粒子固定化のための支持体表面の改変方法ならびに核酸分析のための固定化粒子の使用
支持体の求核性表面を改変する方法が記載される。本方法は、多機能性求電子性試薬を、該支持体の表面の求核性基と反応させる工程を含む。できた求電子性表面を、求核性官能基を有する粒子(例えばビーズ)の共有結合のために使用し得る。例えば、求核性(例えばアミン)基を有する核酸鋳型を、該粒子の表面に結合し得る。該核酸鋳型における求核性基を、次いで該支持体の改変された表面に該粒子を結合させるために使用し得る。できた支持体結合粒子を、該粒子上の核酸鋳型を分析する(例えば配列決定する)ために使用し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中で使用されるセクションの見出しは、系統立ての目的のためのみであり、いかなる方法でも本明細書に記載される対象を制限するものと解釈されるべきではない。
【0002】
分野
本願は、一般的に粒子の固定化のために表面を改変する方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
緒言
核酸配列決定技術は、基礎研究において広く採用されている。それに加えて、配列決定技術は、臨床診断においてますます重要になりつつある。例えば、特定の配列バリエーションに基づく診断テストは、既に様々な異なる疾患に関して使用されている。核酸配列決定から得られたデータを用いて、特定のポリヌクレオチドが配列において参照ポリヌクレオチドと異なるかどうかを決定し得る。配列決定データを用いて、サンプル中における特定のポリヌクレオチド配列の存在を確認し、部分的な配列情報を決定し、そしてポリヌクレオチド中のヌクレオチドの同一性および順序を決定することもできる。
【0004】
依然としてより迅速および正確な配列決定方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の工程を含む方法が提供される:
基質の表面上の求核性基を、複数の求電子性基を含む分子と反応させ、それによって1つまたは複数の遊離求電子性基を基質の表面上に提供する工程;および
粒子状物質の表面上の求核性基を、基質の表面上の、1つまたは複数の遊離求電子性基と反応させて、粒子状物質を基質に共有結合させる工程。
【0006】
以下のものを含む製品も提供される:
表面官能基を含む粒子状物質;
表面官能基を含む支持体;
ここで粒子状物質の表面官能基は、以下の部分を含むリンカー基を介して、支持体の表面官能基に共有結合する:
【0007】
【化1】
以下の工程を含む方法も提供される:
基質の表面上の求核性基を、以下の式によって表される化合物:
【0008】
【化2】
または以下の式によって表される部分を有するポリマーと反応させる工程:
【0009】
【化3】
支持体表面に共有結合した部分を含む製品も提供され、ここでその部分は以下の式によって表される:
【0010】
【化4】
ここでR1は連結基を表し、そして「SUPPORT」は支持体表面を表す;または
【0011】
【化5】
ここでnは正の整数であり、「SUPPORT」は支持体表面を表し、R2は1番目の化学基、R3は2番目の化学基、およびR4はリンカー基である。
【0012】
以下の工程を含む方法も提供される:
(a)初期化オリゴヌクレオチドプローブを標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズさせて、プローブ−標的物2本鎖を形成する工程であって、ここでそのオリゴヌクレオチドプローブは、伸長可能なプローブ末端を有し、その標的物ポリヌクレオチドは、粒子状物質に結合しており、そしてその粒子状物質は支持体の表面に共有結合している;
(b)伸長オリゴヌクレオチドプローブの第一の末端を、伸長可能なプローブ末端にライゲーションし、それによって伸長したオリゴヌクレオチドプローブを含む伸長した2本鎖を形成する工程であって、ここでその伸長オリゴヌクレオチドプローブは切断部位および検出可能な標識物を含む;
(c)ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブに結合した標識物を検出することによって、標的ポリヌクレオチドにおいて1つまたは複数のヌクレオチドを同定する工程;
(d)ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブを、切断部位で切断して、伸長可能なプローブ末端を生成する工程であって、ここで切断によりライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブ(プローブ−標的物2本鎖由来の標識物を含む)の一部を除去する;および
(e)工程(b)、(c)、および(d)を繰り返す工程。
【0013】
核酸を配列決定する方法も提供され、それは以下の工程を含む:
(a)プライマーを、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズして、プライマー−標的物2本鎖を形成する工程であって、ここでその標的ポリヌクレオチドは5’末端で粒子状物質に結合しており、そしてその粒子状物質は支持体の表面に共有結合している;
(b)プライマー−標的物2本鎖を、ポリメラーゼおよび1つまたは複数の異なるヌクレオチドアナログと接触させ、ヌクレオチドアナログをプライマーの3’末端に組み込んで、それによって伸長したプライマー鎖を形成する工程であって、ここで組み込まれたヌクレオチドアナログはポリメラーゼ反応を終了し、そしてここで1つまたは複数のヌクレオチドアナログはそれぞれ、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルおよびそれらのアナログから成る基から選択される塩基;(ii)切断可能なリンカーを介して塩基またはそのアナログに結合した独特の標識物;(iii)デオキシリボース;および(iv)デオキシリボースの3’位置において−OH基をキャッピングする切断可能な化学基を含んでいる;
(c)支持体の表面を洗浄して、あらゆる組み込まれていないヌクレオチドアナログを除去する工程;
(d)組み込まれた直後のヌクレオチドアナログに結合した独特の標識物を検出し、それによって組み込まれた直後のヌクレオチドアナログを同定する工程;
(e)伸長したプライマー鎖の任意で未反応の−OH基を永続的にキャッピングする工程;
(f)組み込まれた直後のヌクレオチドアナログと独特の標識物の間の切断可能なリンカーを切断する工程;
(g)組み込まれた直後のヌクレオチドアナログのデオキシリボースの3’位置の−OH基をキャッピングする化学基を切断して、−OH基のキャッピングをはずす工程;
(h)支持体の表面を洗浄して、切断した化合物を除去する工程;
(i)工程(b)−(h)を繰り返す工程。
【0014】
本技術のこれらの特徴および他の特徴を、本明細書中で述べる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
当業者は、下記に記載する図面は、説明目的のためのみであることを理解する。図面は、いかなる方法においても本教示の範囲を制限することを意図しない。その特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。(単数または複数の)カラー図面を含むこの特許または特許出願公開のコピーは、請求および必要な料金の支払い時に、局によって提供される。
【図1】図1は、多機能性求電子性試薬を用いた、求核性表面の求電子性表面への変換を説明する概略図である。
【図2A】図2Aは、二機能性求電子性試薬を用いた、求核性表面の求電子性表面への変換の反応スキームを説明する概略図である。
【図2B】図2Bは、ポリマー性多機能性求電子性試薬を用いた、求核性表面の求電子性表面への変換の反応スキームを説明する概略図である。
【図3】図3は、P1オリゴヌクレオチドカップリング効率に対する、塩濃度およびDMSO濃度の効果を示す棒グラフである。
【図4】図4は、アミン基とイソチオシアネート基間のチオ尿素形成に関する、反応条件の最適化を説明する棒グラフであり、ここで様々なアミンビーズおよびカルボン酸ビーズを、異なるpH条件および異なる温度条件で、200μMのFITC溶液とインキュベートした。
【図5】図5は、エタノールアミンの存在下または非存在下で、蛍光標識カダベリンとインキュベートしたPDITC活性化スライドを示す棒グラフである。
【図6】図6A−6Cは、スライドにおける遊離アミンの喪失に関するPDITC活性化の結果を説明する写真である。
【図7】図7は、DNA鋳型に対するアミノアリル−dUTPのTdTが媒介する付加を説明する写真である。
【図8】図8は、異なるTdT伸長時間後の、ビーズにおけるアミン含有量の定量的測定を提供する棒グラフである。
【図9】図9Aは、ほんの少ししか、または全くビーズの移動を示さない、TdT伸長ビーズのPDITC活性化スライドへの結合を説明する写真である。図9Bは、有意なビーズの移動を示す、TdT伸長ではないビーズのPDITC活性化スライドへの結合を説明する写真である。
【図10】図10は、PDITC活性化スライドに沈着したTdT伸長ビーズに関する、配列決定サイクル数の関数としての残留ビーズ%を示すグラフであり、50サイクルの配列決定後にビーズは安定なままであることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書を解釈する目的のために、以下の定義を適用し、そして適当な場合はいつでも、単数形で使用された用語は複数も含み、そして逆もまた同じである。下記で述べるあらゆる定義が、本明細書中で参考文献に組み込まれたあらゆる文書を含むあらゆる他の文書におけるその用語の使用と対立する場合には、(例えば用語がもともと用いられた文書の解釈において)逆の意味が明らかに意図されなければ、本明細書およびその付随する特許請求の範囲を解釈する目的のために、下記で述べる定義が常に統制する。本明細書中における「または」の使用は、他に述べなければ、または「および/または」の使用が明らかに不適当である場合以外は、「および/または」を意味する。本明細書中における「a」の使用は、他に述べなければ、または「1つまたは複数」の使用が明らかに不適当である場合以外は、「1つまたは複数」を意味する。「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含む(including)」の使用は、交換可能であり、そして制限することを意図しない。さらに、1つまたは複数の実施態様の説明が、「含む(comprising)」という用語を使用する場合、当業者は、いくつかの特定の例において、その実施態様は、交互に「実質的に〜から成る」および/または「〜から成る」という用語を用いて説明し得ることを理解する。
【0017】
本明細書中で使用される、「ヌクレオシド」という用語は、2’デオキシヌクレオシドおよび2’ヒドロキシルヌクレオシドを含む。ヌクレオシドに関する「アナログ」という用語は、改変された塩基部分および/または改変された糖部分を有する、合成ヌクレオシドを含む。そのようなアナログは、結合特性を増強する、縮重を抑制する、特異性を増加させる等のためにデザインされた合成ヌクレオシドを含む。
【0018】
本明細書中で使用される、「ヌクレオチドアナログ」という語句は、ヌクレオチドと構造的および機能的に類似した、そしてポリメラーゼによって基質として認識され得る化学的化合物を指す。ヌクレオチドアナログは、切断可能なリンカーを介してヌクレオチドに結合した標識物を含むヌクレオチド、およびデオキシリボースの3’位置の−OH基が(例えば−CH2OCH3または−CH2CH=CH2のような化学的部分によって)キャッピングされたヌクレオチドを含む。この型のヌクレオチドアナログは、米国特許第6,664,079B2号において開示されている。
【0019】
本明細書中で使用される、−OH基をキャッピングすること(またはキャッピング)は、−OH基の水素を、異なる化学基で置換することを意味する。−OH基を、切断可能な化学基によってキャッピングし得る。キャッピングをはずすこと(またはキャッピングをはずす)は、キャッピングされた−OH基から化学基を切断すること、および化学基を「H」で置換することを意味する。−OH基のキャッピングおよびキャッピングをはずすことの適当な手段は、米国特許第6,664,079B2号において開示されている。
【0020】
本明細書中で使用される、「オリゴヌクレオチド」という語句は、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド等を含む、ヌクレオシドまたはそのアナログの直線状オリゴマーを指す。オリゴヌクレオチドは、サイズが数モノマーユニット(例えば3から4ユニット)から数百モノマーユニットまでの範囲であり得る。
【0021】
