説明

粒子分粒捕集機構

【課題】捕集板上に濃淡や縞が生じないようにするとともに、粒子を均一に堆積することができるようにした粒子分粒捕集機構を提供する。
【解決手段】ノズルプレート1と対向するように配設され、ノズルプレートのノズルを通過した気体を衝突させて浮遊粒子を捕集する捕集板と、捕集板を回転させる回転機構とを備えた粒子分粒捕集機構であって、ノズルプレート1に形成されるノズルが、少なくとも1本の曲線スリット6からなり、捕集板の回転軸を延長した線上にくるノズルプレートの位置をノズルプレートの中心として、ノズルプレート1の中心近傍の円形領域2を除いた円環状領域3内で、この曲線スリット6が当該円環状領域3の内周円4から外周円5に向かう曲線を形成するようにすることで、均一な分布にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中に浮遊する粒子状物質(PM)を分粒捕集する機構に関する。本発明は、例えば、大気中に浮遊する粒子状物質を粒径ごとに分粒して捕集するカスケードインパクタ型サンプラの粒子分粒捕集機構(分粒捕集装置)として利用される。
【背景技術】
【0002】
大気中にはさまざまな粒径の浮遊粒子状物質が存在する。大気中に浮遊する粒子状物質であって、空気動力学粒径(以下粒径と略称)が10μm以下のものは、我が国では浮遊粒子状物質(SPM)と呼ばれ、環境基準が定められ環境濃度監視の対象となっている。
大気中に浮遊する粒子状物質(PM)は、土壌性粒子、海塩粒子、火山噴出物のような自然発生源粒子および工場・事業所からのばい煙、ガソリン自動車やディーゼルからの排気粒子のような人為的発生源粒子からなる一次粒子と、硫黄酸化物、窒素酸化物、炭化水素類等のガス状物質が大気中で粒子化する二次生成粒子とからなっている。
発生源あるいは生成由来の相違を反映して、大気中に浮遊する粒子状物質(PM)の化学成分は粒径によって著しく異なっている。したがって、大気中に浮遊する粒子状物質(PM)の化学成分を粒径別に測定することによって、その発生源あるいは生成由来の特徴をより詳細に把握できる。
大気中に浮遊する粒子状物質(PM)のうちで、粒径が2.5μm以下のものは、特に微小粒子状物質(PM2.5)と呼ばれている。微小粒子状物質(PM2.5)は、ヒトが呼吸したときに肺の奥深くまで達するため、特に健康への悪影響が懸念されている。
そのために、大気中に浮遊する粒子状物質(PM)を分粒捕集して、浮遊粒子状物質(SPM)および微小粒子状物質(PM2.5)について、それらの質量濃度とともに化学成分濃度が測定される。
【0003】
インパクタは小さな円形または矩形のノズルから衝突捕集板に向かって粒子を含む気流(エアロゾル)を吹き付け、慣性力によって粒子を衝突捕集板上に沈着させるものである。これを数段直列に連結し、ノズルを通過する流速を下段にいくにしたがって高速にした分粒機構がカスケードインパクタであり、大気中に浮遊する粒子状物質(PM)を詳細に分粒捕集するための粒子捕集装置に利用される。
吹き出しノズルあるいはスリットの形状寸法、流量、捕集段数など種々のものがあるが、一般に粒径0.5〜20μm程度の粒子を分粒捕集の対象とし、それより小さい粒子は最終部につけたバックアップフィルタで捕集する。
ノズルから吹き出す粒子の慣性衝突による捕集効率は、Ranzら(1952)以来多くの研究者によって研究されている。
気流に含まれる粒子の限界流跡線についての理論式の完全解を得ることはできないが、解の関数型を考察して、粒子の衝突効率は慣性力の大きさを示す尺度であり次式で定義されるストークス数Stkのみの関数となることが知られている。

Stk = Cρpv0Dp2/(9μDc)

ここで、
C = カニンガム補正項,無次元(1.00+0.16x10-4/Dp)
ρp = 粒子密度(g/cm3
v0 = 流速(cm/sec)
Dp = 粒子の実効粒径(cm)
μ = 空気の粘性率(ポアズ)
Dc = 円形ノズルの直径または矩形の場合の幅(W)(cm)

捕集効率が50%となるような粒径はECD(effective cut-off diameter)、通称50%捕集粒径(Dp50)といい、このときのStkがStk50と表される。すなわち、

