説明

粒子流から非鉄の金属含有粒子を回収する方法

本発明は粒子流から非鉄の金属含有粒子を回収する方法に関する。発明によると、粒子流が、液体を使用して少なくとも非鉄の金属含有粒子がコンベアベルトに付着するようにコンベアベルト上に単一層の形で置かれ、非鉄の金属含有粒子を分離するためベルトと同一方向に回転する磁界に曝して、非鉄富化部分を生成し、引き続きコンベアベルトに付着した非鉄でない金属粒子を除去して非鉄の金属欠乏部分を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒子流から非鉄の金属含有粒子を回収して、非鉄の金属富化部分と非鉄の金属欠乏部分とを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば家庭廃棄物の焼却で生成された炉灰が含まれ、また1種類以上の金属が比較的多量に含まれた廃棄物流などの様々な流れがある。金属が存在するため、廃棄物流を利用して出費を減らす可能性は制限される。この理由のため、金属を分離する方法が先行技術で述べられている。鉄金属は磁石によって簡単に分離できる。コンベアベルトで搬送された非鉄金属の磁界分離も先行技術、例えば非特許文献1で知られている。この文献で非鉄の金属富化部分と非鉄の金属欠乏部分が生成される。本出願で金属に言及するときは、前記金属の合金も含むものと見なされる。
【0003】
従来の方法の回転率は、コンベアベルト幅1m当たり1トン/時間のオーダーである。
【非特許文献1】Eburon著「渦電流分離」REM P.C.出版、オランダ、1999年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、粒子流から非鉄の金属含有粒子を回収し、基本的にスクラップ金属として販売できる非鉄の金属富化部分を生成する簡単で安価な方法を提供することである。また非鉄の金属欠乏流は価値を上げて、再使用に適合可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のため、本発明は次の工程からなることを特徴とする、請求項1の前提部分に記載された方法を提供する。
液体を使用して少なくとも非鉄の金属を含む粒子がコンベアベルトに付着するように単一層の形でコンベアベルト上に粒子流を置き、
a)非鉄の金属含有粒子を分離するため、コンベアベルト上の湿った単一層をベルトと同一方向に回転する磁界に曝して、非鉄の金属富化部分を生成し、
b)コンベアベルトに付着する粒子を除去して、非鉄の金属欠乏部分を生成する工程。
【0006】
このような分離によって非鉄金属部分から非鉄金属が非常に濃縮されることが分かった。粒子の寸法および形状が非常に変化するという事実を考慮すると、これは全く驚くべきことである。最適に分離するために、使用する粒子流のうち寸法8mm未満の粒子が、好ましくは90重量%を超えるのが好ましく、また98重量%を超えるのがより好ましい。ベルトからの除去は、例えば加熱(液体の蒸発)により有効となるが、ブラシやナイフなどを使用して機械的に、または圧縮空気などを使用して非接触で行なうことが好ましい。ベルトに粒子が付着する適当な材料でベルトを作ることが重要である。しかし、驚くべきことに、使用されるベルトは粒子流に存在する不純物のためそれ自体所望の特性を有することが分かった。通常、ベルトは合成または非合成のゴムで作られる。実施する分離に応じて、磁界は、例えば0.2テスラの磁束密度に選択できる。使用される液体の量はコンベアベルト上の液体層が50−200ミクロンに等しくなるようにする。当技術分野における通常の知識を有する者にとって、粒子がベルトに付着するか否かを判断し、ベルトに粒子が適当に付着するように液体量を調整することは全く問題がない。コンベアベルトの粒子流の液体量はコンベアベルト上の粒子流の合計重量に対して、例えば、5%以上で、10%以上、特に12%以上にすると有利である。発明による方法では大きい回転率(ベルトの幅メートル当たり4トン/時など)が可能であり、より小さい粒子(直径5mm未満)の分離も容易となる。
【0007】
好ましい実施形態によると、液体は水である。
水は安価で、不活性で、不燃性でかつ毒性のない液体である。
使用する好ましい粒子流はi)プラスチックと金属との混合物、ii)塩分を含んだ廃棄物とa)マグネシウムb)アルミニウムから選択された金属との混合物、iii)電子部品スクラップおよびiv)家庭廃棄物焼却炉からの廃棄物とから選択された粒子流である。
【0008】
これらの適用領域では発明による安価で有効な分離方法が差し迫って必要となる。
好ましい実施形態の特徴によると、単一層は毎秒当たり最大210の磁界変化をする回転磁界に曝される。
【0009】
このような周波数は、ベルト上の粒子流に磁性(鉄)粒子も含める一方で、ベルトから非鉄金属粒子を開放するのに十分であることが分かった。
コンベアベルトの速度は1m/s未満にするのが好ましい。
【0010】
この速度で分離が良好になる。