本明細書中で使用される、「ライゲーション」という用語は、2つまたはそれを超える核酸(例えばオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド)の末端間の共有結合形成または連結を指す。
【0022】
本明細書中で使用される、「伸長可能なプローブ末端」という語句は、別の核酸がライゲーションし得る、核酸の末端を指す。
【0023】
本明細書中で使用される、「伸長可能でないプローブ末端」という語句は、改変なしに別の核酸がライゲーションできない、核酸の末端を指す。例えば、その末端は、5’リン酸基または3’水酸基を欠くヌクレオチドであり得る。あるいは、その末端は、ライゲーションを阻害する阻害基が結合したヌクレオチド残基であり得る。
【0024】
本明細書中で使用される、「ユニバーサル塩基」という語句は、天然に存在する核酸において典型的に見出される1つを超える塩基と対を形成し得、そして従って2本鎖において天然に存在する塩基を置換し得る塩基を指す。その塩基は、必ずしも天然に存在する塩基のそれぞれと対を形成し得る必要はない。ユニバーサル塩基は、国際公開第WO2006/084132A2号において記載されている。
【0025】
本明細書中で使用される、「表面官能基」という語句は、表面に結合した官能基を指す。これらの基は、表面に直接、または連結基を介して表面に間接的に結合し得る。
【0026】
本明細書中で使用される、「粒子」という用語および「粒子状物質」という語句は、交換可能に使用され、そして有限の質量および内部構造を有するあらゆる固体の本体を指す。典型的な粒子は、ビーズおよびマイクロスフィアを含む。いくつかの実施態様によって、その粒子は、100μmより小さい直径を有し得る(例えば1μm)。粒子を、ポリマー(例えばポリスチレン)、ガラスおよびセラミックスを含む様々な材料から作製し得る。他の典型的な粒子は、磁気粒子を含む。適当な磁気粒子は、米国特許第5,512,439号において開示されたものを含むがこれに限らない。例えば、その磁気粒子は、EP83901406.5によって生産される、単分散超常磁性ビーズであり得、ここで「単分散」という用語は、5%より少ない直径標準偏差を有するサイズの分散を含む。単分散粒子は、1.1から1.8または1.2から1.5の範囲の比重を有し得る。その単分散粒子は、少なくとも1ミクロンおよび10ミクロン以下の直径、または少なくとも2ミクロンおよび6ミクロン以下の直径を有する(例えば直径約3ミクロン)、球状のビーズであり得る。
【0027】
Sequencing by Oligonucleotide Ligation and Detection(SOLiDTM)は、DNA標的物の、小さい不溶性構造物(例えば1ミクロンの直径の架橋ポリスチレンビーズ)への結合に続く、複数の構造物の固定化を含み、ここで各構造物は、平坦な表面上に独特のDNA配列を含む。この型の配列決定技術は、国際公開第WO2006/084132A2号において開示されている。
【0028】
ビーズを支持体に結合する方法は、ビオチン化ヌクレオチドを有する、ストレプトアビジンDNAを載せたポリスチレンビーズで不可逆的にコーティングされた、平坦なガラス顕微鏡スライドを利用している(例えば、ビーズへの結合に続く、ビオチン化dNTPおよび末端デオキシトランスフェラーゼのDNA標的物に対する作用によって得る)。ビオチン化ビーズとストレプトアビジンでコーティングしたスライドのインキュベーションは、ストレプトアビジンとビオチンの相互作用による、ビーズのスライドへの固定化を引き起こす。動力学的にこれは非常に有効な結合スキームであるが、DNA配列アッセイによって必要とされる条件下で、スライド上のビーズの移動が時々観察された。ビーズがスライド上に高密度で(例えば100,000ビーズ/mm2まで)存在し、そして複数回調べた(例えば25回まで)場合、あらゆる有意なビーズの移動は、続くビーズの高密度な集団内のスキャンにおいて、特定のビーズの確固とした同定を妨げ得る。
【0029】
本明細書中で記載されるように、配列決定および他の形式の遺伝分析の間のビーズの移動を抑制する、ビーズ固定化に関する共有結合システムが開発された。以下の工程を含む方法が提供される:基質の表面上の求核性基を、複数の求電子性基を含む分子と反応させ、それによって基質の表面に1つまたは複数の遊離求電子性基を提供する工程;および粒子状物質の表面上の求核性基を、基質の表面上の1つまたは複数の遊離求電子性基と反応させて、粒子状物質を基質に共有結合させる工程。
【0030】
図1は、多機能性求電子性試薬による、求核性(すなわちアミノ官能基)表面の改変を実証する。図1に示すように、表面の求核剤はアミノ基である。これらの求核性アミノ基を、求電子性表面に形成し得る。例えば、表面基を(アミノプロピル)トリアルコキシシランと反応させることによって、珪酸塩ガラス顕微鏡スライドの求電子性表面を、容易に求核性表面へ変換し得る。
【0031】
図1に示すように、その表面を、複数の求電子剤を含む分子で活性化し、ここで求電子性分子上の1つの求電子性基が反応して、スライド表面の求核性パートナーと安定な共有結合を形成し、そして分子上の残りの(単数または複数の)求電子剤が、固定化することが望ましい粒子上の求核性基と反応および安定な共有結合を形成するために利用可能である。図1において、分子の求電子剤をE1、E2およびE3によって示し、表面の求核剤と反応する分子の求電子剤をそれぞれA1、A2またはA3によって示す。
【0032】
下記で記載するように、1ミクロン架橋ポリスチレンビーズに共有結合したDNA標的核酸を、ビーズへの結合に続いて、DNA標的物に対するアミノアルキルdNTPの作用および末端デオキシトランスフェラーゼの作用によって改変した。DNA標的物上の求核性アミノ基を、次いで支持体表面の残った求電子性基と反応させて、ビーズとガラス表面との間に複数の安定な共有結合を形成することができた。
【0033】
求電子性表面と求電子性ビーズを架橋するために使用し得る、複数の求電子性基を有する分子のいくつかの例を、図2Aおよび2Bに示す。図2Aは、表面の求電子性基の、ベンゼン1,4−ジイソチオシアネートとの反応を介した、求電子性表面の改変を説明する。ベンゼン1,4−ジイソチオシアネートに関して{E1−(L−E2−)nL−E3の命名法を用いる}、E1およびE3は同じである求電子性基(すなわちイソチオシアネート基)、連結基Lはベンゼン環、そしてnは0である。
【0034】
図2Bは、表面上の求電子性基の、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマーによる反応を介した、求電子性表面の改変を説明する。メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマーに関して{E1−(L−E2−)nL−E3の命名法を用いる}、E1、求電子性基のE2およびE3は同じ(すなわち無水コハク酸基)、連結基Lはメトシキエタン、そしてnは>0である(コポリマーの重合の程度または分子量を示す)。
【0035】
図1を参照して、E1−(L−E2−)nL−E3からのExの、表面上の求核性パートナーとの反応は、A1−(L−E2−)nL−E3のような安定な官能基Axを生じ、ここで残りの官能基Eyは、固定化するビーズ上の求核性官能基との反応に利用可能である。A1−(L−E2−)nL−E3を含む生じた表面は、「活性化表面」と呼ばれる。図2Aに示すように、ベンゼン1,4−ジイソチオシアネートに関して、Axはチオ尿素である。図2Bに示すように、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマーに関して、Axはアミドである。
【0036】
求電子性基を含む活性化表面を、求核性基を含む粒子と接触させる場合、粒子と表面間の連結は、A1−(L−E2−)nL−A3として特徴付け得、ここで少なくとも1つのAxは、表面と安定な共有結合を形成し、そして少なくとも1つのAxは、微細構造物と安定な共有結合を形成する。アミノ表面と、DNA標的物上の求核性アミノ基を含むビーズを連結する、図2Aに示したベンゼン1,4−ジイソチオシアネートの場合に関して、Axは全てチオ尿素結合である。アミノ表面とDNA標的物上の求核性アミノ基を含むビーズを連結する、図2Bに示したメチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマーの場合に関しては、Aは全てアミド結合である。
【0037】
安定な共有結合は、求電子性基を含む表面と求核性基を含む粒子との間に形成され得ることが見出された。それに加えて、DNA標的物に対するアミノ−dNTPの作用および末端デオキシトランスフェラーゼの作用からの求核性アミノ基を含むビーズを、水性塩基性条件下で、改変した表面上に固定化し得る。例えば、ベンゼン1,4−ジイソチオシアネートによって活性化された、アミノ基を含む表面を用いて、求核性基を有するビーズを固定化し得る。それに加えて、共有結合は、非常に安定のようであり、そしてビーズの移動は観察されない。
【0038】
本明細書中で記載された、表面固定化ビーズを、ライゲーションによる1本鎖鋳型に沿った2本鎖伸長の反復サイクルに基づいた、核酸配列を分析する方法において使用し得る。この型の配列決定方法は、米国特許第5,750,341;5,969,119;および6,306,597B1号において、および国際公開第WO2006/084132A2号において開示されている。これらの出版物のそれぞれは、本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる。さらに、前述の出版物において記載された技術を用いて、本明細書中で記載されたように支持体に結合した粒子に結合した核酸鋳型を分析(例えば配列決定)し得る。固定化ビーズを、ポリヌクレオチド鎖の伸長を防ぐ除去可能な阻害基を有する、標識ヌクレオチドを用いた配列決定のような、必ずしもライゲーション工程を採用しない配列決定方法において使用し得る(例えば、米国特許第6,664,079;6,232,465;および7,057,026号)。固定化ビーズを、ビーズのシグナルを複数のサイクルを通じて反復して検出する、様々な技術において使用し得る。
【0039】
例えば、以下の工程を含む方法が提供される:
(a)第一の初期化オリゴヌクレオチドプローブを、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズして、プローブ−標的物2本鎖を形成する工程であって、ここでそのオリゴヌクレオチドプローブは伸長可能なプローブ末端を有し、ここでその標的ポリヌクレオチドは粒子状物質に結合しており、そしてここでその粒子状物質は固体支持体の表面に共有結合している工程;
(b)伸長オリゴヌクレオチドプローブの第一の末端を、伸長可能なプローブ末端にライゲーションし、それによって伸長したオリゴヌクレオチドプローブを含む伸張した2本鎖を形成する工程であって、ここでその伸長オリゴヌクレオチドプローブは、切断部位および検出可能な標識物を含む工程;
(c)ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブに結合した標識物を検出することによって、標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドを同定する工程;
(d)ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブを切断部位で切断して、伸長可能なプローブ末端を生成する工程であって、ここで切断はプローブ−標的物2本鎖からの標識物を含む、ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブの部分を除去する工程;および
(e)標的ポリヌクレオチドのヌクレオチドの配列が決定されるまで、工程(b)、(c)および(d)を繰り返す工程。
【0040】
その切断部位を、ホスホジエステル結合を切断しない条件下で切断し得る。従って切断は、伸長オリゴヌクレオチドプローブのホスホジエステル結合を切断しない条件下で起こり得る。
【0041】
その検出可能な標識物は、蛍光部分であり得る。
【0042】
第一の末端の反対側の、伸長オリゴヌクレオチドプローブの第二の末端は、伸長しないプローブ末端を含み得る。これは、1回のサイクルの間に複数のライゲーションが起こることを防ぐ。
【0043】
伸長オリゴヌクレオチドプローブは、オクタマーであり得る。そのオリゴヌクレオチドプローブは、下記に述べるような配列を有し得る:
*NNNNN−zzz
ここで各「N」は独立に、A、C、TまたはGを表し、「z」は、ユニバーサル塩基を表し、「*」はライゲーション部位を表し、そして「−」は切断部位を表す。検出可能な標識物を、ユニバーサル塩基の1つに結合し得る。