√(Stk50) = √(Cρpv0/(9μDc))Dp50= √(Cv0/(9μDc))(√(ρp)Dp50

であり、√(Stk50)は吹き出しノズルの形状寸法やノズルと衝突捕集板との距離Sによるが、例えば円形(S/Dc=1.0)では0.48、矩形(S/W=1.0)では0.70との理論計算結果が得られている。また、空気動力学粒径では、ECDは(√(ρp)Dp50)である。
この関係を利用して、0.5〜20μmの粒径範囲で任意のECDの捕集段を設計製作することができる。
捕集段ごとにECDが異なる衝突捕集段を適当に連結したカスケードインパクタ型サンプラを用いて、大気中の浮遊粒子状物質(PM)を粒径の大きいものから逐次分粒捕集される。各捕集段の衝突捕集板に沈着した粒子の質量やその化学成分を測定して、粒径分布のデータが得られる。
【0004】
カスケードインパクタ型サンプラの従来例としては、複数の分粒捕集段が直列に接続され、各捕集段には、外気または直前の捕集段から流入する気体をノズルを通して放出するためのノズルプレートと放出された気体を衝突させて気体中の粒子を捕集する衝突捕集板があり、衝突捕集板に衝突した気体を後段に導く流路を備えているものが開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
このタイプのカスケードインパクタ型サンプラでは、ノズルプレートには孔径の等しい円形小孔が多数個穿孔形成されている。各捕集段の全ノズルを通過する気体の合計流量は一定であり、下段側の捕集段になるほどノズルを通過する気流の速度を高速にするためにノズル径と個数を調節し、また衝突捕集板に気体が偏りなく吹き付けられるようにノズルプレートのノズル位置が配置されている。
そして最下段側に取り付けたエアポンプを稼働すると、最上段側に設けた吸入口から気体が吸入され、各捕集段ではその捕集段で規定された粒子粒径の捕集効率にしたがって粒子が衝突捕集板(一般には板上に置かれたフィルタ等の捕集材)上に沈着捕集されながら、順次、下段の捕集段に流れていく。このようにして、上段の捕集段には粒径が大きい粒子が捕集され、下段になるにつれて粒径の小さい粒子が捕集されるようにしてある。
そして上記文献では、カスケードインパクタ型サンプラによって捕集された粒子は、イオンクロマトグラフ分析法によるイオン種分析を行ったり、ICP質量分析法による元素分析などを行ったりするための分析試料として利用される。
【0006】
ところで、捕集材に捕集された粒子の成分を分析する上で、既述のイオン種分析、元素分析以外の分析方法、特に湿式の化学操作を行わない非破壊分析法で試料の分析を行いたい場合がある。例えば、PIXE(Proton Induced X-ray Emission)法や蛍光X線分析法によって、捕集材上に堆積した粒子試料を計測したい場合である。蛍光X線分析法で精度よく元素分析するためには、捕集材上のX線が照射される測定領域内で、粒子が均一に堆積されていることが必須である。さらに高感度な元素分析法であるPIXE法を適用して定量分析する場合には、分析試料の均一性がさらに厳しく求められる。
しかしながら、上述したカスケードインパクタ型サンプラでは、捕集材に堆積した粒子は、ノズルの配置を反映した斑点模様になっており、捕集材上に不均一に堆積されている。そのため、蛍光X線分析を行うと、粒子が不均一に堆積されていることによって、精度のよい測定を行うことが困難であった。蛍光X線分析以外の分析手法であっても、捕集材上に均一に堆積されることが求められる測定手法であれば、精度の高い測定が困難になる問題が生じる。また、捕集材上に不均一に堆積した粒子試料から、正確に一定量を取り出して、分析に供することは困難である。
【0007】
また、カスケードインパクタでは、一旦、捕集材に衝突して堆積した粒子が「再飛散」によって、再び捕集材から離れ、気流によって流されてしまうことがある(特許文献2参照)。カスケードインパクタの場合、捕集材に堆積した後に再飛散した粒子は、後段の捕集段に設けられた捕集材に堆積することになる。このような現象は分粒性能を悪化させ誤差の要因となる。粒子の再飛散は、主として既に相当量の粒子が堆積しているとき、後からノズルを通過したエアロゾルが堆積している粒子と衝突することによって生じる。
したがって、捕集材に堆積した粒子が再飛散して再び捕集材から離れることを防ぐには、気流の衝突する衝突捕集板の位置に堆積する粒子の量を減らすことが必要であり、捕集材の全面にわたって万遍なく粒子が均一に堆積捕集されるようにすることが望ましい。
【0008】
そのため、衝突捕集板の全面にわたって、できるだけ均一に堆積させることを目的として、捕集段に衝突捕集板を回転させる回転機構を備え、衝突捕集板を回転しながら捕集することにより、粒子の堆積位置が一部に偏らないようにしたカスケードインパクタが開示されている(特許文献2参照)。
【0009】
また、採集ディスク(衝突捕集板)の軸線を、穿孔円板(ノズルプレート)の軸線に対し偏心するように配置するとともに、穿孔円板にはその軸線と同軸の同一周縁上に複数の孔を形成し、採集ディスクを回転させることにより、採集ディスク上に集められる粒子デポジットが、幅広の環状面積を均等に占めるとするカスケードインパクタが開示されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−101331号公報
【特許文献2】特表2007−501399号公報
【特許文献3】特開昭60−157036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2に記載されているように、回転機構で衝突捕集板を回転することにより、粒子が捕集材上で斑点模様を形成するように堆積することはなくなる。しかしながら、捕集材に捕集される粒子は、円環状の縞模様を形成することになる。すなわち、ノズルプレートには孔径の等しい多数個の円型ノズルが穿孔されており、これらのいずれか1つのノズルに着目すると、このノズルから吹き出される気体が衝突する衝突捕集板の位置が回転することにより円環状の軌跡を描くようになるので、粒子は円環状に堆積する。個々のノズルの孔径が100μmであるなら、それぞれのノズルから吹き出された気流が衝突する位置に、孔径より若干幅の広い円環状の縞模様が形成される。その結果、回転機構により円周方向には粒子を均一に堆積できたとしても、半径方向には不均一に堆積することになっていた。
【0012】
これに対し、特許文献3に記載されているように、採集ディスク(衝突捕集板)の軸線を、穿孔円板(ノズルプレート)の軸線に対し偏心することにより、半径方向の不均一さは、さらに改善されるようになる。しかしながら、たとえ軸線を偏心させたとしても、円環状の縞模様をなくすことはできず、依然として、半径方向に円環状の不均一さに起因する模様が生じることとなっている。
【0013】
ここで、採集ディスクと穿孔円板とを偏心させた場合でも円環状の不均一が残ることについて説明する。図7は、穿孔円板(ノズルプレート)に対し、採集ディスク(衝突捕集板)を偏心させて回転したときのデポジットの全体分布を説明するための特許文献3に記載された図である。また、図8は、図7で穿孔円板(ノズルプレート)に形成された孔のうち特定の穿孔によるデポジットの分布を説明するための図である。
【0014】
穿孔円板102にあけた各孔104の直径をDc、採集ディスク101の軸線Uと穿孔円板102の軸線Vとの偏心距離をeとする。また、穿孔円板102の軸線Vと同軸で同一周縁105上に配置された孔104、104、・・・のそれぞれと穿孔円板102の軸線Vとの距離をrとする。
採集ディスク101の軸線Uから最も遠い位置の孔104outによる粒子デポジットまでの距離doutは、孔104が採集ディスク101の軸線Uと穿孔円板102の軸線Vとを結ぶ直線の軸線V側の延長上にあるときで、最長長さが(r+e)となる。逆に、最も近い位置の孔104inは、孔104が採集ディスク101の軸線Uと穿孔円板102の軸線Vとを結ぶ直線の軸線U側の延長上にあるときで最短長さdinが(r−e)となる。すなわち、図8に示すように、穿孔円板102の軸線Vの位置を原点とし、原点と最長長さとなる孔104outとを結ぶ方向を基準方向とし、原点から軸線Vを中心とする半径rの円周上の任意の位置にある孔104となす角をθとすると、軸線Uの位置から孔104までの距離dxは、次式になる。