液体はベルトへの粒子付着を促進する添加剤である。これは塩(例えば、塩化ナトリウム)またはポリマー(デンプン、ポリヒドロキシアルキルセルローズ、ポリビニルピロリドンなど)など液体に可溶の化合物にすることができる。添加剤が許容されない汚染粒子流を確実に生成しないように、実施する分離に応じて添加剤を選択することは明白である。実際には、このような添加剤は必要であるときでも、極めて低い濃度のもので十分である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は次の実験によって、図面を参照して詳細に説明するが、唯一の図面は発明による方法を実施するために適当な装置を示す。
図は発明による方法の実施に適した装置の概略的側面図を示す。
【0012】
図に示す装置はコンベアベルト1で構成され、この上に、例えば貯蔵ホッパ7からの粒子Aが連続して、粒子が単一層または薄い層を形成する(ベルト1は完全には覆われないことを意味する)ような量でコンベアベルト1に分布して供給される。コンベアベルト1上に分配された粒子自体が湿っていないときは、例えば、コンベアベルト上に液体Bを連続して例えば噴霧で散布するスプレー2を備えることができる。液体Bにより粒子Aがベルトに確実に付着する。コンベアベルト1の一端の近辺に、この場合、コンベアベルト1に組み込まれた多極のローター3で形成された回転磁界が設けられる。多極のローター3はコンベアベルト1の回転方向とは逆の方向に回転し、コンベアベルト上の粒子を回転磁界(点線で表す)に曝して、コンベアベルト1と同一方向に回転させる。このやり方で、コンベアベルト1上の非鉄金属粒子に力が加えられ、その結果、粒子は飛び離れて回収容器4内に落ちる。例えばプラスチック、砂、鉄金属などの非鉄金属でない材料はベルトコンベア1に付着し、スクレーパー5によってコンベアベルト1から取り除かれる。スクレーパーの代わりに、ブラシまたはエアーナイフを使用することも可能である。エアーナイフはコンベアベルト1の方向に向けられた圧縮空気を吹き出すスリットである。またコンベアベルト1から取り除かれた粒子は回収容器6に回収される。距離「a」は、ベルトに付着しないか、ほとんど付着しない粒子などの非鉄金属でない粒子が少なくとも回収容器4に回収された部分に混じる可能性がないように選択される。当技術分野における通常の知識を有する者は、簡単な通常の普通の実験により、粒子部分の所望の純度および所望の生成量に応じて適当な距離「a」を決定することができる。非鉄金属でないコンベアベルト1の粒子はコンベアベルト1の下側にくる前にはコンベアベルト1に付着する必要はない。コンベアベルト1上で粒子が水平衝撃を受けると、これにより、非鉄金属でない粒子も非鉄金属粒子の回収容器4に落下する危険が増加する。たとえ、付着力が重力に十分に対抗するものでなくても、コンベアベルトへのこの付着により前記危険を防止する助けになる。回収容器4と回収容器6を分離する壁は、この場合、コンベアベルト1の下流端を越えて配置される(すなわち、コンベアベルト1の下ではない)。粒子流Aにたまたま混じった鉄金属を回収する回収容器10が選択的に設けられる。当技術分野における通常の知識を有する者であれば、分離される粒子流A用に距離bを決定することも容易である。
【実施例1】
【0013】
炉灰からの非鉄金属の分離
実験において家庭用廃棄物焼却炉からの炉灰を最初にふるい選別し、続いて発明による分離を行なった。
(ふるい選別)
大規模の実験において廃棄物焼却炉からの炉灰を湿った状態でふるい選別して非常に粗い部分と非常に細かい部分である、2−6mmの部分と50ミクロン−2mmの部分とを生成した。
(磁気分離)
2−6mmの部分(供給物)を表1の条件の下で回転ドラム渦電流選別機により処理した。供給物および生成物流のデータは、分析から推測して、表2に表した。この処理で分離機は18極(9N極と9S極)の磁気ローターのものを使用し、ローターは毎分1000回転で通常の方向とは逆の方向に回転させた。磁界変化が固定点におけるローターの磁界の完全な回転を意味するとして、分離は毎秒当たり150(=9×1000/60)の磁界変化で実施した。磁束密度は磁気ローター上の材料を移動させるコンベアベルトの表面で約0.3テスラであった。材料はローター軸の下方約66cmの3つの回収容器(生成物1(非鉄)ではローター軸から45cmを超え、生成物2(鉄)ではローター軸から30および45cmの間、生成物3(非鉄でない)ではローター軸から30cm未満)に回収した。供給物を供給するとき、含水比を15%に増加させるため、湿った状態でふるい選別部分に約100kgの水を加えた。毎秒当たりの磁界変化数は供給物の粒子寸法を考慮して非常に低くした。しかし、少量の供給物(表3において、約1トンの代わりにそれぞれ20kg)の2つの操作実験によると、ローター速度を大きくすると軽い磁性粒子は非鉄部分に引きずられて非鉄生成物に悪い影響を与えるが、ローター速度を2000rpmに増加しても濃縮物内の回収した非鉄の量はそれほど改善されない。
【0014】
ベルトに付着した粒子は圧縮空気を使用してベルトから吹きはらい、非鉄の金属欠乏部分を形成した。
【0015】
【表1】