【0044】
いくつかの実施態様によって、それぞれ異なる標識物を有する、4つの異なるカテゴリーのプローブを使用し得る:
*NNNTA−zzz;
*NNNGG−zzz;
*NNNTC−zzz;および
*NNNAT−zzz。
【0045】
いくつかの実施態様によって、その方法はさらに、2番目の初期化オリゴヌクレオチドプローブを標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズさせて、プローブ−標的物2本鎖を形成する工程、および工程(b)、(c)および(d)を繰り返し行う工程を含み、ここでその2番目の初期化オリゴヌクレオチドプローブは、1番目の初期化オリゴヌクレオチドプローブと長さが1ヌクレオチド異なり、この方式で、標的物の配列を決定し得る。
【実施例】
【0046】
本教示の局面は、以下の実施例を考慮してさらに理解し得、それはいかなる方法においても、本教示の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【0047】
P1オリゴヌクレオチドのカルボン酸ポリスチレンビーズとの結合
下記で記載する方法は、1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)によるビーズ表面のカルボキシル基を活性化する工程、および形成されたO−アシルイソウレア中間体を、イミダゾールの存在下でアミノ改変オリゴヌクレオチドとインサイツで結合する工程に基づいており、ビーズ表面とオリゴヌクレオチドとの5’末端の間に共有結合を生じる。オリゴヌクレオチド分子に関するビーズの収容力は限られているので、P1結合後にはビーズ表面に多くの遊離カルボキシル基が残っている。これらの荷電した基は、ビーズの蛍光色素への吸収を引き起こすことによって、下流の手順を妨害し、従って実質的に蛍光ノイズを増加させる。また、キャッピングしていないDNAを負荷したビーズは、凝集する傾向がある。これらのカルボキシル基を不活性化するために2番目の手順、これらの基のアミノ−メトキシPEG12によるキャッピングを行う。
【0048】
この実験の目的は、ビオチン化P1およびストレプトアビジンビーズを用いて達成されたのと同じ収容力で、P1オリゴヌクレオチドのカルボキシビーズに対する共有結合を達成することであった。そのレベルのP1オリゴヌクレオチドの負荷は、SOLiDTMライゲーション配列決定に十分であった。しかし、ビーズ製造業者によって推奨される結合システムを用いて、ストレプトアビジンに基づくシステムの約70%の共有結合P1負荷のレベルが観察された(データは示していない)。さらなる実験が、共有結合システムにおけるNaClおよびDMSO両方の存在が、より効率的なP1結合を引き起こしたことを明らかにした。NaCl(「塩」)およびDMSOの比の効果を図3で説明するが、それは異なる比のNaClおよびDMSOに関して、ストレプトアビジンビーズに対する%として示した、20msecにおける中央値(medium)Cy3RFUを示した棒グラフである。図3から見られ得るように、最も高いRFU値が、0.5/60および1.0/50のNaCl対DMSO比で示された。
【0049】
図3に示すように、高いDMSO濃度(70%v/v)にも関わらず、NaClがシステム中に存在しない場合、P1結合は増加しなかった。一般的に、DMSOを含むシステムにおいてNaCl濃度を増加させることは、カルボキシビーズにおけるより高いP1負荷と関連していた。逆に、DMSO非存在下のNaClは、P1負荷に阻害効果を有していた(データは示していない)。いくつかの実験に基づいて、200mMのNaClおよび50%v/vのDMSOの組み合わせが、P1結合反応において使用するために選択された。
【0050】
典型的なP1結合手順を下記で述べる:
MyOneカルボン酸ビーズのアリコートを、0.01NのNaOHで1回、そして次いでDEPC水で5回洗浄する。反応混合物は、200mMのNaCl、0.1mMの5’−アミノ改変P1オリゴヌクレオチド41塩基長、1mMの塩化イミダゾール、50%v/vのDMSOおよび200mMのEDCを含む。ビーズを試薬とよく混合し、ボルテックスを行い、超音波処理し、そしてローテータ上で、室温で一晩インキュベートする。2番目の工程(すなわちキャッピング)を、200mMのEDCおよび50mMのNHSの存在下で、残ったカルボキシル基をアミノ反応性NHS−エステルへ変換し、続いて20mMのアミノPEG12と結合することによって行う。
【0051】
SOLiDTMプラットフォームのための共有結合ビーズのスライドへの沈着化学反応の開発
以下のものは、SOLiDTM配列決定プラットフォームのための、DNA鋳型ビーズの改変ガラス表面へのランダム沈着を含む、新規共有結合化学反応の開発を説明する。
【0052】
この化学反応の開発は、3つの主な工程を含む。最初に、QCアッセイおよびビーズ固定化のためのアミンおよびイソチオシアネートの間のチオ尿素形成の最適化。2番目に、アミノプロピル/トリアルコキシシランでコーティングされたガラスを、1,4−フェニレンジイソチオシアネート(PDITC)によって活性化することによる、求電子性ガラス表面の生成。3番目に、末端デオキシトランスフェラーゼによるアミノアリル−dUTPの付加による、DNA鋳型の3’末端への求核性アミンの付加。各工程の開発は、付随するデータで議論され、続いてDNA配列アッセイによって必要とされる条件下で安定性を提供する、ビーズ固定化を検証する。
【0053】
アミンおよびイソチオシアネート官能基の間の共有チオ尿素結合の形成のための、最適な反応条件の決定
アミンとイソチオシアネート部分の適当な反応は、チオ尿素結合の形成、非常に安定な共有結合の形成を生じる。チオ尿素結合形成のための最適な条件を決定するために、この反応の成分の1つを蛍光標識し、そしてリポーターとして使用した。具体的には、これらのアッセイは、フルオレセイン標識イソチオシアネート(FITC)を使用した。この反応条件の最適化は、ビーズのスライドへの適当な共有結合を保証するだけでなく、ビーズの固定化前に、ビーズに求核剤をせいせいさせるための、そしてスライドに求電子性基を生成させるためのの品質のチェックポイントを提供した。
【0054】
反応条件を最適化するために、その表面に高いアミン含有量を有することが公知であるビーズに化学反応を行った。これらのビーズを、温度およびpHを変化させながら、様々な緩衝液の型においてFITCと反応させた。フルオレセイン標識イソチオシアネート基のアミンへの共有結合に起因するビーズの蛍光を測定し、そして異なる反応条件間で比較した。共有結合の形成を保証するために、同じビーズをアルカリおよび重金属溶液で処理した後に蛍光を測定した(SOLiDTM配列決定のあるサイクルにおいて見られる条件と類似)。これらの実験からの省略された結果を、図4に示す。図4に示すように、より高いpH(9.5)および熱(37℃)において、ストレプトアビジンビーズおよびアミンビーズはどちらも、低いpHおよび室温において示されるものよりもはるかに大きなFITCシグナルを示す。これも図4に示すように、カルボン酸ビーズ(COOH)は比較においてはるかに低いシグナルを示すので、FITCシグナルはアミンを含むビーズに特異的である。最後に、FITCは、アルカリおよび重金属(切断)処理の後にも存在したままであり、ビーズに対する強固なFITC結合を示す。これらの研究は、求電子剤によりスライド表面を活性化し、そしてスライドへ結合するためのビーズのアミン含有量を評価することの根拠を与えた。
【0055】
ビーズ固定化のための求電子性表面を生成するための、改変ガラススライドの活性化
PDITC化学反応を用いた、オリゴヌクレオチドのガラス支持体への成功した共有結合が、以前に報告された{Guoら、Direct Fluorescence Analysis Of Genetic Polymorphisms By Hybridization With Oligonucleotide Arrays On Glass Supports、Nucleic Acids Res.22(24):5456−65(1994)}。これらの方法を、1ミクロンのビーズの改変ガラス表面への共有結合に適用し得るかどうか決定するために、実験を行った。求核性ガラス表面は、アミンでコーティングされた珪酸塩スライドの形式で、市販されており、それはスライドを、(アミノプロピル)トリアルコキシシランを含む溶液に浸すことによって容易に生成される。これらを様々な売主から購入し、そして各スライドを200μMのFITC溶液中でインキュベートし、続いて蛍光顕微鏡下で可視化することによって、各スライドの相対的アミン含有量を決定した。各スライドの型の蛍光を比較した後、ITCによる蛍光の最も高い、そして最も均一な分布を報告したので、SchottA+スライドを用いて我々の研究を続けることを決定した。
【0056】
次に、スライドを、50mMのPDITCおよび20mMのn,n−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を含むDMSO溶液中で一晩反応させることによって、ガラス表面の求核性部分を、求電子剤に変換した。1次アミンおよびイソチオシアネート部分の間のチオ尿素形成を促進するための塩基として、DIEAを加えた。その後、スライドをDMSOで2回、次いで70%エタノールで3回洗浄し、続いて水で3回洗浄した。次いでスライドを脱水し、そして電子デシケーター中で保存した。
【0057】
求電子剤に対するスライド表面の活性化が成功したかどうかを決定するために、スライドを、フルオレセイン標識カダベリン(小さくかつ高度に反応性のジアミン)とインキュベートした。スライド上の蛍光の量を、蛍光顕微鏡を用いて測定した。フルオレセインの非特異的結合に起因する蛍光のバックグラウンドレベルを評価するために、フルオレセイン標識カルボン酸を含めた。さらに、それがスライドに対するカダベリン結合と競合し得るかどうかを見るために、エタノールアミンをインキュベーションのサブセットに含めた。図5に示すように、PDITC−活性化スライドは、フルオレセイン標識カダベリンとのインキュベーション後、150−240%の蛍光量の増加を示す。この増加は、100mMのエタノールアミンを含ませることによって減弱し、スライド上の求電子性基は、1次アミンと反応することを示す。図5は、エタノールアミンの存在下または非存在下において、蛍光標識カダベリンとインキュベートしたPDITC活性化スライドを示す棒グラフである。蛍光標識カルボン酸を、ベースラインの蛍光を提供するために用いた。「BEV」は、Beverly、MAにおいて作製されたPDITC活性化スライドを示す。「FC1」および「FC2」は、Foster City、CAにおいて作製されたPDITC活性化スライドを示す。
【0058】
PDITC活性化の反応の進行を決定する別の方法は、PDITCとのインキュベーション前および後に、A+スライドのアミン含有量を評価することを含んでいた。スライドを、フルオレセイン標識イソチオシアネート(FITC)とインキュベートし、そしてaxonスキャナで可視化して、そのアミン含有量を評価した。ブランクスライド、A+スライド、およびPDITC活性化スライドに対して比較を行った。図6A、6B、および6Cはその結果を示す。図6A−6Cは、スライド上の遊離アミンの喪失に関する、PDITC活性化の結果を示す写真である。ブランクガラス、PDITC活性化スライド、および非活性化アミンスライドを、FAM−ITCとインキュベートし、そしてaxonスキャナを用いて可視化して、遊離アミンの存在を決定した。アミンとのFITC反応から生じる平均RFU値を、対応する標準偏差と共に各スライドの下に列挙する。ブランクスライド(図6C)およびPDITCスライド(図6A)はどちらも、同様に弱いRFU値を示し、アミンの欠如を示す。対照的に、非改変A+スライド(図6B)は、非常に高いRFU値を示し、高いアミン含有量を示した。従って、PDITC活性化工程は、A+スライド上のアミンと効率的に反応し、そしてそれらをさらなる修飾に対しての利用を不可能にする。さらに、PDITC活性化は、A+スライド上の遊離アミンの喪失をもたらす。
【0059】
求電子性ガラス表面に結合させるためのDNA鋳型ビーズ上の求核性アミンの付加