dx = √ (e2 + rO2 + 2erOcosθ)

θは0≦θ≦2πであり、したがって、dxの最長長さdoutは(r+e)、最短長さdinは(r−e)となる。
【0015】
採集ディスク101が1回転することによって、最も遠い孔104outによる粒子デポジットは、採集ディスク101の軸線Uを中心として半径(r+e)で幅Dcとなる円環のデポジットとなり、その環状面積Soutは、次式となる。

Sout = 2π (rO + e) Dc

最も近い孔104inによる粒子デポジットは、採集ディスク101の軸線Uを中心として半径(r−e)で幅Dcとなる円環のデポジットとなり、その環状面積Sinは、次式となる。

Sin = 2π (rO - e) Dc

【0016】
孔104outと孔104inをそれぞれ通過する空気量は等しいから、それぞれの環状面積にデポジットする粒子の全量は等しくなる。したがって、デポジットする粒子の濃度密度は環状面積に反比例する。これらの環状面積の比Rs(=Sin/Sout)は、次式となる。

Rs = (rO - e) / (rO + e)

採集ディスク101上の粒子デポジットは、デポジットされる全面積103にわたって均等になるのではなく、外側ほど単位面積あたりのデポジット量が少なくなる。
【0017】
例えば、直径47mmの採集フィルタ上に、幅1cmで環状に粒子をデポジットする場合を考える。
=1.7cm、e=0.5cmに選ぶと、半径1.2cmと2.2cmの円に囲まれた幅1cmの環状の粒子デポジットが得られる。このとき、面積比Rs(=Sin/Sout)=0.55となり、孔を通過して採集ディスク101に慣性衝突する単位面積あたりの空気量は、半径2.2cmの最も外側部分は半径1.2cmの最も内側部分の55%となる。最も外側部分と最も内側部分との中間部分は、内側に近づくほどデポジット量が多くなる。したがって、採集ディスク(衝突捕集板)上に集まる粒子デポジットは、円周方向には均等化することはできるが、半径方向には、円環状の縞模様あるいは濃淡模様が残ってしまうことになる。
【0018】
孔104outおよび孔104inと同一周縁105上に配置される孔104、104、・・・を増やすことで重ね塗りを行ったとしても、縞模様や濃淡模様は完全に消すことはできない。
【0019】
そこで、本発明は、捕集材上に斑点模様や円環状の縞模様が生じないようにするとともに、粒子を理想的な均一度で堆積することができるようにしたカスケードインパクタ型の粒子分粒捕集機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するためになされた本発明のカスケードインパクタ型の粒子分粒捕集機構は、浮遊粒子を含む気体を吸入する少なくとも1つの捕集段を有し、各捕集段内には、気体が通過するノズルが形成されたノズルプレートと、ノズルプレートと平行に配設されノズルを通過した気体を衝突させて浮遊粒子を捕集する衝突捕集板と、その捕集板を回転させる回転機構と、捕集板に衝突した気体を下段へ流出させる排出流路を備えた構造であり、以下の特徴的な構成を備えている。
【0021】
すなわち、この粒子分粒捕集機構におけるノズルプレートには幅が一定の曲線スリット形状のノズルが少なくとも1本形成される。この曲線スリットは、衝突捕集板の回転軸を延長した線上にくるノズルプレートの位置をノズルプレートの中心として、ノズルプレートの中心近傍の円形領域を除いた円環状領域内で、当該円環状領域の内周円から外周円に向かうように形成される。そして曲線スリットの好ましい位置や形状は、以下の計算に基づいて設計される。
【0022】
粒子を均一に堆積捕集するためには、ノズルから吹き出される気流を衝突捕集板上に均一に衝突させる必要があり、これを実現できるノズルプレート上のスリット形状を次のようにして計算する。
衝突捕集板の中心から半径r1の最内周円と半径rmの最外周円で囲まれる円環状領域内に粒子を堆積捕集するものとする。ノズルプレート上で半径r0とr1(=r0+d)の円で囲まれる細い円環状領域の面積をS0とすると、

S0 = π(r0 + d)2 − π r02 = π(r12 - r02

同様に、半径r2,r3,.....,rn,.....の円を、隣り合う円で囲まれる細い円環状領域の面積がS0と等しくなるように定義する。すなわち、

S0 = π(r22 - r12)= π(r32 - r22)= π(r42 - r32)= ..... = π(rn2 - rn-12)= .....

