。
【0017】
分岐部材140の分岐平面板144は、回転軸146が設けられた中央付近において山折り屈曲されているため、分岐平面板144の両側面に垂設された扇形状板142は、中心角度が180°以上になっている。分岐部材140を、このような形状にしたことによって、2方面の排出口120と排出口130の間隔を短くすることができる。
【0018】
図1及び図2に符号154及び符号156を付した部材は、投入部傾斜板であって、排出口130に粉粒体を排出する際に、分岐平面板144の上端部が投入部傾斜板154の裏面と接触し、分岐部材140のそれ以上の回転を規制している。同様に、排出口120に粉粒体を排出する際に、分岐平面板144の上端部が投入部傾斜板156の裏面と接触し、分岐部材140のそれ以上の回転を規制している。この分岐部材140の回転は、図3に示したように、装置の外部に設けたモータ170の正逆回転によって行われる。そして、分岐部材140の回転が規制される位置を、図2に仮想線で示したリミットスイッチ172で検出し、モータ170のON・OFF制御が行われる。
【0019】
また、図3に示したように、分岐部材140の側板、すなわち扇形状板142は、筐体150の側板152に摺接している。そして、投入口110の近傍において、扇形状板142は、筐体側板152と、投入口110の縁から延設された投入部側板158とによって挟持されていると共に、扇形状板142の上端部と筐体側板152と投入部側板158とによって形成される空間に、封止部材160が配置されている。投入口110の近傍の構造をこのようにすることによって、投入口110から投入された粉粒体が、扇形状板142と筐体側板152の間に入り込むことを防止すると共に、扇形状板142の上端部に堆積した粉粒体が、排出方向を変えた際に、新たな排出方向に混入して、搬送品の品質を低下させることが抑制される。
【0020】
分岐部材140は、例えば、鋼板などの剛性部材で作られるが、その表面にセラミックス板を貼り付けることで分岐部材140の耐摩耗性を向上できる。更に水分を含んだ粉粒体が付着することを抑制するためテフロン(登録商標)加工を施したり、乾燥した粉粒体が静電気によって付着することを抑制するため静電気防止加工を施すことが好ましい。
【0021】
なお、図1及び図2において、符号180を付した部材は、筐体150内の様子を点検したり、清掃作業を行うための点検窓を示しており、レバー182の操作によって簡単に筐体内部を点検できるようになっており、粉粒体搬送用分岐装置100のメンテナンス負担を軽減している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の粉粒体搬送用分岐装置の一部を切り欠いて示した斜視図。
【図2】図1に示した粉粒体搬送用分岐装置の前面の筐体を外した状態で示した側面図。
【図3】図2の前面の筐体を嵌めた状態で3−3線で切断した断面図。
【図4】本発明の分岐部材だけを2方向から示した斜視図。
【符号の説明】
【0023】
100 ・・・ 粉粒体搬送用分岐装置
110 ・・・ 投入口
120、130 ・・・ 排出口
140 ・・・ 分岐部材
142 ・・・ 扇形状板
144 ・・・ 分岐平面板
146 ・・・ 回転軸
150 ・・・ 筐体
152 ・・・ 筐体側板
154、156 ・・・ 投入部傾斜板
158 ・・・ 投入部側板
160 ・・・ 封止部材
170 ・・・ モータ
172 ・・・ リミットスイッチ
180 ・・・ 点検窓
182 ・・・ レバー




【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの投入口と2つの排出口を有する筐体を備え、前記投入口から投入される粉粒体の種類に応じて、前記2つの排出口のどちらに排出するかを振り分ける分岐部材を前記筐体内に有する粉粒体搬送用分岐装置において、
前記分岐部材が、分岐平面板の中央位置に回転軸を備え、前記分岐平面板の両側面に扇形状板が垂設された形状を有しており、前記回転軸を中心に前記分岐部材が回動することによって、前記投入口から投入される粉粒体を前記2つの排出口のどちらかに分岐排出する機構を備えたこと
を特徴とする粉粒体搬送用分岐装置。
【請求項2】
前記分岐部材が、前記分岐平面板の中央付近で山折り屈曲されていること
を特徴とする請求項1に記載の粉粒体搬送用分岐装置。
【請求項3】
前記分岐部材の表面にセラミックス板が貼り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉粒体搬送用分岐装置。
【請求項4】
前記投入口近傍において、前記分岐部材の前記扇形状板は、筐体側板と投入部側板とによって挟持されていると共に、前記扇形状板の上端部と前記筐体側板と前記投入部側板とによって形成される空間に、封止部材を有すること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の粉粒体搬送用分岐装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−327774(P2006−327774A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155437(P2005−155437)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000150811)株式会社椿本バルクシステム (33)
【Fターム(参考)】