珪酸塩表面のPDITC活性化と同時に、ガラススライドに存在する求電子剤と反応するDNA鋳型ビーズ上の求核性基を生成するための実験をデザインした。末端デオキシトランスフェラーゼ(TdT)を、ビオチン標識ヌクレオチドをビーズ上のDNA鋳型の3’末端に付加するために以前に使用したので、代わりに付加基質としてアミノアリル標識dUTPを用いる以外は、我々はこの戦略を継続することを決定した。末端デオキシトランスフェラーゼの製造業者によって推奨される標準的な手段を用いた。TdT伸長ビーズをFITCと反応させることによる求核性アミンの付加が検証された。ストレプトアビジンでコーティングされたビーズ(多くのアミンを含む)およびカルボキシビーズを、それぞれ陽性コントロールおよび陰性コントロールとして使用した。図7は、ストレプトアビジン(S/A)ビーズおよびTdT伸長ビーズは、アミンとの反応のためにITCによる蛍光を示し、一方、カルボン酸(COOH)ビーズはシグナルを示さないことを示す。図7は、ストレプトアビジン(S/A)ビーズ、カルボン酸(COOH)ビーズおよびTdT伸長ビーズのFITC強度を示す写真である。示したビーズの型を、フルオレセイン標識ITCとインキュベートして、アミノアリルdUTPの存在を検出した。ビーズを白色光(WTL)およびFITC励起(FITC)の下で可視化した。図7において、「COOH」はカルボン酸ビーズを指し、「S/A」はストレプトアビジンビーズを指し、そして「TdT」はアミノアリル−dUTP−伸長ビーズを指す。
【0060】
図8において示すように、TdT伸長をより長く進行させることができるので、この反応の定量的分析は、蛍光の量の用量依存的増加を明らかにする。図8は、異なるTdT伸長時間後の、ビーズのアミン含有量の定量的測定値を説明する棒グラフである。ビーズを上記で示したように処理し、そしてITCによる蛍光に関して、蛍光顕微鏡下で可視化した。図8において、「COOH」はカルボン酸ビーズを指し、「S/A」はストレプトアビジンビーズを指し、そして「O/N」は一晩のインキュベーションを指す。
【0061】
PDITC活性化スライドへの強固なビーズ結合の検証
The Applied Biosystems Sequencing by Oligonucleotide Ligation and Detection(SOLiDTM)プラットフォームは、スライド表面にランダムに分布した、複数のクローンのDNA鋳型ビーズを利用しており、それに対して様々なサイクルの生化学反応を適用する。DNA配列の正確な検出および登録のために、ビーズは配列決定サイクルの全期間、固定化されたままであるべきである。ビーズをスライドへ結合するチオ尿素結合が、SOLiDTM配列決定条件に耐え得ることを実証するために、TdTライブラリービーズを、PDITC活性化スライドに沈着させ、そして数モジュールのSOLiDTM配列決定の後に、ビーズの移動を測定した。処理前および処理後のビーズ画像のオーバーレイは、求核性アミンを含むビーズは、PDITC活性化スライドにおいて安定であることを示し(図9A)、一方アミンを含まないビーズは、相対的に不安定であることを示す(図9B)。ビーズの移動を、アルカリ(リセット)処理および重金属(切断)処理の後に追跡した。いずれの処理前のビーズは赤に見え、一方赤いビーズは処理後に撮った画像を意味する。ビーズの移動を、配列決定全体の実行時間と同等以上追跡する場合、図10に示したように、90%を超えるビーズが固定化されたままである。
【0062】
図10は、PDITC活性化スライドに沈着したTdT伸長ビーズにおいて行った配列決定に対する配列決定サイクル数の関数として、残ったビーズのパーセンテージ(%)を示すグラフである。図10から見られ得るように、50サイクルの配列決定の後でさえ、ビーズは安定なままである。ライゲーション配列決定の10サイクルごとにビーズの画像を撮り、そして残ったビーズのパーセンテージを計算した。示した数字は、3つの独立した実験の平均である。あわせて、これらの結果は、チオ尿素結合は、SOLiDTMプラットフォームのために十分強いことを示していた。
【0063】
前述の明細書は、説明の目的のために提供された実施例によって、本発明の原理を教示するが、この開示を読み取ることから、本発明の真の範囲から離れることなく、形式および詳細における様々な変化をなし得ることが、当業者によって認識される。
【技術分野】
【0001】
本明細書中で使用されるセクションの見出しは、系統立ての目的のためのみであり、いかなる方法でも本明細書に記載される対象を制限するものと解釈されるべきではない。
【0002】
分野
本願は、一般的に粒子の固定化のために表面を改変する方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
緒言
核酸配列決定技術は、基礎研究において広く採用されている。それに加えて、配列決定技術は、臨床診断においてますます重要になりつつある。例えば、特定の配列バリエーションに基づく診断テストは、既に様々な異なる疾患に関して使用されている。核酸配列決定から得られたデータを用いて、特定のポリヌクレオチドが配列において参照ポリヌクレオチドと異なるかどうかを決定し得る。配列決定データを用いて、サンプル中における特定のポリヌクレオチド配列の存在を確認し、部分的な配列情報を決定し、そしてポリヌクレオチド中のヌクレオチドの同一性および順序を決定することもできる。
【0004】
依然としてより迅速および正確な配列決定方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の工程を含む方法が提供される:
基質の表面上の求核性基を、複数の求電子性基を含む分子と反応させ、それによって1つまたは複数の遊離求電子性基を基質の表面上に提供する工程;および
粒子状物質の表面上の求核性基を、基質の表面上の、1つまたは複数の遊離求電子性基と反応させて、粒子状物質を基質に共有結合させる工程。
【0006】
以下のものを含む製品も提供される:
表面官能基を含む粒子状物質;
表面官能基を含む支持体;
ここで粒子状物質の表面官能基は、以下の部分を含むリンカー基を介して、支持体の表面官能基に共有結合する:
【0007】
【化1】
以下の工程を含む方法も提供される:
基質の表面上の求核性基を、以下の式によって表される化合物:
【0008】
【化2】
または以下の式によって表される部分を有するポリマーと反応させる工程:
【0009】
【化3】
支持体表面に共有結合した部分を含む製品も提供され、ここでその部分は以下の式によって表される:
【0010】
【化4】
ここでR1は連結基を表し、そして「SUPPORT」は支持体表面を表す;または
【0011】
【化5】
ここでnは正の整数であり、「SUPPORT」は支持体表面を表し、R2は1番目の化学基、R3は2番目の化学基、およびR4はリンカー基である。
【0012】
以下の工程を含む方法も提供される:
(a)初期化オリゴヌクレオチドプローブを標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズさせて、プローブ−標的物2本鎖を形成する工程であって、ここでそのオリゴヌクレオチドプローブは、伸長可能なプローブ末端を有し、その標的物ポリヌクレオチドは、粒子状物質に結合しており、そしてその粒子状物質は支持体の表面に共有結合している;
(b)伸長オリゴヌクレオチドプローブの第一の末端を、伸長可能なプローブ末端にライゲーションし、それによって伸長したオリゴヌクレオチドプローブを含む伸長した2本鎖を形成する工程であって、ここでその伸長オリゴヌクレオチドプローブは切断部位および検出可能な標識物を含む;
(c)ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブに結合した標識物を検出することによって、標的ポリヌクレオチドにおいて1つまたは複数のヌクレオチドを同定する工程;
(d)ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブを、切断部位で切断して、伸長可能なプローブ末端を生成する工程であって、ここで切断によりライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブ(プローブ−標的物2本鎖由来の標識物を含む)の一部を除去する;および
(e)工程(b)、(c)、および(d)を繰り返す工程。
【0013】
核酸を配列決定する方法も提供され、それは以下の工程を含む:
(a)プライマーを、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズして、プライマー−標的物2本鎖を形成する工程であって、ここでその標的ポリヌクレオチドは5’末端で粒子状物質に結合しており、そしてその粒子状物質は支持体の表面に共有結合している;
(b)プライマー−標的物2本鎖を、ポリメラーゼおよび1つまたは複数の異なるヌクレオチドアナログと接触させ、ヌクレオチドアナログをプライマーの3’末端に組み込んで、それによって伸長したプライマー鎖を形成する工程であって、ここで組み込まれたヌクレオチドアナログはポリメラーゼ反応を終了し、そしてここで1つまたは複数のヌクレオチドアナログはそれぞれ、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルおよびそれらのアナログから成る基から選択される塩基;(ii)切断可能なリンカーを介して塩基またはそのアナログに結合した独特の標識物;(iii)デオキシリボース;および(iv)デオキシリボースの3’位置において−OH基をキャッピングする切断可能な化学基を含んでいる;
(c)支持体の表面を洗浄して、あらゆる組み込まれていないヌクレオチドアナログを除去する工程;
(d)組み込まれた直後のヌクレオチドアナログに結合した独特の標識物を検出し、それによって組み込まれた直後のヌクレオチドアナログを同定する工程;
(e)伸長したプライマー鎖の任意で未反応の−OH基を永続的にキャッピングする工程;
(f)組み込まれた直後のヌクレオチドアナログと独特の標識物の間の切断可能なリンカーを切断する工程;
(g)組み込まれた直後のヌクレオチドアナログのデオキシリボースの3’位置の−OH基をキャッピングする化学基を切断して、−OH基のキャッピングをはずす工程;
(h)支持体の表面を洗浄して、切断した化合物を除去する工程;
(i)工程(b)−(h)を繰り返す工程。
【0014】
本技術のこれらの特徴および他の特徴を、本明細書中で述べる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
当業者は、下記に記載する図面は、説明目的のためのみであることを理解する。図面は、いかなる方法においても本教示の範囲を制限することを意図しない。その特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。(単数または複数の)カラー図面を含むこの特許または特許出願公開のコピーは、請求および必要な料金の支払い時に、局によって提供される。
【図1】図1は、多機能性求電子性試薬を用いた、求核性表面の求電子性表面への変換を説明する概略図である。
【図2A】図2Aは、二機能性求電子性試薬を用いた、求核性表面の求電子性表面への変換の反応スキームを説明する概略図である。
【図2B】図2Bは、ポリマー性多機能性求電子性試薬を用いた、求核性表面の求電子性表面への変換の反応スキームを説明する概略図である。
【図3】図3は、P1オリゴヌクレオチドカップリング効率に対する、塩濃度およびDMSO濃度の効果を示す棒グラフである。
【図4】図4は、アミン基とイソチオシアネート基間のチオ尿素形成に関する、反応条件の最適化を説明する棒グラフであり、ここで様々なアミンビーズおよびカルボン酸ビーズを、異なるpH条件および異なる温度条件で、200μMのFITC溶液とインキュベートした。
【図5】図5は、エタノールアミンの存在下または非存在下で、蛍光標識カダベリンとインキュベートしたPDITC活性化スライドを示す棒グラフである。
【図6】図6A−6Cは、スライドにおける遊離アミンの喪失に関するPDITC活性化の結果を説明する写真である。
【図7】図7は、DNA鋳型に対するアミノアリル−dUTPのTdTが媒介する付加を説明する写真である。
【図8】図8は、異なるTdT伸長時間後の、ビーズにおけるアミン含有量の定量的測定を提供する棒グラフである。
【図9】図9Aは、ほんの少ししか、または全くビーズの移動を示さない、TdT伸長ビーズのPDITC活性化スライドへの結合を説明する写真である。図9Bは、有意なビーズの移動を示す、TdT伸長ではないビーズのPDITC活性化スライドへの結合を説明する写真である。