したがって、n番目の円環状領域の外周円の半径rnは、与えられたr0とdの値から次のように計算される。

rn = √(r02 + 2ndr0 + nd2

【0023】
この計算結果に基づいて、半径r1の円上の任意の点P1を選び、点P1からの距離がdで半径r2の円上にある2点の位置を計算し、点P1に立てた法線との角度がπ/2以内の方向の点を点P2とする。同様にして点P2からの距離がdで半径r3の円上にある点P3の位置を計算する。このような計算を繰り返して最外周円での点Pmまでの位置を計算する。dの値を調整することによって必要な精度で点の位置を計算することができる。得られた点P1からPmの点群をつなぎ合わせて得る線を中心として細い一定幅のスリットを形成し、衝突捕集板を一定速度で回転させると、スリットから吹き出された気流が衝突捕集板上の半径r1の最内周円と半径rmの最外周円で囲まれる円環状領域の衝突通過した領域では、単位面積あたりに衝突する気体流量は均一になる。その結果、気流に含まれる粒子が均一に衝突捕集されることになる。
【0024】
スリット幅Wは、装置の空気吸入速度、捕集段の50%捕集粒径等の条件が決められると、ストークス数の定義式を使って計算でき、その分粒捕集特性は標準粒子を用いて測定することで確認される。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、ノズルプレートに形成するノズル形状を、円形小孔ではなく曲線スリットとして、また、ノズルプレート上で曲線スリットが形成される位置を、ノズルプレートの中心近傍を除いた円環状領域内として、さらに、曲線スリットが円環状領域の最内周円から最外周円に向かう弓状の曲線を形成するようにしたことにより、曲線スリットを通過した粒子は、一定速度で回転させた衝突捕集板上に単位面積あたり一定流量の気流が衝突することになり、その結果、斑点模様や同心円状の縞模様ではなく、均一に粒子を沈着捕集できるようになる。
また、衝突捕集板の回転方法を制御することによって、半径r1の最内周円と半径rmの最外周円で囲まれる円環状領域の特定領域のみに限って衝突捕集して、単位面積あたりの吸入空気量を多くできる。さらに、時間帯によって沈着領域を制御することによって、例えば昼夜間を区別して粒子捕集をすることができる。
さらに、衝突捕集板の中心近傍に粒子が堆積しないブランク領域を設けることができるので、衝突捕集板上に置かれたフィルタ等の捕集材のこの部分を蛍光X線分析等でのフィールドブランク試料として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態である粒子分粒捕集機構の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態である粒子分粒捕集機構で用いられる曲線スリットが形成されたノズルプレートの例を示す図である。
【図3】ノズルプレートに形成される曲線スリットの形状を説明する図である。
【図4】滑らかな曲線スリットになるように設計したノズルプレートの設計例を示す図である。
【図5】本発明のノズルプレートを用いたときに捕集材に堆積する粒子状態を示す写真である。(粒径2.5−7.0μm)
【図6】本発明のノズルプレートを用いたときに捕集材に堆積する粒子状態を示す写真である。(粒径0.45−2.5μm)
【図7】穿孔円板(ノズルプレート)に対し採集ディスク(衝突捕集板)を偏心させて回転したときのデポジットの全体分布を説明するための図である。
【図8】図7で穿孔円板(ノズルプレート)に形成された孔のうち特定の孔によるデポジットの分布を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の粒子分粒捕集機構について図面を用いて説明する。ここでは、捕集段を直列に接続した構造のカスケードインパクタ型の粒子分粒捕集機構を例にして説明するが、本発明は、必ずしも以下の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜修正、変更することが可能である。
また、説明の便宜上、カスケードインパクタ型の粒子分粒捕集機構の全体構造について先に説明し、本発明の重要な要素であるノズルプレートのスリット形状については、その後に説明する。
【0028】
(粒子分粒捕集機構の構造)
図1は本発明の一実施形態であるカスケードインパクタ型の粒子分粒捕集機構の構成を示す断面図である。この粒子分粒捕集機構10は、大気吸入孔11とそれに接続された粒径10μm以上の粒子を分粒捕集する衝突捕集板21を有する前置衝突捕集段12、ノズルプレート31と対になる衝突捕集板32とそのホルダ33および電動モータを収納した回転機構34を有する第一捕集段13、ノズルプレート41と対になる衝突捕集板42とそのホルダ43および電動モータを収納した回転機構44を有する第二捕集段14、バックアップフィルタ51とそのホルダ52を有する最終部15(最終段)が、この順で直列に接続された構造を有する。