【0016】
【表2】

【0017】
【表3】

大規模実験によると、2.5kgのアルミニウムを含む非鉄(836kg)(すなわち、非鉄金属)でない生成物はしたがってわずか0.3%の不純物しか含まない。
【実施例2】
【0018】
(電子部品スクラップの分離)
主としてプリント基板に含まれる電子部品を4mm以下の粒子に破砕して分離を行なった。粒子流は主としてプラスチック部分およびアルミニウムと極少量の銅線(典型的には1mm直径)を含む。プラスチック部分を再使用可能にするために、金属を除去することが重要であった。まずスロットふるい(幅1mm)を使用してふるい選別して大部分の銅を除去した。銅は別として、プラスチック部分も約1−2%ふるい選別で除去された。残りの材料を実施例1と同様に分離したが、ローターは2000rpm(毎秒当たり300磁界変化)で操作した。粒子流は鉄金属を含んでいなかったので、ローター速度を高く選択した。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による方法を実施するに適した装置の概略側面を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒子流から非鉄の金属含有粒子を回収して、非鉄の金属富化部分と非鉄の金属欠乏部分とを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば家庭廃棄物の焼却で生成された炉灰が含まれ、また1種類以上の金属が比較的多量に含まれた廃棄物流などの様々な流れがある。金属が存在するため、廃棄物流を利用して出費を減らす可能性は制限される。この理由のため、金属を分離する方法が先行技術で述べられている。鉄金属は磁石によって簡単に分離できる。コンベアベルトで搬送された非鉄金属の磁界分離も先行技術、例えば非特許文献1で知られている。この文献で非鉄の金属富化部分と非鉄の金属欠乏部分が生成される。本出願で金属に言及するときは、前記金属の合金も含むものと見なされる。
【0003】
従来の方法の回転率は、コンベアベルト幅1m当たり1トン/時間のオーダーである。
【非特許文献1】Eburon著「渦電流分離」REM P.C.出版、オランダ、1999年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、粒子流から非鉄の金属含有粒子を回収し、基本的にスクラップ金属として販売できる非鉄の金属富化部分を生成する簡単で安価な方法を提供することである。また非鉄の金属欠乏流は価値を上げて、再使用に適合可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のため、本発明は次の工程からなることを特徴とする、請求項1の前提部分に記載された方法を提供する。
a)液体を使用して少なくとも非鉄の金属を含まない粒子がコンベアベルトに付着するように単一層の形でコンベアベルト上に粒子流を置き、
b)非鉄の金属含有粒子を分離するため、コンベアベルト上の湿った単一層をベルトと同一方向に回転する磁界に曝して、非鉄の金属富化部分を生成し、
c)コンベアベルトに付着する粒子を除去して、非鉄の金属欠乏部分を生成する工程。
【0006】