【図10】図10は、PDITC活性化スライドに沈着したTdT伸長ビーズに関する、配列決定サイクル数の関数としての残留ビーズ%を示すグラフであり、50サイクルの配列決定後にビーズは安定なままであることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書を解釈する目的のために、以下の定義を適用し、そして適当な場合はいつでも、単数形で使用された用語は複数も含み、そして逆もまた同じである。下記で述べるあらゆる定義が、本明細書中で参考文献に組み込まれたあらゆる文書を含むあらゆる他の文書におけるその用語の使用と対立する場合には、(例えば用語がもともと用いられた文書の解釈において)逆の意味が明らかに意図されなければ、本明細書およびその付随する特許請求の範囲を解釈する目的のために、下記で述べる定義が常に統制する。本明細書中における「または」の使用は、他に述べなければ、または「および/または」の使用が明らかに不適当である場合以外は、「および/または」を意味する。本明細書中における「a」の使用は、他に述べなければ、または「1つまたは複数」の使用が明らかに不適当である場合以外は、「1つまたは複数」を意味する。「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含む(including)」の使用は、交換可能であり、そして制限することを意図しない。さらに、1つまたは複数の実施態様の説明が、「含む(comprising)」という用語を使用する場合、当業者は、いくつかの特定の例において、その実施態様は、交互に「実質的に〜から成る」および/または「〜から成る」という用語を用いて説明し得ることを理解する。
【0017】
本明細書中で使用される、「ヌクレオシド」という用語は、2’デオキシヌクレオシドおよび2’ヒドロキシルヌクレオシドを含む。ヌクレオシドに関する「アナログ」という用語は、改変された塩基部分および/または改変された糖部分を有する、合成ヌクレオシドを含む。そのようなアナログは、結合特性を増強する、縮重を抑制する、特異性を増加させる等のためにデザインされた合成ヌクレオシドを含む。
【0018】
本明細書中で使用される、「ヌクレオチドアナログ」という語句は、ヌクレオチドと構造的および機能的に類似した、そしてポリメラーゼによって基質として認識され得る化学的化合物を指す。ヌクレオチドアナログは、切断可能なリンカーを介してヌクレオチドに結合した標識物を含むヌクレオチド、およびデオキシリボースの3’位置の−OH基が(例えば−CH2OCH3または−CH2CH=CH2のような化学的部分によって)キャッピングされたヌクレオチドを含む。この型のヌクレオチドアナログは、米国特許第6,664,079B2号において開示されている。
【0019】
本明細書中で使用される、−OH基をキャッピングすること(またはキャッピング)は、−OH基の水素を、異なる化学基で置換することを意味する。−OH基を、切断可能な化学基によってキャッピングし得る。キャッピングをはずすこと(またはキャッピングをはずす)は、キャッピングされた−OH基から化学基を切断すること、および化学基を「H」で置換することを意味する。−OH基のキャッピングおよびキャッピングをはずすことの適当な手段は、米国特許第6,664,079B2号において開示されている。
【0020】
本明細書中で使用される、「オリゴヌクレオチド」という語句は、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド等を含む、ヌクレオシドまたはそのアナログの直線状オリゴマーを指す。オリゴヌクレオチドは、サイズが数モノマーユニット(例えば3から4ユニット)から数百モノマーユニットまでの範囲であり得る。
【0021】
本明細書中で使用される、「ライゲーション」という用語は、2つまたはそれを超える核酸(例えばオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド)の末端間の共有結合形成または連結を指す。
【0022】
本明細書中で使用される、「伸長可能なプローブ末端」という語句は、別の核酸がライゲーションし得る、核酸の末端を指す。
【0023】
本明細書中で使用される、「伸長可能でないプローブ末端」という語句は、改変なしに別の核酸がライゲーションできない、核酸の末端を指す。例えば、その末端は、5’リン酸基または3’水酸基を欠くヌクレオチドであり得る。あるいは、その末端は、ライゲーションを阻害する阻害基が結合したヌクレオチド残基であり得る。
【0024】
本明細書中で使用される、「ユニバーサル塩基」という語句は、天然に存在する核酸において典型的に見出される1つを超える塩基と対を形成し得、そして従って2本鎖において天然に存在する塩基を置換し得る塩基を指す。その塩基は、必ずしも天然に存在する塩基のそれぞれと対を形成し得る必要はない。ユニバーサル塩基は、国際公開第WO2006/084132A2号において記載されている。
【0025】
本明細書中で使用される、「表面官能基」という語句は、表面に結合した官能基を指す。これらの基は、表面に直接、または連結基を介して表面に間接的に結合し得る。
【0026】
本明細書中で使用される、「粒子」という用語および「粒子状物質」という語句は、交換可能に使用され、そして有限の質量および内部構造を有するあらゆる固体の本体を指す。典型的な粒子は、ビーズおよびマイクロスフィアを含む。いくつかの実施態様によって、その粒子は、100μmより小さい直径を有し得る(例えば1μm)。粒子を、ポリマー(例えばポリスチレン)、ガラスおよびセラミックスを含む様々な材料から作製し得る。他の典型的な粒子は、磁気粒子を含む。適当な磁気粒子は、米国特許第5,512,439号において開示されたものを含むがこれに限らない。例えば、その磁気粒子は、EP83901406.5によって生産される、単分散超常磁性ビーズであり得、ここで「単分散」という用語は、5%より少ない直径標準偏差を有するサイズの分散を含む。単分散粒子は、1.1から1.8または1.2から1.5の範囲の比重を有し得る。その単分散粒子は、少なくとも1ミクロンおよび10ミクロン以下の直径、または少なくとも2ミクロンおよび6ミクロン以下の直径を有する(例えば直径約3ミクロン)、球状のビーズであり得る。
【0027】
Sequencing by Oligonucleotide Ligation and Detection(SOLiDTM)は、DNA標的物の、小さい不溶性構造物(例えば1ミクロンの直径の架橋ポリスチレンビーズ)への結合に続く、複数の構造物の固定化を含み、ここで各構造物は、平坦な表面上に独特のDNA配列を含む。この型の配列決定技術は、国際公開第WO2006/084132A2号において開示されている。
【0028】
ビーズを支持体に結合する方法は、ビオチン化ヌクレオチドを有する、ストレプトアビジンDNAを載せたポリスチレンビーズで不可逆的にコーティングされた、平坦なガラス顕微鏡スライドを利用している(例えば、ビーズへの結合に続く、ビオチン化dNTPおよび末端デオキシトランスフェラーゼのDNA標的物に対する作用によって得る)。ビオチン化ビーズとストレプトアビジンでコーティングしたスライドのインキュベーションは、ストレプトアビジンとビオチンの相互作用による、ビーズのスライドへの固定化を引き起こす。動力学的にこれは非常に有効な結合スキームであるが、DNA配列アッセイによって必要とされる条件下で、スライド上のビーズの移動が時々観察された。ビーズがスライド上に高密度で(例えば100,000ビーズ/mm2まで)存在し、そして複数回調べた(例えば25回まで)場合、あらゆる有意なビーズの移動は、続くビーズの高密度な集団内のスキャンにおいて、特定のビーズの確固とした同定を妨げ得る。
【0029】
本明細書中で記載されるように、配列決定および他の形式の遺伝分析の間のビーズの移動を抑制する、ビーズ固定化に関する共有結合システムが開発された。以下の工程を含む方法が提供される:基質の表面上の求核性基を、複数の求電子性基を含む分子と反応させ、それによって基質の表面に1つまたは複数の遊離求電子性基を提供する工程;および粒子状物質の表面上の求核性基を、基質の表面上の1つまたは複数の遊離求電子性基と反応させて、粒子状物質を基質に共有結合させる工程。
【0030】
図1は、多機能性求電子性試薬による、求核性(すなわちアミノ官能基)表面の改変を実証する。図1に示すように、表面の求核剤はアミノ基である。これらの求核性アミノ基を、求電子性表面に形成し得る。例えば、表面基を(アミノプロピル)トリアルコキシシランと反応させることによって、珪酸塩ガラス顕微鏡スライドの求電子性表面を、容易に求核性表面へ変換し得る。
【0031】
図1に示すように、その表面を、複数の求電子剤を含む分子で活性化し、ここで求電子性分子上の1つの求電子性基が反応して、スライド表面の求核性パートナーと安定な共有結合を形成し、そして分子上の残りの(単数または複数の)求電子剤が、固定化することが望ましい粒子上の求核性基と反応および安定な共有結合を形成するために利用可能である。図1において、分子の求電子剤をE1、E2およびE3によって示し、表面の求核剤と反応する分子の求電子剤をそれぞれA1、A2またはA3によって示す。
【0032】
下記で記載するように、1ミクロン架橋ポリスチレンビーズに共有結合したDNA標的核酸を、ビーズへの結合に続いて、DNA標的物に対するアミノアルキルdNTPの作用および末端デオキシトランスフェラーゼの作用によって改変した。DNA標的物上の求核性アミノ基を、次いで支持体表面の残った求電子性基と反応させて、ビーズとガラス表面との間に複数の安定な共有結合を形成することができた。
【0033】
求電子性表面と求電子性ビーズを架橋するために使用し得る、複数の求電子性基を有する分子のいくつかの例を、図2Aおよび2Bに示す。図2Aは、表面の求電子性基の、ベンゼン1,4−ジイソチオシアネートとの反応を介した、求電子性表面の改変を説明する。ベンゼン1,4−ジイソチオシアネートに関して{E1−(L−E2−)nL−E3の命名法を用いる}、E1およびE3は同じである求電子性基(すなわちイソチオシアネート基)、連結基Lはベンゼン環、そしてnは0である。
【0034】
図2Bは、表面上の求電子性基の、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマーによる反応を介した、求電子性表面の改変を説明する。メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマーに関して{E1−(L−E2−)nL−E3の命名法を用いる}、E1、求電子性基のE2およびE3は同じ(すなわち無水コハク酸基)、連結基Lはメトシキエタン、そしてnは>0である(コポリマーの重合の程度または分子量を示す)。
【0035】
図1を参照して、E1−(L−E2−)nL−E3からのExの、表面上の求核性パートナーとの反応は、A1−(L−E2−)nL−E3のような安定な官能基Axを生じ、ここで残りの官能基Eyは、固定化するビーズ上の求核性官能基との反応に利用可能である。A1−(L−E2−)nL−E3を含む生じた表面は、「活性化表面」と呼ばれる。図2Aに示すように、ベンゼン1,4−ジイソチオシアネートに関して、Axはチオ尿素である。図2Bに示すように、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマーに関して、Axはアミドである。
【0036】
求電子性基を含む活性化表面を、求核性基を含む粒子と接触させる場合、粒子と表面間の連結は、A1−(L−E2−)nL−A3として特徴付け得、ここで少なくとも1つのAxは、表面と安定な共有結合を形成し、そして少なくとも1つのAxは、微細構造物と安定な共有結合を形成する。アミノ表面と、DNA標的物上の求核性アミノ基を含むビーズを連結する、図2Aに示したベンゼン1,4−ジイソチオシアネートの場合に関して、Axは全てチオ尿素結合である。アミノ表面とDNA標的物上の求核性アミノ基を含むビーズを連結する、図2Bに示したメチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマーの場合に関しては、Aは全てアミド結合である。
【0037】
安定な共有結合は、求電子性基を含む表面と求核性基を含む粒子との間に形成され得ることが見出された。それに加えて、DNA標的物に対するアミノ−dNTPの作用および末端デオキシトランスフェラーゼの作用からの求核性アミノ基を含むビーズを、水性塩基性条件下で、改変した表面上に固定化し得る。例えば、ベンゼン1,4−ジイソチオシアネートによって活性化された、アミノ基を含む表面を用いて、求核性基を有するビーズを固定化し得る。それに加えて、共有結合は、非常に安定のようであり、そしてビーズの移動は観察されない。
【0038】
本明細書中で記載された、表面固定化ビーズを、ライゲーションによる1本鎖鋳型に沿った2本鎖伸長の反復サイクルに基づいた、核酸配列を分析する方法において使用し得る。この型の配列決定方法は、米国特許第5,750,341;5,969,119;および6,306,597B1号において、および国際公開第WO2006/084132A2号において開示されている。これらの出版物のそれぞれは、本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる。さらに、前述の出版物において記載された技術を用いて、本明細書中で記載されたように支持体に結合した粒子に結合した核酸鋳型を分析(例えば配列決定)し得る。固定化ビーズを、ポリヌクレオチド鎖の伸長を防ぐ除去可能な阻害基を有する、標識ヌクレオチドを用いた配列決定のような、必ずしもライゲーション工程を採用しない配列決定方法において使用し得る(例えば、米国特許第6,664,079;6,232,465;および7,057,026号)。固定化ビーズを、ビーズのシグナルを複数のサイクルを通じて反復して検出する、様々な技術において使用し得る。