この粒子分粒捕集機構10は、加工性、耐食性に優れ、かつ、帯電の影響を避けるため、吸入された大気が直接触れる部分は、アルミ合金などの金属製材料で形成され、バックアップフィルタホルダ52のみが樹脂系材料を使用するようにしてある。
最終部15の出口には吸入ポンプに接続される吸入孔があり、図示しないエアポンプが接続してあり、これを作動することで粒子分粒捕集機構内の流路に気体が流れるようにしてある。
正確な分粒捕集特性を維持するためには、粒子分粒捕集機構内を流れる気体を一定流量に維持する必要があり、エアポンプの吸入速度を制御することにより、規定の流量を維持することができる。以下、各段ごとに順次説明する。
【0029】
大気吸入孔11は、浮遊粒子が含まれる大気を吸入し、前置衝突捕集段12に導く。
前置衝突捕集段12では、大気吸入孔11の真正面の位置に、吸入された大気が最初に衝突する衝突捕集板21が設けてある。
衝突捕集板21は、小孔やスリットが形成されていない円板であり、吸入された大気が衝突したときに、大気中に含まれる浮遊粒子のうち、粒径10μm以上の粒子がこの衝突捕集板上に捕集されるようにしてある。具体的には、最初に装置の吸入速度を決め、衝突捕集板21の直上の円形孔とで衝突捕集段を形成するとして、既述のストークス数Stkを計算して最適の円形孔の口径を決め、粒径10μm以上の浮遊粒子が衝突捕集板21に衝突すると、慣性力で捕集されるようにしてある。
【0030】
前置衝突捕集段12の下方に続く気体流路は第一捕集段13に接続されている。衝突捕集板21に衝突した気体は、衝突捕集板21の外周側にある壁面との隙間を通って、粒径10μm以上の浮遊粒子が取り除かれた気体が次の第一捕集段13に流入していく。
【0031】
第一捕集段13では、前置衝突捕集段12の排出流路に接続して、ノズルプレート31が取り付けられている。
ノズルプレート31の下には、ノズルプレート31と対をなすホルダ33があり、ホルダ33の上面に適当な材質のフィルタ等の衝突捕集板32が装着保持してある。取り外し可能なホルダ33は回転機構34に装着固定されていて、これを作動することにより、ホルダ33とともに衝突捕集板32が回転するようにしてある。回転機構34は、ホルダ33の回転が気体の流れに影響を及ぼさないように、ゆっくりとした速度で回転するようにしてある。
【0032】
前置衝突捕集段12から流れ込んだ気体は、ノズルプレート31に形成されたスリット31aを通過しなければ第一捕集段13に流れ込めないようにしてある。
【0033】
ノズルプレート31に形成されるスリット31aは、装置に定流量で大気が吸入されたとき、スリット31aを通過した気流に含まれる粒径2.5μmの浮遊粒子の50%が、慣性力によって衝突捕集板32上に捕集できるように設計製作してある。
すなわち、既述のストークス数Stkの計算式を用いて、捕集効率が50%となる粒径が2.5μmとなるように、気流のスリット通過流速とスリット幅の関係を計算し、決められた装置の大気吸入速度に対するスリット形状の諸元が決められる。製作されたスリットの分粒捕集特性は粒径と密度が正確に規定されている標準粒子を用いた試験で確認されている。なお、スリット31aの形状については、後述する。
【0034】
衝突捕集板32は、気体中に含まれていた浮遊粒子を衝突させて捕集して、成分分析等の供試試料とするためのものであり、各種素材の市販フィルタ等から、対象成分に応じて利用される測定手法に適した捕集材が選択される。
【0035】
ホルダ33および回転機構34の外周側および回転機構34の下方には、排出流路13aとなる空間が形成してある。衝突捕集板32に衝突した気体は、排出流路13aを通って、次段の第二捕集段14に流入する。
【0036】
第二捕集段14は、ノズルプレート41を除いて、第一捕集段13と同じ構造を有している。すなわち、第二捕集段14では、第一捕集段13の排出流路13aとの境界部分に、ノズルプレート41が取り付けられている。
ノズルプレート41の下には、ノズルプレート41と対をなすホルダ43があり、ホルダ43の上面に適当な材質のフィルタ等の衝突捕集板42が装着保持してある。
取り外し可能なホルダ43は回転機構44に装着固定されていて、これを作動することにより、ホルダ43とともに衝突捕集板42が回転するようにしてある。回転機構44は、ホルダ43の回転が気体の流れに影響を及ぼさないように、ゆっくりとした速度で回転するようにしてある。
【0037】
第一捕集段13から流れ込んだ気体は、ノズルプレート41に形成されたスリット41aを通過しなければ第二捕集段14に流れ込めないようにしてある。