このような分離によって非鉄金属部分から非鉄金属が非常に濃縮されることが分かった。粒子の寸法および形状が非常に変化するという事実を考慮すると、これは全く驚くべきことである。最適に分離するために、使用する粒子流のうち寸法8mm未満の粒子が、好ましくは90重量%を超えるのが好ましく、また98重量%を超えるのがより好ましい。ベルトからの除去は、例えば加熱(液体の蒸発)により有効となるが、ブラシやナイフなどを使用して機械的に、または圧縮空気などを使用して非接触で行なうことが好ましい。ベルトに粒子が付着する適当な材料でベルトを作ることが重要である。しかし、驚くべきことに、使用されるベルトは粒子流に存在する不純物のためそれ自体所望の特性を有することが分かった。通常、ベルトは合成または非合成のゴムで作られる。実施する分離に応じて、磁界は、例えば0.2テスラの磁束密度に選択できる。使用される液体の量はコンベアベルト上の液体層が50−200ミクロンに等しくなるようにする。当技術分野における通常の知識を有する者にとって、粒子がベルトに付着するか否かを判断し、ベルトに粒子が適当に付着するように液体量を調整することは全く問題がない。コンベアベルトの粒子流の液体量はコンベアベルト上の粒子流の合計重量に対して、例えば、5%以上で、10%以上、特に12%以上にすると有利である。発明による方法では大きい回転率(ベルトの幅メートル当たり4トン/時など)が可能であり、より小さい粒子(直径5mm未満)の分離も容易となる。
【0007】
好ましい実施形態によると、液体は水である。
水は安価で、不活性で、不燃性でかつ毒性のない液体である。
使用する好ましい粒子流はi)プラスチックと金属との混合物、ii)塩分を含んだ廃棄物とa)マグネシウムb)アルミニウムから選択された金属との混合物、iii)電子部品スクラップおよびiv)家庭廃棄物焼却炉からの廃棄物とから選択された粒子流である。
【0008】
これらの適用領域では発明による安価で有効な分離方法が差し迫って必要となる。
好ましい実施形態の特徴によると、単一層は毎秒当たり最大210の磁界変化をする回転磁界に曝される。
【0009】
このような周波数は、ベルト上の粒子流に磁性(鉄)粒子も含める一方で、ベルトから非鉄金属粒子を開放するのに十分であることが分かった。
コンベアベルトの速度は1m/s未満にするのが好ましい。
【0010】
この速度で分離が良好になる。
液体はベルトへの粒子付着を促進する添加剤である。これは塩(例えば、塩化ナトリウム)またはポリマー(デンプン、ポリヒドロキシアルキルセルローズ、ポリビニルピロリドンなど)など液体に可溶の化合物にすることができる。添加剤が許容されない汚染粒子流を確実に生成しないように、実施する分離に応じて添加剤を選択することは明白である。実際には、このような添加剤は必要であるときでも、極めて低い濃度のもので十分である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は次の実験によって、図面を参照して詳細に説明するが、唯一の図面は発明による方法を実施するために適当な装置を示す。
図は発明による方法の実施に適した装置の概略的側面図を示す。
【0012】
図に示す装置はコンベアベルト1で構成され、この上に、例えば貯蔵ホッパ7からの粒子Aが連続して、粒子が単一層または薄い層を形成する(ベルト1は完全には覆われないことを意味する)ような量でコンベアベルト1に分布して供給される。コンベアベルト1上に分配された粒子自体が湿っていないときは、例えば、コンベアベルト上に液体Bを連続して例えば噴霧で散布するスプレー2を備えることができる。液体Bにより粒子Aがベルトに確実に付着する。コンベアベルト1の一端の近辺に、この場合、コンベアベルト1に組み込まれた多極のローター3で形成された回転磁界が設けられる。多極のローター3はコンベアベルト1の回転方向とは逆の方向に回転し、コンベアベルト上の粒子を回転磁界(点線で表す)に曝して、コンベアベルト1と同一方向に回転させる。