【0039】
例えば、以下の工程を含む方法が提供される:
(a)第一の初期化オリゴヌクレオチドプローブを、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズして、プローブ−標的物2本鎖を形成する工程であって、ここでそのオリゴヌクレオチドプローブは伸長可能なプローブ末端を有し、ここでその標的ポリヌクレオチドは粒子状物質に結合しており、そしてここでその粒子状物質は固体支持体の表面に共有結合している工程;
(b)伸長オリゴヌクレオチドプローブの第一の末端を、伸長可能なプローブ末端にライゲーションし、それによって伸長したオリゴヌクレオチドプローブを含む伸張した2本鎖を形成する工程であって、ここでその伸長オリゴヌクレオチドプローブは、切断部位および検出可能な標識物を含む工程;
(c)ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブに結合した標識物を検出することによって、標的ポリヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドを同定する工程;
(d)ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブを切断部位で切断して、伸長可能なプローブ末端を生成する工程であって、ここで切断はプローブ−標的物2本鎖からの標識物を含む、ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブの部分を除去する工程;および
(e)標的ポリヌクレオチドのヌクレオチドの配列が決定されるまで、工程(b)、(c)および(d)を繰り返す工程。
【0040】
その切断部位を、ホスホジエステル結合を切断しない条件下で切断し得る。従って切断は、伸長オリゴヌクレオチドプローブのホスホジエステル結合を切断しない条件下で起こり得る。
【0041】
その検出可能な標識物は、蛍光部分であり得る。
【0042】
第一の末端の反対側の、伸長オリゴヌクレオチドプローブの第二の末端は、伸長しないプローブ末端を含み得る。これは、1回のサイクルの間に複数のライゲーションが起こることを防ぐ。
【0043】
伸長オリゴヌクレオチドプローブは、オクタマーであり得る。そのオリゴヌクレオチドプローブは、下記に述べるような配列を有し得る:
*NNNNN−zzz
ここで各「N」は独立に、A、C、TまたはGを表し、「z」は、ユニバーサル塩基を表し、「*」はライゲーション部位を表し、そして「−」は切断部位を表す。検出可能な標識物を、ユニバーサル塩基の1つに結合し得る。
【0044】
いくつかの実施態様によって、それぞれ異なる標識物を有する、4つの異なるカテゴリーのプローブを使用し得る:
*NNNTA−zzz;
*NNNGG−zzz;
*NNNTC−zzz;および
*NNNAT−zzz。
【0045】
いくつかの実施態様によって、その方法はさらに、2番目の初期化オリゴヌクレオチドプローブを標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズさせて、プローブ−標的物2本鎖を形成する工程、および工程(b)、(c)および(d)を繰り返し行う工程を含み、ここでその2番目の初期化オリゴヌクレオチドプローブは、1番目の初期化オリゴヌクレオチドプローブと長さが1ヌクレオチド異なり、この方式で、標的物の配列を決定し得る。
【実施例】
【0046】
本教示の局面は、以下の実施例を考慮してさらに理解し得、それはいかなる方法においても、本教示の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【0047】
P1オリゴヌクレオチドのカルボン酸ポリスチレンビーズとの結合
下記で記載する方法は、1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)によるビーズ表面のカルボキシル基を活性化する工程、および形成されたO−アシルイソウレア中間体を、イミダゾールの存在下でアミノ改変オリゴヌクレオチドとインサイツで結合する工程に基づいており、ビーズ表面とオリゴヌクレオチドとの5’末端の間に共有結合を生じる。オリゴヌクレオチド分子に関するビーズの収容力は限られているので、P1結合後にはビーズ表面に多くの遊離カルボキシル基が残っている。これらの荷電した基は、ビーズの蛍光色素への吸収を引き起こすことによって、下流の手順を妨害し、従って実質的に蛍光ノイズを増加させる。また、キャッピングしていないDNAを負荷したビーズは、凝集する傾向がある。これらのカルボキシル基を不活性化するために2番目の手順、これらの基のアミノ−メトキシPEG12によるキャッピングを行う。
【0048】
この実験の目的は、ビオチン化P1およびストレプトアビジンビーズを用いて達成されたのと同じ収容力で、P1オリゴヌクレオチドのカルボキシビーズに対する共有結合を達成することであった。そのレベルのP1オリゴヌクレオチドの負荷は、SOLiDTMライゲーション配列決定に十分であった。しかし、ビーズ製造業者によって推奨される結合システムを用いて、ストレプトアビジンに基づくシステムの約70%の共有結合P1負荷のレベルが観察された(データは示していない)。さらなる実験が、共有結合システムにおけるNaClおよびDMSO両方の存在が、より効率的なP1結合を引き起こしたことを明らかにした。NaCl(「塩」)およびDMSOの比の効果を図3で説明するが、それは異なる比のNaClおよびDMSOに関して、ストレプトアビジンビーズに対する%として示した、20msecにおける中央値(medium)Cy3RFUを示した棒グラフである。図3から見られ得るように、最も高いRFU値が、0.5/60および1.0/50のNaCl対DMSO比で示された。
【0049】
図3に示すように、高いDMSO濃度(70%v/v)にも関わらず、NaClがシステム中に存在しない場合、P1結合は増加しなかった。一般的に、DMSOを含むシステムにおいてNaCl濃度を増加させることは、カルボキシビーズにおけるより高いP1負荷と関連していた。逆に、DMSO非存在下のNaClは、P1負荷に阻害効果を有していた(データは示していない)。いくつかの実験に基づいて、200mMのNaClおよび50%v/vのDMSOの組み合わせが、P1結合反応において使用するために選択された。
【0050】
典型的なP1結合手順を下記で述べる:
MyOneカルボン酸ビーズのアリコートを、0.01NのNaOHで1回、そして次いでDEPC水で5回洗浄する。反応混合物は、200mMのNaCl、0.1mMの5’−アミノ改変P1オリゴヌクレオチド41塩基長、1mMの塩化イミダゾール、50%v/vのDMSOおよび200mMのEDCを含む。ビーズを試薬とよく混合し、ボルテックスを行い、超音波処理し、そしてローテータ上で、室温で一晩インキュベートする。2番目の工程(すなわちキャッピング)を、200mMのEDCおよび50mMのNHSの存在下で、残ったカルボキシル基をアミノ反応性NHS−エステルへ変換し、続いて20mMのアミノPEG12と結合することによって行う。
【0051】
SOLiDTMプラットフォームのための共有結合ビーズのスライドへの沈着化学反応の開発
以下のものは、SOLiDTM配列決定プラットフォームのための、DNA鋳型ビーズの改変ガラス表面へのランダム沈着を含む、新規共有結合化学反応の開発を説明する。
【0052】
この化学反応の開発は、3つの主な工程を含む。最初に、QCアッセイおよびビーズ固定化のためのアミンおよびイソチオシアネートの間のチオ尿素形成の最適化。2番目に、アミノプロピル/トリアルコキシシランでコーティングされたガラスを、1,4−フェニレンジイソチオシアネート(PDITC)によって活性化することによる、求電子性ガラス表面の生成。3番目に、末端デオキシトランスフェラーゼによるアミノアリル−dUTPの付加による、DNA鋳型の3’末端への求核性アミンの付加。各工程の開発は、付随するデータで議論され、続いてDNA配列アッセイによって必要とされる条件下で安定性を提供する、ビーズ固定化を検証する。
【0053】
アミンおよびイソチオシアネート官能基の間の共有チオ尿素結合の形成のための、最適な反応条件の決定
アミンとイソチオシアネート部分の適当な反応は、チオ尿素結合の形成、非常に安定な共有結合の形成を生じる。チオ尿素結合形成のための最適な条件を決定するために、この反応の成分の1つを蛍光標識し、そしてリポーターとして使用した。具体的には、これらのアッセイは、フルオレセイン標識イソチオシアネート(FITC)を使用した。この反応条件の最適化は、ビーズのスライドへの適当な共有結合を保証するだけでなく、ビーズの固定化前に、ビーズに求核剤をせいせいさせるための、そしてスライドに求電子性基を生成させるためのの品質のチェックポイントを提供した。
【0054】
反応条件を最適化するために、その表面に高いアミン含有量を有することが公知であるビーズに化学反応を行った。これらのビーズを、温度およびpHを変化させながら、様々な緩衝液の型においてFITCと反応させた。フルオレセイン標識イソチオシアネート基のアミンへの共有結合に起因するビーズの蛍光を測定し、そして異なる反応条件間で比較した。共有結合の形成を保証するために、同じビーズをアルカリおよび重金属溶液で処理した後に蛍光を測定した(SOLiDTM配列決定のあるサイクルにおいて見られる条件と類似)。これらの実験からの省略された結果を、図4に示す。図4に示すように、より高いpH(9.5)および熱(37℃)において、ストレプトアビジンビーズおよびアミンビーズはどちらも、低いpHおよび室温において示されるものよりもはるかに大きなFITCシグナルを示す。これも図4に示すように、カルボン酸ビーズ(COOH)は比較においてはるかに低いシグナルを示すので、FITCシグナルはアミンを含むビーズに特異的である。最後に、FITCは、アルカリおよび重金属(切断)処理の後にも存在したままであり、ビーズに対する強固なFITC結合を示す。これらの研究は、求電子剤によりスライド表面を活性化し、そしてスライドへ結合するためのビーズのアミン含有量を評価することの根拠を与えた。
【0055】
ビーズ固定化のための求電子性表面を生成するための、改変ガラススライドの活性化
PDITC化学反応を用いた、オリゴヌクレオチドのガラス支持体への成功した共有結合が、以前に報告された{Guoら、Direct Fluorescence Analysis Of Genetic Polymorphisms By Hybridization With Oligonucleotide Arrays On Glass Supports、Nucleic Acids Res.22(24):5456−65(1994)}。これらの方法を、1ミクロンのビーズの改変ガラス表面への共有結合に適用し得るかどうか決定するために、実験を行った。求核性ガラス表面は、アミンでコーティングされた珪酸塩スライドの形式で、市販されており、それはスライドを、(アミノプロピル)トリアルコキシシランを含む溶液に浸すことによって容易に生成される。これらを様々な売主から購入し、そして各スライドを200μMのFITC溶液中でインキュベートし、続いて蛍光顕微鏡下で可視化することによって、各スライドの相対的アミン含有量を決定した。各スライドの型の蛍光を比較した後、ITCによる蛍光の最も高い、そして最も均一な分布を報告したので、SchottA+スライドを用いて我々の研究を続けることを決定した。
【0056】
次に、スライドを、50mMのPDITCおよび20mMのn,n−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を含むDMSO溶液中で一晩反応させることによって、ガラス表面の求核性部分を、求電子剤に変換した。1次アミンおよびイソチオシアネート部分の間のチオ尿素形成を促進するための塩基として、DIEAを加えた。その後、スライドをDMSOで2回、次いで70%エタノールで3回洗浄し、続いて水で3回洗浄した。次いでスライドを脱水し、そして電子デシケーター中で保存した。
【0057】