ノズルプレート41に形成されるスリット41aは、装置に定流量で大気が吸入されたとき、スリット41aを通過した気流に含まれる粒径0.45μmの浮遊粒子の50%が、慣性力によって衝突捕集板42上に捕集できるように設計製作してある。
すなわち、既述のストークス数Stkの計算式を用いて、捕集効率が50%となる粒径が0.45μmとなるように、気流のスリット通過流速とスリット幅の関係を計算し、決められた装置の大気吸入速度に対するスリット形状の諸元が決められる。製作されたスリットの分粒捕集特性は粒径と密度が正確に規定されている標準粒子を用いた試験で確認されている。なお、スリット41aの形状については後述する。
【0038】
ホルダ43および回転機構44の外周側および回転機構44の下方には、排出流路14aとなる空間が形成してある。衝突捕集板42に衝突した気体は、排出流路14aを通って、次段の最終部15に流入する。
【0039】
最終部15では、バックアップフィルタホルダ52に装着されたバックアップフィルタ51で気体に含まれる浮遊粒子が濾過捕集された後、最終部15の出口に向けて吸入されていくようにしてある。
【0040】
バックアップフィルタ51では、気体に含まれる浮遊粒子が濾過捕集されるが、その粒径は主として0.45μm以下のものである。バックアップフィルタ51は成分分析等の供試試料とされるものであり、石英繊維、テフロン(登録商標)、ポリカーボネートなどの各種素材製の市販フィルタ等から、対象成分に応じて利用される測定手法に適した捕集材が選択される。
【0041】
そして、最終部15の出口に達した気体は、吸入ポンプによって大気中に排出されるようにしてある。
【0042】
(ノズルプレートのスリット形状)
次に、第一捕集段13、第二捕集段14のノズルプレート31、41上に形成するスリットの形状について説明する。
図1で説明したように、各分粒捕集段(第一捕集段13、第二捕集段14)は、気体が通過する曲線スリット31a、41aが形成されたノズルプレート31、41、ノズルプレート31、41と平行に配設され曲線スリット31a、41aを通過した気体を慣性衝突させて浮遊粒子を分粒捕集する衝突捕集板32、42、その衝突捕集板32、42を回転させる回転機構34、44および衝突捕集板32、42に衝突した気体を下段へ流出させる排出流路13a、14aを備えた構造である。
既述のように、従来のカスケードインパクタ型サンプラでは、衝突捕集板と対向するノズルプレートの面全体にわたって、円形の小孔を複数形成したものが多かった。
本発明のノズルプレート31、41では、衝突捕集板32、42に衝突捕集される粒子が斑点模様や円環の縞模様などではなく、均一に沈積分布させるように、円形小孔や直線スリットではなく曲線スリットのノズルを形成する。
【0043】
図2は、分粒捕集段(第一捕集段13、第二捕集段14)のノズルプレート31、41に形成される曲線スリット(ノズル)とその形成される位置とを説明するための模式図である。
ノズルプレート1(図1におけるノズルプレート31または41)は、円板状をなしており、円の中心が衝突捕集板32、42の回転軸を延長した線上にくるようにしてある。
そして、ノズルプレート1の中心近傍の円形領域2を除いた円環領域3内で、当該円環領域3の内周円4から外周円5に向かう弓状の曲線スリット6を、ノズルとして形成するようにしてある。このスリットの加工は切削加工により行うことが好ましいが、要求される測定精度に応じて、放電加工その他の既存の加工方法を採用してもよい。続いて曲線スリット6の決定方法の1つについて図3を参照しつつ説明する。
【0044】
まず、均一に沈積させるための形状曲線を決め、次に要求される捕集段の50%捕集粒径に対して、スリット幅Wを確定するための計算をさまざまな条件で行い、それらの結果から製作上の制約条件や得られる試料を成分分析する場合の要件などを考慮して最終的に曲線スリットの形状諸元を決定する。
【0045】
<形状曲線>
粒子を均一に堆積捕集するためには、ノズルから吹き出される一定流量の気流を、一定の回転速度で回転する衝突捕集板上の規定された面に一様に衝突させる必要があり、これを実現できるノズルプレートのスリット形状を次のようにして計算する。ここで、衝突捕集板上の規定された面とは、図2のノズルプレート1(すなわちノズルプレート32、42)の中心近傍の円形領域2を除いた円環状領域3で、当該円環状領域の内周円4と外周円5に囲まれた領域を、対向する衝突捕集板32、42に投影した領域である。すなわち、衝突捕集板の中心から半径r1の最内周円と半径rmの最外周円で囲まれる円環状領域内に粒子を堆積捕集するものとする。
【0046】
ノズルプレート上で半径r0とr1(=r0+d)の円で囲まれる細い円環状領域の面積をS0とすると、