このやり方で、コンベアベルト1上の非鉄金属粒子に力が加えられ、その結果、粒子は飛び離れて回収容器4内に落ちる。例えばプラスチック、砂、鉄金属などの非鉄金属でない材料はベルトコンベア1に付着し、スクレーパー5によってコンベアベルト1から取り除かれる。スクレーパーの代わりに、ブラシまたはエアーナイフを使用することも可能である。エアーナイフはコンベアベルト1の方向に向けられた圧縮空気を吹き出すスリットである。またコンベアベルト1から取り除かれた粒子は回収容器6に回収される。距離「a」は、ベルトに付着しないか、ほとんど付着しない粒子などの非鉄金属でない粒子が少なくとも回収容器4に回収された部分に混じる可能性がないように選択される。当技術分野における通常の知識を有する者は、簡単な通常の普通の実験により、粒子部分の所望の純度および所望の生成量に応じて適当な距離「a」を決定することができる。非鉄金属でないコンベアベルト1の粒子はコンベアベルト1の下側にくる前にはコンベアベルト1に付着する必要はない。コンベアベルト1上で粒子が水平衝撃を受けると、これにより、非鉄金属でない粒子も非鉄金属粒子の回収容器4に落下する危険が増加する。たとえ、付着力が重力に十分に対抗するものでなくても、コンベアベルトへのこの付着により前記危険を防止する助けになる。回収容器4と回収容器6を分離する壁は、この場合、コンベアベルト1の下流端を越えて配置される(すなわち、コンベアベルト1の下ではない)。粒子流Aにたまたま混じった鉄金属を回収する回収容器10が選択的に設けられる。当技術分野における通常の知識を有する者であれば、分離される粒子流A用に距離bを決定することも容易である。
【実施例1】
【0013】
炉灰からの非鉄金属の分離
実験において家庭用廃棄物焼却炉からの炉灰を最初にふるい選別し、続いて発明による分離を行なった。
(ふるい選別)
大規模の実験において廃棄物焼却炉からの炉灰を湿った状態でふるい選別して非常に粗い部分と非常に細かい部分である、2−6mmの部分と50ミクロン−2mmの部分とを生成した。
(磁気分離)
2−6mmの部分(供給物)を表1の条件の下で回転ドラム渦電流選別機により処理した。供給物および生成物流のデータは、分析から推測して、表2に表した。この処理で分離機は18極(9N極と9S極)の磁気ローターのものを使用し、ローターは毎分1000回転で通常の方向とは逆の方向に回転させた。磁界変化が固定点におけるローターの磁界の完全な回転を意味するとして、分離は毎秒当たり150(=9×1000/60)の磁界変化で実施した。磁束密度は磁気ローター上の材料を移動させるコンベアベルトの表面で約0.3テスラであった。材料はローター軸の下方約66cmの3つの回収容器(生成物1(非鉄)ではローター軸から45cmを超え、生成物2(鉄)ではローター軸から30および45cmの間、生成物3(非鉄でない)ではローター軸から30cm未満)に回収した。供給物を供給するとき、含水比を15%に増加させるため、湿った状態でふるい選別部分に約100kgの水を加えた。毎秒当たりの磁界変化数は供給物の粒子寸法を考慮して非常に低くした。しかし、少量の供給物(表3において、約1トンの代わりにそれぞれ20kg)の2つの操作実験によると、ローター速度を大きくすると軽い磁性粒子は非鉄部分に引きずられて非鉄生成物に悪い影響を与えるが、ローター速度を2000rpmに増加しても濃縮物内の回収した非鉄の量はそれほど改善されない。
【0014】
ベルトに付着した粒子は圧縮空気を使用してベルトから吹きはらい、非鉄の金属欠乏部分を形成した。
【0015】
【表1】