求電子剤に対するスライド表面の活性化が成功したかどうかを決定するために、スライドを、フルオレセイン標識カダベリン(小さくかつ高度に反応性のジアミン)とインキュベートした。スライド上の蛍光の量を、蛍光顕微鏡を用いて測定した。フルオレセインの非特異的結合に起因する蛍光のバックグラウンドレベルを評価するために、フルオレセイン標識カルボン酸を含めた。さらに、それがスライドに対するカダベリン結合と競合し得るかどうかを見るために、エタノールアミンをインキュベーションのサブセットに含めた。図5に示すように、PDITC−活性化スライドは、フルオレセイン標識カダベリンとのインキュベーション後、150−240%の蛍光量の増加を示す。この増加は、100mMのエタノールアミンを含ませることによって減弱し、スライド上の求電子性基は、1次アミンと反応することを示す。図5は、エタノールアミンの存在下または非存在下において、蛍光標識カダベリンとインキュベートしたPDITC活性化スライドを示す棒グラフである。蛍光標識カルボン酸を、ベースラインの蛍光を提供するために用いた。「BEV」は、Beverly、MAにおいて作製されたPDITC活性化スライドを示す。「FC1」および「FC2」は、Foster City、CAにおいて作製されたPDITC活性化スライドを示す。
【0058】
PDITC活性化の反応の進行を決定する別の方法は、PDITCとのインキュベーション前および後に、A+スライドのアミン含有量を評価することを含んでいた。スライドを、フルオレセイン標識イソチオシアネート(FITC)とインキュベートし、そしてaxonスキャナで可視化して、そのアミン含有量を評価した。ブランクスライド、A+スライド、およびPDITC活性化スライドに対して比較を行った。図6A、6B、および6Cはその結果を示す。図6A−6Cは、スライド上の遊離アミンの喪失に関する、PDITC活性化の結果を示す写真である。ブランクガラス、PDITC活性化スライド、および非活性化アミンスライドを、FAM−ITCとインキュベートし、そしてaxonスキャナを用いて可視化して、遊離アミンの存在を決定した。アミンとのFITC反応から生じる平均RFU値を、対応する標準偏差と共に各スライドの下に列挙する。ブランクスライド(図6C)およびPDITCスライド(図6A)はどちらも、同様に弱いRFU値を示し、アミンの欠如を示す。対照的に、非改変A+スライド(図6B)は、非常に高いRFU値を示し、高いアミン含有量を示した。従って、PDITC活性化工程は、A+スライド上のアミンと効率的に反応し、そしてそれらをさらなる修飾に対しての利用を不可能にする。さらに、PDITC活性化は、A+スライド上の遊離アミンの喪失をもたらす。
【0059】
求電子性ガラス表面に結合させるためのDNA鋳型ビーズ上の求核性アミンの付加
珪酸塩表面のPDITC活性化と同時に、ガラススライドに存在する求電子剤と反応するDNA鋳型ビーズ上の求核性基を生成するための実験をデザインした。末端デオキシトランスフェラーゼ(TdT)を、ビオチン標識ヌクレオチドをビーズ上のDNA鋳型の3’末端に付加するために以前に使用したので、代わりに付加基質としてアミノアリル標識dUTPを用いる以外は、我々はこの戦略を継続することを決定した。末端デオキシトランスフェラーゼの製造業者によって推奨される標準的な手段を用いた。TdT伸長ビーズをFITCと反応させることによる求核性アミンの付加が検証された。ストレプトアビジンでコーティングされたビーズ(多くのアミンを含む)およびカルボキシビーズを、それぞれ陽性コントロールおよび陰性コントロールとして使用した。図7は、ストレプトアビジン(S/A)ビーズおよびTdT伸長ビーズは、アミンとの反応のためにITCによる蛍光を示し、一方、カルボン酸(COOH)ビーズはシグナルを示さないことを示す。図7は、ストレプトアビジン(S/A)ビーズ、カルボン酸(COOH)ビーズおよびTdT伸長ビーズのFITC強度を示す写真である。示したビーズの型を、フルオレセイン標識ITCとインキュベートして、アミノアリルdUTPの存在を検出した。ビーズを白色光(WTL)およびFITC励起(FITC)の下で可視化した。図7において、「COOH」はカルボン酸ビーズを指し、「S/A」はストレプトアビジンビーズを指し、そして「TdT」はアミノアリル−dUTP−伸長ビーズを指す。
【0060】
図8において示すように、TdT伸長をより長く進行させることができるので、この反応の定量的分析は、蛍光の量の用量依存的増加を明らかにする。図8は、異なるTdT伸長時間後の、ビーズのアミン含有量の定量的測定値を説明する棒グラフである。ビーズを上記で示したように処理し、そしてITCによる蛍光に関して、蛍光顕微鏡下で可視化した。図8において、「COOH」はカルボン酸ビーズを指し、「S/A」はストレプトアビジンビーズを指し、そして「O/N」は一晩のインキュベーションを指す。
【0061】
PDITC活性化スライドへの強固なビーズ結合の検証
The Applied Biosystems Sequencing by Oligonucleotide Ligation and Detection(SOLiDTM)プラットフォームは、スライド表面にランダムに分布した、複数のクローンのDNA鋳型ビーズを利用しており、それに対して様々なサイクルの生化学反応を適用する。DNA配列の正確な検出および登録のために、ビーズは配列決定サイクルの全期間、固定化されたままであるべきである。ビーズをスライドへ結合するチオ尿素結合が、SOLiDTM配列決定条件に耐え得ることを実証するために、TdTライブラリービーズを、PDITC活性化スライドに沈着させ、そして数モジュールのSOLiDTM配列決定の後に、ビーズの移動を測定した。処理前および処理後のビーズ画像のオーバーレイは、求核性アミンを含むビーズは、PDITC活性化スライドにおいて安定であることを示し(図9A)、一方アミンを含まないビーズは、相対的に不安定であることを示す(図9B)。ビーズの移動を、アルカリ(リセット)処理および重金属(切断)処理の後に追跡した。いずれの処理前のビーズは赤に見え、一方赤いビーズは処理後に撮った画像を意味する。ビーズの移動を、配列決定全体の実行時間と同等以上追跡する場合、図10に示したように、90%を超えるビーズが固定化されたままである。
【0062】
図10は、PDITC活性化スライドに沈着したTdT伸長ビーズにおいて行った配列決定に対する配列決定サイクル数の関数として、残ったビーズのパーセンテージ(%)を示すグラフである。図10から見られ得るように、50サイクルの配列決定の後でさえ、ビーズは安定なままである。ライゲーション配列決定の10サイクルごとにビーズの画像を撮り、そして残ったビーズのパーセンテージを計算した。示した数字は、3つの独立した実験の平均である。あわせて、これらの結果は、チオ尿素結合は、SOLiDTMプラットフォームのために十分強いことを示していた。
【0063】
前述の明細書は、説明の目的のために提供された実施例によって、本発明の原理を教示するが、この開示を読み取ることから、本発明の真の範囲から離れることなく、形式および詳細における様々な変化をなし得ることが、当業者によって認識される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基質の表面上の求核性基を、複数の求電子性基を含む分子と反応させ、それによって1つまたは複数の遊離求電子性基を該基質の表面上に提供する工程;および
粒子状物質の表面上の求核性基を、該基質の表面上の、1つまたは複数の遊離求電子性基と反応させて、該粒子状物質を該基質に共有結合させる工程:
を含む、方法。
【請求項2】
前記分子が、以下の構造:
E1−(L−E2−)nL−E3
によって表される複数の求電子性基を含む分子であり、ここで、E1、E2、およびE3は求電子性基であり、Lはリンカーであり、nは0または正の整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の求電子性基を含む前記分子が、
【化6】
である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の求電子性基を含む前記分子が、以下の式:
【化7】
によって表される繰り返し単位を有するポリマーである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
求核性基を含み、そして5’末端および3’末端を有する核酸が、粒子状物質の表面に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記核酸が、以下の式:
【化8】
の求核性基を含み、ここでnは、0または整数である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記核酸が、該核酸の5’末端を介して粒子状物質に結合し、ここで前記求核性基は、該核酸の3’末端にある、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記粒子状物質が、架橋ポリスチレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法により作製される、製品。
【請求項10】
表面官能基を含む粒子状物質;
表面官能基を含む支持体;
を含む製品であって、
ここで該粒子状物質の表面官能基は、以下の部分:
【化9】
を含むリンカー基を介して、該支持体の表面官能基に共有結合する、製品。
【請求項11】
基質の表面上の求核性基を、以下の式:
【化10】
によって表される化合物、または以下の式:
【化11】
によって表される部分を有するポリマーと反応させる工程を含む、方法。
【請求項12】
前記基質の表面上の求核性基が、アミノ基である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法により作製される製品。
【請求項14】
支持体表面に共有結合した部分を含む製品であって、ここで該部分は以下の式:
【化12】
(ここで、R1は連結基を表し、そして「SUPPORT」は支持体表面を表す)によって表されるか、または、以下の式:
【化13】
(ここでnは正の整数であり、「SUPPORT」は支持体表面を表し、R2は1番目の化学基であり、R3は2番目の化学基であり、そしてR4はリンカー基である)によって表される、製品。
【請求項15】
(a)初期化オリゴヌクレオチドプローブを標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズさせて、プローブ−標的物2本鎖を形成する工程であって、ここで該オリゴヌクレオチドプローブは、伸長可能なプローブ末端を有し、該標的ポリヌクレオチドは、粒子状物質に結合し、そして該粒子状物質は支持体の表面に共有結合している、工程;
(b)伸長オリゴヌクレオチドプローブの第一の末端を、伸長可能なプローブ末端にライゲーションし、それによって伸長したオリゴヌクレオチドプローブを含む伸長した2本鎖を形成する工程であって、ここで該伸長オリゴヌクレオチドプローブは切断部位および検出可能な標識物を含む、工程;
(c)ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブに結合した標識物を検出することによって、前記標的ポリヌクレオチドにおいて1つまたは複数のヌクレオチドを同定する工程;
(d)前記ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブを、切断部位で切断して、伸長可能なプローブ末端を生成する工程であって、ここで切断は、プローブ−標的物2本鎖由来の標識物を含む、該ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブの一部を除去する、工程;ならびに
(e)工程(b)、(c)、および(d)を繰り返す工程:
を含む、方法。
【請求項16】
前記切断部位は、ホスホジエステル結合を切断しない条件下で切断され得、そして切断は、ホスホジエステル結合を切断しない条件下で起こる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記伸長オリゴヌクレオチドプローブは、オクタマーである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記検出可能な標識物は、蛍光部分である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第一の末端の反対側の、前記伸長オリゴヌクレオチドプローブの第二の末端は、伸長不可能なプローブ末端を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記伸長オリゴヌクレオチドプローブは、以下
*NNNNN−zzz
に示される配列を有し、ここで各「N」は独立に、A、C、TまたはGを表し、「z」は、ユニバーサル塩基を表し、「*」は該プローブの第一の末端を表し、そして「−」は切断部位を表す、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