S0 = π(r0 + d)2 − π r02 = π(r12 - r02

次に、半径r2,r3,.....,rn,.....の円を、隣り合う円で囲まれる細い円環状領域の面積がS0を等しくなるように定義する。すなわち、

S0 = π(r22 - r12)= π(r32 - r22)= π(r42 - r32)= ..... = π(rn2 - rn-12)= .....

したがって、n番目の細い円環状領域の外周円の半径rnは、与えられたr0とdの値から次のようになる。

rn = √(r02 + 2ndr0 + nd2

【0047】
この計算結果に基づいて、半径r1の円上の任意の点P1を選び、点P1からの距離がdで半径r2の円上にある2点の位置を計算し、点P1に立てた法線との角度がπ/2以内の方向の点を点P2とする。同様にして点P2からの距離がdで半径r3の円上にある点P3の位置を計算する。このような計算を繰り返して最外周円での点Pmまでの位置を計算する。dの値を調整することによって必要な精度で点の位置を計算することができる。得られた点P1からPmの点群をつなぎ合わせて得られる長さL1=dmの曲線がスリットの形状であり、これを中心として一定幅のスリットを形成する。なお、dの値を小さくすることで、スリットは滑らかな弓状の曲線にすることができる。図4はdを小さくとることにより、滑らかな曲線スリットになるように設計したノズルプレート1の設計例である。
【0048】
上述の通り、このように形成されたスリットでは、細い円環状領域の面積Sn(n=1,.....,m)はいずれもS0で等しいので、点P1から順にPmまでで、長さd、幅W(≦d)の矩形スリットで連続し、一定の回転速度で回転すると、それぞれの矩形スリットを通過して細い円環状領域に衝突する気体流量は、装置の吸入流量Vの1/mとなり、最内側円環状領域S1でも最外側円環状領域Smでも中間の円環状領域Snでもすべて等しくなる。
【0049】
<一様性の検討>
それぞれの細い円環状領域内での一様性は次のようである。ここでは内側からn番目の細い円環状領域Sn内を例に考える。細い円環状領域Sn内で、点Pn−1とPnを結ぶように形成された長さd、幅W(≦d)の矩形スリットを通過して衝突捕集板に衝突する気体流量は、この細い円環状領域の半径rn-1の内側円と半径rnの外側円とで比較すると、その単位面積あたりの気体流量の比は、それぞれの半径の比の逆数になる。したがって、最内側の細い円環状領域S1内で領域内での均一性は最も悪くなるが、その程度は、具体的に半径r1とdの値を与えると計算できる。
すなわち、r1= 9.5mmにとり、d= 0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.8mmの4通りの場合に計算すると、それぞれの半径の比r1 /r2 = 0.990、0.980、0.961、0.928であり、dを0.1mmとして計算すると、均一性が99%以上の良好な曲線スリットの形状が得られる。
【0050】
<スリット幅の計算>
スリット幅Wは、装置の空気吸入速度V、捕集段の50%捕集粒径等の条件が決められると、ストークス数の定義式を使って計算でき、その分粒捕集特性は標準粒子を用いて測定することで確認する。
ストークス数の定義式 Stk=(Cρpv0/(9μW))Dp で、空気動力学粒径は√(ρp)Dpであり、ノズルプレート31あるいは41に形成するノズルでは、それぞれの√(ρp)Dp50 が2.5μmあるいは0.45μmである。

すなわち、
√(ρp)Dp50= √((Stk50)(9μW)/(Cv0))

但し、装置の水平断面のどの断面に於いても等流量の気体が流れていて、その流量は装置で制御される吸入ポンプによる吸入流量V(30L/分)であり、スリットを通過する気体の流速 v0=V/(WL)となる。