【0016】
【表2】

【0017】
【表3】

【0018】
大規模実験によると、2.5kgのアルミニウムを含む非鉄(836kg)(すなわち、非鉄金属)でない生成物はしたがってわずか0.3%の不純物しか含まない。
【実施例2】
【0019】
(電子部品スクラップの分離)
主としてプリント基板に含まれる電子部品を4mm以下の粒子に破砕して分離を行なった。粒子流は主としてプラスチック部分およびアルミニウムと極少量の銅線(典型的には1mm直径)を含む。プラスチック部分を再使用可能にするために、金属を除去することが重要であった。まずスロットふるい(幅1mm)を使用してふるい選別して大部分の銅を除去した。銅は別として、プラスチック部分も約1−2%ふるい選別で除去された。残りの材料を実施例1と同様に分離したが、ローターは2000rpm(毎秒当たり300磁界変化)で操作した。粒子流は鉄金属を含んでいなかったので、ローター速度を高く選択した。
【図面の簡単な説明】
【0020】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子流から非鉄の金属含有粒子を回収して非鉄の金属富化部分と非鉄の金属欠乏部分を生成する方法において、
a)液体を使用して少なくとも非鉄の金属を含む粒子がコンベアベルトに付着するように単一層の形でコンベアベルト上に粒子流を置き、
b)非鉄の金属含有粒子を分離するため、コンベアベルト上の湿った単一層をベルトと同一方向に回転する磁界に曝して、非鉄の金属富化部分を生成し、
c)コンベアベルトに付着する粒子を除去して、非鉄の金属欠乏部分を生成する
工程からなることを特徴とする方法。
【請求項2】
液体は水であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粒子流はi)プラスチックと金属との混合物、ii)塩分を含んだ廃棄物とa)マグネシウムb)アルミニウムから選択された金属との混合物、iii)電子部品スクラップおよびiv)家庭廃棄物焼却炉からの廃棄物とから選択されたことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
単一層は毎秒最大210磁界変化で回転磁界に曝されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
コンベアベルトの速度は1m/s未満とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。











【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子流から非鉄の金属含有粒子を回収して非鉄の金属富化部分と非鉄の金属欠乏部分を生成する方法において、
a)液体を使用して少なくとも非鉄の金属を含まない粒子がコンベアベルトに付着するように単一層の形でコンベアベルト上に粒子流を置き、
b)非鉄の金属含有粒子を分離するため、コンベアベルト上の湿った単一層をベルトと同一方向に回転する磁界に曝して、非鉄の金属富化部分を生成し、
c)コンベアベルトに付着する粒子を除去して、非鉄の金属欠乏部分を生成する
工程からなることを特徴とする方法。
【請求項2】
液体は水であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粒子流はi)プラスチックと金属との混合物、ii)塩分を含んだ廃棄物とa)マグネシウムb)アルミニウムから選択された金属との混合物、iii)電子部品スクラップおよびiv)家庭廃棄物焼却炉からの廃棄物とから選択されたことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
単一層は毎秒最大210磁界変化で回転磁界に曝されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
コンベアベルトの速度は1m/s未満とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。

【図1】本発明による方法を実施するに適した装置の概略側面を示す。

【公表番号】特表2006−520689(P2006−520689A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507855(P2006−507855)
【出願日】平成16年3月16日(2004.3.16)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000187
【国際公開番号】WO2004/082839
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(500292149)テクニッシェ ユニヴァージテート デルフト (14)
【Fターム(参考)】