検出可能な標識物は、前記ユニバーサル塩基のうちの一つに結合する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記粒子状物質の表面官能基は、以下の部分:
【化14】
を含むリンカー基を介して、前記支持体上の官能基に共有結合する、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
標的核酸は、以下の式:
【化15】
の1つまたは複数のアミノ基を含む求核性基を含み、ここで、nは0または整数であり、前記粒子状物質は、該標的核酸の1つまたは複数のアミノ基と、前記支持体の表面上の求電子性基との反応を介して、該支持体の表面に共有結合する、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
(a)プライマーを、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズして、プライマー−標的物2本鎖を形成する工程であって、ここで該標的ポリヌクレオチドは5’末端で粒子状物質に結合し、そして該粒子状物質は支持体の表面に共有結合している、工程;
(b)前記プライマー−標的物2本鎖を、ポリメラーゼおよび1つまたは複数の異なるヌクレオチドアナログと接触させ、ヌクレオチドアナログを該プライマーの3’末端に組み込み、それによって伸長したプライマー鎖を形成する工程であって、ここで組み込まれたヌクレオチドアナログはポリメラーゼ反応を終了させ、そして1つまたは複数のヌクレオチドアナログはそれぞれ、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルおよびそれらのアナログから成る群から選択される塩基;(ii)切断可能なリンカーを介して該塩基またはそのアナログに結合した独特の標識物;(iii)デオキシリボース;および(iv)該デオキシリボースの3’位置において−OH基をキャッピングする切断可能な化学基を含む、工程;
(c)前記支持体の表面を洗浄して、あらゆる組み込まれていないヌクレオチドアナログを除去する工程;
(d)組み込まれた直後のヌクレオチドアナログに結合した独特の標識物を検出し、それによって該組み込まれた直後のヌクレオチドアナログを同定する工程;
(e)前記伸長したプライマー鎖のあらゆる未反応の−OH基を任意で永続的にキャッピングする工程;
(f)前記組み込まれた直後のヌクレオチドアナログおよび前記独特の標識物の間の切断可能なリンカーを切断する工程;
(g)前記組み込まれた直後のヌクレオチドアナログのデオキシリボースの3’位置の−OH基をキャッピングする化学基を切断し、該−OH基のキャッピングをはずす工程;
(h)前記支持体の表面を洗浄して、切断した化合物を除去する工程;
(i)工程(b)−(h)を繰り返す工程;
を含む、核酸の配列を決定する方法。
【請求項1】
基質の表面上の求核性基を、複数の求電子性基を含む分子と反応させ、それによって1つまたは複数の遊離求電子性基を該基質の表面上に提供する工程;および
粒子状物質の表面上の求核性基を、該基質の表面上の、1つまたは複数の遊離求電子性基と反応させて、該粒子状物質を該基質に共有結合させる工程:
を含む、方法。
【請求項2】
前記分子が、以下の構造:
E1−(L−E2−)nL−E3
によって表される複数の求電子性基を含む分子であり、ここで、E1、E2、およびE3は求電子性基であり、Lはリンカーであり、nは0または正の整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の求電子性基を含む前記分子が、
【化6】
である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の求電子性基を含む前記分子が、以下の式:
【化7】
によって表される繰り返し単位を有するポリマーである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
求核性基を含み、そして5’末端および3’末端を有する核酸が、粒子状物質の表面に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記核酸が、以下の式:
【化8】
の求核性基を含み、ここでnは、0または整数である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記核酸が、該核酸の5’末端を介して粒子状物質に結合し、ここで前記求核性基は、該核酸の3’末端にある、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記粒子状物質が、架橋ポリスチレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法により作製される、製品。
【請求項10】
表面官能基を含む粒子状物質;
表面官能基を含む支持体;
を含む製品であって、
ここで該粒子状物質の表面官能基は、以下の部分:
【化9】
を含むリンカー基を介して、該支持体の表面官能基に共有結合する、製品。
【請求項11】
基質の表面上の求核性基を、以下の式:
【化10】
によって表される化合物、または以下の式:
【化11】
によって表される部分を有するポリマーと反応させる工程を含む、方法。
【請求項12】
前記基質の表面上の求核性基が、アミノ基である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法により作製される製品。
【請求項14】
支持体表面に共有結合した部分を含む製品であって、ここで該部分は以下の式:
【化12】
(ここで、R1は連結基を表し、そして「SUPPORT」は支持体表面を表す)によって表されるか、または、以下の式:
【化13】
(ここでnは正の整数であり、「SUPPORT」は支持体表面を表し、R2は1番目の化学基であり、R3は2番目の化学基であり、そしてR4はリンカー基である)によって表される、製品。
【請求項15】
(a)初期化オリゴヌクレオチドプローブを標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズさせて、プローブ−標的物2本鎖を形成する工程であって、ここで該オリゴヌクレオチドプローブは、伸長可能なプローブ末端を有し、該標的ポリヌクレオチドは、粒子状物質に結合し、そして該粒子状物質は支持体の表面に共有結合している、工程;
(b)伸長オリゴヌクレオチドプローブの第一の末端を、伸長可能なプローブ末端にライゲーションし、それによって伸長したオリゴヌクレオチドプローブを含む伸長した2本鎖を形成する工程であって、ここで該伸長オリゴヌクレオチドプローブは切断部位および検出可能な標識物を含む、工程;
(c)ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブに結合した標識物を検出することによって、前記標的ポリヌクレオチドにおいて1つまたは複数のヌクレオチドを同定する工程;
(d)前記ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブを、切断部位で切断して、伸長可能なプローブ末端を生成する工程であって、ここで切断は、プローブ−標的物2本鎖由来の標識物を含む、該ライゲーション直後の伸長オリゴヌクレオチドプローブの一部を除去する、工程;ならびに
(e)工程(b)、(c)、および(d)を繰り返す工程:
を含む、方法。
【請求項16】
前記切断部位は、ホスホジエステル結合を切断しない条件下で切断され得、そして切断は、ホスホジエステル結合を切断しない条件下で起こる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記伸長オリゴヌクレオチドプローブは、オクタマーである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記検出可能な標識物は、蛍光部分である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第一の末端の反対側の、前記伸長オリゴヌクレオチドプローブの第二の末端は、伸長不可能なプローブ末端を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記伸長オリゴヌクレオチドプローブは、以下
*NNNNN−zzz
に示される配列を有し、ここで各「N」は独立に、A、C、TまたはGを表し、「z」は、ユニバーサル塩基を表し、「*」は該プローブの第一の末端を表し、そして「−」は切断部位を表す、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
検出可能な標識物は、前記ユニバーサル塩基のうちの一つに結合する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記粒子状物質の表面官能基は、以下の部分:
【化14】
を含むリンカー基を介して、前記支持体上の官能基に共有結合する、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
標的核酸は、以下の式:
【化15】
の1つまたは複数のアミノ基を含む求核性基を含み、ここで、nは0または整数であり、前記粒子状物質は、該標的核酸の1つまたは複数のアミノ基と、前記支持体の表面上の求電子性基との反応を介して、該支持体の表面に共有結合する、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
(a)プライマーを、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズして、プライマー−標的物2本鎖を形成する工程であって、ここで該標的ポリヌクレオチドは5’末端で粒子状物質に結合し、そして該粒子状物質は支持体の表面に共有結合している、工程;
(b)前記プライマー−標的物2本鎖を、ポリメラーゼおよび1つまたは複数の異なるヌクレオチドアナログと接触させ、ヌクレオチドアナログを該プライマーの3’末端に組み込み、それによって伸長したプライマー鎖を形成する工程であって、ここで組み込まれたヌクレオチドアナログはポリメラーゼ反応を終了させ、そして1つまたは複数のヌクレオチドアナログはそれぞれ、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルおよびそれらのアナログから成る群から選択される塩基;(ii)切断可能なリンカーを介して該塩基またはそのアナログに結合した独特の標識物;(iii)デオキシリボース;および(iv)該デオキシリボースの3’位置において−OH基をキャッピングする切断可能な化学基を含む、工程;
(c)前記支持体の表面を洗浄して、あらゆる組み込まれていないヌクレオチドアナログを除去する工程;
(d)組み込まれた直後のヌクレオチドアナログに結合した独特の標識物を検出し、それによって該組み込まれた直後のヌクレオチドアナログを同定する工程;
(e)前記伸長したプライマー鎖のあらゆる未反応の−OH基を任意で永続的にキャッピングする工程;
(f)前記組み込まれた直後のヌクレオチドアナログおよび前記独特の標識物の間の切断可能なリンカーを切断する工程;
(g)前記組み込まれた直後のヌクレオチドアナログのデオキシリボースの3’位置の−OH基をキャッピングする化学基を切断し、該−OH基のキャッピングをはずす工程;
(h)前記支持体の表面を洗浄して、切断した化合物を除去する工程;
(i)工程(b)−(h)を繰り返す工程;
を含む、核酸の配列を決定する方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2010−536383(P2010−536383A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522077(P2010−522077)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/074075
【国際公開番号】WO2009/026546
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(509130413)アプライド バイオシステムズ, エルエルシー (48)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/074075
【国際公開番号】WO2009/026546
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(509130413)アプライド バイオシステムズ, エルエルシー (48)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]