例えば、S/W=1のときの√(Stk50)値0.70および他の必要パラメータの値を参考にして、スリット長LがL1の整数倍の場合について、√(ρp)Dp50 が2.5μmあるいは0.45μmになるスリット幅Wを計算する。特にスリットの製作可能性や難易度などの条件を検討して、スリットの本数と幅とを確定する。
なお、具体的には、加工しやすさや測定精度から総合的に判断すると、スリット幅は0.2mm程度にするのが好ましいが、0.1mm〜1mmの範囲でスリット幅を選べば実用上は問題ない。
【0051】
以上の条件でスリット形状を設計することによって、衝突捕集材32では50%分離粒径2.5μmのスリットで粒径2.5μm以上の浮遊粒子を衝突捕集し、衝突捕集材42では50%分離粒径0.45μmのスリットで粒径0.45μm以上の浮遊粒子を衝突捕集することができ、しかも衝突捕集材32、42を一定の回転速度で回転させることで、衝突捕集板の中心から半径r1の最内周円と半径rmの最外周円で囲まれる円環状領域内に粒子を一様に堆積捕集できるようになる。
【0052】
具体的な最内周円半径r1と最外周円半径rmは、捕集材として47mm径のフィルタを用いるので、(rm−r1)が10mmになるようrm=19.5mm、r1=9.5mmとしてある。これらは成分分析試料の要求条件によるものである。
【0053】
ノズルプレートはアルミ合金等の金属製であり、図1におけるノズルプレート31、41では側壁と一体となっている。ノズルプレートの厚さは、分粒捕集特性に関係しており、ノズル端と衝突捕集板との距離と同程度以上の厚さが必要であり、この例では1mmにしてある。また、用いるフィルタ直径に応じて定められるが、47mmのもの利用を想定している。ノズルプレート中心はその下方に配置される捕集部材の回転中心と軸線が一致するようにしてある。
【実施例】
【0054】
弓状の曲線スリットからなるノズルが形成されたノズルプレートを用いて、実際に大気中の粒子を分粒捕集した。図5は第一捕集段13にて堆積された粒径2.5−7.0μmの浮遊粒子の状態を示す写真であり、図6は第二捕集段14にて堆積された粒径0.45−2.5μmの浮遊粒子の状態を示す写真である。
これらの測定は、回転機構34、44の回転速度を1回転/分、図示しない吸入ポンプの吸入速度を30L/分に維持するようにして行われた。
いずれも円環状の縞模様や濃淡模様が現れておらず、均一に堆積されている。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、浮遊粒子を捕集するカスケードインパクタ型サンプラ等の粒子分粒捕集機構として利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 ノズルプレート
2 円形領域
3 円環状領域
4 円環状領域の内周円
5 円環状領域の外周円
6 曲線スリット
10 カスケードインパクタ型サンプラ(粒子分粒捕集機構)
11 大気吸入孔
12 前置捕集段
13 第一捕集段
14 第二捕集段
15 最終部
21 前置段の衝突捕集板
31 第一段ノズルプレート
31a 第一段曲線スリット
32 第一段捕集材
33 第一段捕集材ホルダ
34 回転機構
41 第二段ノズルプレート
41a 第二段曲線スリット
42 第二段捕集材
43 第二段捕集材ホルダ
44 回転機構
51 バックアップフィルタ
52 バックアップフィルタホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊粒子を含む気体を流入させる少なくとも1つの捕集段を有し、
各捕集段内には、気体が通過するノズルが形成されたノズルプレートと、ノズルプレートと対向するように配設されノズルを通過した気体を衝突させて浮遊粒子を捕集する捕集板と、捕集板を回転させる回転機構と、捕集板に衝突した気体を流出させる排出流路とを備えた粒子分粒捕集機構であって、
ノズルプレートに形成されるノズルが、少なくとも1本の曲線スリットからなり、
前記曲線スリットは、捕集板の回転軸を延長した線上にくるノズルプレートの位置をノズルプレートの中心として、ノズルプレートの中心近傍の円形領域を除いた円環状領域内で、曲線スリットが当該円環状領域の内周円から外周円に向かう曲線を形成するように設けられ、
さらに、前記曲線スリットが形成される円環状領域を同心状でかつ同一面積の微小円環領域ごとに区分したときに、各微小円環領域を横断する曲線スリットの部分長さdが一定長さになるようにそれぞれの微小円環領域内での方向が定められることを特徴とする粒子分粒捕集機構。
【請求項2】
前記捕集段の上流側に、外部から浮遊粒子を含む気体を流入させる前置衝突捕集段を設け、前置衝突捕集段内に、流入した気体を衝突させて上限閾値以上の粒径の浮遊粒子を予め除去する衝突捕集板を備えるとともに、衝突捕集板に衝突した気体を後段の捕集段に流出する排出流路を備えた請求項1に記載の粒子分粒捕集機構。
【請求項3】
最も下流側の捕集段の後段に、下限閾値以下の粒径の浮遊粒子を捕集するバックアップフィルタをさらに設けた請求項1に記載の粒子分粒捕集機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【図6】
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